2012/12/22

野生ニホンカモシカと鼻息で鳴き交わしてみる



2012年9月中旬

渓流沿いの山道で、上流側から野生のニホンカモシカ(Capricornis crispus)がこちらに下りて来ました。
テレコンでは撮り難いほどの至近距離です。

カモシカは不思議そうに私をしばらく見下ろすと、山道の横に逸れて斜面(獣道?)をガサガサと駆け上がって行きました。
途中で立ち止まって振り返り、フシュフシュ♪と鼻息で威嚇してきます。
撮影しながら私も鼻息を真似て歯擦音を発して応酬してみました。
藪の中で姿は見えなくても、しばらくの間は鋭い鼻息が聞こえてきました。

鳴き声ではないので表題の「鳴き交わし」という表現は正しくないですけど、「鼻を鳴らす」という言い方もありますよね。

なんだか野生動物と交流できた気になりました♪ (異種間コミュニケーション)
カモシカ同士の縄張り争いではおそらく同様の鼻息威嚇が有効なのだと思われます。


ノシメマダラメイガ(蛾)の交尾と飛び立ち【ハイスピード動画】



2012年9月中旬

貯穀害虫として悪名高いノシメマダラメイガPlodia interpunctella)が食料貯蔵室に発生しました。
交尾している♀♂カップルもいます。
静止している蛾を撮るだけでは動画ネタとして面白くないので、指でつついて逃げ回ったり飛び去る瞬間をハイスピード動画(220 fps)に撮ってみました。
この蛾は準備運動をしなくても、いきなり飛び立てるようです。
壁から脚で跳んで飛び立つようで、スローモーションでも一瞬しか羽ばたきが撮れません。
マクロレンズで接写する光量不足になるため、補助照明として白色LEDのマグライトを使用しました。

通常のHD動画でも交尾個体を撮りました。
連結したまま歩いて逃げ回り、物陰に隠れました。







ジョロウグモ♀を捕食するヤマトシリアゲ♂秋型



2012年9月中旬

林道の草むらに張られたジョロウグモ(Nephila clavata)の網で主の♀がだらんと力無くぶら下がっていました。
脱皮中なのかと思い近づくと、なんとシリアゲムシに捕食されていました!
ヤマトシリアゲ♂秋型(Panorpa japonica、俗名ベッコウシリアゲ)のようです。

食事中のヤマトシリアゲ♂の口吻を側面から撮ろうとしたものの、どうしても死角になってしまいます。
獲物に実際に口を付けているかどうか不明です。

同じ網に小型のジョロウグモ♂が数匹同居していました。
餌食となった♀は外雌器が未熟な亜成体でしょうか?
クモの外雌器を接写していたら、ヤマトシリアゲ♂が逃げて、すぐ下の網に付いた枯葉に止まりました。
威嚇するように?翅を回しています。
ジョロウグモ♀の腹面に褐色の体液が流れています。
糸疣や外雌器から流血しているのでしょうか?
しばらく待てばシリアゲムシが獲物の元に戻るかと期待したのですが、うっかり網を揺らしてしまい、飛び去ってしまいました。

シリアゲムシはクモの網に引っかかった虫を横取りすることが知られています(wikipediaより)。
それにしても、武器を持たないシリアゲムシが粘着性の網と危険な毒牙を回避しつつどうやって大型のジョロウグモ♀を仕留めたのか非常に興味があります。
初めに思ったように、脱皮中の無防備な状態を狙うしかないように思います。

実はシリアゲムシには秘密の武器があるのかな?(噛むと強力な毒液が注入されるなど)
ちなみにサソリの尻尾のような交尾鉤は狩りの武器ではありません。


あるいは下手人は別にいるのかもしれません。
クモバチが狩り(麻酔手術)に失敗して刺し殺してしまったとか?


【追記】
『日本動物大百科9昆虫II』p170によると、
シリアゲムシ科の成虫は傷ついたり死んだ昆虫をおもに餌とするが、果実を吸汁することもある。時にはクモの巣にかかった獲物をくすねることもある。






2012/12/21

コガタツバメエダシャク(蛾)がオトコエシで訪花吸蜜



2012年9月中旬

山道の脇に生えたオトコエシの群落で白い蛾が訪花していました。
褐色の口吻を伸ばして小さな白い花に差し込み、素早く出し入れしながら吸蜜しています。
それと同時に触角も上下に激しく振っています。
顔面が白いことから、コガタツバメエダシャクOurapteryx obtusicauda)と判明。
花から花へ歩いて移動しながら食事を続けます。

撮影中の後半で背後の杉林からリスの鳴き声♪が響き渡りました。@2:40
警戒声のようですが、振り向きたいのを我慢して今回は蛾の撮影に専念しました。
後日、ほぼ同じ地点でニホンリスと再会しています(動画公開予定)。





カタグロチビドロバチ♀の営巣(その2:貯食および出巣の際の定位飛行)



2012年9月中旬

丸太の既存孔(4×3mm)に営巣するカタグロチビドロバチ♀(Stenodynerus chinensis)の定点観察


この日は獲物をせっせと空中搬入する様子を繰り返し撮影できました。
狩ってくる獲物はクリーム色や褐色の小さな芋虫(蛾の幼虫)ですが、半ば干からびたような状態で気になります。
文献では本種の貯食形式は一括給餌らしい。
蜂は巣穴に頭から入り、中でしばらく滞在するとお尻から出てきます。

引きの絵で分かるように、この細い丸太には節穴2つが並んでいます。
それでも蜂は迷わず帰巣するようです。
なぜか最後に接写したときだけ、出巣の際に定位飛行を軽く披露してくれました。
頭を巣口に向け扇状にホバリング飛行しながら位置を記憶します。

巣口から奥を覗いても育房の様子などは見えません。
貯食した蜂が出巣する度に巣穴を接写してみても変化なし。

営巣地の軒下は西向きのため、午前中は日陰になりますが午後になると直射日光が当たりとても暑くなります。
カタグロチビドロバチ♀は午前中にかなり速いペースで貯食したものの、暑い正午前後になるとぱったり活動がみられなくなりました。
蜂も疲れてどこかで休んでいるのでしょうか。
暑いと獲物(蛾の幼虫)の活動性が鈍くなり、狩蜂も見つけ難くなるのかもしれない、などと想像しつつ蜂の帰りをひたすら待ちます。


つづく→その3



2012/12/20

アカスジキンカメムシ5齢幼虫の排泄と身繕い



2012年9月中旬

キブシの果実で吸汁していたアカスジキンカメムシの5齢幼虫が枝先へと歩き始めました。
立ち止まって向きを変えると、腹端から白濁した液状の便をポタポタと排泄しました。@0:42
葉上に静止すると、念入りに触角を磨いて身繕い。



【追記】
本種はカメムシの仲間では珍しく幼虫で休眠に入って越冬する。(『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p166より)



ヒメスズメバチに襲われたフタモンアシナガバチの巣



2012年9月中旬

物置小屋のトタン壁面の目立たない隅にフタモンアシナガバチPolistes chinensis)の巣がありました。
小屋の裏は蜜源であるヤブガラシの蔓に覆われ、絶好の営巣場所と言えます。
しかしヤブガラシの花は各種のスズメバチも誘引することになり、アシナガバチの巣を専門に襲うヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)に巣が見つかってしまったようです。
既に襲撃の終わった後らしく、巣盤が大きくかじり取られていました。
育房に蜂の子(幼虫や蛹)は一匹も残っておらず、ヒメスズメバチはすぐに飛び去りました。

在巣のフタモンアシナガバチは♀一匹のみで、戦意喪失の様子。
反撃したり逃げたりすることもなく呆然としています。


 


キオビツチバチ♀がオトコエシに訪花吸蜜



2012年9月中旬

道端のオトコエシ群落でアカスジツチバチ♀を撮っていたら、頭楯が黒い別種の蜂も訪花していました。
キオビツチバチ♀(Scolia oculata)のようです。
触角が短いので♀ですね。







2012/12/19

アカスジキンカメムシ5齢幼虫がキブシの実を吸汁



2012年9月中旬

キブシの木でカメムシが実の上を歩いていました。
アカスジキンカメムシPoecilocoris lewisi)の5齢幼虫のようです。
口吻を緑色の果実に突き刺して吸汁しているようです。
接写シーンの後半は薄暗いので、口吻の動きを見るために色調補正してあります。



【追記】
キブシの果実には渋いタンニンが豊富に含まれているそうです。
カメムシはタンニンが平気なのですかね?


全景


アカスジツチバチ♀がオトコエシに訪花吸蜜



2012年9月中旬

道端のオトコエシ群落でアカスジツチバチ♀(Carinoscolia melanosoma fascinata)が訪花していました。
白い花に顔を突っ込んで蜜を吸っているようです。
艶のある漆黒のボディーが白い花粉にまみれています。

『狩蜂生態図鑑』p66によると、本種♀は

クワガタムシの幼虫に産卵するらしく、朽木やその近くの地面を掘っている光景を目にする。


後半に登場する♀は腹端に泥が付着しているため、別個体と思われます。
地中の獲物に産卵してきたばかりなのでしょうか?









カタグロチビドロバチ♀の営巣(その1:狩った芋虫の搬入と産卵)



2012年9月中旬

軒下(西面)の資材置き場に積み上げられた細い丸太の側面に開いた節穴に今年も借坑性のカタグロチビドロバチ♀Stenodynerus chinensis)が営巣していました。
楕円形の巣口をノギスで採寸すると、長径4mm、短径3mmでした。

下草のヤブガラシにいる蜂を接写してみたら、青虫を抱えていることに気づきました。
風で揺れるヤブガラシの葉に止まって休んでいます。
文献によると獲物はハマキガなどの幼虫を狩るらしい。
頭部を前に向けた芋虫の端を大顎で咥え、脚で体を抱え込んでいます。
後脚を擦り合わせて身繕い。

それにしても、風が吹いて接写しにくい日でした。
カタグロチビドロバチ♀が急に下草から資材置き場に飛び上がり、丸太の巣穴に獲物を搬入するシーンは撮り損ねました。
巣口から後ろ向きに出てくるとその場で向きを変え、お尻から中に入り直しました。
今季何日も定点観察したなかでお尻から巣に入ったのはこのとき一回だけなので、産卵行動と思われます。
また、産卵したということは育房に搬入した一匹目の獲物だったのでしょう。

巣口から蜂の触角が動いているのが見えます。
しばらくすると頭から出てきて外出しました。



今年も定点観察に通ってみます。
つづく→その2

ちなみに2011年に同じ軒下(南面)で観察した記録はこちら→「カタグロチビドロバチ♀の営巣開始(その1:巣穴の掃除と身繕い)




【追記】
一般にドロバチ科の産卵は狩りに先立って行われ、卵は巣の天井から意図で吊り下げられている。(『狩蜂生態図鑑』p82より)
今回観察した産卵順序は定説に反する気がします。

『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』p259




2012/12/18

ヤマアカガエルとアリ



2012年9月中旬

舗装された山道にヤマアカガエルRana ornativentris)が迷い出ていました。
喉をひくひく膨らませています。
通りすがりのクロアリが蛙の尻をつつくとピョン!と跳んで逃げる、ということを2回繰り返しました。






クロバナヒキオコシに訪花するキイロスズメバチ♀【ハイスピード動画&HD動画】



2012年9月下旬

道端に生えたクロバナヒキオコシの群落にキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が訪花していました。
紫色の可憐な花を丹念に飛んで回り、蜜を吸っていました。
忙しなく離着陸を繰り返す様子を220 fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
個々の花の蜜量は少ないようで、次から次へと忙しなく飛び回ります。
同一個体の蜂なのか、何度もこの群落に戻って来ます。

別の日に撮ったHD動画↓もご覧下さい。




2012年9月上旬

この日は調子に乗って撮っていると、虫の居所が悪かったのか急にキイロスズメバチが突然こちらに向かって飛んできました。
一瞬だけカメラの黒い鏡筒に止まり、肝を冷やしました。
静かに後退りして事無きを得ました。
やはり黒い色はスズメバチを怒らせる作用があるのかもしれません。
油断は禁物。





【追記】
『昆虫の集まる花ハンドブック』p76によると、クロバナヒキオコシは
マメ科の花にそっくり。雄しべ雌しべは下の花びらの中にある。操作形の花にしては珍しく、小形のスズメバチが好んで訪れる。

この記述は少し問題があり、クロバナヒキオコシはマメ科ではなくシソ科です。 

クロバナヒキオコシの花は蝶形花ではなく唇形花です。


ニホンザル子猿の水遊び



2012年8月下旬

コンクリート三面張りの深い用水路には万一水に落ちたヒトが自力で脱出するための様々な工夫が講じられています。
そうした安全策の一つとして、側面の壁に垂直の梯子が随所に設置してあります。
林縁を流れる用水路の岸を一列縦隊で歩いて来る野生ニホンザルMacaca fuscata)の群れを撮っていたら、その梯子を子猿が独りでするすると最下段まで下りてぶら下がり、手を伸ばして流れる水面に触れました。

泳ぐのかな?と一瞬思いましたが、さすがに水には入りませんでした。
子育て中のお母さんが見たら思わず「危ない!!」と目を覆って悲鳴を上げたくなるような光景ですけど、野生の子猿の身体能力をもってすれば危険でもなんでもないようです。
ワイルドだろ〜?
母猿も特に心配するような素振りは見せませんでした。

サルの群れと遭遇するとあちこちで色んな事件が巻き起こるので、どの個体を撮るか目移りしてしまいます。



2012/12/17

ジョロウグモ♀を巣穴に運搬・貯食するオオシロフクモバチ♀



2012年8月下旬

尾根道横の広場(裸地)にオオシロフクモバチ♀(Episyron arrogans
)が林縁から獲物を曳いて来ました。
狩った獲物はジョロウグモ♀のようです。
麻酔したクモの歩脚の根元を咥え、後ろ向きに歩いて運ぶと、予め掘りかけた巣坑へ辿り着きました。
巣口はイネ科の草の横に開口していました。
蜂はこの草を目印として記憶しているような印象。

蜂は巣坑に前から入り、中から後方に土を掻き出します。
巣口の後ろに捨てた土砂がスロープをなしています。
ようやく独房が完成すると、クモを搬入します。
獲物は後部から巣内に引き込みました。
ジョロウグモの長い歩脚が完全に巣坑内に消えるまでしばらくかかりました。
つづく産卵シーンはカメラの操作ミスで撮り損ねてしまいました。
貯食および産卵を済ませると巣坑の閉鎖を始めます。
巣穴に後ろ向きで入った蜂が、巣口手前のスロープから土砂を中に脚で掻き入れます。
整地のため腹端を高速で激しく上下させて埋め固めます。
高速埋め固めをハイスピード動画に撮ろうとしたのですが、上手くいきませんでした。
スロープの土砂を使い切り、別の穴を掘り始めました。
その土砂を後方に掻き出し、巣坑の埋め戻しに使います。
徘徊しながら営巣地周辺を念入りに整地します。
ぱっと見ではどこに巣穴があったのか分からなくなりました。
偽装工作を終えた蜂は不意に飛び立つと、もう戻って来ませんでした。
営巣完了です。
この営巣地で特筆すべきは、蜂を悩ませるアリや寄生ハエなどの天敵・寄生者の姿を一切見なかったことです。
そのおかげで蜂も落ち着いてスムーズに貯食することができました。
営巣地の選定がいかに重要か分かります。



巣坑の発掘と貯食物の採集

今回は直ちに巣穴を発掘することにしました。
まず巣口の横に溝を掘ってから、巣坑に向かって少しずつ掘り進めます。
小石だらけの固い地質で苦労しました。
独房の深さは地下約2cmと意外に浅い所にありました。

地中の石に阻まれて、蜂もそれ以上深く掘れなかったのでしょうか。
冬季は大雪に埋もれるはずなのに、凍土になってもオオシロフクモバチの前蛹は凍死せずに越冬できるのか心配になりました。

(てっきり越冬世代のための巣かと思ったのですが、もしかすると今年中にぎりぎり羽化する世代の巣かもしれません。)
貯食物は先ほど独房に搬入したばかりのジョロウグモ♀一匹だけでした。

クモは完全に麻痺しており、腹部下面に白く細長い蜂の卵(長径2.5mm)が付着していました。
オオシロフクモバチ♀は造網性のクモであれば獲物を選り好みしないらしい。
前回の観察ではサツマノミダマシ♀を獲物としていました。

採集したジョロウグモ♀をミニタッパ容器に入れて持ち帰りました。
帰宅後、容器から取り出す際にうっかり蜂の卵がこぼれ落ちてしまいました。
卵に粘着性が無く、ころころと転がります。
水で湿らせた絵筆でなんとか卵を拾い上げたものの、今度はクモの体表にうまく付着してくれません。
初めての作業に手こずり、ようやくクモの腹部腹面に戻したときには大切な卵が潰れてしまいました…無念。

冷静に考えれば、卵から幼虫が孵化するのを待ってから獲物の体に移してあげればよかったですね。
蜂の子を飼育して発育過程を観察したかったのに残念でした。
今回の教訓としては、小さな飼育容器をフィールドに持ち歩くべきですね。
採集現場で貯食物を直接、飼育容器に入れれば無駄な手間が省けたはずです。
それでもオオシロフクモバチ♀の営巣行動は狩りを除いて全て見届けることができたのは2012年の大きな収穫です。


蜂が巣坑内に獲物を引き込む

営巣完了後に巣穴を発掘

獲物のクモは独房内で仰向けに置かれていた。


発掘・採集直後


オオカマキリ♀の脱糞



2012年9月中旬

庭の下草を歩いていた褐色型のオオカマキリ♀(Tenodera aridifolia)を拾い上げ、ひとしきり遊んでもらってから資材置き場に置いてやりました。
しばらくすると、肛門からぽとりと脱糞しました。
体を揺らしながら丸太の上をゆっくり前進して退場。

オオカマキリの排便を自然条件下で初めて観察できました。
飼育下での映像はこちら


2012/12/16

オオカマキリを狩るチャイロスズメバチ♀



2012年8月下旬

林縁の草むらでチャイロスズメバチVespa dybowskii)のワーカー♀が狩りをしていました。
下草に隠れて様子がよく分からずもどかしいのですが、獲物はなんとオオカマキリのようです。
緑色型オオカマキリの死骸(後翅や脚の断片など)が林床に散乱しています。
チャイロスズメバチが獲物の腹部を噛み切って葉に止まり、肉団子を作り始めました。

この腹部は細いので、オオカマキリ♂かもしれません。
接写しようとレンズを近づけると、蜂が作業を切り上げて巣へ飛び去ってしまいました。
肉団子は未だ完全なミンチ状にはならず、獲物の細長い腹部の原型が残っていました。

しかも獲物の半分をうっかり落としています。

しばらくすると同一個体と思われる蜂が戻って来ました。
下草の同じ辺りを低空飛行で探索しています。
結局、先程と同じ場所に降り立ちました。
大顎で腐葉土を掘っています。
よく見ると、褐色の小さなアリ(種名不詳)が右往左往しています。
今度はなんと、蜂が地中から青虫を掘り出しました。
獲物は緑色型ヨトウムシの仲間でしょうか。

それとも先程の落し物(緑色型オオカマキリの腹部の残り半分)でしょうか。
アリに邪魔されない場所で肉団子を作るため、獲物を咥えてすぐに飛び立ちました。
近くの笹の葉などあちこちに移動するも、結局肉団子を作らずそのまま巣へ持ち帰りました。

しばらく待つと、同じ場所にまた蜂が舞い戻ってきました。
味を占めたというか、よほど成功体験が忘れられないのでしょう。
再び腐葉土を掘ったりしています。
探索の合間に身繕い。
草葉の陰で何かごそごそしているが、死角でほとんど様子が見えません。
その間にアリがオオカマキリの死骸の断片を運んでいます。

本当に同一個体が狩場に繰り返し飛来するのか確かめるには、一時捕獲して麻酔下で個体識別のマーキングを施す必要があります。
この日は捕虫網を持参しておらず、諦めました。

巣と狩場を何度も往復していたのに、残念ながら巣の位置も突き止められませんでした。


3年前にも、チャイロスズメバチ♀が地中から蛾の蛹を掘り出した後で同じ狩場に執着しているのを観察しています。
関連記事→「チャイロスズメバチの狩りと肉団子作り




餌食となったオオカマキリ

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アブを捕食吸汁するワカバグモ(蜘蛛)



2012年8月下旬

林道脇の木の葉で食事中のワカバグモOxytate striatipes)を見つけました。
捕らえたアブ(種名不詳)の胸背を噛んで吸汁しています。
映像として動きに乏しいので、指で獲物に触れてみました。
(採寸代わりにもなります。)
クモの歩脚に触れると、獲物を咥えたまま横歩きで少し逃げました。
前方にも少し跳ねましたが、獲物は口から離しません。

クモは未採集、未採寸。





スズバチ♀の採土とホバリング飛行【ハイスピード動画】



2012年9月中旬

砂利道で巣材の泥玉を作るスズバチ♀(Oreumenes decoratus)を220 fpsのハイスピード動画で接写してみました。
何度か場所を変えながら忙しなく採土しています。

(採土を始めてからなら、レンズを近づけてもあまり逃げません。)
見事なホバリング飛行をスローモーションでご覧下さい。
水を吐き戻しながら大顎で地面を削り取り、大顎と前脚の間に泥玉を抱え込んでいます。


巣の外側に塗り付ける泥や礫(れき)を集めるスズバチは多くの育房を一ヶ所に集めた巣を作る。(『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p36より)

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