ヤエザクラ(八重桜)の樹洞内に作られたモンスズメバチ(Vespa crabro)の巣を赤外線の暗視カメラで撮影していると、巣のすぐ左上にゴキブリが潜んでいました。
おそらくヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)だと思います。
長い触角が目立つものの、モノクロの映像では翅の有無(性別)が見にくいです。
幼虫または短翅の♀成虫のようです。
複眼が赤外線を反射して光って見えます。
カマドウマほど後脚は発達していません。
腹端に1対の尾角があります。
自らの脚および腹面を舐めて身繕いしていました。
正面を向いたときに口器が動いていましたが、モンスズメバチの巣の外皮を食害しているのか、それとも樹洞内の樹皮を齧っているのか、定かではありません。
以前ヤマトゴキブリを飼育したときには、カシカシ、パチパチ♪と音をたてながら夜に朽木を齧っていました。
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朽木を食べるヤマトゴキブリ♀しかし今回は、耳を澄ませても樹洞内でそのような物音は聞こえませんでした。
ゴキブリの他にはワラジムシ(Porcellio scaber)もモンスズメバチの巣のすぐ外側を徘徊していました。
スズメバチの巣内でゴキブリが居候(共生?)していることを示す決定的な証拠映像がようやく撮れて、長年のミッシングリンクがようやく繋がりました。
感無量です。
▼関連記事(5年前の撮影)
コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】暗視映像だけでなく通常照明下でもゴキブリを撮影したいのはやまやまでしたが、スズメバチ専用の防護服を着ていない(持っていない)私は蜂を刺激する危険を冒せません。
また、夜行性のゴキブリは眩しい白色光を照射するとすぐに物陰に隠れてしまいそうです。
鈴木知之『朽ち木にあつまる虫ハンドブック』によると、ヤマトゴキブリは
立ち枯れの樹皮下や生木の洞にすむ。成虫は5〜9月に現れ、夜間、樹液に集まる。雑食性で、果実や野菜などの植物や、昆虫の死がいなどを食べる。(p14より引用)私は未だ雑木林の樹液酒場に来ているヤマトゴキブリを実際に見たことはありません。
ヤマトゴキブリは桜の樹洞内でモンスズメバチとただ同居しているだけなのか、それともモンスズメバチの食べ残しや巣材を盗み食いしているのか、解明したいところです。
モンスズメバチの巣盤は樹洞内に吊り下げられるように作られ、外皮の底が抜けているため、食べ残しや死骸は樹洞の底にどんどん落ちてしまうはずです。
ゴキブリが樹洞の底ではなくモンスズメバチの巣の近くに留まっているということは、無抵抗の蜂の子を捕食したり前蛹が育房内に排泄した糞を食べている可能性も考えられます。
アリの巣に同居・居候する好蟻性昆虫の研究が近年活発に進められていますが、好雀蜂性昆虫の生態も面白そうです。
つづく→#9:モンスズメバチの巣に繭ができた!【暗視映像】
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