2015/11/14

ノコギリクワガタ♀のおしっこ噴射【ハイスピード動画】



2015年9月上旬・室温28.4℃→25.8℃

10日前に灯火下で採集したノコギリクワガタ♀(Prosopocoilus inclinatus)を飼育しています。
市販の昆虫ゼリーを与えると、夢中で舐めながらときどき液状の糞(おしっこ)を勢い良く排泄(噴射)しています。
初めは通常のHD動画に撮ってから、次は240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。(@0:17〜)
カップを固定する専用ホルダーを紛失したので、台に寝かせた昆虫ゼリーのカップが転がらないように、ビニールテープで固定しました。(見た目が悪いですね…。)
透明なおしっこが見易いように、背景に黒い下敷きを置きました。
プラスチック製なので濡れても平気です。
途中から採寸代わりに一円玉を並べて置きました。

排泄の前兆が分からないので、愚直に長撮りを繰り返すしかありません。
腹端を少し持ち上げてピューッと排泄します。
カブトムシとは異なり、排便の瞬間に片足を上げないのが興味深く思いました。
(足場が平らだから? ♀だから?)
関連記事(6年後の撮影)▶ 柳の樹液を吸いながら片足を上げて排尿するカブトムシ♀【HD動画&ハイスピード動画】


背後にトイレットペーパーを垂らしておき、おしっこが飛んだら分かるようにしておきました。
斜め上に向かってかなり遠くまで勢い良く飛ぶことが分かりました。
近くの床は意外に汚れません。

排泄時間を記録していると間隔が規則的になってきたおかげで少し予測可能になりました。
しかし夜になると室温がやや下がったせいか、やがて排泄しなくなりました。

確か夜行性のはずなのに、昼間よりも活動性が下がるのは解せません。
満腹になったのかな?

照明の角度によっては小便が見えにくいこともあるのですが、空打ちなのに排泄口を伸縮させることが何度もありました。
ハイスピード動画撮影の際はもっと強力な照明が欲しいところです。



恥ずかしながらクワガタムシを見分けるのが苦手な私は、今回もノコギリクワガタ♀(Prosopocoilus inclinatus)とコクワガタ♀(Dorcus rectus)とで迷っています。


『検索入門クワガタムシ』という図鑑で検索表を真面目に辿ってみました。
前胸腹板突起が竜骨状に高まる点が決め手となり、ノコギリクワガタ♀と同定できるようです。
ノコギリクワガタ♀は背面が強く盛り上がるのが特徴らしい。




左触角
複眼の縁取り
複眼の縁取り
小楯板
前胸腹板突起が竜骨状に高まる
前胸腹板突起が竜骨状に高まる
左前脚脛節
左中脚脛節棘
右後脚脛節棘
頭部
頭楯
前胸背板側縁
背面
鞘翅(上翅)
腹面
体長の採寸を後回しにしていたら、飼育容器からいつの間にか脱走してしまいました。

キアシナガバチの引っ越し巣



2015年7月中旬

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#1


キアシナガバチPolistes rothneyi)のワーカー♀が庭に立てかけたベニア板から巣材集めをしていました。(映像なし)
飛んだ先を追うと、すぐ近くのトウカエデの枝の下に営巣していました。
営巣地は横枝の幹に近い部分で、地上からの高さは約200cmでした。
全体的に育房が浅く繭キャップも無いこじんまりした巣なので、最近どこかで初期巣を駆除された後に再建した引っ越し巣(移動巣、第二次巣)と思われます。
白い卵が産み付けられていますが、おそらく未だ幼虫は孵化していません。

撮り始めは3匹の蜂が在巣でした。
1匹が育房を点検しています。

次は撮影アングルを変えて、二股になった幹の隙間から狙います。
新たに帰巣した個体を加え、計5匹の蜂が巣に居ました。
巣盤中央上部の育房に巣材を付け足して壁を伸ばしています。

これは先ほど巣材集めを目撃した個体ですね。
トウカエデの樹皮は裂けて剥がれ落ちていく性質があるのですが、キアシナガバチは身近な巣材を使わずにベニア板を選択したのは興味深く思いました。
その一方で右下では成虫♀同士がかなり長時間の口づけを交わして栄養交換しています。

この巣も定点観察に通うことにしました。

つづく→#2:キアシナガバチ巣:夜の蜂球と寝起きドッキリ【暗視映像】



2015/11/13

夜明け前に網を取り壊し不要な獲物を捨てるトリノフンダマシ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015年8月下旬・深夜4:21〜4:28・気温17.5℃(@4:33)

トリノフンダマシ♀の定点観察#10


夜明けが近づき、ようやくトリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)が網の取り壊し作業を始めました。
隠れ家には食べ残しの蛾eを残したままです。
水平の枠糸(放射糸?)を引き込みつつ糸や付着物(小さな昆虫?)を食べています。
(もしかすると弛んだ枠糸を修復してピンと張り直したのかもしれません。)

次に、クモは水平円網にかかり切れた粘着糸にぶら下がっていた一頭の蛾f(ユウマダラエダシャク?Abraxas sp.)を吊り上げました。(@2:33)
暴れていた蛾は噛まれるとおとなしくなりました。
驚いたことに、獲物を梱包ラッピングせずに網から惜しげもなく捨てました。
もう満腹らしい。
大事なシーンなのにカメラのバッテリーが消耗していて赤外線が弱く、ピンぼけになりがちでもどかしい…。

クモは放射糸を伝って土手の下の方の茂みに移動し、見えなくなりました。
風で網は激しく揺れています。
戻って来たクモは、網にかかっていたもう一頭の蛾g(ユウマダラエダシャク?Abraxas sp.)を引き上げました。(@5:25)
擬死していた蛾は身の危険を感じたようで、激しく暴れ出しました。
胸部の辺りを噛み付かれると、クモの毒液で蛾はグッタリおとなしくなりました。
軽く梱包ラッピングした獲物(蛾g)をその場(放射糸)に残して網を右に進みます。(@6:45)
網にかかっていたもう一頭の蛾h(ユウマダラエダシャク?Abraxas sp.)を釣り上げました。(@7:15)
この蛾は既に死んでいるのか、それとも完璧な擬死状態で観念しているのか、全く暴れません。
クモは周囲の糸を切って不要な獲物を捨てました。
何度か失敗するも根気強くやり直し、ようやく投棄に成功しました!(@8:40)
クモは更に右に進み、網にかかっていたもう一頭の蛾i(ユウマダラエダシャク?Abraxas sp.)を引き上げました。
残念ながら、ここでビデオカメラのバッテリーが完全に尽きてしまいました。

この後も観察を続けると、トリノフンダマシ♀は蛾iも投棄しました。
先程ラッピングした獲物(蛾g)だけをお土産に隠れ家へテイクアウトしました。
持ち帰る獲物はどのような基準で取捨選択したのでしょう?(鮮度? 大きさ?)
食べ残しの蛾eと合わせて計2頭の蛾を昼間に隠れ家でゆっくり捕食するようです。
狩蜂は獲物を麻酔することで植物状態で活かしたまま常温で大量に貯食することができます。
それに対してクモは暑い夏に余剰な獲物を腐らせずに貯食する術を知らないのです。
したがって、食べ切れない量の獲物が網にかかっても、糸を噛み切って捨ててしまいます。

隠れ家の高さは地上130cmでした。
(用水路に向かって急斜面になっている土手は雑草が生い茂りどこが地面か測りにくく、大雑把な計測です。)

予習した通り、トリノフンダマシは日の出前に水平円網を跡形なくすっかり取り壊しました。
桑の幼木の間に水平に張り渡した細い枠糸のみ残されているものの、肉眼では非常に見えにくいです。
ちなみに、この日の日の出時刻は5:04でした。
暗視映像では未だ暗い印象ですけど、肉眼では日の出30分前はもう充分明るいです。
4:36には近くを飛んで塒に帰るコウモリを1頭目撃しています。
デジタル照度計で取り壊し時刻の照度を測ればよかったですね。
クモが周囲の明るさを目で見て破網時刻を決めているとしたら、照明の影響で取り壊し時刻が早まった可能性もあり得ます。
監視中はいつ網の取り壊しを始めるかとやきもきしつつマグライト(懐中電灯)で隠れ家のクモを頻繁に照らしたからです。
それとも周囲の明るさは関係なくて、体内時計で決まっているのでしょうか?

徹夜の観察は疲労困憊しましたけど、充実した撮影ができて満足です。
暗視映像に拘ってかなり根を詰めて撮ったので思い入れのある動画シリーズですけど、冷静になって見直すといまいち説得力のある生態動画が撮れたとは言い難く(ラッピングのシーンなど)、奥が深いですね。
夜行性クモの生態は図鑑や本に短くまとめられていますけど、それを一つ一つ記述するために夜通し観察した先人たちの苦労が忍ばれます。
トリノフンダマシの網にかかった蛾の種類と性別をきっちり同定するのも今後の課題です。(蛾以外の昆虫も捕食しているのか?)

今思うと、クモがラッピングせずに捨てた蛾を採集すればよかったですね。

つづく→#11:トリノフンダマシ(蜘蛛)3個目の卵嚢



【追記】
『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p93によると、(第12章:トリノフンダマシの夜)
 このクモは網を夜明け前に必ずたたむのですが、このときに横糸にかかったガ以外の小さな昆虫類も居網といっしょに団子状に固め、このクモが昼の間休む葉の裏側の隠れ家付近に持ち帰って食べてしまいます。


観察終了時@4:46

ソバ畑で花蜜を吸うクマバチ♂



2015年9月中旬

農村部のソバ畑でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。
この組み合わせは意外にも初見です。
複眼が発達し、頭楯が白く、中胸楯板中央部の毛色が黒いため、雄蜂だと思います。
当然ながら後脚の花粉籠は空荷です。





2015/11/12

網が壊れたトリノフンダマシ♀の狼狽【蜘蛛:暗視映像】



2015年8月下旬・深夜3:51〜04:09・気温17.6℃

トリノフンダマシ♀の定点観察#9


隠れ家に食べ残し(蛾e)を吊り下げたまま、トリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)の姿が見当たらなくなりました。

水平円網のあちこちにかかった数頭の蛾が風で揺れています。
これまでと違い、糸が著しく弛んでいて風が吹くと網が激しく揺れています。
クモがいよいよ網の取り壊しを始めた(糸を自ら噛み切った)のかと焦りました。
あるいは突風が吹いて枠糸がどこか切れたのかもしれませんし、私が撮影アングルを求めて網の下に潜り込もうとした際に不注意で糸を切ってしまった可能性もあります。
獲物が大量にかかり過ぎて、網が荷重に耐えられなくなった可能性はどうでしょう?
遠くの茂みと結ばれていた水平の枠糸が切られて、網全体の構造が不安定になったようです。

必死で探すと、クモは隠れ家の桑の葉の上を徘徊していました。
近くに吊り下げた2個の卵嚢を探し歩いているのでしょうか?
危機が迫っても卵嚢の元へ駆けつけていないので、「卵嚢ガード」と呼ぶのはふさわしくない気がします。
葉の上で転倒するも、すぐに起き上がりました。
これから新たに卵嚢を産み付けるのか?と思ったりもしました。
とにかく全く意味不明の行動です。
白色LEDを点灯すると、桑の葉が夜露で濡れていました。
クモが慌てて葉裏に隠れたのは眩しいからでしょうか?
照明のおかげでようやく隠れ家を見つけられたのかもしれません。
網が壊されパニックになっていたのでしょうか?

赤外線の暗視カメラに戻すと、隠れ家に落ち着いたクモはようやく食べ残しの蛾eに口を付け捕食再開。
蛾dはとっくに食べ終え、いつの間にか捨てた後のようです。
隠れ家で念入りに糸を張り巡らしています。
梱包ラッピングし直した蛾をしっかり固定。

右にパンすると、少なくとも3頭の蛾が網にかかって吊り下げられています。
いずれもユウマダラエダシャク(またはその仲間 Abraxas sp.)のように見えます。

つづく→#10:夜明け前に網を取り壊し不要な獲物を捨てるトリノフンダマシ♀【蜘蛛:暗視映像】



夜道で座り込むネコ【暗視映像】



2015年7月下旬・深夜01:58

草木も眠る丑三つ時、人気のない車道で怪しいネコFelis silvestris catus)を見つけました。
車道の真ん中で呆然と立ち尽くしていて、もし車が来たら轢かれそうです。
全身が濡れていて衰弱しているのかもしれません。
なんとなく、目がよく見えていない印象も受けました。

赤外線の暗視カメラで撮りながらゆっくり近づくと、猫はこちらを振り返り暗闇に目が爛々と光っています。
しばらくすると警戒を解きゆっくり歩き去り始めました。
私も足音を忍ばせゆっくり追いかけます。
道端に達すると側溝を塞いだコンクリートブロックの蓋にうずくまりました。
その向こうには草むらがあるのに、予想に反して茂みには逃げ込みませんでした。
首輪は見えませんが実は飼い猫で、私から餌をもらえるのを期待しているのかな?

この斑模様の毛並みは三毛猫ですかね?
毛の色を見るため白色LEDのライトを点灯しようか迷いましたが、眩しい光で逃げそうな気がして自重しました。
座り込んで何も起こらないので、私もその場を離れました。


2015/11/11

カマドウマ♀に寄生したハリガネムシの最期

2015年8月中旬

山間部の峠道でカマドウマの仲間(種名不詳)の死骸をヒメギスが食べていました。
いそいそと近づいたらヒメギスは逃げてしまいました。(撮り損ね)
車に轢かれたロードキルのようですが、死骸の横にハリガネムシが干からびて死んでいました。
本で読んだり噂ではかねがね聞いていましたが、憧れのハリガネムシを実際に見るのはこれが初めてでした。
これほど長いハリガネムシがカマドウマの体内に寄生していたとは驚きです。
寄主のカマドウマは産卵管がある♀でした。
カマドウマ死骸のほとんどは、ヒメギスなど屍肉掃除屋(scavenger)に食い荒らされていました。

※ 今日は珍しく動画ネタはお休みで、写真のみです。

【参考リンク】
カマドウマの心を操る寄生虫ハリガネムシの謎に迫る
森と川をつなぐ細い糸:寄生者による宿主操作が生態系間相互作用を駆動する



釘穴を物色するオオフタオビドロバチ♀



2015年8月中旬

オオフタオビドロバチ♀(Anterhynchium flavomarginatum)が物置小屋に打ち付けられた角柱の釘穴を物色していました。
借坑性の蜂ですから、営巣地を探索していたのでしょう。


2015/11/10

網にかかって暴れる蛾を仕留めて捕食するトリノフンダマシ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015年8月下旬・深夜2:26〜3:03

トリノフンダマシ♀の定点観察#8


いつの間にかトリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)がまた隠れ家を離れていました。
水平円網の中央付近にかかって暴れている蛾e(種名不明)が逃げられる前に処置するため現場に急行したようです。
蛾がいくら激しく羽ばたいても、強力な粘着糸から逃れられません。
駆けつけたクモが獲物の胸部付近に噛み付いて毒液を注入しました。
しかし意外とクモ毒に即効性はないようで、蛾の脚がしばらく動いています。
クモは一旦獲物から離れ、毒が回るのを待っているようです。
糸を弾いて獲物の動静を探っています。
再び獲物に噛み付きました。

次に、仕留めた獲物を網から外す作業にクモは手こずっています。
獲物が網にかかると際に粘着糸の一端が切れるはずですが、たまたま今回は切れなかったようです。(甑付近だから?)
獲物が網にかかっても粘着糸が切れないと、回収にかなり手間取ってしまうようです。
うっかり手足が滑らせたクモが宙吊りになっても、蛾は網から剥がれません。
クモが悪戦苦闘している手前には別の蛾f(シャクガ科)も網にかかって切れた粘着糸に宙吊りになっていることに気づきました。(@4:42)
こちらの獲物fは擬死状態です。
蛾fの写真を見直しても翅裏しか見えないので難しいのですが、ユウマダラエダシャク(またはその仲間)かもしれません。
性別は見分けられません。





いつもお世話になっている新・蛾像掲示板に投稿して問い合わせたところ、hitoriさんより以下のご教示を頂きました。
ユウマダラエダシャクは後翅前縁基部付近に出っ張りがありますが、写真の個体は出っ張っていないように見えるので同属の別種ではないでしょうか。この属の触角は♂は微毛を生じる鋸歯状、♀は微毛状らしいので触角をちゃんと見れば雌雄の区別ができると思います。
という訳で、Abraxas sp.としておきます。

触角の拡大写真



赤外線投光機のバッテリーが消耗したせいでピントが合わせにくく、肝心の梱包ラッピング作業がピンぼけになってしまいました。
クモはようやく周囲の糸を噛み切って獲物を網から外すと、歩脚の先から糸で吊り下げました。(@7:23)

左にスルスルと綱渡りして隠れ家に持ち帰ります。
ヤマグワの幼木に達すると真っ先に食べ残し(蛾d)を確認し、これに糸を巻きつけてラッピングし直しました。
新たに運んできた獲物(蛾e)は隠れ家に近い枠糸の途中に固定しました。
右にパンすると、網に放置された蛾fが糸で吊り下げられたまま相変わらず死んだふりをしています。
クモは隠れ家に体を固定すると、食べかけを手繰り寄せて捕食を再開。
こうした食事の手順(ルーチン)はこれまでと全く同じです。

つづく→#9:網が壊れたトリノフンダマシ♀の狼狽【蜘蛛:暗視映像】



ムモンホソアシナガバチ♀同士の栄養交換



2015年8月中旬

石灯籠内で営巣するムモンホソアシナガバチの定点観測記録#3


まる一ヶ月(31日)ぶりに様子を見に行くと、コロニーは小規模のままなのに、ムモンホソアシナガバチParapolybia indica)♂(雄蜂)が羽化していました。
雄蜂はほっそりした体型で長い触角の先がカールし、顔色が白いのが特徴です。
いつものように、初めは赤外線の暗視カメラで暗い石灯籠内部を撮ります。
在巣の蜂の構成は♀3♂1で、育房を点検して回ったりおとなしく身繕いしたりしていました。

次に白色LEDを点灯すると、♂は複眼が黒いので羽化したばかりと判明。
巣盤上部に居る2匹の♀成虫間で口づけを交わし栄養交換しています。

※ 動画では撮影した順番を入れ替えて編集しました。(メインのトピックを先に紹介)

つづく→#4:発達の悪いムモンホソアシナガバチの巣




【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』を読むとホソアシナガバチの順位性について驚くことが書いてありました。
ホソアシナガバチの社会は、一頭の女王と、10数頭の働きバチによって構成されている。女王は、働きバチにたいして絶対的優位の立場にあるが、働きバチのあいだには、ほぼ直線的な順位関係がみられ、早く羽化した個体ほど劣位の地位を占める。(中略)既知のアシナガバチ属では、新しく羽化した個体ほど劣位となる傾向があるのとくらべ、まったく逆の関係になっている。
ホソアシナガバチの分業の特色は、肉団子、蜜、巣の材料など、すべての採集活動が、最初に羽化した3〜4頭の下位グループの働きバチに集中していることである。 (p205より引用) 
私もいつかホソアシナガバチの巣の構成員を個体標識して確かめてみたいものです。


2015/11/09

トリノフンダマシ♀(蜘蛛)が3頭目の蛾をラッピング、運搬、捕食【暗視映像】



2015年8月下旬・深夜1:24〜2:17・気温17.5℃(@1:37)

トリノフンダマシ♀の定点観察#7


監視中に居眠りしていた訳ではないのですが、ハッと気づいたときには隠れ家にトリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)が不在でした。
たまたま夜蛾が飛来するも、網にはかかりません。
このときクモが食べ残した蛾cの死骸に触れて飛び去ったのは、性フェロモンが残留しているのかもしれません。

ようやく見つけたクモは、水平円網の中央部にかかっていた蛾d(種名不明)を捕獲しに向かっていました。
水平円網を上から見下ろすアングルでは奥ピンになりがち(背景の草むらにピントが合ってしまう)なので、ハンディカムを手で持って網の下に潜り込み見上げるアングルで撮影しました。
画面が暗いのは、赤外線投光機のバッテリーが消耗したせいです。
クモは手早く梱包ラッピングしてから甑を経由して隠れ家まで獲物を持ち帰ります。
スルスルと綱渡りで隠れ家に戻ると、すぐに食べ残し(蛾c)に食いつきました。
食餌を再開しつつ、食べ残し(蛾c)をラッピングし直しています。
新鮮な獲物(蛾d)は後回しに残しておくつもりのようで、隠れ家の少し右下に保管しました。
桑の葉先ではなく、放射糸の途中に固定しているようです。

次に気づくとクモは食事を中断して蛾cを手放し、身繕いを始めまていました。(深夜1:29)
体に付いた蛾の鱗粉を念入りに落としているのでしょう。
化粧を済ませ自分の体をしっかり糸で固定すると、食べ残し(蛾c)を手繰り寄せて捕食を再開。



次に気づいた時には、蛾cの食べ滓をいつの間にか捨てていました。(深夜2:16)
食欲旺盛のクモは、予め近くに吊り下げていた蛾dを引き上げました。
獲物の腹端の辺りに噛み付き、体外消化を始めます。

円網に蛾が引っかかる度に粘着糸が切れるので、破損がどんどん進行します。
朝に行われる取り壊し作業を見届けたいのですが、夜明けまでに網はほとんど残っていないのでは?と心配になってきました。




つづく→#8:網にかかって暴れる蛾を仕留めて捕食するトリノフンダマシ♀【蜘蛛:暗視映像】


夜行性マダラカマドウマと戯れる【暗視映像】



2015年6月下旬・夜21:52〜22:32

山裾でコンクリート壁面に夜行性のマダラカマドウマDiestrammena japonica)を発見。
地上からの高さ80cmの庇の奥に潜んでいました。

産卵管が無いので♂だと思ったのですが、未だ幼虫の可能性もありますかね?
本種の成虫出現時期は夏〜秋らしい(『バッタコオロギキリギリス生態図鑑』p52より)。
カマドウマは成虫でも無翅なので、素人には見分けが難しいです。
採寸すべきでした。

赤外線の暗視カメラで撮りながら長い触角に指で触れると後退り逃げました。
白色LEDを点灯して接写しても動じません。
暗視動画に戻すと、マダラカマドウマは幅4cmの縦溝を乗り越えて少しだけ前進しました。
再び長い触角に指で触れるとビクッと後退り、引き返しました。
どうも暗闇では見えておらず触覚に頼っている様子。
しつこく触れるとどんどん逃げ、コンクリートの角を曲がって隠れました。
私も追いかけると、角を曲がった先の壁面に2匹が寄り添うように並んでいました。
求愛行動を始めたら面白いのですけど、腹端に産卵管が見当たらないので共に♂(または幼虫)です。
喧嘩にならず許容しているので、群れる習性があるのでしょう。

長い触角に指でしつこく触れると逃げ出しました。
幅4cmの溝を乗り越えて前進。
溝に静止した個体に再度触れたらピョンと跳んで逃げた挙句に、オオヒメグモParasteatoda tepidariorum)の不規則網にひっかかってしまいました。
網にかかった個体は暴れたりもがいたりするとクモに気づかれてしまうので、擬死(フリーズ)しています。
ライトを点灯すると、不規則網の主は近くに居るのに、獲物へ駆け寄らず静観しています。
成り行きを見届ければよかったのですが、ホタル観察に行く前の時間潰しで撮った動画でした。

カマドウマを飼育してみたら意外と面白いかな?



2015/11/08

食べ滓を捨て次の獲物を捕食するトリノフンダマシ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015年8月下旬・深夜00:47〜00:53・気温18.2℃(@00:52)

トリノフンダマシ♀の定点観察#6


トリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)が隠れ家で食べ続けていた初めの獲物(蛾a)を下に落としました。
ビデオカメラのプレレコーディング機能(録画開始ボタンを押す10秒前の出来事から遡って記録される)のおかげで、食べ残しを捨てる決定的瞬間を逃さず撮影することが出来ました。
食後のクモはちょっと身繕い。
次に、すぐ近くの網にかかり切れた粘着糸に吊り下げられた蛾cを手元に引き上げました。
やはり、ここに新鮮な獲物がかかっていることをきちんと認識していたようです。
獲物に噛み付く前からこの蛾は何故か全く暴れませんでした。(ただの擬死かと思っていたのに…?)
クモは隠れ家から糸を少し伸ばして懸垂下降し、梱包ラッピングの作業空間を作りました。
獲物に軽く糸を巻きつけると隠れ家に戻り、糸を固定しました。
ラッピングした獲物を手元に手繰り寄せる際に暗闇で歩脚が何度も空を切る(空振りする)のが微笑ましく思いました。
獲物の胸部の辺りに噛み付き、捕食開始。

その後、ストロボを焚いて写真撮影を繰り返してもクモは気にしないで食事を続けます。

つづく→#7:トリノフンダマシ♀(蜘蛛)が3頭目の蛾をラッピング、運搬、捕食【暗視映像】





石灯籠内の巣で警戒するムモンホソアシナガバチ♀



2015年7月下旬

石灯籠内で営巣するムモンホソアシナガバチの定点観測記録#2


8日ぶりに様子を見に行くと、在巣のムモンホソアシナガバチParapolybia indica)は1匹のみでした。
ワーカー♀は外役に出ていて、創設女王が独りで留守番しているようです。
中は昼間でも薄暗いので、初めは赤外線の暗視カメラで撮りました。
次に白色LEDを点灯すると、蜂は翅を半開きにしてやや警戒姿勢(緊張)になりました。
こちらを睨みつけているので、無紋の頭楯がばっちり撮れました。

つづく→#3:ムモンホソアシナガバチ♀同士の栄養交換



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