2022/06/03

夜の雪山でトレイルカメラを気にするも、日が経つと馴れるタヌキ【暗視映像:トレイルカメラ】

 

2022年3月上旬〜中旬

杉を植林した低山の林道を監視するトレイルカメラに写ったホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の映像記録をまとめました。
夜行性のタヌキが一晩に1〜2回登場します。(登場しない日もあります。)
 
前回の記事:▶ 珍しく日中に雪山の獣道を歩くホンドタヌキ【トレイルカメラ】

シーン1:3/1・午前5:05・晴れ 
カメラの目の前に獣が立ってカメラの匂いを嗅いでいます。 
あまりにも至近距離のため、全身像どころか顔も写っていません。 
闇夜に赤く光る2個の赤外線LEDが気になって仕方がないようです。 
やがて右に立ち去りました。 
林道のガリガリに凍った雪面にスギの落枝が散乱しています。 


シーン2:3/2・午後21:31・晴れ 
翌日はカメラから離れ、雪道の反対側を通りかかったようです。 
杉の木の下で立ち止まり、トレイルカメラを凝視しています。 
やがて左へ立ち去りました。 


シーン3:3/3・午前2:30・晴れ 
5時間前に登場したタヌキと同一個体なのか、別個体なのか、私には確証が持てません。 
カメラの真正面に立ち、カメラ目線で静止しています。 
やがて身を翻すと左に去りかけたところで立ち止まり、2回も振り返ってカメラを気にしています。 
雪道を右から左へ歩く巡回ルートが前回と同じなので、同一個体なのかもしれません。 


シーン4:3/14・午前0:23・晴れ 
カメラを気にしながら、珍しく左から右へゆっくりと歩いて横切りました。 


シーン5:3/14・午前4:02・晴れ 
3時間40分後の深夜にタヌキが再登場。 
雪道を左から右へゆっくり歩く巡回ルートが同じなので、同一個体なのかもしれません。 


シーン6:3/15・午前0:25・晴れ 
タヌキが脇目も振らず右から左へ立ち去りました。 
今回は珍しく、カメラを見ませんでした。 


シーン7:3/15・午前5:13・小雪 
4時間50分後の夜明け前にタヌキが再登場。 
トレイルカメラの電池が消耗しているせいで起動が間に合わず、タヌキは同じルートで左へ立ち去りました。 
小雪(みぞれ?)がチラついています。 


この場所は晩秋には溜め糞場sとなっていたのですが、根雪が積もるとホンドタヌキは雪道に排便しなくなったようです。 
そもそも積雪期になると、タヌキの通行頻度がぐっと下がりました。 
林道上に点々と並ぶ糞塊の全体像をカメラの画角内に収めるのが難しいために、タヌキの排便シーンが撮れていないだけかもしれません。 (画角の右外で脱糞した?)
林道上に大雪が積もるとカメラの設置位置が雪面に対して低くなり、画角が狭くなってしまいました。 
カメラの電池を交換するために私がときどき現場入りしたときにも、雪道にタヌキの糞を見つけたことは一度もありません。 (タヌキの糞が雪の下に埋もれていた可能性はあります。)


ホンドタヌキの学名変更について余談。
私はこれまでWikipedia日本語版の情報を元に、ホンドタヌキの学名をNyctereutes procyonoides viverrinusとしてきました。
ユーラシア大陸産タヌキNyctereutes procyonoidesの本州亜種という見解です。
ところが私のYouTube動画に最近、海外の方からコメントを頂きまして、ホンドタヌキの学名はNyctereutes viverrinusとのご指摘がありました。
これはWikipedia英語版の情報と同じで、ユーラシア大陸産のタヌキNyctereutes procyonoidesとホンドタヌキは明らかに別種であるという見解です。(亜種名から種小名viverrinusへ昇格)
外見や解剖学的な違いは素人目には見分けがつかないのですが、ミトコンドリアDNAを解析した結果、そうなるのだそうです。
もし別種だとしたら、雑種は生まれないか不妊になるはずです。
そのような雑種形成実験を飼育下で試したという話を私は聞いたことがありません。
細胞の染色体の数や核型がそもそも異なるそうなので、種間交雑はまず無理だろうという話です。
また行動にも違いがあり、例えばエゾタヌキ(北海道産のタヌキ≒ユーラシア大陸産のタヌキ)は冬ごもりしますが、ホンドタヌキは冬でも元気に活動します。
ただし、冬ごもりの行動が遺伝的な違いかどうか、私は知りません。
以上の新しい知見を得た私はあっさり改宗しました。
むしろ、日本国内のタヌキ学者がどうして未だに古い学名に固執しているのか不思議です。(日本人ゆえのプライド?)
これを機会に、当ブログやYouTube動画に登場するホンドタヌキの学名を全て変更しました。




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