2013/02/09
野生ニホンザル♂の爆竹音に対する反応
2012年8月下旬
橋の付近で寛いでいた野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れのメンバーが徐々に遊動して居なくなり、最後の一頭になりました。
歩き去る後ろ姿で立派な睾丸が認められますが、その血色がα♂のものほど良くありません。
橋を渡り切った雄猿が座って休憩すると、左手の里の方から爆竹音が響いてきました。
猿害に悩まされている近隣住民が里に下りてきたニホンザルの群れを山に追い帰そうとしているようです。
しかし映像の個体♂は慣れてしまっているのか、遠くからの爆竹音にはさほど動揺する様子を見せません。
橋の陰に隠れているので安心しているのでしょうか。
橋から木の枝に移り、谷の林に姿を消しました。
(もっと近くから発砲すれば、当然それなりの効果があると思います。)
ゴジュウカラの樹上採食(冬の野鳥)
2012年12月下旬
雪の積もった雑木林でゴジュウカラ(Sitta europaea amurensis)が頭を下にした逆さまの姿勢で幹に止まっていました。
嘴で樹皮をほじくって餌となる虫を探しています。
枝を徘徊するシロジュウシホシテントウ
2012年7月上旬
見慣れないテントウムシを発見。
上翅の白紋が1-3-2-1のシロジュウシホシテントウ(Calvia quatuordecimguttata)でした。
こんちゅーぶ!初登場となります。
ヤマイモの蔓が巻きついた小枝を早足で登り下りしています。
上翅に何かゴミが付着していますね。
小枝の天辺から飛び立つかと期待したのですが、せかせかと戻るだけでした。
2013/02/08
ニホンザルのマウント行動@橋の上
2012年8月下旬
橋の上でくつろぐ野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れで見られた2回のマウント行動をまとめてみました。
初めは兄弟?の猿が遊んでいる最中にマウントしたケースです。
子猿にマウントしながら背中に噛み付く真似をしました。
マウントされた子猿は悲鳴を上げるも、近くにいるα♂は無関心で干渉しません。
年長者による優位行動と思われます。
次のケースは橋の上で2頭の成獣が行ったもの。
長時間座っていたα♂がおもむろに起き上がり、近くに居た別個体(♀? 睾丸見えず)にマウントしました。
マウントされた個体は右前腕で背後の猿の後脚に触れています。
その後、お返しに毛繕い(グルーミング)を受けます。
α♂以外の性別を見分けられなかったのですけど、ニホンザルの繁殖期は秋〜冬なので、この時期の馬乗り(マウント)は交尾行動ではない筈です。
♀は♂にプレゼンティングしていませんし、マウントする♂もペニスの挿入やペルヴィック・スラストも見られませんでした。
比較のため、冬の雪山で繁殖期の交尾行動を観察してみたいものです。
『ニホンザルの行動論ノート』p38によると、
性行動に慣れたおとなの♀は♂の顔をふり仰ぎながら右手をのばして♂の腰のあたりを掴んで引っぱり、自分の体に密着させようとする。同書p77より
♀は、しきりと手をうしろに廻しては♂の足を引きつけて互いの体を密着させようとし、遂には♂の腹やあごの毛を掴みながら上体をねじって♂の顔をふり仰ぐ。
【追記】
馬のり行動(マウンティング)は、一般には♂間の「優位者」が「劣位者」に対する「順位確認行動」だと解釈されているが、必ずしもそうとは言えないらしい。
馬のり行動には、そうする個体が、自らの心的な興奮や緊張をしずめるため、という緊張緩和行動の意味あいが含まれていることがあるらしい。
(『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p302-303より)
【追記2】
岡ノ谷一夫『言葉はなぜ生まれたのか』p67によると、
ニホンザルは、上位ザルが下位ザルの上に乗りかかる「マウンティング」というしぐさによって、互いに序列を確認しています。ただし、鳴き方は序列には関係ありません。
鰹節を食すハラオカメコオロギ♂
ハラオカメコオロギ♂の飼育記録
2012年12月上旬
ハラオカメコオロギ♂(Loxoblemmus campestris)にタンパク質を補給するため、鰹節を与えてみました。
容器内に散らばらないよう、ペットボトルの蓋を皿替わりに給餌すると、早速摂食してくれました。
外は根雪が積もり、仲間のハラオカメコオロギはもう死に絶えています。
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バッタ・キリギリス(直翅目),
食事
2013/02/07
コガラの樹上採食♪【冬の野鳥】
2012年12月下旬
車道脇の潅木でシジュウカラ、コガラ、ヒガラの混群が居ました。
上手く撮れたのはコガラ(Parus montanus)だけ。
雪が積もった落葉樹の枝から枝へ飛び回り、鳴きながら餌を探していました。
ナミスジフユナミシャク♀を見つけた!(冬尺蛾)
2012年12月下旬・気温5.5℃@壁面
山中の建物の外壁(南西面、標高〜600m)に初めて見る種類の短翅型の冬尺蛾が止まっていました。
ナミスジフユナミシャク♀(Operophtera brunnea)です。
短い前翅を立て、その下に長い触角を隠して休んでいます。
腹端を接写しても、コーリング(♂を誘引する性フェロモンを放出)も産卵もしていません。
後翅はどうなっているのかよく見えません。
口吻は退化しています。
そっと指で触れると慌てて壁を登り始めたのですが、すぐに滑落。
落ちた雪面を歩いてすぐにまた壁を登り始めました。
少し登ったところで静止。
飼育下での産卵行動を観察するために♀を採集して持ち帰ったものの、残念ながら産卵しませんでした。
よく見ると腹部の膨らみがありません。
既に産卵を終えた♀なのか、あるいは未交尾の処女♀なのでしょうか?
他の建物も探して回ったのですけど、この日見つけた冬尺蛾は一頭だけ。
雑木林の幹では保護色のせいで未だ冬尺蛾を見つけたことがありません。
腹端 |
顔 |
現場で採寸 |
雪面歩行 |
ハラオカメコオロギ♂:鳴き声♪の声紋解析
ハラオカメコオロギ♂の飼育記録
2012年12月上旬・室温18.5℃
ハラオカメコオロギ♂(Loxoblemmus campestris)が飼育容器に慣れてくれたようで、隠れ家として一緒に入れておいた落葉の下でリ・リ・リ・リ・リ…♪とよく鳴くようになりました。
照明もあまり気にしなくなったので撮影には助かります。
前翅を持ち上げ互いに擦り合わせて発音します。
素朴な鳴き声ですけど趣がありますね(いとおかし)。
鳴いている後ろ姿を容器越しに接写すると後翅が無いことが一応確認出来ました。
羽化したばかりの個体には後羽が付いており、これを用いて良く飛ぶ。また灯火にも良く飛来する。 暫く経つと後ろ足を使って自ら後羽を抜き取り、本格的な繁殖行動に移る。(wikipedia「ハラオカメコオロギ」より)その後、私の不注意でこのハラオカメコオロギ♂は飼育容器から脱走してしまいました。
色々とやり残したことがあるのに残念…。
今後の課題です。
- 日が経つに連れて老化現象なのか(発音器が劣化?)濁ったような掠れ声で鳴くようになりました。客観的に声紋の変化を解析したかった。
- 鳴き声に対する反応を調べるプレイバック実験もやりたかった。鳴いている動画をPCで再生・編集していると、ヘッドフォンから漏れ聞こえる自分の鳴き声に対抗するかのように卓上の♂が鳴き始めることがありました。
- ♀と同居させたときの♂の誘い鳴きを録音したい。
- 標本で後翅をよく調べたかった。
- 腹部腹面の色を確認できず。(近縁種との識別ポイントのひとつで、ハラオカメコオロギは白っぽいらしい)
♂の前翅の端部は短い |
後翅が無い?! |
ハラオカメコオロギ♂の鳴き声♪を声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声パートをWAVファイルにデコードしてから適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
比較のため、虫の音WORLDサイトから本種の鳴き声のMP3ファイルをダウンロードさせてもらいました。
私の録音よりも気温が高いのか鳴くテンポが速く、しかも背後におそらくエンマコオロギの鳴き声が混入しています。
同サイトの解説によれば、
リッ・リッ・リッ・リッ と4、5声ずつ切って鳴くが、ミツカドコオロギのように鋭くない。連続して鳴き続ける場合もあり。
もう一つの音源として、『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』付録のCDに収録されたハラオカメコオロギ♂の鳴き声を使ってみます。
こちらはWAVファイルでかなり明瞭な録音です。
プロ仕様の録音機材との違いが声紋にも歴然と現れています。
つづく→「鰹節を食すハラオカメコオロギ♂」
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鳴き声
2013/02/06
卵塊を毛で覆うシロオビフユシャク♀?(冬尺蛾)
2012年11月下旬
前の記事はこちら→「シロオビフユシャク♀?(冬尺蛾)の産卵【15倍速映像】」
産卵1日目 |
産卵1日目 |
産卵1日目 |
産卵3日目 |
産卵4日目 |
産卵4日目:翅は退化している。 |
早回し映像用に長撮りを繰り返す合間に、♀の産卵行動を接写してみました。
映像は産卵1〜2日目のもの。
腹端を左右に振って毛束を刷毛のように卵塊に擦りつけます。
♀は休憩を挟みながら昼夜を問わず断続的に植毛作業を続けます。
民話『鶴の恩返し』を連想させる行動ですね。
止まり木を徘徊してもきちんと卵塊に戻ってくるのは記憶に頼っているのか、触角などで探り当てるのでしょうか?
産卵6日目:生体(顔) 口吻は退化している |
多くの冬尺蛾の成虫は口吻が退化しており、羽化後は飲まず食わずで繁殖行動に専念します。
多くの種では、雌雄ともに口器が退化して痕跡的にしか残っておらず、食物をとることができない。(『冬尺蛾:厳冬に生きる』p7より)この♀も採集から7日後に老衰で死亡するまで止まり木を徘徊しては卵塊にひたすら植毛を続けるだけで、二度目の産卵は行いませんでした。
もし♂と再交尾すれば新たに産卵したでしょうか?
室温が冬尺蛾にとっては暑過ぎたのかもしれません。
有翅の♂をフェロモンで呼び寄せるコーリング行動も見られませんでした。
クモの♀が死ぬまで卵嚢をガードするのと少し似ているかもしれません。
しかしこの時期はもう寄生蜂もカメムシも活動していない筈で、考えられる外敵・天敵・捕食者(食卵)は何でしょう?
卵は銀色 産卵7日目(♀死後) |
産卵3日目 |
産卵7日目(♀死後) |
卵塊はフェルトのような厚い毛でしっかり被覆されました。
野外では樹皮に産卵されるので、保護色および断熱効果があると考えられます。
銀色の卵を産みつける様子をはっきり接写できなかったのが心残りです。
冬尺蛾♀が止まり木に静止するときは明るい南面を選ぶ印象を受けました。
止まり木を回転して向きを変え、走光性を調べても面白いかもしれません。
ちなみに『冬尺蛾』p163によれば、野外で産卵方位は南が圧倒的に多いらしい。
産卵3日目:生体@方眼紙 |
産卵3日目:生体:側面@方眼紙 |
産卵3日目:生体:腹端@方眼紙 |
産卵3日目:生体:腹端側面@方眼紙 |
腹端の毛束は日を追う毎に擦り切れ、産卵前後で体長も短くなりました。
採集時とは印象がまるで異なります。
野外で冬尺蛾の♀を単体で見つけた時に図鑑などと見比べても同定が難しい理由がよく分かります。
脚が長くザトウムシを連想する異形の虫です。
標本をピンセットで摘んで腹端の毛束で粘着テープを擦ってみて植毛できるかどうか、つまり脱毛しやすくなっているのかどうかを調べてみるのも面白いかもしれません。
冬尺蛾は卵で越冬し、早春に幼虫が孵化してくるらしい。
卵塊をこのまま室内で飼育してみます。
つづく→「シロオビフユシャク?(冬尺蛾)一齢幼虫の孵化【10倍速映像】」
死後標本@方眼紙 |
死後標本:腹端@方眼紙 |
死後標本:腹端側面@方眼紙 |
死後標本:腹面@方眼紙 |
死後標本:腹端腹面@方眼紙 |
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チョウ・ガ(鱗翅目),
産卵
雪を掘るハシボソガラス【冬の野鳥】
2012年12月下旬
住宅地の電線から路上に一羽のハシボソガラス(Corvus corone)が舞い降りました。
なぜか電柱横の新雪を嘴で掘り返し始めました。
穴掘りに脚は使わず、嘴で雪を左右に掻き分けています。
地面の枯れ草が露出するまで雪を掘っています。
雪を直接食べる摂食行動でもありませんし、餌を隠す貯食行動でもなさそうです。
特定の場所に執着しているようですし、探し物でしょうか?
雪の下に何か餌となる虫が越冬しているのかな?
雪が積もる前に隠しておいた餌(貯食)を取りに来たのかもしれません。
直前の行動をよく見ていないのですが、もし賢いカラスの有名な「くるみ割り行動」(堅いクルミの実を空から舗装路に投げ落として割る)をしていたのだとすれば、転がって道端の雪の中に埋もれてしまったクルミを探している可能性もあります。
難しく考えなくても、単なる雪遊びなのかな?
ヒトの雪かき行動を真似して遊んでいたりして。
さんざん雪を散らかしてから気が済んだ(諦めた?)のか、カラスはとことこ歩いて舗装路に出てから飛び立ち、民家の屋根に止まりました。
失せ物出ず?
飛べ!カシノシマメイガ(蛾)【ハイスピード動画】
2012年10月上旬
台所に貯穀害虫のカシノシマメイガ(Pyralis farinalis)が発生しました。
壁に静止している成虫が飛び立つ様子をハイスピード動画(220 fps)に撮ろうとしたのですが、突ついても走って逃げることが多くなかなか飛んでくれませんでした。
飛び立ちシーンは更に1/4倍速に落としたスローモーションでリプレイしています。
その気になれば準備運動なしでいきなり飛び立つことができるようです。
室内の光量不足を補うために白色LEDのマグライトで照らしながら撮影しました。
腹端を持ち上げた鯱のような海老反り姿勢は♀によるコーリング |
![]() |
交尾ペア |
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飛翔
2013/02/05
シロオビフユシャク♀?(冬尺蛾)の産卵【15倍速映像】
2012年11月下旬・室温17℃
山中の外壁で採集してきた冬尺蛾の♂3♀1ペアで求愛交尾行動が観察できないかと大き目の飼育容器に入れてみました。
ところが暗くなってから目を離した隙に、翅の退化した♀が止まり木に産卵を始めていることに気づきました。
(後に受精卵であることが判明します。)
採集時に♀は既に交尾済みで産卵場所を探索徘徊していたことになります。
急遽予定を変更して、♀の産卵シーンを微速度撮影することにしました。
4時間18分間(18:27 - 22:45 pm)の様子を15倍速の早回し映像でご覧下さい。
止まり木の太さは直径20mm。
フェルト状に密生した灰色の毛で卵塊は覆われています。
野外で樹皮に産み付けていれば保護色になったはず。
冬尺蛾の観察は初めての経験で、状況がよくわかりませんでした。
実は産卵そのものは既に完了しており、♀は次の段階として腹端の毛束を卵塊表面に植毛しているところだとようやく分かりました。
♀はときどき休憩を挟みながら、産卵・植毛作業を続けます。
初めからある程度毛が付着した状態で産み付けられるのか、それとも植毛・被覆は産卵後に行われるのか、はっきり分かりませんでした。
それでも早回し映像で卵塊の面積は少しずつ大きくなっています。
もう少し早く産卵に気づけばよかったと悔やまれます…。
カマキリやクモの卵嚢作りと違って作業の完了が分かり難く、♀はいつまでも植毛作業を続けています。
切りが無いので4時間強で撮影を止めました。
つづく→「卵塊を毛で覆うシロオビフユシャク♀?(冬尺蛾)」
『冬尺蛾:厳冬に生きる』p159より
ウスバフユシャク類では産卵されるときに尾端の毛でおおわれることが知られている。これは卵に粘液がついていて、産み出されるときに尾端の毛が付着するためで、シロオビフユシャク属の二種も同じ現象がみられる。
【参考映像】
NHKの公式サイトにて「フユシャクの産卵」(154秒)と題した資料映像が公開されています
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産卵,
微速度撮影
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