2022/10/22

右目を失明したニホンイノシシが夜霧の水場に登場【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月下旬・午後20:32 

山中の泉をトレイルカメラで監視していると、濃霧が立ち込める晩に謎の獣が対岸の林道に現れました。 
赤外線の暗視映像で、爛々と光る目が1個だけ左に動いています。 
カメラ目線になっても(正面を向いても)左目しか光っていません。
右目の光が失われている(失明)ようです。 
謎の獣が水辺に近づくと、うっすらとニホンイノシシSus scrofa leucomystax)の姿が見えました。 
警戒心が強く、池畔に立ち止まって周囲の匂いを頻りに嗅いでいます。 
最後は林道を左に立ち去りました。
関連記事(1年前の撮影)▶  
雨の夜に水場の横を通り過ぎるニホンイノシシ【トレイルカメラ:暗視映像】 
水場の畔を深夜徘徊するニホンイノシシ【暗視映像:トレイルカメラ】

この水場に設置したトレイルカメラにイノシシは過去2回写っていますが、右目を失明した隻眼のイノシシは初登場です。 
最近になってイノシシ同士の激しい喧嘩で牙に突かれて負傷したのでしょうか? 
個体識別する上で、これほど分かりやすい特徴はありません。 
隻眼の野生動物はかなりのハンディキャップだと思いますけど、なんとか生き延びて元気な姿をまた見せて欲しいものです。(同じ水場に再登場した動画を公開)
関連記事 ▶ 右目が失明したハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

この池に通りかかるイノシシは、水を飲んだり浴びたりしたことが一度もありません。 
イノシシは泥浴び(ヌタ打ち)が大好きなはずなのに、ここで披露してくれないのは不思議です。
カメラの存在に気づいて警戒しているのかな? 

※ 動画編集で加工したりせず、オリジナルの動画ファイルをそのままYouTubeにアップロードしたのに、濃霧を表現できず画質が不自然なモザイク状にかなり劣化しているのは残念です。 

ホンドタヌキの溜め糞から吸汁するイチモンジチョウ

 

2022年7月下旬・午後14:30頃・晴れ 

スギ林道の溜め糞場sを監視しているトレイルカメラの電池を交換するために現地入りすると、林床に1頭のイチモンジチョウLimenitis camilla japonica)が居ました。 
私が知らずにズカズカと近づくと警戒して少し飛び去ったものの、しばらくじっと待つと舞い戻って来ました。 
スギの落葉や落枝が敷き詰められた林道の地面が日溜まりになっています。 
イチモンジチョウは口吻を伸ばして地面を味見しながら歩き回り、お気に入りの場所を探り当てたようです。 

翅を緩やかに開閉しながら口吻を伸ばして林床の地面を舐めています。 
性成熟に必須のミネラル成分を獣糞から摂取しているのでしょう。 
この個体は翅先が丸みを帯びているので、性別は♀ではないかと思うのですが、どうでしょうか?(自信なし) 
真横から見ても翅を閉じると腹端が隠れて見えないのですが、腹部は常に真っ直ぐなので「吸い戻し」の排尿はしていないと思います。 

しばらくすると、イチモンジチョウはようやくタヌキの糞塊そのものに移動して長々と吸汁を始めました。 
溜め糞の表面は新鮮な下痢便で覆われています。 
しかし糞塊そのものは味が濃厚過ぎるようで、辺縁部に移動して糞が付着したスギ落葉を舐めて回ります。 
糞塊には糞虫やハネカクシ類などの先客が集まっているので蝶はあまり落ち着いて吸汁出来ない、という事情があるのかもしれません。
満ち足りたイチモンジチョウは自発的に飛び立ち、辺りを低く飛び回るともう戻って来ませんでした。 

この溜め糞場sはタヌキとアナグマが共有しています。 
トレイルカメラで撮れた映像を確認すると、イチモンジチョウが舐めていたのはニホンアナグマではなくホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が排泄した糞でした。 

イチモンジチョウは汚物をよく舐めていますが、獣糞で吸汁するシーンは初見です。
関連記事(12、14年前の撮影)▶  
イチモンジチョウのペレット吸汁 
ニホンカモシカの白骨化死骸から吸汁するイチモンジチョウ

2022/10/21

オタマジャクシの群れが池の中で日陰に偏って分布する謎

 

前回の記事:▶ 後脚が生えてきたオタマジャクシの大群

2022年7月中旬・午後13:10頃・晴れ 

前回の2日後にも頑張って山中の水場にやって来ました。 
冷たい湧き水(地下水)が溜まっている泉です。
日陰になっている左岸の浅瀬では、相変わらず膨大な数の黒いオタマジャクシがひしめき合い、蠢いています。 
あまりにも密集していて、脚の発達具合(変態)を確かめられません。 
オタマジャクシを観察容器ですくって見れば良いのですけど、今回は横着してサンプリング調査をやりませんでした。 
こんなに密集していては酸欠状態になるのではないかと心配になります。
水面にはアメンボの幼虫(種名不詳)が浮いています。 

一方、日当たりの良い右岸では水中を遊泳するオタマジャクシの密度が低く、数が疎らです。 
素人考えでは水温が高い方が生育が早まって有利ではないかと思うのですが、酸素濃度が低かったりするのでしょうか?
池の中で右岸よりも左岸の方がオタマジャクシの餌が圧倒的に豊富とは思えません。 
日向の右岸では昼行性の捕食者に狙われやすいので、明るい日中は日陰者としてひっそり暮らしているのかもしれません。 
つまり、水温の高い日向は発生が早い利点があるものの、捕食者に狙われやすい欠点がありそうです。
関連記事 ▶ 山中の池に飛び込んで獲物を捕食するアカショウビン【野鳥:トレイルカメラ】

オタマジャクシの密度が低い右岸では、個々のオタマジャクシをじっくり観察できます。 
頭でっかちですけど、後脚の肢芽が生えかけているようです。 
同じ池の中でもオタマジャクシの発育の程度が不揃いなのは、複数回に分けて産卵した結果と思われます。 
アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生ではないかと予想しているのですけど、別種の幼生が混じっている可能性もありそうです。 

不定期の観察のため、オタマジャクシの成長記録としては不完全です。 
子ガエルへと変態が完了した個体はさっさと水場から上陸するはずですから、発育の遅いオタマジャクシばかりが池に残ることになります。 
本当は採集したオタマジャクシを飼育してじっくり観察したいところです。 
しかし、オタマジャクシを山中から家まで生きたまま持ち帰るミッションが想像するだけでも大変だ…という言い訳をして二の足を踏んでいます。 
今回は温度計を忘れてしまい、池の水温も気温も測っていません。 


ノコギリクワガタ♂を捕まえた!

 

2022年7月中旬・午後16:10頃・晴れ
関連記事 ▶ コナラの樹液を吸うアオカナブンとしばし遊ぶ

里山の雑木林で上記アオカナブンを捕獲しようとコナラの樹液酒場に近づいたら、何かがボトッと木の根元に落ちました。 
落葉の下から探し出すと、大型のノコギリクワガタ♂(Prosopocoilus inclinatus)でした。
腹面を見ると、アカアシクワガタではありません。 
仰向け状態になっても自力ですぐに起き上がり、山道を早足で逃げて行きます。 
私の手に乗せようとしても、すぐに逃げて自ら落下してしまいます。 

樹液酒場に戻してやってアオカナブンとの対決を観察しようと目論んだのですが、ノコギリクワガタ♂は言うことを聞いてくれず、すぐに擬死落下してしまいました。 
ヤラセ動画(演出)は良くない!という教えですかね? 

撮影後にノコギリクワガタ♂を採集して持ち帰り、飼育することにしました。 
先客のコクワガタ♂と同居させたら早速、喧嘩が始まりました。(映像なし) 
居心地が悪かったのか、ノコギリクワガタ♂は大顎でプラスチック容器の蓋の隙間を挟んでバキバキと力任せに壊そうとします。 
後日、別居させたら落ち着きました。

2022/10/20

スギ林道を夜な夜な飛び回るコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月下旬 

里山のスギ林を通る林道で溜め糞場sをトレイルカメラで監視していると、ときどき夜にコウモリ(種名不詳)が飛来します。 
ヒトが植林した杉林は野生動物にとって魅力の乏しい(価値の低い)「緑の砂漠」という認識だったので、夜の杉林をコウモリが飛ぶとは意外でした。 
単に通り道(回廊)として使っているだけかもしれません。 
闇夜の林道を飛び回る夜蛾(動画公開予定)を狩ろうとしてるのでしょうか? 

シーン1:7/21・午後22:07 
高速で羽ばたくコウモリがカメラの直前を横切り、林道を右に飛び去りました。 
この設置地点でコウモリは初見です。 
一瞬の登場を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 


シーン2:7/21・午後23:39 (@0:11〜) 
左上から飛来したコウモリが右旋回してカメラの方へ向かって来ました。 
トレイルカメラがかすかに発する内部ノイズ(超音波)に反応したのかな? 


シーン3:7/27・午前00:39 (@0:24〜) 
右へ飛び去りました。 


シーン3:7/28・午後21:08 (@0:33〜) 
コウモリが右へ飛び去りました。 
画面左下にタヌキが残したばかりの新鮮な糞が見えます。 
その溜め糞に3頭の鱗翅目(チョウ?夜蛾?)が集まって吸汁しています。
その夜蛾?をコウモリが狩ったら最高に面白いのですが、気づいてないのか素通りしてしまいました。 
自然界の生き物はなかなか私の予想通りに動いてくれません。 



ヒガシキリギリス♂の鳴き声♪を声紋解析してみる

 

2022年7月下旬・午前11:35頃・晴れ 

線路沿いの草むらからキリギリスの鳴く声がします。 
鳴き声の主を探すと、 ススキの生い茂る草むらの中にヤブカンゾウの群落があり、天辺のつぼみヒガシキリギリス♂(Gampsocleis mikado)が乗っていました。 
鳴いているキリギリス♂を見つけたのは初めてです。 
地上からの高さは目測で110cmぐらいでした。 

翅の動きに注目すると鳴き声と一致するので、この個体の鳴き声で間違いありません。 
ときどきチョン♪と鋭く鳴くときの翅の動きが顕著です。 
近くにいるらしい別個体♂と交互に鳴き交わしているようです。 
鳴き続けるのも激しい運動なのか、腹部を伸縮させて腹式呼吸しています。
近くの車道をひっきり無しに通る車の走行音がうるさいのに、キリギリス♂は周囲の雑音に負けじと平気で鳴いています。 
気温を測り忘れました。
・オスは前翅に発音器をもち、 
・成虫は夏に現れ、草むらなどに生息して他の昆虫などを捕えて食べる。鳴き声は「ギー!」と「チョン!」の組み合わせで、普通は「ギー!」の連続の合間に「チョン!」が入る。(wikipedia:キリギリスより引用)

自然の観察事典40『鳴く虫観察事典』によると、  
♂のキリギリスの前羽を調べてみると、羽のつけ根の部分だけが、背なかの上で重なりあうようになっています。この部分の左前羽の裏側には、太い翅脈に小さな歯がならんだヤスリがあります。そして右前羽の表側には、羽のふちの近くにまさつ片とよばれるかたい突起があります。キリギリスが羽をふるわせるたびに、重なりあった羽の部分で、まさつ片がヤスリをこすり、音を発生させます。発生したこの音を、膜状の発音鏡でさらに大きくして、キリギリスは、野原に大きな声を響かせるのです。(中略) 超音波をふくむ高い音波は、葉や枝に反射して遠くまでとどきません。そのため、キリギリスの♂たちは、繁った葉がじゃまにならないように、高い茎や枝にのぼって鳴きます。(p5より引用)


ヒガシキリギリス♂の鳴き声を声紋解析してみる 

いつものようにオリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルとして抽出し、なるべくノイズの少ない部分※を適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。 
「チョン、ギー♪」から始まり、後半はなぜかチョン♪が省略されています。 
鳥の囀りさえずりとはまるで異なり、声紋にきれいな倍音構造は認められません。 
(※ 車の往来が途切れたときでも、風切り音が混じったり、歩行者の足音が聞こえたり、近くの町工場から出るノイズが混入したりしています。) 
音質にこだわるのなら、採集して飼育下で静かな深夜に録音するしかなさそうです。
つづく→ 鳴きながら脱糞するヒガシキリギリス♂


以下の写真では、発音器の前翅を激しく動かしている写真をあえて選んで掲載します。

2022/10/19

夜の池で浅瀬を泳ぐ野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月下旬・午後21:55頃 

山中の泉をトレイルカメラ(自動撮影カメラ)で監視していると、夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が左岸に現れました。 
普段なら岸をぐるっと回り込むのに、近道するためか浅瀬を泳いで此岸に渡ったので驚きました。 
野ネズミの水泳シーンは初見です。 
水を怖がらないのですね。

画面の左下隅にしばらく居座り、何かしています。
鼻面を何度も水につけて手で顔を洗っているように見えるのですけど、どうでしょう?(水浴行動?)
まさか、左岸付近に集結して蠢いているオタマジャクシを捕食しようとしているのでしょうか? 
後半はカメラの死角に入り、見えません。 

飛べ!キマダラセセリ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午後14:55頃・晴れ 

山腹をトラバースする山道沿いでクズの葉にキマダラセセリPotanthus flavus)が乗っていました。 
翅を半開きにして日光浴しているようです。 
背側から見下ろすアングルでは翅裏が見えません。 
 『フィールドガイド日本のチョウ』p297によると、キマダラセセリ♂は葉上で占有行動をとるそうです。 
ただし、私にはこの個体の性別が見分けられません。 
本種の食草はイネ科、タケ科なので、マメ科のクズとは無関係のはずです。 

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:06〜) 
物を投げつけて飛び立たせました。 
ハイスピード動画でも羽ばたきが速過ぎて、翅裏の斑紋が見えません。

2022/10/18

池の落枝で佇むカワウ若鳥が水面を助走して飛び立つまで(野鳥)

 

2022年7月下旬・午後17:00頃・晴れ 

溜池で初めてカワウPhalacrocorax carbo hanedae)を発見。 
若鳥が1羽、落枝(流木?)の上に片足立ちで乗り、夕方の西日を浴びていました。 
水面からの照り返しもあり、白飛び気味になってしまいました。 
近くに居たアオサギは警戒心が強く、私が池畔からカメラを向けた途端に続々と飛び去ってしまいました。 
カワウは上げていた左足を下ろしたものの、キョトンとして辺りを見回しています。 
やがて、翼を震わせ羽毛を逆立てました。 
周囲に水鳥の仲間がいないとやはり不安になるようで、辺りをキョロキョロ見渡しています。 
最後は飛び去るために助走開始。 
残念ながら手前の草むらが邪魔で、飛び立つ様子を見届けられませんでした。 
助走シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
翼を広げ足を屈めて落枝から水面に飛び降りると、水面を両足跳びで走っています。 
今回の個体は、飛び立つ直前に軽量化の脱糞をしませんでした。 
カワウが居なくなると、重みで水面下に沈んでいた落枝が弾性・浮力で戻りました。 

※ 最後の助走シーンのみ水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

コナラの樹液を吸うアオカナブンとしばし遊ぶ

 

2022年7月中旬・午後16:10頃・晴れ 

里山の山道の横に生えたコナラの幹に鮮やかなメタリックグリーンが光っていました。 
お!と思って近づくと、アオカナブンRhomborrhina unicolor)が樹液酒場で吸汁していました。 
黒くボロボロに朽ちかけた部分の幹から樹液が滲んでいるようですが、樹液の発酵臭を私の鼻では全く嗅ぎ取れませんでした。 
初めは下向きで幹をうろついていたアオカナブンが上向きに方向転換し、幹の裂け目に口吻を差し込んで吸汁開始。 

他にはハエ類とアリ類も樹液酒場に群がっていました。(種名不詳) 
近くに居る煩いハエを追い払うために、アオカナブンは前脚で軽く払い除けたり頭を跳ね上げたりしています。 
アオカナブンの体の側面から横に生えている尖った突起が格好良くて、いつも気になっています。 
この器官の正式名称と役割を知りたいところです。 
自衛用の武器なのでしょうか? 
それとも飛翔時に役立つ器官なのかな? 

アオカナブンと正しく同定するためには、識別点の腹面を確認する必要があります。 
カナブンの緑化個体と似ていて紛らわしいのですが、私は未だ調べた数が少ないこともあり、カナブン緑化個体を見つけたことがありません。 
手掴みした瞬間に驚いたアオカナブンが反射的に透明なオシッコを排泄したものの、残念ながら私の手で隠れてしまい、しっかり写っていません。 
樹皮に食い込んだ爪を引き剥がすのに苦労しました。 
仰向け状態で擬死している間に腹面を接写すると、胸部中央部から細長い突出した構造があることからアオカナブンと判明。 
また、左右の後脚のつけ根が接していることもアオカナブンの特徴です。
【参考図書】 
・『くらべてわかる甲虫1062種』p59 
・『樹液に集まる昆虫ハンドブック』p49

なんとか自力で起き上がると、私の手の上を慌てて走り回り、すぐにブーン♪と重低音の大きな羽音を立てて飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、 鞘翅は閉じたままで、横の隙間から後翅を広げて羽ばたいていることが分かります。

2022/10/17

タヌキと同じ溜め糞場に排便するニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月下旬・午後21:33 

里山のスギ林道に残されたタヌキの溜め糞場sを自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視していると、意外な野生動物が現れました。 
カメラの起動が間に合わず、どこから登場したのか撮れていないのは残念です。 
ニホンアナグマMeles anakuma)が溜め糞に左向きで跨がり、長い落枝の上で軟便をボトボトと排泄しています。 
アナグマの排便シーンは初見です。 
アナグマの糞は特有な絵の具のような匂いがするそうなので、確かめないといけません。 

興味深いことに、この溜め糞場sはタヌキとアナグマが共有していることが判明しました。
糞の多い方や匂いの強烈な方がいずれは溜め糞場を独り占めするのでしょうか? (糞による匂い付けで熾烈な冷戦状態?)
異種の排泄した糞の上に対抗して排泄するのか、それとも2種は少し離れた場所に排便して共存するのかどうか、これから注目していきましょう。
この2種が夜の溜め糞場でばったり遭遇したら、どうなるのでしょう?

脱糞後のアナグマは一旦、画面左下隅の死角に消えてから画面の下から再登場しました。 
溜め糞場の周囲をうろついてから、林道を右へ走り去りました。 

赤外線の暗視映像でアナグマを撮ったのは初めてなので勝手がよく分からないのですが、アナグマの顔にトレードマークの黒い縞模様が見えません。 
白飛びしてしまっているのか、それとも、この個体は全身が白毛のアルビノなのですかね? 

ポケット版学研の図鑑9『フィールド動物観察』によると、
アナグマは、タヌキのように「ためふん」をします。ためふんをする場所は、巣の出入り口の近くにあります。ふんはタヌキのものににていますが、足あとや、ふんに昆虫が多く入っていることで区別できます。あさいあなをほって、そこにふんをします。(p78より引用)
この記述が正しければ、近くにアナグマの巣穴があることになります。 
しかし今回の個体は「浅い穴を掘って糞をする」ことはしませんでした。 
藪が多い山林で素人(アマチュア)がどうやったらアナグマの営巣地(セット)を見つけることができるのか、思案のしどころです。 
プロの研究者は、罠を仕掛けて生け捕りにしたアナグマに電波発信機を装着してテレメトリー調査で巣穴を見つけるのだそうです。 
賢い飼いイヌを山に連れて行き、得意の嗅覚を使って「ここ掘れワンワン」と巣穴を探り当てたらお手柄です。
例えばダックスフンドという犬種は元々、巣穴の中にいるアナグマを狩る目的で手足が短く品種改良されたのだそうです。
しかし私の目的は狩りや駆除ではないので、イヌが吠えて危険を感じたアナグマが巣穴を放棄して逃げてしまっては元も子もありません。
アナグマがホンドタヌキのように冬も活動する動物なのであれば、雪面に残った足跡を辿って巣まで追跡できそうです。
しかしアナグマはツキノワグマのように冬ごもり(冬眠)するので、その方法も使えません。




【追記】
群れメンバーは自分の群れのなわばりの境界のため糞にフンをする性質がある。(p114より引用)

シロツメクサの花で採餌するオオマルハナバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午後16:30頃・くもり(蒸し暑い) 

河川敷の草地に咲いたシロツメクサの群落でオオマルハナバチBombus hypocrita)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
オオマルハナバチは山地性のはずなのに、平地(標高約220m地点)の川沿いで見かけるとは意外でした。 
普段この辺りでは、平地性のクロマルハナバチが優占種です。

吸蜜する蜂の後脚をよく見ると、花粉籠に茶色っぽい(汚れた白)花粉団子を付けて運んでいます。 
頭状花序に着陸するとオオマルハナバチ♀の重みで茎が大きくしなり、蜂が飛び去ると反動で戻ります。 
シロツメクサに混じって疎らに生えているネジバナやブタナの花には見向きもしませんでした。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:57〜) 
マメ科に特有の蝶形花に、穿孔盗蜜ではなく正当訪花を繰り返して吸蜜していることが分かります。

2022/10/16

早朝のスギ林道で餌を探し回る謎の野鳥【トレイルカメラ】

 

2022年7月下旬・午前4:49・(日の出時刻は午前4:32) 

里山のスギ林道に残されたタヌキの溜め糞場sを自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視していると、早朝に謎の野鳥が写りました。 

林道上に居た鳥がピョンピョン跳んで奥の下り斜面に移動し、姿が見えなくなりました。 
(鳥が死角に入った間は5倍速の早回し。) 
やがてスギ大木の左からひょっこり再登場しました。 
林道上で立ち止まり、林床を啄んでいます。 
溜め糞に集まる昆虫を捕食したり、糞に含まれる植物の種子を食べに来たとしたら面白いのですが、そうではなさそうです。

モクゲンジの花蜜を吸うクズハキリバチ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午前11:15頃(晴れ)および午後15:55頃(くもり) 

農村部の庭木として植栽されたモクゲンジクズハキリバチ♂(Megachile pseudomonticola)が訪花していました。 
雄性先熟のようで、見かけるのは顔色が白く腹端が丸い雄蜂♂ばかりでした。 
黄色い花の中央部が赤くなっているのは、送粉者のハナバチ類に蜜腺の場所を教える蜜標なのでしょう。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:10〜) 
午後は風が吹いてモクゲンジの花穂が激しく揺れ、虫撮りには悪条件でした。
しかし、スローモーションにすれば風揺れも気になりません。 
複数個体を撮影。 
最後にクズハキリバチ♂と入れ替わりで飛来したのはオオハキリバチ♂です。 
この日に撮れた個体数はオオハキリバチ♂>クズハキリバチ♂の印象。
関連記事(同所同日の撮影)▶ モクゲンジの花蜜を吸うオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】

この2種は外見がよく似ていて、私も最近まで見分けるのに苦労しました。 
図鑑には腹部第2節後縁に明色の毛帯があるかどうか、が主な識別点として書かれています。 
(実際には中間的な個体がいるので悩ましいのです。)
そこよりもむしろ顔の模様が重要な形質ではないか?と個人的に考えるようになりました。 
ハキリバチの頭楯の顔色が性的二型ということは、配偶行動の際に互いに異性の顔色を見て判断していることを示唆しています。 
♂同士の闘争でも顔を見て同種であることを確認してるはずです。 
クズハキリバチ♂は頭楯および頭楯上区に黄白色の長毛が密生しています。 
オオハキリバチ♂はヒトラーの口髭が白髪になったような感じで、眉間(触角の根元の間)に磨呂のような1対の薄い白点があります。 
どうやら雄蜂♂の顔の模様は種特異性があるようです。

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