2021/04/17

電柱の天辺から脱糞後に飛び立ち帆翔するチョウゲンボウ♂(野鳥)

 

2020年12月上旬・午後12:20頃・晴れ 

田んぼと住宅地との境界に立つ電信柱の天辺にチョウゲンボウ♂(Falco tinnunculus)が止まっていました。 
鋭い眼光で眼下の刈田を見下ろしています。 
何度も頷いているのは、両眼視で対象物をよく見極めるためでしょう。 
しかし眼の前をトンボが飛んで横切っても知らん顔。 
私が撮影アングルを変えるために目の前を歩いて横切っても逃げませんでした。 

やがて尾羽を持ち上げると、固形の糞を少量ポタリと排泄しました。 
チョウゲンボウの糞は電柱の天辺に付着しました。 
この電柱は鳥がよく止まる場所のようで、よく見るとあちこちが鳥の糞で白く汚れています。 
脱糞で体重を軽くすると、チョウゲンボウ♂は電柱を足で力強く蹴り出して飛び立ちました。 (脱糞は飛び立つ前兆)
ヒラヒラと羽ばたいて速度を上げると、滑翔に移行し、旋回を始めました。 
羽ばたきと滑翔を交互に繰り返しています。 
上昇気流に乗って青空を帆翔し、ぐんぐん行動を上げていきます。 
この間、鳴き声は全く発しませんでした。(聞き取れず) 
脱糞および飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

チョウゲンボウ♂が飛び立った直後に近くの鉄道を列車が通過しました。 
たまたまかもしれませんが、列車の騒音を嫌って飛び立ったのかな? 
(脱糞したのは列車が来る前でした。) 
 狩りのためのホバリングを見れるかと期待したのですが、ちょっと残念でした。




 

繭塊から続々と羽化するサムライコマユバチ【10倍速映像】寄主ナシケンモン(蛾)幼虫

 

ナシケンモン(蛾)の飼育#12

前回の記事:▶ 繭塊の外で蛹化したサムライコマユバチ:寄主ナシケンモン(蛾)幼虫
2020年11月中旬・午後22:00〜翌日の午後12:45・室温〜21℃ 

前回の動画から3日後。 
寄主から脱出して繭塊を紡いでから11日後。 
円筒形の透明プラスチック容器(直径7.5cm、高さ8cm、綿棒容器を再利用)に閉じ込めておいた繭塊から、いよいよサムライコマユバチの一種(Cotesia sp.)成虫の羽化が始まりました。 
プラスチック越しの撮影は不鮮明になるので、予め密閉容器の蓋代わりにサランラップを張っておきました。 
ところが、いざ接写しようとすると室内の照明がサランラップに反射して白飛びしてしまい、セッティングに苦労しました。 

10倍速の早回し映像をご覧ください。 
フワフワの白い繭塊の中から黒っぽい寄生バチが頭から苦労して這い出してきます。 
繭の絹糸を大顎で噛み切りながら脱出路を切り開くのか、それとも絹糸を分解する消化酵素を吐き戻しているのか、不明です。
(1匹ずつ蜂の口元をもっと拡大して接写するべきでしたね。) 
無事に羽脱した新成虫は繭塊の表面に留まって身繕いしてから徘徊を開始。 

もっと多数の個体が一斉に羽化してくるかと期待したのですけど、かなり間隔を空けて五月雨式の羽化でした。 
自然界でも夜に羽化が始まるのだとしたら、撮影用の照明が眩しいせいで羽化が抑制されてしまったのかもしれません。 
長撮りした素材から羽化のシーンだけを抜粋し、成虫がこれから脱出してくる部位を赤い丸で示しました。 

羽化がいつもスムーズに行くとは限りません。 
脱出孔から仰向けに出てしまった個体は、繭塊表面の絹糸に翅が絡まってしまい、長時間もがいていました。 
疲労困憊でときどき休みながらも、ようやく自力で脱出することが出来ました。 
揺り籠があわや死のトラップと化すところでした。 
翅が繭の絹糸に絡まってシワクチャになっても、脱出直後には自然と真っ直ぐ伸びるのが蜂の羽化に特有です。 
チョウなどの鱗翅目なら羽化不全(翅の奇形)になるはずです。 

後半(@2:40〜)は等倍速の映像です。 
私にはサムライコマユバチ成虫の性別が見分けられません。 
枯葉の上で休んでいた新成虫が別個体と遭遇しても、2匹は交尾せずにすぐ別れました。 
翌日になると、密閉容器内で多数の寄生バチが歩き回っていました。 
ときどき容器内を飛び回る個体もいます。 

 

↑【おまけの動画】 

等倍速の映像と長撮りしたタイムラプス映像(10倍速)ノーカット版をブログ限定で公開しておきます。 


2021/04/16

コガラがヤマガラの貯食物を横取り?(野鳥)

 

2020年11月下旬・午後12:20頃・くもり

平地の池を囲む雑木林でカラ類の混群を観察していると、コガラPoecile montanus)も苔むした柳の幹に止まり、樹皮や苔をつついていました。 
樹皮の下などで越冬している虫を探して食べるつもりなのでしょうか? 

遂にコガラが樹皮の隙間から何か丸い粒状の物を見つけ出して持ち去りました(@1:57)。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
餌を咥えたまま下に飛び降りました。 
これは先程、ヤマガラが貯食していた(あるいは食べていた)木の実とそっくりです。
前回の記事:▶ 木の実を樹皮の下に貯食するヤマガラ(野鳥)
ひょっとすると、ヤマガラが苦労して隠した木の実をコガラが探してこっそり横取りしているのかもしれない、と思いつきました。 
だとすればコガラの行動は労働寄生(盗み寄生)ということになります。 

案の定、コガラがヤマガラに猛スピードで追いかけられているシーン(混群内での小競り合い) がたまたま撮れました。(@0:33)
私の勝手な想像ですけど、貯食したばかりの木の実をコガラが盗み取ろうとしていることに気づいたヤマガラが怒って襲いかかったのかもしれません。 
慌てたコガラは華麗な三角跳びで逃げて行きました。 
激しい大喧嘩にはならず、ヤマガラの追跡をまいたコガラは何食わぬ顔で探餌行動を続けています。 

混群としてヤマガラと行動を共にしている他のカラ類は、ヤマガラがせっかく苦労して幹の割れ目などに隠した木の実を探し出して隙あらば横取り(盗み食い)しようとしているのでしょうか?
ヤマガラが木の実を頻繁に隠し直す理由もそれで説明できます。 
互いにメリットがあるからこそ異種のカラ類が混群を形成しているはずですけど、ヤマガラは泥棒につきまとわれて迷惑しているのかもしれません。 
仲良く共生しているイメージがある混群も、その実態は殺伐とした寄合所帯なのかもしれません。
しかし資料によると、コガラも貯食することが報告されているそうです。(『エソロジカル・エッセイ 無名のものたちの世界IV』p10より) 
だとすれば、私の妄想はコガラにとって濡れ衣(冤罪)になります。 
コガラが自分で貯食した木の実を自分で食べたり、隠し場所を変更したりしていただけかもしれません。 
決定的な証拠映像が撮れるまでは、個人的な仮説として頭の片隅で温めておきます。 

※ カラ混群の鳴き声を聞き取れるように動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。



【追記】
ピッキオ『鳥のおもしろ私生活』でコガラの習性を調べる
と、
彼らが雪山に残れる秘訣は、秋のうちからの食糧の貯蔵である。(中略)10月に採った食物の9割近くはたくわえに回すという。樹皮のすき間などに種子を押し込んで冬への備えとするのだ。しかも、場所が気に入らないのか、他人にみつかりたくないのか、せっかく隠した食物の移しかえを頻繁に行う。
アザミ類やヨモギ類など、草の種子をたくさん食べたりたくわえたりするのも、カラ類の中ではコガラだけである。(p92〜93より引用)



【追記2】 

上田恵介『鳥はなぜ集まる?―群れの行動生態学』という本で混群の意味を考察した第12〜13章を読み返すと、昆虫食の側面からカラ混群を論じていました。

・混群が形成される森林環境では、昆虫の種類が豊富で、一種当たりの数が少なく、広い範囲に分散しています。(p150より引用)

・混群をつくるカラ類のくちばしはよく見るとさまざまな形をしている。(p151より)

・混群をつくるカラたちで採食方法はかなり異なっています。ということは捕らえる虫の種類も種によって異なるということです。

・カラ類では採餌の空間も異なります。(p152より)

・混群をつくる鳥たちはエサをめぐって、生存にかかわるような激しい競争を繰り広げる必要がありません。(といっても、これは結果であり、過去において厳しい競争があったからこそ、多様な昆虫食の鳥が進化したと考えることもできます。)それなら争いに無駄なエネルギーを浪費するより、共同行動を発達させた方が有利です。昆虫食の鳥で混群形成という生活手段が進化してきたのは、森林の昆虫資源を有効に開発・利用するひとつの必然だったのだと思われます。(p153−154より引用)

ニッチを分けて共存しているという教科書通りの解説で一応納得するのですが、木の実を貯食する行動との関わりについては全く触れられていませんでした。

嘴の構造上、ヤマガラしか割れない木の実を貯食するならともかく、別種のカラ類でも食べやすい小さな木の実を貯食すると盗まれやすいはずです。

冬の森で樹皮をつついたり苔をめくったりして餌(越冬昆虫)を探す方法も素人目にはカラ類ではほぼ共通して見えます。

誰かが貯食した木の実を偶然見つけたら喜んで食べてしまうでしょう。

特に自ら貯食する習性のある種類の鳥は、木の実をどこに隠しやすいか熟知しているはずです。

つまり貯食・種子食という面ではカラ類の種間でニッチが充分に別れておらず競争が生じてしまう(混群のデメリット)気がします。


・多くの種がいりまじって行動している混群の中でも、カラたちはそれぞれの種ごとにまとまって、種群として行動しています。(同書p137より引用)

・混群のメンバーはいつも仲よくしているわけではありません。時には争いもあります。(p138より)

・カラ類の混群でも構成メンバーは折あらばと他のメンバーの隙を狙っているといえます。(p139より)

種によって独自の隠し場所あるいは隠蔽法を開拓するように、これから行動が進化するかもしれません。


 

初冬の里山でニホンカモシカのフィールドサイン:糞と鼻息威嚇♪

 
2020年12月上旬・午後13:20頃・くもり 

初冬の里山を歩いていると、雑木林の落ち葉の上にニホンカモシカCapricornis crispus)が排泄したばかりの新鮮な糞が多数残されていました。 
落葉樹(コナラまたはミズナラ)の根元に黒くて丸いコロコロした糞がまとめて落ちています。 
糞の表面はツヤツヤと湿っていました。 
「溜め糞」のように見えますが、1回分の排泄物なのでしょう。 
定規の代わりに、携帯していた熊よけスプレー(長さ20cm)を並べて置いてみます。 

GPSを頼りに山中をしばらく(〜155m)進み斜面を下っていると、遠くの方からカモシカが鼻息を荒げて威嚇する音が断続的に聞こえてきました。 
残念ながら姿は見えず、逃げて行ったようです。 
少しでも雪が積もっていれば足跡を追跡できるのですが、それは冬の楽しみに取っておきましょう。 

この日は夕方に、反対側の山腹でも下山中に山道の泥の上にくっきりと残された蹄の跡を見つけています。 (ただしイノシシの蹄跡という可能性もあります。) 

※ カモシカの鼻息が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2021/04/15

冬の塒から夜明け前に飛び立つダイサギ(冬の野鳥)

 

2020年11月下旬・午前5:45〜6:07(日の出時刻は6:27)・晴れ
前回の記事:▶ 夜明け前に塒から飛び立つダイサギの群れ【10倍速映像】:「情報センター仮説」の直接検証
4日後の未明にダイサギArdea alba)の集団塒を再訪してみると、ヒマラヤスギの樹上で夜寝ているダイサギの個体数が4日前よりも激減していました(13羽→2羽)。 
目視では2羽しかヒマラヤスギ樹上に居ません。 
同じ木でも反対側の枝に隠れているのかもしれません。 
裏に回り込んで確認しに行きたいところですが、私が塒の周囲をウロウロすると警戒心の強いダイサギはどんどん飛び去ってしまい自然な離塒行動が撮れなくなってしまうので自重しました。 

落胆したものの、せっかく寒い中をやって来たので、暗いうちから前回と同じポイントに三脚を立てて、動画撮影開始。 
手持ち夜景モードに切り替え、明るさを+1補正しました。 
前回よりも少しズームインした画角です。 
撮影中、私はダイサギに見つからないよう物陰に隠れていました。 

辺りが未だ真っ暗なうちに早くも1羽目の個体が離塒しました。(@1:44) 
画面を右から左に白鷺が横切り、飛び去りました。 
昼行性の鳥の視覚は夜見えない「鳥目」というのは嘘ですね。

夜空に瞬く星が地球の自転で少しずつ動いています。 
明けの明星(金星)とは方角が逆です。 

やがて薄っすらとヒマラヤスギの樹形のシルエットが浮かび上がってきました。 
画面中央やや左下の枝で寝ている残る1羽のダイサギが白々と見えてきます。 
今回はカメラの設定でゲインを上げたせいか、白鷺が暗視映像っぽく見えるようになりました。 
ようやく覚醒したダイサギは、縮めていた首を動かし辺りを見回しています。(@13:34) 
羽繕いもせずにいきなり塒の枝から左に飛び下りました。(@15:15) 
冷え切った体で準備運動もせずに飛び出すとは意外でした。 
わずか5秒後に毎朝6:00のサイレン♪が大音量で鳴り始めました。 
ダイサギは喧しいサイレンの音を嫌って、鳴り始める前兆を感じて逃げ出したのかな? 
体内時計が正確なのか、謎の第六感によるものか、興味深いところです。 

最後に1羽の白鷺が飛来し、画面を右から左へ横切りました。(@20:28) 
それまで一体どこで寝ていたのか、不明です。 
ダイサギが1羽も居ないヒマラヤスギを撮り続けても仕方がないので、周囲の外灯が消えたタイミングで撮影終了しました。 
辺りの照度を感知して自動で消灯するタイプなのかもしれません。 

前夜から快晴で、放射冷却現象になりました。 
しかし水たまりや池の水面に氷が張るほどの冷え込みではありませんでした。 
 撮影ポイントで測定した気温は、 午前5:45で8℃、湿度44%。 
6:00で2.8℃、65%。 
6:07で2.1℃、69%。 
6:13で1.8℃、71%。 
6:30で最低気温1.5℃、湿度75%まで下がりました。


 

↑【おまけの動画】 
オリジナルの素材を10倍速にした早回し映像をブログ限定で公開しておきます。 


寒くて苦労した割りに、今回の動画は登場するダイサギの個体数が少なくて見栄えがいまいちでした。 
前の晩にダイサギの群れが塒入りした場所をしっかり確かめてから(ロケハン)、明け方の撮影に備えるべきでした。 
潔くこの記事を丸ごとボツにしても良かったかもしれません。(要するに、撮影は失敗。) 
しかし、次の話につなげるためには必要な前置きなので、観察記録を残しておきます。 


タニウツギ幼木の葉を食べるナシケンモン(蛾)幼虫

 

2020年11月中旬・午前11:00頃・晴れ 

林道の脇に自生するタニウツギの幼木でナシケンモンViminia rumicis)の幼虫を見つけました。 
丁度この時期はナシケンモンの幼虫を飼育していることもあり、フィールドですぐ目に付いてしまいます。 

タニウツギ葉表の主脈に堂々と居座り、葉の中央部を食害中でした。 
イモムシ・毛虫類は葉の縁から齧るのが普通なのに、ちょっと珍しいと思いました。 
葉の中央に食痕(虫食い穴)も見えます。 

葉裏に隠れず、大胆不敵にも目立つ葉表で食事しているのは不思議です。 
ナシケンモン幼虫が身を守る武器な何なのでしょう?
毛に触れても痛くありませんし、有毒ならもっと派手に目立つ警告色を身に纏っているはずです。 
寒い晩秋には日光浴で体温を上げないと食べた植物を消化できないのかな? 

定規を並べて採寸しました。 
このとき実は脱糞中だったのですが、撮影に失敗。 
軽く定規でつついても、擬死落下や威嚇行動をしませんでした。 
反応が鈍いのは体内寄生されているせいかもしれませんが、飼育して確かめる余力がありませんでした。

木の実を樹皮の下に貯食するヤマガラ(野鳥)

 

2020年11月下旬・午後12:20頃・くもり 

平地の落葉樹林で出会ったカラ混群の中で、ヤマガラSittiparus varius)が冬に備えてせっせと貯食行動をしていました。 
初めは樹皮の隙間や裏側に潜んでいる越冬昆虫を捕食するために探しているのかと思いました。 
しかしじっくり観察すると、木の実を貯食していると分かりました。

黒い木の実(種子?)を咥えたヤマガラが、柳の大木の苔むした樹皮の隙間に埋め込んでいました。 
千切った苔を被せて上手く隠すと飛び去りました。 

苔むした幹をつついているときに、別個体のヤマガラが近寄って来ると、驚いて(嫌がって?)飛び去りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:10) 
少なくとも2羽以上のヤマガラが活動していることの証拠映像になります。 
ヤマガラは雌雄同色なので、外見から性別を見分けることはできません。 
ヤマガラは一夫一妻の留鳥とされていますから、この縄張りで活動しているのは♀♂つがいだと思います。 

樹皮の裏に隠された木の実を見つけて食べるシーンも撮れました。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:22〜) 
幹の表面から緑の苔の欠片を毟り取ってから、苔の奥に隠されていた黒くて丸い粒状の種子を摘み出し、その場で呑み込みました。 
もう一度だけ幹から苔を毟り取ったものの、諦めて幹から飛び降りてしまいました。 
自分が過去に貯食していた場所を覚えていて、取り出して食べたのでしょうか。 
それとも樹皮の下に隠れていた越冬昆虫を捕食したのかな?(もし丸まったダンゴムシなら、映像から見分けられる気がします。) 
苔について私は勉強不足ですけど、苔が種子または果実状の物体を生産するという話は聞いたことがありません。 
ひょっとすると別個体のヤマガラが隠した木の実を盗み食いしているのではないか?という可能性を思いつきました。 
しかし、同じ縄張り内のつがい同士で盗み合っても仕方が無い気がします。 
繁殖期にヤマガラの♂が♀に求愛給餌するメニューには貯食物が含まれ、雛にも貯食物を給餌することがあるそうです。 
カラ混群のコガラやヒガラなども貯食するらしいので、混群内の異種間で貯食物を互いに盗み合っているとしたら面白いですね。 
決定的な証拠映像が撮れるまでは個人的な仮説として頭の片隅で温めておきます。 
本格的に調べるためには、混群の鳥たちに足輪を付けて個体識別しないと無理かもしれません。 

しばらくすると、落葉した柳の細い枝先にヤマガラが止まっていて、嘴には何か茶色の木の実を咥えていました。(@1:55〜) 
逆光でよく見えないのが残念です。 
少し飛んで安定した横枝に止まり直すと、足で押さえつけ木の実を嘴で割って中身を食べ始めました。(@2:20〜3:36) 
なぜこれは貯食しなかったのか、不思議です。 
長期保存できない種子を見分けて食べているのかな? 
食後は嘴を足元の枝に擦り付けて掃除します。 
続いて横枝で少し移動すると、埋め込まれた(貯食しておいた?)木の実をほじくり出し持ち去りました。(@3:40) 
ちなみに、枝に少し残っていた黄葉の形から、この樹種はおそらくハコヤナギ(ヤマナラシ)のようです。 

黒い木の実を咥えたヤマガラが幹を登って来ました。(@4:07) 
先程と同じく、苔むした幹の割れ目に木の実を埋め込んで隠しました。 
 一仕事終えたばかりなのに、近くに生えていた緑の苔を毟り取ると、中から木の実を見つけて咥えました。(@4:30) 
 改めて苔の下に隠し直そうとしたものの、結局諦めて木の実を咥えたまま飛び去りました。
スローモーションで見直すと、嘴で取り出した際に、苔が木の実に付着していました。
不要な苔を振り落とそうとしても、なかなか落ちません。 
一旦足で掴み直し、苔を取り除いて木の実だけを咥え直し、飛び去りました。 
自分が貯食した物を隠し直しているのか、それとも別個体の貯食物を横領しているのか、分かりませんが、俄然、面白くなってきました。 
私が見ているせいで警戒したヤマガラが貯食場所を変更した可能性もあるかな? 
自分が貯食した木の実を頻繁にチェックして、カビが生えかけたり鮮度が落ちた物は食べてしまうのかもしれません。

次のシーンでも、木の実を咥えたヤマガラが木の幹をあちこち移動して、貯食場所を探し回っています。(@6:19) 
幹の苔むした場所で木の実を一度は埋め込んだものの、気に入らなかったようで再び取り出しました。 
少し離れた樹皮の隙間に埋め込み直すと、千切り取った苔を上に被せて偽装しました。 
貯食を終えたヤマガラが同じ幹を少し上に登ると、剥がれかけた樹皮の裏から大き目の丸い木の実を探し出して持ち去りました。 
やはり貯食物を互いに盗み合っているからこそ、自分の貯食物を何度も念入りに隠し直しているような気がしてきました。 

※ かすかな鳴き声を聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


今回ヤマガラが貯食または食べていた木の実(堅果?)の種類が分かりません。 
雑木林の枝から葉がほとんど散り終わった後でした。
現場の柳の幹に巻き付いて伸びていた細い蔓には、おそらくツルウメモドキと思われる赤い実が残っていました。 
また、林床の下生えにはヨウシュヤマゴボウの黒い実がなっていました。 
しかし、これらは乾果ではなく水気のある軟かい果実(液果)のため、除外できます。 
撮影現場の少し離れたところに常緑樹のアカマツが立っていました。 
アカマツの方角からコツコツ♪と啄木鳥のような音が聞こえていたのですが、鳥の正体は確認できませんでした。 
ヤマガラが松ぼっくりを採食していても不思議ではありません。
▼関連記事(6、8年前の撮影) 
ヤマガラがアカマツの実を採食【野鳥】 
アカマツの樹上で採食するヤマガラ(野鳥)
しかし、今回ヤマガラが嘴に咥えていたのは、アカマツの実の形とは違うでしょう。 
季節を変えてこの森に通い、構成樹種を詳しく調べる必要がありそうです。 
特にエゴノキの花が咲くかどうか、要チェックです。
もしかすると、草本植物の種子という可能性もあるかもしれません。 
私は映像から朝顔の種子を連想しました。 
丸い木の実の正体は何なのか見当もつきません。 


ヤマガラの貯食行動について、手元にある資料で復習してみましょう。 
貯食をする場所は、樹皮の下などの樹上や、草や木の根本や斜面、倒木のわきなどの地上で、比率としては4対6くらいで地上が多いという。貯食をする時の行動としては、木の実をまずそこへ運び、木の実がはいるほどに穴を開けたり、隙間を大きくした後、木の実を置いてくちばしでコンコンとたたき込む。埋める深さは2センチ以内が多いらしい。そして、その上にふたとなるような物を置いて、やはりコンコンとくちばしでそれをたたき込むか、つつき入れるようにする。貯食したものを取り出す行動は当然ながらこの行動の逆をおこなうことになる。そのため、ヤマガラを見ていると、隙間を覗いたり、そこに何かを入れたり、そこにふたをする行動や、何かをつまんでどかせたり(この際にはくちばしにくわえたかと思うとぽいと放り投げることが多い)、隙間などの中から何かを取り出したりする行動をとてもよく見せる。(p19より引用)
エソロジカル・エッセイ 無名のものたちの世界IV』という本に収録された樋口広芳『《おみくじ引き》をする鳥の生態』では、三宅島にすむヤマガラの生活を詳しく紹介していました。 
ただし、本州にすむヤマガラとは行動が若干異なるそうです。 
くわえとった木の実は、そのままのみ込んでしまわずに、必ず近くの小枝まで持っていって、脚で押さえつけてから食べ始める。これは、地表に落ちている木の実を食べる時でも同じである。この習性は他地域のヤマガラにも共通(p10より引用)
 木の実を貯える行動は、8月末から翌年の2月頃まで観察できる。ただし、うまく割ることのできなかった木の実や、一部分だけ食べた木の実を隠しなおすのは、4、5月になっても見られることがある。(中略)最も盛んに貯えるのは、10月と11月である。貯えるものは、スダジイ、エゴノキ、ツバキなどのかたい木の実(p11より引用)
一ヶ所にひとつの木の実を隠してしまうと、またひとつくわえてきては隠すというくり返しを行なうわけだが、この場合、まったく同じ場所に2個以上の木の実が隠されることはない。普通、数十センチから数メートルは離れている。(p12より引用)
木の実を貯える行動。 (1)木の実のとがった方向を前にして嘴にくわえる。 (2)それを倒木や木の根元などに押し入れる。 (3)鈍端部を嘴でたたいて埋め込む。 (4)埋め込み跡に木くずや土をつめる。(p13より引用)


ヤマガラが貯食物を互いに盗み合っているという記述は見当たりませんでした。
私が通うフィールドは東北地方の雪国なので、過去の研究者がヤマガラを研究した照葉樹林帯ではありません。 
ここ豪雪地帯にすむヤマガラは、冬に備えて木の実を貯食する際にわざわざ雪で埋もれる地面に隠すことは避けるはずです。 
私は未だヤマガラが地面に貯食する例を見たことがありません。
▼関連記事(6年前の撮影) 
杉の木に貯食するヤマガラ(野鳥)

 


【追記】

樋口広芳森に生きる鳥:ヤマガラのくらし』は古い本ですけど、児童書と侮ることなかれ。

本州(伊豆半島南部の照葉樹林)のヤマガラの行動や生活史を詳細に観察した貴重な記録です

林のなかのいろいろな部分を利用するこの割合は、季節によって、少しずつちがっています。

 たとえば、秋から冬にかけては、高木の上層や中層でたべものをとる割合は、少しへり、ぎゃくに、林のもっと下のほうや幹や、地表ふきんを利用する割合は、少しふえました。(p46〜47より引用)

ヤマガラは、エゴノキやシイのかたい木の実から、サクラやクスノキやミズキなどのやわらかい木の実まで、いろいろな種類の木の実をたべます。(p49より) 

木の実をたべる時は、両あしの内趾(3本あるまえあしゆびの、いちばん内側にあるあしゆび) で実をしっかりとおさえつけてから、わってたべる。(p55より)

たくわえるたべものは、シイやエゴノキやツバキなどのかたい木の実です。(p58より) 

貯食の習性は、ふ化後 1週間めぐらいでもちかえって、親鳥の行動を見せずに飼育していた鳥たちでも見られました。ですから、この習性は、さえずりとはちがって、おそわらなくてももっている、生まれつきのものである(p71より引用)

この本にも、カラ混群内あるいはヤマガラ同士で貯食物を盗み合うという事例は書いてませんでした。


2021/04/14

ヤマトツヤハナバチ♀がイタチハギの花で採餌

 

2020年6月上旬・午前後13:10頃・晴れ 

里山を抜けるつづら折れの峠道の道端に自生するイタチハギ(別名クロバナエンジュ)の灌木でヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)が訪花していました。 
小さな花に頭を突っ込んで吸蜜しています。 
その後脚を見ると、花粉籠に橙色の花粉団子を付けて運んでいます。 
花から飛び立つと、かすかに羽音が聞こえました。 

薄暗い木陰で接写したので、晴れていてもやや薄暗い映像です。 
マクロレンズで接写したおかげで、採集しなくても頭楯の斑紋から蜂の種類を同定できました。 
撮影後にこの峠道を更に少し登ると、日向に自生するイタチハギの群落でも同種の別個体が何匹も訪花していました。 

▼関連記事(同日に撮影) 

2021/04/13

晩秋の刈田で落ち穂広いするキジ♂(野鳥)

 

2020年11月下旬・午前11:55頃・くもり 

枯れヨシ原の上を低空で滑空してきたキジ♂(Phasianus versicolor)が隣接する刈田に降り立ちました。 (映像なし) 

しばらく辺りをキョロキョロ見渡したり、ヨシ原に逃げ帰る素振りを見せたりしましたが、警戒を解くと刈田と畦道を歩きながら採食を始めました。 
おそらくイネの落ち穂拾いをしているのでしょう。 
 後半になるとキジ♂は、田んぼの隣で大根?を栽培している小さな畑に行きました。 
しかし大根?の青菜を食害するでもなく、土手に自生する雑草を啄んでいました。 
再び刈田に戻り、一箇所で落ち穂拾いを長々と続けています。 

長時間観察しても、繁殖期ではないこの時期のキジ♂は縄張り宣言の母衣打ち♪を全くやりませんでした。 
「キジも鳴かずば撃たれまい」
右奥の枯れヨシ原にキジ♀が潜んでいるような気がするのですけど、確認できていません。

▼関連記事(6年前の撮影)  
秋の刈田で採食するキジ♂(野鳥)
 

   

繭塊の外で蛹化したサムライコマユバチ:寄主ナシケンモン(蛾)幼虫

 

ナシケンモン(蛾)の飼育#11

前回の記事:▶ 寄主ナシケンモン(蛾)幼虫の体外に脱出して繭を紡ぐサムライコマユバチ終齢幼虫の群れ(3)10倍速映像
2020年11月中旬・午後22:35頃・ 

寄主から脱出して繭塊を作ってから8日後。 
サムライコマユバチの一種(Cotesia sp.)幼虫の中で繭塊から一旦こぼれ落ちた者は、繭塊に戻れず、裸でまま蛹化していました。 
単独では自分の繭を正常に紡げないのかもしれません。

フワフワした白い繭塊の中で発生(完全変態)が進行している様子を見ることはできませんが、裸の蛹なら直接観察することが可能です。 
寄生蜂の蛹は全体が薄い黄色ですが、黒い複眼が目立つようになりました。 
長い触角も見えます。 
蛹の心臓(背脈管)の拍動が透けて見えるかと期待して動画に撮ってみたのですけど、動いていませんでした。 
側面を向いていた隣の個体も接写すべきでしたね。 

裸の蛹は、繭塊どころかベニバナボロギクの葉からもこぼれ落ちています。 
もしこれが自然界なら、繭塊に覆われていない裸の蛹は死亡率が上がるはずです。 
アリに見つかって捕食されたり、二次寄生バチ♀に真っ先に産卵されたりしてしまうことでしょう。 
また、微小な寄生バチの蛹は繭に覆われていないと乾燥に弱いはずです。 
密閉容器に入れているのですが、無事に成虫が羽化するでしょうか? 

寄主のナシケンモン幼虫はさすがにもう死んだようで、全く動きません。(右が頭部) 


 

2021/04/12

ガソリンスタンドにクルミを投下して割るハシボソガラス(野鳥)

 

2020年11月下旬・午後13:50頃・くもり 

交通量の多い国道沿いで建物にハシボソガラスCorvus corone)が飛来して屋上の縁に止まりました。 
どこからか拾ってきたクルミ(おそらくオニグルミ)の堅果を嘴に咥えています。 
屋上の縁でクルミの実を持ち歩いている間に、カラスはうっかり屋上の敷地内にクルミを落としてしまいました。 
慌てて取りに行き、屋上の縁に戻って来ました。 
クルミを足で押さえつけて嘴でコツコツとつついても硬くて割れません。

ハシボソガラスはクルミを咥えたまま飛び立って急上昇すると、空中でクルミを離して下に落としました。 
どうやら落としたクルミの実がガソリンスタンドの敷地内で転がって、カラスも見失ってしまったようです。 
物陰の下を覗き込んでクルミの実を探しています。 
頭を下げ、嘴を横に寝かせるように路面に付けていました。 
これは以前、浅い水たまりで水を飲んだときにも観察した嘴の特殊な使い方です。
▼関連記事(11ヶ月前の撮影) 
ハシボソガラスが浅い水たまりで水を飲む方法(冬の野鳥)
動画をスロー再生すると、ハシボソガラスは何か小さな固形物を拾い食いしていました。 
(ガソリンスタンドの濡れた路面から水を飲んだ訳ではありません。) 
おそらく空中投下によるクルミ割りに成功し、粉々に砕け散ったクルミの種子の破片を食べたのでしょう。 

つがい相手と思われる別個体が左から別個体が歩いて登場しました。 
仲間が何を食べているのか興味津々です。 
仲間のクルミ割り行動の一部始終を見ていたはずですから、きっと真似できるでしょう。

賢いカラスのくるみ割り行動と言えば、交差点の路上にクルミを置いて通りかかる車のタイヤに割らせる例があまりにも有名です。 
しかし私はそのやり方をするカラスを実際に見たことがありません。 
私が普段通っているフィールドは過疎地で車の交通量が少ないために、当地の田舎カラスは車をあてにせず専ら固い舗装路への投げ落とし行動でクルミを割っています。 
今回の現場は交通量の多い国道沿いだったので、交差点で車に割ってもらうかな?と期待したのですが、クルミの割り方は変わり映えしませんでした。 
やはり当地のカラスにはスマートなくるみ割りの文化が伝来していないようです。 
今回のハシボソガラス個体は、交通量の多い大通りではなく、横にあるひと気のないガソリンスタンドの敷地内にクルミを落としました。 
車がひっきりなしに走って来る国道にクルミを落としてしまうと、危なくて割れた実を取りに行けないのでしょう。 
交差点と信号機の仕組みを理解してくるみ割り行動に利用する方法をいつか編み出してくれるかな? 
 

落葉した秋の山林で急斜面を登るニホンザルの群れ

 

2020年11月下旬・午後13:00頃・晴れ 

川沿いの刈田の農道を歩いていたら1頭の野生とニホンザルMacaca fuscata fuscata)遭遇しました。 
驚いた猿は橋の袂へ慌てて走り去り、橋の道路ではなく鉄骨を渡って対岸へ逃げて行きました。 
このとき残念ながらカメラのバッテリーが切れていて、撮り損ねてしまいました。 
実はその前から川の対岸からイヌが吠えているような鳴き声がして、気になっていました。 
改めて耳を澄ますと、繁殖期(発情期)のニホンザルたちが騒ぐ悲鳴・鳴き声♪でした。 

 (映像はここから。) 
急いでカメラのバッテリーを交換してから川の対岸の山を探すと、落葉した雑木林の急斜面をトラバースしたり登って行く数頭のニホンザルが辛うじて見えました。 
冒頭の個体は子ザルのようです。 
急斜面を元気に駆け上がっていますが(直登)、茂みに隠れてすぐに見失ってしまいました。 

続けてもう一頭が下の川から登って来ました。 
互いに絡み合ったフジ(藤)の太い蔓に腰掛けて一休み。 
こちらに背を向けていましたが、立ち上がって遊動を再開する際、股間に紅潮した睾丸が見えたので、♂成獣と判明。 
顔も真っ赤で、発情しています。 
落ち葉に覆われた急斜面をトラバースして行きます。 

3頭目の個体は若い子ザルでした。 
冬の豪雪で根曲がりした木の幹に腰掛けて小休止。 
これぞまさしく「サルノコシカケ」ですね。 
すぐに遊動を再開すると、急斜面を斜めに登って行きます。 
途中で下草に付着した何か(虫?)を手掴みで食べました。 
大量の落ち葉で敷き詰められた急斜面を登るのは滑りやすくて嫌なのか、倒木の上を選んで歩いて行きます。

 

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