2024年6月下旬・午後14:10頃・くもり
里山で砂利が敷かれたつづら折れの林道に沿って低く飛び回っていたミヤマカラスアゲハ♂(Papilio maackii)が着地すると、翅を全開にしたまま静止しました。
前翅の翅表に黒いビロード状の性斑(性標)があるので、♂と見分けられます。
伸ばした口吻を激しく動かして、濡れた砂利の表面を舐めています。
かるく羽ばたきながら方向転換した際に、後翅の裏面に不明瞭な白帯がちらっと見えたので、夏型♂のようです。
少し飛んで移動すると、林道のあちこちで小石の味見をしています。
濡れた砂利やスギの落ち葉などを舐めて吸水し、性成熟に必要なミネラル成分を摂取しているのでしょう。
飛び立ってもしばらくすると同じ地点に舞い戻り、吸水を再開します。
よく見ると、ミヤマカラスアゲハ♂は吸水しながら、腹端から透明な液体をポタポタと排泄しています。
水に薄く溶けている微量なミネラル成分を摂取するには、水を大量に飲まないといけないので、余った水分をどんどん排出しているのです。
吸水しているミヤマカラスアゲハ♂の顔を正面からアップで撮ったストロボ写真をよく見ると、口吻の表面に水滴が点々と付いているのが興味深く思いました。
口吻の接合部から水漏れしているのでしょうか?
気化熱で冷やした水を飲んで体を効率よく冷やそうとしているのなら、面白い話です(水冷式の体温調節)。
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糞の色は黒く、未消化の種子がたくさん含まれています。
テンの糞にしては太いですし、なんとなくツキノワグマ(Ursus thibetanus)が残した糞ではないかと思うのですが、あまり大きな糞ではありません。
クロボシヒラタシデムシ(Oiceoptoma nigropunctatum)の成虫1匹と、ニクバエの一種が獣糞に集まっていました。
実はミヤマカラスアゲハ♂も初め、この獣糞に誘引されていた(舐めていた?)ようなのですが、草むらが邪魔で撮影できませんでした。
私が回り込んで撮影アングルを確保しようとしたら、砂利を踏む音に警戒したチョウが警戒して飛び去り、吸水行動に切り替えたようなのです。
今回は悔しい思いをしたのですが、次の年になってようやく、ミヤマカラスアゲハが獣糞で吸汁する証拠動画を撮ることが出来ました。(映像公開予定)
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