2022/12/10

ホンドタヌキの親「垂れ尾」に引率された2頭の幼獣が初めての溜め糞場に興味津々【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬・午前3:09:頃・気温23℃(雨上がり?)・日の出時刻は午前4:52 

里山のスギ林道にある溜め糞場sを自動撮影カメラで監視していると、深夜にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の親子群が初登場しました。 
3頭が距離を開けずに団子状態で右からやって来たのです。 
手前の個体が体格が大きい成獣「垂れ尾」です。 
「垂れ尾」が子育て中の親だと初めて知りましたが、私には性別が見分けられません。 
幼獣を連れて縄張りを夜にパトロールするのは、なんとなく母親♀の役割のような気がしますが、どうでしょうか? 
それとも♀は2回目の繁殖(出産)のため巣穴に残り、父親♂が幼獣2頭を引率してるのかな? 
調べてみると、タヌキの繁殖は年1回とされています。 

親タヌキの少し奥を通過する2頭は体格がやや小柄で、はしゃいでいる足取りがいかにも幼い印象です。 
2頭の幼獣は、初めて訪れる溜め糞の匂いが気になって、頻りに匂いを嗅ぎ回っています。 
両親や他のタヌキが残した糞の匂いを学習しているのでしょう。
ところが不思議なことに、すぐ近くにあるニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞や下草に臭腺を擦り付けたマーキングに対してタヌキ一家は全く無関心でした。 
タヌキの溜め糞はタヌキ同士が匂いによってコミュニケーションする場である、という説に納得です。
溜め糞場を共有しているタヌキとアナグマが互いに対抗意識を示して相手の糞の匂いをかき消そうとしたことは一度もありません。(「同じ穴の狢」2種は相互不干渉)

ホンドタヌキ幼獣の片方は溜め糞場sを一旦通り過ぎてから、後続の兄弟が調べている地点に戻って来ました。 
今回、親タヌキ「垂れ尾」は溜め糞場sで排便せずに、さっさと左へ立ち去りました。 
子ダヌキ2頭も親タヌキの後を追って慌てて駆けて行きます。

親タヌキ「垂れ尾」の下向きに曲がった尻尾は軽度の奇形(生まれつきの異常)ではないかと疑っているのですけど、子供には遺伝していませんでした。
「垂れ尾」のパートナーは「フサ尾」なので、少なくとも「垂れ尾」の形質は優勢遺伝しないことが分かります。
最近は優勢遺伝のことを顕性遺伝と言い換えるのでしたね。

余談ですが、前夜(5.5時間前)に親タヌキ「フサ尾」が排泄した糞は、もう残ってないようです。 
夜でもあっという間に糞虫が地中に埋めてしまうのでしょう。 

民家の外壁や軒下で営巣候補地を探索するオオハキリバチ♀

 

2022年8月上旬・午後16:10頃・晴れ 

堤防路のすぐ外側(川裏)に建つ民家の外壁や軒下の周囲をオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)が飛び回っていました。 
腹部下面のスコパは空荷ですけど、腹端が尖って見えるので♀と分かります。 
モルタル外壁の隙間を物色するように飛び回っています。 
次は、雨樋から降りてくる排水パイプがある建物の角の辺りを重点的に物色していました。 
本種は借坑性なので、営巣地となりそうな隙間や穴を探しているようです。 

隙間だらけの木造住宅がほぼ絶滅した現代では、オオハキリバチの世界も住宅難なのでしょう。
関連記事(9年前の撮影)▶ 生垣の竹筒を物色するオオハキリバチ
樹洞がある立派な庭木や生け垣を支える竹筒とかも今や滅多に見つかりません。 
運良く営巣地が見つかったとしても、その後でオオハキリバチ♀は巣材となる樹脂を平地(住宅地)のどこから調達するのでしょうか? 

オオハキリバチ♀の営巣候補地探索飛翔を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 (@0:44〜)
とにかく「穴があったら入りたい」ようですが、目星をつけた軒下や外壁に着地しかけてもすぐに飛び立ちます。

2022/12/09

夏に里山の杉林を駆け回るニホンリス【トレイルカメラ】

 

2022年8月中旬〜下旬 

スギを植林した山林の林道を監視するトレイルカメラを増やして2台体制にしてみました。 
溜め糞場sに来る野生動物を林道の両側(2アングル)から撮影しようという目論見です。 
すると、ニホンリスSciurus lis)の活動が記録されるようになりました。 


シーン1:8/15・午後17:37 
今まで林道脇のスギの木に長期間設置してきたトレイルカメラが画面中央に写っています。 林道を挟んで反対側に立つホオノキの幹に固定した2台目のトレイルカメラで撮影しました。 
動画冒頭で赤丸に注目して下さい。 
スギの左横枝(スギ以外の灌木?)からフサフサした尻尾が見えます。 
幹の背後を通ってスギの木を降りたリスが、背後の斜面を斜め右に駆け上がりました。 
リスの素早い走りを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:19〜) 


シーン2:8/24・午前9:43 (@0:41〜) 
9日後にニホンリスが再登場。 
スギの幹にリスがしがみついていました。 
トレイルカメラが気になって調べに来たのかな? 
トレイルカメラの真下に来ていたものの、そちらのカメラには何も写っていませんでした。 
太い幹を回り込んで斜面に飛び降りると、前回と同じく林床を右上に駆け上がりました。 
おそらく前回と同一個体で、森の巡回ルートが決まっているのでしょう。

旧機種は癖があり、昼間に動画撮影してもカラー映像がまともに撮れないことが多いです。 
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


シーン3:8/27・午前7:20・気温21℃ (@0:54〜)
さらに3日後の朝。 
杉に固定したトレイルカメラ(新機種)の映像です。 
対面に見えるスギの根元の右から登場したリスが、奥の斜面を下ったようです。 


野ネズミと異なり、夜の暗視映像にリスが写ったことは一度もありません。 
同じ齧歯目でもリスは完全な昼行性のようです。 
本来リスはスギ林なんかに用事は無いはずです。
この地点で積雪期にリスが写っていたので、夏にときどき通りかかってもさほど意外ではありません。
関連記事(7か月前の撮影)▶  
雪山でスギの木を登るニホンリス【トレイルカメラ】 
ニホンリスが杉林の雪道を疾走【トレイルカメラ】

現場周辺を探索すると、数十m離れた地点(スギを植林した区画の隣)でオニグルミの大木を見つけました。 
おそらく、リスは普段そこを活動拠点にしているのでしょう。 (今後の撮影課題)
夏にボリボリ、ガリガリ♪かじる大きな音が静かな杉林に響き渡っていたのは、ニホンリスがクルミの実を齧っていたのだろうと見当がつきました。



ブラックベリーの熟果で吸汁するコガタスズメバチ♀

 

2022年8月上旬・午前10:15頃・くもり 

民家の裏庭でブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)の液果が黒く熟しました。 
そこにコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が来て熟果を大顎で噛み、甘い果汁を舐めています。 
熟果に齧られた食痕が残りますから、ブラックベリーの商品価値は下がってしまうでしょう。

ここでブラックベリーの熟果を食害する3種のスズメバチ類を観察することができましたが、アシナガバチ類は居ませんでした。 
関連記事(同所同日の撮影)▶ 
近くにフタモンアシナガバチおよびセグロアシナガバチの営巣地がありますし、ワーカー♀が探餌飛翔していたものの、熟したブラックベリーで吸汁する姿は見ていません。 
ブラックベリーに近寄ると強いスズメバチ類に追い払われてしまうのかもしれません。(餌場の占有行動)
2022年8月中旬 

同じ場所で後日、路上に多数散乱するブラックベリー落果の写真を撮りました。 
一部は踏まれて潰れてしまっています。
ヒヨドリなど甘党の野鳥が熟果をついばんだ(食害)際に一部を落としてしまうのではないかと想像していますが、まだ現行犯の現場を押さえたことはありません。 
ヒトの子供が通りすがりに摘み食いしたのなら、勿体なくてこれほど落とさないでしょう。
アスファルトの舗装路に落ちたブラックベリーの液果からは種子が発芽できません。
鳥類や哺乳類が熟果を食べて遠くに運び、糞と共に未消化の種子を地面に排泄することで、ブラックベリーの種子散布を助けていると思われます。

2022/12/08

夏のスギ林道を昼も夜も行き来するニホンカモシカ【トレイルカメラ:±暗視映像】

 

2022年8月上旬〜中旬 

自動撮影カメラで溜め糞場sのある里山のスギ林道を監視していると、最も頻繁に登場するのはニホンカモシカCapricornis crispus)です。 
この時期に昼夜を問わず往来するカモシカの記録をまとめました。 
個体識別できていませんが、どうも複数個体が単独生活しているようです。 

シーン1:8/8・午後21:00・気温25℃ 
右から左へ緩やかな上り坂になっている林道をゆっくり通り過ぎました。 
林道上に残るタヌキの溜め糞を暗闇でも踏まないように、跨いで歩きます。 


シーン2:8/10・午後21:08・気温26℃ (@0:11〜) 
ツキノワグマの通過から3時間後。 
カモシカが林道を右からやって来ました。 
珍しく林道の右端を歩き、スギ大木の傍をゆっくり左へ通り過ぎました。 
熊の残り香に反応した素振りは見られませんでした。


シーン3:8/11・午後12:55・気温30℃ (@0:25〜) 
今回は林道を左から登場。(角の細い幼獣?) 
スギ大木を通り過ぎた所で立ち止まり、路肩から斜面を見下ろしています。 
この動画では死角になって見えませんが、実は杉の木の横にコシアブラ幼木が生えていて、そこに立ち寄ったカモシカが眼下腺マーキングをすることがあります。 
今回はカモシカの頭部が見切れてしまい、眼下腺マーキングしたかどうか分かりません。 
カモシカの股間を後ろから見ても性別不明です。 
そのまま林道を右へ立ち去りました。


麻酔したオオエグリシャチホコ幼虫を運ぶジガバチ♀

 

2022年8月上旬・午後15:40頃・くもり 

里山の細い山道を下山中に、ジガバチの一種♀を発見。 
こんな湿った薄暗いスギ林でジガバチと出会うのは珍しく思いました。 
獲物として狩ったばかりの緑色の芋虫を地面に放置したまま、ジガバチは低空で辺りを飛び回っています。 
巣穴の場所を探して偵察しているのでしょう。 
スギの落ち葉や落枝が敷き詰められた林床を歩き回り、獲物の運搬ルートを探索しているようです。 

サトジガバチ(Ammophila sabulosa nipponica)またはヤマジガバチ(Ammophila infesta)ですが、採集して標本を精査しないと見分けられません。 
山地で見つけたからヤマジガバチ、とは必ずしも決めつけられないのだそうです。 
近くを流れる沢の水音♪が聞こえます。 

獲物を山道に放置したまま、ジガバチ♀はなかなか戻って来ません。 
イモムシを置いた場所を忘れてしまったのか、あるいは横で突っ立っている私を警戒して近づけないのかな? 

獲物の青虫は横倒しになったまま全く動きません。 
ジガバチ♀が狩りの直後に毒針を刺して全身麻酔しているのです。(麻酔というよりも麻痺状態と呼ぶべきでしょう) 
歩脚を数えると、胸脚3対、腹脚4対、尾脚1対というイモムシには基本的な作りでした。 
体側に白線が走り、その上側が黄緑、下側が青緑に色分けされています。
おそらくオオエグリシャチホコPterostoma gigantinum)の幼虫だと思うのですが、どうでしょうか? 
私がイモムシを採寸しようか迷っていたら、ジガバチ♀が戻ってきました。 
このときピンセットで獲物を保定して運搬を邪魔すれば、ジガバチ♀は毒針による麻酔手術を再演してくれるはずです。 
しかしザックの奥からピンセットを取り出す暇がありませんでした。

私がじっと動かずに撮影を続けると、ようやくジガバチ♀が右から歩いて獲物に辿り着きました。 
麻痺した獲物の仰向けにした胸部第3節(T3)付近を大顎で挟むとその場で静止しました。 
獲物を噛みほぐして体液を啜る噛みほぐし(maceration)ではありません。 
大顎を開いて獲物を離し、再び地面に置くと、行く先の偵察を再開。 
振り向いたジガバチ♀が触角で獲物の頭部に触れて無事を確認しました。 
触角を拭って身繕い。 
獲物の背側から大顎で胸部第2節(T2)辺りを軽く噛んでも、全身麻痺した獲物は全く無反応でした。 
ジガバチ♀が触角を前脚で拭って身繕い。 
蜂が大顎で獲物の腹端付近を軽く噛みました。 

仰向けにした獲物のT3付近を大顎で挟むと、遂に運び始めました。 
それまでは長い休息時間だったのか、私を警戒していたのかな? 
細長い獲物に跨がると、大顎で咥えた獲物の腹背を引きずりながら前に歩きます。 
途中で獲物を咥える場所を少し下に持ち替えました。 
自分の腹端よりもオオエグリシャチホコ幼虫の腹端が少し前に来るようにすると、重心のバランスが運びやすくなるようです。 

ほぼ一直線に進んで山道を横断すると、路肩の崖を下ったところで行方を見失ってしまいました。 
杉林の林床は薄暗いせいで、素早く走り去る蜂にオートフォーカスのピントが間に合いません。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、最後ジガバチ♀は獲物を抱えたまま急斜面を飛び降りていました。 
腹部を高々と持ち上げて前傾姿勢になり、羽ばたいて崖を飛び降りたのです。 
営巣地を突き止められず、残念でした。 
じっくり観察に徹すれば追跡できそうですが、私はどうしても撮影したくなってしまいます。 

2022/12/07

スギ林道の溜め糞場に通う「垂れ尾」のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ スギ林道の溜め糞場で深夜に脱糞するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年8月上旬 

里山のスギ林道の溜め糞場sに夜な夜な通って来るホンドタヌキNyctereutes viverrinus)を自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で定点観察しています。 
尻尾が途中で下向きに屈曲している「垂れ尾」の出現記録をまとめました。 
先天的な軽度の奇形ではないかと私は思い、個体識別に使っています。 
それとも、群れ内での順位が低かったり、そのときの気分次第で垂れ尾になるのですかね? 

シーン1:8/7・午後22:41・気温27℃ 
溜め糞に跨がり、カメラを見上げながら脱糞していました。 
暗視カメラの赤外線投光器が強過ぎて白飛びしています。 
もっと光量を下げても良いですね。 (電池の節約にもなります。)
「垂れ尾」のタヌキが林道を右へ立ち去ると、スギの落葉の上にこんもりと新鮮な糞塊が残されました。 


シーン2:8/11・午後19:39・気温26℃ (@0:28〜) 
4日後の晩に、今度は林道を右から登場しました。 
地面の匂いを嗅ぎながら溜め糞場sを素通りし、排便しませんでした。 




キュウリの花で吸蜜ホバリングするクロホウジャク?(蛾)

 

2022年8月上旬・午前10:00頃・晴れ 

民家の家庭菜園でキュウリを育てる蔓棚に実がなり始めました。 
キュウリの黄色い花の手前でホウジャクの一種が激しく羽ばたいてホバリング(停空飛翔)しながらから口吻を伸ばして花蜜を吸っています。 
花から花へ忙しなく飛び回るため、すぐに見失ってしまいました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
クロホウジャクMacroglossum saga)ですかね? 
ホウジャク類は薄暮性かと思いきや、明るい昼間なのに活動していました。
訪花中もホバリングを止めないのは燃費が悪そうですけど、花上で待ち伏せしている天敵に捕食されにくいという大きな利点もあります。

関連記事(同所同日の撮影)▶ キュウリの花で採餌するクロマルハナバチ♀

2022/12/06

休耕田で干し草を掻き分けて虫を探すハシボソガラス(野鳥)

前回の記事:▶ 夕方の休耕田で上昇気流の風待ちをする2羽のトビが飛び立つまで(野鳥)

2022年8月上旬・午後16:30頃・くもり(やや風が強い) 

休耕田で刈った干し草があちこちに集められています。 
その原っぱで1羽のハシボソガラスCorvus corone)が餌を探し歩いていました。 
干し草の山を嘴で掻き分けて、中に隠れている虫(コオロギなど?)を探しているようです。 
立ち止まって左足で頭を掻きましたた。 

このハシボソガラスは、どうして近くに居るトビMilvus migrans)に対してモビング(擬攻撃)を仕掛けて縄張りから追い出さないのか、不思議でなりません。 
図体の大きなトビも地上ではあまり怖くありません。(飛べないトビはただの的だ) 
仲間を呼び集めて集団リンチ(モビング)をしてもおかしくないでしょう。 
トビの背後から慎重に忍び寄って嫌がらせするのかと初めは思ったのですが、そうではなくて、ひたすら採食行動に熱中しています。 
どうやら繁殖期(子育て)が終わったカラスは、天敵の猛禽類に対して寛容になるようです。
ズームインして撮った動画ではトビとカラスが近くに居るように見えますが、実際には前後に結構離れているのかもしれません。(遠近感の錯覚)





柳の樹液に殺到して争うシロテンハナムグリの群れ

前回の記事:▶ 柳の枝を登り排尿するシロテンハナムグリ
2022年8月上旬・午後18:00頃・晴れ 

河畔林にある柳(種名不詳)の樹液酒場を定点観察しています。 
この日は夕方に来てみると、シロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea)の大群で大盛況でした。 
特に柳の枝先をノコギリで切り落とした切り口から樹液が滲み出しているらしく、そこが大人気でした。 
シロテンハナムグリの体色は構造色なので光の加減かもしれませんが、珍しく緑色に輝く個体が混じっていました。 

冒頭シーンでは、樹液の芳香に誘引されて左から新たに飛来した個体が、枝の切り口に着陸した様子を1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
ハナムグリの仲間なので、前翅を閉じたまま後翅のみを広げて飛んでいることが分かります。 
直後に等倍速でリプレイ。 

シロテンハナムグリには角や大顎など喧嘩に使える武器はありませんが、混み合った樹液酒場では激しい占有行動(小競り合い、闘争、喧嘩)が繰り広げられていました。 
先客の腹の下に頭を潜りこんで押しのけ、強引に割り込もうとしています。 
そうはさせまいと樹液を吸汁しながら後脚で蹴って牽制しようとするものの、相手の鞘翅がツルツル滑って有効な攻撃になりません。 
互いに押し合いへし合いしています。
小競り合いで騒然としているのは、発酵した樹液で酔っ払っているからかな?

右隣りの枝の切り口にもシロテンハナムグリが集まっています。 
枝の途中がえぐれた部分(ミニ樹洞)でも1匹のシロテンハナムグリが樹液を舐めていました。 
ズームアウト中にたまたま柳の枝の背後に居た個体が排尿したようです。(@1:55)
透明な液体が飛び散りました。

こんなに多くの個体が集まっているのに、求愛・交尾などの配偶行動が全く見られないのは不思議です。
色気より食い気なのでしょうか? 
シロテンハナムグリの性別を見分ける方法を知りたいものです。 

これほど多数のシロテンハナムグリ集団を見るのは初めてかもしれません。
クロヤマアリのワーカー♀とハエ類(種名不詳)も樹液酒場に集まっていました。 
この日はクワガタムシなど他の甲虫は1匹も居ませんでした。

2022/12/05

スギ林道を夜な夜な飛び回るコウモリ(その2)【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ 雨が降る未明にスギ林道を飛び回るコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年8月上旬、8月下旬および10月上旬 

自動撮影カメラで見張っている里山のスギ林道に夜行性コウモリがたまに飛来します。 
頻度が低い上にすぐ飛び去ってしまうので、2ヶ月分の記録をまとめてみました。 

シーン1:8/9・午後22:19・気温25℃ 
飛翔シーンを毎回1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
タヌキの溜め糞s上で謎の糞虫?が活動しているのに、コウモリがそれを狩ることはありませんでした。 

シーン2:8/26・午後19:51・気温23℃ (@0:24〜) 
レンズの近くを往復するように素早く横切りました。 
もしかすると、トレイルカメラ自体が微弱な超音波ノイズを発していて、コウモリはそれに興味を示して近寄ってくるのかもしれません。 
バットディテクター(超音波探知機)で調べれば、この仮説はすぐに検証できるはずです。
林道の上空を夜蛾が飛び回っているのに、それをコウモリが探知して追跡する様子はありません。 

シーン3:10/6・午前1:58・気温9℃ (@0:41〜) 
秋になり気温が10℃より下がった夜も、コウモリは元気に活動していました。 

つづく→

水辺でシロカネグモ?を捕食吸汁するスジアカハシリグモ♀(蜘蛛)

 

2022年8月上旬・午後15:00頃・晴れ 

山中の池から流れ出る水路が林道を横切る地点に生えたミゾソバの葉の上にスジアカハシリグモ♀(Dolomedes silvicola)が乗っていました。 
触肢の形状から♀と分かります。 
(ただし、体長を採寸していませんし外雌器を確認できていませんから、幼体の可能性もあります。)
餌食となったクモの腹部に牙を突き立てて体液を吸汁しています(体外消化)。 
獲物は既にクシャクシャに丸められた上に黒ずんでいてよく分かりませんが、腹背に白い縦筋が見えることから、水辺に水平円網を張るシロカネグモの仲間(アシナガグモ科)ではないかと思います。 
待ち伏せで獲物を狩る徘徊性クモが一体どうやって造網性クモを捕食できたのでしょうか? 
狩りの瞬間を見逃したのが残念です。 
脱皮中に襲われたのかな? 
ミゾソバの葉をよく見ると、葉から葉へ白い糸が張り巡らされています。 
スジアカハシリグモの住居に繋がっているのか、あるいは獲物となったシロカネグモ?の水平円網の枠糸かもしれません。 

動きに乏しいと動画ブログのネタになりません。 
私がそっと指を近づけると、スジアカハシリグモ♀は獲物を咥えたままミゾソバの葉裏に回り込んで逃げました。 
もう一度クモを葉表に来させようと、葉裏側に指を差し入れたら、うっかり獲物を弾き飛ばしてしまいました。 
カメラのバックモニターを見ながらだったので、遠近感の目測を誤りました。 
ミゾソバの葉表に来てくれたスジアカハシリグモ♀は空荷です。 
食事中に邪魔をして、すまんすまん。
実は近くにもう1匹別個体のスジアカハシリグモ♀を見つけました。

2022/12/04

ツキノワグマの毛に大量の「ひっつき虫」:種子の動物散布【トレイルカメラ:暗視映像】

 


タヌキとアナグマの溜め糞場sがあるスギ林道を自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で見張っていると、夜にツキノワグマUrsus thibetanus)が通りかかりました。 

シーン1:8/16・午後19:37・気温23℃ 
林道を右から歩いてきた熊がカメラの存在に気づいたようです。 
全身の体毛には「ひっつき虫」が多数付着しています。 
素人目には痩せて見えますけど、若い個体なのかな? 
カメラを固定してあるスギの幹の匂いを嗅ぐと急に警戒しました。 
慌てて身を翻すと林道を横切り、画面奥の斜面を下って姿を消しました。 
人工物やヒトの残り香を嗅ぎ取って恐れをなしたのでしょうか。 


※ クマが藪に逃げ込む前半のみ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

シーン2:8/18・午後18:33・気温21℃(日の入り時刻は午後18:32) 
2日後の日没直後に再びツキノワグマが写りました。 
現場は里山の東斜面なので、公式の日の入り時刻より数時間前には太陽が山の陰に隠れて暗くなります。 

どこから来たのか、登場シーンが撮れていません。
クマがいきなり画面右端で右を向いて佇んでいました。 
ゆっくり振り返りましたが、カメラに気づいていないようです。 

2日前の個体とは明らかに異なります。 
赤外線で白く光る目が小さく、特に右目は失明しかけている気がします。 
頭頂部に白い毛が目立つ…と思いきや、ただの付着物(葉っぱ?)でした。 

トレイルカメラを設置してあるスギの根元にノシノシと近づいてきます。 
カメラの真下でしばらく立ち止まってから姿を消しました。 
林道法面の崖の土を舐めてミネラル摂取しているのではないか?と想像しているのですけど、証拠映像を撮るには林道の反対側にも監視カメラを設置する必要があります。 

2頭とも、林道上の溜め糞には全く興味を示しませんでした。 

この個体も全身の毛皮に大量の「ひっつき虫」が付着しています。 
開けた林道を歩くだけでなく、頻繁に薮漕ぎしながら獣道を移動していることが伺えます。 
食べ物を探し歩いているツキノワグマは、毛繕いで「ひっつき虫」を取り除く暇が無いのでしょう。 
種子散布に動物を利用している(動物散布)植物がいわゆる「ひっつき虫」です。
種子散布の本にはそのように書いてあるのですが、私には納得できないことがあります。
遠くに運ばれた後に動物の体から離れて地面に落ちないと種子は発芽できません。
運搬してくれた動物が死ぬまで待つしかないとなれば、かなり効率の悪い方法ではないでしょうか。
体に付着した種子を毛繕いで器用に取り除いて地面に捨ててくれる動物はいるのでしょうか?
ニホンザルなら手先が器用ですし、頻繁に相互毛繕いをするので有り得そうです。
毛繕いしながらひっつき虫の種子を次々に食べて、糞として排出された種子が発芽するのかな?
それとも、動物の体に付着するしくみ(トゲトゲや粘り気など)が自然に失われて種子が地面に落ちるのでしょうか?


クマの大きさと見比べる比較対象として、カメラの対面に写っているスギ大木の胸高周囲長(地上からの高さ130cmでの幹回り)を紐で測ってみると約190cmでした。 
これを円周率πで割ると、胸高直径は60.5cmと算出されます。

溜め糞に集まる食糞性昆虫の夜の活動を現地でじっくり調べたいのですが、クマが昼も夜も出歩いている事実を知ってしまうと無理そうです。


柳の樹洞に籠城するコクワガタ♀にしつこく求愛する♂

 

2022年8月上旬・午後15:15頃・晴れ 

河畔林に自生する柳(種名不詳)灌木にある樹液酒場を定点観察しています。 
柳の枝にはノブドウの蔓が巻き付くようになりました。 
ヒトの手首の太さぐらいの枝に小さな穴(ミニ樹洞)が開いていて、傷口から樹液が滲んでいました。 
その穴にコクワガタ♂(Dorcus rectus rectus)が潜り込もうとしつこく悪戦苦闘しています。 
樹液酒場や昼間の隠れ家(塒)を巡る占有行動なのかと初めは思ったのですが、穴の中に同種の♀が潜んでいることが分かり、ようやく♂の目的が飲み込めました。 
籠城する♀に対して♂は攻撃的に排除したい訳ではなく、ただ交尾したいだけのようです。

この♂個体の大顎は微妙に左右非対称でした(長さが左<右)。
泥であちこち白く汚れた鞘翅をよく見ると、小さな凹みがありました。
これはライバル♂との闘争で大顎に挟まれた跡なのかな?

しばらくすると穴の主(先客)がようやく入口に顔を出してくれて、大顎の短いコクワガタ♀と判明。 
小さな大顎や胸背に柳の白い樹液がべっとりと付着しています。 
♀はすぐに穴の中へ戻りました。
♀の隠れ家兼餌場に♂が潜り込んで交尾しようとしているのです。 

柳の穴に頭だけ突っ込んでいたコクワガタ♂が一旦諦めました。 
枝上で360°ぐるっと方向転換してから、再び♀宅に突撃。 
もしこのシーンだけを見ていれば、周囲を油断なく警戒してライバル♂から♀を守ろうとする配偶者ガードと思うかもしれません。 

♀は交尾拒否の意思表示として、♂を穴の入口から頑として締め出しています。 
明るい昼間は交尾する気にならないのかな? 
♀が♂の求愛を受け入れたら穴の外に出てきて♂との交尾が始まるのでしょうか? 

♀の隠れ家兼餌場に力任せに押し入ろうとするだけでは余りにも芸がありません。 
穴の入口が狭いのなら広げる工夫をすれば良いのに…と傍目にはもどかしく思うのですが、コクワガタ♂の大顎は木工道具としては使えないのでしょうか? 

♂の執拗な求愛が成就したのか、最後にようやく♂が穴の中に体を入れることが出来ました。 
長い攻防戦の末に♀が根負けして穴の奥に引っ込んだのか、交尾を受諾したようです。 
しかし狭い穴の中で交尾は可能なのかな? 

三脚を持参していればこの後も微速度撮影で監視したかったのですが、穴の中は暗くて見えませんし、手持ちカメラでの長撮りに私は疲れてしまいました。


ランダムに記事を読む

  • 夜の旧営巣地を1〜2頭で訪れるニホンアナグマ:9月上旬〜下旬 【トレイルカメラ:暗視映像】10/06/2024 - 0 Comments
  • カラムシの葉を綴った巣内に隠れて食事するアカタテハの幼虫27/03/2023 - 0 Comments
  • 河川敷で虫を捕食するハクセキレイ♀(野鳥)16/06/2017 - 0 Comments
  • ニセアカシア真下の雪深い溜め糞場で排便する冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】17/08/2023 - 0 Comments
  • リョウブに訪花するエントツドロバチ♀10/12/2012 - 0 Comments