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2026/09/28

ベニサラサドウダンの花に潜り込んで強風をやり過ごすキンバエの群れ

 

2026年5月下旬・午後14:35頃・晴れ 

道端に植栽されたベニサラサドウダンの生垣で訪花昆虫を定点観察しています。 

関連動画のプレイリスト ▶ ベニサラサドウダンに来る虫たち 


満開に咲いた花はもう散りかけでした。 
おまけにこの日は風が強く吹き荒れ、ベニサラサドウダンの枝が激しく揺れ続けています。 
虫撮りには最悪のコンディションです。 
ハナバチなどメインの訪花昆虫をまったく見かけませんでした。 

釣鐘状の花筒を下から覗き込んでみると、キンバエ(Lucilia caesar)の仲間が1匹ずつ潜り込んでいました。 
複数個体(2匹以上)のキンバエを見つけました。 
いくら待っても、花の外に出て来ません。 
強風で花がどんなに激しく揺れても、ハエは花弁の内部にしがみついたまま、飛び立ちしません。 
ハエのように小さな昆虫は、強風下で飛びたくない(飛べない)のでしょう。 
ヒトの感覚で想像すると(擬人化)、激しく揺れ続ける花筒の中では目が回って酔いそうですが、風よけとして避難しているのでしょう。 
空腹になっても、ベニサラサドウダンの花蜜や花粉を舐めてしばらくは凌ぐことができます。 

とにかく風で枝が激しく揺れ続けるので、ハエを接写できず、種類をしっかり見分けられませんでした。 
後で思ったのですが、花が揺れないように私が撮影しながら左手で枝を持てば良かったかもしれません。 
花の中のハエは異変を感じて逃げたかな? 


『ハナアブハンドブック』の解説編がすごく面白いので読んでいたら、
風が強い日には、風裏の日だまりを探すと多数のハナアブが見られることもあります。(p140より引用)
と意外な記述がありました。 
あえて強風時に虫探しをするのも面白いテーマになりそうです。 


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2026/09/24

オオウバユリの花を食べるニホンカモシカ♂(両角欠け)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  


2026年8月上旬 

シーン1:8/4・午後12:48・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
落葉二次林にあるニホンアナグマ(Meles anakuma)の営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 
林床にオオウバユリの花が横向きに1つだけ咲いています。(画面左下の赤丸○) 
オオウバユリは夜に開花すると聞いたのですけど、明るい昼間から咲いていました。 
咲いたのは前日の夜なのかな? 


シーン2:8/5・午後19:07(@0:05〜)日の入り時刻は午後18:47。
オオウバユリの花の位置を覚えておいて下さい。(画面左下の赤丸○) 
画面の反対側(右端)からカモシカの横顔が見えました。
最近アナグマのセットに出没している(映像公開予定)、左右の角が両方欠けている♂個体です。

右下隅の下草が不自然に揺れているので、監視カメラの死角でカモシカが採食しているようです。 


シーン2:8/5・午後19:08(@0:18〜) 
ニホンカモシカはカメラの前を右から左にゆっくり歩いて横切ると、横向きに咲いていたオオウバユリの花をムシャムシャと食べました。
茎の根元に生えた葉は食べませんでした。


シーン3:8/24・午後13:01・くもり・気温30℃(@1:09〜) 
19日後の明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 

つづく→



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【考察】
想定外の面白い映像がたまたま撮れるのが、トレイルカメラの醍醐味です。
夜の森でニホンカモシカの採食メニューがこれほどはっきり分かる映像が撮れて、ラッキーでした。
急いで記事にして動画を公開することにしました。

オオウバユリの花は夜に開花するため、夜行性の訪花昆虫を誘引するために強い芳香があるのだそうです。
ニホンカモシカは、夜の林内に漂うオオウバユリの花の芳香を頼りに食べ歩いているのかもしれません。 
暗視映像を見ると、カモシカは暗闇で花に向かってまっすぐ歩いて来てそのまま食べました。

必ずしも嗅覚に頼らなくても、白くて大きなオオウバユリの花は暗い林内でうっすらと見えそうです。
トレイルカメラが照射する赤外線をカモシカのタペータム(輝板)が反射していたということは、カモシカは夜の暗い林内でもかすかな月明かりなどを頼りに物が見えているはずです。

山菜図鑑によると、オオウバユリの若葉がヒトの食用になるらしい。 
アイヌの人々は伝統的に、オオウバユリの球根を掘って鱗茎からデンプンを採って食べるのだそうです。


Perplexity AIに色々と訊いてみました。

Q1:オオウバユリの花には芳香があるか?
A1:オオウバユリ(Cardiocrinum glehnii)の花には芳香があります。複数の植物図鑑や観察記録で「芳香がある」「強い香りがある」と明記されており、特に夕方〜朝にかけて香りが強まることが報告されています。 jplants

芳香の特徴

  • 香りの質: 「上品な香り」「高貴な芳香」「優しい香り」と表現され、ヤマユリのような強烈な香りではなく、穏やかで繊細な芳香とされています。 qkamura.or
  • 香る時間帯: 一日中ではなく、夕方〜夜間、および朝に特に強く香るという観察が複数あります。これは受粉昆虫(マルハナバチなど)の活動時間帯と関連している可能性が指摘されています。 love-evergreen
  • 強さ: 近づかないと分からない程度の穏やかな香りで、園芸種のユリほど遠くまで漂う強烈さはないとされています。 siraneaoi.lekumo



Q2:オオウバユリの開花時刻は? 夜に咲くのか?

A2:オオウバユリの花は**夜に咲く(夜開性)**です。複数の情報源で「夕方に開く」「夜に咲く」と明記されており、芳香が夕方〜朝に強まるという観察とも一致します。

開花の時刻と挙動

  • 開花開始: 花は夕方に開き始め、夜間に開花状態になります。
  • 花の持続: 1個の花は数日(2〜5日程度)持続しますが、花序全体では下から順に開花が進みます。 love-evergreen
  • 受粉生態: 夜間に芳香が強まることから、**夜行性の昆虫(ガ類など)**による送粉が示唆されています。ただし、マルハナバチなどの昼行性昆虫も訪花することが観察されています。 mkbkc.hatenablog

補足:なぜ夜に咲くのか

夜開性と芳香の組み合わせは、多くのユリ科植物でみられる送粉戦略です。夜間に活動するガ類は視覚より嗅覚に頼るため、強い芳香と淡色(緑白色)の花が効果的に働きます。 mkbkc.hatenablog


Q3:8月上旬の二次林の林床に咲いたオオウバユリの花を、暗くなった晩に(19:10頃)ニホンカモシカが採食したシーンがトレイルカメラに写っていました。カモシカは花の芳香に誘引されたのだろうか? 暗い林内でも白くて大きなオオウバユリの花はうっすらと見えるのかもしれません。

A3:素晴らしい観察記録ですね。19:10頃の薄暮〜夜間にニホンカモシカがオオウバユリの花を採食したシーンは、カモシカの生態とオオウバユリの送粉・防御生態の両方から非常に興味深い事例です。

カモシカは花を好む

複数の研究で、ニホンカモシカは広葉草本の花を嗜好することが示されています。 tuat.ac

  • 東京農工大学の研究では、カモシカが「消化しやすく高栄養な広葉草本(葉・花)」を選択的に採食することが直接観察で確認されています。 tuat.ac
  • 飼育下のカモシカは夕方〜夜間に主に採食活動を行い、野生でも早朝と夕方に採餌のピークがあります。 animaldiversity
  • 花は栄養価が高く、柔らかく消化しやすいため、カモシカにとって魅力的な食物です。 tuat.ac

芳香への誘引はあり得るか

オオウバユリの花は夕方〜夜間に強く芳香を放ち、夜行性の送粉者(ガ類など)を誘引するように適応しています。

カモシカは嗅覚が発達しており、食物の選別には嗅覚も重要な手がかりとなります。 したがって、以下のシナリオが考えられます: love-evergreen

  1. 芳香が手がかり: 薄暗い林内で、オオウバユリの強い芳香がカモシカの注意を引いた可能性は十分にあります。
  2. 視覚的手がかり: ご指摘の通り、暗い林内でも緑白色の大きな花(10–17 cm)はうっすらと見え、カモシカの視覚(夜間視力)でも検出可能でしょう。
  3. 偶然の発見: カモシカが林床を移動中に、たまたま立ち寄って採食した可能性もあります。

生態的意義

この観察は、オオウバユリの花が夜行性哺乳類によっても利用されていることを示唆しており、以下の点が興味深いです:

  • オオウバユリの花は「夜開性+芳香」という送粉者誘引形質を持ちますが、同時に草食哺乳類への被食リスクにもなっている可能性があります。
  • カモシカのような大型草食動物による採食は、個体群動態(開花個体の減少)に影響を与える可能性があります。
  • 一方、カモシカが種子散布に寄与する可能性(果実を採食する場合)も考えられますが、オオウバユリの種子は風散布が主です。

結論

カモシカがオオウバユリの花を採食した要因として、芳香への誘引は十分にあり得ると考えられます。ただし、視覚的手がかりや偶然の発見も関与している可能性があり、これらを区別するには追加の観察(芳香の有無と採食頻度の相関、夜間視覚実験など)が必要でしょう。

この観察記録は、オオウバユリと草食哺乳類の相互作用を理解する上で貴重なデータです。ぜひ、季節を超えた継続的なモニタリングを続けられると、さらに興味深い知見が得られるかもしれません。


2026/09/20

ニラの花から花へ飛び回り吸蜜するヒメアカタテハ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年8月下旬・午前11:30頃・くもり 

道端に咲いたニラの群落で、ヒメアカタテハ(Vanessa cardui)が訪花していました。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 
半開きの翅を開閉しながら口吻を伸ばして花蜜を吸っています。

ヒメアカタテハがニラの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:40〜) 

コアオハナムグリ(Gametis jucunda)も一緒に訪花していましたが、互いに没交渉でした。

2026/09/13

セイヨウタンポポの花を舐めるマガリモンハナアブの一種♀?

 

2026年4月下旬・午後12:55頃・くもり 

山麓の用水路沿いに咲いたセイヨウタンポポの群落で見慣れないハナアブが訪花していました。 
複眼の形状から、♀のようです。 
口吻を伸縮させて花粉や花蜜を舐めています。 
自発的に飛び立つと、少しホバリング(停空飛翔)してから、同じ頭花に再着陸しました。 
身繕いして体に付着した花粉を落としています。 

シマアシブトハナアブ♀黒化型と迷ったのですが、マガリモンハナアブ属の一種(Anasimyia sp.)ですかね? 
顔を正面から見ても鼻高ではなかったので、ハナダカマガリモンハナアブではありません。 
マイナーな分類群なのか、『ハナアブハンドブック』には掲載されていませんでした。 

ハナアブが飛び去った後にタンポポの頭花をめくって総苞片の形状を確認すると、外来種のセイヨウタンポポでした。 
この辺りでは在来種のエゾタンポポと混在しています。

2026/09/10

ホタルブクロの白い花で採餌するスミゾメハキリバチ♀

 

2026年6月中旬・午後15:20頃・晴れ 

道端の花壇に咲いたホタルブクロにムナカタハキリバチ(別名スミゾメハキリバチ)♀(Megachile willughbiella sumizome)が忙しなく訪花していました。 
釣り鐘状の白い花に潜り込んで正当訪花を繰り返しています。 
中の様子は見えませんが、花蜜と花粉を集めているようです。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:21〜)、腹部下面のスコパ(集粉毛)に白っぽいクリーム色の花粉をびっしり付けて運んでいました。 
巣に持ち帰って吐き戻した花蜜と花粉をこね合わせて育房内に花粉団子を作り、その上に産卵するらしいのですが、私はまだスミゾメハキリバチの巣を見つけたことがありません。 
今回も花壇から飛び去った蜂をすぐに見失ってしまいました。 


関連記事(2、10年前の撮影)▶ 

2026/09/08

エゾタンポポの花を食べるヤブキリ若齢幼虫

 

2026年4月下旬・午後12:55頃・晴れ 

山麓の用水路沿いに咲いたエゾタンポポの群落でヤブキリ(Tettigonia orientalis)の若齢幼虫が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。

おそらく花粉(や花蜜?)を食べているようですが、背後から撮ったので、肝心の口元が見えませんでした。 
触角の長さはエゾタンポポ舌状花の花弁とほぼ同じでした。
『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』p90によると、春にヤブキリとキリギリスの幼虫を見分ける方法は簡単で、背に一本線がヤブキリで、2本線だとキリギリスの幼虫とのこと。

カメラをズームアウトしてから、しゃがんで頭花をめくって総苞片を接写し、在来種のエゾタンポポであることを確認しました。 
外来種のセイヨウタンポポが全国を征服した現代に、在来種エゾタンポポの群落は貴重です。
ヤブキリの幼虫は警戒して、タンポポの花から地面に跳び降りて逃げました。 

2匹の個体を続けて撮影。 






2026/09/07

サラサウツギの花蜜を吸うコマルハナバチ♂

 

2026年6月上旬・午後13:30頃・くもり後晴れ 

山麓の入山口の横に咲いたサラサウツギ(=ヤエウツギ)の灌木にコマルハナバチ(Bombus ardens)の雄蜂♂が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
体色がレモン色の雄蜂♂ばかりで、同種の♀が来ていないのが不思議です。 

八重咲きの花は雄しべが花弁にホメオティック変異しているため、花粉を生産しません。 
したがって、ヤエウツギに集まる訪花昆虫は吸蜜に専念しています。 
マルハナバチ♀が振動集粉する羽音が聞こえたような気がしたのですけど、空耳でした。 
雄蜂♂は♀と違って花粉を集めませんから、後脚の花粉籠もありません。 

コマルハナバチ♂は茂みの奥で訪花したがるので、撮影には苦労しました。 
手前の花にはもう花蜜が残っていないのでしょう。 


※ 動画素材の順番を編集で入れ替えました。 
複数個体(2匹?)を撮影。

2026/09/04

菜の花を舐めるスイセンハナアブ♂

 

2025年5月下旬・午後16:00頃・晴れ 

郊外の住宅地で民家の家庭菜園に咲いている菜の花に見慣れないハナアブが忙しなく訪花していました。 
口吻を伸縮させて、黄色い菜の花の花蜜や花粉を舐めています。 
後半は、菜の花に隣接するハルジオンにも一瞬だけ訪花しました。 

いつものように望遠マクロで虫を撮りたくても、菜の花の茂みが込み入っているため、AFで被写体にピントを合わせるのはまず無理です。 
仕方がないので、通常のマクロモードでレンズをそっと近づけて接写するしかありません。 
ハナアブが花から花へ飛び回る際に、プーン♪という羽音がかすかに聞こえます。

初めはクロマルハナバチ♀の小型個体またはコマルハナバチ♀かと騙されかけたのですけど、よく見るとベイツ型擬態のハナアブでした。 
胸部(襟元)が黒ではなく色が薄い(黄褐色)点では、クロマルハナバチよりもオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)っぽいかもしれません。
(しかし撮影地は平地なので、山地性のオオマルハナバチは生息していませんから、ベイツ擬態が成立しなくなってしまいます。)
顔を正面から見ると、左右の複眼が頭頂で接していたので♂と判明。 
後脚の腿節が黒くて太いです。 

今回の菜の花は園芸植物なのか、それともアブラナ科の野菜が花を咲かせたのか、真面目に検討していません。

謎のハナアブの名前を知りたくてGoogleレンズ(画像認識AI)を使ったら、スイセンハナアブ♂(Merodon equestris)とすぐに教えてくれました。 
スイセンなどの球根に幼虫が寄生する外来種らしい。 
輸入された園芸植物の球根と一緒に検疫をすり抜けて日本に侵入し、分布を広げているそうです。 
ベーツ擬態が中途半端でモデルがよく分からないのは、もともと日本在来種ではないからだと分かりました。

最近買った『ハナアブハンドブック』で調べ直すと、p93に掲載されていました。 
発生時期が5〜6月とのことで、ぴったり合います。 
スイセンハナアブは体色に変異型が色々とあるらしく(colour form多型の写真)、この個体は混合型(var. bulborumとvar. equestrisのどっち?)らしい。 
外来種のベーツ擬態の問題は考えてみるとかなり面白いので、改めて別の記事にします。(別個体の訪花シーンを映像公開予定)





余談ですが、2026年4月に出版された『ハナアブハンドブック』の書評を遅ればせながら少し書いておきます。 
ハナアブ専門の図鑑を長年待ち望んでいたので、調べ物の取っ掛かりとして本書はとてもありがたいです。 
紙の表紙にビニールカバーが被せられていて、野外に携帯しても汚れや摩耗から保護してくれそうです。 
しかし、肝心の図鑑編に掲載された各種ハナアブの写真が暗いのが不満です。 
文一総合出版のハンドブック・シリーズで共通したホワイトバック(背景が白色)の写真なのに、きちんとストロボを焚いていないのか、まるで蛍光灯の下で撮ったような暗い写真ばかりです。
細部の特徴が写真でよく分からないのでは、生物図鑑やハンドブックとして致命的な欠陥だと言わざるを得ません。 
もしかするとフラッシュを焚いているのに、斜めから撮っているせいかもしれません。 
ハナアブを同定するには背面と側面と顔正面の3枚ずつ、♀♂両方の写真を載せて欲しいのに、掲載写真を減らすため(コストカット)の苦肉の策として、本書では基本的に斜めから撮った写真が中心です。 
たとえばハナアブの世界というWEBサイトには、各種の標本写真がきれいにまとめてあって、今回も重宝しています。 
ハナアブ類の生態を説明した解説編の内容が充実していて本当に素晴らしいだけに、写真がとにかく残念です。 
出版社の編集者が心を鬼にして筆者に指摘する(撮り直しを命じる)べきでした。 
労作なのは重々承知の上で、筆者に対して酷な要求ですけど、写真を差し替えて改訂することを望みます。 


生物の図鑑は今後すべて紙ではなく電子書籍版で出版して欲しいというのが個人的な希望です。 
今さらですけど、電子書籍のメリットを列挙してみます。 
  • 電子書籍なら図鑑やハンドブックを何冊でもフィールドに持っていくことが可能になり、現場で調べることができます。 
  • 掲載するカラー写真の数を泣く泣く減らしたり、サイズを小さくトリミングしたり、カラー印刷のページだけ口絵としてまとめたりする必要が一切なくなります。 欲張りな私は、各種につき標本の写真も生態の写真も削らずに盛りだくさんに掲載してほしいのです。
  • 小さな文字が読みにくい読者は、虫眼鏡を使わなくても拡大して表示することができます。 写真も文字も小さな本は、老眼の高齢者への配慮を欠いています。 
  • 鳴き声の音声や行動の動画などマルチメディア素材との連携もスムーズになります。 1990年代にCD-ROMのマルチメディア図鑑が登場したときは革命的でした。感動・熱狂した当時と比べて、今の図鑑は明らかに使いにくく退化しています。 
  • 内容に訂正があれば、電子書籍ならすぐに反映できるはずです。


現状では伝統的な紙の出版文化を守ろうとして両方出し続けているために、色々と中途半端になっています。 
出版社の都合で、読者(消費者)の不満がいつまでも解消されません。 
電子書籍版と言いつつも、紙の書籍をスキャンした画像をまとめただけの粗悪な代物ばかりなのは、出版社の怠慢です。 
電子書籍の強みを遺憾なく発揮した編集になっていません。 
たとえば目次や索引からハイパーリンクで該当ページに直接飛べるように、最低限の編集をして欲しいものです。 
個人の有志が自費出版している電子書籍の図鑑には、すばらしい物があるので、技術的にできないとは言わせません。 
(たとえば『日本チョウ類E図鑑』など。)
大手の出版社もさっさと電子版に本格移行して欲しいものです。 
図鑑の未来は電子書籍にあると私は確信しています。 
子供向けの入門図鑑では、紙の書籍版も意味があるかもしれません。 
しかし、大人向けの専門的な図鑑は、すべて電子版にすべきだと私は考えます。 
紙の書籍で多くの種類を網羅しつつコンパクトで安価な図鑑にまとめるのは、もう限界でしょう。
料金は1冊毎の買い切りが私の好みですけど、いずれサブスク制が主流になりそうです。


2026/09/01

オオヤマザクラの花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2025年4月下旬・午後14:50頃・晴れ 

道端でオオヤマザクラの花が満開に咲いていました。 
木の下を通りかかるとから見上げると、群れで飛び回る蜂の羽音がワーン♪と聞こえました。 
ピンクの花を見上げて訪花昆虫を探すと、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀でした。 
この組み合わせは初見です。 



春風で桜の枝が揺れる上に、ミツバチがあまりにも忙しなく花から花へ飛び回るので、動画に撮るのは至難の業でした。 
ハイスピード動画に切り替えるべきだったかもしれません。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:26〜) 

一部の個体は、後脚の花粉籠に花粉団子を運んでいました。 
オオヤマザクラの花ですばやく吸蜜すると、次の花に向かう途中の空中でホバリング(停空飛翔)しながら、左右の後脚を擦り合わせていました(身繕い)。 
体毛に付着した花粉を後脚の花粉籠にまとめているのです。

2026/08/29

セイヨウタンポポの花蜜を吸い飛び回るフタモンアシナガバチ創設女王【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2025年4月下旬・午後15:05頃・晴れ 

道端に咲いたセイヨウタンポポの群落でフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)の創設女王♀が訪花していました。 
この時期に見られる個体は、ワーカー♀ではなくて、越冬明けの創設女王です。 
共にありふれた普通種ですけど、意外にもこの組み合わせは初見でした。 
頭花の総苞片が反り返っていることから、外来種(帰化植物)のセイヨウタンポポとわかります。 
これまで撮っていたのはエゾタンポポだけでした。 

関連記事(2年前の撮影)▶  


顔を深く突っ込んで吸蜜しても、体は花粉で汚れていません。 
筒状花の雄しべの葯にはもう花粉が枯渇しているようです。 
それでもフタモンアシナガバチ♀は、前脚で左右の触角を拭ってから、羽ばたいて飛び立ちました。 

フタモンアシナガバチ創設女王がセイヨウタンポポの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:39〜)

2026/08/26

ブタナの花蜜を吸い飛び回るキアゲハ♀春型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月中旬・午後12:50頃・くもり 

里山の山頂広場に咲いた帰化植物ブタナ(ヨーロッパ原産の外来種)の群落で春型のキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が忙しなく訪花していました。 
ともに普通種ですが、意外にもこの組み合わせは初見です。 
カメラのピントを合わせるのが難しい…。

花から花へ忙しなく飛び回り、吸蜜中も翅を翅を小刻みに羽ばたかせています。 
ブタナの細長い茎の天辺にある頭花に留まると、キアゲハの体重でも茎がしなって姿勢を崩すので、羽ばたき続けることでバランスを保っているのです。 

キアゲハ♀がブタナの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:26〜) 
翅表が全体的に暗色ではないので、まだ春型です。 
腹端を横から見た形状から、♀と判明。 


街なかならともかく、本来は生物多様性が高いはずの里山でも帰化植物のブタナが占有しているという事実は深刻です。 
山頂広場をヒトが草刈りで撹乱しているので、在来種の植物は育ちにくく、この結果は自業自得です。 
キク科のブタナは綿毛(冠毛)を使った風散布で種子の分布を広げます。 
こんな山頂まで平地からブタナの種子が飛んで来るでしょうか? 
台風だったら、あり得るかなぁ?
まさか誰かが「殺風景で寂しいから黄色い花を咲かそう」と、無神経な「善意」でブタナの種を撒いたのかな?と疑ってしまいます。
平地から飛んだ種子が山頂まで一気に辿り着くのは難しそうだと思ったのですが、山道に沿って毎年少しずつ標高を上げたのかもしれません。

森昭彦『帰化&外来植物 見分け方マニュアル950種』でブタナについて調べると、ブタナが孕む外来種問題のジレンマを筆者は喝破しておられました。
・草刈りしても根が残れば再生する
・なかなか手ごわい相手である。(中略)蜜源植物でもあるため、ハチなどの昆虫は嬉々として集まり(中略)、地元の生物多様性を、植物界の多様性を打ち砕く本種が支えているのもまた事実。
(p628〜629より引用)


関連動画(訪花昆虫などをまとめたプレイリスト)▶  ブタナに来る生き物たち


2026/08/23

サツキツツジ(華宝)の花蜜を吸うカラスアゲハ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2025年6月中旬・午前11:35頃・くもり 

郊外の住宅地で民家の狭い庭の植え込みに咲いたサツキツツジ(サツキ)でカラスアゲハ♀(Papilio dehaanii dehaanii)が忙しなく訪花していました。 
半開きの翅を小刻みに羽ばたきながら、口吻を差し込んで吸蜜しています。 

花弁が濃いピンクと白色(薄いピンク)という2種類の品種が並んで咲いていて、カラスアゲハ♀は分け隔てなく両方訪れていました。 
今回は花色による選好性を示さなかったことになります。 

花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:42〜)
スローモーションにすると、カラスアゲハ♀の優雅な羽ばたきを堪能できます。


※ 撮れた動画素材の順番を編集で入れ替えました。


私は園芸植物に疎いので、このツツジの仲間についてPerplexity AIに訊いてみました。 
Q: 庭に咲いているツツジの仲間で、花弁が波打っている種類(品種)の名前は? 花弁の色はピンクと白。 
A: おそらく、サツキ(サツキツツジ)の品種 「華宝(かほう)」 です。花弁がひだ状に大きく波打つ「波打ち咲き」で、紅色・白色のほか、絞りや覆輪など花色の変化があります。 候補 華宝(かほう) 大輪で、花弁が強く波打つ代表的な品種。ピンク~紅色、白、絞り、覆輪などがあります。 


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2026/08/11

アセビの花蜜を吸うセグロアシナガバチ創設女王

 

2025年4月中旬・午後12:20頃・晴れ 

民家の庭に植栽されたアセビにセグロアシナガバチ♀(Polistes jokahamae)が訪花していました。 
正当訪花で吸蜜しています。 
この時期の♀はまだワーカーではなく、越冬後の創設女王ですね。 

春風が吹いて馬酔木の花序が揺れ続け、虫撮りには不向きの条件でした。 
風が止むまで待っていたら、セグロアシナガバチ♀は奥の花序に回り込んでしまい、姿が見えなくなりました。 
他の訪花昆虫も飛び回っていたのに、じっくり撮影できず残念でした。


【考察】
ツツジ科のアセビには、ジテルペノイドのグラヤノトキシン類(アセボトキシン)という有毒成分が含まれています。
花蜜にも含まれるので、それを摂取した訪花昆虫への毒性が心配になります。
Perplexity AIに訊いてみました。

Q: グラヤノトキシンは昆虫などの無脊椎動物に対しても有毒か?

A: はい。**グラヤノトキシンは昆虫にも毒性を示し得ます**。ただし、毒性の強さは昆虫種・グラヤノトキシンの同族体・摂取量によって大きく異なり、「無脊椎動物全般に一様に有毒」という意味ではありません。

## 昆虫での実証例

- **セイヨウミツバチ(Apis mellifera)**  
  *Rhododendron ponticum* の花蜜に相当する濃度のグラヤノトキシンI(GTX I)を摂取させた実験では、摂取後6時間以内に急性死亡が生じました。24時間LC50は約 \(0.212\ \mu\mathrm{g/mg}\) と報告されています。グラヤノトキシンIII(GTX III)単独では、同じ条件で明瞭な毒性は確認されませんでした。cite [pure.royalholloway.ac](https://pure.royalholloway.ac.uk/files/25583400/Tiedeken_et_al_2015_F_Ecology_authors_version.docx)
- **単独性ハナバチ(Andrena carantonica)**  
  死亡率への明瞭な影響は検出されなかった一方、過剰なグルーミングや麻痺様の行動など、**亜致死的な悪影響**が増加しました。cite [pure.royalholloway.ac](https://pure.royalholloway.ac.uk/files/25583400/Tiedeken_et_al_2015_F_Ecology_authors_version.docx)
- **マルハナバチ(Bombus terrestris)**  
  同じ実験では、生存率・行動ともにほとんど影響を受けず、比較的高い耐性を示しました。したがって、ハナバチ類の中でも応答は種特異的です。cite [pure.royalholloway.ac](https://pure.royalholloway.ac.uk/files/25583400/Tiedeken_et_al_2015_F_Ecology_authors_version.docx)
- **植食性昆虫**  
  ツツジ科植物のグラヤノイド系ジテルペンには、昆虫に対する摂食阻害・殺虫作用が報告されており、グラヤノトキシンIはツツジ科植物を食害するアザミウマ類にも毒性・忌避性を示すとされています。cite [pubmed.ncbi.nlm.nih](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37149121/)

## 作用機序

グラヤノトキシンは、神経や筋肉の**電位依存性ナトリウムチャネル**に作用します。通常なら活動電位の後にチャネルは不活性化しますが、グラヤノトキシンはその不活性化を妨げ、ナトリウム流入と脱分極を持続させます。結果として、神経・筋の異常興奮、運動失調、麻痺、場合によっては死亡につながります。cite [pmc.ncbi.nlm.nih](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3404272/)

昆虫の電位依存性ナトリウムチャネルも脊椎動物のものと基本的によく似ているため、標的が存在すること自体は合理的です。実際、イカやザリガニの軸索を用いた電気生理学的研究でも、グラヤノトキシンによるナトリウムチャネルの持続的な活性化が示されています。cite [pubmed.ncbi.nlm.nih](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6286960/)

## ただし「昆虫に有毒」の解釈には注意

重要なのは、以下の要因で感受性がかなり変わることです。

1. **同族体の違い**  
   GTX Iはミツバチに強い毒性を示しましたが、GTX IIIでは同じ作用が明瞭でない場合があります。

2. **昆虫種の違い**  
   セイヨウミツバチや一部の単独性ハナバチには有害でも、マルハナバチでは耐性が見られました。ナトリウムチャネルの構造差、吸収・代謝、解毒能力などが関与すると考えられます。cite [pure.royalholloway.ac](https://pure.royalholloway.ac.uk/files/25583400/Tiedeken_et_al_2015_F_Ecology_authors_version.docx)

3. **摂取経路と濃度**  
   花蜜として経口摂取した場合と、注射・局所投与・細胞外からの曝露では毒性が異なります。自然花蜜濃度で影響が出る昆虫がいる一方、葉を食べる植食者では、組織中濃度や摂食量が重要になります。

4. **昆虫以外の無脊椎動物についてはデータが少ない**  
   クモ、ダニ、甲殻類、軟体動物、環形動物などについて、グラヤノトキシンの種別LC50や野外での影響を体系的に調べた研究は、昆虫ほど蓄積していません。したがって、**「昆虫には毒性が実証されているが、無脊椎動物全般については不明な部分が大きい」**というのが妥当です。

なお、ツツジ科植物の花蜜中グラヤノトキシンは、植物にとっては植食者防御物質である一方、送粉者にも影響し得るため、植物—送粉者間の選択圧や耐性進化に関係する可能性があります。*Rhododendron* の葉では花蜜や花弁より高濃度で検出される傾向も報告されています。cite [pubmed.ncbi.nlm.nih](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37149121/)

**結論としては、グラヤノトキシンは昆虫、特に一部のハナバチや植食性昆虫に対して有毒または忌避的に作用します。しかし、毒性は分類群・種・化学型・曝露量に強く依存し、他の無脊椎動物群への影響はまだ十分には解明されていません。**



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2026/08/07

シロツメクサの花蜜を吸うコマルハナバチ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月下旬・午後13:40頃・晴れ 

里山で雑草が生い茂る林道に咲いたシロツメクサの群落でコマルハナバチ(Bombus ardens)の雄蜂♂が訪花していました。 
シロツメクサ(マメ科)の小さな蝶形花に丹念に正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。 
雄蜂♂は集粉しませんから、後脚に花粉籠がありません。 

コマルハナバチは創設女王の越冬後の営巣開始が早く、初夏には他のマルハナバチ類に先駆けて生殖カースト(新女王および雄蜂♂)が羽化して来るのが特徴です。 

コマルハナバチ♂がシロツメクサの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:27〜)

この組み合わせは初見…ではなく、かなり昔に撮っていました。 
関連記事(19年前の撮影)▶ シロツメクサで吸蜜するコマルハナバチ♂ 

全体にレモン色だったので、ミヤママルハナバチ♀(Bombus honshuensis honshuensis)やヒメマルハナバチ♀(Bombus beaticola beaticola)と迷ったのですが、撮影地点の標高が440mと低くて、腹端が明るい橙褐色であることから、コマルハナバチ♂だろうと判断しました。 


2026/08/05

ハルジオンの花で吸蜜するダイミョウセセリ

 

2026年5月中旬・午後12:55頃・晴れ 

里山で山腹をトラバースする人通りの少ない林道に咲いたハルジオンの群落でダイミョウセセリ(Daimio tethys)が訪花していました。 
翅を全開のまま吸蜜しています。 
後翅に白い斑紋がなくて真っ黒なダイミョウセセリは関東型と呼ばれるらしいのですが、山形県をフィールドとする私は、他の型を見たことがありません。

関連記事(13年前の撮影)▶ ハルジオンの花蜜を吸うダイミョウセセリ 


舌状花がピンクではなく白っぽいのでヒメジョオンと迷いました。
念のために茎が中空であることからハルジオンと確認しました。 
他の識別点もチェックすると、蕾は下向きに垂れ下がっていますし、葉は茎を少し抱いています。 
花が咲く時期に根生葉(長楕円形またはへら形)が残るという特徴もハルジオンにはあるのですが、今回はそこまで見ていません。 


この後に同一個体のダイミョウセセリが少し飛んで、近くに咲いていたタニウツギにも正当訪花しました。
しかし蜜量が少なかったのか、私がカメラを向ける前に飛び去ってしまいました。

2026/07/28

セイヨウタンポポの花蜜を吸う春型のキアゲハ♀

 

2025年5月中旬・午後13:00頃・くもり 

農道の道端に咲いたセイヨウタンポポの群落で春型のキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が訪花していました。 
共に普通種なのに、意外にもこの組み合わせは初見です。 

翅に傷一つないきれいな状態でした。 
おそらく羽化直後なのでしょう。 
その翅を半開きのまま吸蜜しています。 
腹端の形状から性別は♀と判明。 
一緒に咲いているヒメオドリコソウの花には見向きもしませんでした。

途中からセイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀が右隣りの花に飛来して、採餌していました。

2026/07/14

ハナショウブの白い花で採餌するクマバチ♀

 

2026年6月中旬・午前9:45頃・晴れ 

民家の家庭菜園の一角に咲いた白いハナショウブの群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

アヤメ科の花の見分け方をいつも忘れてしまうのですが、今回は花びらの基部が黄色なので、ハナショウブ(ノハナショウブの園芸種)と分かります。 
その黄色がハナバチなどの送粉者にとって蜜標になっているのでしょう。 
花弁が白い品種でした。 

撮り続けた同一個体のクマバチは、頭楯が黒いので♀と分かります。 
後脚の花粉籠はまだ空荷でした。 
ハナショウブの花から花へ忙しなく飛び回るばかりで、ろくに採餌してないということは、花蜜や花粉がもう残っていないようです。

2026/07/06

タネツケバナの花蜜を吸うコシボソハナアブの一種

 

2026年4月下旬・午前11:45頃・くもり 

二次林の林縁で小川の横に咲いたタネツケバナに訪花している小さな昆虫がいました。 
腹部が細長いので、てっきりコンボウヤセバチの仲間だと思って撮影したのですが、映像を見直すと蜂(膜翅目)ではなくハナアブの仲間(双翅目)でした。 

細長い腹部をゆっくり上下に動かしながら、花蜜や花粉を舐めています。 
ハナアブが飛び去った後は、レンズを近づけてタネツケバナの花序や葉を接写しました。 

いつもお世話になっている「ハナアブの世界」サイトで調べると、Bacchini (コシボソハナアブ族)のようです。 
さらにAllobaccha (ツマグロコシボソハナアブ属)とBaccha (コシボソハナアブ属)に細分化されるようですが、標本を精査して見比べないと私にはわかりません。 
「ツマグロ」かどうかは、おそらく翅の先端に黒紋の有無で区別するのでしょう。
今回は側面から撮ったので、素人目にははっきりしませんでした。 
(背側から見下ろして接写したかったです。)

最近手に入れた『ハナアブハンドブック』でも早速調べてみました。(p20〜21)
成虫発生時期の情報を信頼すれば、4月下旬に撮れた個体はAllobacchaではなくBaccha属のようです。
つまり候補としては、マダラコシボソハナアブ(Baccha maculata、5〜10月)またはムモンコシボソハナアブ(Baccha laphrieformis、4〜10月)となります。
さらに別属Episyrphusにも似た体型の種類がいるらしいのですが、発生時期が7〜8月と遅いので除外しました。(p59)


【考察】 
現場で私が騙されたように、コシボソハナアブはコンボウヤセバチと似ています。 
しかし、ベーツ型擬態とは言えないと私は考えます。 
なぜなら、擬態のモデルと想定されるコンボウヤセバチはフィールドでは数が少なくレアな寄生蜂なので、捕食を試みて痛い目に遭う(刺される)経験をする捕食者がほとんどいないはずだからです。 
したがって、擬態者のコシボソハナアブが捕食を免れて、より一層モデルに似てくるように進化することは期待できないでしょう。 
つまり、ベーツ擬態では説明できず、「他人の空似」に過ぎないと私は思います。 
もっと漠然と、「なんか蜂っぽい体型だな…」と鳥が思って忌避する(捕食を思いとどまる)可能性はありそうです。 
いずれにせよ、個々の事例を実験で確かめないで安易にベーツ擬態と決めつけたがる風潮には問題があります。 


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2026/07/04

ハルジオンの花蜜を吸うキオビトビノメイガ(蛾)

 

2026年5月下旬・午後13:55頃・晴れ

里山の山腹をトラバースする林道に咲いたハルジオンの群落でキオビトビノメイガ(Pyrausta mutuurai)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 


とても小さな蛾ですけど、翅の模様のデザインが美しくて好きな種の一つです。
翅を全開にしたまま口吻を伸ばして中心部の筒状花から吸蜜していました。 
背後にクロマルハナバチ♀?(またはベーツ擬態のハナアブ)が飛来しても、この小蛾は気にせず吸蜜を続けています。 

私が動画を撮りながら近づいたら、キオビトビノメイガはハルジオンの花から飛び立ちました。 
高速の羽ばたきによって翅のオレンジ色の斑紋がチラチラと明滅して見えます。
雑草が一面に蔓延る林道を低空で飛んでから、カキドオシの葉の上に留まりました。 
触角を前脚で拭ったり、前脚を口で舐めたりして、身だしなみを整えています。


【考察】
小蛾の中では結構メジャーな種なのに、キオビトビノメイガ幼虫の食餌植物はまだ解明されていないそうです。
最新科学技術を使ってどのようにアプローチすれば良いでしょうか?
ChatGPTにアイデアをもちかけて相談してみました。

Q: 昆虫の中には、幼虫時代の食餌植物がいまだに分かっていない種がいる。採集した成虫を試料とし、DNAバーコーディングによって消化管内に残った微量な餌の種類を突き止めることはできないか? 変態の時期に消化管内の餌は完全に分解されてしまうだろうか?

A: 結論から言うと、ほとんどの完全変態昆虫では、この方法は期待できません。理由は、幼虫から成虫への変態の過程で消化管の内容物がほぼ失われるためです。

もう少し詳しく説明します。

完全変態昆虫(チョウ目、コウチュウ目、ハエ目、ハチ目など)では、終齢幼虫が蛹になる前に**摂食を停止し、消化管内の内容物を排出(gut purge)**することが一般的です。その後、蛹期には消化管を含む多くの組織が大規模に再編成されます。

このため、

  • 幼虫が最後に食べた植物組織

  • 植物DNA

  • 葉緑体DNA

などが成虫までそのまま残る可能性は極めて低いと考えられます。

したがって、成虫の消化管から「幼虫時代の食草」をDNAバーコーディングで特定することは、通常は困難です。

一方、不完全変態昆虫(バッタ類、カメムシ類など)では話が少し違います。幼虫(若虫)と成虫の間で消化管が完全に作り替えられるわけではないので、羽化直後であれば若虫時代の餌が残っている可能性はあります。しかし時間が経って成虫が摂食を始めれば、当然その情報は失われます。


では未知の食草はどう調べているのか?

現在では、いくつかの方法が用いられています。

1. 幼虫を探してDNAバーコーディングする(最も確実)

未知の幼虫を採集し、成虫とDNAバーコードを比較して同種であることを確認します。

これは近年非常によく行われています。


2. 幼虫そのものをDNAメタバーコーディングする

幼虫の消化管内容を解析し、食べた植物を同定します。

こちらは現在かなり一般的な手法です。


3. 成虫が産卵した植物を調べる

雌を飼育して産卵させ、

  • どの植物に産卵するか

  • 孵化幼虫が実際に食べるか

を確認します。


4. 野外で植物表面の卵や幼虫を探す

地道ですが、今でも非常に重要な方法です。


ただし、成虫から食草を推定できる特殊な場合もある

完全変態昆虫でも、

  • 成虫が羽化直後でまだ排便していない

  • 成虫が幼虫時代の巣や材の中で羽化する

ような場合には、体表や直腸付近に幼虫時代の残留物が残っている可能性はゼロではありません。

また、成虫ではなく

  • 蛹殻

  • 幼虫の糞(フラス)

  • 巣材

から植物DNAを検出できる例は報告されています。


むしろ有望なのは「腸内細菌」や「安定同位体」

近年は植物DNAだけでなく、

  • 腸内微生物叢

  • 安定同位体比(炭素・窒素など)

から幼虫時代の栄養源や生活環境を推定する研究も進んでいます。

これらは食草を種レベルまで特定することは難しいものの、「針葉樹由来か広葉樹由来か」「C3植物かC4植物か」といった情報を与えてくれることがあります。


つまり、ご提案の「採集した成虫から幼虫時代の食草をDNAバーコーディングで特定する」という発想は非常に魅力的ですが、完全変態昆虫では変態前の消化管内容がほぼ失われるため、現状では一般的な方法にはなっていません。

ただし、この発想自体は研究者も以前から検討しており、その延長として現在は幼虫の糞(フラス)のDNAメタバーコーディングや、**環境DNA(eDNA)**を利用した手法などが発展しています。特にフラスは、幼虫を直接採集できなくても食草を高い精度で推定できるため、未知の食草を解明する有力なアプローチとして期待されています。

2026/07/02

アズマシャクナゲの花蜜を吸うニッポンヒゲナガハナバチ♂

 

2026年4月下旬・午後12:40頃・晴れ 

民家の裏庭に咲いたアズマシャクナゲの植え込みでニッポンヒゲナガハナバチ♂(Eucera nipponensis)が訪花していました。 
長い触角は、ヒゲナガハナバチ属の雄蜂♂に特有の形質です。
正当訪花で吸蜜しながら、左右の後脚を擦り合わせていました。 
付着した花粉を払い落としているのでしょう。 
♀と違って雄蜂♂は花粉を集めることはありませんし、後脚に花粉籠もありません。 
口元をよく見ると、黒い口吻を伸ばして蜜腺に差し込んでいました。 

飛び去る瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:40〜) 
前翅の亜縁室が3個(緑の矢印@0:43)だったことから、ニッポンヒゲナガハナバチと判明。 


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