2013年7月上旬・室温25℃
ヒメクモバチ羽化の飼育記録2
外は朝から雨が降ったり止んだりで蒸し暑い梅雨空です。
前回のヒメクモバチ♂b(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)が羽化して2日後、3匹目の新成虫が泥巣から羽化脱出してきました。
今回は動画の長撮りで記録してみました。
早回し映像ではなく等倍速(リアルタイム)です。
脱出開始時刻は07:48:54頃、微小の穴が開き始めました。
ちなみに一昨日の♂bが脱出を始めた時刻は07:57:16で、ほぼ一定しています。
どうやら朝に羽化する傾向があるようです。
ここ数日間、監視のため泥巣をLEDリングライトで煌々と照らし続けていたにも関わらず、朝に羽化するという固有の日周リズムを蜂が保っているという事は、泥巣の育房内は暗黒なのでしょう。
(明るさではなく気温の上下で大体の時間帯を知るのかもしれません。)
脱獄が完了した新成虫♀cは泥巣上を少し歩き回り、触角を掃除しています。
網室内の蜂を捕獲してみると体長も大きく顔が黒いので♀と判明。
やはり雄性先熟でした。
体長の性差(♂<♀)を反映して、今回の脱出口はこれまで2つの穴よりも一回り大きいです。
泥巣に開いた3つの脱出口の位置関係を見ると、育房が端から順に増築されたことを示唆しています。
さて、記録された映像をよく見てみましょう。
乾いた土壁を軟らかくするために蜂が中から水や唾液を吐き戻して濡らしているのだとしたら、泥巣を外から見て穴が開く部分が黒っぽく変色するはずです。
しかしそのような変化は見られず、単純に蜂が大顎で少しずつ土壁を削って脱出口を広げているようです。
これで私の予想は当たり、本に書いてあった説に対する反例が得られた!と思い、撮影の苦労も忘れて快哉を叫びました。
ヒメベッコウの成虫が壺から出てくる際、口から水を吐き出して、泥を柔らかくし、壁を破る。(『ファーブル写真昆虫記2:つぼをつくるかりうど』p40より)ところが更に観察を続けると、事はそれほど単純ではありませんでした…。
ヒメクモバチ♀cの標本写真。
つづく→「ヒメクモバチ♂eが泥巣から羽化脱出する瞬間」
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