2013年7月上旬
林道の真ん中にタヌキの溜め糞と思われる獣糞が落ちていて、そこにハエとカメムシが集まっていました。
ハラビロヘリカメムシ(Homoeocerus dilatatus)だと思うのですがどうでしょう?※
真っ黒の糞は未だ新鮮で、やや臭気がありました。
消化されずに排泄された植物の種子がゴロゴロと混じっています。
カメムシ類が汚物や獣糞で吸汁する光景は今まで見たことがなく、衝撃的でした。※※
このカメムシは糞の中に混ざった未消化の植物の種子が目当てではなく、明らかに糞そのものから吸汁しています。
側面から口吻を接写して確認しました。
それとも小さな(草の)種子を摂食吸汁しているのでしょうか?
どうやったら実証できるか考えてみました。
タヌキの食性の調査法の一つとして、採取した溜め糞をザルで水洗いし未消化の種子を得る方法があります。
得られた種子をついでにカメムシに与えてみて、糞汁と比べどちらを好んで口を付けるかどうか調べてみれば…?
まー、「言うは易し」で究極の3K調査ですけど。
ハラビロヘリカメムシは獣糞の上を歩いて移動すると、ここぞという所で口吻を差し込んでいます。
映像では動きのあるシーンを中心にまとめましたが、実際は静止している時間が長いです。
よく見ると赤い触角が印象的。
複眼の間に単眼が2個しか見えません。
昆虫の単眼は3つあるのが普通だと思っていたので、気になりました。
カメムシに何か細長いゴミが付いているのかと思ったら、小さな蓑虫のような物がカメムシの体表を移動しています。
寄生性、吸血性の虫なら面白いのですけど、正体不明です。
ちなみに途中で聞こえる「キンミー、キンミー♪」という甲高い鳴き声の主はサシバという猛禽類の野鳥だと思います。(@0:55〜1:05)
すぐ近くの樹上に止まって鳴いていました。
そちらも気になったのですが、カメムシの撮影を優先しました。
※ 【追記】
いつもお世話になっているカメムシBBSに投稿したところ、kameotakuさんより以下のコメントを頂きました。
動画拝見しました。確かに口吻立てて、吸汁してますね。 初めて見ました、驚きです! アップ画像で触角2,3節が扁平なのが良くわかります。 (ホシハラビロではなく)ハラビロヘリの方ですね。 頭から胸背辺りを這い回っているミノムシ?も微笑ましいです。
※※ 南十字星さんよりカメムシBBSにて次のコメントを頂きました。
タイで犬糞から吸汁しているキンカメムシの一種を見たことがあります。めちゃ暑い日でした。またやはりタイで、人糞を入れたPITにカメムシ科の一種が多数集まっていたこともありました。注意して見ればけっこうあるのかもしれません。
胸背に蓑虫? |
【追記2】
『カメムシ:おもしろ生態と上手なつきあい方』p31によると、野生動物の糞を吸う変わった食性をもつカメムシとして、ヘリカメムシ科のホシハラビロヘリカメムシが紹介されていました。
普段は、マメ科植物のフジ、クズ、ヌスビトハギなどをはじめ、畑のダイズにもよく見かける種である。(中略)唾液と混ぜながら吸収しやすい状態にして多少乾いた糞でも口吻を差し込むのである。
関連記事(10年後に撮影)▶ ホンドタヌキの溜め糞に集まり吸汁するハラビロヘリカメムシ
単眼については興味がそそられますね。
返信削除単眼がない種類のカメムシもいるらしいので、三つの所二つでも充分なのでしょうね。
意外なところに食いつきましたね〜。
削除単眼のないカメムシなんて、知りませんでした!