2022/06/04

雪深いリンゴ園で遊ぶ野生ニホンザルの群れ

 

2022年1月上旬・午前10:45頃・晴れ 

山麓に広がるリンゴ園に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが来ていました。 
おそらく深い雪の下に埋もれたリンゴの落果を探しにやって来たのでしょう。 
私が来るのが一足遅かったのか、採食シーンを撮れなかったのは残念です。 
猿害対策として果樹園の敷地全体をぐるりと囲んでいた電気柵やネット類は、根雪が積もる前に全て撤去されています。
さもないと雪の重みで春までに全て潰れてしまうからです。
そのため、冬になるとリンゴ園にニホンザルが自由に出入りできるのです。


完全に落葉したリンゴの樹上で2頭の若い個体が細い枝にぶら下がって遊んでいます。 
カメラを向けた私を警戒したようで、新雪の雪面に飛び降りると、雪原を遊動し始めました。
先行する個体が残したラッセル跡を辿り、ノシノシと土手を斜めに登って行きます。
深雪を先頭切ってラッセルするのは猿も疲れて大変なのでしょう。 

※ 遠くで鳴いている猿の鳴き声を聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。







2022/06/03

夜の雪山でトレイルカメラを気にするも、日が経つと馴れるタヌキ【暗視映像:トレイルカメラ】

 

2022年3月上旬〜中旬

杉を植林した低山の林道を監視するトレイルカメラに写ったホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の映像記録をまとめました。
夜行性のタヌキが一晩に1〜2回登場します。(登場しない日もあります。)
 
前回の記事:▶ 珍しく日中に雪山の獣道を歩くホンドタヌキ【トレイルカメラ】

シーン1:3/1・午前5:05・晴れ 
カメラの目の前に獣が立ってカメラの匂いを嗅いでいます。 
あまりにも至近距離のため、全身像どころか顔も写っていません。 
闇夜に赤く光る2個の赤外線LEDが気になって仕方がないようです。 
やがて右に立ち去りました。 
林道のガリガリに凍った雪面にスギの落枝が散乱しています。 


シーン2:3/2・午後21:31・晴れ 
翌日はカメラから離れ、雪道の反対側を通りかかったようです。 
杉の木の下で立ち止まり、トレイルカメラを凝視しています。 
やがて左へ立ち去りました。 


シーン3:3/3・午前2:30・晴れ 
5時間前に登場したタヌキと同一個体なのか、別個体なのか、私には確証が持てません。 
カメラの真正面に立ち、カメラ目線で静止しています。 
やがて身を翻すと左に去りかけたところで立ち止まり、2回も振り返ってカメラを気にしています。 
雪道を右から左へ歩く巡回ルートが前回と同じなので、同一個体なのかもしれません。 


シーン4:3/14・午前0:23・晴れ 
カメラを気にしながら、珍しく左から右へゆっくりと歩いて横切りました。 


シーン5:3/14・午前4:02・晴れ 
3時間40分後の深夜にタヌキが再登場。 
雪道を左から右へゆっくり歩く巡回ルートが同じなので、同一個体なのかもしれません。 


シーン6:3/15・午前0:25・晴れ 
タヌキが脇目も振らず右から左へ立ち去りました。 
今回は珍しく、カメラを見ませんでした。 


シーン7:3/15・午前5:13・小雪 
4時間50分後の夜明け前にタヌキが再登場。 
トレイルカメラの電池が消耗しているせいで起動が間に合わず、タヌキは同じルートで左へ立ち去りました。 
小雪(みぞれ?)がチラついています。 


この場所は晩秋には溜め糞場sとなっていたのですが、根雪が積もるとホンドタヌキは雪道に排便しなくなったようです。 
そもそも積雪期になると、タヌキの通行頻度がぐっと下がりました。 
林道上に点々と並ぶ糞塊の全体像をカメラの画角内に収めるのが難しいために、タヌキの排便シーンが撮れていないだけかもしれません。 (画角の右外で脱糞した?)
林道上に大雪が積もるとカメラの設置位置が雪面に対して低くなり、画角が狭くなってしまいました。 
カメラの電池を交換するために私がときどき現場入りしたときにも、雪道にタヌキの糞を見つけたことは一度もありません。 (タヌキの糞が雪の下に埋もれていた可能性はあります。)


ホンドタヌキの学名変更について余談。
私はこれまでWikipedia日本語版の情報を元に、ホンドタヌキの学名をNyctereutes procyonoides viverrinusとしてきました。
ユーラシア大陸産タヌキNyctereutes procyonoidesの本州亜種という見解です。
ところが私のYouTube動画に最近、海外の方からコメントを頂きまして、ホンドタヌキの学名はNyctereutes viverrinusとのご指摘がありました。
これはWikipedia英語版の情報と同じで、ユーラシア大陸産のタヌキNyctereutes procyonoidesとホンドタヌキは明らかに別種であるという見解です。(亜種名から種小名viverrinusへ昇格)
外見や解剖学的な違いは素人目には見分けがつかないのですが、ミトコンドリアDNAを解析した結果、そうなるのだそうです。
もし別種だとしたら、雑種は生まれないか不妊になるはずです。
そのような雑種形成実験を飼育下で試したという話を私は聞いたことがありません。
細胞の染色体の数や核型がそもそも異なるそうなので、種間交雑はまず無理だろうという話です。
また行動にも違いがあり、例えばエゾタヌキ(北海道産のタヌキ≒ユーラシア大陸産のタヌキ)は冬ごもりしますが、ホンドタヌキは冬でも元気に活動します。
ただし、冬ごもりの行動が遺伝的な違いかどうか、私は知りません。
以上の新しい知見を得た私はあっさり改宗しました。
むしろ、日本国内のタヌキ学者がどうして未だに古い学名に固執しているのか不思議です。(日本人ゆえのプライド?)
これを機会に、当ブログやYouTube動画に登場するホンドタヌキの学名を全て変更しました。




2022/05/31

母は強し!車道を渡り雪の絶壁をよじ登る子連れニホンザルの群れ

 

2022年1月上旬・午前10:45頃・晴れ 

豪雪地帯の雪国では朝にロータリー除雪車が車道に積もった雪を片付けます。
ロータリーで削り取った雪を道端に吹き飛ばすので、車道の両側に雪の絶壁がそそり立つことになります。 
雪が積もるほど、道端の雪壁はどんどん高くなります。
きれいに除雪したばかりの山麓の車道を野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが次々と渡り始めました。 

この冬に生まれたばかりの子ザル(乳児)は未だ自力では歩けず、母親が運んで遊動します。 
子ザルの運搬法には、母親の腰の上に乗るおんぶ型と、母親の腹にしがみつく抱っこ型の2種類あります。 
子ザルの気分次第なのか、それとも子ザルの成長段階(体重)によって母親は運搬法を使い分けるのかな? 

ニホンザルは垂直の雪壁を一旦降りると車道を走って渡り、反対側にそそり立つ雪壁(高さ150〜180cm)に跳びついてよじ登ります。 
まるでSASUKEの世界です。 
子連れの母子も苦労してなんとか雪壁を登り切りました。 
母猿の高い身体能力に感嘆しました。 
激しい運動中でも落ちないように子ザルは強い握力で母親の毛皮にしがみついています。 

雄ザル♂など単独個体は、高い雪壁から一気に飛び降ります。
それに対して、重い子ザルを腹に抱えた母ザルは高い雪壁から一気に飛び降りず、半分まで歩いて降りてから路上に飛び降りていました。 
重い子ザルを抱っこしたまま高所から飛び降りると、着地の衝撃に母体の前足が耐えられないのかもしれません。
あるいは子ザルの後頭部を硬い路上にぶつけて怪我させてしまうおそれがあることを、母親は知っているようです。 
抱っこした子ザルが重くて道端の雪壁を一気によじ登れななくても、少し横にずれて登攀地点を変えてやり直したら、上手く行きました。 

子ザルをおんぶした母親が雪壁に跳びついても重くて登れません。 
母猿が再び雪壁に跳びつこうとした瞬間に母子のタイミングが合わず、子ザルが地面に降りてしまいました。 
路上に取り残された子ザルは悲鳴♪を上げ、慌てて母親の背に追いすがりました。 
バランスを崩した母猿は雪壁の途中から滑落してしまいました。 
三度目の挑戦で子連れ♀は雪壁をようやく登り切ることができました。 
母は強し。 

遊動する群れの構成メンバーには、リンゴ落果を口に咥えたままの母猿もいました。 
テレメトリー調査のために電波発振器やGPSを仕込んだ黒い首輪を装着した個体が2頭もいました。 
アルビノ(瞳が赤くないので白化個体?)の若い個体も群れに1頭混じっていて、雪原でも非常に目立ちます。 
アルビノの視覚や運動能力は正常でしょうか? 
車道を走って雪壁に突進したものの、登れずにそのまま激突してしまいました。 
アルビノは後続の仲間を待ち、登攀地点を変えてやり直したら成功しました。 

路上から雪壁に跳びつくシーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@5:13〜) 
もっと早くハイスピード動画モードに切り替えるべきだったのですが、遊動する群れの最後の個体になってしまいました。 

※ 猿の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を上げています。
アルビノ+母子:リンゴ落果食べかけ+おんぶ運搬
アルビノ@雪壁登攀
GPS首輪装着個体

2022/05/29

三毛猫♀の無断侵入を隠し撮り【暗視映像:トレイルカメラ】

 

 2021年9月下旬・午後23:30頃
関連記事(同時期の撮影)▶  
イエネコの夜食シーンまとめ【暗視映像:トレイルカメラ】 
イエネコの夜食タイムを隠し撮り【トレイルカメラ:暗視映像】

無人センサーカメラ(トレイルカメラ)の練習をするつもりで、飼い猫(キジトラ去勢♂)の夜行性行動を記録してみたら、意外な映像が撮れていました。 
知らぬ間に、野良猫(迷い猫?)が大胆不敵にも屋内に不法侵入していたのです。 
見慣れないイエネコFelis silvestris catus)は右から忍び足で慎重に登場すると、ケージの外からトイレ(砂箱)の匂いを嗅いでいます。 
ケージ内には入らず、キャットフードを入れた食器の匂いを嗅ぎました。
「この泥棒ネコ!」と怒りたいところですが、 餌を食べずに左へ立ち去りました。 

股間の外性器が見えず、性別不明です。 
赤外線の暗視映像はモノクロになってしまうのですけど、三毛猫だとしたら、ほぼ間違いなく♀でしょう。 
マーキング行動などはしませんでした。 

見慣れない三毛猫♀はキャット・ドアから忍び込んだようです。 
この家で飼っているキジトラ去勢♂が余所者の侵入を許しているのは意外です。 
数日前の夜には家の外でネコが喧嘩(縄張り争い)するやかましい鳴き声を聞いています。 
キジトラ♂が外出している留守中に三毛猫♀は忍び込んだのでしょうか? 
♀だから♂は縄張りから追い払わないのかな? 
むしろ気に入った♀を家に連れ込んで餌を分け与えようとしたのでしょうか? 

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