2023/06/24

河畔林の溜め糞場にペアで来て排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月中旬・午後22:22 

平地の河畔林にある溜め糞場rvを自動撮影カメラで見張っていると、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)のペアが登場しました。 
♀♂のつがいが行動を共にしている様子が撮れたのは久しぶりです。 
画面の下が北で、左(東)に川が流れています。 
画角内には東西2箇所に分かれて黒々とした溜め糞が落葉の上にあります。 
ニセアカシアの幹に固定したカメラを頻りに見上げて警戒していたタヌキが、溜め糞(東)に跨って排便しました。 
その後は溜め糞(西)の匂いも嗅いでから、北に(下流へ)立ち去りました。 
その間、パートナーは便意を催さなかったようで、すぐに居なくなりました。 


落葉落枝を舐めてミネラル摂取するミドリヒョウモン♀

 

2022年8月中旬・午後12:10頃・晴れ 

鬱蒼とした雑木林を抜ける山道で、横の法面に止まっているミドリヒョウモン♀(Argynnis paphia)を見つけました。 
産卵行動なのかと思いズームインしてみると、口吻を伸ばして落枝の表面を舐めていました。 
ミドリヒョウモンは♂だけでなく♀もミネラル摂取するのです。

関連記事(8年前の撮影)▶ ミドリヒョウモンは♀も土を舐める

羽化直後なのか翅が無傷できれいな♀個体が、半開きの翅を開閉しながらミネラル摂取しています。 
黒いアリ(種名不詳)が近づくと慌てて飛んで逃げ、少し離れた法面の落葉に止まり直しました。 
今度は後ろ姿で口吻が見えないので、撮影アングルを変更しようと私が移動したら、逃げられてしまいました。

2023/06/23

運搬中の喧嘩で落としたオニグルミ堅果を拾いに戻る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月中旬

シーン1:11/18・午後21:15頃・雨 
自動センサーカメラの起動が遅れてしまい、冒頭はカラマツの右横を通って斜面を駆け上がる野ネズミ(ノネズミ)の後ろ姿です。 
おそらくオニグルミの堅果を運んでどこかに貯食しに行くのでしょう。 

しばらくすると(約1分30秒後)、野ネズミaが左からピョンピョン跳ねるように餌場に駆け込んで来ました。 
同時にカラマツの右の斜面を下りてくる別個体bの光る眼が見えます。 
個体aが次に運ぶクルミを餌場で選んでいる間に、個体bはカラマツの背後を通って左斜面の途中でなぜか立ち止まりました。 
この地点で2匹の野ネズミが同時に撮れたのは初めてです。 
今まではてっきり同一個体の野ネズミが繰り返し給餌場に通ってきているのだと思い込んでいましたが、検討し直す必要がありそうです。 
私は未だ野ネズミの種類(アカネズミ/ヒメネズミ)を見分けるのも覚束ないのに、個体識別するのは無理です。 
この後、給餌場で2匹が出会ったら喧嘩するかどうか興味深いところですが、ここでカメラの録画が終わってしまいました。(無念の尻切れトンボ。) 


シーン2:11/18・午後21:30頃 (@0:26〜)
次にカメラが起動したのは12分40秒も経ってからでした。 
雨は止んでいます。
1匹の野ネズミがカラマツの右下の根際で落ち葉の中からクルミを拾い上げると、それを持って斜面を駆け上がりました。 
給餌場ではない所でクルミを見つけたことになります。
この行動をどう解釈するか、悩みどころです。 
一見すると、クルミの貯食場所を変更したように見えます。 
しかし、給餌場からこんなに近い位置に野ネズミが貯食したはずがありません。 
貯食したのなら、もっと落ち葉の下に深く(穴を掘って)隠したはずです。 
私の想像になりますが、前回餌場で出会った2匹の野ネズミが餌場を巡って喧嘩になり(縄張り争い)、運搬途中のクルミをカラマツの根元に落としてしまったのでしょう。 
喧嘩のほとぼりが冷めてから、1匹が落とし物のクルミを取りに戻って来たのではないでしょうか? 
実は別の場所で、そのようなドラマチックな事件の一部始終が監視カメラに写っていました。
関連記事(16日前の撮影)▶ 夜の河畔林でオニグルミ堅果を運搬中に出会った野ネズミ同士が激しい喧嘩【トレイルカメラ:暗視映像】

2匹の♀♂つがいが交互に餌場へ通い、協力してオニグルミ堅果の貯食に励んでいる可能性も考えられます。
それなら給餌場で出会っても喧嘩にはならないはずです。
2匹の野ネズミが餌場でばったり出会ったときの様子が動画に撮れてなかったのが、つくづく残念です。

※ 映像が暗い場合は、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 
※ 画面に表示されている気温は異常値で信頼できません。暗視動画の連続撮影でカメラ自体が発熱してしまっているからです。 



スズメ(野鳥)に狙われたイモムシ(蛾)の正体は?

2022年6月下旬・午後12:30頃 

河川敷の遊歩道で私が近寄っても逃げないスズメPasser montanus)がいました。
どうやら、近くの路上に居たイモムシを捕食しようとしているようです。 (映像は割愛)
捕食シーンを動画で撮れるかもしれないと期待して、一旦少し離れて見守ることにしました。 
しかし、警戒したスズメは結局イモムシを捕食しないで飛び去りました。 

側面
腹面
頭部正面(顔)
採寸

難を逃れたイモムシを調べてみましょう。 
尾角があるのでスズメガの仲間だろうと思うのですが、こんな地味な色の幼虫は見たことがなく、名前が分かりませんでした。 
土で汚れてこんな色になってしまったのですかね? 
炎天下の舗装路で熱せられた上にスズメに狙われ、ぐったりと衰弱していたので、成虫まで飼育するのは無理だと判断しました。 

いつもお世話になっている「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」にて問い合わせてみたところ、常連のYAMKENから以下の回答を頂きました。
スズメガ科ウチスズメ亜科のいずれかと思われます。 この子は前蛹状態にいるようで本来の色模様は変わってしまっているので確定はできませんが前蛹状態でも頭と尾角の形状的な特長は残っており食餌植物が河川敷に多いことから トビイロスズメ が一番候補と思われますが・・・・。
なるほど、前蛹になると変色(退色)するのですね。 
スズメガ類の飼育経験が浅い私には、思いもよりませんでした。 
第一候補のトビイロスズメClanis bilineata tsingtauica)と言えば、確かにこの川の流域で過去に終齢幼虫を見つけています。(成虫は未見。) 

関連記事(3年前の撮影)▶ トビイロスズメ(蛾)の幼虫を見つけた!
 

山道を歩いて横切るコブヤハズカミキリ

 

2022年7月下旬・午後14:40頃・くもり 

里山の尾根道(雑木林の樹林帯)でコブヤハズカミキリMesechthistatus binodosus binodosus)が山道を横断していました。 
断片化した落ち葉や落枝に覆われた山道を休み休み歩いています。 
最後は道端の草むら(枯れ草)に潜り込みました。 

コブヤハズカミキリはゴツゴツしていて見栄えがよく、私の好きなカミキリムシのひとつです。 
本種は後翅が退化して飛べないため、行動のバリエーションが乏しい点が物足りません。 
動画ブログのネタとして取り上げるには何か新しい展開が欲しいところです。 
例えば、木登りは得意なのでしょうか? 
以前、一度だけ幼木の葉の上で見つけたことがあります。 
飛来して葉に着陸したのではないとすると、地面から登って辿り着いたことになります。

関連記事(13年前の撮影)▶ ホオノキの葉に乗ったコブヤハズカミキリ

成虫の後食メニューも気になります。 
ネット検索で調べてみると、なんと枯葉を後食するらしい。 
枯葉なら何でも食べてくれるのであれば、飼育すれば観察できそうです。 
♀♂ペアで飼育すれば、交尾行動も見れるかもしれません。

2023/06/22

晩秋のスギ林道で深夜に鳴きながら♪餌を探し歩くニホンイノシシの家族群【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月中旬 

里山のスギ林道でタヌキの溜め糞場sを自動センサーカメラで見張っていると、約1ヶ月ぶりにニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が登場しました。 
しかも家族群(母子)が一晩で2回も写っていました。 


シーン1:11/15・午前1:12 
カメラの起動が少し遅れてしまい、幼獣aが林道を右へ立ち去るところでした。 
すぐ後に母子が左からやって来ました。 
成獣♀が先導し、幼獣bがその後を付いて歩きます。 
落ち葉に覆われた林道の匂いを嗅ぎながら右へ立ち去りました。 
3頭のイノシシ家族群は、タヌキの溜め糞には近寄りませんでした。 
耳を澄ますと、イノシシの群れは重低音でブーブー(フゴフゴ)と鳴き交わしていました。(コンタクトコール♪なのかな?) 

イノシシの母子を比べると、幼獣の体格は成獣♀に劣るものの、体毛の縞模様は無くなっていました。 
もう「ウリ坊」とは呼べませんね。 


シーン2:11/15・午前3:50頃(@0:43〜) 
約2時間半後、今度は逆に林道を右から登場しました。 
同じ家族群が引き返してきたのでしょうか? 
今回は3頭ともに幼獣でした。 
先行する母親(成獣♀)を撮り損ねてしまったのか、あるいはカメラの死角(手前の林道端)を通り過ぎたのかもしれません。 
ブーブー♪と鳴き交わしながら、林道に散乱する落ち葉を鼻でかき分けて餌を探し歩いています。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。




溜池で単独打水産卵するシオカラトンボ♀?

 



2022年8月上旬・午前10:30頃・晴れ  

大雨が降った後で満水になった溜池でカワウPhalacrocorax carbo hanedae)を撮影していると、右から白っぽいトンボが飛来しました。 
水面スレスレの低空飛行でやって来たトンボが水面に浮く草に腹端をチョンと付けて飛び去りました。 
産卵行動のようです。 
すぐにまた戻って来て、同様の産卵をあちこちで繰り返します。 
水面そのものではなく、水面に浮く植物に狙いをつけて卵を産み付けていることから、正確には単独打水産卵とは呼べなさそうです。  

このトンボ♀の名前は何でしょう?
やや遠くてしっかり見えなかったのですが、腹部が白いトンボと言えばシオカラトンボOrthetrum albistylum speciosum)ですかね? 
しかし、シオカラトンボ♀の腹部は茶色い麦わら模様のはずです。 
 図鑑『日本のトンボ』でシオカラトンボの産卵様式について調べると、一応合致します。

・♀は単独で、腹端で水をかき、卵とともに前方に飛ばす。♂はその間、付近を飛んで警護することが多い。 
・時おり♂型の♀が出現する。通常の♀も老熟すると薄く白粉を吹くが、それとはまったく異質のもの。 (p471より引用)

我田引水ですが、今回の産卵個体は♂型の腹部全体が白いシオカラトンボ♀だとすれば説明できそうです。 
ただし、産卵する♀の周囲で警護する♂の姿は見当たりませんでした。

池の水面をのんびり遊泳するカワウは、単独打水産卵するトンボには目もくれませんでした。 
魚食性のカワウがトンボを獲物として認識しないのは、当然でしょう。 

2023/06/21

秋雨の降る夜にオニグルミ堅果を給餌場から持ち去る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月中旬 

野ネズミ(ノネズミ)に3回目のクルミ給餌実験をした結果です。 


シーン0:11/17 里山の斜面に立つカラマツの根元にオニグルミの堅果を新たに40個まとめて置きました。 
その日のうちに悪戯好きなニホンザル♀が通りかかり、山盛りにしたオニグルミを崩してしまいした。 
しかし猿はクルミを食べたり持ち去ったりしなかったので、1個も減っていないはずです。
関連記事 ▶ 餌場に置いたオニグルミ堅果に悪戯するも食べずに去る若いニホンザル【トレイルカメラ】

シーン1:11/18・午後20:29・気温6℃・(@0:07〜) 
野ネズミが給餌場に現れたのは、翌日の晩になってからでした。 
下の斜面にオニグルミの堅果が散乱したままになっています。 
昼行性のリスが拾いに来るかと期待したのですが、どうやら現れなかったようです。 

冷たい秋雨がぱらつく夜に、野ネズミは餌場で選んだクルミの殻の表面にこびりついていた果皮 を毟り取っていました。 
ようやく咥えやすくなったクルミを画面の下方に持ち去りました。 
しばらくすると(1分25秒後)、貯食を済ませた野ネズミが斜面の下から餌場に戻ってきました。 
今度は餌場の下の斜面に転がっていたクルミを選び、右下に運び去りました。 


シーン2:11/18・午後20:34・(@0:45〜) 
これ以降は、トレイルカメラの取得した気温データは信頼できません。 
赤外線の暗視動画を連続で撮影すると、カメラ自体が発熱して気温が異常値を示すからです。 
餌場でクルミを選ぶと、下の斜面に運び去りました。 
しばらくすると(約1分20秒後)、貯食を済ませた野ネズミが斜面の下からピョンピョン跳んで餌場に帰ってきました。 
次もクルミを1個、下に持ち去りました。 
画面の下端で立ち止まったのは、持ちにくいクルミをくるくる回して咥え直したのでしょう。


シーン3:11/18・午後20:43・(@1:34〜) 
カメラの起動が遅れたようで、野ネズミがカラマツの右横を通って斜面を駆け上がる後ろ姿しか撮れませんでした。 
持ち去ったクルミを隠す場所をときどき変えています。 
しばらくすると(約1分20秒後)、貯食を済ませた野ネズミが斜面の上から駆け下りて来ました。 
カラマツの左側を通って餌場に到着。 
クルミ堅果にこびりついていた果皮を齧り取ってはその場に吐き出しています。 
重労働のため少しでも荷物を軽量化したいのでしょう。
私がオニグルミ堅果を拾い集めた際に予め果皮も取り除いたつもりだったのですけど、 不十分だったようです。
逆に、果皮が付いたままのオニグルミ果実を丸ごとそのまま与えて、野ネズミの皮剥き行動をしっかり観察するのも面白そうです。
選んだクルミを持ってカラマツの左を通り斜面を駆け上がると、姿を消しました。 


シーン4:11/18・午後20:50・(@2:11〜) 
またもやカメラの起動が間に合いませんでした。 
2分間の動画撮影直後の5秒間の休止中に野ネズミが餌場に戻ってきたと推測されます。 
カラマツの右横を通って斜面をジグザグに駆け上がる野ネズミの後ろ姿が写っていました。 


シーン5:11/18・午後20:53・(@2:24〜) 
給餌場に来た野ネズミがクルミの表面を加工してから、下に運び去りました。 


シーン6:11/18・午後20:55・(@3:04〜) 
餌場で選んだオニグルミを咥えてカラマツの根元を右に回り込み、斜面を駆け上がりました。 


シーン7:11/18・午後21:00・(@3:31〜) 
餌場でクルミを選ぶと、前回と同ルートで斜面を駆け上がりクルミを持ち去りました。 
2分間の撮影時間内に野ネズミが戻って来ないということは、貯食場所が少し遠いのでしょう。 


シーン8:11/18・午後21:03・(@4:00〜) 
野ネズミが給餌場でクルミを選んでいる間に、夜行性の冬尺蛾♂が飛来し、左から右へ横切りました。 
雨が降っていても元気に飛び回るのですね。 

野ネズミはクルミを持って今度は左下へ。 
しばらくすると(約1分10秒後)、貯食を終えた野ネズミが左下から餌場に直帰しました。 
餌場の下の斜面に転がっていたクルミを見つけて表面を加工している間に録画終了(尻切れトンボ)。 


シーン9:11/18・午後21:10・(@4:58〜) 
餌場からクルミを咥えて右下へ。 


シーン10:11/18・午後21:33・(@5:22〜) 
右から餌場に戻って来た野ネズミが、クルミを持って今度は右の斜面を駆け上がりました。 


シーン11:11/18・午後21:58・気温10℃(@5:44〜) 
撮影間隔がだいぶ開いたので、野ネズミはどこか安全な場所で休憩(食餌?)していたようです。 
再び雨が降っています。 
カメラの起動が間に合わず、野ネズミがカラマツの右横を通って斜面を駆け上がる後ろ姿しか写っていませんでした。 


シーン12:11/18・午後22:08・(@5:54〜) 
餌場直下の斜面で野ネズミがクルミを探しています。 
見つけたクルミの表面を加工(果皮を除去)してから左に持ち去りました。 


シーン13:11/18・午後22:14(@6:22〜) 
野ネズミが餌場直下の斜面でクルミを探し回り、落ち葉の下からようやく最後の1個を発見しました。 
林床の落ち葉に隠れて肝心の口元が見えませんが、堅果を覆っていた果皮をその場で念入りに取り除いているようです。 
表面の加工にしてはあまりにも時間がかかり過ぎているので、もしかするとオニグルミの堅い殻に歯で穴を開けて食べ始めたのでしょうか? 
いくら餌場に慣れてきたとは言え、果たして危険な野外で食餌するかな?(油断大敵) 
最後は毛繕いをしています。 

野ネズミは冷たい雨に濡れても低体温症にならず、元気に活動を続けています。 
働き者の野ネズミは、たった一晩で餌場のクルミを全て持ち去りました。 

※ 映像が暗い場合は、動画編集時に自動色調補正を施しています。 




4日後に給餌場を現場検証すると、オニグルミの堅果を全て持ち去られた後の地面に黒い果皮が多数残されていました。
野ネズミが歯でオニグルミの果皮を細長い筋のように剥いて捨てた跡です。



ベッコウバエの婚活パーティーで独身♀に求愛しても振られ続ける「あぶれ♂」(交尾拒否)

 



2022年11月上旬・午後12:05頃・くもり 

腹部の色で性別をかんたんに見分けることができるベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)は、配偶行動の観察に向いています。 
腹部が黒光りしているのが♀で、黄金色の毛が密生しているのが♂です。 

少し時間を置いたら、逃げていたベッコウバエ♀♂がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dに多数戻って来ました。 
複数のベッコウバエ♀がタヌキの糞を舐めています。 
独身の「あぶれ♂」が翅を小刻みに開閉しながら交尾相手♀を求めてうろついています。 
性比は珍しく♀の方が多くて、♂にとっては夢のハーレム状態(交尾し放題)のはずです。
ところが、あぶれ♂が近くに居る単独♀に次々に飛び乗って求愛・マウントしても、なぜか連戦連敗です(ふられ続ける)。 
早い者勝ちの♂が♀の背に乗って配偶者ガードしている訳でもないのに、単独♀が単独♂の求愛を断るのは不思議です。 
交尾済みの♀は2度と交尾しないのでしょうか? 
それなら♂が♀を交尾後ガード(配偶者ガード)する必要はなくなります。
それとも♀は交尾相手の♂を厳しく品定め・選り好みしているのでしょうか? 
♀が同意しなければ♂がマウントしても交尾は成立しません。

あぶれ♂に度重なる求愛を受けても(セクハラ)、♀は嫌がって逃げたりしないで、落ち着いて吸汁を続けています。 
交尾拒否すればあぶれ♂が紳士的に諦めてくれるので、安心できるのでしょう。 
しかし、ベッコウバエ♀が交尾拒否する意思表示法が私には分かりません。 
♂にマウントされた♀が腹端を下に屈曲するのが交尾拒否なのかな? 
たとえば♂にマウントされた♀が胸部の飛翔筋を高速で動かして、体の振動で♂にお断りの合図を出しているのかもしれません。 
高性能のマイクを溜め糞に仕込めば、かすかな羽音も聞き取れるはずです。 

♀も脚を持ち上げて広げることで、隣の♀が近づかないよう牽制しています。
しかし「あぶれ♂」は♀から足蹴にされないよう前後から求愛アプローチしてマウントを試みます。

次はベッコウバエ♀の産卵行動を観察したいものです。




2023/06/20

晩秋の河畔林を未明にうろつくニホンイタチ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年11月中旬・午前5:58・(日の出時刻は午前6:13) 

河畔林でタヌキの溜め糞場rvを自動撮影カメラで監視していると、夜明け前にニホンイタチMustela itatsi)が登場しました。 
林床に転がっている落枝や、ニセアカシアの根元の匂いを嗅ぎ回っています。 
獲物となる野ネズミの残り香を探っているのでしょう。 
タヌキの溜め糞には興味を示しませんでした。

カメラの存在には気づかず左に(川辺のコンクリート護岸へ)立ち去りました。 
今回ようやくイタチの姿がはっきり撮れました。 


関連記事(5ヶ月前、1年前の撮影)▶  


オカトラノオの葉を舐めるキマダラセセリ♀

 

2022年7月下旬・午後15:40頃・晴れ 

里山の急斜面をジグザグに登る山道に沿ってオカトラノオが白い花を咲かせています。 
キマダラセセリ♀(Potanthus flavus)がオカトラノオに訪花するのではなく、葉の上に乗っていました。 
翅を半開きで日光浴しているのかと思いきや、ズームインしてみると、乾いた葉の表面を口吻で舐めていました。 
オカトラノオの葉に花外蜜腺があるという話は聞いたことがありません。 
アブラムシの甘露が葉に付着しているようにも見えませんでした。 
前日から朝にかけて降った雨の水滴がわずかに残っていたのでしょうか? 
ミネラル摂取の行動なのかな? 

カメラを上にパンしてオカトラノオの花穂を記録している間に、キマダラセセリ♀は飛び去ってしまいました。 
背後ではなく側面から撮れたら良かったのですが、贅沢は言えません。

2023/06/19

秋のスギ林道で落ち葉を拾い集める野ネズミの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月中旬 

自動センサーカメラを設置したスギ林道に夜な夜な現れる野ネズミ(ノネズミ)が興味深い行動を始めました。 

シーン1:11/14・午後19:40・(@0:00〜) 
林道をうろちょろ探索していた野ネズミが、目の前の落ち葉(の欠片?)を咥えて右に持ち去りました。 
食料としての価値はありませんから、貯食ではなく、おそらく巣材にするのでしょう。 
ということは、近くに巣穴があるはずです。 
他の季節では見られない行動なので、冬ごもりのための断熱材がたっぷり必要なのでしょう。
俄然、面白くなってきました。 


シーン2:11/14・午後19:57・(@0:18〜) 
約15分後に、野ネズミが再び登場。 
画面の下端で小さな落ち葉を拾うと、口に咥えて右に運んで行きました。 

林道上に積もっているのはスギの落ち葉がメインですが、ホオノキの大きな落ち葉も目立ちます。 
画面の左上の奥に自生するホオノキ(落葉性広葉樹)の大木から大量に落葉しているのです。 
ただし、ホオノキの落ち葉を丸ごと運ぶのは野ネズミにとって大き過ぎます。
野ネズミの巣材は落ち葉なら何でも良いという訳ではなく、かなり選り好みしている様子です。 
チクチクした肌触りのスギ(針葉樹)の落ち葉には目もくれません。


シーン3:11/15・午後17:00・(@0:38〜) 
日の入り時刻は午後16:31。 
翌日の日没後にも野ネズミが現れました。 
目的地を目指した素早い移動と異なり、ゆっくりしたランダムウォークで林道上を探索しています。 
画面の下で目の前の落ち葉から何かを咥え上げたものの、気に入らなかったようで、すぐに捨てました。 
前日と同じく巣材集めをしているようです。 





最後は何かに驚いたのか、慌てて林道を横切り、奥の下り斜面へ一目散に走り去りました。 

※ 映像が暗い場合には、動画編集時に自動色調補正を施しています。 



晩秋にトビを擬攻撃してから♂と擬交尾するハシボソガラス♀(野鳥)

 

2022年11月中旬・午後15:55頃・くもり 

田園地帯の電線にトビMilvus migrans)とハシボソガラス♀(Corvus corone)が並んで止まっていました。 
カラスが強風に乗ってふわりと飛び上がり、トビの横に止まり直しました。 
トビに対して明らかに嫌がらせ・牽制しています。 
繁殖期ではないのに、カラスは猛禽に軽くモビング(擬攻撃)して縄張りから追い出そうとしているようです。 
しかし、このトビは強気で、カラスにモビングされても動じません。 

トビへのモビングを諦めたハシボソガラス♀は、左下の電線に滑空して飛び移りました。 
電柱に何か黒い箱状の器具が取り付けてあり、そこからケーブル(針金、電線)2本が上下の電線に伸びて繋がっています。 
そのケーブルの末端(黒いビニールテープ?)にカラスは興味を示し、嘴で被覆をほどこうとし始めました。 
逃げないトビへの苛立ち(欲求不満)を鎮めるための転移行動かもしれません。
電線の被覆を剥がそうとしているのなら重大な問題です。 
感電事故になるのではないかと心配しながら見守っていると、カラスは諦めて電柱の足場ボルトにヒョイと飛び乗りました。 
どうやら、このハシボソガラス♀個体はとにかく飽きっぽいようです。 
(私がしつこくカメラを向けているせいで集中できないのかな?) 

足場ボルトから白い液状便をポトリと排泄してから(@1:17〜)、カラスは左下に飛び降りました。 
波状に滑空すると、刈田に着陸しました。 
刈田で採食していたパートナーのハシボソガラス♂と合流すると、♀は♂の横で身を伏せました。 
♂は頭を上下にしゃくりあげるように動かしながら鳴いて、飛来した♀に挨拶しました。 
(やや遠い上に風切り音のせいで、カラスの鳴き声は聞き取れませんでした。) 
つづけてハシボソガラス♂が♀の背に乗りました! 
♂にマウントされた♀は身を伏せたまま嬉しそうに尾羽根を左右に振り、♂を見上げました。 
カラス同士がニホンザルのように上下関係を決めるためにマウントする(優劣行動)という話は聞いたことがありません。
晩秋に交尾するペアを初めて見た私はビックリ仰天しました。 
そもそもカラスの交尾期は初春です。

関連記事(1年前の撮影)▶ 巣材を運ぶ途中で交尾するハシブトガラス♀♂のつがい(野鳥)

映像を見直すと総排泄孔を互いに擦り付けなかったので、本当の交尾行動ではないようです。 
♀♂つがいの絆を深めるために儀式的な疑似交尾をしたのでしょう。 
相互羽繕いなどの前戯はありませんでした。 
私はカラスの性別を外見から見分けられませんが、擬交尾した時点で行動から性別が判明しました。 
今回は♀が疑似交尾を求めて、パートナー♂の真横に舞い降りたことになります。 

短い擬交尾の後で♂が♀の背中から下りると、ペアは少し離れました。 
♂が再びマウントしようと♀の背に左足を掛けたら、♀は嫌がって逃げました。 

その間も冒頭のトビは電線に止まったままで、周囲の刈田を見回していました。 
胸の羽毛が白くなく、尾羽根に三角の切れ込みがあることから、ノスリではなくトビと見分けられます。 (開いた翼の下面を見るまでもない) 

手前の里山は紅葉しているものの、標高の高い遠くの山並みはうっすらと冠雪していました(初雪)。 

2023/06/18

秋の溜め糞場で虫を捕食しながら排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月中旬・午後20:58 

里山のスギ林道にある溜め糞場sで、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右を向いて(南向き)脱糞していました。 
驚いたことに、この個体は排便しながら落ち葉に鼻面を突っ込んでムシャムシャと何かを食べました。 
まさか食糞性ではないと思うので、溜め糞場に来ていた虫を捕食したのではないかと推測します。 


キノコを食べた可能性もありますかね? 
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶  
スギ林道に生えたスギエダタケ(キノコ)を採集してみる 
スギ林道の溜め糞場に生えたキノコはイバリシメジ?エセオリミキ?

いずれにしても、ホンドタヌキは食物連鎖で自分たちの糞を間接的に食べていることになります。
高速で起動する新機種のトレイルカメラで撮っていたらタヌキの採食メニューを突き止められたかもしれず、残念でした。
溜め糞場にて入出力を済ませたタヌキは、右に走り去りました。 


交尾中のベッコウバエ♀♂に繰り返しアタックするハクサンベッコウバエ♂の謎(誤認求愛? 縄張り争い?)

 

2022年11月上旬・午前11:45頃・くもり 

山林の小径に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dには、ベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)だけでなくハクサンベッコウバエNeuroctena analis)も少数ながら来ていました。 




イタヤカエデの黄色い落ち葉の上で交尾を始めたベッコウバエ♀♂の背後にハクサンベッコウバエ♂が飛来しました。 
私には外見でハクサンベッコウバエの性別を見分けられませんが、その後やった行動から♂と思われます。 

翅を半開きにして交尾しているベッコウバエ♂の背後からハクサンベッコウバエ♂が忍び寄り、いきなり跳びつきました! 
ハクサンベッコウバエ♂が別種の♂に対して誤認求愛してしまったのでしょうか? 
同じベッコウバエ科ですが、別種で体格も異なります。 
ハクサンベッコウバエ♂の眼には、巨大な同種♀が近くに居るように見えて、その魅力に抗えずに求愛してしまうのかもしれません(超正常刺激)。 
しかしハクサンベッコウバエ♂は相手に触れた瞬間に間違いに気づいたらしく、すぐに離れました。 

背後から不意打ちを食らったベッコウバエ♂は、直ちに左右の前脚を大きく開いて持ち上げ、交尾相手の♀を奪われないように撃退・牽制の姿勢になりました。(配偶者ガード) 
衝撃に驚いたベッコウバエ♀は、同種♂を背負ったままイタヤカエデの落ち葉から前進して溜め糞の上に移動すると、口吻を伸ばして吸汁し始めました。 

驚いたことに、逃げたベッコウバエ♂に対してハクサンベッコウバエ♂が再び背後から飛びかかりました。 
ベッコウバエ♂は翅を斜め上に持ち上げ、前脚を高々と上げて、撃退ポーズを取ります。
(翅を震わせてリリースコール♪を発していたら面白いのですが、それは無さそうです。) 
ベッコウバエ♂の翅先に乗ったハクサンベッコウバエ♂は、自らの誤認に気づいて離れました。 
翅の黒い斑点模様がベッコウバエに特有のトレードマークです。
それを見れば明らかに別種だ(ハクサンベッコウバエではない)と気づくはずなのに、ハクサンベッコウバエ♂は懲りずに同じ相手に誤認求愛を繰り返しています。 
学習能力が全くありません。
薄暗い林床では視覚による認識がおぼつかなくなり、誤認が増えるのかな? 

もしも配偶者ガードするベッコウバエ♂が居なかった場合、体格の小さなハクサンベッコウバエ♂が、体格の大きな異種のベッコウバエ♀に誤認したまま交尾を挑むことがあり得るのでしょうか? 
だとすれば、異種間の繁殖干渉ということになります。 

秋の溜め糞場で最も興味深く、興奮した事件でした。
訳が分からないので、頭をひねって別の仮説をひねり出しました。 
ハクサンベッコウバエ♂は溜め糞の横で交尾相手の同種♀が飛来するのを待ち伏せしているはずです。 
今回見られたハクサンベッコウバエ♂の行動は、集団お見合い場となっている溜め糞からライバルを追い払う占有行動なのでしょうか? 
体格差をものともせずにベッコウバエに何度も飛びかかるハクサンベッコウバエは相当な闘士(ファイター)です。 
繰り返しアタックされたベッコウバエは確かにタジタジで少し離れて行きました。
それにしても、別種であるベッコウバエをライバルとみなす意味が分かりません。 

ハクサンベッコウバエ♂の同種♀への求愛が成就して交尾に至る過程を未だ観察できていないので、それが今後の課題です。 


英語版wikipediaには同属近縁種(Dryomyza anilis)に関する解説ページが立項してあり、交尾行動についても詳しく書かれていました。

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