2024/11/16

雪山を徘徊する年末年始のホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬〜2024年1月上旬


シーン0:12/25・午後12:18・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
根雪が積もった里山のスギ植林地でニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動撮影カメラで監視しています。 
(溜め糞は画面の左下隅の雪の下に埋もれています。) 
画面の手前から奥に向かって緩斜面を見上げるアングルです。 
林床の雪面にスギの落葉落枝が散乱しています。 
画角の右外には渓谷(山肌を深く侵食した沢)があります。 


シーン1:12/28・午前5:33(@0:03〜) 
夜明け前に、長い尻尾のある中型の哺乳類が奥の雪原を右から左へ横切りました。 
スロー再生で見ると、キツネでしょうか? 


シーン2:1/1・午後22:51(@0:21〜) 
奥の斜面を左から右へ白く光る目が横切りました。 
赤外線があまり遠くまで届かないため、暗くて正体不明です。 
ノウサギの動きとは違うような気がします。


シーン3:1/7・午後16:56(@0:31〜)日の入り時刻は午後16:38 
日没後にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が単独で奥の斜面を左から右へ横切りました。 
日の入り後も雪明りでしばらく明るいのが雪山の利点です。
ようやくキツネの姿をはっきり捉えることが出来ました。 
渓谷の方へ向かっています。 


シーン4:1/8・午前3:58・雪(@0:43〜) 
雪が降りしきる深夜未明に、奥の斜面を徘徊する中型の野生動物が写りました。 
移動の動きがノウサギの跳躍ではありません。 
途中でちらっとカメラ目線をくれました。 
今回もキツネかな? 
やはり右の沢へ向かっています。 


つづく→ 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。

キツリフネの花の横でホバリングするホソヒラタアブ

 

2023年10月上旬・午後13:00頃・くもり 

山麓の道端の草むらに咲いたキツリフネの群落でホソヒラタアブEpisyrphus balteatus)の仲間が訪花していました。 
吸蜜シーンを撮りたかったのですが、キツリフネの花のすぐ手前でなぜか延々とホバリング(停空飛翔)しています。 

直後に飛来した蛾に目移りして、そっちを撮り始めてしまったので、ホソヒラタアブがキツリフネの花に着陸するまで見届けられませんでした。 
キツリフネの蜜腺は細長い距の奥に隠されているので、花蜜を舐めたければホソヒラタアブは花のかなり奥まで潜り込まないといけません。
雄しべの花粉が目当てなら、手前にあります。

2024/11/15

大雪の積もった年末に倒木の下をくぐって遊動するニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 



2023年12月下旬

平地のスギ防風林でニホンイタチMustela itatsi)が越冬する「根曲がり巣穴a」をこれまでトレイルカメラで調べてきました。 
実は、すぐ近くにもう一つの巣穴bがあって、気になっていました。 
複数の倒木が放置されているのですが、これも根こそぎ風倒したスギの根元に掘られた巣穴bです。 
試しに、こちらをトレイルカメラで監視することにしました。 
これもイタチの巣穴なのでしょうか?
2つの巣穴が内部でつながっていたりして?
限られた撮影機材でやり繰りしながら複数のプロジェクトを同時進行しているため、2つの巣穴を同時に見張ることができません。


シーン1:12/22・午後12:00・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
画面のほぼ中央にぽっかり開いているのが、問題の巣穴bです。 
水平な別の倒木で遮られて見えませんが、その下をくぐったすぐ奥に、「根曲がり巣穴a」があります。 


シーン2:12/24・午前8:00頃・(@0:04〜) 
水平倒木の上にも大雪が積もっています。 
ドカ雪が降った後でも、巣穴bは雪に埋もれていませんでした。 

水平倒木の下をくぐって奥の獣道からニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが手前に続々と駆け下りてきます。 
先行する個体が深雪をかき分けた(ラッセルした)獣道を縦列で遊動しています。 
巣穴bには気づいていないか、興味がないようです。 

動画に撮れたニホンザルは計3頭ですが、トレイルカメラを起動させた先頭個体がいたはずなので、少なくとも4頭の群れが遊動していたことになります。 
この推定個体数は前回と同じなので、とても小さな群れなのかもしれません。
(群れの仲間は別ルートで雪原を遊動している可能性もあります。)

水平倒木を野生動物は丸木橋のように使っているのではないかと私は予想していました。
つまり、水路を渡る丸木橋ではありませんが、獣道が立体交差していると予想したのです。
しかし今回のニホンザルは、水平倒木を渡り歩くことはしませんでした。


シーン3:12/25・午前10:58頃・晴れ(@0:25〜) 
積もった雪がかなり溶けていました。 
謎の巣穴bの周囲の状況が分かりやすくなりました。

 ※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



雪山でニホンカモシカの寝床を見つけた!【アニマルトラッキング・フィールドサイン】

 



2023年12月下旬・午後13:20頃・くもり 

雪山でニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2を見つけた後で、更に足跡を辿って行きます。 
スギの根元の雪面に大型の動物が長時間座った形跡を見つけました。 
周囲の雪面にはカモシカの蹄跡があることから、ここはニホンカモシカのねぐら(寝床)のようです。 
実は前年に見つけたカモシカの塒のある方向へ足跡は向かっていたのですが、急斜面に出る前に新しい塒を見つけることができました。
カモシカが休んだ場所の雪はよく踏み固められ、アイスバーンのように凍結しています。 
スギの落枝(木の根?)が露出していました。 
地面にフワフワの枯草や樹皮などを敷いて断熱材の寝床を作ることはしていません。 
熊よけスプレー(長さ20cm)を寝床の雪面に置いて、採寸代わりに写し込みました。 

現場は緩斜面に植林したスギ林の上端部で、その上はカラマツの植林地になっています。 
カラマツは落葉樹なので、冬になると雪が降ってもしのげません。 
カモシカが常緑のスギ林を好んでよく歩く理由が分かってきました。
ちなみに、この塒は溜め糞場sr2から緩斜面を登りつつ約20mほど離れた地点にありました。 

スギの木の下に積雪が少ないのは、空から降ってきた雪の多くが途中でスギの横枝や常緑の葉に積もるためです。 
隣の若いスギの木がもたれかかるように斜めに倒れていました。 
その枝葉に冠雪していることから分かるように、斜めスギ倒木はねぐらの目隠しにもなりますし、風雪をしのげる屋根(シェルター)ができていました。 
カモシカはよくよく考えた上で、少しでも安全で快適なねぐらの位置を選定していることが分かります。 

早速ここにトレイルカメラを設置して、ニホンカモシカの寝姿を観察してみましょう。 
果たしてカモシカは再び戻ってきてくれるでしょうか?
現場を踏み荒らさないように注意して撮影したつもりですが、塒の周囲を私が歩き回ったスノーシューの足跡をカモシカが警戒して、もうこの塒に近寄らなくなるのではないか?という一抹の懸念があります。 




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2024/11/14

根雪が積もったアナグマの越冬用営巣地をラッセルして巡回するホンドタヌキのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月中旬〜下旬 


シーン0:12/11・午後12:55・くもり・気温21℃(@0:00〜) 
シーン0:12/15・午前7:22・くもり・気温1℃(@0:04〜) 
初冬に根雪が積もる前の現場の状況です。 
平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する営巣地(セット)をトレイルカメラ2台体勢で見張っています。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:12/17・午前10:49・雪・気温0℃(@0:07〜) 
この日から本格的に雪が降り始めました。 


シーン2:12/20・午後20:04・雪・気温-1℃(@0:13〜) 
雪が降る晩に、タヌキが単独で現れました。 
一歩ずつ深雪に足が潜りながらも、林内をゆっくりうろついています。 
アナグマの巣穴には近寄りませんでした。 


シーン3:12/21・午前5:45・気温-4℃(@0:42〜)日の出時刻は午前6:47 
雪が激しく降りしきる翌日の未明にも、タヌキがひょっこり登場しました。 
今回もアナグマの巣穴には近寄りませんでした。 


シーン4:12/21・午後17:00・気温-3℃(@0:53〜)日の入り時刻は午後16:26 
日が暮れた晩に、♀♂ペアと思われるホンドタヌキが一緒にやって来ました。 
雪は降り止んでいますが、深雪をラッセルしながら縦列でゆっくり進んでいます。 


シーン5:12/21・午後17:04(@1:53〜) 
ラッセルをさぼって雪面を舐めていた後続個体が、ようやく先行個体の後を追って獣道を歩き始めました。 
足を一歩踏み出すごとに深雪に埋まり、雪道を進むのに難儀しています。 
ところが、せっかく林縁まで来たのに、なぜか引き返し始めました。 


シーン6:12/21・午後22:18・雪・気温-3℃(@2:53〜) 
約5時間10分後に、監視カメラが再び起動したときには雪が激しく降っていました。 
ペアで縄張りを巡回するタヌキの先頭個体がまず、深雪をゆっくりかき分けながら奥の落葉二次林へ向かっています。 


シーン7:12/21・午後22:22・雪(@3:12〜) 
約3分後に左から来たと思われる後続個体が先行個体が残したラッセル跡を辿って林内へ向かいます。
 「ラッセル泥棒」の雪中行軍は圧倒的に速いことがよく分かります。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
巣穴で冬ごもりするニホンアナグマと比べると、雪国のホンドタヌキは厳冬期でもはるかに活動的です。 
アナグマが越冬している巣口L、Rが大雪に埋もれかけていることもあり、通りすがりのタヌキが巣口に顔を突っ込んで詮索するような行動は一度もやらなくなりました。 


ヒャクニチソウの花蜜を吸い飛び回るモンシロチョウ♀夏型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

街なかで道端の花壇に咲いたヒャクニチソウ(百日草)の群落でモンシロチョウ♀(Pieris rapae)夏型が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
秋晴れの陽射しを浴びたモンシロチョウ♀は、翅を半開きにしたままヒャクニチソウの花蜜を吸っていました。 

同じヒャクニチソウでも舌状花の花弁が色とりどりの品種が同じ花壇に咲き乱れています。 
私が見た限り、このモンシロチョウ♀個体は黄色または白(花弁の根元が赤)の花を選んで次々に吸蜜していました。 
花弁が真っ白な品種の花よりも、白い花弁で根元が蜜標のように赤い品種の花を好んで訪れていました。 
どうやらモンシロチョウは花の色に好みがあるようです。(赤色は認識しにくい?) 
品種改良の結果、花弁の色が違う品種では分泌する花蜜の量が異なる可能性も考えられます。

ヒャクニチソウの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:57〜) 
花から花へ飛び回るだけでなく、羽ばたきながら歩いて移動することもありました。

2024/11/13

年末に冬眠から目覚めて夜な夜な巣外をのろのろ出歩く雪国のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬

シーン0:12/22・午後13:30・くもり・気温14℃(@0:00〜) 
シーン0:12/22・午後13:59・くもり・気温12℃(@0:03〜) 
平地の落葉した二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで見張っています。 
根雪が積もって2つの巣口L、Rがほとんど埋もれてしまいました。 


シーン1:12/24・午前0:48・雪・気温-2℃(@0:07〜) 
小雪が降る深夜に巣穴Rから外に出てきた直後と思われるアナグマが写りました。 
冬ごもりを始めてからしばらくアナグマが写らなかったので、もしかしてタヌキに巣穴を乗っ取られてしまったのか? 凍死してしまったのか?などと悪い想像ばかりしていました。
久しぶりにようやくアナグマの無事な姿を確認できて、一安心しました。 

深雪のため、アナグマの顔がしっかり見えません。 
身震いしてから再び巣穴Rに入り直しました。 
巣口Rの周囲の新雪にアナグマの足跡がついていないことから、森の中に外出していないことが分かります。 
巣口Rが雪で完全に埋もれると中のアナグマは窒息しますから、玄関を雪かきしたのかな?


シーン2:12/25・午前1:41・気温-3℃(@0:33〜) 
翌日の深夜には、雪が降り止んで晴れていました。 
出巣R直後のアナグマが奥の二次林の方を見ています。 
一歩も動かず、風の匂いを嗅いでいるだけでした。 
動きが乏しいので、5倍速の早回し映像でご覧ください。 
短い冬眠からの覚醒後に体温を再び上げていたのかもしれない、と思いつきました。 
それにしては、持続的なシバリングも見られませんでした。 

アナグマは雪が積もる厳冬期でも完全には冬眠しないことが分かりました。 
ときどき覚醒して巣口にまでは出てくるようです。 

採餌には出かけないので、絶食状態のようです。 

シーン3:12/25・午前1:46(@0:45〜) 
4分後に監視カメラが再起動したときには、巣口Rのアナグマは少しだけ右に移動していました。 
新雪の雪面に鼻面を突っ込んだり、前脚でそっと掻いたりしています。 
もしかして、雪を見たことのない若い個体(当歳仔)なのかもしれません。 
体格は♀タイプでも、左右の目は均等でした。(@1:35) 

身震いしてから、右へゆっくり歩き始めました。 
雪質は湿雪で、アナグマが後脚を踏み出すと、深く潜ります。(ラッセル行動) 
タヌキと違って、雪を舐めたり食べたりすることはありませんでした。 


シーン4:12/25・午前1:48(@1:45〜) 
雪面をゆっくりゆっくり徘徊するアナグマは、巣穴Rからほとんど離れていないものの、カメラの方を向いていました。 
セットの雪面の匂いを嗅ぎ回っているようです。 
やはりホンドタヌキやホンドギツネなどの訪問客が通った残り香が気になるのかな? 
対抗して雪面にスクワットマーキングをすることはありませんでした。
前脚で雪を掻いて道を作りながら右へゆっくり進んでいます。 
とにかく動きが緩慢で、「イヌは喜び庭駆け回り」と童謡「ゆき」に歌われた犬の行動とは全く違います。 
ときどき身震いしているので、寒そうです。 

夏に通い慣れた獣道の通りに、右へ向かっているようです。 
ところが途中で雪面に残る足跡に気づくと方向転換して、手前に向かって足跡を辿り始めました。 
カメラ目線になりました。 


シーン5:12/25・午前1:56(@1:45〜)
6分後には、自分がラッセルした獣道を右から引き返してきました。 
アクセストレンチの名残をたどって巣口Rの手前まで来ると、身震いしてからゆっくり入巣Rしました。 
深夜の雪原徘徊が終了です。 
雪深い二次林で餌が取れるとは思えませんから、うろついても体力を消耗するだけだと思うのですけど、一体何をしているのでしょう? 
夏に利用していた溜め糞場stmpとは逆方向に向かっていました。 
この個体が♂ならば、早春の交尾期に備えて、近所で越冬している♀の巣穴の位置をすべて確かめておく必要があるのだと理解できます。
しかし、どう見ても、この個体は♀でした。


シーン6:12/25・午後22:10・気温-1℃(@4:29〜)
明るい昼間は巣内で寝て、同じ日の晩遅くに再び巣穴Rの外に出てきました。 
新たに雪は積もっておらず、雪面は腐れ雪の状態です。 
巣口Rに佇んで辺りを見回したり風の匂いを嗅いだりするだけでした。 
前夜にラッセルして作った獣道を辿って右に移動を始めました。 
足を踏み出す度に深雪にズボズボ潜って歩きにくそうです。 
立ち止まって頻りに風の匂いを嗅いでいます。 
トレイルカメラの存在に気づいて警戒しているようにも見えます。 
あれほど活発だった夏のアナグマとは見違えるようで、冬のアナグマはとにかく動きが緩慢です。 


シーン7:12/25・午後22:36・気温0℃(@4:29〜) 
次にトレイルカメラが起動したのは24分後でした。 
まさか雪原の同じ場所で呆然と静止していたのでしょうか? 
雪原の獣道を左へ戻り、身震いしてから入巣Rしました。 


シーン8:12/26・午前1:52・雨天?・気温-2℃(@6:44〜) 
日付が変わった深夜。 
巣口Lを高所から見下ろすアングルに設置したトレイルカメラに初めてアナグマが写りました。 
巣穴Rから出た直後のようです。 
雪に埋もれかけた巣口Lに顔を突っ込んだものの、中には入らずに左に通り過ぎようとしています。 


シーン9:12/26・午前1:57・雨天?(@7:44〜) 
約5分後にアナグマが左から戻ってきたようです。 
巣口Lの匂いを嗅いでいました。 
雪面に残る自分の足跡を辿ってゆっくり隣の巣口Rを目指しているようですが、 別カメラで入巣Rシーンが撮れてないのが残念です。 


シーン10:12/27・午前1:14・雪・気温0℃(@8:44〜) 
翌日もアナグマは深夜未明に活動を始めました。 
営巣地(セット)に積もった雪が雨でだいぶ溶けてしまいました。 
雪面の足跡も不鮮明になっています。 
雨が雪に変わったようです。 

出巣R直後のアナグマは、いつものように巣口Rにしばらく佇んで、風の匂いを嗅いでいます。 
しばらくすると、ゆっくり歩き始めました。 
雪面の雪質(腐れ雪)は雨で溶けたせいでますます悪化し、アナグマは一層歩きにくくなりました。 


シーン11:12/27・午前1:16・雪(@9:05〜)
腐れ雪の雪原を右へゆっくりゆっくり歩いて行きます。 

不思議なことに、この後で帰巣するシーンが撮れていませんでした。 
低温でトレイルカメラの調子が悪いせいだと思うのですが、どこか別の巣穴で外泊したのでしょうか?(例えば休耕地にある営巣地) 
もしかすると、ゆっくりゆっくり歩けば煩わしい監視カメラのセンサーが反応しないことをアナグマは学習したのかもしれません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

個体識別ができていないので、この営巣地で計何頭のアナグマが越冬しているのか、分かっていません。
今回登場したアナグマが同一個体なのか、それとも別個体が交互に外を出歩いているのか、不明です。

ところで、トレイルカメラが夜に赤外線を連続して長時間照射すると、近くの雪が熱で溶けるのか?(撮影環境を改変してしまうのか?)という疑問がわきました。 
人工知能Geminiに質問してみると、 トレイルカメラで使用される赤外線は、雪を融解させるほどのエネルギーを持っていないのだそうです。 
コタツに使われる赤外線は波長の長い遠赤外線で、トレイルカメラに使われる赤外線とは性質が異なるそうです。 
結論として、長時間照射してもかなりの至近距離に積もった雪がわずかに溶ける程度なのだそうです。 


【参考文献】
冬季は約5ヶ月間冬眠するが、睡眠は浅い。(wikipedia:ニホンアナグマより引用)
福田幸広『アナグマはクマではありません』 という本の装丁でカバーの折り返し部分にニホンアナグマについての基本情報が簡潔に書かれています。
12月〜2月、♂は単独で、♀は当歳仔・1歳仔といっしょに冬眠する。
冬眠に関してこの簡潔な説明文を書くために、どれだけ先人が苦労してフィールドワークしたのか、自分で観察を始めてみると実感できるようになりました。 
更に本文から、冬の行動について書かれた部分を抜書すると、
 アナグマは冬ごもりをします。ただ、すんでいる地域によって眠り始める時期や期間に大きな違いがあるようです。春まで巣穴から出てこないクマなどの冬眠とは異なり、間隔をあけて巣から出てきます。 (p30より引用)
 冬ごもりメンバーは母とその年に生まれた子ども、さらに前の年の子も加わることもあります。時々、巣穴から出てきてはみんなでストレッチをしたり巣の手入れをしたりして、また巣に戻って眠ります。春には、2歳になる息子は母アナグマより大きくなっています。 (p34より引用)
文献検索すると、全文PDFが無料でダウンロードできる論文を見つけたので、読んで少し勉強しました。
船越公威; 松元海里. 九州南部に生息するニホンアナグマ Meles anakuma の冬季における活動について. 哺乳類科学, 2018, 58.2: 221-226.

【抄録】九州南部の鹿児島市において,ニホンアナグマMeles anakumaの冬季活動を知るため,2016年12月から2017年3月に自動撮影カメラを利用して調査した.冬季のねぐら場所は固定しており,2個体が利用していた.両個体の巣外活動は同調していた.巣外活動停止の開始は12月22日で,その主要な外因として気温よりも光周期が示唆された.夜間の巣外活動は12月下旬から著しく低下した.その後,比較的短時間の巣外活動が3月初旬まで断続的にみられた.外気温0~3°C下でも巣外活動がみられ,気温低下と巣外活動に関連性はみられなかった.巣外活動停止(3日以上)に周期性がみられ,その間隔は平均11日であった.巣外活動が3日以上停止した1月5日から3月5日を冬眠期間とすると,50日となった.この冬眠期間は,東京都日の出町や山口市のアナグマの冬眠期間より短く,低緯度の鹿児島市では冬眠期間が短いことが明らかになった.

雪深い東北地方に住むニホンアナグマの冬季の行動についてはあまり調べられていないようで、閲覧できる報告が見つかりませんでした。 
もしかすると他の地域の個体群とは何か微妙な違いが出てくるかもしれません。 





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雪山のスギ林で餌を探す年末のカケス【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年12月下旬 

シーン0:12/25・午後12:18・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
根雪が積もった里山のスギ植林地でニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1をトレイルカメラで見張っています。 
画面の手前から奥に向かって斜面を見上げるアングルです。 
林床の雪面にスギの落葉落枝が散乱しています。 
画角の右外には渓谷(山肌を深く侵食した沢)があります。 

日中にカケスGarrulus glandarius)が来るようになりました。 
この地点でカケスが写ったのは初めてです。 


シーン1:12/28・午前10:47(@0:04〜) 
左に立つスギ大木の枝葉に1羽の鳥が止まっていました。 
横枝から横枝へ飛び移り、スギ幹の背後に隠れました。 
逆光で同定するのが難しかったのですが、ジェー♪という嗄れた鳴き声でカケスと分かりました。 
しばらくすると、スギに巻き付いた太いフジ蔓にカケスがぴょんと飛び移りました。 
ようやく右の雪面に飛び降りると、雪面に散乱したスギの落ち葉を調べたり凍った雪面を啄んだりしています。 
越冬中の虫が隠れていないか、獲物を探しているのかもしれません。 

1.5倍に拡大した上でリプレイ(@1:37〜)。 


シーン2:12/28・午前10:49(@3:08〜) 
20秒後にトレイルカメラが再び起動したときにも、カケスが居残っていました。 
スギの横枝にまた止まっています。
カケスがスギの球果や冬芽を食べるとは思えないので、越冬中の虫を探しているようです。
秋の間に貯食しておいたドングリを取りに来た可能性も考えられます。 
いずれにせよ、説得力のある証拠映像は撮れていません。 
横のフジ蔓に止まってから、上の横枝に向かって飛び上がりました。 

1.5倍に拡大した上でリプレイ(@3:39〜)。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ カケスの鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。


2024/11/12

群れと一緒に新雪をかき分けて遊動する途中でイタチの越冬用巣穴を覗き込むニホンザル【トレイルカメラ】

 

2023年12月下旬・午前8:20頃・雪

平地のスギ防風林でニホンイタチMustela itatsi)が越冬している「根曲がり巣穴」を見張っていると、ニホンザルMacaca fuscata fuscata)が登場しました。 
雪がしんしんと降る朝に、雪深い林床を縦列で遊動するニホンザルの小群が右から左へ続々と横切りました。 
トレイルカメラもすっかり雪に埋もれかけているようで、その存在に猿たちは全く気づいていない様子です。 

動画に写ったのは計3頭ですが、トレイルカメラのセンサーを起動させた先頭個体がいたはずですから、少なくとも4頭の群れが遊動していました。 
2頭目は子猿で、右上から雪面に飛び降り、ラッセルされた獣道を左へ向かいました。

3頭目の成獣は通りすがりに根曲がり巣穴に気づくと興味を示し、巣口を覗き込みました。 
せっかくお尻を向けてくれたのに、新雪が付着して性別不明です。 
実は3時間20分前の夜明け前にイタチが出没していました。

この地点でニホンザルの群れが撮れたのは初めてです。
根雪が積もった後の真冬に、山から降りてきた野生ニホンザルの群れがこんな平地に現れるとは、ちょっと驚きました。 
何を食べているのでしょうか? 
スギ防風林にニホンザルの食べる餌はなさそうなので、どこか別の餌場へ遊動する通り道として使っているだけでしょう。
民家の庭などあちこちに植えられたカキノキの樹上に残された熟柿を食べ歩いているのではないか?と予想しています。



イモカタバミの花で採餌して飛び回るニホンミツバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月中旬・午後15:10頃・晴れ 

街なかの猫の額ほどの庭に咲いたイモカタバミの群落でニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 


ニホンミツバチ♀はイモカタバミに正当訪花を繰り返して吸蜜・集粉しています。 
後脚の花粉籠に付けて運んでいる橙色の花粉団子はまだ少量だけでした。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:24〜)

2024/11/11

ニホンアナグマが越冬する営巣地を年末に横切る雪国のホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:12/22・午前後・気温12℃(@0:00〜) 
せっかく積もった根雪が少し溶けました。 


シーン2:12/26・午前6:14・気温-2℃(@0:03〜)日の出時刻は午前6:50 
夜明け前にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が単独でやって来ました。 
アナグマの巣口Rの手前で立ち止まり、なぜかそれ以上は近づこうとしませんでした。 
アナグマがラッセルした獣道の匂いを嗅ぐと、そこは通らずに右上奥の林内へ向かいました。 


シーン3:12/26・午後17:47・気温4℃(@0:03〜)日の入り時刻は午後16:29 
同じ日の日没後にキツネが再び登場しました。 
個体識別できていませんが、同一個体なのかな? 
画面の右端にちらっと写っただで、アナグマの巣穴には今回も立ち寄りませんでした。 


【考察】
雪深い冬でも冬眠しないキツネは、野ネズミやノウサギなどの獲物を夜に探し歩いているようです。
獲物をほとんど狩れないからこそ、冬は広大な縄張りを巡回する必要があるのでしょう。


若いニホンザルがオニグルミ堅果を割ろうと力任せに噛んでも歯が立たない

 

2023年12月中旬・午後15:25頃・くもり(日の入り時刻は午後16:24) 

夕方の山麓で野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れと遭遇しました。 
林縁の土手に座っていた若い個体が立ち上がると、私に向かって土手を斜めに走り下りました。 
オニグルミ大木の下まで来ると、目の前に垂れ下がっているスギの横枝に跳び移りました。 
スギの枝葉にぶら下がって少しブランコ遊びをしてから地上に飛び降り、スギ植林地の林縁に達しました。 
ちなみに、遊動する群れの仲間はこのスギ林に続々と集まってきていて、おそらく塒入りするようです。 

スギの木の下に座り込んだ若いニホンザルは、オニグルミの落果を拾って口に入れました。
土手の途中に自生するオニグルミの木から熟した果実が落ちて、斜面を転がり落ちてきたのです。 
このオニグルミ落果はすでに果皮が腐り落ちた状態ですが、猿は両手を使って堅果表面の泥汚れを丹念に払い落としました。 
(表面が黒く見えるのはタンニンかもしれません。)
オニグルミの殻の中に美味しい仁が含まれていることを知っているらしく、堅果を口に咥えて犬歯で噛み割ろうとしています。 
しかし、若いニホンザルは顎の筋力がまだ弱いようで、力任せに噛んでもオニグルミの硬くて大きい殻を割ることができません。 
左右対称の殻のつなぎ目に歯を立てて割るというコツを知らないのかもしれません。
諦めてオニグルミ堅果をその場に捨てました。 
右後脚で痒い体を掻いてから立ち上がると、群れの仲間を追いかけて暗いスギ林の中に入って行きました。 

この個体の性別が私には分かりません。 
股間に睾丸は見えず、胸に細長い乳首も見えませんでした。 
素人目には若い♀ではないかと思うのですが、どうでしょうか? 
猿の歯型と唾液が付いたオニグルミ堅果を撮影直後に拾って回収すれば、DNA鑑定で性別も分かったはずです。 

前年よりも間近で撮影できて感動しました! 

ニホンザルの成獣になると顎の筋力が増し、オニグルミ堅果の殻を噛み割って中の仁を食べるコツを学んだ個体がでてくるらしいです。 
つまりニホンザルはオニグルミの種子捕食者ということになります。 
私はまだその様子を観察したことがありません。 


※ 最後は動画編集時に自動色調補正を施しています。

2024/11/10

雪原の獣道で毛繕いし、越冬用巣穴に入るホンドタヌキ【トレイルカメラ】

 

2023年12月下旬

シーン0:12/4・午後14:08・晴れ・気温26℃(@0:00〜) 
シーン0:12/11・午後13:30・くもり・気温18℃(@0:03〜) 
明るい日中に誤作動などでたまたま撮れた現場の様子です。 
休耕地にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 
辺り一面に蔓延っていたクズやカナムグラなどの蔓植物がすっかり枯れました。 

タヌキが繁殖した後にニホンアナグマMeles anakuma)が巣穴(の一部)を乗っ取ったらしく、晩秋になると越冬に備えて巣材(断熱材の枯草)を巣穴に搬入しました。 

記録が断片的なために、この営巣地で誰が越冬するのか、いまいちはっきり分かっていません。 


シーン1:12/19・午前9:55・晴れ・気温9℃(@0:07〜) 
暖冬でしたが、ようやく根雪が積もり、一面の銀世界になりました。 
巣穴から右下手前に向かって野生動物が出入りしている足跡(深雪のラッセル跡)が新雪の雪面に残っているのに、その行動が監視カメラで撮れていませんでした。 


シーン2:12/22・午前9:57・晴れ・気温2℃(@0:11〜) 
巣穴から外に出てきたばかりと思われるタヌキが、雪原に張り巡らせたラッセル跡を辿って移動しています。 
途中で立ち止まって、奥の農道やスギ防風林の方を見ています。 
もしかすると、巣穴の近くにある溜め糞場で用を足しているのかもしれません。 
しかし、排泄しているのなら、タヌキの尻尾が動くはずです。 


しばらくすると、その場で毛繕いを始めました。(@0:57〜) 
ようやくタヌキが方向転換して巣穴に戻りかけたところで、カメラの録画が終わりました。 


シーン3:12/24・午前5:24・みぞれ・気温-3℃(@1:11〜)日の出時刻は午前6:49 
夜明け前にみぞれ?が降っていました。 


シーン4:12/24・午前8:15・くもり・気温0℃(@1:17〜) 
雪原の獣道を1頭のタヌキが手前から奥へ歩いて行きます。 
獣道はラッセル済みでよく踏み固められており、タヌキの体高より少し低いぐらいの雪の壁になっています。
タヌキの毛皮には少し雪が凍りついていました。 
そのまま越冬用巣穴に入りました。 
巣口の雪は、泥でやや汚れています。 


【考察】
ようやくこれで、ホンドタヌキが越冬する巣穴だと確認できました。 
入巣だけでなく出巣の瞬間も動画に撮りたいのですけど、トレイルカメラで撮るのは難しそうです。
北海道のエゾタヌキと異なり、本州のホンドタヌキは雪国の厳冬期でも冬ごもりしないで元気に活動します。 


フレンチ・マリーゴールドの花蜜を吸うシロオビノメイガ(蛾)

 

2023年10月中旬・午後15:40頃・晴れ 

街なかの花壇(ホテルの駐車場の隅)に咲いた八重咲きのフレンチ・マリーゴールドの群落でシロオビノメイガSpoladea recurvalis)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

通常マクロモードで正面からカメラのレンズをそっと近づけて接写しても逃げませんでした。 
やがて口吻を伸ばすと、吸蜜を始めました。 
私が太陽を背にしてしまったので、カメラの影が被写体に落ちないよう撮影アングルに苦労しました。 
花から飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

少し離れた別の花で見つけたシロオビノメイガは、日陰に咲いた花の上で休んでいるだけでした。 
左右の触角を交互に振り立てているものの、口吻は縮めたままです。 
しばらくすると、自発的に飛び立って別の花に移動しました。 
実は、フレンチ・マリーゴールドの花で吸蜜する個体よりも、葉裏などに隠れているシロオビノメイガの方が多数いました。 

余談ですが、前半の撮影中に、別の蛾が手前から飛来して、隣に咲いたフレンチ・マリーゴールドの花に止まりました。 
しかし花の下に隠れるように止まったので、翅裏しか見えません。 
シロオビノメイガとは別種の蛾だと思うのですけど、どなたか見分けられる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。(シャクガ科ですかね?) 
シロオビノメイガにしては、止まったときの翅の広げ方が違います。 
蝶や蛾の翅の裏面だけを撮った写真を集めた図鑑やウェブサイトがあれば役立つのですけど、マニアック過ぎますね。 
着陸直前の飛翔シーンの動画から翅表が辛うじて移っているフレームから切り抜いてみたのですけど、羽ばたきが早すぎて、しっかり開いた状態の翅表が写っていませんでした。



この花壇では他にセセリチョウの仲間もフレンチ・マリーゴールドに訪花していたのですが、撮り損ねてしまいました。 


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