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2020/04/29

キボシカミキリ♀♂の交尾行動(交尾器のクローズアップ)



2019年10月下旬・午後16:23〜16:34(日の入り時刻は午後16:41)


▼前回の記事
キボシカミキリ♀が桑の幹を移動しても追従する♂(配偶者防衛行動)


キボシカミキリ♀♂(Psacothea hilaris hilaris)2ペアの交尾行動をマクロレンズで接写することができました。
薄暗い夕方なので、補助照明の白色LEDを点灯しています。
本来キボシカミキリの配偶行動は夕方から夜にかけて活発に行われるらしいのですが、照明が眩しくても幸い交尾行動に影響はなさそうです。

ヤマグワの樹皮を大顎で齧って傷つけて産卵加工している♀を撮っていると、前傾姿勢で大顎に力を込める♀の腹端で産卵管(焦げ茶色の細い筒状)が少し伸縮していました。
♀の口元には樹皮を削り取った木屑が付着しています。
♀の背後からマウントした♂がときどき♀の背中を口髭で舐めて(リッキング)います。
やがて♂が腹端を強く曲げて交尾器を伸ばし始めました。
茶色い♀産卵管の末端から♂交尾器を挿入したようです。
初めて見るキボシカミキリの♂交尾器は黄色くて細長く、ねじれていました。
1分足らずで♂が交尾器を引き抜くと、長いペニス(腹部の長さとほぼ同じ)は直ちに縮んで腹端に格納されました。
交尾に挑むマウント姿勢が浅い気がしたのですが、これほどペニスが長いのであれば納得です。
交尾中も♀は構わずに産卵加工を続けています。
交尾が済んでも♂は♀の元を離れずに交尾後ガードを続けます。

2組目のカップルでは交尾開始を見逃してしまいました。
この♂の交尾器は白かったです。
ペニスの色の違い(黄色/白色)は撮影角度や照明の有無によるものか、それとも移精の有無によるものか、どちらでしょう?


キボシカミキリは♂同士で精子競争があるそうです。
深谷緑『キボシカミキリの配偶行動と生態情報利用、体サイズ』によると、

 キボシカミキリの♂は、精子置換(sperm displacement)を行う。交尾の最初の段階で、短い間交尾器で接続する行動を反復し、このときに♂は♀体内にある先に交尾していたライバル♂の精子を、生殖器の先の逆だった鱗状の構造によって掻き出して除去している(sperm removal)。このあとに交尾器での長時間の接続を行い自分の精子を注入する。この掻き出しにより98%の精子が除去されるという。甲虫の♀が複数♂と交尾したとき最後に交尾した♂の精子が受精に有利とされている (『カミキリムシの生態』第5章p175より引用)



しかし撮影時の私はそこまで深い知識が無かったために、何回目の交尾行動なのかじっくり観察していませんでした。
つまり、今回撮れた映像が精子置換行動なのか、それとも射精を伴う本当の交尾行動なのか、不明です。
交尾器の挿入時間が短くてすぐに引き抜いてしまうのが意外でした。
(カメラの眩しい照明のせいで交尾を中断した可能性は?)
特定の♀♂ペアの動向を長時間ひたすら注目するべきでしたが、私にはその余裕がありませんでした。
桑の木のあちこちで繰り広げられる♀♂複数ペアの交尾行動を、目移りしそうになりながら夢中で接写していたのです。

つづく→キボシカミキリ♂同士の喧嘩(配偶者防衛に成功)




2020/04/27

桑の幹を移動するキボシカミキリ♀に追従する♂(配偶者防衛行動)



2019年10月下旬・午後16:17〜16:31(日の入り時刻は午後16:41)


▼前回の記事
ヤマグワの樹皮を産卵加工するキボシカミキリ♀

川岸に生えた1本のヤマグワの幹のあちこちでキボシカミキリPsacothea hilaris hilaris)の様々な配偶行動が繰り広げられるので、初めて観察する私は目移りしてしまいます。

この記事では、幹を徘徊する♀に注目して、交尾後の3ペアの映像をまとめました。
♀がゆっくりと幹を登ったり降りたり移動しています。
落ち着くと鋭い大顎で樹皮を齧って産卵加工を始めました。
産卵に適した場所をどうやって探り当てるのでしょうね?

幹を徘徊・探索する♀の背後を触角の長い♂がぴったりと付いて歩いています。
油断なく交尾後ガードを続けているのです。
♀が産卵を無事に終えるまで自分の精子が受精に使われたという保証がないので、♀が浮気しないように見張っている必要があるのです。

深谷緑『キボシカミキリの配偶行動と生態情報利用、体サイズ』によると、

(キボシカミキリでは、)♂が♀と交尾後、さらに産卵中も♀に前脚を掛け、ガードしている♂の配偶者防衛行動が見られる。 (『カミキリムシの生態』第5章p175-176より引用)

マクロレンズで接写したシーン2では、初め♀の体軸に対して♂は斜めにマウントして交尾後ガードしていました。
♀が幹を上に上るに連れて、♂は♀と同じ向きにマウントする姿勢になりました。


カミキリムシでは♀の体表構造(毛の生えた向きなど:しぐま註)によりマウント方向が決まるという報告は無く、キボシカミキリの場合は♂による腹部末端の位置の調節ほか、♀が歩きだし、♂が追従することによってマウント方向が確定するものと考えている。 (同書p170より)

接写してみて初めて気づいたのですが、どうやら♂は♀の背中をずっと舐めているようです。
この行動はリッキングと呼ばれるそうです。

・♂は♀を捕捉したのち各段階で♀背面を口ひげで舐める行動(licking)を繰り返す。 (同書p160より)
様々なカミキリムシにおいて♂のlicking(口髭で舐める行動)は♀を「なだめる」効果があるとされている。♀が♂の口髭による背面への接触を認識し、拒否的行動を止めるということである。このlicking行動は、♂が接触化学感覚子の密集した口髭で触って♀の体表のコンタクトフェロモン成分を能動的に受容する行動(active sensing)でもあると考えられる。 (同書p162より)


キボシカミキリ♂@交尾後ガード+リッキング


シーン3では、♂をつれた♀が幹の根際を下に下りていきます。
ところが♀は向きを変え、幹の裏側に回り込んでしまいました。



つづく→キボシカミキリ♀♂の交尾行動(交尾器のクローズアップ)


2020/04/25

ヤマグワの樹皮を産卵加工するキボシカミキリ♀



2019年10月下旬・午後16:10〜16:40(日の入り時刻は午後16:41)


▼前回の記事
寄主ヤマグワに飛来したキボシカミキリ♂の探雌行動

寄主植物であるヤマグワの木に集まってきたキボシカミキリPsacothea hilaris hilaris)の♀は何をしているのでしょう?
口元を接写すると、固い桑の樹皮を大顎で一心不乱に齧っています。
齧った樹皮を餌として食べて(飲み込んで)いるのか、という点を知りたいのですけど、接写してもよく分かりませんでした。
接写のための補助照明として白色LED(外付けストロボに付属)を点灯しても特に行動への影響はなさそうでした。

平凡社『世界大百科事典』でキボシカミキリを調べると、

成虫は5月ごろから出現し,イチジク,クワ類の葉を食し,また,これらの木の樹皮をかじって傷をつけ,その中に産卵管をさし入れて1個ずつ卵を産みつける。

このようにカミキリムシ♀が樹皮を齧る行動を正式な専門用語で「産卵加工」と言うらしいのですが、私を含め何も知らない素人には「産卵した後に卵を加工するのか?」という誤解を生む気がします。
例えば「産卵前加工」とか「産卵基質加工」と呼ぶのが適切ではないかと思うのですが、長年業界で使われてきた用語を変更するのは難しいのでしょう。

深谷緑『キボシカミキリの配偶行動と生態情報利用、体サイズ』によると、

キボシカミキリ♀は、樹皮に顎で穴を開け(産卵加工)、この穴に1卵ずつ丁寧に卵を産んでいく。 (『カミキリムシの生態』第5章p175より引用)

そもそもカミキリムシ♀がどうして産卵加工をするかと言うと、

寄主植物にはカミキリムシ幼虫を体内に住まわせるメリットは何もないから、カミキリムシ側の一方的な侵略に対して寄主植物側は有害な樹液を滲出させるなど何らかのディフェンスを行う。このディフェンスから卵を保護する手段の一つが産卵加工だ。 (同書・第3章p101より引用)

この解説は新鮮でした。
樹液(忌避物質)を局部的に枯渇させたり堰き止めたりする目的なのだとしたら、一部のイモムシなどが摂食行動の前にやるトレンチ行動と似てますね。

キボシカミキリ♀が産卵加工の重労働に励んでいる間、♂がぴったり付き添っています。
複数ペアを撮影したのですが、体格は♀>♂で、触角の長さは♀<♂でした。
多くの場合、♂は♀の背後から覆いかぶさるようにマウントしているものの、交尾器は結合していません。
♀の背で前後逆あるいは斜めにマウントしている♂もいました。(定位の問題)
♂の触角は直線状で長いのに対して、♀の触角は緩やかに弧を描くように曲がっていました。


カミキリムシでは、♂が父性を確保するために、交尾後も長時間♀から離れず、産卵中もマウントを続ける、いわゆるpair-bondingを行う。(同書・第7章p259より引用)

長時間かかる産卵加工の一部始終を微速度撮影したかったのですが、日が暮れて暗くなってしまいました。
残念ながら赤外線カメラ(暗視カメラ)など夜間の撮影の準備をしてこなかったので、肝心の産卵シーンも今後の宿題です。


つづく→




2020/04/01

水路底のコケに連結打泥産卵するアキアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年10月上旬・午前11:25頃

平地の農耕地(田畑)を流れる用水路で連結した赤とんぼの♀♂ペアが産卵していました。
収穫の済んだこの時期、農業用水路に水はほとんど流れていません。

同定のために撮った写真をよく見ると、アキアカネ♀♂(Sympetrum frequens)のようです。
♂の腹背は橙赤色でいわゆる赤とんぼでしたが、♀は腹部が淡褐色のままの個体でした。

水路の底を連結態で低く飛びながら、緑の苔(種名不詳)に覆われた石を目掛けて繰り返し産卵しています。
この場合は、連結「打水」産卵ではなく連結「打泥」産卵と呼ぶべきかもしれません。

「打苔」産卵という用語は無いみたいです。




アキアカネ♀♂の連結打泥産卵を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:27〜)
♀が全身を使って振り子のように前方の目標物に腹端を打ち付けて産卵しています。
湿った苔だけでなく水際の泥や小石にも産卵していました。
水面ならどこでも良い連結「打水」産卵とは明らかに違います。
なぜか最後はとんぼ返りして飛び去りました。


一方、ノシメトンボ♀は空中で苔の上から卵を放出していました。(打空産卵)

▼関連記事
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】


アキアカネ♀♂:側面@水路底:苔+連結打水産卵
アキアカネ♀♂:背面@水路底:苔+連結打水産卵

2020/03/12

産卵の合間に連結態のまま休むミヤマアカネ♀♂【ハイスピード動画】



2019年9月下旬・午前11:15頃

川の本流に注ぐ浅い水路で複数のミヤマアカネ♀♂(Sympetrum pedemontanum elatum)ペアが連結打水産卵していました。(映像公開予定)

尾繋がり(連結態)のままコンクリート護岸に静止ししている♀♂ペアを見つけました。
疲労困憊で休んでいるのでしょうか?
飛び立つ瞬間を狙って撮った240-fpsのハイスピード動画を撮ってみました。
♀は腹端を水中に浸しているのですが、産卵中なのかどうか不明です。

しばらくすると♂が先に羽ばたき、♀を空中に引き揚げました。
続いて♀も羽ばたいたので、死んではいませんでした。
その後は普通通り、連結打水産卵を再開しました。

少し離れたコンクリートブロックに連結態(尾繋がり)のまま休憩している別の♀♂ペアを発見。
♀の腹端が死角で見えないのが残念です。(産卵中?)
しばらくすると♀が羽ばたいて離陸を試みるものの、♂は疲れ切っているのか無反応でした。
♀にしてみればペアを解消して元気な♂と組み直したいかもしれません。
やがて♂が先に羽ばたき、♀を引き揚げるように離陸しました。
連結打水産卵を再開したはずですが、見失いました。

wikipediaでミヤマアカネを調べると、まさに今回観察したことが記載されていました。

産卵の途中で「キ」の字に連なったまま植物などにつかまり休息することも多い。


▼関連記事(9日前に別の水路で撮影)
用水路で連結打水産卵するミヤマアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】


2020/03/06

夕方の池で連結産卵するギンヤンマ♀♂



2019年9月下旬・午後16:25頃

林に囲まれた夕方の溜池でギンヤンマAnax parthenope julius)の連結ペア♀♂が産卵していました。
この時間帯でギンヤンマの産卵行動を観察したのは初めてです。
薄暗い上に逆光でトンボを撮ったので、ほとんどシルエットしか見えません。
ストロボを焚いて写真に撮ろうか迷ったのですが、閃光に驚いて逃げられてしまうと困ります。
岸からでは被写体にフラッシュが届かない距離だろうと判断し、諦めて動画撮影を続けました。
動画編集時に彩度を少し上げたらようやくギンヤンマに特徴的な体色が見えるようになりました。

枯死したガマやヨシなど抽水植物の枝(茎?)にしがみつき、下側の♀が腹端だけを水中に浸して植物組織の中に産卵しています。
頻繁に飛び立つと少し移動してから別の茎に止まり直し、あちこちで同様に産卵を続けます。
♀の腹端が着水すると、池の水面に波紋が広がります。

連結態で飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、必ず♀が♂よりも先に羽ばたき始めることが分かりました。
産卵時の主導権は、やはり♀が握っているようです。

しばらくすると、ようやく一箇所に落ち着いてじっくり産卵するようになりました。
それまでは、産卵基質の状態が気に入らなかったのでしょう。(未産卵?)
そこへ単独のギンヤンマ(あぶれ♂)が飛来しました。(@1:41;探雌飛翔)

(※ 黄昏飛行と呼ぶには未だ時間帯が早いでしょうか?)
あぶれ♂が♀♂ペアの上空でホバリング(停飛)すると、連結態の♂がその場で軽く羽ばたいて、あぶれ♂を撃退しました。
産卵に専念している♀は、特に交尾拒否行動をしませんでした。
トンボの♂は交尾しても♀が産卵してくれるまでは、自分の精子で確実に受精したという保証がありません。
尾繋がりしている状態であれば、ライバル♂に♀を奪われる心配は無くなります。(交尾後ガード)
逆に、あぶれ♂の存在が産卵警護の必要を生むのでしょう。
交尾後もライバル♂が居なければ、♂は連結態を解除して(次の♀を探しに行き)♀は単独で産卵することもあります。

▼関連記事
池で単独産卵するギンヤンマ♀
ギンヤンマ♂♀の連結産卵

一方、水面を泳ぎ回るアメンボが近づいても産卵中のギンヤンマ♀♂は気にしません。

あぶれ♂がもう来なくなっても、ギンヤンマの翅が小刻みに震えています。
日が落ちて気温が下がり、胸部の飛翔筋を震わせて離陸前の準備運動をしているのかもしれません。
(風で翅がはためいているだけかな?)


ギンヤンマ♀♂@池:枯茎+連結産卵
ギンヤンマあぶれ♂@池+探雌飛翔

2020/03/05

ネムノキ幼木に飛来した産卵前のキタキチョウ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月下旬・午後14:20頃・晴れ

岩だらけの河原の砂地に生えたネムノキの幼木の周囲をキタキチョウ♀(Eurema mandarina)が忙しなく飛び回っていました。
ネムノキは本種幼虫の食樹植物の一つです。
葉に一瞬止まって品定めしたものの、すぐに離れたので産卵はしていないようです。
このネムノキがよほど気になるようで、何度も舞い戻って来ます。

むしろ、どうして産卵しないのだろう?と不思議に思いました。
キタキチョウ♀の飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:03〜)

撮影後にネムノキの葉をよく調べて卵の有無を確認すべきでしたが、すぐに他の被写体に気を取られてすっかり忘れてしまいました…。


キタキチョウ♀@ネムノキ幼木+飛翔

2020/02/22

河原の砂地に産卵するウラギンヒョウモン♀



2019年9月下旬・午後14:17・晴れ

岩がゴロゴロした河原でウラギンヒョウモン♀(Fabriciana adippe)が翅を軽く開閉しながら歩き回り、腹端で地表の状態を探っています。
立ち止まると腹端を砂地に軽く突き立てるようにして産卵を始めました。
飛んだり歩いたりして少し移動してから再び砂地で産卵しています。
河原に咲いたカワラハハコなどに訪花するのではなく、産卵を繰り返していました。

ウラギンヒョウモン幼虫の食草はスミレ類のはずです。
春になったらここにスミレが生えてくるのでしょうか?
ぜひとも確認しに来ないといけません。
川沿いに生えるスミレとして、例えばケイリュウタチツボスミレという種類があるそうです。
しかし、この現場は渓流とは言えず、上流域から中流域に移行する辺りだと思います。

私は未だウラギンヒョウモン♀が食草のスミレに産卵するシーンを観察したことがありません。
花が咲き終わると私にはスミレが見分けられなくなるのが問題です。

▼関連記事(3年前の撮影)
農道の枯草に産卵するウラギンヒョウモン♀

ウラギンヒョウモン♀翅裏@河原砂地+産卵
ウラギンヒョウモン♀翅表@河原砂地+産卵
ウラギンヒョウモン♀翅裏@河原砂地+産卵

2020/02/15

連結打水産卵するミヤマアカネ♀♂とあぶれ♂の攻防



2019年9月中旬・午前11:25頃


▼前回の記事
用水路で連結打水産卵するミヤマアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

ミヤマアカネSympetrum pedemontanum elatum)は成熟すると体色が性的二型になります。
成熟♂はいわゆる「赤とんぼ」で赤色ですが、♀は地味な黄土色です。
フィールドでも♀♂がはっきり見分けられるので、様々な配偶行動の観察に適しています。

ミヤマアカネ♀♂が連結打水産卵を続けている水路の岸には、交尾相手を見つけられていない「あぶれ♂」が縄張りを張っていました。
岸で枯れた草の葉や穂先など見晴らしの良い場所に止まったあぶれ♂は、複眼が発達した頭部をグリグリ動かし、周囲を油断なく見張っています。
あぶれ♂がスクランブル(緊急発進)で迎撃に飛び立っても、大体同じ場所にすぐ舞い戻ります。
産卵ペアとあぶれ♂との攻防を、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
その後で等倍速(リアルタイム映像)でリプレイ。

しばらく様子を観察していると、あぶれ♂は産卵ペアを縄張りから追い払えていません。
産卵ペアは少し逃げるだけで平気で産卵を続けています。
尾繋がり状態になった♀の強奪は不可能なのでしょう。(尾繋がりは最強の交尾後ガード)
しかし産卵ペアが居なくなると、あぶれ♂の縄張りに平和が戻りました。
あぶれ♂は縄張り警戒中に何か動く物が視界に入るだけでどうしても反射的に飛び立つような体の仕組みになっている(♂の悲しいさが)だけのような印象を受けました。
素人目には、無駄に体力を消耗しているようで気の毒です。
あぶれ♂の縄張りの範囲を長時間きちんとマッピング調査すれば、何か面白いことが分かるかもしれません。

産卵を終了した♀♂がペアを解消した瞬間、あぶれ♂にも♀を得るチャンスが巡ってくるのですかね?
(それとも♀は一度しか交尾しないのか?)


ミヤマアカネあぶれ♂:側面@用水路:岸枯草:穂先
ミヤマアカネあぶれ♂:顔@用水路:岸枯草:穂先
ミヤマアカネ♀♂@用水路+連結打水産卵vsあぶれ♂@岸枯草:穂先
ミヤマアカネ♀♂@用水路+連結打水産卵vsあぶれ♂@岸枯草:穂先

2020/02/08

用水路で連結打水産卵するミヤマアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月中旬・午前11:20頃

川の本流に注ぐ浅い水路でミヤマアカネSympetrum pedemontanum elatum)の♀♂ペアが何組も産卵していました。
石垣で護岸された用水路の両側には雑草が繁茂しているため、水面に草が張り出して適度な日陰を作っています。
連結した♀♂ペアは、主に岸の水際で連結打水産卵を繰り返していました。
珍しく水路の中央部でも産卵したのは、橋の下で影になっていたからですかね?

ミヤマアカネ♀♂の連結打水産卵を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:24〜)
空中でホバリング(停空飛翔)してから狙いを定め、振り子のように♀を前方に振り出す勢いで産卵しています。
♀♂ペアの羽ばたく影が水面に写る様子や、打水産卵する度に水面に広がる波紋も美しいですね。
連結飛翔しながら落ち着き無くあちらこちらと産卵場所を変えていました。
スローモーションを見直すと、単純に「打水産卵」とは言い切れないことが分かりました。
水際に狙いを定めてもときどき狙いが外れてしまうのか、水中ではなく石垣護岸の陸地に打泥産卵したり、苔に産みつけたりすることもありました。
あるいは、♀は意図的に色々な場所に産卵してリスクを分散しているのかもしれません。

私が見た限り、この用水路内に小魚は居ないので、産卵直後に食卵されるおそれはなさそうです。
一方、すぐ近くで小魚が群れている支流では、産卵するミヤマアカネ♀♂はほとんど居ませんでした。

つづく→連結打水産卵するミヤマアカネ♀♂とあぶれ♂の攻防


▼関連記事(2年前の撮影)
ミヤマアカネ♀♂連結打水産卵からの♀単独打水産卵


ミヤマアカネ♀♂@用水路+連結打水産卵
ミヤマアカネ♀産卵地@用水路・全景
ミヤマアカネ♀産卵地@用水路・全景

2020/01/21

連結打空産卵するノシメトンボ♀♂ペアとあぶれ♂の小競り合い【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午前10:40頃


▼前回の記事
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

雨上がりで湿ったスギゴケ群落で連結打空産卵しているノシメトンボSympetrum infuscatum)の♀♂ペアを撮影していると、あぶれ♂(独身♂)がときどき飛来してちょっかいをかけます。
しかし、それほど激しい縄張り争いや♀の強奪は起こりませんでした。
連結ペア♀♂は華麗に身をかわすと、少し場所を変えるだけで平然と産卵を続けています。
同様のシーンは240-fpsのハイスピード動画でも捉えられていました。(@0:40〜)

♂は♀の首根っこを掴んでしまえば、ライバル♂に奪われる心配は無いのでしょう。
交尾後も連結態で産卵する種類のトンボは、♂が♀を交尾後ガードしているのです。
(♀が単独で産卵する間、♂が少し離れたところで見守り警護する種類のトンボもいます。)

ノシメトンボのあぶれ♂は疎らに生えた背の高い草のてっぺんに止まって周囲を見張っているようです。
縄張りへの領空侵犯があるとすかさずスクランブル発進して追い払いに来るのでしょう。
次回はあぶれ♂の行動に注目して撮影してみるつもりです。

それにしても、湿った苔に産み付けられた卵から孵化してもヤゴが育つのか、呼吸可能なのか、心配になります。
もっと水量が多くないとこんなコケ群落に産卵しても無駄死にではないか?と思ってしまいます。
卵の捕食者は水中よりも苔群落の方が少なくて安全なのでしょう。
トンボについて未だ色々と勉強不足なので、ヤゴの飼育をしてみたいものです。


2020/01/13

湿地帯のカヤツリグサ群落で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂



2019年8月下旬・午前10:50頃(雨の翌日で晴れ)

▼関連記事
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

雨上がりの河川敷でノシメトンボ♀♂(Sympetrum infuscatum)が産卵していたスギゴケ?群落の奥(川に近い地帯)にはカヤツリグサなどが生い茂った草地が広がっていて、そこでも数組の♀♂ペアが連結打空産卵していました。

あぶれた♂が枯草の茎のてっぺんに止まって休んでいます。
縄張りを占有して♀を待ち伏せしているはずなのに、近くで産卵しているカップルの邪魔をしたり♀を強奪したりすることはありせんでした。

カヤツリグサの種類を調べたかったのですが、履いていた靴を泥だらけにしてまで湿地帯に踏み込む根性が無くて諦めました。
夏のフィールドでは長靴やサンダル履きの方が良い場合もあります。


ノシメトンボ♀♂2@連結打空産卵:カヤツリグサ群落


2020/01/05

舗装路で産卵を試みるショウリョウバッタ♀



2019年8月下旬・午後15:30頃

河川敷の舗装路でショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)がじっと静止していました。
やがて警戒を解くと、手前に引き寄せていた後脚を戻しました。

ただの休息かと思いきや、腹端を路上に接地しています。
後脚も広げて6本脚でしっかり踏ん張ると、舗装されたアスファルトを腹端で掘ろうとしていました。
舗装路のすぐ横には芝生の地面が広がっているのに、なぜわざわざ硬いアスファルトで産卵を試みるのでしょう?
砂利道だと誤認しているのかもしれません。
路上を徘徊していた微小なアリ(種名不詳)が足先や産卵管に触れると、ショウリョウバッタ♀は慌てて体の向きを変えました。

▼関連記事(8年前の撮影)
舗装路で産卵を試みるヒガシキリギリス♀

つづく→跳んで羽ばたくショウリョウバッタ♀【ハイスピード動画】


ショウリョウバッタ♀@舗装路+産卵前試掘


2020/01/04

連結打空産卵中にほとんど羽ばたかないノシメトンボ♀の事例【ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午前10:46


▼前回の記事
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

湿地帯のスギゴケ上空で連結打水産卵するノシメトンボ♀♂(Sympetrum infuscatum)を240-fpsのハイスピード動画で撮っていたら、興味深いカップルがいました。

♀がほとんど羽ばたいていないのです。
良く言えば省エネ飛行と言えるかもしれません。
しかし♂の負担が増しているはずです。
♀のやる気が無いのか、早くこの♂と別れたくて(ペアを解消したい)サボタージュしているのでしょうか?
それとも産む卵が体内に残っていないのかな? 

ところが、スローモーション映像をじっくり見直すと、♀の腹端から白い卵がひと粒ずつ正常に投下されていました。
このノシメトンボ♀は、疲労や空腹で弱っている個体なのかもしれません。


つづく→連結打空産卵するノシメトンボ♀♂ペアとあぶれ♂の小競り合い【HD動画&ハイスピード動画】



2019/12/31

池で単独産卵するギンヤンマ♀



2019年8月下旬・午後13:25頃

ギンヤンマ♀(Anax parthenope julius)が公園の池で単独で産卵していました。
池から生えた枯枝に掴まり、腹端だけを水中に浸しています。
腹端の産卵管で探っているものの、細い枯枝(枯死植物)の樹皮にうまく突き刺せないようです。
翅が黒っぽく染まっていないということは、老熟個体ではなくて産卵経験が浅い個体なのでしょう。
側面から見ると、脚の腿節は赤褐色で、複眼および胸部は鮮やかな黄緑色でした。

枯枝から急に飛び立つと、近くで縄張りを張っていたシオカラトンボ♂が背後から追いかけて来ました。
ギンヤンマ♀は少し飛んでから、池の岸の草むらに止まり直しました。
岸から垂れ下がったイネ科の草の葉にしがみ付くと、水面に浮いているイネ科の落葉に産卵管を突き刺そうとしています。
すぐにまた飛び去りました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

今回、単独産卵中の♀を警護する♂の姿を近くで見かけませんでした。


図鑑『日本のトンボ』でギンヤンマの産卵について調べると、

産卵(Oviposition) 交尾を終えたペアは連結態のまま水面に飛来し、浮葉植物の葉や浮いた枯死植物などに産卵する。♀単独での産卵も行う。 (p207より引用)

▼関連記事(6年前の撮影)
ギンヤンマ♂♀の連結産卵


ギンヤンマ♀@池:枯枝+単独産卵
ギンヤンマ♀@池岸:イネ科草葉+単独産卵

2019/12/27

スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午前10:45頃・晴れ

河川敷の一角に苔の大群落が広がっていて、そこでノシメトンボ♀♂(Sympetrum infuscatum)の連結ペアが多数集まり、低く飛びながら産卵していました。

前日の晩に久しぶりの雨が降ったのに、河川敷に水溜まりはできていませんでした。
連日の酷暑で、よほど地面が乾いていたのでしょう。
私は苔について勉強不足なのですが、ノシメトンボが卵を産んでいたのはスギゴケですかね?
もし間違っていたらご指摘願います。
ふわふわしたコケの表面に触れてみたら、それほど湿り気を感じませんでした。
この日の天気は秋晴れで(秋の空)、風も適度に吹いて過ごしやすい撮影日和でした。

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:10〜)
スローモーションを見て分かったのですが、♀が腹端で苔の表面を打つ産卵法ではありませんでした。
空中で♀が腹端から白い卵をパラパラと放出していました。
ノシメトンボの産卵法は、連結打空産卵です。


打空産卵:Non-contact flying oviposition
例:ナツアカネ

生殖弁による産卵のなかには空中で腹端を振るだけで産卵する「打空産卵」も行われています。その多くは水面上ではなく、岸近くの草原や湿原の上で行う産卵です。卵はやがて雨で流されて徐々に水中に達して孵化します。(『トンボのすべて』p85より引用)



ノシメトンボの産卵法について保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIトンボ編』(1969年)という50年前の古い図鑑で調べると、

 一般的には開放的な水面に♂♀が連なって産卵するが、時として池畔の雑草の上などにも、水面ですると同じように尾端を打って産卵行動をすることが観察されている。(p185より引用)
…と明らかに間違った記述(連結打水産卵)でした。


最新のトンボ図鑑ではもちろん訂正されています。

誰がいつ真相に気づいたのか? どうやって定説を覆し学会を説得したのか? という科学史に私は興味があります。
産卵中に決定的瞬間の証拠写真が偶然撮れたのですかね?
1枚の写真だけでは白い点のような卵が空中に写っていても、にわかには信じてもらえない気がします。
その点、素人でもハイスピード動画が手軽に撮れるようになった現代では一目瞭然で、説得力がまるで違います。(百聞は一見に如かず)
それとも、ノシメトンボ♀の産卵弁の構造を解剖学的に検討すれば打水産卵ではなく打空産卵と正しく推測できるのでしょうか?


過去に私がノシメトンボの産卵を観察したのは全て田んぼの稲穂の上でした。
秋の田んぼは水が抜かれていて、まるで湿地のようです。
本種は水のある場所には産卵しないとのことで、納得しました。

▼関連記事
ノシメトンボの連結打空産卵 (5年前の撮影@田んぼの稲穂の上)
ノシメトンボ♀♂の交尾と連結打空産卵 (3年前の撮影@田んぼの稲穂の上)


つづく→連結打空産卵中にほとんど羽ばたかないノシメトンボ♀の事例【ハイスピード動画】


ノシメトンボ♀♂@連結打空産卵:スギゴケ?+飛翔
ノシメトンボ♀♂@連結打空産卵:スギゴケ?+飛翔
ノシメトンボ♀♂@連結打空産卵:スギゴケ?+飛翔
スギゴケ?
スギゴケ?
スギゴケ?群落@河川敷・全景
スギゴケ?群落@河川敷・全景
スギゴケ?群落@河川敷・全景


2019/11/09

訪花中のオオハキリバチ♂に産卵するヤドリバエ♀の早業



2019年7月下旬・午後17:34

夕方、イタドリの花にオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が訪れ吸蜜していました。
ここまでは数日前と同じです。


▼関連記事
イタドリの花蜜を吸うオオハキリバチ♂ @同じ場所で撮影

そこへ飛来したハエが通り過ぎかけたものの、引き返すと狙いを定めてオオハキリバチ♂に素早くぶつかって離れました。
まるで当て逃げのようです。
オオハキリバチ♂は驚いて花から滑落しました。
すぐに立ち直ったようで、イタドリ群落の左下隅の隙間の奥に飛び去るオオハキリバチ♂の姿が映っています。

この一瞬で一体何があったのでしょうか?
思わせぶりなハエの行動を1/10倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。

ハイスピード動画ではないので、カクカクとコマ落ちするのは仕方がありません。
素人目にはなんとなくニクバエ科の一種のようです。
ハエが蜜源植物の群落でライバルを追い払う(占有行動)とは考えにくいでしょう。
吸蜜したいのなら、わざわざ争わなくても辺りには他の花がいくらでも咲いているからです。
それともハエ♂が同種の♀と見間違えて蜂に飛びついたのかな?(誤認求愛)
もしヤドリバエ科(寄生バエ)の一種の♀だとすると、すれ違いざまに驚異的な早業で寄主の体表に産卵したのかもしれません。


▼関連記事
イタドリハムシに寄生産卵するヤドリバエ @10年前の撮影

オオハキリバチの営巣地で寄生者を観察したことが過去に2例ありますけど、巣ではなく成虫の体に直接産卵するハエ(捕食寄生)がいるとは初耳です。

▼関連記事
オオハキリバチvs天敵ツリアブ @捕食寄生:9年前の撮影
オオハキリバチの巣に侵入を試みるハラアカヤドリハキリバチ♀:前編 @労働寄生:7年前の撮影
野外で飛び回っているオオハキリバチを片端から捕獲して体表にヤドリバエの卵が産み付けられているかどうか調べ、被寄生個体を飼育してハエが羽化するまで待てば突き止められそうです。(言うは易し)



2019/10/14

公衆トイレ内で卵嚢を守るイエユウレイグモ♀(蜘蛛)



2019年6月下旬

野外の公衆トイレに入ると壁際にイエユウレイグモ♀(Pholcus phalangioides)が居ました。
白い壁面で下向きに静止したイエユウレイグモ♀は、白い卵嚢(卵塊)を抱えて守っています。
卵嚢は頭胸部よりも大きく、一体どうやって産卵したのか不思議です。
私がハンディカムの白色LED照明を点灯してもあまり動じません。
近くには別種のクモも一緒にいます。(オオヒメグモともう一匹は何?)
背景が白い壁なので不規則網の糸が見えないのですが、その辺りを私が左手で触れて軽く揺すると、イエユウレイグモ♀は卵嚢を抱えたまま天井隅へ逃げ出しました。

卵嚢ガード中のイエユウレイグモ♀に生餌を与えると卵嚢を一時的に手放して捕食するらしいと聞いて、いつか確かめてみたいと以前から思っていました。
ここで試そうか迷ったのですが、公衆トイレではいつ利用者が入ってくるか分かりません。
私がトイレ内に三脚を立てて長時間立て籠もっていたら、あらぬ誤解で通報されかねません。※
今回は小型のハンディカムでさっと撮っただけで済ませました。
ここは丸っきりひと気のない場所の公衆トイレです。
利用者はほとんど居ないようで、クモの王国になっていました。
右側の入り口付近には綺麗なシロカネグモの一種が大きな水平円網を張って下面に占座していて、その網をくぐって中に入りました。(映像なし)


※ 今思えば、卵嚢ごとクモを採集して飼育下でじっくり観察すればよかったかもしれません。

▼関連記事(求愛、交接、卵嚢ガード、幼体の孵化など)
イエユウレイグモ(蜘蛛)の定点観察シリーズ:2014年


2019/08/14

ムラサキツメクサの蕾に産卵するツバメシジミ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2019年5月下旬

堤防沿いの道端に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でツバメシジミ♀(Everes argiades hellotia)を見つけました。
蕾に止まって休んでいるように見えたので、飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画で記録しようと撮り始めました。(@00:00〜3:16)
後翅に見落としそうなぐらい小さな尾状突起があるので、ヒメシジミではなくツバメシジミです。
閉じた翅の僅かな隙間から見えた翅表が茶褐色ですから、♀と判明。

映像を見直してみると、なんとツバメシジミ♀は腹端をムラサキツメクサの蕾に擦り付けて産卵していました。
本種の食草はシロツメクサなど各種マメ科植物とのことで、納得しました。
古い図鑑ですが、保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』でツバメシジミの産卵行動について調べると、

母蝶は食草の新芽・つぼみ・花などに1個ずつ産卵する。(p196より引用)


産卵後のツバメシジミ♀は飛び立つと、辺りの草むらをしばらく落ち着きなく飛び回りました。
ようやくイネ科の草の葉に止まると、翅を半開きにして休息。
後翅の尾状突起をまるで触角のように交互に動かすことで、頭部が逆向きにも付いているように見せかけています。
こうすれば、もし捕食者に襲われても本当の頭部に致命傷を負う確率を減らすことができます。
シジミチョウ科でよく見られるこの現象・行動は、自己擬態と呼ばれています。
この個体も、後翅の尾状突起付近が破損しているのは鳥に襲われたビークマークかもしれません。
(鳥が昆虫を狩るときには、頭部などの急所を狙います。)

ムラサキツメクサの花蜜を吸うシーンは残念ながら撮れませんでした。


ツバメシジミ♀@イネ科葉
ツバメシジミ♀@イネ科穂
ツバメシジミ♀@イネ科穂

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