2008年9月下旬
コンクリート壁に営巣していたヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ)の仲間(種名不詳)の定点観察。
育房の閉鎖作業を終え巣で休息中の♀Sc。
一方、2軒隣で巣材集め中の♀Saが例によって時々壁面で迷うらしく、帰巣先を間違えることがあります※1。
※1:人工的な建造物を利用して営巣する場合、蜂は特徴の少ない幾何学的な繰り返しパターンに囲まれた環境での空間記憶は苦手らしい。自分の巣がどこか毎回迷った挙句、同時並行で複数の巣を作るはめになることも。主が不在の泥巣なら注意深く点検すれば違うと気付くらしく、探し直して結局は自分の巣に正しく辿り着きます。
家主が居る巣に迷い込むと当然トラブルになります。
取っ組み合いの喧嘩が始まり、壁の溝に張ってあるクモの網に絡まりながら両者もつれ合うように落下。
激しい喧嘩は数ラウンド繰り返されました。
以下は個人的な解釈です。
リングアウトしてもすかさず壁を登って巣に戻る方が本来の主♀Scではないかと何となく予想しました。(先住効果)
証明するには個体識別のマーキングが必要となります。
今回♀Saが隣人の巣の乗っ取りを企てたとは考え難い気がします。
以前、別な♀cで目撃したように隣家から巣材泥棒を企てたのかもしれません。
単純に「帰る巣を間違えた」という解釈が一番自然な気がします。
お互いに自分の巣だと思い込んでいるので「侵入者が居座っている(不法占拠)!」と本気の喧嘩になるのでしょう。
ヒメベッコウの仲間は種の同定が素人には難しいので、仲の悪い隣人が同種なのかどうかもはっきりしない点が悩ましいところ※2。
※2:ガケヒメベッコウなどでは二世の♀が親の巣に帰ってきて自分の巣を拡張していく例が知られているらしい。(『ハチの生活』岩波科学の本 岩田久二雄 p165)
♀の寿命や産卵数は不明であるが、母娘が隣人として営巣することも可能なのだろうか。
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