2021/04/17
電柱の天辺から脱糞後に飛び立ち帆翔するチョウゲンボウ♂(野鳥)
繭塊から続々と羽化するサムライコマユバチ【10倍速映像】寄主ナシケンモン(蛾)幼虫
2021/04/16
コガラがヤマガラの貯食物を横取り?(野鳥)
平地の池を囲む雑木林でカラ類の混群を観察していると、コガラ(Poecile montanus)も苔むした柳の幹に止まり、樹皮や苔をつついていました。
前回の記事:▶ 木の実を樹皮の下に貯食するヤマガラ(野鳥)ひょっとすると、ヤマガラが苦労して隠した木の実をコガラが探してこっそり横取りしているのかもしれない、と思いつきました。
彼らが雪山に残れる秘訣は、秋のうちからの食糧の貯蔵である。(中略)10月に採った食物の9割近くはたくわえに回すという。樹皮のすき間などに種子を押し込んで冬への備えとするのだ。しかも、場所が気に入らないのか、他人にみつかりたくないのか、せっかく隠した食物の移しかえを頻繁に行う。アザミ類やヨモギ類など、草の種子をたくさん食べたりたくわえたりするのも、カラ類の中ではコガラだけである。(p92〜93より引用)
【追記2】
上田恵介『鳥はなぜ集まる?―群れの行動生態学』という本で混群の意味を考察した第12〜13章を読み返すと、昆虫食の側面からカラ混群を論じていました。
・混群が形成される森林環境では、昆虫の種類が豊富で、一種当たりの数が少なく、広い範囲に分散しています。(p150より引用)
・混群をつくるカラ類のくちばしはよく見るとさまざまな形をしている。(p151より)
・混群をつくるカラたちで採食方法はかなり異なっています。ということは捕らえる虫の種類も種によって異なるということです。
・カラ類では採餌の空間も異なります。(p152より)
・混群をつくる鳥たちはエサをめぐって、生存にかかわるような激しい競争を繰り広げる必要がありません。(といっても、これは結果であり、過去において厳しい競争があったからこそ、多様な昆虫食の鳥が進化したと考えることもできます。)それなら争いに無駄なエネルギーを浪費するより、共同行動を発達させた方が有利です。昆虫食の鳥で混群形成という生活手段が進化してきたのは、森林の昆虫資源を有効に開発・利用するひとつの必然だったのだと思われます。(p153−154より引用)
ニッチを分けて共存しているという教科書通りの解説で一応納得するのですが、木の実を貯食する行動との関わりについては全く触れられていませんでした。
嘴の構造上、ヤマガラしか割れない木の実を貯食するならともかく、別種のカラ類でも食べやすい小さな木の実を貯食すると盗まれやすいはずです。
冬の森で樹皮をつついたり苔をめくったりして餌(越冬昆虫)を探す方法も素人目にはカラ類ではほぼ共通して見えます。
誰かが貯食した木の実を偶然見つけたら喜んで食べてしまうでしょう。
特に自ら貯食する習性のある種類の鳥は、木の実をどこに隠しやすいか熟知しているはずです。
つまり貯食・種子食という面ではカラ類の種間でニッチが充分に別れておらず競争が生じてしまう(混群のデメリット)気がします。
・多くの種がいりまじって行動している混群の中でも、カラたちはそれぞれの種ごとにまとまって、種群として行動しています。(同書p137より引用)
・混群のメンバーはいつも仲よくしているわけではありません。時には争いもあります。(p138より)
・カラ類の混群でも構成メンバーは折あらばと他のメンバーの隙を狙っているといえます。(p139より)
種によって独自の隠し場所あるいは隠蔽法を開拓するように、これから行動が進化するかもしれません。
初冬の里山でニホンカモシカのフィールドサイン:糞と鼻息威嚇♪
2021/04/15
冬の塒から夜明け前に飛び立つダイサギ(冬の野鳥)
前回の記事:▶ 夜明け前に塒から飛び立つダイサギの群れ【10倍速映像】:「情報センター仮説」の直接検証4日後の未明にダイサギ(Ardea alba)の集団塒を再訪してみると、ヒマラヤスギの樹上で夜寝ているダイサギの個体数が4日前よりも激減していました(13羽→2羽)。
タニウツギ幼木の葉を食べるナシケンモン(蛾)幼虫
木の実を樹皮の下に貯食するヤマガラ(野鳥)
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・ヤマガラがアカマツの実を採食【野鳥】
・アカマツの樹上で採食するヤマガラ(野鳥)しかし、今回ヤマガラが嘴に咥えていたのは、アカマツの実の形とは違うでしょう。
貯食をする場所は、樹皮の下などの樹上や、草や木の根本や斜面、倒木のわきなどの地上で、比率としては4対6くらいで地上が多いという。貯食をする時の行動としては、木の実をまずそこへ運び、木の実がはいるほどに穴を開けたり、隙間を大きくした後、木の実を置いてくちばしでコンコンとたたき込む。埋める深さは2センチ以内が多いらしい。そして、その上にふたとなるような物を置いて、やはりコンコンとくちばしでそれをたたき込むか、つつき入れるようにする。貯食したものを取り出す行動は当然ながらこの行動の逆をおこなうことになる。そのため、ヤマガラを見ていると、隙間を覗いたり、そこに何かを入れたり、そこにふたをする行動や、何かをつまんでどかせたり(この際にはくちばしにくわえたかと思うとぽいと放り投げることが多い)、隙間などの中から何かを取り出したりする行動をとてもよく見せる。(p19より引用)『エソロジカル・エッセイ 無名のものたちの世界IV』という本に収録された樋口広芳『《おみくじ引き》をする鳥の生態』では、三宅島にすむヤマガラの生活を詳しく紹介していました。
くわえとった木の実は、そのままのみ込んでしまわずに、必ず近くの小枝まで持っていって、脚で押さえつけてから食べ始める。これは、地表に落ちている木の実を食べる時でも同じである。この習性は他地域のヤマガラにも共通(p10より引用)
木の実を貯える行動は、8月末から翌年の2月頃まで観察できる。ただし、うまく割ることのできなかった木の実や、一部分だけ食べた木の実を隠しなおすのは、4、5月になっても見られることがある。(中略)最も盛んに貯えるのは、10月と11月である。貯えるものは、スダジイ、エゴノキ、ツバキなどのかたい木の実(p11より引用)
一ヶ所にひとつの木の実を隠してしまうと、またひとつくわえてきては隠すというくり返しを行なうわけだが、この場合、まったく同じ場所に2個以上の木の実が隠されることはない。普通、数十センチから数メートルは離れている。(p12より引用)
木の実を貯える行動。 (1)木の実のとがった方向を前にして嘴にくわえる。 (2)それを倒木や木の根元などに押し入れる。 (3)鈍端部を嘴でたたいて埋め込む。 (4)埋め込み跡に木くずや土をつめる。(p13より引用)
【追記】
樋口広芳『森に生きる鳥:ヤマガラのくらし』は古い本ですけど、児童書と侮ることなかれ。
本州(伊豆半島南部の照葉樹林)のヤマガラの行動や生活史を詳細に観察した貴重な記録です。
林のなかのいろいろな部分を利用するこの割合は、季節によって、少しずつちがっています。
たとえば、秋から冬にかけては、高木の上層や中層でたべものをとる割合は、少しへり、ぎゃくに、林のもっと下のほうや幹や、地表ふきんを利用する割合は、少しふえました。(p46〜47より引用)
ヤマガラは、エゴノキやシイのかたい木の実から、サクラやクスノキやミズキなどのやわらかい木の実まで、いろいろな種類の木の実をたべます。(p49より)
木の実をたべる時は、両あしの内趾(3本あるまえあしゆびの、いちばん内側にあるあしゆび) で実をしっかりとおさえつけてから、わってたべる。(p55より)
たくわえるたべものは、シイやエゴノキやツバキなどのかたい木の実です。(p58より)
貯食の習性は、ふ化後 1週間めぐらいでもちかえって、親鳥の行動を見せずに飼育していた鳥たちでも見られました。ですから、この習性は、さえずりとはちがって、おそわらなくてももっている、生まれつきのものである(p71より引用)
この本にも、カラ混群内あるいはヤマガラ同士で貯食物を盗み合うという事例は書いてませんでした。
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