2011/03/05

ミヤマクワガタ♀の起き上がりと手乗り




2010年8月中旬

里山の展望台でベンチに座って昼食を取っていたらミヤマクワガタLucanus maculifemoratusの♀を発見。
右前脚を欠損しています。

それでも仰向けにされると難なく起き上がれます。
体長34mm

梨の芯を与えてみたのですが、見向きもせず逃げ出しました(映像なし)。





ザトウムシの歩行



2008年7月中旬

ザトウムシの仲間(種名不詳)。
最も長い第二脚を触角のように振りたてながら歩きます。
ザトウムシは八本脚ですが分類学上はクモよりもダニやサソリに近い仲間だそうです。

森でヒグラシ♀を拾う



2008年7月中旬

林道を散歩中に茂みで暴れていたセミを手掴みで採集。
ヒグラシ♀(Tanna japonensis)だと思います。
観察してから解放。
ヒグラシの体表に寄生するセミヤドリガという不思議な蛾を探しているのですが、未だ見たことがありません。
セミヤドリガ分布の北限は東北地方南部らしいので、当地には生息していないのかも。

スズバチの吸水



2008年7月中旬

巣材の土を集めに行く前にしっかり水を飲んでいたのだろうか。
同一個体のスズバチOreumenes decoratus)を追いかけて撮影。

セアカツノカメムシを捕食するシオヤアブ♀



2008年7月中旬

セアカツノカメムシAcanthosoma denticaudum)を捕食するシオヤアブ♀(Promachus yesonicus)。
獲物の正体を突き止めようと色んなアングルで狙いました。
虻は一度飛んで食事場所を変えました。
カメムシの毒ガス(悪臭忌避物質)による防御は効果が無かったようです。






トラフシジミ夏型の吸蜜@オカトラノオ



2008年7月中旬

夏型のトラフシジミRapala arataオカトラノオの花で蜜を吸っていました。


ヤマオニグモ♀の捕食行動



2008年7月中旬

ヤマオニグモ♀(Araneus uyemurai)成体の張る円網に生餌を与えてみました。
獲物は近くの草叢で採集したクツワムシMecopoda nipponensis幼虫。
一投目は外れ。
二投目は甑(こしき)の辺りに見事命中。
ヤマオニグモは捕帯と呼ばれる帯状の糸で獲物を素早くラッピングし噛み付きます。
一段落して網と体の手入れを始めたら偶然、網に別の獲物が掛かりました。
白っぽい小さな甲虫で、おそらくゾウムシの仲間ではないかと思います。
すかさず掛け付けたヤマオニグモはこれも手早く糸でぐるぐる巻きに。
網から外した獲物を咥えて甑に持ち帰り網に再固定。
全く無駄の無い動きで惚れ惚れします。
やがて初めの獲物(牙で噛んで毒液と消化液を注入してある)を吸汁し始めました。

ニホンマムシとの遭遇@道端



2008年7月中旬

道端でとぐろを巻いているニホンマムシGloydius blomhoffii)を発見。
また蛇の轢死体かと思いつつ念のためカメラを回しながら近付くと動き出し、蛇行して草叢へ逃げました。
特徴的な銭形斑紋は保護色になっています。

昆虫病原糸状菌に感染死したフキバッタ



2008年7月中旬

ススキの葉にしがみ付いたまま死んでいたフキバッタの仲間(種名不詳)。
この個体は尾端が葉に付着して千切れても構わずに更に上へ登って死んだようで一層不気味です。
この日は同様のフキバッタ死骸を何体か目にしました。



【追記】
渡部仁『微生物で害虫を防ぐ (ポピュラー・サイエンス)』という昆虫病理学の入門書を読むと、糸状菌や疫病菌について詳しく知ることができました。
 イエバエ、アブラムシ、バッタ、ガの幼虫、ハチなど多くの種類の昆虫に糸状菌の一種、疫病菌(Entomophthora)が寄生します。(p68より引用)
分生子が成熟すると、分生子梗の内圧によって、ちょうどロケットのようにはじき出されて遠くに飛ばされます。同時に粘液状の内容物が分生子について飛ぶので、分生子は物体に付きやすいのです。(中略)(イエバエやバッタなどの)感染虫は致死直前になると死期を悟るのか、高い場所を求め、草の葉や木の枝、あるいは石壁などをゆっくり登りつめ、高い所でじっと静かに死を迎えるのです。不思議なことに、致死は夕方から午後7時までに起こりやすく、分生子が死体の表面に形成されるのは夜中で、翌朝つゆのあるうちに分生子が飛散するといわれています。 (p70より引用)


シマヘビの死骸



2008年7月中旬

雨の山道にて発見。
遠目からは生死不明だったので動画を撮りながら接近しました。
シマヘビElaphe quadrivirgata)の轢死体と判明。
赤い虹彩が特徴的です。
本種は殆ど木登りせずに地表を這い回る性質のため、交通事故にも遭いやすいらしい。
雨のせいか、屍肉食の虫もアリが数匹辺りを歩き回っていただけでした。

ヒメベッコウの飼育・羽化



2008年6月下旬〜7月中旬

里山を散策中、タニウツギ幼木の葉裏に謎の泥巣を発見。
葉ごと採集して持ち帰りました。
一部半乾きで作りかけのように見えます。
「ヒゲおやじの投稿掲示板」にて問い合わせたところ、ヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonariu)の一種だろうと教えて頂きました。
この仲間は似た種類が多くて詳しい同定は専門家でもなかなか難しいのだそうです※。
ありあわせのプラスチック容器(フロッピーディスク容器の隙間をセロテープで塞ぐ)に入れて室内飼育開始。
15日後、初成虫が羽化してきました。
連日続々と羽化してきます。
泥巣には羽化孔が残されています。
♂♀の区別などは分かりませんでした※。
※ ベッコウバチ科の特徴として、死後触角の先がカールするのが♀、しないのが♂らしい。死骸を撮った写真を見直すと、最初に羽化した個体は♂で頭楯が白く、最後に羽化した4匹は♀で頭楯は黒だった。ヒメベッコウ属全てを検討した訳ではないものの、現時点ではヒメベッコウ(Auplopus carbonarius)の特徴と合っている気がします。翅に黒班が無くハナナガヒメベッコウ(A. constructor)は除外できます。あくまでも素人判断です。 
ヒメベッコウ♂羽
ヒメベッコウ♀標本@飼育羽化




交尾なども見られませんでした。
成虫の餌や飼い方を知らないので、撮影後は片端から外に逃がしてやりました。
手に取っても刺されることはありませんでした。
クモを狩って貯食・産卵するらしい(一括給餌)。
最終的に羽化孔は計13個。 
前年は同じ仲間の♀が巣材の泥団子を集める様子を観察できたので、ストーリーが少しずつ繋がりつつあります。
次はクモを狩るシーンや巣作り行動などを見てみたいものです。 


《追記》 
ヒメベッコウが作る泥壺は防水加工されていないため(巣材の泥団子に唾液を混ぜない)、水に濡れると簡単に溶けてしまうらしい。
そのために、崖下や葉裏など雨の当たらない場所を選んで営巣する。
(『カリバチ観察事典』 偕成社 p28より)


ヒメベッコウの成虫が壺から出てくる際、口から水を吐き出して、泥を柔らかくし、壁を破るらしい。
(『ファーブル写真昆虫記2:つぼをつくるかりうど』p40より)
果たして本当かな? 本当なら吃驚!
幼虫時代に摂取した水分だけで足りるだろうか?

クロマイコモドキ(蛾)#2



2008年7月中旬

前の動画#1の個体とは違う色の輝きですけど、同種クロマイコモドキLamprystica igneolaと教えて頂きました。
同日、別な場所で撮影。
アカソの葉から飛び立ちました。

クロマイコモドキ(蛾)#1



2008年7月中旬

クロマイコモドキLamprystica igneolaと虫我像掲示板にて教えて頂きました。
ヨモギの葉から飛び立ちました。

2011/03/04

トノサマバッタ幼虫を襲うアリ



2008年7月中旬

手負いのトノサマバッタ(四齢?)幼虫にアリ(種名不詳)がしつこく攻撃を加え、触角や脚を齧ろうとしていました。
翅原基が少し伸びてきています。
「頭部と腹部に損傷が認められるので草刈り機の犠牲になったのでは?」という指摘と推理をご教示頂きました。





アオダイショウの死肉を食すオオヒラタシデムシ幼虫



2008年7月中旬

路上で車に轢かれたアオダイショウElaphe climacophoraの死骸を発見。
ニクバエの仲間(種名不詳)が一匹とオオヒラタシデムシNecrophila japonica)の幼虫が数匹集まっていました。

オカトラノオの花蜜を吸うギンボシヒョウモン



2008年7月中旬

オカトラノオの花序で吸蜜中のギンボシヒョウモンSpeyeria aglaja
性別までは分かりませんでした。

ヒメギス♂の死骸に群がるムネアカオオアリ集団



2008年7月中旬

ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が死んだヒメギス♂(Eobiana engelhardti subtropica)に群がっていました。
協同で巣に運ぶ訳でもなく、解体作業中のようでした。
あまり作業に加わらず、近くで身繕いしているだけの個体も居ます。
解体の様子を微速度撮影で収めたら面白かったのですが、夕刻で余裕がありませんでした。

オカトラノオの花蜜を吸うモンキチョウ



2008年7月中旬

オカトラノオの白い花からモンキチョウColias erate)が蜜を吸っていました。
花から花へと渡り歩く飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションで追加してみました。

ヒメギス♂の鳴き声♪



2008年7月中旬

クズの葉に乗ってヒメギス♂(Eobiana engelhardti subtropica)が鳴いていました。
翅が長いので昨年飼育した種(コバネヒメギス)ではなくて、いわゆるヒメギスだと思います。
近くの♂と交互に鳴き交わしているようです。

サカハチチョウ夏型の日光浴



2008年7月中旬

サカハチチョウAraschnia burejana)は春型と夏型とで翅の色が全く異なります。
季節の変わり目には中間型のような色合いの蝶も現れますが、ようやく夏らしい個体を目にするようになりました。


クサグモの造網



2008年7月中旬

雨上がりの林道散策。
足元の枝でクサグモの一種(種名不詳)が棚網を補強していました。
水滴が付いて網の構造がとても見易くなっています。
クサグモが使う非粘着性糸は水に濡れても捕獲性能は劣化しないので、網を張り替えることはありません。

アブを捕食するスジアカハシリグモ幼体(蜘蛛)



2008年7月中旬

アブの仲間(種名不詳)を捕食中のスジアカハシリグモDolomedes saganus)幼体。
狩りの瞬間は見逃しました。

ヒメキマダラセセリの求愛(失恋)



2008年7月中旬

セセリチョウが求愛していました。
虫我像掲示板にてヒメキマダラセセリOchlodes ochraceus)とご教示頂きました。
左が♀で右が♂。♂は何度か辺りを飛び回りました。
♀が求愛を拒んだのか結局交尾に至りませんでした。
シロチョウ科で見られるような尾端を持ち上げる交尾拒否行動は示しませんでした。
セセリチョウ科の求愛作法はまた違うのでしょう。
小刻みに翅を震わせるのが♀の意思表示(拒絶)だったのかな? 
諦めた♂は飛び去り、残った♀も最後は逃げました。


ハリゲコモリグモ♀(蜘蛛)の子守



2008年7月中旬

コモリグモの仲間(種名不詳)が孵化した多数の幼体を背中に背負っています。
驚くと葉裏に隠れるが、警戒が解けるとまたのこのこと表に出てきました。
日光浴して幼体の発達を促進しているのだろうか。 
未採集なので確定できませんが、ハリゲコモリグモPardosa laura)の可能性が高いと闇クモ画像掲示板にて教えて頂きました。
コモリグモ類は母性行動で知られています。
♀は産んだ卵嚢を尻にぶら下げて持ち歩くばかりでなく、孵化した幼体もしばらく育つまで背中に乗せて保護するのです。


小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち ──失われる自然を求めて (ちくま新書)』によると、
 コモリグモ科のクモは、その名の通り子守をする。(中略)子供を体に乗せている間、♀はとりたてて子供の面倒は見ない。餌を分けるでもなく、脚で撫でて慈しむでもない。いわば勝手に子供たちにしがみつかれているだけの状態で、間違って子供が下に落ちても、特に拾うようなことはしないらしい。(p262より引用)


ヤマナメクジの交尾



2008年7月中旬

雨上がりの林道で交尾しようとしているヤマナメクジIncilaria fruhstorferiのペアを発見。
ご存知のようにナメクジは雌雄同体で生殖器は頭の横にあります。
余りに動きが遅いので痺れを切らして一時離れたら、残念ながら最も興味深い途中経過を見逃してしまいました。
次に機会があれば三脚を据えて長回しの微速度撮影に挑戦してみたいものです。
白い精子嚢を草の茎で突付いてみたら表面に粘り気がありました。
意外にしっかりした触感。
カタツムリほど敏感ではないようで、突付いても逃げたり反応しませんでした。





ムモンホソアシナガバチの身繕い



2008年7月中旬

頭楯に黒褐色の縦紋が無いのでヒメホソアシナガバチ(トウヨウホソアシナガバチ)ではなくてムモンホソアシナガバチParapolybia indicaと判明。
アカソの葉の上で頻りに化粧していました。
狩りの途中で休んでいたのでしょう。



クスサン幼虫(蛾)



2008年7月中旬

雑木林でマンサクの枝がなぜか一部枯れていました。
そこに迷い込んだ美しく立派な毛虫。
これはクスサン屋久島以北亜種Saturnia japonica japonica)の幼虫です。
もしや繭を作り始めるかとしばらく眺めていたら、Uターンしただけでした。
調べてみたらマンサクはクスサンの食草として記載されていませんでした。

昼間光るヘイケボタル



2008年7月中旬

林道脇で木の葉に止まっていたヘイケボタルLuciola lateralis
昼間なのに点滅していました。
ラストは飛び立ちシーンの1/10倍速スローモーション。
蛍に詳しい人なら発光器官の形状や明滅パターンなどから♂♀どちらか分かるのでしょうか。
教えて欲しいです。

ヤマオニグモ♀(蜘蛛)



2008年7月中旬

雨上がりは水滴が付着してクモの網の構造が見易いです。
たまたま眼前で円網に何か獲物がかかったのですが逃げられたようです(映像なし)。
主のヤマオニグモ♀(Araneus uyemurai)は壊れた網を修繕しながら脱糞し、こしき(円網の中央部)で身繕いしながら休みます。
歩脚で網を引き締めて次の獲物を待機。
接写中のカメラがどこか網に触れてしまったのか、急に縦糸を伝って逃げ出しました。
木の葉を隠れ家としているようです。
葉裏に潜伏中も常に歩脚の一本は信号糸に触れています。

ミヤマカラスアゲハ♂の吸水・排尿



2008年7月中旬

雨上がりの林道でミヤマカラスアゲハ♂(Papilio maackii)が水たまりから吸水していました。
よく見ると飲みながら尿を排泄しています。
必要な水分、ミネラル摂取と同時に効率良く体温を下げるためでしょうか(水冷式ボディ)。






2011/03/03

オオフタオビドロバチ♀が室内で身繕い




2010年8月中旬

某店舗の吹き抜けになった玄関にディスプレー用の枯れ枝が置いてありました。
枝先に外から迷い込んだ蜂が一匹止まり、休んでいます。
逆光ですがストロボを焚いて身繕いする様子を撮ってみたら、オオフタオビドロバチAnterhynchium flavomarginatum)と判明。
触角の先が真っ直ぐであることから♀と思われます。





野生ニホンザル群れの大移動と車道横断



2008年7月上旬

林縁や田んぼで採餌していた野生ニホンザルMacaca fuscata)の群れが山に戻る途中に遭遇したようです。
群れから遅れた個体は畦道・農道を走って追いかけます。
母猿の背中にしがみついた子猿の姿も見えます。
車道を車が向かって来ても悠然と横断。
撮影に必死で、何頭の群れだったのかカウントする余裕はありませんでした。

樹上の野生ニホンザル



2008年7月上旬

農村の道端でヌルデの木の又にニホンザルMacaca fuscata)が一頭腰掛けていました。
慌てて停車して撮り始めました。
こちらの様子をちらちら窺っています。
結構近寄っても逃げません。
直接目を合わせないように注意します。
人馴れしている印象を受けました。




もしドライブ中などで猿と出会い、いくら可愛いと思っても、決して野生の猿に餌をあげないで下さい。
人にも猿にも不幸を招く結果(猿害)になります。

草むらで休むニホンカナヘビ



2008年7月上旬

草叢のアカソの葉の上でニホンカナヘビTakydromus tachydromoidesが休んでました。
いつもすぐに逃げられてシャッターチャンスを逃すので、まずは遠目から望遠で狙ってみます。
いざ撮り始めたら余りに動きが乏しい。
最後はわざとガサガサ驚かせたら逃げ出しました。

ハラビロヘリカメムシの交尾



2008年7月上旬

ハラビロヘリカメムシHomoeocerus unipunctatus)と教えて頂きました。
よくクズの茎から吸汁しているカメムシです。
ススキの葉に乗って交尾中のペアを発見。
性別が不明ですが(腹部の膨らんだ下が直感的に♀?)、結合したまま体をローリングしています。
接写に切り替えてレンズを近づけると、つながったまま葉裏に回り込もうとします。

キボシアシナガバチ♂@苔



2008年10月上旬

林道でキボシアシナガバチ♂(Polistes nipponensis)が路上の苔の上を徘徊していました。
朝露の残りでも飲んでいるのでしょうか。
顔(頭楯)が白く、触角の先がカールしているので♂と判明。
新女王との交尾は無事に済んだのかな?

キボシアシナガバチ新女王の日光浴



2008年10月上旬

キボシアシナガバチ♀(Polistes nipponensis)が日光浴していました。
確証はありませんが時期柄、ワーカーではなくて新女王だと思います。
栄養を蓄えてから越冬するのでしょう。 


長期間定点観察していた本種コロニー(こことは全く違う場所)が解散した後なので、ちょっと嬉しい出会いでした。

シリーズ完。

キボシアシナガバチ:コロニー解散



2008年9月下旬

キボシアシナガバチPolistes nipponensis)巣の定点観察。
3ヶ月間、定点観察を続けてきた巣dで遂にこの日、成虫の姿が一匹も無くなりました。
巣の役割を全うし、次世代が全て巣立ったのです(感無量)。
巣の高さは地上70cm。
巣柄の太さをノギスで計測すると、長径2mm、短径1mm。
野外の定点観察を初めてやってみましたが、大変ながらも学ぶことの多いシーズンでした。
習性を知るとアシナガバチを無闇に恐れることは無いと分かりました。
来季はもう少し観察頻度を上げて、しっかり個体識別も行いたいです。

つづく→シリーズ#56

キボシアシナガバチ新女王の巣立ち



2008年9月中旬

キボシアシナガバチPolistes nipponensis)巣の定点観察。
在巣の蜂の数が激減していました。
初めは♀2匹のみ、後に一匹帰巣して計♀3匹。
♂はゼロ。
巣房を調べると、ほとんどの繭が羽化済みのようです。
繁殖個体(新女王と雄蜂)も殆ど巣立ち、コロニーの末期段階に達しました。

つづく→シリーズ#55

在巣の♂を攻撃するキボシアシナガバチ♀



2008年9月上旬

キボシアシナガバチPolistes nipponensis)巣の定点観察。
在巣の個体間で優劣行動が時々みられますが、最近は♀(新女王?)が♂(顔が白く触角がカールしている)を攻撃する光景が目に付きます。
口減らしのため♂の巣立ちを促しているのだろうか。 


シーン1
巣に一匹だけ残った♂が♀に体を噛まれました。
♂は無抵抗で服従姿勢。


シーン2
成虫間の激しい栄養交換にも見えますが、優位行動かもしれません。 


シーン3
一匹が巣房に頭を入れて幼虫から栄養液をもらうとそれが引き金となって一斉に成虫が集まって来ました。
邪魔な♂を押しのけて口移し(栄養交換)してもらうための優位行動が見られました。 


シーン4
2匹の♀が一匹の♂を苛めています。

つづく→シリーズ#54

羽化後の繭を除くキボシアシナガバチ



2008年9月上旬

キボシアシナガバチPolistes nipponensis)巣の定点観察。
一匹の♀が羽化済みの巣房を掃除していました。
黄色い繭のキャップを大顎で噛み千切る音が聞こえます。
見たことのない行動で最初は状況が分かりませんでした。
飢えた成虫が育房から蛹を引きずり出して食べるのか(共食い)、それとも寄生などの原因で死んだ蛹を取り除くのか、などと思い緊張しました。
しかし、後で良く見たらどうも空(羽化済み)の育房でした。
巣房の再利用に向けた掃除なのだろうか? 
巣材に繭キャップの絹糸を再利用するのだろうか? 
そう言えば成虫の羽化シーンも未見です。
自力で繭のキャップを食い破るのか、ミツバチのように(うろ覚え)先に産まれた成虫が弟・妹の羽化を手伝ってやるのだろうか? 


《追記》 
キボシアシナガバチではワーカーが羽化後の繭を取り除き、空いた巣室に再び産卵する例が知られているらしい。
(『アシナガバチ観察事典』 偕成社 p29)

つづく→シリーズ#53

キボシアシナガバチ:巣からの排水行動



2008年9月上旬

キボシアシナガバチPolistes nipponensis)巣の定点観察。
アシナガバチの巣は紙製なので、いくら表面を撥水加工しているとは言え、雨が降ると危機に陥ります。
成虫が巣に含まれた余分な水分を口で吸い取って吐き出すことが知られています。
ずっと見たかった排水行動をこの日たまたま撮れました。
始めるきっかけがどうも分からないので、水を吸うシーンは撮れてません。
大雨の直後に巣を見に出かける根性がありません…。
この巣は木陰でしかも笹薮に作られているので、多少の雨なら直接巣にかかることはないようです。
巣に直接水を掛けて(人工降雨)実験してみる?
(思いつきだけで未だ実行していません)

つづく→シリーズ#52

キボシアシナガバチ新女王の羽化



2008年9月上旬

キボシアシナガバチPolistes nipponensis)巣の定点観察。
定点観察中の巣dをしばらくぶりに見に行ったら、なんと新女王が一気に羽化していました。
在巣の個体を数えてみると♀25、♂1。
構成員の性比が一気に逆転しました。
羽化後もしばらくは巣で休むらしい。
明らかにワーカーが少ないようですが、これだけ多くの新女王を養えるのだろうか? 
直射日光を嫌い、日陰となる巣の下面に集まっています。
扇風行動も見られました(気温27℃)。
日が陰ると巣の上部に移動して休みました。
これで創設女王は無事に役目を全うし、しっかり次世代を残したことになります。

つづく→シリーズ#51

2011/03/02

キアシナガバチの巣に寄生したマダラトガリホソガ(蛾)老熟幼虫?

寄生蛾(カザリバガ科マダラトガリホソガの一種)の激しい攻撃を受けて廃巣となったキアシナガバチの巣S9(育房数66室)を2010年9月下旬に軒下から採集し、密閉容器に保管してきました。
寄生蛾の幼虫が少なくとも2頭、巣食っていることを採集直後に確認しています。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチの巣に寄生したマダラトガリホソガの仲間の幼虫が糸を張り巡らせる」)


そのまま室内で放置していたら、2ヶ月後の11月下旬にマダラトガリホソガの成虫が季節外れに一頭羽化しました。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチ巣に寄生したマダラトガリホソガ(蛾)の仲間の羽化」)




年が明けて2011年2月下旬
新たに寄生蛾の幼虫が一匹、容器の底を蠕動徘徊していることに気づきました。室温16℃
寄主であるキアシナガバチの廃巣から落ちてしまったようです。
糸を吐いて歩くので容器底にも不規則網を張り巡らしています。
体長7.5mmで頭楯は焦げ茶色、腹端は薄い褐色。
クリーム色の胴体に剛毛が生えています。

2011年2月下旬



前回に観察した幼虫はもっとほっそりしていて黒い背面でした(下の写真参照↓)。
今回の個体はそれよりも太く背面の色が違うので、脱皮して齢数が進んだ老熟幼虫なのだろうか。
別種だったらもっと面白いのですけど。

2010年11月下旬


方眼紙上に乗せてやると蠕動で前進します。
ときどき頭部を持ち上げ左右に振って辺りの様子を窺います。
徘徊する寄生蛾幼虫の近くに寄主の巣を置いても、引き寄せられるような走性は特に見られませんでした。

進行方向に寄主の巣を置いてやっても、自力では這い上がれないでいます。
巣の下の物陰に辿り着いて眩しい光から逃れただけで安心しているようです。

撮影後はピンセットでキアシナガバチの巣に戻してやりました。
ところが巣が虫食い状態でボロボロのためか、しばらくするとまた力無く下に落ちてしまいます。
何度戻しても同じで元気がありません。
せめて蛹化する様子を観察したいのですが無理そうです。

もしかしたら自然界でも終齢幼虫(の一部)はアシナガバチの巣から脱出落下して地中で蛹化するのだろうか(妄想)。

マダラトガリホソガは蛹で越冬するはずなので、野外に放置されたままならこの幼虫は冬の厳しい寒さで死んでいたはずです。
産卵時期や発達が遅れた個体と思われます。
幼虫のステージでも越冬できるのだろうか。

キボシアシナガバチ♂への優位行動



2008年8月下旬

キボシアシナガバチPolistes nipponensis)巣dの定点観察記録。
在巣を確認できた成虫は♀♂10匹ずつ※1。

※1:♀は顔(頭楯)がオレンジで触角が真っ直ぐ。一方、♂は顔が白く触角がカールしていて体格も華奢。 


♂超過だった性比が回復しました。
創設女王が実は死んでいるのではないかという密かな懸念は
解消されました※2。

※2:女王不在で未受精のワーカーが産卵し始めると以降は♂ばかりが生まれる。 


特に♂は常に飢えている印象。
♀が帰巣すると狩りが不調でも近くの♂は激しい勢いで餌(肉団子)を求め、巣全体が騒々しくなります。
成虫構成員を養うには栄養液を与えてくれる(栄養交換)幼虫の数も少ない気がします。
育房はほとんど蛹になっています(約40匹)。
時折♀が♂に対して激しい攻撃を加えています(2:1で噛み付くなど)。
これは成熟した♂を巣から放逐して口減らしするためだろうか。
♂は苛められても無抵抗で耐えるのみ。 


動画の55秒前後に突然♂が近くの♀の背中にのしかかったのは餌をねだる行為ではなくて偽交尾だろうと教えて頂きました。

つづく→シリーズ#50

ランダムに記事を読む

  • オオイタドリの花で食餌するコアオハナムグリ18/12/2020 - 0 Comments
  • 完成した垂直円網の甑を処理するアカオニグモ♀(蜘蛛)16/12/2015 - 0 Comments
  • ミズキの花蜜を吸うヒメウラナミジャノメ♂02/08/2019 - 0 Comments
  • ミソハギの花蜜を吸うイチモンジセセリ09/03/2018 - 0 Comments
  • ネムノキの葉が夜に閉じる就眠運動【微速度撮影】その203/11/2016 - 0 Comments