2011年11月
山中で三角点の側面(南東面)にドーム状の立派な泥巣を見つけました。
その独特の形状から スズバチが作った泥巣と思われます。
マイナスドライバーで縁から削り取るように採集してみました。
最後は一気に全体が剥がれましたが、メリメリッと繊維質の紙粘土を千切るような感触でした。(※)
※ ドロバチが泥の巣材に植物などの繊維質を混ぜ込むという話は記憶にないので、おそらく繭の繊維が剥がれるときの感触と思われます。
母蜂は独房を3室作ってから全体を大量の泥で覆ったようです(外被)。
個々の独房は横向きに作られ、縦に増築されています。
1室(上の写真で左の独房)は寄生されており、ハエの蛹が多数詰まっていました。
泥巣を発掘した際に一部の囲蛹が溢れ落ちました。
2室(中央、右の独房)は蜂の子が繭を紡いだ後のようです。
独房の隙間に詰まっている物(少しカビが生えている)は、幼虫の餌として狩られ麻酔状態で搬入された鱗翅目幼虫の糞と思われます。
このまま持ち帰り、プラスチック容器に密閉して飼育(放置)してみました。
果たして本当にスズバチが羽化してくるのか楽しみです。
カリバチは一般に前蛹で越冬します。
冬季も特に外気に晒すことなく室温で冬越しさせました。
2012年4月下旬・室温22℃
容器内に多数転がっている寄生バエの囲蛹から一匹の成虫が羽化したようです。
気づいたときには既に翅が伸びきった状態でした。
ドロバチ類に労働寄生するドロバチヤドリニクバエ(の仲間)だと思います。
身繕いを念入りに行い、容器内を徘徊すると口吻を伸縮させて壁面を舐め始めました。
元気に飛び回って容器にぶつかるので、翅がすぐに擦り切れてしまいます。
背面 |
側面 |
【参考文献】
「スズバチ(Oreumenes decoratus Smith)の造巣活動」
茨城県自然博物館研究報告 (3), 47-51, 2000-03 (PDFファイル)
羽化記録の詳細な表が載っています。
【予告】
この後も続々と泥巣から羽化してきます。
- 羽化直後の寄生バエの羽が伸びる様子
- スズバチ♀が泥巣から脱出する様子
を動画で記録できましたので、そのうちに公開します。
続報をお楽しみに!
(つづく→ドロバチヤドリニクバエ翅伸展の微速度撮影)
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