2015/12/19

網にかかったイチモンジセセリを捕食するアカオニグモ♀(蜘蛛)



2015年9月下旬・午前7:11〜7:15

アカオニグモ♀の定点観察#9


近くで見つけたイチモンジセセリParnara guttata)の翅を指で摘んで捕獲しました。
逃れようと激しく暴れます。
これをアカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)の垂直円網下部に付けてやりました。
粘着糸から逃れようと激しく暴れる蝶の振動を信号糸で感知したクモが隠れ家から直ちに駆けつけました。
噛み付いて毒液を注入すると、獲物のイチモンジセセリはすぐに動かなくなりました。
クモは捕帯でラッピングせずに、網から外した獲物を咥え、甑を経由して隠れ家へ運びます。
タニウツギ葉裏の隠れ家に獲物を糸で固定する前にラッピングしました。(捕帯を使用?)
隠れ家でゆっくり捕食します。
このアカオニグモ♀はとても用心深く、円網の甑に占座して身を晒すことは避け、昼も夜も常に隠れ家で身を潜めています。

つづく→#10:垂直円網から異物を除くアカオニグモ♀(蜘蛛)

以下の写真は、イチモンジセセリを給餌する直前に撮った垂直円網と隠れ家の主です。

音叉を網につける実験を繰り返し粘着糸から引き剥がした後なので、網が少しだけ壊れています。


2015/12/18

音叉でアカオニグモ♀(蜘蛛)を騙せるか?



2015年9月下旬・午前6:24

アカオニグモ♀の定点観察#8


徹夜の観察を終えた私は荷物や機材を片付けて帰りかけたのですが、気温が上がってレンズの結露が乾きカメラが復活したので現場に引き返しました。
今までの経験上、次回に来るまでアカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)が無事で居る保証はないので、撮れるときに貪欲に撮っておかないと後悔することが身に沁みて分かっています。

楽器のチューニングで使う音叉(A-440Hz)を使った簡単な実験をこの機会に試してみることにしました。
『クモの巣と網の不思議:多様な網とクモの面白い生活』p82によると、

虫が300〜700ヘルツの振動を出すとき、クモはエサとして反応します。吹奏楽やオーケストラの音合わせに使われるA音の高さの音さは440ヘルツですからこの範囲に入っています。音さを網糸に触れると、クモを導き出すことができます。

映像の冒頭でクモはタニウツギの葉裏に作られた隠れ家に潜んでいます。
音叉を鳴らして垂直円網にそっと触れてみます。(明るい昼間は網がうまく写りません。)
ところが初めアカオニグモ♀は全く無反応でした。
クモの反応が鈍いのは余り空腹でないからでしょうか?
配偶行動と産卵の使命がある♀は、未知の信号に対して慎重になるのかな?
しつこく実験を繰り返すと(四度目の正直)、ようやく隠れ家から飛び出してきました。
音叉の振動がすぐに減衰してしまうためか、近くまで来ても音叉に噛み付いたり捕帯によるラッピング行動を解発するには至りませんでした。
歩脚でしばらく音叉に触れて獲物ではないと見破ったクモは、そそくさと隠れ家に戻ってしまいました。

私が慣れていないだけで、実験のコツが何かあるのかもしれません。
音叉を網に触れながら繰り返し鳴らす工夫があれば上手くいきそうなのですが、網を壊してしまいそうです。
持続的な振動を与えるために電動歯ブラシを試してみる?

つづく→#9:網にかかったイチモンジセセリを捕食するアカオニグモ♀(蜘蛛)



カシノシマメイガ(蛾)の求愛と交尾拒否



2015年9月中旬

カシノシマメイガの飼育記録#3


ガレージで片端から捕獲したカシノシマメイガ♀(Pyralis farinalis)を計17頭、容器に閉じ込めました。
なかなか配偶行動を見れなかったのですが、この日ようやく交尾拒否行動を観察できました。(時刻は夜20:20。)
幼虫の餌(産卵基質)として与えた白米の上に♀は静止しています。
その背後から♂がマウントしようと腹部を屈曲しています。
プラスチックの容器越しに接写しながら慌てて補助照明(白色LEDのUSBリングライト)を点灯したら、♂が興奮したようにその場で激しく羽ばたき始めました。
この羽ばたき行動は、照明の有無
とは無関係な求愛行動なのですかね?
静止したままの♀は交尾に非協力的です。
閉じた翅で腹端を隠している上に、腹端を♂から遠ざけていますから、明らかに交尾拒否してますね。
おそらく♀が腹端を持ち上げてくれないと交尾器を結合できないと思われます。
♂は求愛しながらゼンマイ状の口吻を伸縮していました。※
そのまま交尾に至らず、このペアは別れました。
その後はしばらく見守っても何事も起こりませんでした。
この♀はすでに交尾を済ませているのか、それとも♂を選り好みしているのでしょうか?
♀が羽化してから性成熟するまで日数がかかるのかもしれません。

※ 成虫の口吻が退化したノシメマダラメイガとは違い、カシノシマメイガは成虫でも餌を必要とするようです。
飼育下で成虫の餌を提供すればもっと盛んに交尾・産卵してくれるのでしょうか?
野外でカシノシマメイガの訪花シーンを見たことがないのも不思議です。(インターネットで画像検索してもヒットしない)
ひょっとして樹液に来るのかな?

本種は触角の形状に性差はあるらしいのですが、いまいち私には外見で見分けられません。

触角♂は微毛状, ♀は糸状. 一般に♂は小さく, ♀は大きいが, 大きさの変異は著しい.(DMOTHサイトより)



以下は標本写真(触角と口吻、♂の翅裏の基部)。

つづく→#4






2015/12/17

隠れ家に不規則網を張るアカオニグモ♀(蜘蛛)



2015年9月下旬・午前6:08〜6:10

アカオニグモ♀の定点観察#7


垂直円網を張り終え隠れ家に篭ったアカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)は、タニウツギ灌木の葉裏に不規則網を張って隠れ家を整えています。
じっくり微速度撮影すればそれなりに面白そうです。
例えば、不規則網だと思ったのは私の観察眼が未熟なだけで、実は何かしらの秩序や構造があるのかもしれません。
しかし、朝露でレンズが結露して撮影に支障を来したので、一気にやる気を失いました。
(生憎、レンズのクリーニングキットを持参していなかったのです。)

しばらくするとクモは葉裏に静止しました。
歩脚の先で信号糸に触れているようです。
腹部がほんのり赤く色づいています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#8:音叉でアカオニグモ♀(蜘蛛)を騙せるか?



早朝のキジバト(野鳥)ペア



2015年9月中旬・午前5:32

早朝に出会ったキジバトStreptopelia orientalis orienralis)です。
つがいなのか、2羽が郊外の電線に並んでいました。
カメラを警戒して相次いで飛び去り、遠くの道端に着陸しました。
日の出時刻は5:24。

【追記】
『スズメの少子化、カラスのいじめ:身近な鳥の不思議な世界』p142によると、キジバトの襟の部分にある縞模様があれば成鳥で、無ければ幼鳥。
英語の慣用句でa pair of turtledoves は仲睦まじいカップルの意味。




2015/12/16

完成した垂直円網の甑を処理するアカオニグモ♀(蜘蛛)



2015年9月下旬

アカオニグモ♀の定点観察#6


徹夜で垂直円網を張っていたアカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)の最終工程です。
最後の観察ポイントであるこしき(円網の中央)の処理を記録するために、同時にカメラ2台で網の両側から撮りました。(5:51〜6:08)
午前6:13に測った気温は9.3℃。
横糸を張る様子は6倍速の早回し映像にしています。

まずはクモの腹側から手持ちビデオカメラ撮影した映像を紹介します。
クモの腹面から見ると反時計回りの螺旋状に横糸を張っています。
やや遠くて斜めのアングルのため、外雌器や垂体の状態は確認できませんでした。
横糸を張り終えた円網で下向きに占座したクモが余分な糸を噛み切り、網の中央に円形の穴を開けました。
つづいて回転しながら穴の縁を糸で綴ります。
これで完成ですが、クモは甑から信号糸を張りながら隠れ家へ戻りました。
アカオニグモは昼間も獲物がかかるまで甑で待機しません。
日中は野鳥やクモバチなどの天敵に襲われるリスクを避けるために、隠れ家に潜んで過ごします。
もし獲物が網にかかれば、その振動が信号糸を伝わって届く仕組みになっていて、すぐに駆け付けられるのです。

次の映像は、同じ工程を逆にクモの背側から三脚固定カメラで撮影したものです。
午前5:56から急にレンズが曇り始めました。
朝露が結露したことに気づかず撮影を続けましたが、こんなトラブルは想定外でした。

すぐ横を流れる用水路のせいで湿度が高いのだと思いますが、目に見えるほどの朝霧が発生した訳ではありません。
カメラをずっと外気に晒していても、突然レンズに結露することがあるのですね。
レンズフードを装着していれば多少は結露を防ぐ効果があるそうです。


鏡筒に巻いてレンズを温めるための専用の電気ヒーターが市販されているそうです。
ホッカイロがあれば応急処置ができたのかもしれません。
(参考サイト:星空撮影時の結露対策
※ この部分は見苦しいので動画編集時に自動色調補正を施しています。



レンズが乾くまで使い物にならず、完成直後の垂直円網の写真がうまく撮れませんでした。
完成した垂直円網の大きさを測ると、直径約30cm。
網上端の水平(よりやや斜め)に張られた枠糸の長さは83cm。
その枠糸の左端はタニウツギの葉裏(隠れ家)に固定されており、その高さは地上85cm。
逆に右端はヨモギの花穂に固定されており、その高さは地上60cm。

徹夜の撮影は大変でしたが、アカオニグモが造網する一部始終を見届けることができて、感無量です。

つづく→#7:隠れ家に不規則網を張るアカオニグモ♀(蜘蛛)



準備運動するヒトリガ(蛾)の羽ばたき【ハイスピード動画】



2015年9月中旬

郊外の路上で見つけたヒトリガArctia caja phaeosoma)。
頻りに羽ばたいていますが、なぜか飛び立つ力が無いようです。
日中の日向なので、気温は充分に高いはずです。
路上を歩き回るのではなく、その場で自発的に羽ばたいていました。

翅を半開きで、派手な後翅も見える状態です。
前翅の派手な斑模様はいつ見てもキリンを連想します。




『ヤマケイポケットガイド9:チョウ・ガ』p260によれば、ヒトリガの派手な後翅は、鳥などの捕食者を驚かすための非常用で、翅の斑紋は変化に富むらしい。

後翅を指で広げてみました。
ついでに体を裏返したら自力では起き上がれません。
下面は体も翅も毒々しい橙色でした。
擬死状態になり(死んだふり)、指を差し出しても脚でしがみついてきません。
元通りにひっくり返してやると翅を閉じた状態になりました。
再び激しく羽ばたき始めましたが、依然として飛び立てません。

準備運動してから飛び立ちそうな予感がしたので240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。(@2:09〜)
スロー映像で見ると、前翅と後翅を一緒に羽ばたかせていることが分かります。
残念ながら羽ばたきの勢いが収まってしまい、飛んでくれず拍子抜けしました。



2015/12/15

夜明けに垂直円網の横糸を張るアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015年9月下旬

アカオニグモ♀の定点観察#5


アカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)が横糸を張る様子を赤外線の暗視カメラでひたすら撮り続けます。
後半になってようやく初めて一周しました。
それまでは時計回り→反時計回り→時計回り…と回転の向きを変えながら振子運動のように横糸を張っていました。
これは決してクモの気紛れではなくて、円網と言いつつも厳密には正円ではなく下部が広いので何度も折り返さないと密に横糸を張れないのだと理由が分かりました。
最後はクモの背面から見て時計回りのまま螺旋状に横糸を張り続けます。
横糸を張る回転の向きを途中で何度も変えるのは、4年前に観察した個体でも同じでした。

▼関連記事
垂直円網に横糸を張るアカオニグモ♀(蜘蛛)
営巣地の横の地面で測定した気温は午前4:56で8.6℃、5:12で8.5℃、5:46で9.1℃でした。
夜が明けて明るくなると(日の出時刻は5:25)、暗視カメラでは逆に撮りにくくなりました。(肝心の網や糸が見えにくくなりました)
仕方がないのでビデオカメラの白色LEDを点灯しました。
もはや照明の悪影響は少ないだろうと判断しました。
自然光で充分撮れる明るさになったので、通常のカメラを三脚に立てて撮影します。
※ 映像最後の5分間は動画編集時に自動色調補正を施しています。



【↑おまけの動画】

オリジナルの素材はあまりにも長い(57:51)ので、6倍速の早回し映像に加工してみました(9:25)。

つづく→#6:完成した垂直円網の甑を処理するアカオニグモ♀(蜘蛛)



2015/12/14

夜中に垂直円網の足場糸と横糸を張るアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015年9月下旬

アカオニグモ♀の定点観察#4


垂直円網の縦糸を張り終えたアカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)はタニウツギの葉裏の隠れ家で休息しています。
作業中にクモを脅かした覚えはないので、身の危険を感じて逃げたのではありません。
消耗した糸腺が回復するのを待っているのでしょうか?
それとも、網の完成を夜明けに合わせるための時間調整なのでしょうか?

午前4:02、ようやくクモが隠れ家から出て造網を再開しました。
放射状の縦糸を追加しています。
途中から赤外線投光機を点灯したらクモの糸がくっきり見えるようになりました。
網の中心(甑)から螺旋状に足場糸を張り始めたのですが、途中で縦糸を付け足しました。
これで縦糸の張力のバランスが取れたようで、再び足場糸の続きを反時計回りに張り進めます。

上の枠糸付近に達すると少し休憩してから、今度は逆の時計回りで粘着性の横糸を丹念に張り始めました。(@16:05〜)
不要になった足場糸を歩脚で切りながら横糸を張り進めます。
横糸を螺旋状に張る回転の向きは決して一定ではありませんでした。
初めのうちは一周せずに途中で引き返し(回転の向きを変え)、一筆書きで振子運動のように横糸を張っていました。
(→反時計回り→時計回り→反時計回り→時計回り→反時計回り→時計回り→反時計回り→時計回り→反時計回り)
この映像では最後まで一度も1回転していません。

午前3:58に測った気温は9.6℃。




【↑おまけの動画】

オリジナルの素材はあまりにも長い(36:02)ので、6倍速の早回し映像に加工してみました(6:44)。

下の写真は動画の後に撮りました。(4:39〜4:40 am)

つづく→#5:夜明けに垂直円網の横糸を張るアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015/12/13

草地を探索するオオモンクロクモバチ



2015年7月下旬

山際の休耕地の草刈りされた部分でオオモンクロクモバチ(旧名オオモンクロベッコウ;Anoplius samariensis)がウロウロと徘徊していました。
獲物を探索中の♀ですかね?
いつか狩りの瞬間が撮れることを期待して、見つける度にまめに動画に撮るようにしています。
最後は飛び去り見失いました。


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