2023年12月中旬・午前2:57〜3:17
ニホンアナグマ(Meles anakuma)の越冬用巣穴Lから深夜に1頭の個体aが顔を外に出したり引っ込めたりして周囲を警戒しています。
激しい唸り声がしたので何事かと思ったら、左から別個体bがやって来ました。
巣口Lのアクセストレンチで2頭が対峙しても、激しい喧嘩は勃発しませんでした。
その後もアナグマbは緩慢な動きで巣口Lの周囲をうろついています。
アナグマbが巣内に入れて欲しいのに、アナグマaが門衛のように巣口Lをがっちりガードして拒んでいるようにも見えてきます。
アナグマbは越冬できる巣穴を探し歩いている余所者の個体なのでしょうか?
巣外をうろつく個体bはα♀(右目<左目)のような気もするのですけど、はっきりしません。
α♀(右目<左目)なら、力関係で一番上のはずだったのに、まさか縄張り争いに負けて越冬用巣穴から締め出されたのかな?
アナグマbが一旦セットから離れると、アナグマaが巣口Lから外に出て見送り、辺りを警戒しています。
侵入者bを激しく追いかけてセット(越冬用営巣地)から真剣に追い払ったようには見えません。
しばらくすると、アナグマbがまたこっそり戻ってきました。
門衛aと巣口Lで並んでも喧嘩にはなりませんでした。
アナグマbが立ち去る前に獣道で座り込んだのは、スクワットマーキング(匂い付け)の意味もあったのかもしれません。
獣道を右上奥に立ち去ったのかと思いきや、獣道の途中で未練がましく佇んで侵入のチャンスを伺っているようです。
その気配を感じているようで、門衛aは警戒を緩めずに、巣口Lをしっかりガードしています。
戻ってきた侵入者bが再びセットを右から左に横切り、巣口Rに近づくと、またもや激しい唸り声が聞こえました。(@4:36〜)
唸り声と言うかフガフガ♪というような鳴き声で、繁殖期の求愛声(ジェジェジェビーム♪)と似ている気もします。
それを聞いたアナグマaは怖がって(警戒して?)巣口Lの奥に引っ込みました。
おそらく、隣の巣穴Rの主が威嚇して侵入者bを追い払ったのでしょう。
侵入者bがセットから離れると、門衛aは巣口Lの外に出てきて周囲を警戒しますが、決して遠くまでは行きません。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
素人目には、巣穴に入りたい個体と、入れたくない個体の静かな攻防戦に見えました。
これがもし早春なら♂が♀の巣穴に求愛(夜這い)に来て拒まれたのだろうと解釈するのですが、撮影時期が初冬なので、いくらなんでも早すぎます。
越冬用の巣穴を巡ってアナグマ同士で争奪戦があるのでしょうか?
もしかすると越冬用巣穴には定員があって、家族全員を収容できないのかもしれません。
それならアナグマは穴掘りが得意ですから、越冬に備えて秋の間に巣穴を広く深く掘り広げる時間はいくらでもあったはずです。
もしかすると、この越冬用巣穴は男子禁制なのかもしれません。
秋まで頻繁に見られた幼獣同士の格闘遊びの延長、あるいは誤認によるニアミス威嚇♪だった可能性もあって、よく分かりません。
アナグマの個体識別をしっかりしないことには、解釈が難しいのです。
これは何か重要な事件を記録した動画のような気がするのですが、別アングルで設置したトレイルカメラが不調で(電池切れ?)何も写っていないのは残念でした。
2台の監視カメラで動画を撮れていれば、相互に補完し合って事件の全貌が掴めたはずです。
つづく→
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