2020/01/18

川で潜水漁の後に倒木に登って羽繕いするカワウ(野鳥)



2019年5月上旬・午後・晴れ(風が強い)

川面を下流へ向かって泳いでいたカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が魚を捕るため水中に潜りました。
どこに浮上したのか、見失ってしまいました。
近くでは別個体αがニセアカシアの倒木に乗って(下流を向いて)休んでいました。

私がアングルを変えて倒木の全景を撮っていると、左の方からもう1羽βが川面を横切るように倒木の方へ渡って来ました。
途中で漁のために潜水しました。
倒木のすぐ手前(上流側)で浮上したβは、水面から倒木にピョンと飛び乗りました。
倒木上でαの右隣りに少し離れて並ぶと、すぐに羽繕いを始めました。

倒木の背後(下流側)の川面に浮いている鴨は、おそらくコガモ♀♂の群れだと思います。




【追記】
ウの語源について面白い話を知りました。
中公新書 可児弘明『鵜飼―よみがえる民俗と伝承』によると、
ヨーロッパでウを意味することばは、(中略)語源的には同じものであり、ラテン語のcorvus(カラス)とmarinus(海)からできたことばで、“海にいるカラス”の意味である。(中略)英語のコーモラントcormorantはフランス語の改作である。(中略)日本ではウに漢字の鵜をあてる。鵜はもともと中国でペリカンをあらわす文字であったが、日本で誤ったまま使われているうちに、鵜はウの意味で通用するようになった。 (p17〜18より引用)

カワウ(野鳥)@川:倒木
カワウ(野鳥)@川:倒木
カワウ(野鳥)@川面遊泳
カワウ2(野鳥)@川:倒木+羽繕い+羽根乾燥
カワウ2(野鳥)@川:倒木+羽繕い

跳んで羽ばたくショウリョウバッタ♀【ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午後15:30頃


▼前回の記事
舗装路で産卵を試みるショウリョウバッタ♀

ショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)が舗装路で産卵していることに気づかなかった私は、跳んで逃げるシーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
三脚に固定したカメラで狙いを付けてから私が歩み寄ると、ショウリョウバッタ♀はまず後脚を引き寄せて跳躍の準備体勢になりました。(逃げる気満々)
更に私が近づくと、長い後脚で力強く地面を蹴ってから翅を広げて羽ばたきながら飛び去りました。
ちなみに♂のショウリョウバッタは飛びながら「チキチキチ……♪」と発音することが知られています。
♀は鳴かないのですが、どのみちハイスピード動画では残念ながら録音されません。
仮に鳴いたとしても、おそらく近くを流れる川の水音で掻き消されてしまったでしょう。

舗装路の横の芝生に着陸したので、もう一度撮影を繰り返します。
画面の中央に居るショウリョウバッタ♀が視聴者の皆さんには見えますか?
緑色型のショウリョウバッタ♀は周囲の芝生に完全に溶け込んでいます。(見事な保護色)
バッタの背後から右手を差し出すと、警戒して飛んで逃げました。

後半は逃避行動を更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(実際の動きに対して1/40倍速のスローモーション)


▼関連記事(3年前の撮影:褐色型♀)
ショウリョウバッタ♀の跳躍と飛翔【ハイスピード動画】


【追記】
内田正吉『減るバッタ増えるバッタ―環境の変化とバッタ相の変遷』という本を読みました。
筆者は生物地理学(動物地理学)や生態地理学の観点から調査し、それをまとめた本なのですが、私の琴線に触れたのは、「ショウリョウバッタはなぜハの字型なのか?」という余談です。
日本産バッタの大部分の種は、静止している時には、後脚は腹部に密着するようにしている。ところが例外的に、静止しているときにも後脚を腹部から離しているバッタがいる。(中略)それは、ごく普通に見られるショウリョウバッタである。(p66より引用)
ショウリョウバッタモドキが静止している時は、常に後脚を腹部に接している。一方、ショウリョウバッタは後脚を腹部に接することはなく、「ハの字型」をしている。(p68より引用)
そして筆者は次のような仮説を提示しています。
ショウリョウバッタの成虫、特に♀の成虫は、高茎のイネ科植物の葉を食べる修正がある。(中略)ショウリョウバッタは、イナゴのように直立している茎につかまることはできない。また、ショウリョウバッタは、特に♀では体が大きいので植物上に乗るのは工夫が必要だ。そこで、脚を四方に広げることで、重たい体重を少しでも分散させ、下に落下する危険性を少なくしているのではないだろうか? (p71-72より引用) 


確かに言われてみれば、ショウリョウバッタの後脚はガニ股でハの字型に開いていました。
こういう素朴な疑問をエボデボで真面目に研究してみると面白いかもしれません。
発音行動や求愛、交尾の際に後脚がガニ股でないと困る、という別の可能性も考えられます。



2020/01/17

収穫後の畑に捨てられたトウモロコシを拾い食いするハシボソガラスとスズメの群れ(野鳥)



2019年8月下旬

▼前回の記事
トウモロコシ畑を守る鳥害対策グッズ類

トウモロコシ畑の右半分が収穫され、根元から刈り取られていました。
収穫後の区画で2羽のハシボソガラスCorvus corone)が採食していました。
トウモロコシの枯れ葉を嘴で次々にめくって餌を探しています。
隠れている虫を捕食するのかと思いきや、地面に転がっている(捨てられた?)トウモロコシの穂を見つけると、足で押さえつけながら黄色い穀粒を美味そうに啄み始めました。

警戒心の強いスズメPasser montanus)の群れも、カラスの様子を見て安全確認すると、収穫後のトウモロコシ畑に次々と舞い降りて採食を始めました。

このトウモロコシ畑には以前から2種類の鳥害対策グッズが設置してありました。
鷹がプリントされた鳥よけカイトが竿から吊り下げられていますが、この日は無風なので動きがありません。
期待された鳥よけ効果が全く失われ、その下でハシボソガラスやスズメが平気で落穂拾いしています。
カイト(凧)が畑に長期間設置されたままだと、鳥も虚仮威しだと学習して怖がらなくなってしまうのかもしれません。

手前の地面にはハシブトガラスを模した黒いプラスチック模型が転がっていました。
トウモロコシの収穫と共に、お役御免になったようです。(以前はカイトと同じく竿から吊り下げられていました。)
カラス模型の近くでハシボソガラスとスズメが採食(落穂拾い)しないということは、若干の鳥よけ効果が残っているのかな?
撮影している私に対して警戒し距離を取っているだけかもしれません。

ちなみに、このトウモロコシ畑は全体が電気柵で囲われていますが、これは野生動物(哺乳類)が入って来られないようにするための対策です。
鳥は空から飛来するので、電気柵では防鳥効果が期待できません。

畑の左半分は収穫前のトウモロコシ畑が残っているのに、野鳥が餌の豊富な収穫前の区画に侵入して食害しないのは不思議でした。
私が見ている間は遠慮しているのかもしれません。
もしかすると、収穫前のトウモロコシ畑は穂に未だ種が育って無くて、鳥にとって魅力が無いのでしょうか?
収穫前のトウモロコシ畑に回り込んでよく見ると、もう一つの鳥よけカイト(鷹型)が守っていました。


ハシボソガラス2(野鳥)@収穫後トウモロコシ畑+採食
鳥よけグッズ:カラス模型@収穫後トウモロコシ畑
鳥よけカイト(鷹型)@収穫後トウモロコシ畑:無風

交尾相手を足蹴にするエサキモンキツノカメムシ



2019年8月下旬・午前10:15頃

川沿いに生えたヌルデの葉に乗って交尾中のエサキモンキツノカメムシ♀♂(Sastragala esakii)を見つけました。
下側に居る大型の個体がおそらく♀なのでしょう。
その♀が後脚で相手の腹端を蹴るような(擦っている?)謎の動作を繰り返していました。
この♂とはもう別れたくて交尾器の結合部を引き抜こうとしているのでしょうか?
それなら♀は嫌がって♂を引きずるように歩き回っても良さそうなものです。
ところがしばらくすると、♀も動かなくなりました。
その間、上側に居る♂はひたすら静止しています。

エサキモンキツノカメムシのトレードマークとなっている胸部小楯板のハートマークは、上の♂が黄色で下の♀が白色でした。


▼関連記事(12年前の撮影)
エサキモンキツノカメムシの交尾


エサキモンキツノカメムシ♀♂@ヌルデ葉+交尾
エサキモンキツノカメムシ♀♂@ヌルデ葉+交尾。左上で別個体が訪花中

2020/01/16

岩場でクサガメ♀の甲羅に乗る♂



2019年8月下旬・午後13:40頃


▼前回の記事
クサガメ♂の岩登り


蓮池の岩場でクサガメMauremys reevesii)♂成体が隣の大型の♀(※)の甲羅に前足を掛けて横からのしかかろうとしていました。
(※ クサガメは♂よりも♀の方が大型になるのだそうです。)
上に乗った♂は喉をヒクヒクさせています。
やがて上の♂が向きを変え、互いに前後逆方向になりました。
交尾目当てのマウントではないことがはっきりしました。
クサガメの交尾は水中で行なうのだそうです。
まさか別個体の甲羅と認識せずに、ただの大きな岩だと思って登ろうとしているのかな?

1年前にもここで同様のシーンを見ています。

そのときは、♀の上に乗った♂だけがちゃっかり日光を浴びていました。
▼関連記事
クサガメ:親亀の上に子亀を乗せて?


岩が幾つも並んでいる中でも亀の甲羅干しに適した岩というのは、実は限られています。
しかし亀が日光浴をするために岩の争奪戦をしている様子を私は見たことはありません。
「親亀の上に子亀」状態になれば、後から来た個体も日光を浴びることが可能になります。
逆に、下になってしまった大型♀は、どうして怒ったり上の♂を振り落としたりしないのでしょうか?
全く気にする様子もなく寛容でした。
ヒトの世界で日照権の侵害は民事訴訟になったりします。
このとき2頭が居る岩は、平らで広いものの周囲に繁茂するハスの葉に遮られて日陰になっていました。

手前にある尾根のように細くて狭い岩は日当たりが良く、別の若い小型のクサガメaが跨って甲羅干しをしていました。
更にもう1匹の若い小型の個体bが、手前にある別の狭い岩(日当り良好)に上陸しました。
この個体は、甲羅が苔むしたような緑色でした。

気づけば岩場に計5匹の亀が大集合していました。
その内訳は、大型のミシシッピアカミミガメ×1、クサガメ♂成体×1、小型の若いクサガメ×2、大型のクサガメ♀×1でした。
日光に対して各個体の体の向きはバラバラでした。



つづく→池の岩場に集まる生き物の営み【10倍速映像】亀・鯉・鴨


クサガメ♀♂@蓮池:岩場+乗り上げマウント
クサガメ:若い個体a@蓮池:岩場+甲羅干し
クサガメ:若い個体a@蓮池:岩場+甲羅干し
クサガメ:若い個体b@蓮池:岩場+甲羅干し

川辺りで激しく縄張り争いするハグロトンボ♂



2019年8月下旬・午前10:05頃

平地を流れる川の支流(正式用語は「側方流」?)で多数のハグロトンボ♂(Calopteryx atrata)が激しい空中戦を繰り広げていました。
メタリック・グリーンに輝く長い腹部が♂の特徴です。(♀は黒色)
あまりにも激しく飛び回るので、途中で見失ってしまうことも多く、流し撮りに苦労しました。

2匹の♂同士が空中で争ったり相手を追い回したりして縄張りの端に来ると、今度は隣の縄張りの主♂が参戦し、三つ巴の争いになります。
止まった場所を中心とした縄張りにライバル♂が領空侵犯すると直ちにスクランブル発進し、縄張り争いの連鎖反応が目まぐるしく繰り広げられます。

激しい縄張り争いに疲れたのか、川岸に生えたタニウツギ灌木の葉に3匹の♂が止まりました。
休戦状態でも漆黒の翅を素早く開閉して誇示しています。
強く反り返った腹端を持ち上げるのも威嚇誇示なのかな?(腹端下面が白いことに注目:後述)

図鑑『日本のトンボ』p47によると、

(ハグロトンボの)成熟♂は日中、川辺の植物や石に静止して縄張り占有する。気温の高い日には、時おり翅をパッと開く
今回は気温を測り忘れました。

1匹の♂が川岸のヨシの葉に止まっていると、隣の縄張りから飛来しました。
するとヨシの葉の上に止まったまま腹端を高々と持ち上げ、黒い翅を羽ばたかせました。
これは侵入したライバル♂に対する威嚇誇示なのでしょう。
その傍で侵入♂は挑発的にホバリング(停空飛翔)します。
すると縄張りの主は堪らずヨシの葉から飛び立ち、追いかけっこが始まりました。
近くに居たもう一匹の♂も参戦し、狂乱状態になります。
あちこちで争いの連鎖が勃発するので、どこにカメラを向けたら良いのか目移りしてしまいます。

ハグロトンボ♂の空中戦を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:40〜)
清流の水面に映る影の羽ばたきも美しいですね。
2匹の♂が羽ばたきながら空中でかなり接近し、互いに向き合いつつ一瞬ホバリングしていました。
一方が逃げ出すと他方が追いかけます。
一体どうやって勝敗が決まるのか、私には分かりませんでした。

コンクリートのブロックで護岸された水際では2匹のハグロトンボ♀が並んで休んでいました。(@4:05)
ハグロトンボ♀は腹部も含めて全身が真っ黒です。
左の♀個体が翅を閉じたまま静止している間、右の♀個体は真っ黒な翅をパッパっと開閉してアピールしています(誇示行動)。
翅に偽縁紋が無いので、アオハダトンボ♀ではありません。
産卵中の♀は見ていません。
この小川には小魚の群れが泳いでいるので、もしハグロトンボ♀が水中に産卵したら、ほとんど魚に捕食されてしまうでしょう。
だからハグロトンボ♀は植物の組織内に産卵するのでしょう。
♂は縄張り争いに明け暮れるばかりで、近くに居る♀と交尾しようとしないのは、とても不思議でした。
おそらくこの辺りは最強の♂の縄張りで、♀を囲ってがっちり警護しているのかもしれませんが、私は見落としました。


ハグロトンボ♂を片端から捕獲して個体識別のマーキングを施してから放ち、縄張り争いを長時間観察したら面白そうです。
目立つ色で翅にペイントしてしまうと、ハグロトンボの行動(種の認識)に悪影響を及ぼしてしまうかな?
(胴体にペイントしたら大丈夫?)

人工的な色を塗るのではなく翅に小さな切れ込みを入れて個体標識するという手もあります。

今回はてっきりハグロトンボ♂だと思い込み、撮影しただけで採集していません。
しかし映像を見直すと、本当にハグロトンボ♂なのか、気になる点がありました。
葉に止まったときなど、上に反り返った腹端の下面(腹面)が白い個体が居ました。
これはアオハダトンボ♂(Calopteryx japonica)の特徴です。
ここには2種のトンボが混棲しているのでしょうか?
しかし図鑑『日本のトンボ』によれば、アオハダトンボは準絶滅危惧種NTらしく、山形県南部に分布するという記録は無いようです。
今回同じ水域で見かけた♀は間違いなくハグロトンボでした。
撮影した8月下旬はアオハダトンボ成虫の出現期(6〜7月)にしては遅く、ハグロトンボ成虫の出現期(7〜8月)に合致しています。

この同属2種は出現期をずらして棲み分けをしているのでしょう。
今回は強い日差しが反射した結果、ハグロトンボ♂の腹端が白く見えただけ、という可能性もありそうです。(苦しい言い訳?)
来季は念の為にトンボを採集してしっかり同定するつもりですが、秋の台風で川がひどく増水したので棲息環境が破壊されてしまったかもしれません。
川底から湧き水が出て、年間を通して水温が安定していることがハグロトンボのヤゴの生育に必要なのだとか。(参考:月刊かがくのとも2014年6月号・吉谷昭憲『はぐろとんぼ』)



ハグロトンボ♂@タニウツギ葉+翅開閉誇示
ハグロトンボ♂2@タニウツギ葉+翅開閉誇示(左の個体は上に曲げている腹端腹面が白いのでアオハダトンボ♂かも?!)
ハグロトンボ♀2@小川岸+翅開閉誇示

2020/01/15

柵の手摺で遊び回るニホンザルの仲良し3頭(追い越し、マウンティング、木登りブランコ遊びなど)



2019年7月下旬・午前7:30頃

山麓の水路沿いのフェンスで朝からニホンザルMacaca fuscata fuscata)の仲良しトリオが遊んでいました。
鉄パイプの手摺に3頭が身を寄せ合うように座っています。
2頭はやんちゃな子猿、もう1頭は年上のようですが、兄弟姉妹なのか親子なのか先輩・後輩なのか、関係性が不明です。
(とりあえず勝手に先輩・後輩と呼ぶことにします。)
残念ながら私にはこのトリオの性別もしっかり見分けられません。
3頭すべて睾丸が見えないので♀だと思うのですが、どうでしょう?
先輩の胸に乳首が見えないので、母親とは思えません。

手摺を先行する子猿を急き立てるように、後ろから先輩が煽っています。
ただでさえ歩きづらいのに後ろから煽られた後輩Aは堪らず水路側のフェンスを伝って少し降りて、先輩に道を譲りました。
ノシノシと追い越した先輩が、手摺に戻って来た後輩Aに振り返りざま掴みかかろうとしたものの、後輩の子猿Aはフェンスから横の道に飛び降りて逃げました。
後続の後輩Bは、大胆不敵にも手摺を先行する先輩の背中にピョンと飛び乗って追い越しました!
そのまま手摺で子猿A、B同士の追いかけっこが始まりました。
2頭の子猿A、Bは同い年ぐらいと思っていたのに、追いついた個体が背後からマウントし、腰を少しスラストしました。
こんなに若い年齢でのマウンティングは交尾行動ではなく、個体間の順位を決める優位行動だと思います。

(夏はニホンザルの発情期ではありません。)
残念ながら私には子猿A、Bの性別が見分けられません。(3頭すべて睾丸が見えないので♀だと思うのですが、どうでしょう?)
そこへ先輩が追いつくと、後輩の子猿が機嫌取りをするように甲斐甲斐しく対他毛繕い(ノミ取り)を始めました。

やがて2頭の後輩(子猿AB)を先頭に手摺の上を歩き去ります。
途中で子猿Aが前を塞ぐ子猿Bを身軽にヒラリと跳び越えました。
少し助走を付けてから、横に生えたコナラ灌木の枝に跳び移りました。
そのままスルスルとコナラの枝を登っていきます。

手摺をゆっくり歩いて来た先輩がコナラの木の下で座り込みました。
コナラの枝葉を手で引き寄せて採食しようとしているのかな?
先にコナラの木に登っていた個体(子猿A)が、しなる枝に逆さまにぶら下がりながら降りて来くると、最後は地面に飛び降りました。(ブランコ遊び)
後輩(子猿A)はすぐにフェンスをよじ登って手摺に戻りました。

採食を邪魔された先輩が 子猿Aを手摺上で軽く追いかけたものの、子猿Aはフェンスを伝って横の道に逃げました。
もう1頭の子猿Bも手摺を走って戻って来ました。
先輩は近寄ってきた子猿Bに対して口を大きく開けて軽く威嚇しています。
左手で後輩(子猿B)の頭の毛を鷲掴みにして手荒に引き寄せ、無理やり腹這いにすると強引に対他毛繕いを始めました。
ところが、ろくにノミ取りもしないで離れました。
素人目には、これも一種のマウンティングのような優位行動(力の誇示、威嚇)のように見えました。
最後はフェンスの手摺から横の地面に飛び降りました。

群れが採食しながら一方向にゆっくり遊動しているという感じでもなく、この3頭はとにかくふざけて遊びながらフェンスの手摺を行ったり来たりしていました。
先輩は後輩(子猿A、B)に対して必ずしもいじめっ子(ガキ大将?)という風でもなく、時には寛大だったり手加減して遊んでやっている印象でした。
ニホンザルは高い身体能力を活かせば狭い1車線の手摺でも追い越し禁止ではなく、あおり運転への対応もヒトより遥かにスマートでした。

たった4分間の観察でもこれだけ面白い物語が生まれるのですから、群れのニホンザルをしっかり個体識別して関係性を把握しつつ行動を観察できれば更に面白くなるに違いありません。


ニホンザル3@用水路・手摺
ニホンザル2:子猿@用水路・手摺+マウンティング
ニホンザル3@用水路・手摺+対他毛繕い

ホソヘリカメムシ♂を吸汁するアオメアブの飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月下旬・正午頃

川沿いの堤防と河畔林の間の小路でイネ科の葉にアオメアブCophinopoda chinensis)が止まって獲物を吸汁していました。
日差しが強いので、見る角度によっては複眼の構造色が青く見えたり赤く見えたりと非常に美しく輝いています。
褐色のカメムシの胸背に突き刺した黒くて太い口吻がはっきり見えます。
(右の前脚かと一瞬思ったのですが、確かに口吻です。)

獲物は毒液を注入されて麻酔されているのか、全く動きません。

ムシヒキアブ科:昆虫をとらえ、口吻で刺して麻酔した後、体液を吸う。 (図鑑『札幌の昆虫』p190より引用)

アングルを変えるために私が撮りながらそっと近づいてみても、アオメアブは逃げませんでした。
飛び立つ瞬間を狙ってハイスピード動画撮影240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:49〜)
前回観察したときは獲物を空中で落としてしまったのですが、今回はしっかり獲物を抱えたまま素早く羽ばたいて飛び去りました。

▼関連記事
マメコガネを吸汁するアオメアブの飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】


さて、餌食となったカメムシの種類は何でしょう?
オオトビサシガメと迷ったりしたのですが、後脚腿節に棘が並んでいることからホソヘリカメムシ♂(Riptortus pedestris)と判明しました。
ホソヘリカメムシは悪臭を出さないものの、蜂のように飛び、♂同士の縄張り争いでは

棘がついた後ろ足で相手をはさみつけるという方法がとられ、後脚腿節が長いものが有利になる (wikipediaより引用)
らしのですが、自慢の武器でも身を守れずあえなく捕食されてしまいました。
狩りの瞬間を見ていませんが、おそらくアオメアブが背後から不意に急襲したのでしょう。


アオメアブ:背面@イネ科葉+ホソヘリカメムシ♂捕食吸汁
アオメアブ:側面@イネ科葉+ホソヘリカメムシ♂捕食吸汁
アオメアブ:側面@イネ科葉+ホソヘリカメムシ♂捕食吸汁・全景

2020/01/13

クサガメ♂の岩登り



2019年8月下旬・午後13:44〜13:54


▼前回の記事
甲羅干しの場所が取れず泳いで探し回る巨大ミシシッピアカミミガメ

蓮池の岩場に集まった亀の中から1頭のクサガメMauremys reevesii)に注目します。
体格は小ぶりながらも全身が黒い(黄色い模様が消失)ので、♂成体です。
日当たりの良い岩を見つけて池から上陸したものの、その岩は尾根のように狭く尖っているので、見るからに居心地が悪そうです。
甲羅干ししながら瞬きしたり、長い首を甲羅に出し入れしたり、喉をヒクヒクさせたりする様子が可愛らしく思えてきます。

やがて居心地の悪い岩の上で向きを変えると、隣の大きな岩の斜面をよじ登り始めました。
その岩は日当り良好で広いものの、傾斜が急過ぎるのが難点です。
平らな一枚岩の急斜面を手足の爪を使ってよじ登り、なんとか頂上に到達しました。
斜めの岩からずり落ちそうになりつつ必死で踏ん張り、横にトラバースしています。
更に隣の平らな岩にようやく移動しました。
今度の岩は水平で面積も広いのですが、日陰になっています。
しかも巨大なクサガメ(おそらく♀成体)が先客として居座っていました。
同じ岩に乗っても特に争いは起こらず、平和にルームシェアするようです。

岩場の中でも亀の甲羅干しに適しているかどうか、それぞれの岩の評価(日照条件、面積、傾斜、先客の有無など)は一長一短で、亀は場所取りに苦労していることがよく分かりました。
今回注目したクサガメ♂が苦労して♀の居る岩まで移動したのは、もしかすると求愛の意図が多少あったのかもしれません。
ただしクサガメの求愛・交尾は水中で行われるそうです。



・(クサガメの)オスの成体は虹彩も含めた全身が黒化(メラニスティック)し[6]、斑紋が消失する[5][4]。メスも成長に伴い体色が暗くなるが、斑紋が消失することはまれ[4]。
・オスは水中でメスの吻端に頭部や前肢を擦りよせるような行動で求愛し、メスが動きを止めオスを受け入れると交尾する[7]。 (wikipediaより引用)


つづく→岩場でクサガメ♀の甲羅に乗る♂



クサガメ♂γ@蓮池:岩場-1
クサガメ♂γ@蓮池:岩場-2
クサガメ♂γ+♀@蓮池:岩場-3

湿地帯のカヤツリグサ群落で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂



2019年8月下旬・午前10:50頃(雨の翌日で晴れ)

▼関連記事
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

雨上がりの河川敷でノシメトンボ♀♂(Sympetrum infuscatum)が産卵していたスギゴケ?群落の奥(川に近い地帯)にはカヤツリグサなどが生い茂った草地が広がっていて、そこでも数組の♀♂ペアが連結打空産卵していました。

あぶれた♂が枯草の茎のてっぺんに止まって休んでいます。
縄張りを占有して♀を待ち伏せしているはずなのに、近くで産卵しているカップルの邪魔をしたり♀を強奪したりすることはありせんでした。

カヤツリグサの種類を調べたかったのですが、履いていた靴を泥だらけにしてまで湿地帯に踏み込む根性が無くて諦めました。
夏のフィールドでは長靴やサンダル履きの方が良い場合もあります。


ノシメトンボ♀♂2@連結打空産卵:カヤツリグサ群落


2020/01/12

ナガコガネグモ♀(蜘蛛)の垂直円網で音叉を鳴らすと…



2019年8月下旬・午後午後15:00頃

造網性のクモと遊ぶ定番の実験です。
コンと一発叩いて鳴らした音叉でナガコガネグモ♀(Argiope bruennichi)の正常円網に触れて振動(440 Hz)を与えると、こしきに占座していたクモがすかさず反応し、駆け寄ってきました。

歩脚で音叉に触れたものの、捕帯でぐるぐる巻きにするラッピングは行いませんでした。
音叉への噛みつきも見られませんでした。
音叉の振動がすぐに減衰してしまうためか、本物の獲物ではないとすぐに見破ったようです。
ナガコガネグモ♀はすごすごと定位置の甑に戻りました。
音叉を網の粘着糸から引き剥がすときに少し反応しました。

もう一度実験を繰り返しても、結果は同じでした。
今度は音叉に見切りをつけて甑に戻るまでの時間が早まりました。
もっとしつこく繰り返せば、クモは学習して(慣れが生じて)音叉に反応しなくなるのかもしれません。
音叉を網から剥がす度に円網がどんどん壊れてしまうので、2回で止めておきました。


ナガコガネグモ♀(蜘蛛)背面@正常円網+甑:占座
ナガコガネグモ♀(蜘蛛)背面@正常円網+甑:占座
ナガコガネグモ♀(蜘蛛)側面@正常円網+甑:占座

川の浅瀬で虫を捕食するセグロセキレイ♀(野鳥)



2019年8月下旬・午前10:10〜10:13

セグロセキレイ♀(Motacilla grandis)が飛び石伝いに川の浅瀬を渡っていました。
どうやら近くにいる私を警戒しているようです。
(若鳥と迷ったのですが、♀成鳥ですかね?)

ようやく警戒が解けると、川の浅瀬に入って歩き回り始めました。
緑の落葉を試しについばんでみたりして餌を探し、飛び石の隙間で虫を捕食しました。

最後は下流へ飛び去りました。


セグロセキレイ♀(野鳥)@川:飛び石
セグロセキレイ♀(野鳥)@川:浅瀬

ジャノメチョウ♀♂の求愛飛翔



2019年8月下旬・午前11:40

雑草の生い茂った土手からジャノメチョウMinois dryas bipunctata)が飛び立つと、別個体を追いかけたり互いにもつれ合うように激しい乱舞を始めました。
しかし2頭はすぐに別れ、土手を飛び越えて姿を消しました。
♂同士の縄張り争い、それとも♀♂ペアによる求愛飛翔のどちらでしょうか?

1/5倍速のスローモーションで再生してみると、1頭の後翅裏面に目立つ白帯があるので♀、他方が♂のようです。(図鑑によれば例外もあるようですが、今回は難しく考えないようにします。)
ハイスピード動画に切り替える間もなく、逃げられてしまいました。


ジャノメチョウ2@求愛飛翔・乱舞

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