2022/12/17

山中の池に最後まで残ったオタマジャクシ(アズマヒキガエル幼生?)

前回の記事:▶ 前脚も生えてきたオタマジャクシの大群(アズマヒキガエル幼生?)

2022年8月上旬・午後14:30頃・晴れ 

定点観察の間隔がまた開いてしまいました。 
15日ぶりに山中の泉に行ってみると、黒いオタマジャクシの数が激減していました。 
ほとんどのオタマジャクシは変態を済ませてカエルとなり、池から上陸して山林に去ったのでしょう。 
しかし岸辺を探しても、子ガエルは見当たりませんでした。 

必死で探すと、左岸の水中に少数のオタマジャクシを発見。 
池に残っているオタマジャクシは、発生が遅れた個体だけのようです。 
お魚観察ケースでなんとか2匹を一時捕獲しました。 
アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生だと思うのですが、後脚と前脚が伸びつつある小型の個体でした。 
未だ長いままの尻尾を左右に振って泳ぎます。
しばらく観察すると、前脚も少し動かしました。 

サンダル履きで池に入水すると、かなり冷たい水温でした。 
レーザー式温度計で水温を測定すると、池の中央部が10.1℃、左岸が13℃でした。 
真夏の昼間でも水温がこれだけ低いと、夜霧の発生が頻発するのも納得です。 
左岸は木陰なのに水温が高いのがいつも不思議でした。 
オタマジャクシ大群の呼吸熱で水温が少し上昇していたのかと疑っていたのですが、オタマジャクシが(ほとんど)居なくなっても温度差が保たれているので、その仮説は却下。 
単純に、冷たい湧き水(地下水)が常に流れる部分の水温は低く、淀んでいる左岸の水温は少し高いのでしょう。 
したがって、オタマジャクシが左岸に集まっていたのは、捕食者から逃れるために日陰に隠れていたというだけでなく、水温が少しでも高いエリアを好んでいたようです。 

後日の定点観察では、池にオタマジャクシは1匹も居なくなっていました。
オタマジャクシが変態する過程をじっくり観察するには、頑張って池に毎日通うか、採集して家で飼育するしかなさそうです。
今季は、オタマジャクシの尻尾が短くなっていく様子や子ガエルが上陸する様子は見れませんでした。

ハネフリバエ科Euxesta属の一種がタヌキの糞を舐め、肉食性ハネカクシ類から逃げ回る

前回の記事:▶ 翅紋を誇示しながら林床で身繕いするハネフリバエ科Euxesta属の一種

2022年8月中旬・午後12:40頃・晴れ 

里山の廃道になった山道で私が動き回らずにその場でしばらくじっと待つと、一時避難していた様々な虫がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞fに戻って来ました。 
ハネフリバエ科Euxesta属の一種、キンバエの仲間、アカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)、サビハネカクシOntholestes gracilis)の姿が見えます。 

ハネフリバエ科Euxesta属の一種が新鮮な糞の上で吸汁する様子をマクロレンズで接写してみました。 
口吻を伸縮させてタヌキの糞を舐めている間も翅紋誇示を止めません。 
その背後からアカバトガリオオズハネカクシが捕食しようと忍び寄ると、Euxesta sp.は素早く飛んで逃げました。
視野が広いようです。 
ほとぼりが冷めると、横の落ち葉から溜め糞に戻りました。 

次は吸汁中に横からサビハネカクシが襲いかかってきました。 
その攻撃も素早く交わして逃げ切りました。

Euxesta sp.の翅の黒い縁紋を誇示するように翅を振る行動(ディスプレイ)がとにかく気になります。 
下手に目立つ動きをしたら捕食されるリスクが高まるはずと素人考えでは思うのですが、逆に対捕食者戦略になっているのでしょうか? 
同様の翅紋誇示をするミバエ科のとある種類では、天敵ハエトリグモの威嚇誇示(ディスプレイ)を真似することで(行動擬態)、捕食されないように牽制しているのだそうです。
Greene, Erick, Larry J. Orsak, and Douglas W. Whitman. "A tephritid fly mimics the territorial displays of its jumping spider predators." Science 236.4799 (1987): 310-312.
ただし、そのミバエの翅振り行動も特定のハエトリグモ以外の捕食者に対しては全く効果がありません。 
獣糞の周囲でハエトリグモが獲物のハエを待ち伏せしてもおかしくないと思うのですが、私は未だ見たことはありません。 
肉食性ハネカクシ類に対して微小なハエの翅振り行動が抑止効果があるのでしょうか?
ハネカクシの目を幻惑する効果があるのかな? 
逆に、自分はこれほど大胆に振る舞っても天敵から逃れられるという能力の高さを♀に対してアピールしているのでしょうか?(クジャク♂の長い羽根のような性選択)
それとも、いつでもすぐに飛び立てるように飛翔筋をアイドリングしていて、翅振り行動はその副作用(不随意運動)みたいなものでしょうか?




2022/12/16

下痢便を溜め糞場に排泄するホンドタヌキ「垂れ尾」【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬

トレイルカメラで撮れたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の記録です。 
尻尾が下向きに折れ曲がっている個体「垂れ尾」が同じ日に2回、スギ林道の溜め糞場sに来て排便したのですが、2回共に下痢便でした。 
真夏に何か腐りかけのものでも食べたのか、それとも精神性ストレスで腹を下したのでしょうか? 
溜め糞場を監視すると、タヌキの健康チェックができます。

シーン1:8/13・午前3:45・気温24℃ 
緩やかな坂道になっている林道を深夜に「垂れ尾」が右から登ってきました。 
3時間前に別個体のタヌキ「フサ尾」が排泄した糞の匂いを嗅ぎ、タヌキの溜め糞場に跨りました。 
カメラ目線で排便しかけたのですが、左に向きを変えてから液状の下痢便を排泄。 
チラチラと横目でトレイルカメラを気にしています。 
すっきりすると左に立ち去りました。

シーン2:8/13・午後22:25・気温24℃ (@0:38〜) 
18時間40分後に、同一個体と思われる「垂れ尾」が溜め糞場sに来ていました。 
自動撮影カメラの起動が遅れ、登場シーンは撮れていません。 
右向きで溜め糞に跨がり脱糞中でした。 
前夜と同じく液状便をシャーッと大量に排泄しました。 
このとき溜め糞場に集まっていた数匹の糞虫が慌てて右へ逃げて行くのが面白いです。 
糞虫にしてみれば美味しいご馳走が降ってくる訳ですから、大した災難ではありません。
排便中のタヌキは糞虫に気づいて下を向いたのに、なぜか捕食しませんでした。
暗闇なので、視覚で糞虫が見えたというよりも、タヌキの前脚にぶつかった糞虫に驚いたようです。
タヌキにも衛生観念があって、糞虫を捕食したがらないのかな? 
このときは下痢するほどの腹痛で食欲が無かったのでしょうか? 
「垂れ尾」が右へ立ち去ると、溜め糞場sにはこんもりと山盛りの糞塊が残されました。 



ニラの花で採餌するスミゾメハキリバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年8月中旬・午前9:10頃・晴れ  

道端に咲いたニラの小群落でムナカタハキリバチ(別名スミゾメハキリバチ)♀(Megachile willughbiella sumizome)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
吸蜜する蜂の腹部下面のスコパには、黄色の花粉を大量に付けて運んでいます。 
花から花へ忙しなく飛び回るものの、クロヤマアリ♀が居る花には嫌がって着陸しません。 

訪花中のハキリバチ♀は、腹部を背側に反り返らせて独特の海老反り姿勢になっています。 
交尾拒否や威嚇の意味でもあるのかな?とずっと不思議でした。 
せっかくスコパにまとめた花粉が花弁などに触れてこぼれ落ちないように、海老反り姿勢で遠ざけているのではないか?と思いつきました。 

ニラの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:09〜) 
次の花まで飛んで移動する間に、空中でホバリングしながら左右の脚を互いに擦り合わせ、集めた花粉をスコパに移していました。

2022/12/15

雨上がりの池畔で採食するヤマドリ【野鳥:トレイルカメラ】

 


2022年8月中旬・午前10:40頃・晴れ(雨上がり)

山中の水場をトレイルカメラで見張っていると、ヤマドリ(亜種キタヤマドリ:Syrmaticus soemmerringii scintillans)が左岸から登場しました。 
雨で濡れたレンズが未だ乾いておらず、画面全体がぼやけているのが残念でなりません。 
トレイルカメラにもレンズの結露を自動で拭いてくれるワイパーが欲しくなります。 
むしろ、センサーも雨で濡れているのに、恒温動物(野鳥)をきちんと感知して起動していることに感心します。

ヤマドリは池には入らず、対岸の林道で下草を採食しているようです。 
なんとなく近くにもう1羽(つがいのパートナー)が潜んでいるような気もするのですけど、真相は五里霧中。 
今のところ、この池でヤマドリが水を飲んだり水浴したりする様子を記録したことはありません。

※ 動画の前半は動画編集時に自動色調補正を施しています。 
後半はオリジナルの画質でリプレイ。 
池の奥に見えている林道にトレイルカメラをもう1台設置してみたくなります。 



翅紋を誇示しながら林床で身繕いするハネフリバエ科Euxesta属の一種

 

2022年8月中旬・午後12:45頃・晴れ 

廃道状態の細い山道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場fのすぐ横の林床で見慣れない微小なハエが思わせぶりな行動をしていました。 
おそらくヒロクチバエ科の一種と思われます。(間違っていたらご指摘願います。) 
双翅目の同定でいつもお世話になっている画像掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂・改」にて問い合わせてみたところ、茨城@市毛さんから「Ulidiidaeハネフリバエ科のEuxesta属の1種」とご教示いただきました。
かなり微小な虫なので(未採寸)、マクロレンズを装着してじっくり接写してみました。 
腹背は緑がかった金属光沢(メタリックな構造色)に輝いています。 
胸背はシルバーで、剛毛は少ない印象。 
平均棍は白く、複眼は赤茶色。 
側面から接写すると口吻が独特の形状でした。 

透明な翅の前縁に黒い縁紋が2つあり、それを誇示するように左右の翅を交互に広げる動きをひたすら続けています。 
左右の翅を同時に動かすこともあれば、非対称に動かすこともあります。 
まるで手旗信号のようですが、誰に何のメッセージを送っているのか、暗号解読してみたいものです。 
普通に考えれば、交尾相手の異性を誘引する配偶行動(ディスプレイ)でしょう。 
同様の翅紋誇示をするミバエ科のとある種類では、天敵ハエトリグモの威嚇誇示(ディスプレイ)を真似することで(行動擬態)、捕食されないように牽制しているのだそうです。
Greene, Erick, Larry J. Orsak, and Douglas W. Whitman. "A tephritid fly mimics the territorial displays of its jumping spider predators." Science 236.4799 (1987): 310-312.
だとすれば、今回のハネフリバエもマクロレンズを近づける私に対して警戒していたのかもしれません。
動画の最後に翅を振るのを止めたのは、警戒を解いたと説明できそうです。

落ち葉や細い落枝の上で左右の前脚および後脚を互いに擦り合わせて身繕いしています。 
化粧中も翅紋誇示を止めません。
当時は微小な寄生蜂なのかと予想したのですが、今回じっくり接写してみると、ハチではなくハエの仲間でした。 
宿題だった謎が解けて、ささやかな喜びを得られました。 
暑い真夏に何度も山を登って溜め糞を探し歩いた甲斐がありました。 

私が溜め糞に近づいたので、警戒して一時的に避難したようです。 
Euxesta sp.が溜め糞に戻ってくれるまで辛抱強く待ちましょう。 



【追記】
「ハネフリバエ科Euxesta属」でネット検索してみると、「明石・神戸の虫 ときどきプランクトン」さんのブログ記事が2本ヒットしました。
掲載写真もそっくりですが、私が見た個体は産卵管が無かったので♂だったようです。

てっきり本種♀は獣糞に産卵するのかと想像したのですけど、意外にも伐採木の樹皮の割れ目に産卵するのだそうです。

2022/12/14

タヌキ・アナグマの溜め糞場の匂いを嗅ぎ回る若いニホンカモシカ【トレイルカメラ】

前回の記事:▶ 夏のスギ林道を昼も夜も行き来するニホンカモシカ【トレイルカメラ:±暗視映像】

2022年8月中旬・午後13:17・気温30℃ 

ニホンカモシカCapricornis crispus)が低山のスギ林道を左から歩いて来ました。 
タヌキとアナグマが共有している溜め糞場sの手前で立ち止まり、地面や下草の匂いを頻りに嗅ぎ回っています。 
角が細く体格も華奢なのでの若い個体(幼獣?)のようです。 
溜め糞場に興味津々なのも、若いカモシカの特徴です。 
異種の溜め糞の上にカモシカが対抗するように排便したら面白いのですが、そのようなことは一度もありません。

右へ立ち去りかけたカモシカが立ち止まり、トレイルカメラの存在に気づきました。 
それでも怯える様子はなく、引き返してカメラの方に近寄ってきます。 
死角に消えた後で何をしているのか、とても気になります。 
逆アングルにもう1台のトレイルカメラを設置したら謎が解けるでしょうか? 


飼育下で昆虫ゼリーを食べるセンチコガネ

前回の記事:▶  
オオセンチコガネ♂の水難事故 
池に落ちて溺れそうなセンチコガネをアメンボは襲うか?

2022年8月上旬・午前9:00頃 

里山で採集してきたオオセンチコガネとセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)1匹ずつを持ち帰って飼い始めました。 
昆虫ゼリーで糞虫をある程度は飼育可能という情報を得たので、試してみます。 
他にはヤギ(山羊)Capra hircus)の糞を拾ってきて給餌してみました。 

しばらくすると、センチコガネは昆虫ゼリーを夢中になって舐めていました。 
周囲に置いたヤギの糞には見向きもせず、地面に埋め込んだ昆虫ゼリーの容器に入り込んだまま出てきません。 

昆虫ゼリーがなぜか液状化しています。 (水気が多い)
糞虫が溺れていたときに水を大量に飲み、それを飼育下で吐き出した(あるいは排尿した)のかな? 

ゼリーが黒く汚れているのは、糞虫が歩き回ったせいで土が混入してしまったのか、あるいはヤギの糞をゼリーの中に運び込もうとしたのかもしれません。
昆虫ゼリーの味がいまいち気に入らなかったセンチコガネが、ヤギ糞を混ぜて味変したのかな? 

一方、同居させたオオセンチコガネ♂は姿が見えません。 
地中に潜っていてヤギの糞を食べているのでしょうか。 
どうもオオセンチコガネは昆虫ゼリーが好みではないようです。 
体長はオオセンチコガネ>センチコガネだったので、昆虫ゼリーを巡る争いに負けたとは考えにくいです。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


夜中になるとブーン♪と飛ぶ羽音を聞きました。 
いつの間にか飼育容器から脱走したようです。 
与えたヤギの糞の鮮度が古かったのかもしれません。
今季は溜め糞場でのフィールドワークに注力したら、それだけで体力的にしんどくて、糞虫の飼育は片手間で中途半端になってしまいました。

2022/12/13

ビニールハウスの骨組みに止まり羽繕いするキジバト♀♂(野鳥)

 

2022年8月中旬・午後15:20頃・くもり(雨上がり) 

山麓の農村部で水田の端のナス畑にビニールハウスの骨組みが建てられています。 
骨組みの棟にキジバトStreptopelia orientalis)の♀♂つがいと1羽のスズメPasser montanus)が並んで止まっていました。 
雷雨が止んだ後で、ビニールハウスの骨組みには水滴が付着しています。
私がカメラを向けて動画を撮り始めると、警戒心の強いスズメはすぐに飛び去ってしまいました。 

居残ったキジバト♀♂は各々が念入りに羽繕いしています。 
ときどき足を持ち上げて頭を掻きました。 
仲睦まじく相互羽繕いするかと期待して長撮りしたのですけど、そのためには2羽がもっと近づかないといけません。 

キジバトが喉をヒクヒクさせたりブツブツと嘴を動かしているのは、小声で鳴き交わしているのかな?  
周囲の蝉しぐれ(ミンミンゼミ♂とアブラゼミ♂)がやかましくて、キジバトのつぶやきがよく聞き取れませんでした。 
私が能動を歩いて少しずつキジバトに近づこうとしたら、最後は飛び去ってしまいました。(映像なし)

コアオマイマイカブリの幼虫を見つけた!

 

2022年8月中旬・午後13:20頃・晴れ 

里山で湧き水が貯まる泉の横の林床で見慣れない虫を見つけました。 
甲虫の幼虫だと見当がついたものの、かなり巨大です。 
体表が群青色にテカっています。 
オオヒラタシデムシの幼虫と似ているものの、体型が少し違います。 
調べてみると、マイマイカブリの幼虫と判明。 
ここ山形県南部に生息するマイマイカブリは、コアオマイマイカブリDamaster blaptoides babaianus)という亜種のはずです。
関連記事(3ヶ月前の撮影)▶ マイマイカブリと野ネズミが出る夜の河畔林【暗視映像:トレイルカメラ】

マクロモードでレンズを近づけ接写してみると、歩脚は胸部に3対(6本)でした。 
落ち葉の下に慌てて潜り込んでも、「頭隠して尻隠さず」の状態です。 
私が落ち葉をそっとめくると、腹端を反り返らせました。 
腹端にある1対の棘で刺そうとしているのか(威嚇?)と思ったのですが、ハサミムシのようには動かせないようです。 
周囲は二次林(雑木林)の灌木に覆われた緩斜面で、林床に木洩れ日が射しています。

プラスチック定規で採寸してみると、体長〜30mmでした。 
もっと大きく成長するのだそうです。
林床の落葉や落枝の下に隠れよう隠れようと逃げ回るのを追いかけて撮影しました。 

持ち帰って飼育しようか迷ったのですが、真夏に生き餌のカタツムリを大量に調達するのが難しそうなので諦めました。 
高価なエスカルゴを買い与える訳にもいきません。 
後で飼育法をネット検索してみると、昆虫ゼリーやイモムシ、タニシなどの代用食が試されているようです。 



【追記】
現場近くで後日、本種の成虫が活動していました。



2022/12/12

溜め糞場の下草に臭腺でマーキングするニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ 溜め糞場の下草に軽くスクワットマーキングしただけで通り過ぎるニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年8月中旬 

自動撮影カメラで見張っているスギ林道の溜め糞場sを通りかかるニホンアナグマMeles anakuma)の定点観察記録です。 

シーン1:8/13・午後20:11・気温25℃ 
アナグマが単独で林道を左から登場し、緩やかな坂を下って来ました。 
タヌキの溜め糞がある地点を迂回し、画面中央に見えるスギ大木の根元にあるアナグマの溜め糞場の匂いを嗅ぎ回ります。 
この個体は目の周りが黒く、股間に睾丸が見えるので♂のようです。 
 排便姿勢になりかけたのですが、落ち着かずに右へ移動しました。 
素人目には大便は排泄しておらず、もしかすると小便でマーキングしたかもしれません。 


シーン2:8/16・午前00:06・気温24℃ (@0:21〜) 
3日後の深夜、前回と同じく林道を左から歩いて来ました。 
タヌキの溜め糞場の手前で立ち止まり、おそらくマーキングしていたようです。 
右へ歩き出した時に、股間に睾丸が見えたので♂。 
この個体は目の周りが黒くなく、体毛が全体に白っぽい(アルビノ?)。 
以前は痛々しく後脚を跛行していたのですけど、すっかり回復したようです。 
ホンドタヌキの溜め糞場を迂回してスギ大木の根本へ行きました。
林床に散乱するスギ落葉の匂いを念入りに嗅ぎながら尻を下草に擦り付けてスクワットマーキングしました。 
直後に後脚で落葉を後方へ蹴り出す行動をしました。 
脱糞後のイヌが興奮して後脚で糞を埋める行動を彷彿とさせます。 
今回も溜め糞場sで排便はせずにマーキングしただけで、林道を右へ立ち去りました。 


アナグマの溜め糞やマーキング行動について、ネット検索で調べてみました。
ため糞[注 2]をする習性があるが、タヌキのような大規模なものではなく、規模は小さい。 

・主として夜行性の動物で、昼間は巣穴に潜んでいることが多い。 
・行動範囲はさ地域環境や食糧事情などによって変わるが、平均で1~4k㎡と言われ、肛門腺や尾部下腺からの分泌液、尿などを樹木などにつけて縄張りを主張する。 分泌液を相手の体に擦り付けたりする習性もあるが、これは互いの識別やコミュニケーションの為と考えられている。  (原文ママ)


アナグマは同じ場所にフンをする「溜め糞」をする習性があります。床下や納屋に溜め糞をされてしまうと、害虫や雑菌の発生、悪臭といった衛生被害をもたらします。また、アナグマはフンに臭腺から出した液をかけるため、他の動物よりも特に酷いにおいです。 



ヒルガオの花粉を食べるコアオハナムグリ

 

2022年8月中旬・午前8:20頃・くもり 

前日に降った雨の影響で、かなり蒸し暑い天気でした。 
線路の土手に咲いたヒルガオの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。 
右の胸背に白い花粉が付着しています。 
大きく開いた花筒に正当訪花して、花弁の内側にこぼれた花粉を舐めています。 

手前の萎れた花で小さなハエトリグモ(蜘蛛)が徘徊していましたが、体格差が大きいのでコアオハナムグリに跳びついて狩ることはなさそうです。
 

ヒルガオは夏にそこら中で咲いているありふれた花なのに、なぜか訪花昆虫を見かけたことがありません。 
今回のコアオハナムグリが初見でした。 
もっと早起きして観察しないといけないのかもしれません。
午後の遅い時刻になると、花が萎れて閉じてしまいます。
 


2022/12/11

雨夜に野ネズミを捕食するフクロウ【トレイルカメラ:暗視映像】(野鳥)

 

2022年8月中旬〜下旬 

トレイルカメラ2台で監視している里山のスギ林道で大事件が記録されていました。 

シーン1:8/21・午前1:53・気温21℃ 
深夜に1匹の野ネズミ(ノネズミ)が林道を右にチョロチョロと走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
タヌキやアナグマが共有している溜め糞場sで糞に含まれる種子を採食しに来た、という訳でもなさそうで、単なる移動経路なのでしょう。 


シーン2:8/20・午後23:12・雨 
2時間40分前には雨が降っていました。 
同じ地点の林道を逆側から狙う別のトレイルカメラで記録された暗視映像です。
画面下の赤い矢印に注目して下さい。 
下草に覆われた林道で何か生き物が暗闇で動いています。 

フクロウStrix uralensis)が暗闇の林床で獲物を捕らえた直後らしく、その場で捕食していました。 
狩りの瞬間が撮れてないのが、つくづく残念です。 
フクロウは雨が降る夜でも構わず狩りをすることが分かりました。 
餌食となったのはおそらく野ネズミでしょう。 
ようやく見えたフクロウの横顔に羽角(耳羽)が無いので、ミミズクの仲間ではありません。 

飛び立つシーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
身を屈めた反動を利用して飛び去りました。 
スローモーションを見直すと、獲物を嘴に咥えたり足で掴んだりして巣に持ち帰ってはいないことが分かります。 
その場で食べ尽くしたようです。 
離陸の際にフクロウの羽ばたきに煽られて周囲の下草が激しく揺れているのに、フクロウの羽音はほとんど聞き取れません。 
フクロウの羽毛は静音性に優れていることがよく分かります。 
(今回は雨音にかき消されたのかもしれません。) 

この山森でフクロウが生息しているとは知りませんでした。 
鳴き声♪を聞いたこともありません。 
フクロウの営巣地(樹洞)を見つけたいものです。 
フクロウが吐き出したペリットを回収できれば、捕食した小動物の骨が回収できるはずです。 
夜に現場入りしてフクロウを調査してみたくなりますが、ツキノワグマと出くわすと危険なので無理はできません。

 ※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 
フクロウの羽音が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。


狩りに失敗した例も後日トレイルカメラで撮れていました。


タヌキの溜め糞で獲物を待ち伏せるサビハネカクシ

 

2022年8月中旬・午後12:45頃・晴れ 

里山で廃道になった細い山道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場fがありました。 
どうやら山腹の急斜面を通る獣道になっているようです。 
周囲は雑木の灌木林です。 
ここにもトレイルカメラを設置してみたいのですけど、予算不足でなかなか台数を増やせません。
新鮮な糞に私が近づくと、群がっていたハエ類が一斉に飛び去りました。 
その場でしばらくじっと待つと、様々な虫が獣糞に戻って来ました。 

サビハネカクシOntholestes gracilis)がタヌキの溜め糞上をウロチョロしています。 
獲物を待ち伏せしているのでしょう。 
地味な体色(錆色)は背景の糞に紛れる攻撃的擬態かもしれません。 
糞上で動かないとまず見つかりません。 
強い直射日光に当たったり、カメラのストロボを焚いたりすると、体表が黄金色に美しく輝いて見えます。 

動画の前半では、マクロレンズを装着して接写してみました。 
糞上に居るのに(だからこそ)きれい好きで、身繕いしているようです。 
食糞性ハエの成虫や幼虫(ウジ虫)などを狩って捕食する様子を観察してみたいものです。

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