2020/12/12

モンスズメバチの巣に繭ができた!【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#9

▼前回の記事 
樹洞内でモンスズメバチの巣に居候するゴキブリとワラジムシ【暗視映像】

2020年8月下旬・午前00:35頃・くもり 

1週間ぶり(前回から7日後)に様子を見に来ました。 
蒸し暑いくもり空の夜で、月齢は3.0(ほぼ新月)。 
この日も樹洞の外から見る限りひっそりと寝静まっていて、夜中に外役活動したり巣門を守ったりするワーカー♀の姿は1匹もありませんでした。 
樹洞入り口の上部を塞いでいた外皮がほぼ完全に破壊されていました。 
蜂嫌いの誰か(ヒト)に壊されてしまったのかと心配になるのですが、必ずしもそうとは決めつけられません。 
居候のゴキブリやワラジムシに食害されたかもしれませんし、通気性を良くするためにモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が自発的に取り壊した可能性も考えられます。 
微速度撮影の監視カメラを設置しておけば一部始終を記録できたはずです。 
しかし、そうすると今度は高価なカメラを盗まれたり蜂の巣の存在が逆に目立ってしまう心配があって、二の足を踏んでしまいました。 
あまり欲張らずに出来る範囲で少しずつ観察を積み上げるしかありません。 

赤外線の暗視カメラで樹洞内を撮影すると、モンスズメバチのコロニーは未だ駆除を免れていて一安心。 
巣盤を上から覆う外皮が前回よりも更に下方へ発達しており、底だけが狭い巣口として丸く開口していました。 
これがモンスズメバチの巣の特徴で、球状の外被が完全に巣盤を覆い尽くすことはありません。 

巣盤がほとんど外被で隠されてしまいましたが、唯一見える巣盤中央部の育房は老熟幼虫が営繭した後で、繭キャップで塞がれていました。 
スズメバチの繭キャップは、可視光で見れば白いはずです。 
この繭内で育つ蛹はおそらく雄蜂♂であることが後に判明します。 

巣内では警戒したワーカー♀が走り回っていました。 
1匹の蜂が巣口から外皮の外側に出てきたので、樹洞内に侵入したカメラを襲いに飛び出してくるかと緊張したものの、すぐに巣内に戻りました。 

しばらくすると、再び1匹のワーカー♀が巣口から外皮の外側に出て来ました。(@2:15) 
外皮上をパトロールしながら興奮したように少し羽ばたきました。 
外皮のすぐ外側(時計盤に見立てた時に11時の位置)でゴキブリらしき長い触角が動いていたのですが、モンスズメバチ♀はその居候を追い払ったようです。 
巣内に戻ったり、再び外被上をパトロールしたり忙しなく夜警しています。 

 前回と同様に赤外線式のデジタル温度計で巣内温度を測定すると(映像は割愛)、巣盤を覆う外皮の表面は25.2℃、樹洞内部の表面は25.1℃、樹洞の外側の表面は24.8℃でした。 
一方、別の温度計で営巣木付近の外気温を測ると、26.3℃で湿度は71%。 
樹洞内はモンスズメバチ・コロニーや居候たちの呼吸熱が篭っていて外気温よりも少し暖かいのかと思いきや、どういう訳か逆に少しひんやりしていました。(誤差の範囲内?) 
今思うと、どうせなら育房内の繭キャップの表面温度も測るべきでしたね。 



オオイタドリの花で吸蜜中にイチモンジセセリがおしっこ排泄

 

2020年8月下旬・午前9:00頃・晴れ 

堤防路に咲いたオオイタドリの群落で数頭のイチモンジセセリParnara guttata)が訪花していました。 
閉じた翅をかすかに開閉しながら吸蜜しています。 
複数個体を撮影。  
キンバエ?が花穂上を歩いて近づくと、イチモンジセセリは嫌がってすぐに飛び去ってしまいました。 
 吸蜜中のイチモンジセセリが腹端から透明な液体を1滴ポトリと排泄しました。 (@1:06)
排尿の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
イチモンジセセリがおしっこをする瞬間を撮れたのはこれが二回目です。
▼関連記事(6年前の撮影) 
イチモンジセセリがクズの花で吸蜜中に排泄

2020/12/11

セイヨウニンジンボクの花で採餌するトラマルハナバチ♀

 

2020年8月下旬・午後17:35頃・晴れ 

街中で民家の庭に咲いたセイヨウニンジンボクの幼木にトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が夕日を浴びながら訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
後脚の花粉籠は空荷でしたが、正当訪花で吸蜜していました。 
羽音を立てて次の花に飛んでいる間も、空中で長い舌を伸ばしています。

倒立で体温調節するノシメトンボ♂(オベリスク姿勢)

 

2020年8月中旬・午後13:35頃・快晴 

某コンビニの駐車場にカフェラテの新商品を宣伝する幟(旗)が立っていて、支柱の天辺の白い横棒の先端に ノシメトンボ♂(Sympetrum infuscatum)が止まっていました。 
翅をしっかり下げて休んでいます。 
腹端を高々と持ち上げているのは、太陽の光に当たる体の面積を最小にするための体温調節行動です。(オベリスク姿勢) 
酷暑の夏が続きますが、炎天下でも体温の過熱を防ぐことができます。
路面に落ちた旗竿の影を見ると、天辺に止まったトンボの影は確かに点のように小さくて見えませんでした。 
これほど垂直に近い見事な逆立ち(オベリスク体勢)は珍しく、私もあまり見たことがありません。 
太陽が最も高く上がる時刻(南中時)にトンボをあまり観察してなかったのでしょう。

風向きが変わると風見鶏のように旗の向きがクルリと自然に変わります。 
トンボはそれでも逃げず、青空を背景に倒立したままバランスを取っていました。 
やや風が強くなると倒立の角度が浅くなりましたが、しばらくすると再び角度を上げました。 

赤外線式デジタル温度計で測ってみると、旗の黒い布地はなんと40.8℃の熱さでした。 
トンボが止まっている細くて白い棒は意外に低温で、17.3℃。 
白い物体は正しく検温できないのかな? 
物体の表面温度しか測れないので、気温は不明です。 
体感ではもちろん30℃を越えていました。 

頭部をグリグリ動かして辺りを油断なく見回していたノシメトンボ♂が急に飛び立ち、すぐに同じ場所に舞い戻って来ました。(@1:07) 
口をモグモグさせているので、空中での狩りに成功したようです。
 餌食となった小さな昆虫(獲物)の正体は不明です。

2020/12/10

オオイタドリの花蜜を吸うオオハラナガツチバチ♀

 

2020年8月下旬・午前9:15頃・晴れ 

堤防路沿いに咲いたオオイタドリの群落でオオハラナガツチバチ♀(Megacampsomeris grossa matsumurai)が訪花していました。 
花穂の下面にしがみついて吸蜜しながら、ときどき激しく羽ばたいています。 
滑落しないようにバランスを保っているのでしょうか。 

同じ日に数キロ離れた別の場所(同じ流域)で雄蜂♂にも出会えました。 

早朝の河原で岩に止まり飛ぶカワセミ♂(野鳥)

 

2020年8月下旬・午前5:55頃・くもり
▼前回の記事 
朝一番に川の倒木に来たカワセミ♂(野鳥)
しばらくすると、河原の対岸で水際の石の上にカワセミ♂(Alcedo atthis bengalensis)が乗っていました。 
翡翠色の羽根で有名なカワセミですが、腹面は茶色なので、こちらに正面を向けると河原では周囲の石に紛れて見事な保護色になっています。 

嶋田忠『カワセミ―青い鳥見つけた (日本の野鳥)』に書いてあったことを私も実感しました。
あんなにあざやかなカワセミも正面を向いたままでうごかないと、まわりの色にまぎれてめだたないんです。 (p8より引用)

撮影中はカメラのファインダーでカワセミの居場所がなかなか見つけられず、もたついてしまいました。  
ようやく私がカワセミ♂をカメラの画角に収めたときには、少し横の別の岩に移動していました。 
やや大き目の茶色くて丸い岩の上に乗って川面を見つめています。 
ときどき空を見上げているのは、飛来する別の鳥を見ているのでしょう。 

カワセミはもう少し高い止まり木から水中の魚を狙うのが普通なので、水辺でもこんなに低い岩に止まるのは珍しく思いました。 
今にも岩から川に飛び込んで魚を捕るのでは?…と期待していたら、なんと急に左へ飛び去ったカワセミ♂が川を渡って此岸の至近距離に止まってくれました。 
私が撮影用に張っていた迷彩ブラインドを怪しんで偵察に来たのかもしれません。 
すぐに右へ飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 


 

2020/12/09

ツルボの花で採餌するハキリバチの一種♀【名前を教えて】

 

2020年8月中旬・午前11:20頃・晴れ 

山道を麓の近くまで下ると、沢の水が山道に流れ込んで水浸しの泥濘になった区間がありました。 
トレッキングシューズが泥まみれになって酷い目に遭いました。 
その湿地帯のような場所に見慣れないピンク(紫)の花穂が咲いていました。 
茎だけがヒョロヒョロとまっすぐ高く伸びていて、葉が見えません。 
もっと根元をかき分けて葉を確認すべきでした。 
この先も道のりは長いので、靴をこれ以上泥だらけにしたくない私は調べるのが億劫になってしまいました。 
こういうときは長靴かサンダルにすぐ履き替えれたら便利ですね。 
素人目には昔、別の里山で見たノギランと似てる気がしたのですが、花の色が紫なのは変ですかね? 
つぼみもノギランの蕾とは違います。 
高山植物にしては現場の標高は335mと低いです。 
(クガイソウも違うし…?) 
まさか園芸植物(外来植物)がこんな辺鄙な里山まで逸出したのでしょうか? 
この植物の名前をどなたかご存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい。
ヒヤシンスに似てると思いつき、試しに「キジカクシ科 紫の花」で画像検索したところ、ようやくツルボに辿り着きました。
本来は日当たりの良い場所に多いらしく、湿地によく生える植物でもありませんでした。
英語名はJapanese jacinthで、「日本のヒヤシンス」という意味でした。(jacinth= hyacinth)

手元に何冊もある植物図鑑の中で唯一ツルボが掲載されていたピッキオ『花のおもしろフィールド図鑑:秋』に面白い豆知識が載っていました。
葉をちょっとちぎってにおいをかぐと、少しだけネギのようなにおいがします。(p118より引用)

ネギはキジカクシ目ヒガンバナ科、ツルボはキジカクシ目キジカクシ科に属するので、遠い親戚に当たるようです。 

ツルボにハキリバチの一種♀が訪花していました。 
吸蜜する蜂の腹部をよく見ると、腹面に密生するスコパの白い毛は空荷のようです。 
てっきりスミスハキリバチ♀かと思いきや、頭楯に白い毛が密生しているので除外できそうです。(『日本産ハナバチ図鑑』p324より) 
蜂を採集できなかったので、それ以上は分かりませんでした。 
ハキリバチ♀の方もどなたか種類を見分けられる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。

オオイタドリの花で食餌するクロハナムグリ

 

2020年8月下旬・午前9:10頃・晴れ 

 堤防路の横に咲いたオオイタドリの群落でクロハナムグリGlycyphana fulvistemma)が訪花していました。 
花穂を歩き回りながら花蜜や花粉を食べています。

2020/12/08

樹洞内でモンスズメバチの巣に居候するゴキブリとワラジムシ【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#8

▼前回の記事 
モンスズメバチの巣内温度を測る【樹洞内の暗視映像】

2020年8月中旬・午前1:20頃・晴れ 

ヤエザクラ(八重桜)の樹洞内に作られたモンスズメバチVespa crabro)の巣を赤外線の暗視カメラで撮影していると、巣のすぐ左上にゴキブリが潜んでいました。 
おそらくヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)だと思います。 
長い触角が目立つものの、モノクロの映像では翅の有無(性別)が見にくいです。 
幼虫または短翅の♀成虫のようです。
複眼が赤外線を反射して光って見えます。 
カマドウマほど後脚は発達していません。 
腹端に1対の尾角があります。 
自らの脚および腹面を舐めて身繕いしていました。 

正面を向いたときに口器が動いていましたが、モンスズメバチの巣の外皮を食害しているのか、それとも樹洞内の樹皮を齧っているのか、定かではありません。 
以前ヤマトゴキブリを飼育したときには、カシカシ、パチパチ♪と音をたてながら夜に朽木を齧っていました。
▼関連記事(飼育下で6年前に撮影) 
朽木を食べるヤマトゴキブリ♀
しかし今回は、耳を澄ませても樹洞内でそのような物音は聞こえませんでした。 

ゴキブリの他にはワラジムシPorcellio scaber)もモンスズメバチの巣のすぐ外側を徘徊していました。 

スズメバチの巣内でゴキブリが居候(共生?)していることを示す決定的な証拠映像がようやく撮れて、長年のミッシングリンクがようやく繋がりました。 
感無量です。
▼関連記事(5年前の撮影) 
コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】
暗視映像だけでなく通常照明下でもゴキブリを撮影したいのはやまやまでしたが、スズメバチ専用の防護服を着ていない(持っていない)私は蜂を刺激する危険を冒せません。 
また、夜行性のゴキブリは眩しい白色光を照射するとすぐに物陰に隠れてしまいそうです。

鈴木知之『朽ち木にあつまる虫ハンドブック』によると、ヤマトゴキブリは
立ち枯れの樹皮下や生木の洞にすむ。成虫は5〜9月に現れ、夜間、樹液に集まる。雑食性で、果実や野菜などの植物や、昆虫の死がいなどを食べる。(p14より引用)
私は未だ雑木林の樹液酒場に来ているヤマトゴキブリを実際に見たことはありません。 
ヤマトゴキブリは桜の樹洞内でモンスズメバチとただ同居しているだけなのか、それともモンスズメバチの食べ残しや巣材を盗み食いしているのか、解明したいところです。 
モンスズメバチの巣盤は樹洞内に吊り下げられるように作られ、外皮の底が抜けているため、食べ残しや死骸は樹洞の底にどんどん落ちてしまうはずです。 
ゴキブリが樹洞の底ではなくモンスズメバチの巣の近くに留まっているということは、無抵抗の蜂の子を捕食したり前蛹が育房内に排泄した糞を食べている可能性も考えられます。 
アリの巣に同居・居候する好蟻性昆虫の研究が近年活発に進められていますが、好雀蜂性昆虫の生態も面白そうです。 


オオイタドリに訪花するオオトラカミキリ♂の飛翔

 

2020年8月下旬・午前9:10頃・晴れ 

堤防路沿いに咲いたオオイタドリの群落でオオトラカミキリ♂(Xylotrechus villioni)が訪花していました。 
スズメバチにベーツ型擬態しているのか、黄色と黒の縞模様をした憧れのカミキリムシです。 
今回が嬉しい初見です。 
後食行動で花蜜や花粉を食べに来たのかと思ったのですが、映像をよく見直すと、吸蜜はしていないようです。 
ネット検索しても本種の後食メニューについて情報を得られませんでした。 
オオイタドリの花穂を落ち着き無く歩き回っているので、飛行移動中にたまたま立ち寄った(不時着?)だけなのかもしれません。 

慌てたように翅を広げて飛び立つと、横に生えているススキの茎に止まり、登り降りしています。 
どんどん茎を上に登ると花が咲き始めたススキの穂から再び飛び去り、行方を見失いました。 
飛び立ちのシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

オオトラカミキリ♀はモミの木に産卵するそうです。 
確かに、現場の近所で農家の庭にモミの大木を見た記憶がうっすらと…? (要確認) 

※ 動画編集時に今回はコントラストではなく彩度を少し上げました。 
夏の日差しが強過ぎるため、いつものようにコントラストを上げると影が黒く潰れてしまうのです。


【追記】
YouTubeのコメント欄にて、むしっちチャンネルさんより♂っぽいと教えてもらいました。
オオトラカミキリのオスは前胸が黒になるのでそこさえわかればすぐ見分けられます。メスは産卵するためにモミの下の方まで降りてきてくれますが、オスはモミの高いところにしかいないのでかなり珍しいです。
手元にある『新カミキリムシハンドブック』p59を参照すると、掲載されたオオトラカミキリ♀の写真よりも確かに触角が少し長いようです。
早速、♂と書き加えておきます。
オオトラカミキリ♂を撮れたのは、かなりラッキーだったようです。(ビギナーズ・ラック)
(オオトラカミキリの:しぐま註)♂は大木の高枝にいることが多く、野外での発見・採集は未だ困難である。(同書p59より引用)
「カミキリムシは♂の方が触角が長い」という基礎知識は私もあるのですが、野外で1匹だけ見つけたときに素人目には確信を持って区別できないことが多いです。
カミキリ図鑑で雌雄両方の比較写真を全種類について並べて載せてもらいたい、というのが素人の我儘な希望です。

くらべてわかる甲虫1062種』という図鑑によると、
(トラカミキリ類は)昼行性で花によく集まる点がハナカミキリと似ていますが、触角は短めです。(p106より引用)


また、「カミキリ情報館」サイトに掲載されたオオトラカミキリの標本写真を拝見すると、触角の長さに明確な性差はないようです。 


 

縄張りのオニグルミ樹上および電線で鳴くモズ♀(野鳥)

 

2020年6月上旬・午前11:50頃・晴れ 

農家の庭のオニグルミ樹上でモズ♀(Lanius bucephalus)を見つけました。 
樹冠に飛び出た枯れ枝の先で頻りに鳴いています。  

モズ♀の足元の枝からポロリと何か虫が擬死(死んだふり)落下したようです。(@0:11) 
初めはモズが脱糞したのかと思ったのですが、スロー再生して見直すとどうやら昆虫のようです。 
肉食性のモズに見つからずに命からがら逃げることができました。  

モズ♀は葉の生い茂った枝に飛び込んだものの、すぐにまた戻りました。 
しばらくすると私を警戒したのか、止まり木から飛び去りました。 

モズ♀の後を追うと、少し離れた電線に止まり直し、尾羽を上下に振っていました。 
嘴を足元の電線に擦り付けると、キチキチキチ…♪と警戒声を発しました。 
最後は電線から飛び立ち、近くの庭木(樹種不明)の茂みへ飛び込みました。  

モズ♀の飛び立ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
モズ♀の鳴き声を声紋解析してみる?

 

2020/12/07

キタキチョウ♀の産卵を邪魔する♂の求愛ハラスメント

 

2020年8月中旬・午前11:55頃・晴れ 

峠道の横に自生する、マメ科草本植物にキタキチョウ♀(Eurema mandarina)が止まって産卵していました。 
おそらくメドハギと思われますが、花が咲いていないので、いまいち自信がありません。 
キタキチョウ♀の産卵シーンは嬉しい初見です。
▼関連記事(1年前の撮影) 
ネムノキ幼木に飛来した産卵前のキタキチョウ♀【HD動画&ハイスピード動画】
腹端を曲げて食草の葉裏に1粒ずつ産卵しています。 
少し飛んでは位置を変え、次々に産み付けています。 
鈴木知之『虫の卵ハンドブック』に書いてある通りでした。
(キチョウの)♀は食草の新芽や新葉に、1卵ずつ細長い紡錘形の卵を産む。(p99より引用)
探雌飛翔中の♂が産卵中の♀を目ざとく見つけて乱入しました。 
♂に産卵を邪魔(ハラスメント)された♀が飛んで逃げ、激しい乱舞となりました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:56〜) 
キタキチョウの性別は、翅の黄色が濃い方が♂で、薄い(白っぽい)方が♀です。 
求愛から交尾には至らず、♂はすぐに諦めて飛び去りました。 
♀が♂に交尾拒否の意思表示をどのように示したのか、それともただ逃げ回っていただけなのか、映像を見ても私には分かりませんでした。

2020/12/06

ベニバナインゲンの花にしがみついたまま動かないクマバチの謎

 

2020年8月中旬・午前10:30頃・晴れ
▼前回の記事(12日前の撮影) 
ベニバナインゲンの花で採餌するクマバチ♀
民家の家庭菜園に咲いたベニバナインゲン(別名:花豆、紫花豆)の送粉者を調べようと定点観察に通っているのですが、この日は花が散りかけで訪花昆虫を見かけませんでした。 
唯一の訪花昆虫は、キムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)が残り少なくなった赤い花にぶら下がって静止しているだけでした。 
どうしても顔が正面から見えなかったので、クマバチの性別を見分けられません。 
後脚の花粉籠に花粉団子も付けていません。 

死んでいるのかと思いきや、クマバチは腹式呼吸しており、右後脚もかすかに動きました。 
ズームインすると、右後脚の跗節がピクピク動いています。 
側面から撮ると、黒い口吻を伸ばしたまま無為に動かしていました。 
ベニバナインゲンに正当訪花で吸蜜中ではなく、謎の行動です。 
約5分間も粘って見守ったのに、花から飛び立つ気配が全くありません。 
「飛ばない」のではなく「飛べない」瀕死の状態なのでしょうか? 

農家の家庭菜園なので、農薬の使用をどうしても疑ってしまいます。 
例えばネオニコチノイドなど昆虫特異的に効く神経毒で体が麻痺しているのかな? 

一方、YouTubeのコメント欄で、疲れて寝ている(休んでいる)だけではないか?という指摘を受けました。
▼関連記事(1年前の撮影) 
エンジュの花にしがみついたまま死んだ?クマバチ
確かにクマバチの♀は過酷な採餌活動に従事していますし、雄蜂♂はホバリングで縄張りを張り♀を待ち受けていていますから、いずれにせよ疲労が激しそうです。
睡眠・休息説は私の念頭になかったので、次は一見死にかけのクマバチを見つけたら長期戦を覚悟して長撮り(微速度撮影)してみるつもりです。 
しばらく休んだらクマバチは目覚めて元気に飛び去るでしょうか? 
ただし、人様の庭や畑で見つけることが多いので、その場に三脚を立てて長時間の撮影をするのは気が引けます。 
今回も敷地の外の公道から望遠で狙いました。
とりあえず瀕死の(?)クマバチを採集して、飼育下で経過を見るのが簡単かもしれません。 

 食用のベニバナインゲンを私は食べたことがないのですが、毒を含んでいると知りました。
インゲンマメ同様に毒性のあるレクチンの一種フィトヘマグルチニン(PHA)を含むため、調理の際はよく火を通す必要がある。(wikipediaより引用)
植物性赤血球凝集素(フィトヘマグルチニン)は昆虫にも有害なのでしょうか? 
『岩波生物学辞典第4版』で「フィトヘマグルチニン」を調べると、
[英phytohemagglutinin 仏phytohmagglutinine] 広義には植物体に見出される細胞凝集活性をもつ物質.元来は植物から発見された赤血球凝集作用をもつ一物質に対して命名された物質.後に同様な作用物質が多く発見されるにおよんで,細胞凝集素のうち植物由来のものの総称(phytoagglutinin,plant agglutinin)あるいはレクチンと同義に拡大して用いられるようになり,紛らわしい.PHAと略称するときはインゲンマメ属のゴガツササゲ(Phaseolus vulgaris)やRicinus communisから抽出されるものをさす場合が多い.粗精製して蛋白質の多いものをPHA-P,糖蛋白質の多いものをPHA-Mという.赤血球を凝集し,T細胞,B細胞の分裂を促進する作用がある(→リンパ球幼若化現象).
次に『最新医学大辞典第2版』でも「フィトヘマグルチニン」を調べると、
ふぃとへまぐるちにん phytohemagglutinin〈PHA〉 《植物性血球凝集素》  インゲンマメPhaseolus vulgarisから抽出された赤血球凝集物質.白血球にPHAを加えて培養するとT細胞が増殖するので,T細胞マイトゲンと称せられる.PHA単独では純化されたT細胞は分裂・増殖しないが,共存する単球によってIL-2の産生やそのレセプター発現が増強されてT細胞が増殖する040. 
どうやら草食性の脊椎動物(いわゆる草食動物)に食害されないために溜め込んだ毒物のようです。 
脊椎動物と昆虫(無脊椎動物)とは赤血球も白血球もかなり違いますから、素人考えではおそらく昆虫に対する毒性は弱い気がします。 

念の為にしつこく文献検索してみると、インゲンに含まれるPHAがアブラムシに及ぼす毒性について研究している論文がヒットしました。 
ということは、ハナバチ類に対する毒性もゼロではないのかもしれません。 
とりあえず、花蜜や花粉に含まれるPHAの量を知りたいところです。 
ベニバナインゲンは虫媒花として進化してきた訳ですから、共生する送粉者が花蜜や花粉を食べたぐらいで中毒するような仕打ちをするはずがありません。

最後に、寿命を迎えただけという可能性も忘れてはいけません。
それにしては、この個体の翅の摩耗は少ない気がします。


関連記事 (同所で2年後にも撮影)▶ クマバチ♀がベニバナインゲンの花で休む猛暑の昼下がり

伸びたままの口吻に注目


【追記】
POINT図鑑『フェンスの植物―はい回る蔓たち』でベニバナインゲンを調べると、
中米原産で、(中略)標高がブナ帯より上の土地か夏も冷涼な土地でないと、花が咲いても実を結びにくい。(p155より引用)
撮影地は山形県のブナ帯よりも低いミズナラ帯よりも低い平地でした。
しかも夏は猛暑なのに、ベニバナインゲンに実がついていました。
当地でベニバナインゲンが本格的に栽培されていないということは、これでも収量が少ないのでしょうか?
それとも近年になって品種改良されたのかな?


以下の写真は同じ畑で8月上旬に撮ったベニバナインゲンの実です。

 

オオイタドリの花蜜を吸うコミスジ

 

2020年8月中旬・午後14:20頃・晴れ 

堤防路の横に咲いたオオイタドリの群落でコミスジNeptis sappho)が訪花していました。 
翅を細かく開閉しながら歩き回り、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
夏の日差しが強く暑いので、後半は翅をしっかり閉じてしまいました。 
コミスジは吸蜜に夢中で、私がカメラのレンズを近づけても逃げません。 
最後は私が指でそっと触れると、コミスジは慌てて少しだけ飛んで逃げました。 
それまで隠れていた翅表がこのときようやく見えました。

▼関連記事(同日に撮影) 
イタドリの花蜜を吸うコミスジ

農道に離着陸するシオカラトンボ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年8月中旬・午前7:25頃・晴れ 

水田の横の農道でシオカラトンボ♀(Orthetrum albistylum speciosum)が止まっていました。 
シオカラトンボの♀は、別名ムギワラトンボとも呼ばれます。  
砂利道に着陸したまま翅を休めています。 
腹部をひくひく動かしながら(腹式呼吸)、ときどき辺りを油断なく見回しています。 
自発的に飛び立ったので追いかけると、落ち着き無く離着陸を繰り返しました。 

なぜ草葉にしがみついたり枝先に止まったりせずに、いつも地面で休むのか?と疑問に思いました。 
『トンボのすべて』を読むと、トンボの止まり方を分類していました。
うつぶせ型の止まり方 flat perching   
日中の大半、じっと止まり、餌が来たときや♀が来たとき、そしてライバルの♂がやってきて追っ払う時だけ飛び立ち、用が済むとまた止まってしまう。このような「静止型」のトンボは平らに止まります。(中略)トンボ科の多くの種は土の上などにペタンとうつぶせに止まります。(中略)これらのトンボも夜眠るときはたいていぶら下がります。(p88より引用)
 

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 
離陸直後に右旋回して飛び去りました。
▼関連記事(8年前の撮影:220fps) 
ムギワラトンボ(シオカラトンボ未成熟♂)の飛び立ちハイスピード動画

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