2015年7月下旬
セグロアシナガバチ巣の定点観察#4
※ この巣の蜂はセグロアシナガバチ(Polistes jokahamae)ではなくキアシナガバチ(Polistes rothneyi)の斑紋変異(前伸腹節の黄紋が無い)なのかもしれません。
日が暮れると軒下は真っ暗になりました。
赤外線投光機2台を連結し、ダブルで照射してみたら効果抜群でした。
地上4.5mの高さにある巣も赤外線カメラの暗視映像ではっきり撮れるようになりました。
真下から見上げると在巣の蜂は2匹しか見えません。(巣盤の天井部に隠れているのかも)
育房の見回りや身繕いをしています。
巣の周囲の暗闇を何かが飛び回っていました。(UFO:未確認飛行物体)
外役に出ていたセグロアシナガバチのワーカー♀が帰巣しようとして暗闇で迷子になったのでしょうか?
昼行性の本種は、暗闇では目が見えないはずです。
それとも、別の昆虫が飛び回っているのでしょうか?
アシナガバチの巣に寄生する虫が活動を始めたのかもしれません。
UFOが巣の下を横切る度に、巣上のワーカーが警戒しています。
とにかく巣が高所にあり手が届かないため、正体を突き止めようがありませんでした。
実はこの建物の軒下は毎年どこかしらにキアシナガバチが営巣するのですが、そこに寄生する小蛾(マダラトガリホソガの一種 Anatrachyntis sp.)が猖獗を極める場所でもあります。(寄生率が高い)
寄生蛾♀は闇夜に紛れて寄主の巣に産卵するそうです。
是非その産卵シーンを観察してみたくて夜な夜な通っているのですけど、よほどの幸運に恵まれないと難しそうです。
無人カメラを設置して愚直に夜通し録画・監視するのが結局は早道のような気がします。
寄生蛾♀が巣に接近しても産卵されるまで蜂が気づかずに眠っているのか、それとも多少は攻防戦が繰り広げられるのか、とても興味があります。
つづく→#5:排水行動と育房伸長
2015年7月下旬
山間部の道端に生えたヒメジョオン※の群落でイブキヒメギス♀(Eobiana japonica)が綿毛のような種子をモグモグ食べていました。
すぐ横に花も咲いているのに、種子を好むのですね。
食事中に突然、何かに驚いて跳んで逃げました。
下の茂みに落下して見失いました。
翅の先端が丸いのでイブキヒメギスだと思うのですが、どうでしょう?
前胸後端部に白線がありません。
上向きに湾曲した産卵管があります。
※ 撮影後に茎をカットし、白い髄を確認しました。
葉は茎を抱きません。
2015年7月下旬
山間部の道端に生えたタラノキの灌木でヤブキリ♀(Tettigonia orientalis)を見つけました。
葉から葉へ歩き回ったり軽く跳んだりして移動すると、葉の根本(葉柄の付近)を貪るように食べ始めました。
やがて食べ飽きたのか、再び移動。
2015年7月下旬
▼前回の記事
砂粒を跳ね上げ巣を作るアリジゴク【HD動画&ハイスピード動画】
急斜面に植林された杉の木の根元に数匹のアリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)が巣を作っていました。
そのひとつで、落とし穴に落ちたアリを捕食しているアリジゴクを観察しました。
大顎で噛んで吸汁しています。
アリの種名は普通種のクロヤマアリ♀(Formica japonica)ですかね?
私が餌を投入したのではなく、巣穴を見つけた時から捕食していました。
通りすがりのムネアカオオアリ♀(Camponotus obscuripes)が罠に落ちかけたのですが、慌てて脱出しました。
実はこの小さな砂地に巣材集めに通って来るミカドトックリバチ♀の観察がメインで(映像公開予定)、この動画は待ち時間の暇潰しで撮ったものです。
できればアリジゴクを採集して同定を試みたり、飼育下で成虫を羽化させたりしたかったのですけど、とてもそこまで手が回りませんでした。
2015年7月下旬
山間部の道端の草むらでアカソの葉にヒロオビヒゲナガ♂(Nemophora paradisea)が止まっていました。
種小名がparadiseなのは極楽鳥みたいな発想なのでしょうか?
確かに美麗種で、おそろしく長い触角を持っています。
物を投げつけて飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
実は同じ日にしばらく進むと、同種の♀も見つけました。
▼関連記事
翔べ!ヒロオビヒゲナガ♀(蛾)
2015年7月下旬
ハエトリグモ類は飢餓耐性が強く飼育は容易ですが、水分補給が大切です。
飼育容器の蓋代わりに、観察しやすいよう透明なサランラップを輪ゴムでピンと張り、裏面に霧吹きしてやりました。
ネコハエトリ(Carrhotus xanthogramma)♀成体が住居網から出てくると早速、水滴を飲み始めました。
大小幾つかの水滴を次々に飲み干すと、最後はサランラップから滑落しました。(自分で跳び下りたのかも?)
満足したネコハエトリは住居網に戻りました。
※ YouTubeの動画編集時に自動色調補正を施してあります。
2015年7月中旬・夜19:33
キボシアシナガバチ巣の定点観察@柳#13
三脚から外した手持ちビデオカメラでキボシアシナガバチ(Polistes nipponensis)の巣盤下から撮ってみました。
赤外線の暗視動画で成虫・幼虫間の栄養交換を記録しました。
暗闇でも触角で育房内の幼虫を探り当てることが出来ます。
巣上の蜂が落ち着かないのは、ヒトの接近を気配で感じて警戒しているのでしょう。
キボシアシナガバチは攻撃性が強く、明るい昼間なら危なくてこれほど巣に近づけません。
引き続きビデオカメラの白色LEDの光を照射しても蜂は襲って来ませんでした。
光が眩し過ぎて目くらましのようになっているのでしょうか。
暗い夜は飛べないので攻撃性が下がるようです。
巣盤の下面には創設女王と思われる♀と、♂(早期羽化雄)の1匹ずつしか居なくなりました。
女王は翅をやや持ち上げ、警戒しています。
つづく→#14:夜の排水行動【暗視映像】
2015年7月下旬
フクラスズメ(Arcte coerula)の幼虫が山間部の道端でアカソの葉を食害する様子を10倍速の微速度撮影動画で記録しました。
食べ進むに連れて、しがみついている葉柄を少しずつ後退して行きます。
アングルを変えて葉表から狙うと、葉がみるみる小さくなる様が面白く、食欲旺盛な食べっぷりに惚れ惚れします。
排便シーンも撮れていましたが、別の記事で既に紹介しました。
途中から近くにもう一頭(2匹目)を発見しました。(@5:23〜)
片方の幼虫が食休みしたら、その間に別の幼虫の摂食シーンを撮れば良いので捗ります。
アカソの葉を一枚完食すると、下を向いていた幼虫は方向転換し、茎を登り上の葉へ移動しました。
葉の主脈もきれいに食べ尽くしたものの、葉柄は食べ残しました。
幸い車も通らず、暑くても無風で助かりました。
絶好の微速度撮影日和でした。
飼育しようか迷った挙句、結局は採集せずに帰りました。
幼虫の行動はあらかた野外で撮れましたし、本種は繭を紡がずに地中で蛹化するので動画ネタにしにくく、個人的にあまり面白くないのです。
2015年7月中旬
山間部の車道でロードキルと思われるフキバッタの一種の死骸にクロオオアリ(Camponotus japonicus)のワーカー♀が群がっていました。
死骸を噛み千切って解体しようとしています。
もはや残っているのはフキバッタの胸部、頭部の一部と左後脚だけです。
時間に余裕があれば解体ショーを微速度撮影で記録したかったのですが、先を急ぎます。
更に下山する道中で車に轢かれたフキバッタを何匹も見かけました。
2015年7月下旬
フクラスズメ(Arcte coerula)の幼虫が山間部の道端でアカソの葉を食べていると、探索飛翔中のアシナガバチとニアミスしました。
フクラスズメ幼虫がアシナガバチのアタックを間一髪でかわした瞬間を1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
赤味が強い(橙色)のでセグロアシナガバチかと思いきや、前伸腹節に黄紋を確認できたのでキアシナガバチ(Polistes rothneyi)のワーカー♀でした。
奇襲による狩りは成功せず、フクラスズメ幼虫はしばらく警戒体勢に入りました(擬死?)。
フクラスズメ幼虫に手で触れたりすると上半身を激しく横に振って威嚇したり口から緑色の体液を吐いたりすることが有名ですが、カリバチとの実戦では見られませんでした。
▼関連記事
フクラスズメ(蛾)幼虫による威嚇行動
実はキアシナガバチが獲物を探してこのアカソ群落を何度も往復しているのですけど、狩りの攻撃を見たのはこの一度だけでした。
もしかするとフクラスズメ幼虫の目立つ警告色が功を奏し、手強い相手だということで、気づいていても見逃してもらってるのでしょうか?
つづく→アカソの葉を食す10倍速映像
2015年7月下旬
三脚を立てて別の虫を撮影していたら、いつの間にかフキバッタの仲間(種名不詳)が登って来ていて(飛んで来た?)カメラのストラップの先端を一心不乱に齧っていました。
長年染み込んだ雨や汗の塩分・ミネラルを摂取しているのでしょう。
この黒いストラップがもし天然の植物繊維で作られていれば、セルロースを含んでいるのでバッタが食べても不思議ではありません。
しかし実際は化繊ですから、さすがにゲテモノ好きのフキバッタ※も消化できないでしょう。
そもそも噛み切れない気がします。
食事シーンを間近で接写しても、補助照明の白色LEDの光を照射しても逃げませんでした。
せめて性別を知りたいところです。
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