2025/10/21

ミズナラ幼木の葉から葉に飛び回り産卵するムラサキシジミ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午後12:30頃・晴れ 

里山の遊歩道沿いで翅が青く輝く美しい蝶が飛び回っていました。 
ムラサキシジミNarathura japonica)を見たのは生まれて初めてです。 

葉から葉へと忙しなく飛び回り、ミズナラ幼木の先端部にある葉芽に触角や足で触れてみて次々に調べているようです。 
撮影中は、てっきりアブラムシの甘露を舐めているのかと想像したのですが、映像を見直してもアブラムシは写っていません。 
翅表の斑紋から、この個体は♀であることが分かりました。 
どうやら産卵に適した食樹植物(ブナ科の常緑樹または落葉樹)を探索しているようです。 
ミズナラ以外の別の樹種(フジですかね?)の葉にも留まったのですが、すぐにミズナラの葉に戻りました。 
やはりミズナラが好みのようですが、なぜか産卵してくれません。
おそらく産卵に適した葉芽がなかなか見つからないのでしょう。 

横に咲いたリョウブの花で吸蜜するかと期待したのですが、一度も訪花しませんでした。
後で調べると、ムラサキシジミの成虫は花蜜をほとんど吸わず、樹液やアブラムシの甘露などを摂取するのだそうです。 

ムラサキシジミ♀の探索および産卵行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:27〜) 
いつもなら、飛び立つ瞬間だけを編集で切り取ります。
今回は意味のある探索行動も含まれていたので、カットしませんでした。 

ハイスピード動画モードに切り替えると固定焦点になるので、蝶が前後に動き回るとピンぼけになるのは仕方がありません。 
(撮りながらカメラを前後に動かしてピントを合わせる必要があるのですが、私が下手に動くと蝶が怖がって逃げてしまうので、静止して撮り続けました。) 

忙しない行動もスーパースローでじっくり観察することができました。 
羽ばたくと翅表のメタリックな青色が日光に輝いて、息を呑むほど美しいですね。 
ミズナラの葉から少し飛んでは近くの葉に移動し、足先や触角で葉芽に触れて調べています。 
葉から葉へ伝い歩いて移動することもありました。 

遂に、ムラサキシジミ♀は腹端を曲げて葉の根本の裏面に産卵したようです。(@1:34〜) 
卵から幼虫が孵化したら、すぐ近くにミズナラの葉芽があることになります。※ 
産卵行動が撮れたのはこの1回だけでした。 

※ ミズナラの芽形成サイクルを考えると、7月中旬の枝先に見られる芽は、基本的にすべて「葉芽」です。 
初夏~夏(6~8月)の時期は、すでにその年の新梢(当年枝)が伸び切りつつあり、先端や葉の付け根に次年度の葉芽が形成されつつある段階です。 
ミズナラの花は春に当年枝上に形成されるため、この時期に花芽は存在しません。 



【考察】 
(1)ムラサキシジミはゼフィルスの仲間ではない。
雑木林に生息する金属光沢が美しいシジミチョウだったので、てっきりムラサキシジミはゼフィルスの仲間だと思い込み、筆がすべりそうになりました。
念のために確認すると、ゼフィルスはミドリシジミ族の愛称であって、ムラサキシジミ族のムラサキシジミは含まれないそうです。
(危ない、危ない…。)
翅脈構造に注目した形態分類だけでなく、生活史もゼフィルスとは全く違うそうです。 
ゼフィルス類が年一化で卵越冬型であるのに対し、ムラサキシジミは多化性(年数回発生)で成虫越冬を行います。


(2)今回ムラサキシジミ♀がほとんど産卵しなかった理由についてPerplexity AIに相談してみると、他の可能性も提示してくれました。

産卵条件の未成立

ムラサキシジミは新芽や柔らかい葉柄基部を好むため、ミズナラの新芽が適度に展開していない場合は産卵を見送ることが多い。7月中旬はミズナラ新梢の成長期が過ぎて葉が硬化していることが多く、産卵に適する状態ではない可能性が高い。実際、観察例では「近くに新芽が控えていない枝では探索のみで去る」行動が確認されている。

成熟段階と時期の問題

ムラサキシジミは多化性で、7月個体群の一部は羽化直後でまだ成熟期に達していない雌が多い。産卵器官が完全に成熟する前は、産卵行動の探索だけを繰り返すことがある。そのため、見かけ上「産卵探索のようで産卵しない」行動が頻発する。気温が高い時期は交尾や体内卵形成が遅れる場合もある。


(3)南方性のチョウの分布拡大について。 
私のフィールド(山形県の多雪地帯)でムラサキシジミを見たのは生まれて初めてで、興奮しました。
本種はもともと南方系の蝶らしいです。
近年の温暖化の影響で、分布が北進しているのでしょうか?
当地で食樹探しには苦労しませんから、積雪量が減って成虫が無事に越冬できれば、もっと個体数が増えるはずです。

ムラサキシジミ(Narathura japonica)はもともと九州・四国・本州中部以南の暖地性樹林性シジミチョウだが、近年では明確に北方へ分布を拡大しており、山形県での記録も珍しいながら定着しつつあるとされる。nacsj+4

山形県での記録

山形県では2010年代以降に複数の観察が報告されており、山形市や鶴岡市など県内各地で確認例がある。特に2015年には山形市で雌の採集記録が報告され、これが「温暖化に伴う北進例」として全国的に注目された。従来、ムラサキシジミの分布北限は宮城県南部付近とされていたが、現在は山形県内にも不定期に出現している。nanyodoshoten+3

北進と温暖化の関係

日本全体でみると本種は1990年代以降に急速に北上しており、その要因として地球温暖化による冬季気温上昇が主要因と考えられている。越冬は成虫で行うため、厳しい寒さが続く地域では生存が難しかったが、近年は冬季の最低気温が上昇し、北方でも越冬可能になったとみられる。また、寄生蜂などの天敵が分布北限では未到達であり、これが繁殖成功率を高めているという研究結果もある。kpu+3

まとめ

  1. 山形県でのムラサキシジミ記録はまだ多くはないが、2010年代以降しばしば確認されるようになった

  2. その要因は、温暖化による冬の気温上昇と寄生者不在による生存率上昇が主と考えられている。

  3. 現状では散発的な発生段階だが、今後定着が進む可能性が高い。

したがって、山形県での出現はかつては稀であったが、 近年の地球温暖化と気候緩和の影響を受けた北進個体群の一部であるとみるのが妥当である。



(4)学名のシノニムについて
英語版wikipediaでは、ムラサキシジミの学名はArhopala japonicaとなっています。 
日本語版wikipediaに載っている学名(Narathura japonica)と違います。
ともに(Murray, 1875)と同じ分類学者が同じ年に発表している場合、どちらのシノニムが優先されるのでしょうか?
Perplexityに質問すると、ややこしい事情があって現在も確定していないようです。

ムラサキシジミの学名については、Narathura japonica (Murray, 1875) が現在の日本国内の分類体系(たとえば日本鱗翅学会・日本チョウ類保全協会など)で主に採用されているが、Arhopala japonica (Murray, 1875) も依然として国際的な文献では通用しており、両者は**同じ種を指すシノニム(異名)**である。digital-museum.hiroshima-u+4

分類学的経緯

もともとMurrayが1875年に発表したときはArhopala japonicaとして記載され、その後、Arhopala属を細分する見解の中でNarathura属が独立され、日本の研究者によって本種がNarathura属に移された。両属の区別点は翅脈や♂交尾器などに基づくとされるが、明確な形態的境界がないため、近年もどちらの属に置くかは研究者の体系によって異なるpteron-world

命名上の優先順位

両方とも同じ記載者Murrayおよび同年(1875)であるため、国際動物命名規約(ICZN)上では「記載時の原属名」――すなわちArhopala――が名義上の原組み合わせとして優先されるが、実際の「有効名(valid combination)」としては分類体系で採用される属名に従う。そのため、分岐学的にNarathuraを独立属と認める場合にはNarathura japonicaが有効名となり、そうでない体系ではArhopala japonicaが使用される。mizumoto-koen.blogspot+1

現行の整理

  • 日本鱗翅学会や広島大学デジタル博物館など国内主要機関では Narathura japonica (Murray, 1875) を採用。wikipedia+1

  • 海外のデータベース(EoL, GBIF, LepIndexなど)では Arhopala japonica (Murray, 1875) が主流。sugisaka.sakura+1

結論として、どちらも正しいが、属の扱いが異なるだけで同一種を指す。命名規約上の原記載は Arhopala japonica、しかし日本国内の現行標準は Narathura japonica である。



以上の調べ物でPerplexity AIをフル活用し、とても勉強になりました。(スレッド12




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