2011/11/19

ススキの種子を食すコバネササキリ♀

2011年10月中旬



動画とは別個体


綿毛を付けたススキの穂にキリギリスの仲間(産卵管の長い♀)が何匹も止まっていました。
種子を食べているような気がしたのですが、秋風で穂が激しく揺れそのままではとても口元を接写できません。
こういう悪条件の際の常套手段として、いつものように茎ごと切り落として地面にそっと置いてみました。
しかし長い触角で異変を感じたのか、♀は跳んで逃げてしまいました。


気を取り直し、別個体で再挑戦。
次善の策として今度は左手でススキの穂を押さえながら接写してみました。
(映像はここから。)



確かに口器がもぐもぐ動いています。
側面から観察すると、ススキの種子に口を付けている決定的証拠映像が得られました。
産卵に備えて栄養豊富な種子を食べているのでしょう。
やがて綿毛の中をゆっくり移動し始めました。

直翅目を見分けるのも苦手なので、キタササキリ♀褐色型にしては翅が短い?と思いつつ、動画撮影後に同一個体を採集して持ち帰りました。
落ち着いてよくよく調べてみると、どうやらコバネササキリ♀(Conocephalus japonicus)らしい。


触角が恐ろしく長い。死後は変色が進み、長い産卵管も縦2本に割れてしまう。







2011/11/18

ベニシジミがセイタカアワダチソウに訪花吸蜜



2011年10月中旬



土手に咲くセイタカアワダチソウの花にベニシジミLycaena phlaeasが止まって蜜を吸っていました。
翅がやや擦り切れ色褪せた個体です。
風が時折吹いて激しく揺れるので、望遠マクロのみ。





2011/11/17

オニグモ♀亜成体の白昼造網(横糸張り)と隠れ家への隠遁



2011年10月中旬 午後13:50頃

橋の欄干でせっせと造網中のクモがいました。
急いで三脚を立てて準備します。
太陽光で網や糸が光って見えるアングルをなんとか見つけて動画の撮影開始。


クモはこちらに背面を向け、網の外側から内側へと螺旋状に横糸を張っています。
早回し部分の映像は10倍速。)
若干の秋風が吹く日でしたが、幸い枠糸の固定点が堅牢な構造物なので、被写体が風で揺れる影響は最小限に抑えられました。


横糸張りは撮影中、時計回りで一定でした。
しかし網の右下部分の横糸を見ると、初めの段階では何回か回転の向きを変えていることが分かります。
クモは休憩せず一気に仕上げました。
横糸を張り終えたクモは仕上げに甑(こしき)部分の余分な糸を食い破りました。※
そのまま占座するかと思いきや網の外に退散しました。
網の枠糸を辿って欄干の支柱を探すとネジの陰に身を潜めていました。
明るい昼間は天敵(野鳥やクモバチなど)を恐れているのかもしれません。

完成した垂直円網の大きさは直径約22cm、甑の高さは地上90cmでした。
(数m下には川が流れていますが、橋の路面を地面とみなしました。)

オニグモの甑(こしき)についてクモ生理生態事典2010』によると、
造網作業の最後に,網の緊張を平均化するために,中心部(こしき)にほぼ円形に穴をあけたり, 2~3の放射糸に糸を継ぎ足してひきしめたりするので,不正形の穴があいている.これはオニグモ類には共通した習性である.



隠れ家のクモを採集してみると、どうやらオニグモAraneus ventricosus)のようです。
触肢の形状から♀と思ったものの、腹面の外雌器にコガネグモ科成体♀特有の垂体が見当たりません。
体長も未だ13mmと小さいことから、亜成体♀と思われます。


オニグモの造網(網の張り替え)は通常暗くなってから行われるとされているので、今回の気の早い造網(午後)は興味深く思いました。



2011/11/16

カメノコテントウの飛び立ち(ハイスピード動画)




2011年11月上旬


林縁の草むらでカメノコテントウAiolocaria hexaspilotaを発見。
手に乗せてしばし鑑賞します。



翅をパカッと広げて飛び立つのを期待して、ハイスピード動画(220 fps)にて長撮りしました。
薬指の先に誘導したらようやく飛んでくれました。
そろそろ集団越冬する時期かもしれません。


関連記事(12年後の撮影:240fps)▶ 飛べ!カメノコテントウ【FHD動画&ハイスピード動画】





2011/11/15

クロマダラエダシャク(蛾)幼虫の尺取歩行



2011年10月中旬



黄色、黒、白の縦縞模様に身を纏った見慣れないイモムシを一匹、柳(種名不詳)の葉の上で発見。
派手な(毒々しい)模様は外敵への警戒色なのだろうか。
この日は風が強く枝が激しく揺れて観察しにくいので、柳の小枝ごと切り落としてそっと地面に置き、じっくり接写しました。


葉の縁に止まり真っ直ぐ伸びた状態で大人しく擬死していた幼虫は、しばらくすると警戒を解いて動き始めました。
Ω字状の尺取歩行からシャクガ科の幼虫(尺取虫)と判明。
どうやら口から細い糸を吐きながら徘徊しているようです。
じきに繭を紡ぐのだろうか※。


帰ってから検索してみると、トビネオオエダシャクPhthonosema invenustarium幼虫だろうと分かりました。

頭楯全体が黒く、柳を食樹とすることから、クロマダラエダシャクAbraxas fulvobasalis)の幼虫に訂正します。
食草・食樹のリストにしっかりヤナギ科も含まれています。
幼虫を採集して飼育すれば良かったのですが、余力がなくて今回は見送りました。


※ 体長の採寸値31mmはトビネオオエダシャク終齢幼虫の体長55mmよりも小さいので、未だ若い個体のようです。
幼虫が口元から吐いている糸は、クモが歩き回る際の「しおり糸」のような命綱かもしれません。
長い糸で宙吊りになった尺取虫を林の中でときどき見かけますし。


▼関連記事(4年後にほぼ同じ場所で撮影)
クロマダラエダシャク(蛾)幼虫の尺取り運動と命綱の働き










2011/11/14

キイロスズメバチ♀がアシグロツユムシ♂を狩る



2011年10月中旬

一匹のキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が道端の草むらで探索飛行していました。
蜂を目で追っていると、いきなり虫に飛びかりました。
(映像はここから。)
獲物を仕留めたその場で肉団子を作り始めました。
スズメバチは狩りに際して毒針は使わず、大顎のみで攻撃および解体(食肉処理)を行ないます。
キイロスズメバチのワーカーはカメラに背を向けて作業しているため、残念ながら肝心の口元がよく見えません。
餌食となったのはキリギリスの仲間です。
心眼ではおそらくアシグロツユムシPhaneroptera nigroantennata)で、産卵管が無いことから♂成虫。
茂みを慎重にかき分けながら必死で接写を続けると、働き蜂は獲物から不要な長い翅を噛み切りました。
ようやく側面からのアングルではっきり見えるようになった矢先に、キイロスズメバチは完成した肉団子を咥え巣へと飛び立ちました。

2011/11/13

イカリモンガの翅表を撮りたい!(ハイスピード動画)




2011年11月上旬

林縁の道端に咲いた野菊の群落でイカリモンPterodecta felderi)が何頭も集団で吸蜜していました。
類は友を呼ぶ?


この綺麗な昼蛾は常に翅を閉じて止まるので、翅裏の錨紋しか見せてくれません。
翅表の紋様を撮るチャンスは飛翔中しかありません。
そこで、花から飛び立つシーンのスローモーションをハイスピード動画(220fps)で撮ってみました。
この構想は何年も前から温めていたもので、スーパースローが撮れるカメラを手に入れるまでお預けでした。
ちなみに通常の動画(30fps)で同様に撮ってコマ送り再生しても、羽ばたいている翅表は映りません。

イカリモンガが飛ぶ様子を肉眼で見ると、前翅の赤い帯がチラチラと明滅して見えます。


野菊の同定は苦手ですが、一本採集して持ち帰り図鑑で調べると、おそらくノコンギクだろうと判明。






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