2020/08/01

ドウダンツツジの花蜜を吸うセイヨウミツバチ♀(二次盗蜜者?)



2019年5月中旬・午後12:45頃・

池の岸に植栽されたドウダンツツジの低木でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
小さな釣り鐘状の白い花に正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。
後脚の花粉籠は空荷でした。

クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀もドウダンツツジの花筒の入り口から中に潜り込もうと苦労していますが(正当訪花)、結局入れず花蜜も舐めることが出来なかったようです。(@0:48〜1:10)
ドウダンツツジの花の入り口が外側に反り返っているのは物理的に侵入をブロックする「アリ返し」の役割があるのですかね?
体が小さくて移動距離が短い(飛べない)アリは、ドウダンツツジにとってあまり授粉の助けにならず、招かれざる客を排除したいのでしょう。

最後にもうひとつ、見逃せない事件が動画に記録されていました。
正当訪花を繰り返していた個体が最後に一度だけ採餌戦略を切り替えて盗蜜したのです。(@1:13)
ドウダンツツジの花をよく見ると古い穿孔跡が多数あり、白い花弁に褐色の傷跡が多数残っていました。
その穴に口吻を差し込んで吸蜜したので、この場合ミツバチは日和見主義的な二次盗蜜者(チャンスがあれば楽をして盗蜜したい)ということになります。

翌2020年こそはミツバチによる盗蜜行動について現行犯の証拠映像を撮りたいと思い、春が来るのを楽しみに待ち構えていました。
ところがドウダンツツジの開花が例年よりも早まったせいなのか、どうやら私はミツバチの活動を見落としてしまったようです…。
一時盗蜜者の正体を突き止めるのも、また来年の宿題に持ち越しです。

ツバメが車庫の軒下に作りかけた未完の泥巣(野鳥)

2020年5月中旬

街中の車道に面した古い車庫の軒下にツバメHirundo rustica)が作りかけた泥巣を見つけました。
作りかけの泥巣を中心として、軒下の一定の高さで、左右ほぼ一直線上に泥が点々と壁に付着しています。
ツバメの親鳥がコンクリートの壁面に巣材の泥玉を幾つも試し塗りして基質との相性(接着性)を調べてから、軒下の中央部で泥巣を本格的に作り始めたようです。
巣材には泥だけでなく藁のような枯れ草も混じっていました。
古くても立派な屋根付きの車庫(車1台分)で、南に面したコンクリート壁は飾り気がなく、その表面はざらざらしています。
春が遅い東北地方(雪国)と言えども、5月中旬でこの進捗状況というのは遅い気がします。
しかも今年は異常な暖冬の後で、春の到来やツバメの渡来が例年よりも早かったです。
したがって、親鳥がここに巣を作りかけたものの、何らかの理由で中断したのでしょう。

ツバメの造巣行動について私は本で読んだ知識しか無くて、未だ実際に観察できていません。
現場は滅多に行かない地域のため、定点観察に通えませんでした。
試しにGoogleのストリートビューで現地を視察してみると、驚いたことに全く同じ状態でツバメの泥巣が残っていました。
撮影日は2019年8月とのことでした。
したがって、今季に作りかけた巣ではなく、もっと古いことが分かりました。
ツバメは巣がカラスなどの天敵に襲われないように、人通りの多い家屋の軒下などをわざわざ選んで造巣します。
しかし最近では家屋の壁面や軒下がツルツルした建材で作られていることが多く、ツバメは泥巣を作りにくくなっているそうです。
また、ツバメの雛による糞害を嫌ったり家屋の景観を損ねる(見苦しい)という理由でツバメの巣がすぐに撤去されがちです。
そんな世知辛い世の中ですけど、未完の古巣も撤去せずにそのまま残しているとは、心優しい家主さんですね。
いつかここに営巣してくれるツバメが再び現れるのを待っているのでしょう。
あるいは逆の可能性として、未完の巣ではなく、使われなくなった古巣の上半分が崩落した後の状態なのかもしれません。

最近見た「タモリ倶楽部」では、新型コロナ禍のせいでロケに行けないステイ・ホーム期間中の苦肉の策として、Googleのストリートビューを使った「オンライン撮り鉄」という高度な遊びを紹介していました。
鉄道を走る列車が偶然に写り込んだ地点を探すという斬新な企画です。
同様に、Googleのストリートビューを使って野鳥の巣を探すというのも新しいバードウォッチングの形(一種のラインセンサス法)かもしれません。
ツバメやスズメ、カラスなど身近な野鳥の巣だったらストリートビューに偶然写り込んでいる可能性が高いはずです。
オンラインの仮想旅行も兼ねて、沿道の軒下や街路樹、電柱や鉄塔の上などを丹念に探してみては、いかがでしょうか。




跳ね回る無邪気な仔ヤギ【HD動画&ハイスピード動画】



2015年4月中旬

春に生まれたばかりの仔ヤギ(山羊)Capra hircus)2頭が囲いの中ではしゃいでいます。
遊び盛りの仔山羊は高い所が大好きで、木の切り株や堆肥箱に登ったり飛び下りたりを飽かずに繰り返しています。
やがて互いに追いかけっこが始まりました。


小林朋道『先生、洞窟でコウモリとアナグマが同居しています!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学』によると、

・ヤギは、地面から盛り上がった高い場所で休むのが好きなのだ。(p6より引用)
・これはヤギの子どもに特徴的な習性なのであるが、とにかくよく跳ねる。何が楽しいのか、暇さえあればとにかく跳ねている。もちろん好奇心も旺盛(同書p231より引用)



240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:37〜)
首を左右に激しく回す謎の動きは、顔にたかるハエを追い払おうとしているのかな?


2020/07/31

ナツグミの花で吸蜜するクマバチ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2020年5月上旬

公園に植栽されたナツグミの木の花にキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)が群がっていました。

忙しなく正当訪花を繰り返して吸蜜する個体は、なぜか雄蜂♂ばかりでした。(動画に登場する性別不明の個体の中に少数の♀を見落としているかもしれません)
複眼が大きく発達していて顔の白い♂は花粉を集めて巣に持ち帰りませんから、後脚に花粉籠がありません。

ナツグミの花からクマバチ♂が力強く羽ばたいて飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:02〜)




排便中に糞を振り落とすヒトリガ(蛾)終齢幼虫



ヒトリガ(蛾)の飼育記録#2



▼前回の記事
ニワトコの葉にヒトリガ(蛾)の幼虫を2匹見つけた

2020年5月中旬

2日後に同じ場所を再訪し、ヒトリガArctia caja phaeosoma)の幼虫を2匹を食樹のニワトコの枝葉ごと採集してきました。

そのうちの1匹aに注目し、飼育下で脱糞シーンを繰り返し接写してみます。
この時点で終齢であることが後に判明しました。

垂直な茎に下向きにしがみついていた幼虫が尾脚を離して腹端を持ち上げると、排便が始まります。
毎回ヒトリガ幼虫は排便中に下半身を左右に激しく振り、糞を振り落としていました。
前回に野外で見かけたときも下半身を激しく振っていたのは、私に対する威嚇行動ではなく、排便に伴う行動だったことがこれで分かりました。
本種は全身に長い毛が密生する毛虫(俗称クマケムシ)なので、ただ脱糞しただけでは糞が肛門付近の体毛に付着してしまうのでしょう。
寄生蜂などは寄主となる幼虫の糞の匂いや食痕を頼りに探索するので、糞を早く落とさないと身の危険があります。
それに対して、無毛のイモムシ型の幼虫は、腹端を少し持ち上げてポトリと脱糞するだけです。
もし毛虫のOラインを脱毛(カット)したら、排便時の尻振り行動は不要になるはずですが、実験してみると面白いかもしれません。(毛虫として生まれた種類の生得的な行動なのかもしれません。)

下に落ちたばかりの糞も最後に幾つか(2個)接写してみました。
深緑色をした糞の断面は独特の花びら状で、これは内部に襞の多い後腸の断面の形態を反映しています。
草食性のイモムシ・毛虫の新鮮な糞にはいわゆる糞便臭(悪臭)は無く、むしろ植物の爽やかな香りすらします。

つづく→#3:ニワトコの葉を蚕食するヒトリガ(蛾)終齢幼虫【10倍速映像】





2020/07/30

オドリコソウの花で盗蜜するクロマルハナバチ創設女王【HD動画&ハイスピード動画】



2020年5月中旬・午後17:45〜18:00頃・晴れ

用水路沿いの土手に咲いたオドリコソウの群落でクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が何匹も訪花していました。
大型の個体ですし、時期的にワーカー♀ではなく創設女王だと思います。
複数個体を撮影しても後脚の花粉籠は空荷でした。
もしやと思い、訪花シーンの口元をよく観察すると盗蜜していました。
シソ科の花は唇形花と呼ばれ、複雑な形状をしています。
クロマルハナバチ♀は花筒の外側から根元に口吻をグサッと突き刺して穿孔盗蜜していました。
雄しべに体が全く触れませんから、花粉を集めることはありませんし、オドリコソウの授粉を助けません。
開花前の蕾からもお構いなしに盗蜜することがありました。(@x:xx)
胸背に黄色い花粉が付着した個体も盗蜜しています。
オドリコソウの花筒の根元に盗蜜痕が見えます(穴だらけ)。

春に咲くオドリコソウの花から盗蜜するハチがいることを本で読んで知っていたのですが、ようやく実例を動画で記録できました。
私が以前に見たオドリコソウの群落は花に盗蜜痕があるのに、舌の長いトラマルハナバチ♀が正当訪花しているだけでした。(盗蜜者の正体が不明だったのです。)

▼関連記事(6年前の撮影)
オドリコソウの花蜜を吸うトラマルハナバチ♀
悲願のミッシングリンクがようやく撮れて感無量です。

例えば、田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でオドリコソウを調べると

笠をかぶり手に扇を持って舞う姿にたとえられる花。笠の下には雄しべ雌しべの先が隠れている。花の形にぴたりと合うのはマルハナバチ類で、蜜を吸うためにはい込むと背が雄しべ雌しべに触れ、花粉で白く染まった状態で出てくる。より大きく口の短いクマバチは、花の背後に鋭い顎で穴を開けて蜜を吸うため、花粉は媒介しない。(クマバチは)花に馬乗りになって筒部に口を差しこみ、蜜を盗む。
花の底に蜜があり、笠の下には雄しべ雌しべがある。(p11より引用)


本書でオドリコソウの送粉者の例としてコマルハナバチを挙げています。
私はコマルハナバチによる正当訪花シーンは未見です。
本書で記述されたクマバチによる盗蜜行動と今回のクロマルハナバチによる盗蜜行動は細かい点で違います。
(今回のクロマルハナバチ♀はオドリコソウの花に馬乗りになっていません。)


クロマルハナバチ♀がオドリコソウの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:33〜4:31)
盗蜜中は羽ばたきを止めています。
次に来るだろうと予想した株を狙って撮り始めると、オドリコソウの花への着陸シーンが撮れました。
2匹のクロマルハナバチ女王が同じ株でニアミスすることがありました。(@2:50)

ちなみに、ピッキオ編『花のおもしろフィールド図鑑 春』でオドリコソウを調べると、

花のつけ根には蜜がたまっていてこれで昆虫をおびき寄せています。人間が花を取って吸ってみても甘いので、野山でおなかがすいたら試してみてはいかがでしょう。意外といける味にくせになること請け合いです。(中略)オドリコソウは日本在来の植物です。
白色の花は東日本に多く、西日本ではピンク色の花が多い。(p125より引用)


ここは東日本なのに、今回の群落では白い花もピンクの花も両方咲いていました。
私も真似してオドリコソウの花から盗蜜してみたくなりました。



墓地に出入りするキジ♂(野鳥)



2020年5月中旬・午後16:00頃・晴れ

春の田んぼで水入れが始まり、代掻きの作業が進行中です。
農道に居たキジ♂(Phasianus versicolor)が私に気づくと警戒し、歩いて隣の墓地へ逃げ込みました。
地面の砂利を啄んで採食したりしながら、墓石の陰に隠れました。
ほとぼりが冷めると、キジ♂は再び墓地を出て生垣を通り抜けました。
農道を横切ると、田起こし(耕耘)した後の田んぼに跳び降りました。

つづく→墓地を走り抜けるキジ♀(野鳥)




2020/07/29

シロツメクサの花蜜を吸うモンシロチョウ♂



2020年5月中旬・午後15:00頃・晴れ

平地の原っぱに咲き乱れるシロツメクサの群落でモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が訪花していました。
意外にも、この普通種同士の組み合わせは本ブログで初登場になります。

基本的に翅を閉じたまま口吻を伸ばして吸蜜しています。
たまたまマクロレンズを装着していたので、そのまま口元を接写してみました。
逆に全身を撮るのは難しくなります。




ツルニチニチソウの花蜜を吸うクロマルハナバチ創設女王



2020年5月中旬・午後16:20頃・くもり

道端の花壇に咲いたツルニチニチソウの群落でクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花していました。
大型の個体ですし、時期的に未だワーカー♀ではなく創設女王だと思います。

花弁の色が青と白の品種が2種類混栽されているようですが、クロマルハナバチ♀はどちらにも正当訪花していました。
吸蜜する女王蜂の後脚の花粉籠は空荷でした。

訪花したら花弁が蜂ごと脱落してしまい、花弁の下敷きになった蜂が慌てて逃げ出す様子が微笑ましく思いました。


クロマルハナバチ創設女王@ツルニチニチソウ訪花吸蜜


ツルニチニチソウ花(白)
ツルニチニチソウ花(青)


2020/07/28

ベニサラサドウダンの花で吸蜜するセイヨウミツバチ♀



2020年5月中旬・午後17:30頃

民家の庭に植栽されたベニサラサドウダンに赤い花が咲いていました。



夕方のベニサラサドウダンにセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が何匹も訪花していました。
後脚の花粉籠は空荷で、正当訪花を繰り返して吸蜜しています。
花粉は集めていないようでした。

複数個体を撮影。


セイヨウミツバチ♀@ベニサラサドウダン訪花吸蜜


ベニサラサドウダン花

ベニサラサドウダン花・全景。右の赤いツツジの花はなぜか蜂に不人気でした。

池で水浴びするハシブトガラス(野鳥)



2020年5月上旬・午後12:30頃

池の岸辺の浅いところでハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が水浴びしていました。
カラスの行水を川ではなく池でやるのを見たのは今回が初めてです。
気温を測り忘れました。

岸から池に張り出した手前の小枝が目障り(カラスにピントを合わせにくい)ですけど、カラスからは私が見えないので安心しているのでしょう。
水浴でさっぱりしたハシブトガラスは池から岸に飛び上がると、石垣の護岸をピョンピョン駆け上がりました。
茂みの陰で激しく身震いして濡れた羽根の水気を切ってから、近くの枯木の枝に飛び上がりました。

止まり木で羽繕いすると、飛び去りました。
撮影アングルを求めて私が横に少しずれただけでハシブトガラスはすぐに気づき、警戒して飛び去ってしまいました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。




2020/07/27

ニワトコの葉にヒトリガ(蛾)の幼虫を2匹見つけた



2020年5月中旬・午後

河畔林の林床に生えたニワトコ幼木の若葉に茶色と黒を基調とした毛虫を2匹見つけました。
ヒトリガArctia caja phaeosoma)の幼虫です。
ニワトコはヒトリガ幼虫が好む食餌植物リストに含まれており、ちょうど4年前にも里山で見ています。

▼関連記事(4年前の撮影)
ニワトコの葉をもこもこ移動するヒトリガ(蛾)幼虫

個体aがニワトコ葉裏の主脈にしがみついたまま腹端を持ち上げ、左右に激しく振りました。
排泄したばかりの濃緑色の糞を腹端から振り落とそうとしているのです。
結局、糞切りが悪いまま、諦めて動きを止めてしまいました。
口元には食べかけのニワトコ葉片を抱えているものの、食べてくれません。
現場で食事シーンを動画に撮りたかったのですが、警戒心が強いのか、あるいは夜行性なのか、ひたすらじっとしているだけでした。

近くで見つけた別個体bはニワトコ葉柄に静止しているだけです。
この個体bは葉の表側に来ていて良く目立ち、天敵(捕食者や寄生者)に対して無防備な気がするのですが、何か対抗策はあるのかな?

ちなみに、ヒトリガ幼虫は毒針毛を持ちません。


この日は採集セットを持ってこなかったのが悔やまれます。

つづく→#2:排便中に糞を振り落とすヒトリガ(蛾)終齢幼虫 


【追記】
てっきり木本植物ニワトコの幼木かと思い込んでいたのですが、クサニワトコ(別名ソクズ)という草本植物の存在を最近知りました。
しっかり見分けていなかったので、再検討が必要かもしれません。
参考:ピッキオ『花のおもしろフィールド図鑑:夏』p80



ヒトリガ(蛾)幼虫a@ニワトコ葉裏
ヒトリガ(蛾)幼虫b@ニワトコ葉柄

シロツメクサの花で吸蜜するクマバチ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2020年5月中旬〜下旬・午後

平地の原っぱに咲いたシロツメクサの群落でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
顔の頭楯が白く、複眼が大きく発達した雄蜂♂ばかりで、なぜか♀を見かけませんでした。
私はクマバチが大好きなので、訪花植物のリストがまた一つ増えて嬉しいです。

シロツメクサの花序をよく見ると、球状に集まった個々の花はマメ科植物に特有の蝶形花になっています。
クマバチ♂が花にしがみつくとその体重で茎がしなり、倒伏することもあります。
てっきり盗蜜するかと思ったのですが、クマバチ♂はシロツメクサの花序を掻き分け、一つ一つの蝶形花に対して丹念に正当訪花していました。

▼関連記事(4年前の撮影)
ムラサキツメクサの花で盗蜜するクマバチ♀

細長い花筒に黒い舌を挿し込んで奥の蜜腺から花蜜を吸っています。
その結果、口吻の根元や顔が黄色い花粉で汚れています。
隣の花に飛び立つと、ブーン♪という重低音の羽音が響きます。
この羽音に恐怖を抱くヒトもいらっしゃいますが、雄蜂♂は毒針を持たないので刺される心配は全くありません。

クマバチ♂がシロツメクサの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:08〜1:31、3:21〜5:03)
羽ばたきを止めて吸蜜していたクマバチ♂が、力強く羽ばたいて重そうに飛び上がる様子は見応えがあります。

ちょうど1週間後にも同じ場所で撮影し、2日間の動画をまとめました。




2020/07/26

川で水浴しハクセキレイ♂を擬攻撃するスズメ(野鳥)



2020年5月中旬・午後14:25頃・晴れ

街中を流れる川の中洲の横でスズメPasser montanus)成鳥とハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が1羽ずつ居ました。
スズメが浅瀬で水浴びを始めました。
私はスズメの砂浴びは何度か観察していますが、水浴びは嬉しい初見です。
気温を測り忘れたのが心残りです。
その間、ハクセキレイ♂はスズメには構わず、鳴いたり餌を探しながら下流の方へ(スズメから離れて)歩いて行きます。

行水を終えたスズメが下流へ飛び去るついでに、意外な行動に出ました。
ハクセキレイ♂を追いかけてモビング(擬攻撃)を仕掛けたのです。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
その後に等倍速でリプレイ。
スズメはハクセキレイ♂の頭上でホバリングし、なんと足で蹴るフリをしました。
背後から奇襲されたハクセキレイ♂は咄嗟に身を屈めてスズメの攻撃をかわし、軽く飛び上がってスズメを威嚇しました。
スズメはそのまま飛び去りました。
その場に残ったハクセキレイ♂は、唖然として辺りを見回しています。
スズメのモビング行動を初めて観察できて興奮しました。
しかも今回は自分よりも大きな相手に対して敢然と擬攻撃しています。
私には理由が全く分かりません。
嫌がらせをするほどの恨みがそれまでに何かあったのでしょうか?

やがてハクセキレイ♂も下流へ飛び立ちました。
流し撮りでその姿を追うと、少し下流の別な中州でハクセキレイ♂はスズメと再会していました。
(もしかするとスズメは別個体かもしれません。)
スズメは中州の横の浅瀬で何度も行水を繰り返しました。
ハクセキレイ♂も真似して行水するかと期待したのですが、私を警戒したのか、結局ハクセキレイ♂は中洲から飛び去ってしまいました。
水浴を済ませてさっぱりしたスズメは川から飛び上がると横のコンクリート護岸の上縁に止まりました。
羽根を震わせて水気を切ると、スズメは川から離れ住宅地の方へ飛び去りました。






CSアンテナの裏面に見つけたスズバチの古巣を発掘してみる


2020年5月上旬

民家の南に面した軒下に設置されてもう使われなくなったCSアンテナの裏側に大きな古い泥巣を見つけました。
パラボラアンテナではなく長方形のタイプでした。
ドロバチの仲間が作った古巣のようですが、造巣時期は分かりません。

かなり大きいので、おそらくスズバチ♀(Oreumenes decoratus)の仕業だろうと予想しました。
(エントツドロバチの可能性は?)




2020年5月中旬

色々と思案した末に、謎の泥巣を発掘・採集してみることにしました。
スズバチの成虫は5〜6月に羽化するので、育房内で越冬した蛹や前蛹がもし得られれば飼育下で羽化を観察できるはずです。
しかし泥巣の上部に開いた小さな穴が羽化孔だとすれば、古い空き巣ということになります。
もう使われていないCSアンテナ全体を台座から取り外し、泥巣を室内で飼育することも考えました。
結局、泥巣だけを採集することに決めました。
まずは泥巣の横に定規を当てて大きさを採寸します。
マイナスドライバーで泥巣の縁を少しずつ削り取ります。
CSアンテナは平面かと思いきや、波打っていました。
アンテナ面を台座に固定するボルトやナットにも泥が付着していて、発掘作業は難航しました。
最後は泥巣の縁に差し込んだドライバをこじって泥巣を営巣基質から剥がしました。
よく乾燥した泥巣はカチカチに固く、今回は剥がす際にメリメリッと紙粘土のような繊維質の感触はありませんでした。


▼関連記事(8、9年前の記録)
歩道の縁石からスズバチの泥巣を発掘
スズバチの泥巣に寄生したドロバチヤドリニクバエの羽化

横に細長い育房が縦に3つ並んでいました。
上下の育房はEIC(= empty intercalary cell)と呼ばれる空室でした。
最後に母蜂は寄生されないように巣全体を大量の泥玉で埋めたようです。
やはりスズバチ♀が作った巣のようです。
どうやら母蜂♀が営巣地の周囲で獲物があまり捕れなかったのか、あるいは産卵能力が低い個体だったようです。

中央の育房に残された貯食物?に白いカビが生えていました。
状態が悪くて何だかよく分かりません。
寄生したドロバチヤドリニクバエ?の複数の囲蛹が集合している?
スズバチ幼虫が営繭した後に捕食寄生者に食われて死んだ?
いずれにせよ、健康なスズバチ前蛹は得られませんでした。
もし泥巣を発掘しなかったら、CSアンテナの空巣をいくら監視し続けてもスズバチの羽化は期待できなかった(待ちぼうけ)ことになります。

私はスズバチ♀による造巣過程を未だじっくり観察できていないので、毎年ひたすら探し回っています。




ドウダンツツジの花で採餌するヤマトツヤハナバチ♀



2020年5月中旬・午後14:00頃・くもり

道端の生垣として植栽されたドウダンツツジにとても小さなハナバチが訪花していました。

マクロレンズを装着して接写すると顔の斑紋からヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)と判明。
『狩蜂生態図鑑』や『日本産ハナバチ図鑑』p350によると本種は山地性で、平地性の近縁種キオビツヤハナバチと棲み分けているような書き方でした。
しかし今回の撮影地は標高約260mの平地で、郊外の住宅地(昔は農村部)でした。

逆に私は未だキオビツヤハナバチを見つけたことがありません。
こういうことはよくあるので、図鑑の記述を必ずしも鵜呑みにせずに自分のフィールドのことは自分で調べるしかありません。

ここは北の雪国なので、気温による補正が入って虫の垂直分布が変わるのではないかと個人的に予想しています。

小さな釣り鐘型のドウダンツツジの花に正当訪花を繰り返して吸蜜する蜂をよく見ると、後脚の 花粉籠 スコパ(花粉採集毛)にごく少量の黄色い花粉団子を付けていました。
こんな小さなハチが正当訪花しても口吻が蜜腺まで届くとは思えないのですけど、伸ばせば長いのでしょうか?
(吸蜜せずに集粉だけ行っている可能性は?)
花筒から顔を抜くと軽く身繕いしてから次の花へ飛んで移動します。

最後の飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
ホバリング(停空飛行)しながら茂みの奥の花に行ってしまいました。





田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でドウダンツツジを調べると、ハナバチとの共進化の結果として驚くべき内部構造の仕組みを知りました。

10本の雄しべの先には白い角状の突起が2本ずつ生え、花の中に放射状に伸びている。そのため、ハチが花の奥にある蜜を吸おうとすると、口が必ず突起に触れる。そのとき、雄しべが揺すられて白い花粉がこぼれ落ち、ハチの口の周囲につく。(p51より引用)

今回自分でもドウダンツツジの花を接写してみました。(花の分解まではしていません。)
花筒の入り口から内部が少し写っている写真を見ると、確かに雄しべから細長い突起が伸びていました。






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