2022年4月下旬・午後16:25頃・晴れ
河原の土手の草地に立てられた古い境界標に越冬明けのヒオドシチョウ(Nymphalis xanthomelas japonica)が止まっていました。
本種は成虫で越冬しますから、翅の縁がギザギザに破損しているのは長く厳しい冬を無事に生き延びた証です。
境界標の側面上部に塗られた赤いペンキが剥げています。
夕方の西日が当たる境界標の側面で翅を全開にしていました。
口吻を注意してよく見たのですが、コンクリートの表面を舐めてはいません。
したがって、ミネラル摂取ではなく、ただの日光浴なのでしょう。
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前足で触角をすばやく拭うと(@0:34)、境界標の側面を歩いて登り、境界標の上縁に達しました。
太陽光に正対するように方向転換したのかと思いきや、蝶の影の面積はさほど減っていません。
やがて、準備運動なしで急に飛び去りました。
蝶を怖がらせないように私が動かずに佇んでいると、ヒオドシチョウはしばらく辺りを往復してから、同じ境界標に舞い戻りました。
もしかすると、縄張り占有行動なのでしょうか?
飛び立つ直前に別種のチョウなど縄張りへの侵入者(領空侵犯)があったかどうか、撮影に集中していた私は気づきませんでした。
お気に入りの境界標の側面に今度は下向きで止まりました。
もう体温が充分に上がった(暑くなった)ようで、翅を閉じてしまいました。
翅裏は地味ですけど、人工物のコンクリートに対して保護色にはなっていません。
(樹木の幹に止まれば見事な保護色になるはずです。)
『フィールドガイド日本のチョウ』でヒオドシチョウについて調べると、
越冬後は、山頂や稜線でよく見られ、♂は見晴らしのよい場所で占有行動をとる。
【食草】エノキ、ハルニレ(ニレ科)、エゾヤナギ、シロヤナギ、シダレヤナギ(ヤナギ科)など。(p225より引用)今回の撮影地は平地の川沿いですから、図鑑の記述とは少し違います。
ヤナギ科の植物もヒオドシチョウ幼虫の食草であることをすっかり忘れていました。
それなら川沿いで成虫が見られたのも納得です。
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境界標の上部は確かに見晴らしの良いポイントなので、ヒオドシチョウ♂が♀を待ち構えている縄張り占有行動なのかな?
腹部の太さでヒオドシチョウの性別を見分けるそうなのですが、私には自信を持って決められません。
境界標の近辺に食樹も生えてなければ蜜源植物も咲いてないのに、ヒオドシチョウ♀が飛来するあてはあるのでしょうか?
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