巣柄に唾液を塗るキボシアシナガバチ女王・後編
2008年7月上旬
(前編からのつづき)
キボシアシナガバチ(Polistes nipponensis)創設女王は巣柄を取り付けた茎の部分もぐるりと舐めて念入りに補強します。
初めは大顎で茎をかじっているのかと思ったのですが、そうではないようです。
口元にパルプ巣材(ペレット)が見えなかったので、今回は唾液(糊状の口内分泌物)の塗布行動でしょう。
巣の強度と撥水性を高める働きがあり、巣柄付近は黒光りしています。
続けて撮った動画を前後編に分割しました。
アリはアシナガバチの巣から卵や幼虫、蛹を捕食する天敵です。
単独営巣期の巣は創設女王が留守にすることも多いので、アシナガバチも幾つかの対抗手段を進化させてきました。
アリの侵入路となる巣柄を一本だけにしてなるべく細くしている(隘路)のは巣をアリから守り易くし、塗布する蟻除け物質を節約するための適応であると考えられています。
《参考図書》
・『日本の昆虫3:フタモンアシナガバチ』文一総合出版・山根爽一
・『アシナガバチ一億年のドラマ:カリバチの社会はいかに進化したか』北大図書刊行会・山根爽一
つづく→シリーズ#16
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