2019/12/21

池畔の樹上で羽繕いするゴイサギ幼鳥(野鳥)



2019年8月中旬

夏の昼間にゴイサギNycticorax nycticorax)の群れがいつも休んでいる池の落枝には、この日はなぜか1羽も居ませんでした。
辺りを探すと、池の対岸にそびえ立つ高木に1羽の幼鳥が止まっていました。
ゴイサギの幼鳥は昼間でも覚醒していることが多く、この個体も念入りに羽繕いしていました。
眼球が大きいのは本来夜行性だからでしょう。
「可愛げがない鳥で、なんか恐竜っぽい顔つきだなー」といつも思います。

止まり木の樹種は遠くてよく分かりません。
特徴的な木の実が見えるので、なんとなくコナラですかね?
最後にカメラを下に向けると、ハリギリの木が見えましたが、それとは違う木です。

実は近くで葉の生い茂った桜(ソメイヨシノ)の樹上にもう1羽のゴイサギ幼鳥を見つけました。(映像公開予定?)
この個体は羽繕いなどの動きもなく、枝に佇んでいるだけでした。
こっちの止まり木は昨年も使っていたので、隠れ上手なゴイサギでもすぐに見つけることが出来ました。


ゴイサギ幼鳥b(野鳥)@池畔:?樹上+羽繕い
ゴイサギ幼鳥b(野鳥)@池畔:?樹上+羽繕い
ゴイサギ幼鳥b(野鳥)@池畔:?樹上+羽繕い・全景

エンジュの花の周囲で探餌飛翔するコガタスズメバチ♀



2019年8月中旬・午後17:50

民家の庭に植栽されたエンジュの大木で白い花が咲くと、コガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が忙しなく飛び回っていました。
花に止まって吸蜜するのではなく、ひたすら獲物を探し求めています。(探餌飛翔)

飛び回る動きがあまりにも忙しないので、初めは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
続いて等倍速でリプレイ。(@1:31〜)

スローモーションでも胸部小楯板の斑紋の有無をしっかり見れていないのでオオスズメバチの可能性もありますが、さほど大きくなかったのでコガタスズメバチとしておきます。


2019/12/20

GPS首輪を付けられた野生ニホンザル♀



2019年7月下旬・午前6:05頃

早朝から山麓の路上に散開して毛繕いなどしてのんびり寛いでいるニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを撮影していると、突然何かに驚いて群れが一斉に右の山林へ走って逃げ始めました。
母親は子猿を素早く抱き寄せ、連れて逃げます。
何事かと思いきや、左奥から1頭の老いた♀が走って来て群れに合流し、路上に座り込みました。

この個体はピンクの細長い乳首が胸部に目立つので、過去に何度も子猿を産んで育て上げたのでしょう。
毛皮が白っぽいのは、ヒトの白髪のように老化なのでしょうか?(それとも白変種?)
この個体は首に首輪を装着しており、黒い小箱が取り付けられていました。
おそらくこれはテレメトリー調査のためのGPS受信機なのでしょう。
遊動する群れの位置を刻々と記録し、農作物の猿害対策にも役立ちます。
ニホンザルの群れが農地に接近していることを農家にリアルタイムで通報し、警戒することが可能になります。
ニホンザルの群れは母系社会で、♀は基本的に生まれた群れで生涯を送ります。
一方♂は成熟すると生まれた群れを離れ、近隣の別な群れを渡り歩いて暮らします。
したがって、GPS首輪を装着するためには♀を罠で生け捕りにしないと長期間の記録が取れません。
(♂は群れからすぐに居なくなってしまう可能性が高い。)


ニホンザル家族群+♀首輪@路上

ノイバラの枝で見つけた営巣後期のキアシナガバチのコロニー



2019年8月中旬・午後16:51

河畔林の林床に生えたノイバラ灌木の枝先にキアシナガバチPolistes rothneyi)の大きく育った巣を見つけました。
柳の木の下なので日中も薄暗い営巣地です。


巣盤を構成する育房がかなり深くなっています。
営巣後期になるとキアシナガバチは各育房を縦に深く増築して蜂の子(幼虫・蛹)を効率良く二段で育てるのです。
巣盤の天井部および巣柄が黒光りしているのは、天敵であるアリの侵入を防ぐ忌避物質が何重にも塗布されているからです。

巣に居たのは4匹の♀(ワーカーおよび女王)。
複眼の黒い個体は羽化直後のワーカーで、日が経つと茶色になります。
初めは落ち着いていたのに、風が吹いて木漏れ日がチラチラと巣に落ちると急に蜂は活発になりました。
興奮して巣上を走り回ると互いにつっかかるような優劣行動が見られ、コロニー内で緊張関係が見て取れます。
しばらくすると蜂は落ち着きを取り戻し、各々がのんびりと身繕いを始めました。


キアシナガバチ♀4@巣:ノイバラ枝
キアシナガバチ♀4@巣:ノイバラ枝
キアシナガバチ♀4@巣:ノイバラ枝・全景

2019/12/19

ニセアカシア樹上で鳥の古巣を見つけた!(野鳥)



2019年8月中旬

河畔林の小径を歩いていたら、道端のニセアカシア(別名ハリエンジュ)樹上に鳥の巣を見つけました。
雛が巣立った後の古巣のようで静まり返っていました。
繁殖期はとっくに終わっているのでしょう。
巣材は細い小枝や枯草を多数組み合わせてお椀状の巣を形作っています。
どの野鳥が作った巣か分かる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。

かなり高くてしかも細い横枝にあるので、素人が木に登って巣の中を覗いて見ることは無理そうです。
ロープワークによる安全な木登りをマスターしたら活動の幅が広がって楽しそうです。
それともカメラ付きのドローンを飛ばして巣の中を偵察する方が安全かつ安上がりかもしれません。


晩秋になってニセアカシアが落葉したら巣の周囲の見通しがもっと良くなるだろうと期待していたら、台風の暴風で古巣が落ちてどこかに吹き飛ばされてしまいました…。
それとも誰かが高所作業用の梯子車を使って鳥の巣を採集したのかな?
もし来年も同じ親鳥の♀♂つがいが同じ場所で営巣するのなら、ぜひ観察してみたいものです。


?(野鳥)古巣@ニセアカシア樹上
?(野鳥)古巣@ニセアカシア樹上
鳥の巣(野鳥)古巣@ニセアカシア樹上・全景
?(野鳥)古巣@ニセアカシア樹上・全景
?(野鳥)古巣@ニセアカシア樹上・全景

2019/12/18

網にかかったショウリョウバッタ♂を捕帯で絡め取るナガコガネグモ♀(蜘蛛)



2019年8月中旬・午後13:18〜13:24

河川敷に植栽されたマサキの生垣にナガコガネグモ♀(Argiope bruennichi)が垂直円網を張って獲物を待ち伏せしていました。
下向きに占座したこしきまでの高さは地上から約70cm。
縦一直線の隠れ帯が目立ちます。

まずは、ちょっとした実験をしてみました。
キカラスウリの未熟な青い実をクモの円網に投げつけてみたのですが、異物を網から取り外して捨てる行動は見られませんでした。
意外にもクモは全く無反応で、カラスウリの実は網から自然に落ちました。
円網の左側が少し破損したのは、このためです。
(映像はここから。)

たまたま近くの草むらを跳びはねていたショウリョウバッタ♂(Acrida cinerea)を捕獲できたので、生き餌としてクモに与えてみることにします。
生きたショウリョウバッタ♂を網に投げつけると、こしきの右上に付着しました。
今度は直ちに反応して、ナガコガネグモ♀は獲物に駆け付けました。
強力な後脚で跳ねる動きで網から逃げようと暴れる獲物をクモは捕帯と呼ばれる粘着力の強い帯状の糸で簀巻にしました。
捕帯の消費量をなるべく最小限に留めたいのか(節約志向)、獲物がおとなしくなるとラッピング行動も中断しました。
脚に次の捕帯を構えた状態で獲物の様子を窺っています。
ラッピング中に獲物に噛み付いて毒液を注入したかどうか、よく分かりませんでした。
ショウリョウバッタ♂がおとなしくなったのは、ただの擬死(死んだふり)かもしれません。
クモはラッピングした獲物を網に放置したまま甑に戻り、下向きに占座しました。
すぐ食べないということは、満腹状態なのでしょう。

動かなくなった獲物を草の茎でつついて振動を与えてみましょう。
獲物が息を吹き返して暴れ始めたと勘違いしたクモが直ちに反応し、捕帯ラッピングを追加し始めました。
するとショウリョウバッタ♂が本当に息を吹き返し(擬死が解けた?)、後脚で力強く跳ねる動きを繰り返して網から逃がれようと必死に暴れます。
ナガコガネグモ♀は獲物の包みをくるくると回しながら大量の捕帯で念入りにラッピングし、簀巻にしてしまいました。
これでもうショウリョウバッタ♂は逃げられません。
獲物の首元に噛み付いて毒液を注入したようです。
ラッピングが完了した獲物を今度も網に張り付けたままクモは甑に戻りました。
ラッピング行動によって、垂直円網の右側も大きく破損してしまいました。

捕帯で包まれ毒液を注入されてもショウリョウバッタ♂は未だ生きていて、後脚で力強く跳ねる動きを繰り返しています。
クモは後でお腹が空いたらゆっくり捕食するつもりなのでしょう。


ナガコガネグモ♀(蜘蛛)@垂直円網
ナガコガネグモ♀(蜘蛛)@垂直円網
ナガコガネグモ♀(蜘蛛)@垂直円網・全景
ナガコガネグモ♀(蜘蛛)@垂直円網・全景

ナガコガネグモ♀(蜘蛛)@垂直円網+ショウリョウバッタ♂:捕帯ラッピング後
ショウリョウバッタ♂@ナガコガネグモ♀(蜘蛛)垂直円網+捕帯ラッピング後
ナガコガネグモ♀(蜘蛛)@垂直円網+ショウリョウバッタ♂給餌+再捕帯ラッピング後
ナガコガネグモ♀(蜘蛛)@垂直円網+ショウリョウバッタ♂給餌+再捕帯ラッピング後・全景
ショウリョウバッタ♂@ナガコガネグモ♀(蜘蛛)垂直円網+再捕帯ラッピング後

ミズキの木の枝にぶら下がって遊ぶ白猿♀(野生ニホンザル)



2019年7月下旬・午前8:02〜8:11

山麓の用水路沿いに生えたミズキの枝をニホンザルMacaca fuscata fuscata白変種の個体がスルスルとよじ登りました。
この白猿は若い♀のようです。
背中中央の毛および瞳には色素が残っているので、完全なアルビノではありません。
群れの中で一際目立つため、何度も行動を撮影できました。

しばらくすると、再びミズキの枝を降りて来ました。
股間に陰核が見えたので♀と判明。
こちらを見ながら枝から逆さまにぶら下がり、水路の手摺を経由してフェンスから地面に降りました。



ニホンザル:白猿♀@ミズキ木下り+ブランコ遊び

2019/12/17

エンジュの花にしがみついたまま死んだ?クマバチ



2019年8月中旬・午後17:53

民家の庭木のエンジュで多数のキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)が忙しく訪花する中、1匹のクマバチが風で揺れる花にしがみついたまま西日を浴びてじっとしていました。
足でしっかりしがみついているようには見えず、衰弱しているようです。
落ちないのが不思議です。
採餌中に寿命を迎えた個体なのでしょうか?
それとも夜は巣に帰らずこのままこの花で寝るのかな? (ねぐら?)
私の手が届かない高い枝に止まっていたので、この蜂を採集して生死を確認することができませんでした。
側面しか見えず、蜂の性別を見分けられませんでした。

それにしても、エンジュの花の周囲で獲物を探し求めて飛び回っているなぜスズメバチ類がこの無防備なクマバチ個体を狩ろうとしないのが謎です。

▼関連記事
キイロスズメバチ♀がエンジュの花で探餌飛翔
コガタスズメバチ♀がエンジュの花で探餌飛翔

このように花の上で力なく休んでいる(瀕死?)クマバチは、何度か見かけています。
▼関連記事 
セイタカアワダチソウの花で休むクマバチ♀

ベニバナインゲンの花にしがみついたまま動かないクマバチの謎 




クマバチ死骸?@エンジュ花

夏の川で頭突きの喧嘩をするカルガモ(野鳥)



2019年8月中旬・午後15:12

橋の欄干から私が下の川を覗き込むと、川面に居たカルガモAnas zonorhyncha)の小群(計3羽)が警戒して下流へ逃げて行きました。
(映像はここから)

2羽のカルガモが浅い川で水浴びしています。
その2羽が急に川面で正面衝突し、頭突きで押し合いを始めました。
初めは右の個体が優勢に押していたのに、それを左の個体が上手くいなして右の個体の背後に回り込み、交尾のようにマウンティングしました。
2羽はすぐに別れ、各々が水浴して身を清めています。
その後は下流に向かって川面を泳ぎ去りました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

カルガモのこんな行動を見るのは初めてで、この夏のバードウォッチングで最も興味深い一件でした。
外見でカルガモの性別を見分けられないのが残念です。
カルガモの繁殖期は確か冬なので、真夏に交尾するはずはありません。
群れ内の上下関係を決める優劣行動(喧嘩・闘争)なのでしょうか?
猛暑で苛ついていただけかもしれません。

ネットで検索してみると、鳥に疑似交尾という行動があると知りました。

参考サイト:(いずれも冬の観察記録)
擬似交尾をするカルガモ
カルガモの擬似交尾

今回の2羽は求愛行動(ヘッドトッシング)を全くせずに、いきなり頭突きからのマウンティングをしたので、おそらく疑似交尾ではなくて喧嘩だろうと考えています。

▼関連記事(前年の12月に撮影)
池の水面で求愛・交尾するカルガモ♀♂【冬の野鳥】


【参考】:
八木力『冬鳥の行動記 Ethology of Wild Ducks』
闘争@p50-53、求愛行動@p54-57、交尾@p58-59



▼関連記事(同年の秋に撮影)
池で頭突きの喧嘩をするカルガモ(野鳥)

カルガモ2(野鳥)@川面+頭突き押し合い
カルガモ2(野鳥)@川面+頭突き押し合い
カルガモ2(野鳥)@川面+疑似交尾?

2019/12/16

オオアレチノギクの花蜜を吸うコアシナガバチ♀



2019年8月中旬・午後16:05頃

河畔林の林縁に咲いたオオアレチノギクの群落でコアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀が訪花していました。
吸蜜でエネルギーを補給すると、後半はオオアレチノギクの群落を飛び回り獲物を探し始めました。(探餌飛翔)


コアシナガバチ♀@オオアレチノギク訪花吸蜜
コアシナガバチ♀@オオアレチノギク訪花吸蜜
コアシナガバチ♀@オオアレチノギク訪花吸蜜

オオアレチノギク花
オオアレチノギク花
オオアレチノギク茎+葉
オオアレチノギク花・全景

対他毛繕い中のニホンザルがハシブトガラスの鳴き声を聞くと…(野鳥)



2019年7月下旬・午前6:58頃


▼前回の記事
路上で排便する野生ニホンザル

山麓の路上でニホンザルMacaca fuscata fuscata)の成獣♂が寝そべり、近くに居た若い個体に毛繕いを要求しました。
子猿はさっきまでこの成獣♂をひどく恐れていたのに、いそいそと近づいて従順にボス?のノミ取りを始めました。
ニホンザルの対他毛繕いは群れ内のコミュニケーション手段でもあり、スキンシップによって緊張を緩和する役目も果たしているようです。

近くの樹上でハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がカーカーカーカー♪と澄んだ声で4回鳴きました。
この鳴き方は特に警戒声というほど切迫していないと私は思うのですが、これを聞くとニホンザル成獣♂は警戒してガバッと起き上がりました。
異種の動物や野鳥の鳴き声が意味するところを知っていて、それを利用する知恵があるのです。
(あるいはこの個体はカラスにトラウマでもあるのでしょうか?)
私が一歩も動いていないことを確認すると、安心して毛繕いを受ける体勢に戻りました。

その後、成獣♂は頭を差し出して子猿にノミを取ってもらっています。
腹這いになりつつも、私の様子を油断なく伺っています。


ニホンザル2@路上+対他毛繕い
ニホンザル2@路上+対他毛繕い

ハシブトガラス(野鳥)@オニグルミ樹上

2019/12/15

交尾中のオオヒラタシデムシ♂が♀の触角を噛んで引っ張る性癖について



2019年8月中旬・午後15:45頃

河畔林の横の砂利道で交尾中のオオヒラタシデムシ♀♂(Necrophila japonica)が2ペアも居ました。
独身の(あぶれた)個体eが交尾中のペアcに近づいたので、♀の奪い合いが起こるかと期待したのですが、熱愛カップルの邪魔をしたり配偶者を奪ったりせずに慌てて逃げ出しました。
この独身個体eは♀なのかな?(私は外見によるオオヒラタシデムシの性別判定法を知りません。)

オオヒラタシデムシ♂は♀の背後からマウントし、交尾器を結合しています。

▼関連記事(5年前の撮影)
交尾中のオオヒラタシデムシ♂は♀の触角を噛む性癖がある

その場に残った交尾中の♀♂cペアに注目すると、♂は♀の左触角を咥えて引っ張っていました。
一方、その後方で交尾している別の♀♂dペアの♂は、♀の右触角を噛んで♀を保定していました。
交尾中の♂が♀の左右どちらの触角を噛むのか、特に決まりは無くてランダムなようです。
♂は甘噛みしているだけだと思いますが、交尾中に何かのはずみでうっかり♀の触角を噛み切ってしまう事故が起こらないのか、他人事ながら心配になります。

もしかすると、♂の大顎には♀の触角を噛み切らないようにする解剖学的な仕組みがあれば、面白いですね。
例えば♂の大顎は皮むきニッパーの刃先のようになっていて、♀の触角を噛んだときに挟んで収める凹みがあったりするのかもしれません。
♀♂が出会って交尾を始めるところから観察してみたいものです。
♂に触角を咬まれて引っ張られた途端に♀はおとなしく交尾を受け入れる体勢になるのでしょうか?
今回撮影した♀cは交尾中おとなしくしていたのに対して、♀dは交尾中も落ち着き無く動き回るじゃじゃ馬娘でした。

もし実験的に♀の触角を両方切ってしまうと、♂と交尾できなくなるのですかね?
だとすると、♂は交尾後の♀に浮気防止の貞操帯を付ける代わりに、別れ際に♀の触角を噛み切ってしまう戦略を採るかもしれない…と妄想を逞しくしました。
興味深いことに、♂cの左触角が欠損していました。
これは♂同士が喧嘩した結果なのでしょうか?
もし実験的に♂の触角を両方切ってしまうと、♀の性フェロモンを感知できなくなりそうな気がします。
したがって、♀をめぐる闘争でライバル♂の触角を噛み切るのは、有効な繁殖戦略かもしれません。

実はすぐ近くで別の♀♂ペアaも交尾していました。


つづく→交尾中のオオヒラタシデムシ♀♂が別れるまで



オオヒラタシデムシ♀♂d@交尾macro:左触角噛み
オオヒラタシデムシ♀♂d@交尾macro:左触角噛み
オオヒラタシデムシ♀♂d@交尾macro:左触角噛み
オオヒラタシデムシ♀♂c@交尾macro:右触角噛み

走って道を渡るキジ♂(野鳥)



2019年8月中旬・午後17:21

私が川沿いの堤防上の道を歩いていると、目の前の道をキジ♂(Phasianus versicolor)が慌てたように走って横切りました。
それまでは左側の草むらで採食していたようです。
最後は堤防の藪に駆け込んで隠れました。
道端の草むらに隠れていたスズメが驚いて少しだけ飛び上がりました。

一瞬の出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
スピードを上げて走っているキジ♂は、視野を安定させるために頭部を前後に動かしません。

【参考】岩波科学ライブラリー『ハトはなぜ首を振って歩くのか』




私が夏に見かけるキジ♂は、いつもほっそりしたスリムな体形です。
これは若鳥♂なのか、それとも縄張り争いに明け暮れる春の繁殖期は体を膨らませていた(虚勢を張っていた)だけなのか、どちらなのでしょう?
暑い夏に換羽すると羽毛の量が減るのかな?


▼関連記事(前年の夏に撮影)
ソバ畑から逃走するキジ♂(野鳥)


キジ♂(野鳥)@逃走:道横断

エンジュの花で採餌中のオオハキリバチ♀に飛びついて交尾を迫る雄蜂♂



2019年8月上旬・午後16:00

民家の裏庭で満開に咲いたエンジュの蝶形花で採餌するオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)を撮っていると、面白いシーンが撮れました。
この♀は腹部下面のスコパに黄色い花粉を満載しています。

訪花中の♀に背後から♂がいきなり飛びつき、2匹は一緒に落下しました。
オオハキリバチには儀式的な求愛行動は無く、いきなり♀を捕まえて交尾を試みるようです。
しかし♀が交尾拒否したのか、♂はすぐに諦めて飛び去りました。
顔色が白い雄蜂♂が最後に写っています。
偶然撮れた一瞬の出来事なので、1/5倍速のスローモーションでまずはご覧下さい。
その後に等倍速でリプレイ。

花盛りのエンジュの木ではオオハキリバチ♀が採餌活動に勤しむ間、多数の雄蜂♂が交尾相手を血眼になって探しつつ飛び回っています(探雌飛翔)。
既に交尾を済ませて採餌活動に専念している♀にとって♂はセクハラを繰り返し仕事の邪魔をする存在(お邪魔虫)でしかありません。


【参考図書】
佐々木陽一『オオハキリバチの交尾戦略―♂はどのようにして♀を獲得するか』(『無名のものたちの世界III』p40-70に掲載された総説)

オオハキリバチは雄性先熟です。
先に羽化した♂は、遅れて羽化してくる♀といち早く交尾するために巣の近くでひたすら待ち伏せ、♂同士が争うのだそうです。
処女♀をめぐる♂同士の闘争において大型の個体が有利ということが既に分かっています。
この先は私しぐまの想像ですが、あぶれた小型の♂は巣の近くでは勝ち目が無いので、♀が採餌する花の周囲で待ち伏せて、少ないながらも♀と交尾するチャンスに賭けているのかもしれません。
あるいは、このエンジュの大木のどこかに小さな樹洞があって、そこにオオハキリバチの巣があるという可能性も考えられます。




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