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2018/10/17

コナラの樹液酒場に来たアオカナブンとスジクワガタ♂



2018年7月中旬

里山の林道沿いで見つけたコナラの樹液酒場でアオカナブンRhomborrhina unicolor)が居ました。
初めは2匹居たのですが、私が崖を登ってコナラの木に辿り着く間に一匹が飛んで逃げてしまいました。
残るは1匹。
幹から滲み出て発酵した樹液を口器で舐めています。
薄暗い夕方なのでストロボを焚いて写真に撮ると、緑色の美しさは失われ、どうしても赤っぽく写ってしまいます。
動画は自然光で撮るので良いのですけど…。
▼関連記事(4年前の撮影)
ミズナラの樹液を舐めるアオカナブン


動画を撮り初めたら偶然アオカナブンがぴゅっと透明なオシッコを排泄しました。(@0:11)


アオカナブンの上にはスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis striatipennis)も見つけました。
こちらは幹にほぼ静止しており、口器も動いていませんでした。

樹液酒場では、他にも得体の知れない微小な虫が色々と蠢いていますね。
これを一つ一つ解明していくだけでも気の遠くなる作業です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アオカナブン+スジクワガタ♂@コナラ樹液酒場
アオカナブン+スジクワガタ♂@コナラ樹液酒場

2018/10/14

マメハンミョウを見つけた!



2018年7月下旬

川沿いの原っぱでヨモギの葉に私が今まで見たことのない甲虫を発見。
証拠写真や映像のスナップショットはそこそこに済ませて、逃げられないうちに採集を優先しました。
焦って手を伸ばすと擬死落下。
地面に転がった虫の足の付け根から黄色い液体(カンタリジン)を分泌していました。
これは毒液なので、素手で触れてはいけません。
これでツチハンミョウの仲間だろうと予測が付きました。

帰ってから名前を調べると、マメハンミョウEpicauta gorhami)と判明。
インターネット上の画像と比べると、この個体は鞘翅の白い縦線が無いのが気になりました。
小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』でマメハンミョウについて調べてみると、

前胸に3条、各上ばね中央と両縁に各1条灰白毛の縦線があるが、東北地方の個体では消失する。
とのことで、納得しました。
派手な模様は有毒生物であることを捕食者(天敵)にアピールするための警告色とされますが、東北地方の個体群がそれを失っているということは、体内に含む毒(カンタリジン)の量が少ないのですかね?

次に見つけたときは、もう少し落ち着いて摂食行動などを観察してみたいものです。

マメハンミョウ@ヨモギ葉
マメハンミョウ@擬死落下+カンタリジン分泌

以下は標本写真。


2018/10/13

クリの樹皮を噛り幹を登るキマワリ



2018年7月下旬

農村部のクリ(栗)の大木でキマワリPlesiophthalmus nigrocyaneus)が幹に取り付いて樹皮をかじっていました。
やがて太い幹をどんどん登り降りし始めました。
あちこちで立ち止まっては樹皮を味見しています。
キマワリの性別判定法も産卵習性も知らないのですが、もしかするとこの個体は樹皮に穿孔してから産卵する♀なのかな?と妄想しました。
最後は蟻と出くわしてビックリ

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


▼関連記事
ミズナラの幹を徘徊するキマワリ


キマワリ@クリ幹+樹皮噛り
キマワリ@クリ幹+樹皮噛り

クリ実(未熟イガ)

2018/10/12

コナラの樹液酒場で交尾するヨツボシケシキスイ♀♂と群がるムネアカオオアリ♀



2018年7月中旬・午後17:50

里山の林道を登っていると、発酵した樹液の濃密な匂いが漂ってきました。
帰路の下山中にも同じ場所で樹液臭がします。
辺りを見回すとスギが多くてそれ以外の樹種は少ないので、樹液臭の元を頑張って探してみることに。
すると案の定、林道の横の崖を少し登った所に生えているコナラの幹に樹液が滲んでいました。

薄暗くなってきた夕方の雑木林で、ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が5匹、コナラの樹液に群がっていました。
甘い樹液を飲み過ぎてアリの腹部の節間膜が伸び切っています。

アリの他には交尾中のヨツボシケシキスイLibrodor japonicus)♀♂ペアが居ました。
樹液を吸汁している♀の背後から♂がマウントして交尾しています。

ストロボを焚いて撮った写真を見返すと、ヨツボシケシキスイ以外にも、とても小さい謎の甲虫も何匹か樹液に来ていました。
マクロレンズで接写する気になれないほど薄暗かったので、そちらは追求せずにスルーしてしまいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ヨツボシケシキスイ♀♂交尾+ムネアカオオアリ♀5群れ@@コナラ樹液酒場
ヨツボシケシキスイ♀♂交尾+ムネアカオオアリ♀5群れ@@コナラ樹液酒場

コナラ葉裏(ミズナラと異なり葉柄が長い)

動画撮影後にヨツボシケシキスイの♀♂ペアを採集しました。
容器内で離れた際に、♂の伸ばした長い交尾器が見えました。
以下は標本の写真。

2018/10/03

トホシオサゾウムシを見つけた!

2018年7月中旬

カナムグラの葉に見慣れないゾウムシが乗っていました。
赤い鞘翅に黒い斑点があり、なかなか格好良いゾウムシです。
慌てることはないだろうと、まず写真を撮ったら、すぐに飛び去ってしまいました。
動画を優先しなかったのは、痛恨のミスです。
調べてみると、トホシオサゾウムシAplotes roelofsi)のようです。
面白いと思った習性は、

メスは、ツユクサの茎に口吻を突き刺して穴をあけ、卵を産む。(昆虫エクスプローラのサイトより引用)
いつか産卵行動を観察してみたいものです。





2018/10/01

棚網に給餌したセマダラコガネを襲うクサグモ(蜘蛛)



2018年7月上旬

▼前回の記事
クサグモ(蜘蛛)の棚網から脱出するセマダラコガネ黒色型

タケニグサの群落にクサグモAgelena silvatica)が作った棚網にしつこく給餌実験を繰り返します。
2匹目の生き餌として、通常型のセマダラコガネa(Anomala orientalis)を投入しました。


セマダラコガネa@イタドリ

すると今度はクサグモがすぐに反応して住居から駆け寄りました。
このとき獲物に噛み付いて毒液を注入したかどうか、よく見えませんでした。
襲われたセマダラコガネは後脚を高々と持ち上げた万歳姿勢で威嚇・防御します。
クサグモは糸で獲物をラッピングせずに、獲物を軽く咥え住居に持ち帰り始めました。
慌てているのか、途中で2回も獲物を棚網に落とし、拾い直しました。

やがてセマダラコガネは棚網で仰向けにひっくり返り、脚をピクピク動かしています。
断末魔の獲物をクサグモはじっと見ているだけで、毒が回るのを待っているようです。
ようやくセマダラコガネは動かなくなりました。

ところが、雨の水滴があちこちに付着した棚網に獲物を残したまま、なぜかクサグモは一旦住居に戻りました。
食べ残しの方が気になるのかな?
管状住居内で方向転換すると、再び棚網に出てきて、セマダラコガネを住居へ搬入します。
ようやく落ち着いて捕食が始まります。
獲物を噛んで時間をかけながら体外消化するのです。


シリーズ完。


クサグモ(蜘蛛)@棚網+セマダラコガネ給餌実験:bite
クサグモ(蜘蛛)@棚網+セマダラコガネ給餌実験:bite
クサグモ(蜘蛛)@棚網:住居網+セマダラコガネ捕食

2018/09/29

柳の樹液を吸いに集まるヨツボシケシキスイ



2018年7月中旬

湿地帯に生えた柳の灌木(樹種不明)で樹液が滲み出ている幹がありました。
発酵して白く泡立っている物を指で触れて嗅ぐと樹液の甘酸っぱい発酵臭がしました。

その樹液酒場にヨツボシケシキスイLibrodor japonicus)が集まっていました。
樹液を吸汁しながらときどき腹端から排泄しているようです。(@0:21、1:30)
樹液が泡立って白い塊になった部分だけでなく、樹液で濡れているものの泡立ってはいない部分の幹にも来ていました。
樹皮の隙間や割れ目に隠れている個体もいました。
ヨツボシケシキスイは昆虫ゼリーを餌として飼育できるらしいので、機会があれば挑戦してみるつもりです。

柳の樹液酒場には得体のしれない謎の幼虫も蠢いていました。
小さなハエも来ています。(種名不詳)



森上信夫『樹液に集まる昆虫ハンドブック』によれば

(ヨツボシケシキスイは)平地〜低山地まで広く分布し、個体数も非常に多い。クヌギやコナラなどの樹液に来る。昼間のほうが活発だが、昼夜問わずに体ごと樹液に埋没しているような姿でいることが多く、活動中か休息中か判断しづらい。クワガタムシのような立派な大あごをもつが、これを使って戦う姿をみたことはない。 (p52より引用)


山渓フィールドブックス13『甲虫』によると、
ヨツボシケシキスイは成虫がクヌギなどの樹液に集まり、周囲の樹皮のすき間に産卵する。孵化した幼虫は雑食性で、樹液だけでなく、他の昆虫類の幼虫も捕食して育ち、7月頃に木の根元近くの樹皮下などに潜って蛹になる。 (p97より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ヨツボシケシキスイa@柳樹液吸汁
ヨツボシケシキスイa@柳樹液吸汁・全景
ヨツボシケシキスイb@柳樹液吸汁
ヨツボシケシキスイb@柳樹液吸汁(左の樹皮の隙間・割れ目にも隠れている)
ヨツボシケシキスイb@柳樹液吸汁・全景

2018/09/27

ノブドウの葉で交尾するマメコガネ♀♂



2018年7月中旬

堤防の階段に蔓延るノブドウの群落でマメコガネPopillia japonica)の群れを見つけました。
葉上で交尾中の♀♂ペアが居ます。
♂が♀の背にマウントしているだけで交尾器は結合していませんでした。
交尾後ガードなのかな?
あぶれたもう一匹がすぐ横で葉を食害しているようです。
更にもう一匹が飛来し、どこか近くに着陸しました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


マメコガネ♀♂群れ@ノブドウ葉+交尾



2018/09/25

クサグモ(蜘蛛)の棚網から脱出するセマダラコガネ黒色型



2018年7月上旬
▼前回の記事
棚網に給餌したワラジムシを嫌うクサグモ(蜘蛛)


クサグモAgelena silvatica)に給餌する生き餌として、近くのイタドリの群落で見つけたセマダラコガネAnomala orientalis)を2匹捕獲してきました。

まずは黒色型のセマダラコガネbをクサグモの棚網に投入してみました。
しかし住居内のクサグモはなぜか無視。
セマダラコガネはすぐに非粘着性の網を破って下に脱出してしまいます。

同一個体を拾い上げて、再び棚網に投入しても結果は同じでした。
クサグモは反応せず、セマダラコガネ黒色型は網を破って下に落ちて脱出成功。
やはり、このクサグモは食欲が無いのでしょうか?

つづく→棚網に給餌したセマダラコガネを襲うクサグモ(蜘蛛)


セマダラコガネa@イタドリ葉
セマダラコガネb黒色型@イタドリ茎

2018/08/18

ナミテントウの羽化後半:後翅伸展と黒色型二紋型の斑紋形成【100倍速映像】



ナミテントウの飼育記録#14


2018年5月下旬・午前1:34〜5:38・室温25℃→24℃

▼前回の記事
ナミテントウ黒色型二紋型:羽化直後の徘徊と身繕い

蛹から抜け出ただけではナミテントウHarmonia axyridis)の羽化は終了ではありません。
羽化後半のプロセスを100倍速の早回し映像をご覧下さい。

まず黄色い後翅が伸びます。
後翅が完全に伸び切って乾くと、鞘翅(前翅)の下に畳み込まれます。
次は鞘翅(前翅)が少しずつ色付き始めます。
ナミテントウの成虫は同じ親から生まれても背中の模様にバリエーションがあり、メンデルの法則に従うことが知られています。
この個体は黒色型二紋型になりました。
このパターンは当地では最も高頻度に見られるものです。
これで完全変態が無事に完了し、飛べるようになりました。
ナミテントウ新成虫はその間、棒の側面でほぼ静止していますが、ときどき身繕いしたり、小移動したりしています。



↑【おまけの動画】
同じ素材で早回し速度を60倍速に落とした映像をブログ限定で公開します。


つづく→#15


ナミテントウ黒色型二紋型R羽化直後1(黄色シワシワ)@棒
ナミテントウ黒色型二紋型R羽化直後1(黄色)@棒
ナミテントウ黒色型二紋型R羽化直後1(黒化開始)@棒
ナミテントウ黒色型二紋型R羽化直後1(黒化済)@棒

2018/08/16

ナミテントウ黒色型二紋型:羽化直後の徘徊と身繕い




ナミテントウの飼育記録#13


2018年5月下旬

▼前回の記事
ナミテントウ黒色型二紋型の羽化【10倍速映像】

蛹から抜け出したばかりのナミテントウHarmonia axyridis)の新成虫Rが台紙(ボール紙)の上をウロウロと歩き回っています。

ナミテントウの成虫は同じ種類でも背中の模様にバリエーションがあり、メンデルの法則に従うことが知られています。
この個体Rはどうでしょうか?
この時点で鮮やかな黄色をした鞘翅(前翅)に薄っすらと斑紋が浮かび上がって見えます。
したがって、シンプルな二紋型と分かりました。

これから羽化の後半の過程として、後翅を伸ばし、前翅(鞘翅)が色づくはずです。
(後翅の翅芽が伸び切り固まっていない状態では、未だ飛べません。)
落ち着いて翅を伸ばせるように棒を差し出したら登ってくれました。
棒の側面で上向きに静止し、身繕いを始めました。
鞘翅の表面は未だ張りがありません(接写すると凸凹していてシワシワ)。

つづく→#14:ナミテントウの羽化後半:後翅伸展と黒色型二紋型の斑紋形成【100倍速映像】


2018/08/14

ナミテントウ黒色型二紋型の羽化【10倍速映像】



ナミテントウの飼育記録#12



▼前回の記事
羽化前の眠でも微動だにするナミテントウの蛹RL【50倍速映像】

2018年5月下旬・深夜・室温24.9℃、湿度47%

右側のナミテントウHarmonia axyridis)蛹Rから遂に成虫の羽化が始まりました。

蛹Rは断続的に繰り返していた背筋運動を止め、伏せた状態で激しい蠕動をしています。
左側の蛹Lと比べて表面が白っぽく見えるのは、蛹のクチクラの直下に薄い空気の層が出来たからでしょう。
やがて胸背が割れ、羽化が始まりました。
美しい黄色の成虫が抜け出てきました。(頭部、胸部は黒色)
台紙(ボール紙)に足を付いて前進するものの、未だ腹端が脱げません。
足元が滑って脱げないのではなく、脚がしっかり固まって踏ん張れるようになるまでしばらく待っているのでしょう。
体から伸びている細くて白い糸のような物は、気管の抜け殻です。
成虫が羽化殻から完全に抜けだした後はピントが合わなくなり、撮影終了。

つづく→ナミテントウ黒色型二紋型:羽化直後の徘徊と身繕い

ヨモギの葉に残された羽化殻は地色が焦げ茶色で、黒い斑紋がありました。
ヨモギの葉に固定された腹端には前蛹の脱皮殻もクシャクシャに丸まった状態で一緒に残っています。


ナミテントウ黒色型二紋型R羽化殻:背面+scale
ナミテントウ黒色型二紋型R羽化殻:背面+scale
ナミテントウ黒色型二紋型R羽化殻:前面
ナミテントウ黒色型二紋型R羽化殻:側面
ナミテントウ黒色型二紋型R羽化殻:腹端+前蛹脱皮殻

並べて観察していた蛹Lからも遅れて成虫が羽化してきました。(動画には撮れず写真のみ)


2018/08/12

羽化前の眠でも微動だにするナミテントウの蛹RL【50倍速映像】



ナミテントウの飼育記録#11


▼前回の記事
蛹化したばかりのナミテントウが背筋運動でアブラムシを撃退

2018年5月下旬・午後18:55〜午前1:27・室温25℃前後

飼育しているナミテントウHarmonia axyridis)の羽化があちこちで始まったようです。
羽化を見逃した成虫を計4匹、採集しました。

卵塊から孵化してから20日目、蛹化してから5日目のことです。
私は甲虫の飼育経験があまり無いのですが、今まで飼育してきた鱗翅目の蛹期が10日前後だったのに比べると、ナミテントウの蛹期が短い(たった5日!)ことに驚きました。
室温が高かったためでしょうか?
昆虫の中でも原始的なグループである甲虫類は、一般に蛹期が短いのですかね?

これから羽化しそうな蛹の付いたヨモギの葉をハサミで切り取り、2匹の蛹を並べて置いて、成虫が羽化するまで一緒に監視することにしました。
微速度撮影で蛹の前面からと側面から同時に記録します。
ヨモギの葉片は萎れると丸まってくるので、予め糊で台紙に貼り固定しました。
羽化する新成虫が這い出すことを予想して、少し隙間を開けて蛹を並べました。

ナミテントウの成熟した蛹は赤と黒の派手な斑紋になり、ヨモギの葉の緑に対して非常によく目立ちます。
毒々しい警告色になっているようです。
蛹にピンセットで触れてみても、暴れたり動いたりしませんでした。(映像なし)
触覚刺激に対して無反応なので、体内寄生されたのかと心配になりました。
羽化前のみん状態なのでしょう。

50倍速の早回し映像で蛹の動きをご覧下さい。
映像の冒頭で微細な白いダニ?が左の個体(蛹L)の上を這い回りました。
逃げられない蛹Lは初めこそピクッと反応したものの、あとは特に気にしない様子でした。

蛹はピクピクと蠕動運動するだけでなく、ときどき自発的に背筋を使ってグイッと起立運動するようになりました。
ヨモギの葉に固定した腹端を支えにして背筋で立ち上がる運動を断続的に繰り返しています。
しばらくするとパタンと倒れてヨモギの葉に伏せます。

佐藤有恒『科学のアルバム:テントウムシ』という本によると、蛹が自発的にやるこの背筋運動は直射日光を浴びて体温調節のために行うとの記述がありました。

 とつぜん、さなぎがピクッとおきあがりました。ちょうど太陽が木のかげからのぼり、さなぎに光があたったときです。
 きっと、またからだの中の温度計がはたらき、からだの角度をかえて、からだにうける日光の量を調節しているのでしょう。
 ぐうぜん、アリがさなぎにちかづきました。アリがさなぎにふれたとたん、またピクッとからだをおこしました。
 さなぎはにげることができません。だから、敵のけはいをかんじたさなぎは、とつぜんからだをおこして、あいてをおどろかそうとしたのでしょう。 (p22より引用)
野外観察を元にしたユニークな仮説ですが、これは少し疑わしいのではないかと私は思います。
今回の撮影で補助照明として白色LEDのリングライトを一定の方向から照射し続け、並べておいた蛹2匹の行動が違ったからです。
ただし、蛹2匹の発生段階が微妙に異なる上に、光源に対して同じ向きに並べなかったので、反証としては弱いです。
蛹の体温(体表温)を連続測定しながら動きを動画で記録すれば、決着が付くでしょう。
サーモグラフィカメラで蛹を微速度撮影すれば一石二鳥で面白そうです。

右の個体Rに注目すると、背筋運動の際に完全に直立するのではなく斜めになっていました。
固定された腹端に前蛹の抜け殻が挟まって残っていますから、蛹の可動域が制限されているのかもしれない、と想像しました。

いよいよこれから右側の蛹Rから成虫が羽化して来ます。

つづく→#12:ナミテントウ黒色型二紋型の羽化【10倍速映像】


ナミテントウ蛹2: R,L@ヨモギ葉片
ナミテントウ蛹2: R,L@ヨモギ葉片

2018/08/02

蛹化したばかりのナミテントウが背筋運動でアブラムシを撃退



ナミテントウの飼育記録#10



▼前回の記事
ナミテントウの蛹化【60倍速映像】

2018年5月下旬

蛹化したばかりで未だ黄色のナミテントウHarmonia axyridis)蛹aが自発的に背筋運動を繰り返す様子を動画で記録してみました。
ヨモギの葉表に固定した腹端を支点にして、ときどき上半身をぐいっと持ち上げています。
しばらくすると脱力してゆっくりと体を伏せます。
この個体は斜めに伸びたヨモギの葉に対して頭を下向きに蛹化したので、わざわざ重力に逆らって体を背筋で持ち上げていることになります。
背筋運動で起立する際に、腹部の下半身がプクッと膨らむことがありました。(@2:20)
この自発的な背筋運動にどういう意味があるのか、私には分かりません。(※追記参照)

こんな鮮やかな黄色で動いていたら天敵(捕食者)に対して目立って仕方が無いと思うのですけど、体内に毒を持っていることを示す警告色なのでしょうか?

ヨモギの葉を徘徊中のアブラムシが近寄って来たり這い登りそうになると、ナミテントウ蛹はパタパタと激しく背筋運動して追い払いました。(威嚇、撃退)
「変態中の蛹は死んだように動かないもの」という先入観を昆虫に対して抱いている人がいるかもしれませんが、テントウムシを飼育するとこれが覆されます。
蛹は移動性を失っているので天敵(捕食者、寄生者)に対して無防備ですが(逃げられない)、これだけ元気ならアリぐらいなら背筋運動で追い払えそうです。

つづく→#11:羽化前の眠でも微動だにするナミテントウの蛹RL【50倍速映像】




※【追記】
鈴木知之『さなぎ(見ながら学習・調べてなっとく)』でテントウムシの蛹について調べてみると、面白い解釈が書いてありました。
第4〜7腹節背面の前縁が大きく抉れ、ジン・トラップとなっている。蛹は赤と黒の警戒色で、成虫のように毒液は出しませんが、秘密兵器を備えています。(中略)蛹が通常の状態では腹脚の溝は開いていて、その溝に何者かが触れると腹部を伸ばすことで溝が閉じ、侵入者を挟みます。撃退対象はおそらく、寄生バチやアリでしょう。 (p50より引用)


2018/07/31

ナミテントウの蛹化【60倍速映像】



ナミテントウの飼育記録#9



▼前回の記事
脱皮前の眠で微動だにするナミテントウ前蛹【100倍速映像】

2018年5月下旬・午前10:40〜午後15:40・室温〜25℃

いよいよナミテントウHarmonia axyridis)前蛹bの蛹化が始まります。
60倍速の早回し映像をご覧下さい。
(初めにカメラの画角を決めるときは、蛹化の際に立ち上がることも考慮して、特に縦の画角からはみ出ないように注意が必要です。)

冒頭で、腹背後部の左側面から黄色の液体が一滴滲み出しているのが興味深く思いました。※
天敵に対する忌避物質を含むと思われるこの液体は、すぐ自然に体内に引っ込みました。
前蛹の時期にも分泌するとは知りませんでしたが、無防備な状態なので納得です。

佐藤有恒『科学のアルバム:テントウムシ』によると、

つまんだとき、指には黄色いしるがのこります。そのしるはとてもくさく、強いにがみがあります。
きけんをかんじると、足の関節から黄色いしるをだします。 (p34より引用)


七尾純『カラー自然シリーズ:テントウムシ』によれば、

小鳥にくわえられると、テントウムシは、あしのつけねの関節から、黄色い、にがい液を出します。にがい味を知った小鳥は、二度と食べようとはしないでしょう。



終齢幼虫が前蛹になるときに、ヨモギの葉表に腹端でしっかり固定しています。
ヨモギの葉に伏せていた前蛹はやがて、固定した腹端を支点に背筋運動で何度も繰り返し起き上がるようになりました。
全身の蠕動運動も始まり、胸背の表皮が割れ始めました。
脱皮しながら起立姿勢になります。
完全に脱げた黒い抜け殻は腹端に丸めてあります。
脱皮直後の蛹は鮮やかな黄色でした。
その後も蛹は背筋運動を繰り返します。
蛹のクチクラが硬化するにつれて、赤くなった背面に特徴的な黒紋が浮かび上がってきました。
早回し映像なので、背脈管が激しく拍動しています。(昆虫の心臓は背側の正中線にあります)
終齢幼虫→前蛹→蛹とステージが進むにつれて、体長が縮んでテントウムシらしい丸みを帯びた体型になりました。


【おまけの動画】
同じ素材で早回し速度を落としたバージョンをブログ限定で公開しておきます。



↑30倍速映像



↑10倍速映像

つづく→#10:蛹化したばかりのナミテントウが背筋運動でアブラムシを撃退


ナミテントウ蛹b:側面起立@ヨモギ葉+脱皮(蛹化)直後
ナミテントウ蛹b:側面@ヨモギ葉+脱皮(蛹化)直後
ナミテントウ蛹b:背面@ヨモギ葉+脱皮(蛹化)直後+scale

2018/07/29

脱皮前の眠で微動だにするナミテントウ前蛹【100倍速映像】



ナミテントウの飼育記録#8


▼前回の記事
ナミテントウ終齢幼虫の徘徊


2018年5月下旬・午前5:20〜10:35

ナミテントウHarmonia axyridis)終齢幼虫と思われる個体の中に、ヨモギの葉で静止したまま長時間動かない個体がいます。
この前蛹bに注目して、蛹化するまで微速度撮影してみました。
100倍速の早回し映像をご覧下さい。

腹端を葉に固定したまま、基本的には伏せた姿勢で静止しています。
ときどき断続的に蠕動していることが分かりました。
歩脚も一緒にピクピク動いています。
この時点では、これから本当に蛹化するのか半信半疑でした。

前蛹が付いているヨモギの葉を葉柄から切り落とし、長撮り中に葉が萎れて変形しないように、葉先と根本に文鎮を載せて固定しました。



↑【おまけの動画】
早回し速度を少し落とした60倍速映像をブログ限定で公開しておきます。

つづく→#9:ナミテントウの蛹化【60倍速映像】


2018/07/27

ナミテントウ終齢幼虫の徘徊



ナミテントウの飼育記録#7


▼前回の記事
脱皮中のナミテントウ若齢幼虫【10倍速映像】


2018年5月下旬

ナミテントウHarmonia axyridis)の幼虫が順調に育ち、ここまで丸々と太りました。
おそらく終齢幼虫だと思うのですが、何回脱皮したのか個々に記録していないので分かりません。
今後の反省として、飼うのはごく少数の個体(1〜2匹)に絞ってじっくり観察する方が私のスタイルに向いているようです。

ヨモギの葉を徘徊していても、食欲が無いのか、何故かアブラムシを捕食しようとしません。
逆にナミテントウ幼虫の体にアブラムシが乗ってくることがありました。
それでも無視するだけで捕食しませんでした。
そろそろ蛹化するのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#8:脱皮前の眠で微動だにするナミテントウ前蛹【100倍速映像】


ナミテントウ終齢?幼虫+アブラムシおんぶ

2018/07/25

脱皮中のナミテントウ若齢幼虫【10倍速映像】



ナミテントウの飼育記録#6

▼前回の記事
アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ

2018年5月中旬・午後14:31〜15:06・室温26℃

30匹ものナミテントウHarmonia axyridis)の若齢幼虫を同時に多頭飼育していると、生き餌の調達など日々の世話に追われて、どうしても観察が散漫になってしまいます。(目移りしてしまう)
ヨモギの葉に静止していた個体がいつの間にか脱皮していました。
脱皮直前のみん状態の幼虫は、必ずしも葉裏に隠れるとは限らず、目立つ葉表でじっとしている個体もいました。
脱皮する直前の前兆がよく分かりません。

じっとしている幼虫を撮り始めても途中で動き始めてしまったりするのです。(脱皮前の眠ではなかった。)

葉裏に下向きに静止してまさに脱皮中の別個体に狙いを定め、マクロレンズで微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。

上半身だけ既に抜け出ており、歩脚が固まるのを待っている状態でした。
重力を利用しているのか、頭を下に向けた姿勢で脱皮しました。
近くを別個体のナミテントウ幼虫が徘徊しても逃げません。(逃げられません)
餌のアブラムシが少ない状態だと、無防備な脱皮中によく共食いされるそうなので、注意が必要です。

やがて下半身も完全に抜け出ると、抜け殻の横に並んで下向きに静止しました。
背面両側に赤い縦線状の斑紋が現れました。(二齢幼虫かな?と思うものの、定かではありません。)
脱皮殻を食べることはなく、その場に残して幼虫は立ち去ります。

三脚にカメラを固定しているのに、長撮りの途中で被写界深度が浅いマクロレンズの焦点が合わなくなってしまいました。
何度も微調整する羽目になり、悩まされました。
どうやら水差しにしたヨモギの葉が少しずつ萎れているせいで、葉柄の角度が刻々とわずかに変わってしまうようです。
葉先をクリップなどで予め固定しておくべきでしたね。

つづく→#7:ナミテントウ終齢幼虫の徘徊


ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉裏+脱皮中
ナミテントウ若齢幼虫:脱皮殻@ヨモギ葉裏

2018/07/23

アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ



ナミテントウの飼育記録#5


2018年5月中旬

▼前回の記事
ヨモギヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫

道端からヨモギを採集してくる際に、一緒についてくるアリを完全に取り除いておく必要があります。
アブラムシが分泌する甘露を報酬として、アリはアブラムに随伴し、その天敵から守るボディーガードとして働きます。

ヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)を捕食中のナミテントウHarmonia axyridis)若齢幼虫に対してボディーガード役のクロアリ(種名不詳)のワーカー♀が激しく噛み付いたり腹端から蟻酸を吹きかけたりしていました。
ところがナミテントウ幼虫はアリから攻撃を受けても平然と捕食を続け、逃げたりしませんでした。
テントウムシの幼虫は体表のトゲトゲで自衛しているようです。
逆になぜかアリの方がどこかへ行ってしまいました。
アリを同定する前に素早く逃げられてしまったのが残念です。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#6:脱皮中のナミテントウ若齢幼虫【10倍速映像】


2018/07/21

ヨモギヒメヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫



ナミテントウの飼育記録#4


2018年5月中旬


▼前回の記事
ヨモギの葉を徘徊するナミテントウ若齢幼虫


背中の赤紋が点のような一対のみあるのは、ナミテントウHarmonia axyridis)の若齢幼虫の特徴です。
ヨモギの若葉に群がって吸汁していたヨモギヒメヒゲナガアブラムシMacrosiphoniella yomogicola)と思われる集団を見つけると、大型の個体(成虫?)にいきなりガブリと噛み付いて捕食開始。
餌食になったアブラムシは全く抵抗しません。
周りに居る小型のアブラムシも慌てて逃げたりしないので、利他性を発揮して警報フェロモンなどは分泌していないようです。



佐藤信治『テントウムシ観察記 (写真絵本 ぼくの庭にきた虫たち)』によると、

・アリマキを食べるナミテントウ
幼虫はエサを口で直接捕えて食べているのを、成虫はエサを前足で持って食べるのをよく見かけた。 (p9より引用)
・(ナミテントウ)孵化2日後には、1回目の脱皮がみられ、体長は3匹が3.5mm、2匹が3mm、黒地に赤い点が2つ見える。その翌日、早くも2回目の脱皮で、体長5mmになり、赤い点は線に変わった。 (p18より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#5:アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ





【追記】
アブラムシの名前について。
ナミテントウ幼虫の生き餌として、ヨモギをホストとする緑色のアブラムシのコロニーを与えました。
手元の図鑑『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』を参考にしてヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)だろうと判断しました。


私はアブラムシ専門の図鑑や資料を持っていなくて、上記の古い図鑑(2001)しか持っていないのです。ところが、この和名でインターネット検索してもヒットするのは「ヨモギ”ヒメ”ヒゲナガアブラムシ」ばかりで、しかも学名は同じ(Macrosiphoniella yomogicola)でした。
一体これはどういうことなのか分からず、頭が混乱します。
最近になって和名が改名され、ヒメが付いたということなのですかね?
虫の和名でヒメが付くのは、あくまでもスタンダードな種類「(ナミ)○○○」と比べた上で、小型の種類「ヒメ○○○」がいる、というイメージです。
したがって、アブラムシで「ヒメ無し」が消えて「ヒメ有り」だけが残ったのは、事情がわからない素人からすると、ちょっと変な感じです。

九州大学昆虫学教室のデータベース「日本産昆虫学名和名辞書」を検索すると「Macrosiphoniella yomogicola ヨモギヒゲナガアブラムシ」が登録されているので、図鑑『校庭の〜アブラムシ』の単純な誤植ではないと思います。
一方、「ヨモギヒメヒゲナガアブラムシ」という和名はデータベースに登録されていませんでした。

疑問に思った私は、いつもお世話になっている虫Navi掲示板で問い合わせてみました。
するとtsukiさんから以下の回答を頂きました。
私は主に「アブラムシ入門図鑑」を参考にしていますがそれによると、ヨモギヒメヒゲナガアブラムシMacrosiphoniella yomogicolaとなっています。
ただ、近縁種にアオヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogifoliae)がいて、「日本原色アブラムシ図鑑」ではこの種の別名がヨモギヒメヒゲナガアブラムシで、ヨモギヒゲナガアブラムシがMacrosiphoniella yomogicolaとなっています。

「アブラムシ入門図鑑」の誤りであれば正誤表にも載ると思うのですが、正誤表にもなく、「日本原色アブラムシ図鑑」が非常に古い図鑑なので「アブラムシ入門図鑑」に従っています。専門家ではないのでこれ以上のことは判断いたしかねますのでご了承ください。


経緯がややこしいのですが、やはり「ヒメ無し」の和名は古くて廃れたみたいです。
という訳で、この記事でも「ヨモギヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)」と改めておきます。
九大の「日本産昆虫学名和名辞書」データベースも情報が少し古いことが他の例でも分かっているので、何事も鵜呑みにせずアンテナを広く張って総合的に判断するしかありません。

ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食
ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食

ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食 

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