2022/07/09

河畔林でニセアカシアの幹を夜に下る謎のイモムシ【暗視映像:トレイルカメラ】

 

2022年5月上旬・午後20:00頃 

平地の河畔林でタヌキ溜め糞場rvを監視しているトレイルカメラ(無人センサーカメラ)には、たまに予想外(想定外)の生き物が写っていて、それもまた楽しみの一つです。 

画面左のニセアカシア(別名ハリエンジュ)立木の幹を大きな幼虫が下って行きます。 
赤い矢印の部分にご注目ください。
尺取虫タイプの歩行運動ではなく、蠕動運動で前進していました。 
このときトレイルカメラが何に反応して起動したのか不明です。 (幼虫は変温動物ですから、トレイルカメラのセンサーは反応しません。)

夜行性の蛾の成虫(いわゆる夜蛾)が夜に飛び回るのは珍しくありませんが、幼虫の活動が目に止まる機会は少ないので、記録しておきます。 
赤外線の暗視映像では幼虫の模様の色が分からないのが残念です。 
私は現場の状況を知っているので「雪国で早春の時期にしてはかなり大きなイモムシだ!」と映像から分かるのですが、大きさを伝える比較対象物がありません。 
幼虫で越冬するタイプの蛾の幼虫でしょう。 (蝶の幼虫である可能性は?) 
樹上で育った終齢幼虫が地面まで降りて地中で蛹化するつもりなのかもしれませんが、動画は尻切れトンボで終わってしまいました。 

材内に穿孔するカミキリムシ類の幼虫が穴から出てこのように幹を下ることがあるのでしょうか?
カミキリムシの幼虫にしては形状が違う気がしますし、坑道の外ではこれほど自在に徘徊できないと思います。

これらの情報からイモムシの種類を推理できる達人がいらっしゃいましたら。教えてください。 
材内に穿坑するボクトウガ幼虫だったら嬉しいのですが(勝手な予想)、ボクトウガの食樹はブナ科とされていて、ニセアカシアの材にも穿坑するのかどうか不明です。
近くにブナ科の木は生えていません。
少し離れた地点にオニグルミの大木がありました。
関連記事(14年前の撮影)▶ ゴマフボクトウ(蛾)の幼虫

私がこれまで自分で見つけたニセアカシアを食樹とするイモムシの例はこちらです。

2022/07/08

春の草地で採食するアトリ♀♂夏羽の群れ(野鳥)

 

2022年4月中旬・午後17:10頃・晴れ  

夕方に見慣れない鳥の大群が河川敷の草地で採食していました。 
夏羽のアトリ♀♂(Fringilla montifringilla)でした。 
これほど大きな群れを見るのは初めてです。 
北の繁殖地(シベリアなど)へ渡る途中で立ち寄ったのでしょう。 
夏羽(生殖羽)に換羽すると性的二型が著しくなり、性別を見分けるのが容易になります。(頭が黒い個体が♂) 
早春の草地は未だ枯草が多く、緑の若葉はあまり生えていません。
アトリ♀♂は嘴で落葉や枯れ草を次々にめくって、虫や種子(草の実)を探していました。 
近くを流れる川の水音でかき消されたのか、アトリの鳴き声は聞き取れませんでした。 
(ヒヨドリ♪の声は聞こえます) 

横の堤防路をヒトが通りかかると、警戒した群れが一斉に飛び立ち、近くの街路樹(ソメイヨシノなど)に避難しました。



【追記】
初め私は夏羽のノビタキ♀♂(Saxicola torquata)かと思ったのですが、YouTubeのコメント欄にてアトリと教えてもらいました。
アトリの大群はこれが初見でした。

 

2022/07/07

春の河畔林で夜に溜め糞場の裏を素通りするホンドタヌキ【暗視映像:トレイルカメラ】

前回の記事:▶ 雪に埋もれた溜め糞場を素通りする晩冬のホンドタヌキ【暗視映像:トレイルカメラ】

2022年4月下旬〜5月中旬 

河畔林にあるタヌキの溜め糞場rvをトレイルカメラで監視しています。 
色々と失敗が続き、調査期間に少し空白ができてしまいました。 

夜行性のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が河畔林を徘徊していますが、溜め糞場にやって来ないことがあります。 
溜め糞場rvを迂回するように、ニセアカシア(別名ハリエンジュ)立木の裏にある獣道を素通りするシーンをまとめてみました。 
その夜はたまたま便意を催さなかったというだけではありません。 
溜め糞の匂いをチェックするまでもないということは、明らかに別個体の糞の匂いがしないのでしょう。 
トレイルカメラの存在をタヌキが嫌って避けるようになったとしたら、(私にとっては)由々しき事態です。

シーン1:4/30・午後19:36・ 
溜め糞場には全く興味を示さず、立木の奥を左から右へ歩き去りました。 
ペアで行動するタヌキの後続個体のようです。 
(先頭個体にはカメラの起動が間に合いませんでした。) 


シーン2:5/6・午後19:48 
今回もタヌキのペアのうち、後続の個体が立木の奥を左から右へ横切りました。


シーン3:5/9・午後21:57 
いつものように、タヌキのペアのうち、後続の個体が立木の奥を左から右へ横切りました。


シーン4:5/11・午前2:57 
珍しく巡回コースの向きがいつもとは逆で、立木の奥を左に歩き去りました。 
おそらくペアで行動するタヌキの後続個体のようです。 
(先頭個体にはカメラの起動が間に合いませんでした。) 




2022/07/06

境界標で日光浴する越冬明けのヒオドシチョウ

 

2022年4月下旬・午後16:25頃・晴れ 

河原の土手の草地に立てられた古い境界標に越冬明けのヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)が止まっていました。 
本種は成虫で越冬しますから、翅の縁がギザギザに破損しているのは長く厳しい冬を無事に生き延びた証です。 
境界標の側面上部に塗られた赤いペンキが剥げています。 

夕方の西日が当たる境界標の側面で翅を全開にしていました。 
口吻を注意してよく見たのですが、コンクリートの表面を舐めてはいません。 
したがって、ミネラル摂取ではなく、ただの日光浴なのでしょう。  
関連記事(7年前の撮影)▶ 日光浴する越冬明けのヒオドシチョウ
前足で触角をすばやく拭うと(@0:34)、境界標の側面を歩いて登り、境界標の上縁に達しました。 
太陽光に正対するように方向転換したのかと思いきや、蝶の影の面積はさほど減っていません。 

やがて、準備運動なしで急に飛び去りました。 
蝶を怖がらせないように私が動かずに佇んでいると、ヒオドシチョウはしばらく辺りを往復してから、同じ境界標に舞い戻りました。 
もしかすると、縄張り占有行動なのでしょうか? 
飛び立つ直前に別種のチョウなど縄張りへの侵入者(領空侵犯)があったかどうか、撮影に集中していた私は気づきませんでした。 

お気に入りの境界標の側面に今度は下向きで止まりました。 
もう体温が充分に上がった(暑くなった)ようで、翅を閉じてしまいました。 
翅裏は地味ですけど、人工物のコンクリートに対して保護色にはなっていません。
(樹木の幹に止まれば見事な保護色になるはずです。)

フィールドガイド日本のチョウ』でヒオドシチョウについて調べると、
越冬後は、山頂や稜線でよく見られ、♂は見晴らしのよい場所で占有行動をとる。 
【食草】エノキ、ハルニレ(ニレ科)、エゾヤナギ、シロヤナギ、シダレヤナギ(ヤナギ科)など。(p225より引用)
今回の撮影地は平地の川沿いですから、図鑑の記述とは少し違います。 
ヤナギ科の植物もヒオドシチョウ幼虫の食草であることをすっかり忘れていました。 
それなら川沿いで成虫が見られたのも納得です。
関連記事(8年前の撮影)▶ 群れで柳の葉を食すヒオドシチョウの幼虫

境界標の上部は確かに見晴らしの良いポイントなので、ヒオドシチョウ♂が♀を待ち構えている縄張り占有行動なのかな? 
腹部の太さでヒオドシチョウの性別を見分けるそうなのですが、私には自信を持って決められません。 
境界標の近辺に食樹も生えてなければ蜜源植物も咲いてないのに、ヒオドシチョウ♀が飛来するあてはあるのでしょうか?



2022/07/05

動物の死骸を運んで逃げるハシボソガラス(野鳥)

 

2021年9月下旬・午後14:00頃・晴れ

山麓の農村部で廃屋の庭にあるケヤキ樹上にハシボソガラスCorvus corone)が止まっています。 
何か動物の腐乱死骸を嘴に咥えているようなので私がカメラを向けると、途端にカラスは警戒して枝葉の陰に隠れてしまいました。 
私としてはカラスの屍肉食を咎めているつもりは全くないのに、カラスは死骸を持って飛び去ってしまいました。 

慌てて追いかけると、ハシボソガラスは近くのカキノキに止まり直していました。 
柿の実が橙色に色づき始めています。 
カラスはまたもや私の目を恐れているようで、餌を咥えたまま枝から枝へピョンピョン跳んで枝葉の陰に隠れようとします。 
これほど警戒するということは、近所の農家のヒトと普段からよほど敵対的な関係にあるのではないかと疑ってしまいます。 
私としては死骸の正体をなんとか突き止めたいのですが、手前の電線も邪魔でカラスにピントが合わず、フラストレーションが溜まります。 

死骸を咥えたままカキノキ樹上から再び飛び立つと、今度は少し離れたビニールハウスの骨組の梁に着地しました。 
しつこいパパラッチから離れたカラスはようやく落ち着いたようで、屍肉を啄み始めました。 
今度は手前の灌木が邪魔でカラスにピントが合いません…。 
(映像はここまで) 
もっと見通しの良い撮影アングルを求めて私が横に少し移動したり近付こうとしたら、完全に逃げられてしまいました。 

逃げ回るカラスを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみても、死骸の正体は分からず仕舞いで残念でした。 
車に轢かれたロードキルではないかと思うのですが、野ネズミなのか子猫あるいはタヌキなのか…?

2022/07/04

雨夜の河畔林で跳ね回る夏毛のニホンノウサギ【暗視映像:トレイルカメラ】

前回の記事:▶ 雪の減った晩冬の河畔林で夜跳ね回るニホンノウサギ【トレイルカメラ:暗視映像】
2022年4月下旬〜5月中旬

河畔林に出没する野生動物をトレイルカメラで記録しています。 
雪はもうすっかり融けました。
たまにやって来るニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が純白の冬毛から夏毛に変わりました。
関連記事(9年前の撮影)▶ 夏毛のニホンノウサギと山道で遭遇

シーン1:5/13・午前1:46・小雨 

雨がポツポツと降る夜に、謎の獣がニセアカシア立木の奥を左へ歩き去りました。(赤い矢印の示す位置に注目) 
カメラの起動が遅れて全身像が写っていません。 
戻って来た獣はニホンノウサギでした。 
赤外線の暗視映像でノウサギの夏毛は黒っぽく写ります。 
タヌキの溜め糞場rvを走って横切りました。 
同一個体(?)がすぐにまた引き返してきて、カメラの前を逆に横切りました。 
どうして雨夜の林床を慌てて右往左往しているのか分かりません。 
肉食獣やフクロウなどの捕食者に追いかけられているのかな?
もしかして、2頭が追いかけっこしているのでしょうか? 
一瞬の記録を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 


シーン2:4/29・午前3:38・晴れ 
ノウサギらしき小動物が、立木の奥を左から右へ跳んで移動しています。(赤い矢印の示す位置に注目) 
耳が長いのでノウサギでしょう。 


シーン3:5/2・午後19:57・晴れ 
ニホンノウサギが立木の奥を右から左へピョンピョン徘徊しています。(赤い矢印の示す位置に注目) 


シーン2、3はノウサギの姿がしっかり写っていませんし、晴れた夜に撮れたおまけの映像なので、時系列が前後しました。 




2022/07/03

川岸の止まり木を先客から乗っ取るカワウ(冬の野鳥)

 

2021年12月下旬・午後13:30頃・晴れ

雪国では冬になると街中の雪を川に捨てるようになります。 
その雪解け水で川が増水したせいか、岸に並ぶカワウPhalacrocorax carbo hanedae)の止まり木(倒木)が減っていました。(沈んだ? 流出?) 
それでも4羽のカワウが倒木でのんびり羽繕いしたり休んだりしています。 
少し奥に見える2本の長い倒木には雪が積もっていました。 
その長い倒木に晩秋にはカワウが鈴なりに並んでいたのに、積雪期になるとなぜか1羽も止まらなくなりました。
関連記事(1月前の撮影)▶ 昼間と同じ止まり木を塒とするカワウ、夕方に飛び去るカワウ(野鳥)
 
冠雪した斜めの止まり木は不安定で、着地する気になれないのかな? 

川面で遊泳する1羽の個体に注目しました。 
(それまでは潜水漁を繰り返していたようです。) 
何度も嘴を水でゆすいでから、軽く水浴びしました。 
そして下流に向かって助走すると、飛び立ちました。 
低空で飛ぶと滑空し、コロニーの横の川面に着水しました。 
川岸の細い倒木から先客を追い出して川面から飛び乗りました。 
背後から止まり木を乗っ取られた先客は、特に激しく抗議したり喧嘩したりすることもなく、別の止まり木に移動しました。 

すぐにまた別個体のカワウが上流から飛来し、急降下するとコロニーの横の川面に着水しました。 
この個体はカルガモが休んでいた倒木に狙いを定めると、先客を追い払って川面から飛び乗りました。 
もう少し混み合ってくると、川岸の止まり木を巡って小競り合いが勃発しそうです。 

これで川岸に集まったカワウは計6羽になりました。

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