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2025/01/07

冬眠の合間に覚醒したニホンアナグマは巣外で歩行も覚束ない【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬 

シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
雪が積もった平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する2つの巣穴を同時に1台の自動撮影カメラで監視しています。 
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、まるで早春のように林床の地面があちこちで露出しています。 


シーン1:1/23・午後18:41・気温-1℃(@0:04〜)日の入り時刻は午後16:54。 
真っ暗な晩に、巣穴Rから外に出てきたばかりと思われるアナグマが広場の地面に居ました。
鼻面を上げて風の匂いを嗅いでから、辺りをゆっくり歩き始めました。 
この個体は左右の目の大きさに差がなく、ここで出産・育児した母親♀(右目<左目)ではなさそうです。 
林床の濡れた(凍った)落ち葉の匂いを嗅ぎながら、ゆっくり進みます。 
冷たい残雪の部分をわざわざ歩くことはありませんでした。 
巣口Lへ近づいたものの、中に入ったかどうか、見届ける前に録画が打ち切られました。 


シーン2:1/23・午後18:46(@1:04〜) 
4分後、巣外をうろつくアナグマが、いつの間にか巣口Rまで戻ってきていました。 
巣口Rを塞ぐように生えた細いマルバゴマキの灌木が邪魔で歩きにくそうです。 
その細い木をまるで綱渡りのように伝って渡ろうとしたら、滑って転んでしまいました。 
立ち上がるのも難儀しています。 
生まれたばかりの幼獣ならともかく、成獣のアナグマがこれほど歩行が覚束ない状態なのは夏には見られませんでした。 
冬眠で体力が消耗しているようです。 
空腹と寒さで凍えているのかな? 
擬人化すると、まるで泥酔状態か足が痺れている状態のように見えます。 

地面の匂いを嗅ぎながら、ゆっくり右へ向かっています。 


シーン3:1/23・午後18:56(@2:04〜) 
8分後、アナグマは巣口Rに戻ってきていました。 
巣口Rから伸びるマルバゴマキの細い落葉灌木の幹の匂いを嗅ぎ、前脚を掛けました。 
まだ寝ぼけているのか、2本の灌木の狭い隙間に、なぜか体をねじ込もうとしています。 
進路を遮る障害物を迂回するのも億劫なのでしょうか? 
灌木の根元の匂いを嗅いでいます。 


シーン4:1/23・午後19:03(@3:04〜) 
6分後に監視カメラが再び起動したときにも、アナグマは巣口Rでぼんやり佇んでいました。 
辺りをキョロキョロ見回しているだけです。 
動きがあまりにも緩慢なので、5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン5:1/23・午後19:05(@3:16〜)
巣口Rでじっとしているアナグマの上半身がヒクヒクと震えているのは、体温を上げるための不随意運動(シバリング)なのでしょうか? 
冬眠から覚醒したアナグマの体温がシバリングで急上昇しているのか、サーモグラフィカメラで撮影できたら面白そうです。 
別の可能性として、咳をしてるのかと思ったのですが、音量を上げても聞き取れませんでした。 
雪がちらつき始めました。 


シーン6:1/23・午後19:10(@3:28〜) 
アナグマがようやく少し移動したと思ったら、すぐに体勢を崩して巣口Rの窪みに滑落しそうになりました。 
なんとか不格好に体の向きを変えました。 


シーン7:1/23・午後19:15(@4:12〜) 
4分後、アナグマはいつの間にか、セットの右端まで移動していました。 
真っ直ぐ巣穴Rに向かい、ようやく巣内に潜り込みました。 
緩慢だった動きが少しスムーズになったようです。 
体温が充分に上がり、運動機能が少し回復したのでしょうか? 
ところが、巣口Rを塞ぐ細い灌木(一種の防犯装置?)が邪魔で、乗り越えて入巣Rするのにもたついています。 
気温の高い夏にはスムーズに入巣Rできていたはずなのに、これほど苦労するとは、何か運動障害や神経障害を疑いそうになります。

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
私の手違いで、動画を公開する順番を逆にしてしまいました。 
この後しばらくしてから(1時間半後)、アナグマは再び巣外に出てきて巣材集めをしたのです。 

私は野生のニホンアナグマの観察を始めて未だ1年目なので、今回見られた行動が普通なのかどうか判断できません。 
異常な暖冬がアナグマの冬眠・覚醒リズムに悪影響を与えている可能性もありそうです。 
 冬のニホンアナグマは、トーパーという低体温(心拍数も下げる)の冬眠状態から定期的に目覚めるのだそうです。 
ときどき巣外に出て新鮮な空気を吸ったり体を動かして血流を回復させたりしないと、組織が壊死したりエコノミークラス症候群のようになったりするのかもしれません。 
まるで足がジンジン痺れたヒトを見ているようだと思ったのは、あながち間違いではなさそうです。 
しかし、これほど動きが緩慢で歩行も覚束ないのでは、巣外で天敵(腹を空かせたキツネやイヌなどの捕食者)に襲われたら、素早く逃げたり自分の身を守るために戦ったりできないのではないか?と心配になります。 


私がバイブルとしている本、金子弥生『里山に暮らすアナグマたち:フィールドワーカーと野生動物』には、「アナグマたちの冬」と題した章があります。 
筆者が関東のアナグマで調べた結果によると、
・(飼育下でも)5ヶ月間微動だにせずに眠り続けたわけではなく、10日から2週間眠り続けてはときどき目を覚ます、という状態だった。 
・母親と当歳の子どもたちは、生まれ育った巣穴ではじめての冬を一緒に過ごして、穴ごもり後の冬を一緒に過ごして、穴ごもり後の春になってから離れていく 
・穴ごもりによる越冬は、アナグマ属のすべて行うわけではない。(中略)今の所、ロシア極東の個体群と日本の個体群が穴ごもりをするとされているが、日本国内どこでも穴ごもりをするのか、世界のほかの地域ではどうなのか、今後研究が必要である。 (p72〜73より引用)
抜粋したポイントの2つ目については、私が観察しているアナグマでは当てはまらない気がしています。 
個体識別がろくにできていないのですが、少なくとも母親の姿を越冬用巣穴で見ていません。 


靴底の泥を舐めに来たウラギンシジミ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年9月下旬・午後14:10頃・晴れ 

里山の雑木林を抜ける山道を私が下っていると、前方の地面(?)から飛び立った蝶が私の足元にまとわりつきました。 
履いていた長靴の底に横から止まったので、驚きました。 
窮屈な体勢で見下ろしながら、動画を撮り始めました。 

蝶の正体は翅裏が銀白色のウラギンシジミ♂(Curetis acuta paracuta)でした。 
靴底に付いていた泥を口吻の先で舐めてミネラル摂取しています。 
ウラギンシジミは人懐っこく(無防備に)近寄ってくる習性があります。
関連記事(3、4年前の撮影)▶  

私がバランスを崩して足を動かしてしまったので、ウラギンシジミ♂は飛んで逃げてしまいました。 
少し飛んだだけで、道端に自生するクリ幼木の葉に止まりました。 
もしかすると、この山道でウラギンシジミ♂は縄張りを張って♀を待ち構えていたのかもしれません。 

翅を広げて日光浴しています。 
翅表が鮮やかなオレンジ色なので、♂と分かりました。 
私はまだウラギンシジミの♀を見たことがありません。 

ウラギンシジミ♂が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:45〜) 
下山を急いでいた私は、蝶が自発的に飛び立つまで待てず、今回は物を投げつけて飛び立たせました。 
ウラギンシジミ♂は、頭上に物体の影が近づいただけで敏感に素早く飛び去っていました。 


余談ですが、生物調査で野外を歩く際には、長靴が結局一番便利なことが分かってきます。 
特に、雨上がりで下草が濡れていたり、地面が泥濘になったり、薮漕ぎを迫られたりしたときに、その威力を発揮します。 
高価で高性能な登山靴(トレッキングシューズ)はもちろん素晴らしいのですが、1年間で靴底が磨り減って履きつぶすことを考えると、気楽に買い換えられる長靴のコストパフォーマンスが際立ってきます。 
どうせ山中で他のヒトと出会うことは滅多にありませんから、足元のお洒落を気にしても仕方がありません。
ゴム長靴は靴底が摩耗するよりも先に、どこかゴムが破けて水漏れし、駄目になることが多いです。

2024/12/21

ヤブツルアズキの葉に乗って日光浴するウラナミシジミ♂

 

2023年9月中旬・午後16:00頃・晴れ 

民家の裏庭に蔓延るヤブツルアズキの群落でウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が蔓の先の小葉に止まっていました。 
翅を半開きにしてまま日光浴しています。 
マメ科植物はウラナミシジミの食草ですから、産卵に来る♀を待ち伏せて交尾しようとしているのかもしれません。(縄張り占有行動?) 
しばらくすると、翅を閉じてしまいました。 
暑くなった(体温が上がり過ぎた)のかな?

2024/10/21

センニチコウの花で吸蜜後にツバメシジミ♀が日光浴

 

2023年10月上旬・午前10:20頃・晴れ 

家庭菜園の花壇エリアに咲いた色とりどりのセンニチコウ(千日紅)の群落の中で、ツバメシジミ♀(Everes argiades hellotia)がマジェンタ(赤紫)色の品種に訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
ヒメシジミ♀かと思いきや、後翅に尾状突起があったのでツバメシジミ♀と判明。 

初めツバメシジミ♀は翅を半開きにして吸蜜していたのですが、動画を撮り始めたら口吻をクルクルと縮めてしまいました。 
センニチコウの花の上を歩き回って向きを変えたのは、暗褐色の翅表に日光がよく当たるようにしたのでしょう。 
日光浴で体温を上げてから、次の花に飛び去りました。
 

2024/09/13

クズの葉に乗って昼寝するクロマルハナバチ♀が飛び去るまで

 



2023年9月下旬・午前11:50頃・晴れ 

ヤマハッカの花畑で採餌していたクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が少し飛んで、山腹に蔓延るクズの群落に移動しました。 
クズの葉の上で翅を休め、触角も畳んでいます。 
脚が少しだけ動きました。 

私がカメラのレンズを近づけて接写しても逃げませんでした。 
どうやら疲れて寝てるようです。 
晴れているものの、ここはちょっとした日陰なので、日光浴の行動ではなさそうです。 
あるいは逆に、暑い日向で採餌活動していた蜂の体温が上がり過ぎて、日陰に移動して体温を下げていたのかもしれません。
虫の暮らしを高性能のサーモグラフィカメラで動画に撮ったら面白そうです。

私が指をそっと近づけて蜂に触ろうとしたら、その気配を感じたのかクロマルハナバチ♀が目覚めました。 
触角を前脚で拭い、少し歩いてからブーン♪と低い羽音を立てて飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 


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2024/07/31

日光浴していたモンスズメバチ♂が準備運動して飛び去るまで【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月下旬・午後13:35頃・晴れ 

低山の尾根道でモンスズメバチVespa crabro)の雄蜂♂を見つけました。 
ミズナラ稚樹の葉に乗って日光浴していました。 
背中に秋の陽射しを浴びながら、せかせかと腹式呼吸しています。 

長い触角の先端がカールしているので雄蜂♂と分かります。 
(触角が13節で腹部の体節が7節あることからも、確実に雄蜂♂と分かります。) 

隣に落ちていたホオノキの枯葉の表面を舐めている(ミネラル摂取?)のかと初めは不思議に思ったのですが、真横から撮ると口吻は動いていませんでした。 
私が少し近づいても、モンスズメバチ♂は方向転換しただけで逃げませんでした。 
顔を正面から見えるようになったのですが、やはりホオノキの落ち葉を舐めてはいませんでした。 
しばらくすると、モンスズメバチ♂はミズナラの葉から隣接するホオノキの落ち葉に伝い歩きで移動しました。 
このとき大顎を少し開閉したものの、口吻の伸縮は見えませんでした。 

飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@1:48〜) 
動画を撮りながら私が左足を伸ばして蹴る素振りをしたら、モンスズメバチ♂は準備運動を始めました。 
翅を立てて飛翔筋を震わせ、しばらく小刻みに羽ばたいてから、ようやく飛び去りました。 
日光浴して体温が充分に上がったはずなのに、飛ぶ前に準備運動が必要とは意外でした。
気温を測るべきでしたね。
体感では全然寒くありませんでした。


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2024/06/20

汗腺がないコウモリは体温冷却のために飛びながら水浴するのか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月上旬 

山中で湧き水の溜まった浅い泉に夜な夜な飛来するコウモリの群れを自動センサーカメラで記録しています。 
水場に訪れて水を飲んだり水浴したりする野生動物や野鳥を撮影する目的でトレイルカメラを設置してみると、最も頻繁に写るのはコウモリでした。 


シーン0:8/5・午後14:35(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
湧き水が溜まった浅い池から画面の奥に向かって水が流れ出て、沢の源流になっています。 


シーン1:8/5・午後19:19〜23:53(@0:04〜)日の入り時刻は午後18:48 
日没後に暗くなると、水場にコウモリがやって来ます。 

1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、着水後に急旋回して飛び去るコウモリが空中から何かを捨てていました。(@6:09〜) 
これは排泄行動なのか、それとも池で何かを捕獲したら獲物ではないと悟って捨てたのでしょうか? 
濡れた体から水滴が落ちただけのようには見えません。 


シーン2:8/6・午前0:11〜3:40(@6:27〜)日の出時刻は午前4:43 
深夜に日付が変わっても夜が明けるまでコウモリは次々と池に飛来します。 

少数の個体が繰り返し飛来しているのか、それとも多数の個体が1回ずつ飛来しているのか、知りたいのですが、どうやったら突き止められるでしょう? 
(素人が許可なくコウモリを捕獲するのは禁じられています。)

着水後に急旋回して飛び去るコウモリが足に何かを掴んでいるように見えたときがあります。(@6:55〜) 
私の気のせい(願望からの幻覚)ですかね? 
動画のフレームレートが15fpsと低いので、スロー再生しても動きがカクカクしていてはっきりしません。 

珍しく着水シーンを横から撮れたシーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@8:55〜) 


シーン3:8/6・午後21:05〜22:33(@9:56〜)日の入り時刻は午後18:46 
2頭(以上)のコウモリが同時に飛来することもあります。 


【考察】 
低空で水面スレスレに飛びながらコウモリが何をしているのか、という問題がなかなか解決しません。 

まず、池で捕食している可能性はどうでしょうか? 
海外にはウオクイコウモリという種類がいるのですけど、淡水のこの池は小さくて浅いので、獲物となる魚は居ません。(居るのはオタマジャクシやサンショウウオぐらいです。) 
池の上を飛んでいる昆虫やアメンボなどの水生昆虫を水面で狩っている可能性も考えましたが、スロー再生すると違うようです。 
狩りなら毎回違う場所に着水するはずですが、コウモリの着水地点は大体決まっているようです。 
この池は三方(画面の背後および左右)が崖に囲まれているため、飛来したコウモリは崖に衝突しないように急旋回しながら飛び回る必要があります。 
地形要因から飛行ルートが限られ、着水できる地点も限定されるのでしょう。 

次に、水を飲んでいるか、水浴しているのか、どちらでしょう? 
フレームレートの高い高画質の暗視動画が撮れる最新機種のトレイルカメラを導入するまで、謎解きはお預けです。 
プロの動物写真家なら多灯ストロボと赤外線センサーを池畔に設置して、着水の決定的瞬間を写真で切り取ろうとするでしょう。 
動画派の私としては、なんとか動画で記録したいのです。 


大井徹『獣たちの森』という本を最近たまたま読んでいたら、コウモリの解剖生理学について興味深い事実を知りました。
汗腺は老廃物の排出とともに体温調整の機能を持つ。人は全身に汗腺を持つが、食虫類、げっ歯類、食肉類の一部では足と肛門付近にのみある。鯨類といくつかのコウモリ、げっ歯類にはない。(p58より引用)
コウモリが発汗しないとすると、飛翔時に体温の急上昇を抑えるために、定期的に体毛を濡らす必要があるのかもしれません。 
つまり、飛びながら水浴を繰り返し、気化熱を利用して体温を冷やしているのかもしれません。 
さっそく文献検索で斜め読みしてみると、コウモリの翼は飛行時の空冷だけで体温が充分に低いらしく、胴体しか冷やす必要がないのだそうです。 

・Luo, J., Greif, S., Ye, H. et al. Flight rapidly modulates body temperature in freely behaving bats. Anim Biotelemetry 9, 45 (2021). https://doi.org/10.1186/s40317-021-00268-6
・RUMMEL, Andrea D.; SWARTZ, Sharon M.; MARSH, Richard L. Warm bodies, cool wings: regional heterothermy in flying bats. Biology Letters, 2019, 15.9: 20190530.

しかし、「体温調節仮説」にも問題があります。 
雨の日や霧の日には体を濡らす必要がないはずなのに、コウモリは晴れの日と変わらず池に飛来するのはなぜ?という疑問が残ります。 


毎回水面に波紋が広がることから、私はてっきりコウモリが飛びながら意図的に一瞬だけ着水しているのだと長らく信じていました。 
しかし、必ずしもそうとは言い切れないことに最近気づきました。 
側溝を流れる水面スレスレに飛ぶミツバチをハイスピード動画で撮影したところ、着水しなくても激しい羽ばたきの勢いで直下の水面が押し下げられ波紋を生じることが分かったのです。 



コウモリの飛翔シーンをハイスピード動画で撮ってみたいのはやまやまなのですけど、それには強力な赤外線投光器が必要です。

2024/06/07

真夏日に側溝に集まって水を飲むセイヨウミツバチ♀の群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年9月上旬・午後12:25頃・晴れ 

郊外の道端で側溝の中をセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が何匹も飛び回っていました。 
コンクリートで三面が固められた側溝の中には浅く水が流れていました。 
流水の上を複数のミツバチが低空で飛び回っています。 
水路にチョロチョロ流れ込む水音やミンミンゼミ♂が周囲で鳴く声♪が喧しいのですが、耳を澄ますとミツバチがブンブン飛び回る羽音がかすかに聞こえます。 

水際の岸壁に着陸するとミツバチは口吻を伸ばし、水で湿った緑のコケを舐めていました。 
コンクリート岸壁の隙間に潜り込んで水を飲んでいる個体もいます。 
吸水中も激しく腹式呼吸しています。 
どの個体も後脚の花粉籠は空荷だったので、蜜源植物で採餌するついでに吸水に立ち寄った訳ではありません。 
側溝内であちこち移動して水を飲み続けています。 



水を飲んで腹一杯になると、セイヨウミツバチ♀は飛び去りました。 
真夏日なので、おそらく帰巣した蜂は巣を冷却するために水を吐き戻し(散水)、扇風行動に従事するのでしょう。 
水で濡らした巣に風を送ると、気化熱(蒸発熱)を奪うことで巣を効果的に冷やすことが出来るのです。


ミツバチの集団吸水行動を動画に撮れただけで私は満足してしまい、肝心の気温を測り忘れて画竜点睛を欠きました。 
あまりの暑さで私も頭がぼーっとしていた(熱中症気味)ようです。 
少なくとも30℃を越えていたのは間違いありません。 

側溝内の水質は決してきれいではない点が気がかりです。 
下水道がまだ整備されていない地区のようで、近隣住宅から垂れ流される生活排水が側溝にチョロチョロと流れ込んでいたのです。
白い汚濁が常に流れている様子が見えます。
洗剤混じりの汚水なんか味見したただけで臭くて不味いはずなのに、意外にもミツバチは全く気にしていませんでした。 
それとも日照り続きで他のきれいな水源が干上がってしまい、仕方なく側溝を流れる汚水を飲んでいるのかもしれません。
今回は巣の冷却水として使うだけだと思いますが、生物濃縮による健康被害が心配になります。 
このミツバチの巣箱から採れた蜂蜜はどれぐらい汚染されているでしょう?(知らぬが仏)

側溝の水際に離着陸するセイヨウミツバチ♀を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:14〜) 
飲水後に飛び立つと、ホバリング(停空飛翔)しながら濡れた足先を互いに擦り合わせています。(@3:55〜) 

肉眼では水面スレスレで飛ぶミツバチの足がときどき着水するように見えました。 
しかしスーパースローで見ると、蜂の高速羽ばたきで水面に波紋が広がっているだけだと分かりました。 

岸壁で飲水中にうっかり足を滑らせてしまう個体がいました。(@4:43〜) 
幸いすぐに自力で岸壁に這い上がり、水路で溺れずに済みました。 

最後にセイヨウミツバチ♀同士の興味深いシーンが撮れていました。(@5:08〜) 
岸壁で水を飲んでいる個体aに対して、後から飛来した個体bがホバリング(停飛)しながらあまりにも接近するので、嫌がったミツバチaは歩いて離れようとしました。 
蜂bが飛び去ると、蜂aはホッとしたように岸壁で向きを変えながら飲水を続けます。 
後から飛来した個体bは着陸地点を探していただけだと思うのですが(無神経なトナラー?)、意地悪な嫌がらせ(誰何、牽制、追い払い)のようにも見えました。 
異なるコロニーから来たワーカー♀の間で水場をめぐる縄張り争いがあるのでしょうか? 
しかし、側溝の岸壁に沿って並ぶミツバチは未だ全然混み合っていないのに、わざわざ占有行動をするのか疑問です。


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2024/04/02

扇風行動で巣内を冷やすコガタスズメバチ♀

 



2023年7月中旬・午前11:45頃・晴れ 

物置小屋の軒先に営巣したコガタスズメバチVespa analis insularis)のコロニーを定点観察しています。 
前回と比べて巣の形状ががらっと様変わりしていました。 
外皮が少し大きく成長して、球形というよりも、やや滴状の形になりました。
初ワーカー♀が羽化したので、初期巣に特有の煙突状の細長い巣口は完全に撤去されていました。 
この撤去作業を観察・撮影するのが私のミッシング・リンクになっているのですが、残念ながら今季も見逃してしまいました。 
新たな巣口として、外皮の底部の側面に丸くて大きな穴が開いていました。 

巣口が大きいので中の様子が結構よく見えます。 
中から外をじっと見張っている大型の個体は創設女王です。 
巣内で少なくとももう1匹の内役ワーカーが動き回っていました。 
巣口に顔を出したものの、飛び立って外役に出かけませんでした。 
巣盤の育房の一部は白い繭のキャップで覆われています。 (繭の中で蛹が育っています。) 

巣口の縁から外皮に乗り出した門衛♀が単独で扇風行動をしていました。 
巣内の気温が高くなり過ぎると幼虫や蛹の発生に悪影響を及ぼすので、巣内に冷風を送り込んでいるのです。 
コガタスズメバチの巣口がこんなに大きな例を私は初めて見たかもしれません。
特に暑い日には巣内に熱気がこもらないように、臨機応変に巣口をかじり取って大きく広げるのかもしれません。
後で巣口を狭くするのもスズメバチにとっては朝飯前です。





扇風行動をストロボ写真で記録する際に、羽ばたきが止まって見えるようにもっとシャッタースピードを上げるべきでした。 
ハイスピード動画でも扇風行動を撮りたかったです。 
しかし現場に長居していると、近所の人に怪しまれてしまいます。 
せっかく人通りのない時間帯を狙って来たのに、コガタスズメバチの巣の存在を気づかれたら最後、大騒ぎになり駆除されてしまうでしょう。 
手早く撮影を済ませ、そそくさと現場から立ち去りました。 
とにかく焦っていた私は、肝心の気温を計るのも忘れてしまいました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→? 
残念ながら、定点観察できたのはこの日が最後でした。 
予想通り、ここでもコガタスズメバチの巣は丸ごと駆除されてしまいました。 
スズメバチにとっても蜂好きにとっても、受難の時代が続きます。 
各種スズメバチの生活史を撮影するプロジェクトが遅々として進まないのは、定点観察の途中で巣が駆除されてしまうからです。 
人目を忍んで細心の注意を払ってコソコソ通わないとスズメバチの観察ができないのは、ストレスでもあり、情けなくなります。 
コガタスズメバチは攻撃性が高くないので、蜂を刺激しなければ、専用の防護服も着用しないで普通に撮影することが可能です。
(黒い服を着るのは避け、黒髪を帽子で覆い、香水や整髪料は使わないなど、服装には注意が必要です)


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2024/03/10

枯草に産卵するヒメウラナミジャノメ♀

 

2023年6月下旬・午後14:35頃・くもり 

農村部の畑の横でヒメウラナミジャノメ♀(Ypthima argus)を見つけました。 
道端に咲いたドクダミの群落で訪花吸蜜しているかと初めは思ったのですが、よくよく観察すると、地表の枯草に潜り込んで腹端を擦りつけています。 
地面を歩き回りながら、あちこちの枯草に腹端をチョンチョンと付けています。 
産卵中の腹端の動きをようやく側面からしっかり撮れました! 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:17〜1:46) 
ヒメウラナミジャノメ♀の産卵行動は初見です。 

本種幼虫の食草はイネ科やカヤツリグサ科の生葉なのだそうです。 (『フィールドガイド日本のチョウ』p271より) 
それなのに、食草ではなくわざわざ枯葉や枯草に産卵する行動が進化してきたのは不思議です。 
寄生蜂への対策なのでしょうか? 
しかし、ヒメウラナミジャノメの卵は薄い緑色なので、本来は緑の生葉に産卵する方が目立ちません(保護色)。 
茶色の枯草に産み付けると逆に目立ってしまうはずです。 
卵から孵化した幼虫は、近くに生えた食草を自力で探し出す必要があります。 
鈴木知之『虫の卵ハンドブック』でヒメウラナミジャノメの産卵習性について調べると、
産卵場所は、枯葉・葉(イネ科のチヂミザサなど) 。♀は食草の葉裏や周辺の枯れ葉などに、1卵ずつ産卵する。(p109より引用)

産卵の合間に休息(日光浴)する際には、翅を開きました。 
この♀個体には、後翅の外縁に切れ込み状の損傷があります。 
左右対称の損傷なので、鳥に襲われかけたビークマークかもしれません。
(多数の眼状紋で威嚇していても、飛翔中は鳥に襲われることがあるのかもしれません。)
少し休むと、次の産卵を始めます。 


【アフィリエイト】 

2024/03/07

日光浴中のアオダイショウに集るムネアカオオアリ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月下旬・午前11:50頃・晴れ 

砂利が敷かれた山道にアオダイショウElaphe climacophora)が長々と横たわっていました。 
私が近寄っても逃げないので、車に轢かれた死骸(ロードキル)なのか?と初めは思いました。 
ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が群がって体中を這い回っても、蛇は全く無反応です。 
アリが眼球に触れても瞬きしませんでしたが、そもそも蛇にはまぶたが無いので、生きた蛇も瞬きすることはありません。 

周囲の森から聞こえる澄んだ美声は、オオルリ♂(Cyanoptila cyanomelana)の囀りさえずり♪ですかね? 

私が広角で動画を撮りながら蛇にゆっくり近づき、背後から回り込んでも、逃げようとしません。 
アオダイショウは頭部だけ日向に居て、残りの体は日陰に居ることが分かりました。 
ヘビの生死を確かめるために動画を撮りながら足で軽く小突いてみようとしたら、遂にアオダイショウが舌を出し入れし始めました。 
風の匂いを舌で鋤鼻器じょびきに送り込んで嗅ぎ取る行動です。 
アオダイショウが先の割れた舌を高速で出し入れする様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:46〜2:34) 
頭部を左右に揺らしながら、かすかに前進していることが分かります。 

ピンクの舌を素早く出し入れしながら砂利道をスルスルと蛇行して横切り、道端の草むらに潜り込みました。 
林道の左右はスギ植林地でした。 


関連記事(2ヶ月前、1年前の撮影)▶  

2024/02/16

ブラックベリーの花蜜を吸うキタテハ夏型

 

2023年6月上旬〜中旬 

民家の裏庭の生垣にブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)の花が咲き、夏型のキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。 
昨年は撮り損ねて悔しい思いをしたので、念願の吸蜜シーンをいそいそと撮影しました。 
同じ場所で2回撮れた映像をまとめました。


シーン1・6月中旬・午前9:00頃・晴れ(@0:00〜) 

日向で半開きの翅を開閉しながら口吻を伸ばして吸蜜しています。 
横の車道を車が通りかかったら、飛んで逃げました。 
 次はやや日陰の花に移動して、吸蜜を続けます。 

ハキリバチの一種が正面から飛来すると、キタテハは素早く翅を打ち下ろして追い払いました。(@0:45〜) 
その撃退シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

ブラックベリーの白い花は萎れかけ、受粉後の未熟果が早くも育ちつつあります。

シーン2・6月上旬・午前10:50頃・晴れ(@1:26〜) 

この日は日向で翅をしっかり閉じたままブラックベリーの花蜜を吸っていました。 
動画を撮り始めたらすぐに吸蜜を止めてしまい、少し飛んで近くのミツバアケビの葉に止まり直しました。 
木漏れ日の落ちる葉上は完全な日向ではなく、半開きで開閉していた翅を最後は閉じてしまいました。 
暑くて日光浴の必要がないのでしょう。 


※ 撮影した時系列順ではなく、入れ替えました。

2024/01/10

舗装路で日光浴していたアオダイショウの幼蛇が蛇行して逃げるまで

 

2023年5月下旬・午前11:45頃・晴れ 

郊外の住宅地で蛇が舗装路の日陰から日向に進出しようとしていました。 
日光浴していたようです。 
見慣れない横縞模様があり、調べてみるとアオダイショウElaphe climacophora)の幼蛇でした。 
(体長がそんなに小さい印象はなかったけどな〜。)

私が動画を撮りながら右足を1歩踏み出したら、蛇は慌てて身を翻し、側溝沿いの木の下に逃げ込みました。 
蛇行して素早く逃げる様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
舌をチロチロと出し入れしていますね。
このとき1.5倍に拡大しています。(デジタルズーム)

2023/12/31

尾根道で日光浴してから飛ぶ越冬明けのヒオドシチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の尾根道を歩くと、日陰のところどころに残雪が未だ少しありました。 
越冬明けのヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)を尾根道で何頭も見かけました。 

尾根道の路肩で落ち葉の上に止まって閉じた翅を小刻みに震わせている個体がいます。 
翅の外縁が激しく破損していて、越冬の厳しさを物語っています。 
翅をパッと全開にしてから飛び去りました。 
気温が未だ低いので、くもっていると飛び立つ前に準備運動が必要だったようです。 


次は日向で翅を全開にして日光浴している個体がいました。 
自発的に飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:58〜) 
尾根道に転がっている丸太の上で翅を開閉しながら日光浴していた個体は、翅がほぼ無傷でした。 
複数個体を撮影。 

関連記事(1、9年前の撮影)▶  

ヒオドシチョウの性別を私は外見から判別できませんが、蝶道を作って侵入者(他のチョウ)を追尾していたことから、おそらく♂が尾根道に縄張りを張っているようです。 
そのシーンは動きが激し過ぎて、動画に撮れませんでした。 

 越冬後は山頂や稜線でよく見られ、♂は見晴らしのよい場所で占有行動をとる。(フィールドガイド『日本のチョウ』p225より引用) 


関連記事(同じ尾根道で同日の撮影)▶ 日光浴してから飛ぶ越冬明けのエルタテハ 


冬の間になまった体に鞭打って尾根道まで登ってきたのは、ギフチョウ類の配偶行動を観察するためでした。
しかし残念ながら、 目当てのギフチョウ、ヒメギフチョウは1頭も見かけませんでした。 
どうやら時期を逃してしまったようです。
今季は春の雪解けが早かったので、もっと早く観察に来るべきでした。

2023/12/29

カキドオシの花蜜を吸うルリシジミ♀

 

2023年4月中旬・午後14:40頃・晴れ 

河畔林の林床に咲いたカキドオシの群落でルリシジミ♀(Celastrina argiolus)が訪花していました。 
晴れているのに、初めは翅を閉じたまま吸蜜していました。 
閉じた後翅を互いに擦り合わせています。 
春風が強く吹くせいであまり飛ばず、隣の花に歩いて移動します。 

後半からは花弁に止まったまま吸蜜を止め、翅を半開きにして日光浴に専念しています。 
前翅の外縁に太い黒帯があることから♀と判明。 
粘って撮影しても飛んでくれませんでした。 

近くでウグイス♂のさえずる鳴き声♪が聞こえます。 
春の林床に咲くスプリング・エフェメラルは、カキドオシに交代したようです。

2023/12/17

春の里山で残雪を跳びはねて横切る越冬明けのニホンアマガエル

 

2023年5月上旬・午後13:50頃・晴れ 

里山を流れる沢の源流部の渓谷が冬の雪崩で埋もれていたのですが、その雪がだいぶ溶けていました。 
両岸の地面よりも雪面が高く盛り上がっていたのに、低くなっていました。 
標高が低くて初夏には完全に消失するので、雪渓というほどではありません。 

土で汚れた残雪の上にニホンアマガエルHyla japonica)が居ました。 
越冬明けの個体が日光浴していたようですが、雪上では体温が上がらないでしょう。 
カエルは変温動物ですから、雪上では低体温で仮死状態なのもしれません。(行き倒れ) 
アマガエルの生死を確かめるために私が動画を撮りながら靴の先で蹴るふりをすると、ピョンピョン跳んで逃げ始めました。 
そのまま連続して跳ぶと、雪の無い地面に無事に上陸しました。 
気温や雪面の温度を測るべきでしたね。 
連続跳躍の様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:21〜) 

ちなみに、雪崩で埋もれた渓谷を渡るカモシカなど野生動物の足跡は見つかりませんでした。 
雪面がガリガリに固いと足跡が残りにくいのです。
それともスノーブリッジの下の見えない空洞を踏み抜く恐れがあるので、危険を察知して春の間は通行を回避しているのかもしれません。

2023/11/11

河川敷を蛇行横断するアオダイショウが公衆トイレに侵入未遂するまで

 

2023年4月中旬・午後12:00頃・晴れ 

河川敷を横切る用水路のコンクリート護岸にてアオダイショウElaphe climacophora)が春の日差しを浴びていました。 
私が近づくと警戒し、ゆっくり蛇行して逃げ始めました。 

舌を素早く出し入れしながら蛇行で前進します。 
コンクリートの地面を離れ、隣の枯れた芝生エリアに移動しました。 
さらにシロツメクサで覆われた草地をひたすら進んで行きます。 
一体どこに行くのでしょうか? 
野ネズミやモグラの巣穴に侵入して獲物を狩るのではないかと期待して、アオダイショウを追跡することにしました。 
しかし、それらしき巣穴があってもヘビは素通りしました。 
しつこく付いて歩く私から逃げていただけかもしれません。
緑の草地に点在する白いものは、堤防路のサクラ並木から散ったソメイヨシノの花弁です。 

やがてアオダイショウは河川敷の公衆トイレに近づき、日陰に入りました。 
変温動物のアオダイショウにとって、どうやら日向は暑かったようで、体温調節のため日陰に避難したのでしょう。 
しばらくすると公衆便所のコンクリート土台に近づきました。 
幸いトイレを使っているヒトは誰もおらず、騒ぎにならずに済みました。
小便器のある男性トイレは扉が無い開放型ですから、ノックは不要です。 
その入口でアオダイショウは鎌首をもたげて、中の様子をうかがっています。 
舌を出し入れして、ヒト♂の小便臭を鋤鼻器で嗅ぎ取っています。 
男性トイレの中に蛇が侵入したら面白いスクープ映像になりそうです。
ところが、アオダイショウは入口から自発的に後退して、日陰の草むらに隠れました。 
トイレの床が熱伝導の良いアルミ製になっていて触れるとひんやりしますから、せっかく日光浴で暖まった体温が下がり過ぎるのを嫌ったのかもしれません。 

ヘビを捕獲したことが一度もない私は、絶好の機会に悩みました。 
しかし今回も怖気づいて生け捕りに挑戦できませんでした…。 
帰路に同じ公衆トイレを再訪したときには、アオダイショウは居なくなっていました。






2023/11/03

日光浴してから飛ぶ越冬明けのエルタテハ

 

2023年4月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の尾根道には残雪が少しありました。 
山道の横にある枯れ草の上で越冬明けのエルタテハNymphalis vaualbum)が翅を開閉しながら日光浴していました。 
体温を上げてから自発的に飛び去りました。 
 翅裏をしっかり見せてくれず、性別を見分けられません。 
右後翅の激しい破損が、越冬の厳しさを物語っています。 
それでも飛翔能力に支障はないようです。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

よく似たヒオドシチョウも同様に日光浴する姿を、この日の山行で多数見かけました。(映像公開予定)
私のフィールドでエルタテハは個体数が少なく、出会えると嬉しい蝶のひとつです。


関連記事(9年前の撮影@晩秋)▶ エルタテハの日光浴

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