2022年8月中旬
里山でタヌキとアナグマが共有する溜め糞場sがあるスギ林道を自動撮影カメラで見張っていると、通りかかったニホンカモシカ(Capricornis crispus)がカメラの手前下で長居したり姿を消したりすることがちょくちょくあります。
監視カメラの死角でカモシカが何をしているのか、ずっと気になってました。
林道脇の法面がちょっとした崖になっているのですが、その土を舐めてミネラル摂取しているのではないか?と思いつき、それを検証するためにトレイルカメラを新たにもう1台設置しました。
上手く行けば、野生動物を2つのアングルから同時に撮影することが可能です。
トレイルカメラ2台の内蔵時計を正確に時刻合わせしておくことが肝心です。
シーン1:8/19・午後18:59・気温21℃ (日の入り時刻は午後18:31)
日没後の真っ暗な林道をいつものように右から登場したカモシカが、 溜め糞場sの匂いを嗅ぎました。
細めの角がスラッと伸びている個体です。
第1カメラを固定したスギの木の真下に近づき、死角に消えました。
同じ林道を挟んで反対側に立つホオノキに固定した第2のトレイルカメラに、このカモシカの行動が逆アングルからしっかり記録されていました。
法面の崖の土を舐めているのではないかという私の予想は、大ハズレでした。
林道を歩いて来たカモシカは林道を外れて法面の崖を登ると、下草の生えた急斜面をゆっくり右上に登って行きました。
蹄のあるカモシカは、急斜面を登るのも苦になりません。
スギの幹にベルトで固定した第1のトレイルカメラから赤外線投光器が煌々と光っています。
カモシカの頭上よりもずっと高い位置にあり、カモシカは暗視カメラの存在を気にしていませんでした。
(野生動物の目には赤外線が見えないとされています。)
カモシカが巡回する獣道は途中で林道を外れていることが分かり、ようやく謎が解けました。
つまり、ここはカモシカが巡回する獣道の分岐点になっていたのです。
実は冬の積雪期にもカモシカは同様のコースを辿っていたのを思い出しました。
(第1カメラ@スギを通り過ぎる手前から法面を斜めに登り始める。)
トレイルカメラの存在を嫌がって迂回するようになったのか?と当時は気を揉んでいたのですが、そうではないと分かり安心しました。
シーン2:8/22・午後23:44 (@0:32〜)
3日後の深夜にニホンカモシカが再登場。
第2カメラ(@ホオノキ)の映像です。
対面の第1カメラ(@スギ)もしっかり起動して赤外線が光っているのに、そちらにはなぜかカモシカが写っていませんでした。
今回は林道脇の法面を登らず、林道を真っ直ぐに歩き続けました。
シーン3:8/23・午後14:03・気温28℃ (@0:42〜)
翌日の明るい昼間にまたカモシカがスギ林道を通りかかりました。
緩やかな坂道になっている林道を右からゆっくりした足取りで登って来ました。
タヌキの溜め糞を跨いで通り過ぎます。
このとき第2カメラ(@ホオノキ)の起動が間に合わず、カモシカの顔が写っていません。
今回も林道脇の法面を登らず、林道を真っ直ぐ通り抜けました。
それでも対面の第1カメラ(@スギ)と分担して、前後編の動画でカモシカを記録することができました。
※ 最後のパート(@0:42〜)だけ動画編集時に自動色調補正を施しています。
私は未だカモシカの個体識別ができていません。
(1)繰り返し登場する同一個体が巡回ルートをときどき変更。
(2)林道脇の法面を登るカモシカと林道を真っ直ぐ進むカモシカは別個体。
2つある可能性のうちどちらが正しいのか、興味深いところです。
獣道に設置したトレイルカメラを1台増やすだけで、格段に実りの多い記録になりました。
勝手にあれこれ妄想するよりも、まさに百聞は一見に如かず。
予算が許す限りカメラの台数をどんどん増やしたくなりますが、初期費用だけでなくランニングコスト(電池代)も馬鹿になりません。
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