前回の記事:▶ 真夏の昼間に巣穴を掘り広げるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】
2024年9月中旬・午前11:00頃・くもり・気温27℃
しばらく留守にしていた営巣地(セット)にニホンアナグマ(Meles anakuma)の母子が久しぶりに帰ってきました。
先行する成獣の腹面に乳首があるので、母親♀と分かります。
その母親♀が、巣口Lに溜まっていた土砂や落ち葉を外に掻き出してから、別の巣口Rへ向かいました。
後からついて来た幼獣は、母親♀がさっき掃除した巣口Lの匂いを嗅いだだけで、中には入りませんでした。
別アングルに設置した自動センサーカメラで続きが撮れていました。
先行する母親♀は、もうひとつの巣口Rでも保守作業の穴掘りしながら中に入りました。
せっかく久しぶりに帰巣したのに、居心地がよくなかったのか、長居することはありませんでした。
セットを離れたアナグマの母子は、奥の二次林に向かいました。
後続の個体(幼獣?)が獣道でちょっと座りました。
尻を地面に擦り付けはしなかったものの、スクワットマーキングかもしれません。
【考察】
当歳仔の幼獣は最近まで3頭いたはずなのに、今回は1頭しか登場しませんでした。
残る2頭の幼獣たちは、どこに行ったのでしょうか?
一時的に別行動で採食しているのなら良いのですが、母親♀とはぐれたのかな?
それとも子別れが完了し、残ったのはヘルパー候補の幼獣だけなのかもしれません。
いつものようにPerplexity AIに相談してみると、
山形県でのトレイルカメラ観察で9月中旬に、3頭いた当歳仔のうち母親と一緒にいる幼獣が1頭だけになったのは、まさに子別れが進行中であると考えて問題ありません。
ニホンアナグマの当歳仔は秋頃(9〜10月)に独立する傾向があるため、9月中旬はちょうど離散が始まる時期にあたり、他の幼獣が巣穴周辺を離れて単独行動を始めた可能性が高いです。残った1頭はまだ母親と同居しているか、協同繁殖的な行動で手伝いをしているメスの幼獣であることも考えられます。
したがって、観察された状況は典型的なニホンアナグマの子別れの過程として理解できます.wikipedia+2
ニホンアナグマの当歳仔は、おおまかに「秋(9〜10月ごろ)」に親から独立し、子別れすると考えられます。wikipedia+2
子別れの時期の目安
繁殖期は春で、出産は春〜初夏、生後2〜3か月で巣穴外に出て行動範囲が広がり、夏には親とほぼ同じ大きさになります。instagram+2
秋になると、冬眠に備えて脂肪を蓄えつつ、この時期が「子別れ」の時期とされ、子は親から独立して単独で採食行動をとるようになります。hollyshit.fc2+2
行動生態的な整理
春生まれ(4〜5月前後)とすると、独立時には生後およそ4〜6か月齢に達しており、体格的には成獣に近く、単独生活に耐えられる状態になっています。wikipedia+2
ただし、メスの娘が1頭だけ母親と同居し、翌年の繁殖時に子育てを「手伝う」協同繁殖的なケースも報告されており、全ての当歳仔が完全に離散するとは限らず、特にメスでは親元に残る個体もいます。jglobal.jst+1
来季のヘルパーを務める幼獣は♀が多いらしいのですが、まだ定説として固まっておらず、♂の場合もあるそうです。
私はアナグマ幼獣の性別を外見で見分けられないのですけど、少なくとも当地の個体群では、力が強くて穴掘りが得意な♂がヘルパーになるのではないかという気がしています。
このニホンアナグマ母子にとって、この巣穴はどうやら別宅(別荘)のようで、本宅は別の場所にあるような気がしています。
複数用意してある巣穴を点々と移動しながら暮らしているのでしょう。
しかしアナグマを一次捕獲して電波発信機やGPSを取り付けない限り、巣穴を見つけるのは難しそうです。
冬に雪面に残された足跡を辿って行くという雪国ならではの方法(アニマルトラッキング)もあるのですけど、アナグマは冬ごもりしてほとんど活動しなくなってしまいます。
つづく→
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