2013年7月上旬
この日も早朝から、電線に止まったカッコウ♂(Cuculus canorus)が鳴いています。
後で新聞で調べてみると、撮影時刻はちょうど日の出の頃でした。(AM 4:25 〜)
前回の撮影よりも近くに止まってくれたので、いっそう大きく見えます。
初めは後ろ向きでしたが尾羽根を左右に振り振りし、やがてこちらへ向き直りました。
電線から脱糞。
横を向いて何かを睨んでいたカッコウ♂が、急に鳴きながら飛び立ちました。
引きの絵にすると元の電線のすぐ横に止まっています。
急旋回して止まり直したのか、別個体と入れ替わったのでしょうか?
脱糞の直後にまた飛び立ちました。
鳴きながらこちらへ向かって来ます。
飛び立ちの瞬間を1/4倍速のスローモーションにてリプレイ。
数分後に再び電線に止まりました。
尾羽根を左右に振り振りしたり、キョロキョロと辺りを見渡しています。
いきなり方向転換すると飛び立ち、鳴きながらこちらへ向かって来ました。
慌てたような鳴き声が木霊のように聞こえます。
今回見られた一連の行動は♀に対するアピールで一種のディスプレー飛翔(求愛飛翔)なのかと考えたりもしたのですが、図鑑やネット情報で調べてもそのような記述は見当たりません。
片方(一羽)の行動しか見れていないのでもどかしいのですが、おそらく♂同士の縄張り争いの喧嘩だろうと想像しました。
それなら♂が激しくさえずってアピールしそうなものです。
しかし不思議なことに、電線に止まっている間はカッコー、カッコー♪という鳴き声をあまり発しませんでした。
(隠し撮りしたつもりでしたが、警戒されたかな?)
カッコウといえば「静かな湖畔の森の影から♪」で始まるのどかな童謡や輪唱で有名ですけど、郭公の世界も色々と大変なようです。
「カッコウ 喧嘩」を検索ワードに調べてみると、「カッコウの実態」と題したブログ記事が見つかりました。
二羽来て,電線上で鳴き合っています。そのうち激しく喧嘩を始めました。どうも縄張り争いの様です。 電線上で羽根を逆立てたりして威嚇攻撃し合っていたかと思うと,飛びながら空中戦です。飛びながらもカッコウ・カッコウと鳴くこと(こころなしか忙しないかんじがします)を知りました。威嚇のような声も出しています。
カッコウ♂の争いの鳴き声を声紋解析してみる
オリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出しました。
急に飛び立って鳴いた部分を3箇所切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
鳴き声が周囲に木霊しているのか、もう一羽の鳴き声と混じっている可能性もあります。
羽ばたきの音も入っているかもしれません。
欲を言えば、同一個体が普通に(リラックスして)カッコー、カッコー♪と鳴いている声も録音できたら声紋を比較できたのですけど、残念でした。
5日前に同じ電線で撮ったカッコウ♂のさえずりの声紋はこちらです。
この一帯を縄張りとしている同一個体♂かもしれません。
【追記】
『アユの話』p48によると、
カッコウの仲間は、“一つの谷には一つがいしかいない“といわれるように、ひろいなわばりをもつ。
『カラー自然シリーズ68:カッコウ』p6によると、
♀より先に高原に渡ってきた♂は、広い空間をなわばりにします。そして、遠くまでひびきわたる声で自分のなわばりを主張します。広いなわばりのなかには、カッコウの♀が托卵をするための小鳥たちがすんでいます。梢の上で見張る♂は、ほかの♂がなわばりに近づくと、たとえ遠くであっても、飛んでいって追いはらいます。♂が、なわばりを確保したころ、南の国から♀たちが渡ってきます。なわばりのなかに♀が姿をみせると、つがいになるために、♂が♀を追いまわします。
水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば、
かつては柳の茂る川辺の草原などで、三つどもえで追いかけ合うカッコウの姿が見られたものだった。托卵相手の巣を確保し、同じ巣に複数のカッコウの卵が入るのを防ぐ縄張り争いだった。最近は追いかけ合うほどのカッコウはいなくなってしまった。(p124より引用)
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