2023/02/04

夜の溜め糞場で糞虫を捕食するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬・午後20:00頃・気温21℃ 

里山の杉林道にある溜め糞場sを監視カメラで見張っていると、ある晩にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右からやって来ました。 
この個体は「フサ尾」です。 
痩せて見えるのは夏毛だからか、それとも若い個体なのか、観察歴の浅い私にはよく分かりません。 

ニホンアナグマMeles anakuma)が残した溜め糞の周囲で立ち止まるとスギ落ち葉の匂いを嗅ぎ、何か虫を捕食しました! 
残念ながら獲物の正体は不明ですが、おそらく夜行性の糞虫の一種でしょう。 
その場でムシャムシャと平らげ、頻りに首を振っています。 
もしかすると、餌食となった虫が毒ガス(最後っ屁)を放出したのかな?  
だとすると、糞虫ではなくオサムシやゴミムシの仲間かもしれません。 
それとも食べた糞虫がシンプルに臭くて不味かったのでしょうか。
捕食シーンを1/4倍速のスローモーションでリプレイ。


虫を食べた後のタヌキが急にスギ大木の根元に生えた下草に向かって駆け寄りました。
なんとなく、振る舞いが幼獣のような気がします。 
飛び回る夜蛾?を追いかけたのかもしれませんが、映像にターゲットの昆虫は写っていません。 
その狩りは失敗したようです。 
暗闇でタヌキはどのぐらい目が見えているのでしょうか?  
この日の月齢は満月ではなく上弦の月です。 (月齢7.8、月の出は午後13:19、月の入りは午後22:37) 
昼間でも薄暗い鬱蒼としたスギ林の林床に充分な月明かりが差し込んでいるとは思えません。 
タヌキは主に嗅覚や聴覚を頼りにして、夜の森で獲物を探しているのでしょう。

最後に林道を左へ立ち去る前に、画面の左端でタヌキが放尿マーキングしたかもしれません。 
1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみると、後方へシャッと少量の尿を放出したように見えます。 
後方へ排尿したということは、♀なのかな? 
しかし、モノクロのスロー映像を何度も見直すと、私の願望がもたらした目の錯覚のような気もしてきました。 
スギの落ち葉や落枝がタヌキに踏まれたせいで動き、小便したように見えただけですかね? 
この1回だけでは、なんとも言えません。 

参考サイト:タヌキ
交尾・出産:発情期が近づくと、雄は後肢をあげて尿かけをするマーキングが増える。
今回の個体は、自分たちの溜め糞場には興味を示さず、排便するどころか迂回するように通り過ぎました。 

タヌキの捕食シーンおよび放尿マーキングは初見です。 
自分たちが排泄した溜め糞に食糞性の昆虫が集まり、それを更にタヌキが捕食していることが分かりました。 
溜め糞場を見ているだけでも、様々な生き物が登場し、なかなか複雑に絡み合った面白い生態系です。 



ミズナラの樹液を吸いに来たサトキマダラヒカゲを追い払うスジクワガタ♂

 

2022年9月上旬・午後14:25頃・くもり 

里山の急斜面をジグザグに登る細い山道の横にミズナラの大木がそびえ立っています。 
その苔むした幹にサトキマダラヒカゲNeope goschkevitschii)が翅を閉じて止まっていました。 
小刻みに素早く翅を開閉しながら、幹を歩いて下り始めました。 
サトキマダラヒカゲが到達したのはミズナラの樹液酒場でした。 
苔むした樹皮の内側から木屑(フラス)が排出されているのは、材の中に穿孔して潜むカミキリムシ幼虫の排糞孔です。 
その傷口からミズナラの樹液が滲み出しているいるのです。 
私の鼻では樹液の発酵臭を嗅ぎ取れませんでした。 
樹液酒場には2匹のスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis striatipennis)などが先客として群がって居ました。 

サトキマダラヒカゲは翅を閉じたまま、長い口吻を伸ばして樹液を吸汁し始めました。 
先客スジクワガタ♂の存在に気づいていないのか、足で踏んづけています。
蝶の種類を同定するために翅裏に正対して紋様をしっかり撮りたかったのですが、見つけたときには近過ぎて、私が下手に動くと逃げられそうです。 
残念ながら蝶はすぐに飛び去ってしまいました。 
私のせいではなく、隣席の先客スジクワガタ♂に追い出されたようです。 

薄暗い現場では蝶をミドリヒョウモン♀と見間違え、樹皮に産卵するのかと予想したのですが、映像を見直すと全然違いました。 
後翅裏の斑紋の配列(緩やかなくの字)から、ヤマキマダラヒカゲではなくサトキマダラヒカゲと判明。 

カメラを上にパンして、ミズナラの樹高を示します。 
季の入ったミズナラの幹にはツタ?の蔓も巻き付いています。 
周囲の雑木林ではミンミンゼミ♂が鳴いていました♪ 




2023/02/03

夜の水場に来たホンドテン?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月上旬・午後20:09 

山中の泉を見張る監視カメラにホンドテンMartes melampus melampus)らしき小動物が写りました。 
画面の対岸は、池の湧き水が流れ出る浅い水路(沢の源流)になっています。 
生い茂る雑草をかき分けながら、その流れをテンが遡上してきました。 
カメラの存在に気づいたのか、警戒して一旦戻りかけました。 
右岸の水際に沿って少し進んでから、草深い崖を斜めに登りました。
池で水を飲んだり水浴したりすることはありませんでした。 

胴体が細長く、夏毛のテンだと思うのですが、もしかしてニホンイタチMustela itatsi)ですかね? 
モノクロの暗視動画では体色が見えないのと、大きさの比較対象が無いと体長が分からないのがネックです。 
前回登場したハクビシンよりは明らかに小型の動物です。
関連記事(6日前の撮影)▶ 深夜の水場で排便するハクビシン?【トレイルカメラ:暗視映像】

カクトラノオの花蜜を吸うキイロスズメバチ♀

 

2022年9月上旬・午後16:30頃・くもり 

堤防路の花壇に咲いたハナトラノオ(別名カクトラノオ)の小群落でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
唇形花の花序に忙しなく正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。 

絶え間ない風揺れに悩まされ、撮影には悪条件でした。 
激しく揺れる花穂を左手で摘んで固定したら、だいぶ安定しました。
脅かさないようにゆっくり動けば、訪花中のスズメバチに刺されることはありません。
風のせいか、キイロスズメバチ♀も花筒の入口を見つけるのに苦労しているようです。 
隣接する花序には飛ばずに渡り歩いて移動していました。


2023/02/02

ニホンイノシシのヌタ場を探せ(2)夜の林道でミゾソバを採食【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2022年9月上旬 

ニホンイノシシSus scrofa leucomystax)がヌタ場で泥浴びするシーンが撮りたくて、林道上の水溜りをトレイルカメラで監視しています。 
ようやく夜にイノシシがまた通りかかりました。 
カメラの設置角度に問題があり、手前に生えた灌木の枝葉が邪魔で、肝心の水溜りがしっかり見えません。 
昼間に設置したときには、これほど枝葉が赤外線で白飛びするとは予想できませんでした。


シーン1:9/5・午後19:49 
林道の真ん中にある水たまりを避けながら、イノシシが林道の左端を歩いて右へ歩いて行きました。 
赤外線の暗視カメラでは、イノシシの体に斑模様がある(四肢が白っぽい)ように見えるのですが、泥で汚れているのかどうか不明です。 


シーン2:9/8・午後18:40頃・日の入り時刻は午後18:02 (@0:11〜) 
3日後の晩に林道を右から登場したイノシシは、林道の下草をムシャムシャと食べています。 
水溜りには決して入らず、その周囲に密生するミゾソバなどをひたすら採食しています。 
今回も泥浴びするどころか、道草を食いながら水溜りを迂回しました。

食事が済むと、林道脇の斜面(法面)を登ってカメラの死角に消えました。 
カメラの背後でハァハァという荒い鼻息♪が聞こえます。 
それで終わりではなく、不思議な霧?が煙のように流れました。 
私の想像ですけど、イノシシが近くの立木にゴシゴシと毛皮を擦り付けた際に土煙が上がったり、短い抜け毛が風で舞ったりしたのかもしれません。
監視カメラをもう1台増やして、逆側からも狙いたくなります。
関連記事▶ ニホンイノシシによる泥汚れ?(1)カラマツの幹

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
最後だけ音声を正規化して音量を強制的に上げています。




アカバトガリオオズハネカクシがタヌキの溜め糞で獲物を待ち伏せオオマダラヒロクチバエを狩る

 

2022年9月上旬・午後13:10頃・晴れ 

里山の細い尾根道を縦走中に糞便臭がするので足元を見ると、タヌキの溜め糞場cに新鮮な糞が追加されていました。
関連記事(同所で1年前の撮影)▶ 夜の山道で溜め糞に排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】
ここはタヌキの往来が少ないのか、糞が残されているのは珍しいです。
その獣糞に様々な種類のハエが多数群がっていました。 
キンバエ類(クロバエ科:種名不詳)、ニクバエ科(種名不詳)などの常連客に混じって、オオマダラヒロクチバエEuprosopia grahami)が4匹も集まって糞を舐めていました。 


キンバエの種類を私は見分けられませんが、♀♂ともに居るのに、皆が獣糞の吸汁に夢中で求愛交尾しないのは不思議でした。 
1匹だけ来ていたニクバエは遠慮しているのか、獣糞の横のオオバコの葉の上で待機しています。 
タヌキの糞塊自体がときどきモコモコと大きく上下動するのは、糞虫類が地下で活動しているのでしょう。 
右隣の固形糞はなぜかハエ類にあまり人気がなかったものの、1匹のアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)が獣糞の下に潜り込んだり上を走り回ったりしています。(@0:18〜) 

その後も私がハエ類の活動ばかりに気を取られて録画していると、画面の左下で大事件が勃発しました。(@0:42〜) 
溜め糞場cで獲物を待ち伏せしていた肉食性のアカバトガリオオズハネカクシがいつの間にかオオマダラヒロクチバエを見事に仕留めていたのです。 
狩りに成功した直後のアカバトガリオオズハネカクシは暴れる獲物の胸背を咥えていたのですが、ようやく隙を見て急所の首に大顎で噛み付きました。 
そのまま獲物をあちこち引きずり回し、獣糞の下に運び込みました。 
ただの偶然(行きあたりばったり)かもしれませんが、獲物をライバルに横取りされないように物陰に隠れたのかもしれません。 
ところが再び獲物を運んで移動しました。

仰向けになったオオマダラヒロクチバエの腹端から細長い器官が伸びています。 
これは♀の産卵管なのか、♂の交尾器なのか、どちらでしょう?(性別判定) 
ハネカクシがハエの腹部に噛み付くと、焦げ茶色の液体が流出しました。 
この色からして、ハエの血液ではないことは確かです。 
吸汁したばかりのタヌキの糞汁だと思います。 
餌食となったオオマダラヒロクチバエは虫の息で、脚だけを動かしていました。 

アカバトガリオオズハネカクシが狩った獲物を巣に搬入したり、異性に求愛給餌を始めたりしたらとても面白いのですが、そのような行動は見ていません。 
ハエは俊敏なはずなのに、油断して逃げ遅れたのでしょうか?
ハネカクシには何か特別な戦法があるのでしょうか?
今回も狩りの瞬間を撮り損ねてしまい、残念無念…。 


仲間が犠牲になっても、ハエの群れは溜め糞場で平然と吸汁を続けていました。 

撮影中は気づかなかったのですが、地味な茶色のカメムシも溜め糞に来ていました。 (@1:36〜)
背側がしっかり撮れていないため、私には種類が見分けられません。
関連記事(9年前の撮影)▶ 獣糞を吸汁するハラビロヘリカメムシ

他には透明な翅の根元がオレンジ色っぽいハエも獣糞を舐めに来ていました。
(@1:36〜)
私のフィールドでは溜め糞場の常連客なのですが、名前をご存知の方がいれば教えてください。 
当てずっぽうでキバネクロバエ、キアシフンバエやキバネフンバエなどを検討してみたものの、どれもしっくり来ません。

2023/02/01

朝のスギ林道を渡るニホンリス【トレイルカメラ】

 


2022年9月上旬・午前(早朝)

里山のスギ林道にある溜め糞場sを監視カメラで見張っていると、ニホンリスSciurus lis)が写りました。 
興味深いことに、3回とも早朝に現れました。
個体識別ができていないので、何匹のリスが登場したのか不明です。 

シーン1:9/5・午前6:38・気温21℃ (日の出時刻は午前5:09) 
朝の林道を手前に向かってチョロチョロと横断しました。 
そのまま林道脇の法面を登ったかもしれません。 
途中で何度も立ち止まってくれたおかげで、しっかり動画に撮れました。 


シーン2:9/6・午前5:14・気温21℃ (日の出時刻は午前5:10) (@0:10〜) 
夜明けの薄暗い林道にリスが登場しました。 
画面奥の斜面を登って来たようで、そのまま対面に見えるスギの大木(胸高直径60.5cm)に跳びつきました。 
木登りしたのかと思いきや、すぐに右下の林床に飛び降り、右へ走り去りました。 


シーン3:9/10・午前6:36・気温21℃ (日の出時刻は午前5:13) (@0:22〜) 
朝の林道を奥から手前へと走って横切りました。 


野生のリスがスギ林に一体何の用事があるのか不思議でした。 
スギ林にリスの食べる物は無いはずだからです。 
実は、現場から50mほど離れた地点にオニグルミの大木が自生していました。 
私がこのトレイルカメラの電池を交換している作業中に、そちらの方角から謎の野生動物がクルミの硬い堅果をガリガリ、ボリボリと齧る音が静かな森に響き渡るのを何度も聞いてます。
今思うと、あれはリスのしわざだったのではないかと思います。
ニホンリスは餌場となるクルミの木を拠点にして、縄張りを朝から探索(遠征?)するためにスギ林を通り抜けていたのだと考えれば納得できます。 
昼行性のリスは日の出とともに巣を出て活動を始めるのかもしれません。(近くにリスの巣がありそうです。)
来季はそのオニグルミの木を重点的にマークすれば、リスの暮らしがもう少し見えてくるのではないかと期待しています。



ヒメスズメバチ♀の探餌飛翔:獲物となるアシナガバチの巣をガードレールで探索

 

2022年9月上旬・午前10:25頃・くもり 

山麓の農村部で用水路に沿って設置されたガードレールの周囲をヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)のワーカー♀が飛び回っていました。 
特に袖ビーム(ガードレールの端の丸まった部分)などの物陰でホバリング(停空飛翔)して、重点的に何かを探しているようです。 
ヒメスズメバチはアシナガバチの幼虫や蛹を専門に狩ることで有名です。 
獲物となるアシナガバチの巣を探索しているのだと分かりました。 
この個体は過去の成功体験を元に、ガードレールにはアシナガバチの巣があると学習したのでしょう。 
対岸のガードレールも抜かり無くチェックしています。 
余りにも忙しなく飛び回るヒメスズメバチ♀を流し撮りすると、見てるだけで酔いそうになるので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
今回は残念ながら狩りのシーンを観察できず、ヒメスズメバチ♀は飛び去りました。

実際に私も道端のガードレールでアシナガバチの巣をいくつも見つけたことがあります。
特に車道の反対側の面が狙い目です。

2023/01/31

夜の池畔で林道の下草や灌木を採食するニホンカモシカ【トレイルカメラ:細切れの暗視映像】

 

2022年9月上旬〜中旬・夜 

トレイルカメラで見張っている山中の水場に夜、ニホンカモシカCapricornis crispus)が登場しました。 
レイルカメラの電池が消耗してくると、暗視映像をわずか数秒間録画しただけで切れ、恒温動物の動きに反応して再び起動する、という挙動を健気に繰り返します。 
そのため、細切れ動画のつなぎ合わせになってしまいました。 

シーン1:9/10・午後21:19 
左岸の奥の林道にカモシカが立ち止まって体を曲げ、左脇腹を口で毛繕いしていました。 


シーン2:9/10・午後21:20 
右岸に移動したカモシカが体を曲げて、右脇腹を口で毛繕いしています。 
なんとなく、蚊に喰われた脇腹が痒くて掻いているのではないか?と想像しました。 
池畔の灌木に眼下腺マーキングしているようにも見えますが、それなら灌木の細い枝葉が揺れるはずです。 


シーン3:9/12・午前1:55 (@0:07〜) 
カメラの電池残量がいよいよ限界を迎え、たった1〜2秒間しか暗視動画が撮れなくなりました。 
仕方がないので、これ以降は1/3倍速のスローモーションに加工してからつなぎ合わせます。 

霧の立ち込める深夜に現れたニホンカモシカが対岸の林道で立ち止まり、頭を下げて下草を採食しているようです。 


シーン4:9/12・午前1:55 
林道で下草を食べています。 
この映像だけでは、夜霧のせいで角がよく見えず、ニホンジカのようにも見えてきました。 
「草食獣と言ってもカモシカはgrazerではなくbrowserなので、下草を食べないはず」という本で読んだ生半可な知識に邪魔されて、迷いが生じました。 
ちなみにニホンジカはgrazerで、ここ多雪地帯では生息できないことになっています(極めて稀にしか見られません)。 
しかし後日に、カモシカが林道の下草を夜な夜な採食する証拠映像がバッチリ撮れました。(映像公開予定) 


シーン4:9/12・午前1:57 
カモシカは対岸の林道を少し前進し、泉の水が沢の源流となって流れ出る辺りで草を採食中でした。 


シーン5:9/12・午前2:08 
林道を左へ立ち去る獣の白い目が光って見えました。 


シーン6:9/12・午前2:13 
いつの間にか左にまた戻って来て、対岸の林道で下草を食んでいます。 
やがて、下草よりも背丈の高い灌木の葉を採食し始めました。 
また頭を下げて採食メニューを下草に戻しました。 
急に頭を上げて警戒しました。 
また灌木の葉を採食しています。 
右岸の奥(画面の右上隅)を白い目が移動して行きます。 


シーン7:9/12・午前3:23 
約40分後に別個体?が対岸奥の林道を左から右へ歩いて行きます。 
体格が小柄に見えるのはただの遠近法かもしれませんが、なんとなく幼獣のような気もします。 


トレイルカメラの電池が万全の状態でしっかり録画できなかったのは心残りです。 
貧乏性なのでボツにするには忍びなく、記録に残しておきます。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 

白い菌糸塊?を食べるセンチコガネ

 

2022年9月上旬・午後12:20頃・くもり 

里山の林道の真ん中が謎の白い塊に覆われ、通りかかるたびに気になっていました。 
遠目にはまるで酔っ払いの吐瀉物のようです。 
林床の落葉や落枝などを分解する菌糸の塊なのでしょうか? 
白カビとも違います。(フワフワしていない) 
松ぼっくり(アカマツの落果)にも白い菌糸が侵食していました。 
アニメで見る腐海のような光景です。 

クリーム色の菌糸塊?の真ん中に1匹のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が居座り、それを食べてしました。 
センチコガネは糞虫の仲間ですけど、キノコも好物であることが知られています。 
ということは、キノコ(子実体)になる前の幼菌なのかな?
関連記事(12年前の撮影)▶ キノコ好きなセンチコガネ
森昭彦『ファーブルが観た夢  地球生命の不思議な迷宮』という本を読み返すと、第4章はセンチコガネを扱っています。
キノコ(子実体)も食べるが、菌糸も好きらしいのだ。実際、自然界でも、枯れ葉がつもる森の土に、白い菌糸がびっしりとはびこることがある。センチコガネは、ここに飛来して、うまそうに食べていた。(p222より引用)

しかし残念ながら写真が添付されていないので、「白い菌糸」の様子を想像するしかありません。 

望遠マクロで顔正面から狙うと、頭楯の縁が丸みを帯びているので、オオセンチコガネではなくセンチコガネと分かります。 
鞘翅は鈍い藍色の金属光沢を帯びていました。 
大顎を開閉して白い菌糸を齧っています。 
食べかけの菌糸が頭部に少量付着していました。 

途中から飛来したハエは何でしょう? 
翅の根元がオレンジ色を帯び、脚も黄色っぽいです。 
素人目にはキアシフンバエと似ているような、似てないような? 
菌糸塊の表面を舐めながら、果敢にもセンチコガネの横から近づき、腹の下に潜り込みました。 
ショウジョウバエのような小型のハエも数匹集まり、菌糸塊を舐めていました。 

センチコガネはハエ類の存在には無頓着でした。 
同じ場所に陣取ってひたすら食べ続けています。 
一生食べきれない量のご馳走です。 
センチコガネが菌糸塊を食べ進む様子を微速度撮影で長撮りしてみたかったのですが、あいにくこの日は三脚を持ってきていませんでした。 
もし粘菌だとすると、菌糸塊?全体が脈動していたかもしれません。 

撮影後に被写体のセンチコガネを採集しました。 
標本写真を後で載せます。 
性別は? 

その後も定点観察に通ったのですが、センチコガネ類は二度と来ていませんでした。 (二匹目のドジョウは採れず)
このクリーム色の菌糸塊はやがて消失しました。 
秋が深まるとキノコの子実体(成菌)が育つかと期待したのですけど、跡地には何も生えてきませんでした。 
毎日チェックした訳ではないので、私が来ない日に、あっという間にキノコの子実体が生えてすぐに消えたのかもしれません。
もしかするとキノコではなく、粘菌の一種なのでしょうか? 
「白い粘菌」で画像検索するとシロススホコリなどがヒットしますが、素人目にはいまいちしっくり来ません。 

謎の菌糸塊?の正体をご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。 
周囲の環境は雑木林の低山(里山)です。 
東北地方日本海側の多雪地帯で、ブナ帯よりも標高が低いミズナラ帯に属します。



センチコガネとキアシフンバエ?
センチコガネとキアシフンバエ?
採寸代わりに置いたクマよけスプレー(長さ20cm)
松ぼっくりも白い菌糸に飲み込まれつつある


2023/01/30

ぬかるんだ林道を朝に横切るツキノワグマ【トレイルカメラ】

 



2022年9月上旬・午前8:10頃

里山の林道でヌタ場らしき水溜りがある区間を見張っている監視カメラに、ツキノワグマUrsus thibetanus)が写りました。 
真っ黒の熊がノシノシと林道を横切ると、画面奥の斜面を下って行きました。 
様々な野生動物が林道を外れてそっちの獣道を利用しているようなので、来季はそちらも調べてみるつもりです。 
今回もツキノワグマはわざわざ水溜り(ヌタ場?)にジャブジャブ入って泥濘を歩くことはしませんでした。 

朝で明るいはずなのに、古い機種のトレイルカメラで録画するとなぜか画面全体がピンク色になってしまいます。 
それを解消するため、動画編集時に自動色調補正を施しました。 

マルバハギの花蜜を吸うツバメシジミ♂

 

2022年9月上旬・午後15:40頃・くもり 

山道の横に咲いたマルバハギツバメシジミ♂(Everes argiades hellotia)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を半開きにして吸蜜しています。 
吸蜜中も後翅を交互に動かし、尾状突起を触角のように動かしています。 
本種はマメ科植物が食草なので、交尾相手の♀を待ち伏せしているのかな? 
前翅の外縁が破損した個体でした。 

すぐに飛び去ってしまったので、飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

2023/01/29

ヒトの立ち小便跡の匂いを嗅ぎスクワットマーキングするニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬・午後23:22・雨・気温22℃ 

里山のスギ林道にある溜め糞場sを監視カメラで見張っていると、雨夜にニホンアナグマMeles anakuma)が右から登場しました。 
スギ大木(胸高直径60.5cm)の根元の匂いを嗅ぎながら後足で立ち上がり、少し高い位置の匂いを嗅いでいます。 
実は5日前に通りかかったヒト(匿名希望の誰かさん♂)がそこで立ち小便をしたので、アナグマは知らない匂いに興味を持ったのでしょう。 
尿で匂い付けした位置がアナグマにとっては高いので、おそろしく巨大な謎の動物が縄張り内の溜め糞場でマーキングしたと思ったことでしょう。 
しかし特に恐ろしがる素振りはありません。 
スギの木の下でさっと腰をかがめただけでした。 
肛門腺や臭腺を下草に擦り付けるスクワットマーキングだと思うのですが、もしかすると少量の尿を排泄して匂い付けしたのかもしれません。 
アナグマがスギ木立に逆立ちしながら排尿して、ヒト♂の立ち小便跡よりも少しでも高い位置におしっこを引っかけて縄張りをアピールするかと期待したのですが、私の予想は外れました。 

この個体は顔にうっすらと黒い縦縞が見えます。 
今回は溜め糞場で排便せずに、左へ立ち去りました。



ヌスビトハギの葉をハキリバチ♀が大量にくり抜いた跡【フィールドサイン】

 

2022年9月上旬・午後12:00頃・くもり 

里山の林道上に点々と生えたヌスビトハギがピンクの蝶形花を咲かせています。 
植物名が分からずにずっと気になっていたのですが、花後に特徴的な節果ができていたことから、ヌスビトハギと思い出しました。 
ヌスビトハギの節果は俗称「ひっつき虫」の一つで、通りすがりにヒトの衣服に張り付きます。 

マメ科に特有の羽状複葉(三出複葉)の小葉に丸くくり抜かれた痕跡が集中的に残されていました。 
これほどきれいな曲線でくり抜くのは幼虫(イモムシ類)の食痕ではなく、ハキリバチ科の仲間♀が巣材として葉片を集めた痕跡です。 
ハキリバチの種類によって営巣場所は違いますが、地面に巣穴を掘ったり樹洞や枝の虫食い穴を再利用したりします。
♀はその穴に葉片を詰め込んで育房を区切る巣材とするのです。 
ヌスビトハギ1個体(同じ株)の上から下まで多くの葉が卵型に切り抜かれていました。 
緑の葉の切り口が茶色く変色しているのは、切り抜かれてから日数が経った古い痕跡です。 

ハキリバチ♀が巣材集めに通って来るかと思い、その場でしばらく待機したのですが、残念ながら待ちぼうけに終わりました。 
お気に入りのヌスビトハギから同一個体が繰り返し巣材集めしているのか、それとも複数個体♀が集団で採取しているのか、知りたいところです。 
私の知る限り、ハキリバチ科に社会性の生活を営む種類はいないはずです。(単独性)

ところで、山中に営巣するハキリバチの蜜源・花粉源となる植物は何なのか、気になります。
山中で蜜枯れシーズンの真夏に咲く花は多くありません。
ヌスビトハギの花だけではとても足りないはずです。 

この林道は人通りが少なく、ほぼ廃道状態です。 
下草が生い茂る獣道となっています。 
山道をさらに進むと、別の地点でも「ハキリバチ♀のしわざ」を見つけました。 

つづく→オオバクロモジとタニウツギの葉をハキリバチ♀が大量にくり抜いた跡【フィールドサイン】
これは少し離れた地点で別の株から採取したヌスビトハギ節果と蝶形花

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