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2024/03/19

山道を横切り道端の草に登るタケカレハ(蛾)の幼虫

 

2023年7月上旬・午後15:35頃・くもり 

里山の林道でタケカレハEuthrix albomaculata directa)の幼虫を見つけました。 
砂利道を横断すると、道端に生えたイネ科の草(種名不詳)に辿り着くや否や、葉先から伝ってよじ登り始めました。 
イネ科の草がタケカレハ幼虫の食草ですから、食草に向かって移動していたのは、ごく自然な行動です。 

私が草むらをかき分けて接写しようとすると、タケカレハ幼虫は警戒して動きを止めました。(擬死?) 
大きさの比較対象として、私の左手の指を横に並べてみました。 
このときうっかり指が幼虫の毛先にちょっと触れてしまいましたが、その後タケカレハの毒毛にかぶれた記憶はありません。
(タケカレハの)幼虫は長い毒針毛の束を頭部付近と尾部付近に1束ずつ持っている。カレハガ、マツカレハなどの幼虫とは違い、刺激を受けても、この束は膨らまない。 (wikipediaより引用)
黄色に黒い斑点が並ぶ配色は目立ちますから、おそらく天敵(捕食者)に対して毒毛の存在を誇示する警告色なのでしょう。 
素手で直接触れませんから、近くの葉をちぎりとって、その葉先で毛虫をツンツン突いてみました。 
すると慌てて活動を再開しました。(逃避行動) 
頭部をときどき左右に振って探索しながら、全身の蠕動運動で草の葉身を登って行きます。 
足場の葉が細いため、綱渡り中にときどき体重のバランスを崩して左右に転がり落ちそうになりますが、腹脚および胸脚で葉をしっかり掴んでいるため落ちません。 

「冒頭でタケカレハ幼虫の近くにヤドリバエ(寄生ハエ)が来てたかも?」と野帳に記してあるのですが、映像を見直してもハエは写っていません。 
クロアリをハエと誤認したのかな?

関連記事(11年前の撮影)▶ タケカレハ幼虫に寄生したヤドリバエ科の一種 


【アフィリエイト】

2024/02/25

水田で泳ぐオタマジャクシの混群(トノサマガエルとニホンアマガエルの幼生)

 

2023年6月中旬・午前9:30頃・晴れ 

平地に広がる水田の隅にオタマジャクシが群がっていました。 
水中で静止している個体と泳ぎ回っている個体がいます。 
何かに驚いて急に素早く泳ぎ去ると、水底の泥が舞い上がります。 
どのオタマジャクシにも未だ脚は生えかけていません。 (変態が始まっていない。)
水深が浅いので、水面に浮かんで呼吸する必要がなく、腹面を見せてくれません。 (渦巻状の腸管を確認できず。) 

田んぼの水中にところどころ緑の藻が繁茂しています。 
見下ろすアングルではオタマジャクシの口の動きが見えず、採食してるかどうか不明です。 

ヒキガエルの真っ黒な幼生とは明らかに異なります。 
トノサマガエルPelophylax nigromaculatus)の幼生ではないかと思います。 
よく見ると、個体によってサイズがまちまちです。 
成長段階の違いかと初めは思ったのですけど、よく見ると小さい個体は全体的に黒っぽくて両目が離れているので、ニホンアマガエルHyla japonica)の幼生が混じっているようです。 

【参考サイト】


オタマジャクシの飼育観察もいつかやってみたいと思いつつ、忙しくてなかなか手が回りません。 


【アフィリエイト】 

2023/12/20

笹の葉裏に繭を紡いだヤママユ?(蛾)

2022年8月中旬

里山の林道で左右の下草を刈る作業をしていました。 
笹薮を伐採した直後に歩くと、笹の葉裏に作られた黄緑色(ペパーミントグリーン)の大きな繭を見つけました。 
笹ごと拾って採集し持ち帰りました。 
笹の種類は日本海側の多雪地帯に多いチマキザサではないか?と思うものの、真面目に検討していません。 

イネ科植物の笹を食草とする幼虫と言えば、以前この林道で見かけたヨシカレハ毛虫が思い浮かびます。
しかしヨシカレハやタケカレハの繭と比べると明らかに色も形も違います。 


この繭と一番似ているのは、ヤママユAntheraea yamamai)という蛾の幼虫が紡いだ繭です。 
しかし、ヤママユの幼虫はイネ科の笹を食べるはずがありません。 
林道の周囲は雑木林の灌木です。
ブナ科の葉を食べて育ったヤママユの終齢幼虫が下草に一旦降りてから、笹の茎を登り直して葉裏に営繭したと考えれば、一応は辻褄が合います。

『繭ハンドブック』を参照すればすぐに種類が分かるだろうと楽観していたのに、意外にも似た見かけの繭は掲載されていませんでした。 
こうなったら室内で成虫を羽化させて自分で解明するしかありません。 
羽化が始まったらすぐに撮影できるように、笹ごと繭を卓上に放置していたのですが、待てど暮せど蛾の成虫が羽化してくれません。 
遂に1年以上経ちました。
繭内で完全変態に失敗したのか、体内寄生されていたようです。
しかしヤママユ?幼虫を寄主として育った寄生バチや寄生ハエが繭を食い破って脱出した形跡はありません。 

飼育失敗の原因として思い当たることと言えば、卓上の照明を夜遅くまで煌々と点灯していたことです。 
本来羽化するはずの秋になっても日照時間が短くならなかった(長日条件のまま)結果、夏の休眠が解除されないまま蛹が死んでしまったのかもしれません。
また、2022年は秋になっても室内の気温(室温)があまり下がりませんでした。
しかし気温ならまだしも、繭の中の蛹が日照時間を感知できるのかどうか疑問です。

2023/12/05

山中の泉で育つトウホクサンショウウオの卵嚢を手に取ってみる

 



2023年4月下旬・午後13:00頃・晴れ 

定点観察のため山中の水場に来ると、新たにアズマヒキガエルの卵塊が大量に産み付けられていました。 

関連記事(同所同日の撮影)▶ 山中の泉に産み付けられたアズマヒキガエルの卵塊 


動画を撮りながら右手を水の中に差し入れて、浅い泉の底に沈んでいるトウホクサンショウウオHynobius lichenatus) の卵塊を一つすくってみました。 
卵嚢が不透明で表面には皺があり、中の胚がよく見えません。 
前回よりも胚発生が進行しているようですが、未だ動いてはいません。 

アカマツの落枝を池から取り除いた後に撮影しました。

秋田喜憲『石川県能登宝達山のサンショウウオ物語-サンショウウオに魅せられて40年』を読むと、2枚の透明ガラスで傷つけないよう卵嚢を圧して観察すると見やすいらしいです。(p24より)
筆者は顕微鏡を見ながら細密画で胚を写生し、発生段階表を自力で作成しておられます。
筆者の偉業はそれだけではありません。
生き物のフィールド調査に心血を注ぐとはどういうことか、教えてくれる凄い名著です。
ただし本書にトウホクサンショウウオは登場しません。



2023/11/22

山中の泉に産み付けられたアズマヒキガエルの卵塊

 



2023年4月下旬・午後13:30頃・晴れ 

山中の湧き水が溜まった水場に11日ぶりの定点観察に来ました。 
先に産み付けられていたトウホクサンショウウオ卵塊の変化については、別の記事にします。 

前回は無かったのに、新たにアズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の卵塊が浅い池の水中にニョロニョロと大量に産み付けられていました。 
細長い透明なゼラチン質で心太ところてんのようです。 
その中にタピオカのような黒い卵が点々と並んでいます。 

ポプラ社『いろいろたまご図鑑』によると、
ヒキガエルのたまごのかたまりは、まるで寒天のひものようだ。長さは8mにもなることがある。この中に、小さなたまごが数千個もはいっている。 
 たまごは黒く、太陽の光を受けて温まりやすくなっている。早春に産卵するカエルのたまごに黒いものが多いのは、太陽の熱を利用するためかもしれない。(p182より引用)

動画を撮りながら右手を池の水中に差し入れて、ヒキガエルの卵塊を素手ですくい上げて見ました。 
細長い卵塊はヌルヌルで掴みにくく、持ち上げると途中で(切れて?)落ちてしまいます。 
黒い卵は球形で、胚発生は未だ進んでいないようです。 
最近産み付けられたばかりなのでしょう。 
あるいは湧き水の水温が低いので、胚発生が緩慢なのかもしれません。 
水温を測るべきなのに、温度計を持ってくるのを忘れてしまいました…。 

夏になるとこの泉にはアズマヒキガエルの黒い幼生(オタマジャクシ)が大量に居ることが分かっています。
残るミッシングリンクは繁殖行動です。

今回は池に親カエル(成体)の姿を1匹も見つけられませんでした。 
私が繁殖池に来たので水底に堆積した落ち葉の下などに逃げ込んでしまったのか、それとも今季の繁殖活動(カエル合戦)は既に終わって解散した後なのかもしれません。

残念ながら今季はアズマヒキガエルの繁殖行動(カエル合戦)を見逃してしまいました。 
どうやら今年はヒキガエルの繁殖期が例年よりも早く始まったようです。 
頻繁に定点観察したくても、ここまで登ってくるのが体力的にきついです。
無人カメラを設置してヒキガエルの繁殖行動(産卵)を動画に記録したくなりますけど、変温動物の両生類がいくら激しく動き回ってもトレイルカメラの温度センサーは反応してくれないので役に立ちません。
次善の策として、来年はインターバル撮影(タイムラプス)で記録してみようかな? 
財力があれば、携帯電話と連動して遠隔操作できるライブカメラを設置してみたいところです。


つづく→
 

2023/11/17

山中の泉に沈んだアカマツの落枝に産み付けられたトウホクサンショウウオの卵嚢

 

2023年4月中旬・午後13:30頃・晴れ 

里山の根雪がすっかり溶けたのを見計らって、山中から地下水が湧き出る水場へ久しぶりの定点観察に行きました。 
岸辺のあちこちにゼラチン質の巨大な卵嚢が幾つも産み付けられていました。 
この泉にはトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)生息していることが分かっているので、おそらくトウホクサンショウウオ♀が最近産み付けたばかりの卵嚢でしょう。 



岸辺の浅い水中に産み付けられた大きな卵嚢を右手で掬い上げてみると、ブヨブヨの触感で捉えどころがありません。 
くるんとカールした勾玉のような形状でした。 
岸辺の卵嚢は何にも固定されておらず、水底にゴロンと転がっているだけです。 
胚発生が少し進んでいたものの、まだ自発的な動きはありませんでした。 

サンショウウオには溜まり水など流れのない水(止水)に産卵するものと、産地の谷川など流れのある水(流水)に産卵するものがいる。(秋田喜憲『石川県能登宝達山のサンショウウオ物語:サンショウウオに魅せられて40年』p12より引用)

撮影現場は水の流入および流出があるものの、どちらに分類されるかと言えば止水域です。 

wikipediaによれば、トウホクサンショウウオは
雪解けを迎える3月から6月が繁殖期で、止水域に20-100個でひとかたまりの卵を産む[4]。

実は、池畔の崖に立っていたアカマツが冬の間に積雪の重みに耐え切れず真っ二つに折れてしまい、池の中にアカマツ倒木の枝が突き刺さっていました。 
(あるいはひょっとすると、落雷を受けたのかもしれません。)
水温が低いために、松葉が枯れずに緑色のままです。 
水中のアカマツ落枝にもトウホクサンショウウオの卵嚢が多数産み付けられていました。 
落枝ごと水中から外に引き上げてみると、卵嚢は自重で細長く垂れ下がり、印象がまるで変わりました。
卵嚢がちぎれることはありませんでした。 
アカマツの枝先や針葉に卵嚢が固定されているようです。 

トウホクサンショウウオの産卵シーンを観察できず、残念でした。 
来年以降の宿題として持ち越します。
もっと残雪のある早春に来る必要がありそうです。
この日はトウホクサンショウウオの成体を1匹も見かけませんでした。 
既に繁殖を終えて陸地に帰ったのか、それとも私を警戒して水中に逃げ込んだのか、分かりません。

水場でヤマアカガエルの卵塊が見つかるかと期待して山を登って来たのに、意外にも全くありませんでした。 
この泉でヤマアカガエルは繁殖しないのでしょうか? 
それとも、今春は大量のアカマツ落枝で池の水面がほとんど埋め尽くされたせいで産卵できなかったのかもしれません。

それから、アズマヒキガエルの卵塊も見つかりませんでした。 
ヒキガエルの繁殖期(カエル合戦)にはまだ時期が早そうです。 

水場に無人カメラを設置してサンショウウオやカエルの産卵シーンをなんとか撮影したいところです。
しかし両生類は変温動物のため、いくら激しく動き回ってもトレイルカメラのセンサーが反応してくれないのが問題です。 

ひょっとしたら水中の落枝をそのままにした方が、トウホクサンショウウオは捕食を免れてよく育つのかもしれません。 
しかし放置すると野鳥や野生動物が水場として利用しにくそうなので、撮影後はアカマツの倒木や落枝を撤去しました。 

ところで、動画撮影中に周囲の雑木林からツツピーツツピー♪というシジュウカラ♂(Parus minor minor)の囀りさえずりが繰り返し聞こえます。 

本当はトウホクサンショウウオの卵嚢を採取して持ち帰り、飼育してみたいところです。
あれこれ手を広げ過ぎてしまい、忙しくてとても余力がありません。 
できる限り定点観察に通うことにします。
調べてみると山形県のトウホクサンショウウオは 準絶滅危惧種(NT)に指定されているので、採集は控えるべきかもしれません。


同じ山系で雪解け水が溜まった別の池でもトウホクサンショウウオ♀が産んだと思われる卵嚢を先日見つけています。




そちらの池は標高が低くて日当たりも良いので、水温が高そうです
産卵時期も少し早く、胚発生も早く進行するでしょう。

それに対して、雑木林に囲まれた山中の水場は標高が高くて日当たりが良くありません。
しかも地下水の湧き水は夏でも冷たい(水温が低い)ため、トウホクサンショウウオの胚発生はゆっくり進行すると思われます。




【追記】
ネットで調べ物をしていたら、興味を引く文献を見つけました。
藤原愛弓, and フジワラアユミ. "宮城学院女子大学構内における準絶滅危惧種トウホクサンショウウオの産卵地の発見と個体数の推定." 宮城學院女子大學研究論文集 130 (2020): 47-57.
ありがたいことに、全文PDFがダウンロード可能です。
ざっと斜め読みしてみると、私の観察とそっくりの産卵環境が報告されていて驚きました。
MG 産卵地の周囲や水底には、周辺に生育する落葉・常緑広葉樹の落ち葉が厚く堆積しており(写真 4)、主に樹幹部から落下してきたと思われる枯れ枝や数本の倒木が、MG 産卵地の中の数か所に半分没した状態で確認できた。
 卵嚢が多く産み付けられていた場所は、倒木の下(写真 5)や木の枝(写真 6)であった。
広葉樹のみならず、アカマツの枝や葉にも産み付けられていた(写真 7)。同所的に最も多くの卵嚢が産み付けられていたのは倒木の下であり、3 月 19 日には水中に半分没した倒木の側面から下面にかけて、計 24 個の卵嚢が確認された。一方で、落ち葉が堆積した場所に、そのまま産み付けられている卵嚢も確認された。


【追記2】

平凡社『日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類』を紐解いてトウホクサンショウウオの産卵生態について調べると、

透明でバナナ状の卵のうの表面に多数のしわがある点で、トウキョウサンショウウオやクロサンショウウオと区別できる。

 3〜6月の 雪どけのころに、繁殖個体が止水に集まり産卵する。止水といっても、(中略)山間の細流のよどみなどのようなわずかに流れのあるところが好まれる。♀は水中の石の下の枯れ枝などに1対の透明な卵のうを産みつける。1匹の♀が産む卵の大きさや卵数は地域により大きく異なるが、直径2.4〜3.2mmほどの卵を20〜100個産卵する。(p13より引用)

卵嚢表面の皺については、私が撮った写真でも確認できます。 

2023/09/27

雪解け水の池でヤマアカガエルの卵塊の傍を泳ぐミズカマキリ♀

 

2023年3月下旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の雪解け水が貯まった池でヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊を調べていたら、池の水中を泳ぐミズカマキリRanatra chinensis)を見つけました。 
越冬明けの個体が飛来したのかな? 
『フィールド版ため池と水田の生き物図鑑:動物編』でミズカマキリについて調べると、
越冬は水中で、ミズカマキリは集団で越冬すると言われているが実際に観察されることはまれである。(p88より引用)
水生昆虫に疎い私は、生きたミズカマキリをフィールドで見つけたのはこれが生まれて初めてで、歓喜しました。 
池畔は残雪で囲まれ、水面には太陽が反射して眩しいです。 
雪解け水の貯まった池の水温は低いはずです。


この池でヤマアカガエル♀♂の繁殖行動をタイムラプス撮影するプロジェクトは、いまいち納得の行く結果を得られませんでした。
がっかりしたものの、この日はミズカマキリと出会えた喜びで帳消しになりました。

初めミズカマキリは私を警戒して身を隠そうとしているのか、ヤマアカガエルの卵塊の下に潜り込もうとして、もがくように泳いでいました。 
手足にオール状の構造がないため、泳ぎはあまり得意ではなく、水中で手足をゆっくり動かすだけです。 
中脚と後脚は長毛を有し、中脚と後脚で器用に水を掻いて潜水し、水中を遊泳する。(同書p88より引用)
潜水中は腹端から伸びた呼吸管の先端を水面に出して、ときどき息継ぎしています。 
これぞまさに忍法「水遁の術」。 
呼吸管を根元から曲げることができます。 

ゼラチン質の卵塊の下からなかなか浮上できず溺れそうになっているのか?と心配になったものの、ようやくミズカマキリはヤマアカガエル卵塊の上に脱け出しました。 
水面で卵塊に乗って静止し、獲物を待ち伏せするのかな?(日光浴?) 
岸辺は枯れた草の茎が水中に沈んでいるため、細長い体型で黄土色(枯草色)のミズカマキリがじっと静止すると見事なカモフラージュになっています。 

ミズカマキリが再び動き回っても、近くで背泳するマツモムシは無反応でした。 
互いに狩り(捕食)の対象ではないようです。
ミズカマキリは前脚の鎌でマツモムシを狩ることはなく、蹴散らすようにして水中を進みます。 
水中ではミズカマキリの右前脚の鎌が途中から欠損しているように見えたのですけど、ただ折り畳んでいるだけでした。 

少し離れたところにヤマアカガエルの♂成体がいました。 
岸の方を頭を向けて水面に浮かび、産卵に来る♀を待ち構えています。 
ヤマアカガエルがミズカマキリに跳びついて捕食するかと期待したのですが、繁殖期のヤマアカガエル♂は「食い気より色気」なのでしょう。 

日当たりの良い岸辺にヤマアカガエル♀が最近産み付けた個々の卵内では黒い胚が発生しつつあります。 
ミズカマキリが岸辺のヤマアカガエル卵塊に執着しているように見えたのはたまたまでしょうか?
個々の卵内で育つ黒い胚または孵化した幼生(オタマジャクシ)を狩って体液を吸汁するつもりなのかもしれません。
ところが、しばらく粘って観察しても、捕食の確証を得られませんでした。 
タピオカドリンクのような卵塊を散々吸汁した後で満腹なのかな? 
動きのない胚は獲物と認識できないのでしょうか。 
実はこの池の岸辺に沿ってヤマアカガエルの卵塊がいくつも産み付けられていて、既に幼生が孵化した卵塊もありました。 
ミズカマキリがオタマジャクシを捕食したいのなら、そちらに向かうはずです。 

眼は上を向いており、アメンボ類のような水面上の小動物を待ち伏せて捕食する。(同書p88より引用)




1枚目は水中の潜水シーン
2〜4枚目は水面に浮かぶミズカマキリ
潜水中に呼吸管で息継ぎ

2023/01/26

脱皮殻を食べるフクラスズメ(蛾)若齢幼虫

 

2022年9月上旬・午後21:25頃・室温28.3℃・湿度67% 

飼育していたアカタテハ幼虫のために採集してきた食草のクサコアカソフクラスズメArcte coerula)の幼虫が紛れ込んでいました。 
葉裏の主脈にしがみついた姿勢でいつの間にか脱皮していました。 
脱皮の過程を見逃したのは残念です。
脱皮したばかりのフクラスズメ幼虫が方向転換し、自身の抜け殻を食べていました。 
マクロレンズで口元を接写してみましょう。 
脱皮直後のフクラスズメ若齢幼虫の頭楯は、濁った赤茶色(オレンジ色?)でした。 
脱皮殻を完食したら、クサコアカソの葉裏で移動を始めました。 

過去の飼育経験では、脱皮後の終齢幼虫は抜け殻(脱皮殻)を全く食べませんでした。
関連記事(2年前の撮影)▶ 脱皮後の休息中に黒化が進むフクラスズメ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】

どうやら、抜け殻を食べるのは若齢幼虫だけのようです。 
失われたタンパク質を速やかに再摂取するための行動ですから、脱皮殻を食べるかどうかは、その個体の栄養状態によるのかもしれません。 (個体差?)
あるいは、齢が進むとクチクラが固くなり、抜け殻を消化できなくなるのかな? 

野外でフクラスズメの脱皮殻が食草上に見つかりますが、何齢の幼虫が残した抜け殻か調べたら面白いかもしれません。 
(齢数判定には、地面に落ちた頭楯の抜け殻を探し出して採寸する必要があります。)
機会があれば、卵から飼育して脱皮を繰り返す度に見届けたいものです。
 

2023/01/21

アカタテハの蛹化【10倍速映像】

 

アカタテハの飼育記録:2022年#9

前回の記事:▶ アカタテハ前蛹の蠕動【100倍速映像】蛹化前の眠状態


2022年8月下旬・午前7:10頃・室温25℃ 

アカタテハVanessa indica)が前蛹になってから約12時間後、ようやく脱皮が始まりました。 
偶然かもしれませんが、部屋のカーテンを開けて朝日が射したことが蛹化の引き金になったのかな? 
撮影用のUSBリングライトを夜通しで前蛹に煌々と照らしていたので、光量の変化はあまり関係ない気がします。 

前蛹の蠕動運動が激しくなると、胸背が割れて抜け殻が腹端の方に送られていきます。 
蛹化殻を振り落とすために激しく暴れました。 
落ちた抜け殻はすぐ下のクサコアカソの茎に引っかかりました。 

これでアカタテハは垂蛹となりました。
しばらくは自発的に蠕動し、次第に変色します。

つづく→#10:? 
これ以降は以前に撮影済みなので、観察がおざなりになってしまいました。 



2022年9月上旬 
蛹化してからわずか7日目にアカタテハ成虫が室内で無事に羽化しました。 
過去の経験から、てっきり10日かかると思い込んでいたので、油断していました。 
残暑で室温も高く、完全変態に必要な積算温度が早く達成できたのでしょう。 
垂蛹の色の変化で羽化の前兆(翅の色が透けて見えるようになる)に気づかなかったのは不覚です。

2023/01/19

アカタテハ前蛹の蠕動【100倍速映像】蛹化前の眠状態

 


アカタテハの飼育記録:2022年#8 




2022年8月下旬

クサコアカソの葉裏に腹端で懸垂して前蛹となったアカタテハVanessa indica)は、みん状態でも実は自発的に激しく蠕動しています。 
蛹化の瞬間を見落とさないように、夜通しで微速度撮影を続けました。 
100倍速の早回し映像をご覧ください。 
まるで激しく痙攣しているようです。
ヒトも入眠時にビクッと大きく痙攣することがありますが、そのジャーキング現象を連想しました。(実際には無関係です)
これからいよいよ蛹になります。


 

↑【おまけの映像】 
素材となった元々の10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。 

2023/01/17

アカタテハ終齢幼虫が葉裏にぶら下がって前蛹になるまで【10倍速映像】

 

アカタテハの飼育記録:2022年#7 



2022年8月下旬・午後19:10頃・室温25℃ 

クサコアカソの葉裏で静止していたアカタテハVanessa indica)の終齢幼虫の微速度撮影を続けると、前蛹になる瞬間を記録することが出来ました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 

葉裏にしがみついていた終齢幼虫の歩脚の握力が次第に失われ、遂に最後の胸脚を離すと腹端からぶら下がりました。 
これに備えて、腹端を固定する場所に予め絹糸を敷き詰めて白い座布団のような足場を作っていたのです。
これから脱皮して蛹になるまでの状態を前蛹と呼びます。 

私もようやく飼育幼虫のための食草調達から解放されました。



2023/01/15

アカタテハ終齢幼虫が前蛹になる前の準備作業【30倍速映像】

 

アカタテハの飼育記録:2022年#6 



2022年8月下旬・午後・室温25℃ 

隠れ家は未完成ですが、脱皮前の眠に入ったと判断し、微速度撮影を始めました。 
30倍速の早回し映像をご覧ください。 
アカタテハVanessa indica)の終齢幼虫クサコアカソの葉の間に白い絹糸を粗く張り巡らせただけの粗末な巣の中でじっとしています。 
無防備な丸見え状態で天敵対策は大丈夫なのかと心配になりますが、蛹化を撮影するためには逆に好都合です。 

葉裏で幼虫はときどき方向転換しました。 
下から照らした撮影用の照明(USB-LEDライト)が眩しくて嫌がっているのかと思いましたが、とりあえず静観します。 
巣作りはこれ以上進展しないと判断した私は、撮影の邪魔になる周囲の葉や茎をそっと切り落としました。 
かけられていた糸を数本切っても、アカタテハ幼虫は無反応でした。 

長い休息の後に、アカタテハ終齢幼虫はクサコアカソ葉裏の主脈の上に白い絹糸を集中的に紡ぎ始めました。 
これから下垂するための足場(絹の座布団)を作っているようです。 
最後の脱糞を済ませると(@6:55〜)、絹の座布団に腹端(尾脚?)をしっかり固定しました。 
斜めになった葉の裏側で頭を下向きにして静止しました。 
前蛹になるための準備がようやく整いました。 
早回し動画で見ると、眠状態の幼虫もときどき蠕動、微動していることがよく分かります。


 
↑【おまけの映像】 
同じ素材で元々の10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。 
外は雨が降っています。 
撮影用の強い照明で乾燥したのか、ちょっとした振動でクサコアカソの雄花から花粉が室内の微風に舞います。(映像なし) 
クサコアカソが風媒花たる所以です。

2022/12/25

山の泉で育つトウホクサンショウウオ幼生をすくって見る

 

2022年8月下旬・午後12:35頃・晴れ 

夏でも冷たい湧き水(地下水)が流れ込む山中の泉で、珍しい水生動物を見つけました。 
これまでアズマヒキガエル幼生(オタマジャクシ)の大群を定点観察していたのですが、変態が完了して池から全て居なくなるまでサンショウウオ幼生の存在に気づきませんでした。 
岸辺の浅いところに居たのを咄嗟に素手で掴み取りました。 
小魚のように逃げるかと思いきや、その動きは鈍かったです。 
透明プラスチックのお魚観察ケース(13.5×3.5×7.0cm)に移してから、じっくり観察してみましょう。 
(映像はここから) 

後で図鑑などで調べると、トウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の幼生でした。
生まれて初めての出会いです。 
山中を流れる沢の源流となる、こんな池に居るとは知りませんでした。
尻尾に黒い斑点模様があります。 
四肢が伸びていて、胸部の横に外鰓が張り出しています。 

山渓ハンディ図鑑9『日本のカエル+サンショウウオ類』でトウホクサンショウウオを調べると、
幼生は、秋までに変態して上陸する。(p167より引用)
wikipedia:トウホクサンショウウオによれば、
幼生ははじめは12-14mm程度の大きさで、動物性プランクトンや川エビ、水棲昆虫などを捕食する[4][5][2][3]。共食いをすることもある[2]。 多くの個体は生まれた年の秋までに40mmほどになって成体へ変態するが、なかには越冬して翌春まで幼体のものもいる[4][5]。

容器の底でじっと静止していて、容器を揺らしても無反応。
私が指を水中に突っ込んでしつこく触れると、ようやく泳いで逃げました。 
尻尾を左右にくねらせて小魚のように泳ぎます。 

容器の側面には定規の目盛が刻んであるので、容器越しに採寸することができます。 
真夏でも湧き水の水温が低いために、プラスチック容器の表面がすぐに曇ってしまいます。 
邪魔な結露を布で何度も拭き取りながら撮影しました。 
この日は温度計を持参せず、池の水温を測れませんでした。 

観察した後はトウホクサンショウウオ幼生を池に戻してやりました。(再放流) 
いつか飼育してみたいものです。 
安易に採集しても、真夏に生かしたまま険しい山道を下山して家まで無事に持ち帰れる気がしません。







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