2022/01/29

池畔の巣穴からドングリを運んで貯食し直す野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年10月中旬
前回の記事:▶ 水場の周囲を夜な夜な活動するノネズミ(その2)【トレイルカメラ:暗視映像】
池畔の崖に開いた横穴にトレイルカメラ(無人センサーカメラ)を設置して、これまで里山の水場を監視してきました。 
どうやら、その横穴は元々は野ネズミ(ノネズミ)が掘った巣穴だったようです。 
隠しカメラの周囲をチョロチョロと動き回る夜行性の野ネズミが頻繁に撮れました。 
しかしあまりにも至近距離過ぎて、野ネズミが何をしているのかよく分かりませんでした。 
そこで、トレイルカメラを設置する位置を変えて、逆のアングルから池畔の崖の横穴を見下ろすように狙ってみました。 

元々は雑草や幼木の枝葉や木の細い根っこが巣口を塞ぐように生い茂っていたのですが、レンズの視界を遮らないように取り除きました。 
トレイルカメラを置くためには横穴内の地面をある程度は水平にする必要があり、そのために平らな石(※)を土台として埋め込みました。 
ノネズミの巣穴とはつゆ知らず、巣口の環境を私はこれだけ改変してしまいました。 
巣口をトレイルカメラで塞がれたノネズミはかなり困ったはずです。 
非力なノネズミは、巣口を塞ぐトレイルカメラを力任せにどかす(外に押し出す)ことは出来なかったようです。 
わずかな隙間からすり抜けていたのかもしれません。 
実はトンネルの構造はかなり複雑です。 
崖に左右2つの巣口が開いていて、ノネズミは別の巣口から出入りしていた可能性もあります。 
左下の巣口には植物が茂っていたり落ち葉が詰まっていたりして、画面では隠されて見えます。 

以下の記録は一夜に起きた出来事です。 
アカネズミApodemus speciosus)または樹上性のヒメネズミApodemus argenteus)だと思うのですが、今のところ私には動画で見分けることができません。 
どなたか見分けられる達人がいらっしゃいましたら、教えて下さい。 

シーン1:午後17:42(日没時刻は午後16:56) 
予想通り、トレイルカメラを撤去した横穴から野ネズミが出て来ました。 
赤外線の暗視カメラでは目が白く光って見えます。 
巣口付近を探索していた野ネズミが、突然何かに驚いて右へ逃走。 

シーン2:午後21:25 
再び野ネズミが巣穴から現れました。 
同一個体がいつの間にか戻っていたのか、複数個体が巣穴で暮らしているのか、今のところ分かりません。 
巣口の土をかじって拡張工事をしているようです。 
私が巣口の床に敷いた平らな土台石(※)が邪魔なようです。 
一旦は巣穴の奥に入ったものの、しばらくするとまた巣口に出てきました。 
巣口の周囲の崖で忙しなく跳んだり走り回ったりしました。 
次に土台石の下の隙間から何かを掘り出すと口に咥え、巣穴内の右に運んで行きました。(@1:20) 
よく見るとドングリの実(堅果)でした。 
越冬準備の貯食行動ですね。 
野ネズミはドングリを貯食する場所を変更しているようです。 
私が勝手にカメラの土台石(※)を巣口内に置いたせいで、元々の貯食部屋を塞いでしまったのかもしれません。
池畔にはミズナラの木が生育していますが、枝から落ちたドングリが崖を転がり落ちて自然に横穴の巣口へ落ちたとは考えられません。

シーン3:午後21:27 
すぐにまた野ネズミが巣穴から出てきました。 
私が穴の中に置いた土台石の下を掘ろうとしています。 
邪魔な石をどかしたいのでしょう。 
諦めた野ネズミは巣から出て右に走って消えました。 


不思議なことに、外出から戻って来た野ネズミの帰巣シーンが一度も撮れていません。 
素早い野ネズミの入巣は一瞬でセンサーカメラの起動が間に合わないのかもしれませんが、おそらく画角外にも複数の出入り口があるのではないかと私は予想しています。 (トンネル内部でつながっている)
例えば、煙草の煙を大量に穴へ吹き込んだら、全ての出入り口の場所を突き止められるかな?
(酷い異臭で煙責めされた野ネズミが身の危険を感じて巣穴から逃去したら元も子もないので、この作戦は却下。) 

トレイルカメラのアングルを変えただけで、野ネズミの様子がだいぶ分かってきました。 
まさに百聞は一見に如かず。 
もっと早くやるべきでしたね。 
しかし、どこまで自然な行動が記録されているかどうか、あまり自信がありません。 
トレイルカメラの発するかすかな異音を野ネズミが警戒している可能性があります。 
このトレイルカメラは安物のせいか、動画撮影中にミミ、ミミ、ミミ、…♪とファックスのような電子ノイズが常時混入します。 
動画再生時に音量ボリュームを上げてもらうと聞こえます。 
同じ機種の2台目でも同じ症状でした。 
野ネズミにとっては非常に耳障りな超音波を発しているのではないか?と心配です。 


獣糞下の巣穴から外に出て来たセンチコガネ

 

2021年10月中旬・午後14:05頃・くもり 

里山の尾根道を歩くセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)と出会いました。(標高約650m地点) 
地面に開いた巣穴から外に出てきたばかりのようです。 
産卵を終えた♀なのか、それとも♀との交尾を終えた♂なのか、どちらでしょう? 
捕獲して性別をしっかり調べるべきでした。 
せかせかと歩いて穴から遠ざかります。 
左右の前脚腿節の前面にオレンジ色の毛束が目立ちます。
▼関連記事(10年前の撮影) 
センチコガネの前脚にあるオレンジ色の付着物の正体
尾根道の横の落ち葉の上で小休止し、最後は潜り込んでしまいました。 
もう二度と巣穴には戻らないはずですが、巣口を埋め戻さないのが不思議です。 (♂なのかな?)
まさか巣穴から羽化したばかりの新成虫なのでしょうか?

尾根道の真ん中に開いた巣穴にズームインしてみると、古い獣糞の直下に掘られていました。 
撮影中は気づかなかったのですが、巣穴の奥で何か昆虫の脚が動いています。 
センチコガネのパートナー♀が巣穴に未だ残っているかな? 
次に機会があれば、巣穴を掘り出して産卵済みの糞玉の有無を確認するつもりです。 
ゴム手袋や根堀を常に携帯する必要がありそうです。 

糞の細長い形状からおそらくホンドテンMartes melampus melampus)の糞(干からびている)だと思います。 
未消化の植物の種子が含まれています。 
あるいはもしかすると、ハクビシンの糞かもしれません。
なぜなら、この尾根道をハクビシンも利用しているからです。
▼関連記事(2か月前の撮影) 
夜の山道を歩くハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】



【追記】

ファーブル写真昆虫記5『ふんの玉をころがす虫』でセンチコガネの生活史を復習してみました。

本書の文章はファーブルの記録を翻訳したものですが、添付された生態写真と巻末の解説は日本産の糞虫のものです。

・ 卵をうむとき、センチコガネは、ふん玉をつくりません。そのかわり、巣穴の底から途中までをふんでうめつくします。卵のへやは、底のほうにつくられています。

・ オオセンチコガネは、ふつう6月に卵をうみ、9月にあたらしい成虫が羽化します。(p47より引用)

今回は獣糞の量が少ないので、産卵用の巣穴ではなく自分で獣糞を食べるための隠れ家だったのかもしれません。 

  

2022/01/28

水場で水浴するシロハラ?3羽の群れ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2021年10月下旬・午前10:10頃・気温11℃ 

見慣れない地味な鳥の小群が山中の水場で水浴していました。 
冬鳥のシロハラTurdus pallidus)ですかね? 
もし間違っていたら、ご指摘願います。 
トレイルカメラ(無人センサーカメラ)を写真+動画モードに設定しておいたおかげで、動画をフルカラーで記録できるようになりました。
しかし、それと引き換えに、肝心の動画撮影開始まで数秒の遅延が生じます。 
その間に手前の此岸付近で水浴びしていた個体はすぐに右上へ飛び去ってしまいました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
対岸近くの左岸で水浴していた別個体は左上へ飛び去りました。 
画角の右外の水面で更に別個体が水浴を始めたようで、波紋が池に広がります。 
最後に画面左上からまた別の個体が登場するも、録画終了で尻切れトンボ。 
3〜4羽の小さな群れ(少なくとも2羽以上)に見えたのですが、重複があるかもしれません。

シロハラはひっそりとした暗い場所を好み、非常に臆病らしく、私は自分の目で見つけたことが未だありません。
トレイルカメラという文明の利器でようやく存在を知りました。


サザンカ(白花)を巡るキイロスズメバチ♀同士の小競り合い?

 

2021年10月下旬・午後13:05頃・晴れ 

民家の軒下に咲いた白花品種のサザンカ(山茶花)で吸蜜するキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀を撮影していると、別個体が飛来しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:22) 
先客の背後からマウントしかけたので♂の誤認求愛かと思いきや、後から飛来したのも♀でした。 
奇襲を受けた個体は反撃もせずに、先客はすぐに飛んで逃げました。 
別のコロニー出身のキイロスズメバチ♀同士が蜜源植物を巡って小競り合いをしているのかもしれません。(蜜源の占有行動?) 
せっかく先客を追い払ったのに、後から来た個体はその花で吸蜜せずに飛び去ったので、目的が謎です。 
探餌飛翔中に獲物と誤認して訪花中の仲間(同種)を狩ろうとしてしまったのでしょうか。
飛んでいるキイロスズメバチの視力(識別能力)はあまり良くないのかもしれません。

2022/01/27

山中の水場に夜な夜な飛来するコウモリ(その3:飲水)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年10月下旬・午後
前回の記事(@10月中旬):▶ 山中の水場に夜な夜な飛来するコウモリ(その2)【トレイルカメラ:暗視映像】
里山の水場を監視するトレイルカメラ(無人センサーカメラ)をもう1台増やして、2方向から撮影することにしました。 
夜に飛来して水場の周囲を飛び回るコウモリ(種名不詳)の暗視映像をまとめました。 
同一個体を2つのアングルから同時に撮影することはできませんでしたが、2台のカメラが互いに死角をカバーし合って相補的に記録することが出来ました。 

シーン1:10/22 午後18:24 
池の岸辺と山側の崖を写すアングルのトレイルカメラに写っていました。 
山の湧き水が池に絶えず流れ込んでいます。
池の上をコウモリが何度も飛んでは崖の手前で旋回しています。(登場回数は5回/40秒間) 
同一個体が池の上空を何度も旋回しているのか、複数個体が登場しているのか、どちらでしょう? 
2頭が連続して飛来することがあったので、少なくとも2頭が飛び回っているようです。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 (@0:46〜

シーン2:10/25 午後21:02・気温6℃ 
池の上を飛んできたコウモリが崖の直前で引き返しました。 

シーン3:10/25 午後21:40 
池畔の崖にある横穴に仕掛けたカメラの映像。 
水場の上を何度も旋回し、水面を掠めるように飛んでいます。 
コウモリが飛びながら水面に一瞬触れたようで、波紋が広がりました。 (@2:21)
おそらく水を素早く飲んだのでしょう。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 (@2:58)

シーン4:10/29 午後22:30 
レンズが曇っていてほとんど見えません。 
気温が下がって結露したのでしょうか。(気温データなし) 
雨が降った日にレンズが泥水で汚れたのかもしれません。 
そんな悪条件でも水場を訪れるコウモリが撮れていました。 

飲水目的以外にも、池の周囲を飛ぶ夜行性昆虫を目掛けてコウモリが夜な夜な飛来していると考えられます。 
しかし、捕食シーンの決定的瞬間を撮るためには、もっと高性能・高画質のカメラが必要なようです。
(録画のフレームレートが15fpsではとても足りません。) 



セイタカアワダチソウの花蜜を吸うコアシナガバチの雄蜂♂

 

2021年10月下旬・午後13:55頃・晴れ 

堤防路に咲いたセイタカアワダチソウの群落でコアシナガバチPolistes snelleni)の雄蜂♂が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
頭楯が白くて触角の先がカールしているのは雄蜂♂の特徴です。 
花穂を歩き回りながら吸蜜しています。 
2匹は花穂で互いにニアミスしても無反応でした。 
花穂の天辺まで登っても飛び立たちませんでした。  

セイタカアワダチソウの花には千客万来で、ニクバエの一種やハナアブの仲間(オオハナアブなど)も続々と飛来しました。 

この群落は背高アワダチソウにしては背丈が低い株でした。(矮小化) 
おそらく夏の間に一度草刈りされて、その後に再生したのでしょう。
毎年この堤防路にはセイタカアワダチソウの群落が生えるので、オオアワダチソウではないと思います。

2022/01/26

トンボを捕食するキセキレイ(野鳥)

 

2021年10月下旬・午前9:20頃・晴れ 

田んぼで稲作シーズンが終わると農業用水路に水が流れてこなくなります。 
山麓を流れるコンクリート三面張りの水路でキセキレイMotacilla cinerea)を見つけました。 
コンクリート護岸の上縁に乗って尾羽を上下しながら餌を探し歩いています。 
カメラを向ける私を警戒したのか、涸れ水路に飛び降りて姿をくらましました。 
水たまり程度に残った水面(止水)付近で何か虫を見つけたのかもしれません。 

水路沿いを私が更に進むと、今度はペアのキセキレイを発見。 
性別をじっくり見分けられませんでしたが、♀♂つがいなのかな? 
私が急いでズームインしている間に、片方のキセキレイが何か昆虫を捕食しました。 
手前の灌木が邪魔でピントを合わせられませんでしたが、せっかく撮れたので1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。 
右に居た個体Rが護岸の上縁に止まって休んでいたトンボを見つけ、素早く駆け寄って嘴で捕獲しました。 
獲物を咥えたままコンクリート護岸に数回叩きつけてとどめを刺したようです。 
後続の個体Lが近寄ったのは、給餌してもらえるかと期待したのでしょうか? 
しかし、Rは獲物を奪われまいと水路内に飛び降りて避難しました。

コンクリート三面張りの殺風景な水路なのに、渓流好きのキセキレイはここを渓流を見なしているのか、夏にときどき見かけます。
キセキレイを晩秋に見かけるのは珍しいかもしれません。
冬季には未だ一度もキセキレイを見たことがありません。
(キセキレイは)渓流を好み、主に夏鳥として飛来する。近年、越冬例が多いのは温暖化のせいかもしれない。 (『やまがた野鳥図鑑』p92より引用)

タヌキの溜め糞から飛び去るクロスズメバチの一種とベッコウバエ

 

2021年10月下旬・午後12:25頃・くもり 

里山の尾根道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞cに珍客が来ていました。 
クロスズメバチまたはホオナガスズメバチの仲間です。 
私が慌ててズームインしたら、すぐに溜め糞から飛び去ってしまい残念無念。 
糞を直接舐めていたらスクープ映像ですが、おそらく獲物を探索していたのでしょう。 

飛び去る瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
常連客のベッコウバエDryomyza formosa)もクロスズメバチの次に飛び立ちました。 

溜め糞でキイロスズメバチは結構よく見かけますが、クロスズメバチは初見です。
▼関連記事(1月前の撮影) 
タヌキの溜め糞で獲物を待ち伏せホバリングするキイロスズメバチ♀
しばらく待ってもクロスズメバチはタヌキ溜め糞に戻って来てくれませんでした。 
 一方、逃げたベッコウバエは溜め糞の横の灌木の葉に止まって待機しています。
▼関連記事(同所同日の撮影) 
タヌキの溜め糞に含まれる未消化の種子を食べるモリオカメコオロギ♂

2022/01/25

秋の刈田でタニシを捕食するハシボソガラス(野鳥)

 

2021年10月下旬・午前9:00頃・くもり 

稲刈りが終わった田んぼ(刈田)でハシボソガラスCorvus corone)の群れが散開して採食活動していました。 
刈田の奥の端の窪みに水が溜まっているのか、2羽のカラスが代わる代わる水を飲んでいるようです。 
刈株の列に対して斜めから撮っているために、肝心の水たまりがよく見えませんでした。 
1羽が飛び去った後に居残った個体が地面から何か白い虫?を捕食しました。 
カメラを手前に振ると、刈田のあちこちに浅い水たまりができていることが分かります。 

左の刈田にもハシボソガラス2羽が集まり、仲良く並んで採食していました。 
右の個体が刈田の地面から嘴で何かを拾い上げました。 
焦げ茶色の物体で、初めはクルミの実なのかと思いました。 
しかしよく見ると先端がやや尖っているので、おそらくタニシの殻だと思います。 
カラスが嘴でつついただけでタニシの殻は割れるのでしょうか? 
もしかするとクルミ割り行動のように空中から投げ落としてタニシの殻を割って中身を食べるのかもしれません。 
タニシの捕食シーンを最後まで見届けるべきだったのに、残念ながら撮影中の私は気づいていません。 
むしろ初めに撮った個体の飲水行動が気になっています。 
水たまりをしっかり確認しようと私が少し横に移動したら、カラスたちは逃げてしまいました。
▼関連記事(2年前の撮影) 水田でタニシを捕食し巣に持ち帰るハシボソガラス(野鳥)

このときは、タニシの殻を嘴で壊してから中味を咥えると、その場では飲み込まずに巣へ運びました。


余談ですが、この日、現場近くの農道沿いでハルジオンの花が狂い咲きしていました。





サザンカ訪花中のコガタスズメバチ♀にキイロスズメバチ♀が襲いかかるも…

 

2021年10月下旬・午後13:10頃・晴れ 

コガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀がサザンカ(山茶花)の白花で次々に吸蜜していると、キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が飛来しました。 
二種のスズメバチがニアミスしたものの、すぐに別れました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:52)、なかなか面白いドラマがありました。 
もしキイロスズメバチが雄蜂♂ならば、探雌飛翔中にうっかり誤認求愛した可能性があります。 
しかし、このキイロスズメバチは♀だったので、獲物を探索中(探餌飛翔)ということになります。 
サザンカの花蜜が目当てで訪花しようとしたらたまたま先客が居た、という状況かもしれません。 
キイロスズメバチ♀は花の手前でホバリングしながら狙いを定め、脚を広げて獲物に襲いかかろうとしました。
コガタスズメバチ♀の腹部にある黄色と黒の横縞模様(警告色)に気づいたようで、キイロスズメバチ♀は狩りを中止して慌てて飛び去りました。 
攻撃寸前に危険な相手だと認識したのでしょう。 
その間、コガタスズメバチは無反応で(キイロスズメバチの羽音に気づいていない?)、警戒姿勢も取らずに平然と吸蜜を続けていました。 

この2種間の力関係は体格通りで、コガタスズメバチ>キイロスズメバチです。 
特にキイロスズメバチは国産スズメバチ類(Vespa属)の中でも最弱とされています。 
(その代わりキイロスズメバチは数で圧倒し、巣の防衛力は最強クラスです。) 
つまり今回のニアミスの結果は前評判通りで、下剋上(ジャイアント・キリング)は起こりませんでした。
同所性のスズメバチ属6種の生息する地域で樹液孔における種間順位は、おおむねオオスズメバチ、チャイロスズメバチ、モンスズメバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ、キイロスズメバチの順である。(小野正人『スズメバチの科学』p97より引用)

2022/01/24

池の水を飲み水浴するルリビタキ♀の群れ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2021年10月下旬・ 

里山の水場に設置した無人センサーカメラ(トレイルカメラ)にまた新たに見慣れない地味な鳥の群れが2日連続で写っていました。 
これはルリビタキ♀(Tarsiger cyanurus)ですかね? 
あまり自信がないので、もし間違っていたらご指摘願います。 
地味な♀ばかりで瑠璃色の♂が登場しないのは、若鳥も混じっているから? 
晩秋で落ち葉が降り積もり、此岸がカメラの死角になってしまいました。 

シーン1: 10/30 午後13:20・気温12℃ 
画面右下の浅い岸辺で水を一口飲んだだけで、すぐに飛び去りました。 
トレイルカメラの存在を警戒しているのでしょうか? 
シーン2: 10/30 午後16:24・気温9℃ 
薄暗い夕方でもなんとかぎりぎり、フルカラー映像で撮れています。 
気温が10℃を切り、かなり冷え込んできました。 
今度は画面の左下にルリビタキ♀?が登場しました。 
浅い池に入ると水を一口飲みました。 
次は目の前にある落枝を何度も啄みました。 
水面に浮かぶ落枝をピョンピョンと伝って池の中央部までに来ると、本格的に水浴びを始めました。 
頭を下げて水に浸しながら素早く羽ばたいて水を跳ね上げています。 
日頃の手入れが行き届いた(油を塗った)羽根は水を全て弾いてしまい、水浴しても濡れません。 
すっきりしたルリビタキ♀は右上へ飛び去りました。 
羽繕いは池の外(樹上?)で行なうようです。
シーン3:10/31 午前9:26・気温7℃ 
今回は初めから画面中央で水に入っています。 
何かに驚いたようで、水浴を始めてすぐに飛び去ってしまいました。 
まさか水温が冷たいせいで短い水浴にしたとは思えません。 
シーン4:10/31 午前10:09・気温7℃ 
この茶色っぽい(焦げ茶色)個体がルリビタキ♀かどうか、特に自信がありません。(@1:52〜  下の写真も) 
まさかカワガラスですかね??  シロハラ?
2、3羽の小群が水場を訪れて、あちこち場所を変えながら水浴しています。 
後半に対岸で水浴する3羽はルリビタキ♀っぽく見えます。
互いに離れて同時に水浴するのは、群れで協力して四方八方を警戒するためでしょうか。 

最後の最後にシジュウカラ?が左から飛来したのに、録画終了で尻切れトンボに終わりました。






ミズナラの樹液を吸うオオスズメバチ雄蜂♂

 

2021年10月下旬・午後14:00頃・くもり 

里山の薄暗い雑木林でブーンと重低音の羽音が聞こえました。 
 羽音の主を探すと、飛来した蜂がミズナラの幹に止まりました。 
オオスズメバチ♂(Vespa mandarinia japonica)です。 
触角と腹部が長いので、雄蜂♂と判明。 
長い触角の先端がカールしています。 
私の鼻では樹液の発酵臭を嗅ぎ取れなかったものの、樹液を舐めに来たようです。 
幹に下向きに止まって樹液をしばらく舐めてから上に向き直り、飛び去りました。 
現場は水場の畔です。 

約4分後にオオスズメバチ♂が再び飛来しました。 
全く同じ樹液スポットに迷いなく戻って来て、先程と同じ下向き姿勢で吸汁を始めたことから、同一個体が再訪しに来たのでしょう。 
腹式呼吸するだけで、一心不乱に樹液を吸汁しています。 
背側からの撮影では肝心の口元が見えません。 
大顎を動かしているようには見えませんし、オオスズメバチ♂が飛び去った後の樹皮に新しい噛み傷はありませんでした。 
オオスズメバチ♀とは違って雄蜂♂は樹液の分泌を促すために樹皮を齧ることはないようです。 
雄蜂♂は大顎の発達が悪くて非力だからでしょう。 

やがて樹液の匂いを嗅ぎつけたのか、謎の昆虫が飛来しました。(@1:58) 
オオスズメバチ♂の背後で一瞬ホバリングしただけで、樹液酒場には着陸しないで慌てて逃げて行きました。 
スロー再生しても、飛来した虫はぼやけてしまい同定できませんでした。 
なんとなく、クロスズメバチの仲間ではないかと思います。 
オオスズメバチ♂は半開きにした翅を斜めに立てて震わせ、警戒姿勢になりました。 
樹液酒場の占有行動というほどでもありませんが、オオスズメバチ♂の貫禄勝ちです。
警戒を解いたオオスズメバチ♂は樹液吸汁を再開。 
ミズナラの樹液を長々と味わったオオスズメバチ♂は、最後に樹液酒場でウロウロと方向転換してからようやく飛び去りました。 
このミズナラの木は一部黄葉しかけていました。

 樹液酒場でオオスズメバチの雄蜂♂は初見かと思いきや、2回目でした。
関連記事(8年前の撮影)▶ オオスズメバチ♂がコナラで日光浴と樹液吸汁
2021年10月中旬

余談ですが、6日前に全く同じミズナラの木で樹液を吸うオオスズメバチ♀を観察しています。
そのときも水場の岸に生えたミズナラの樹上から重低音の羽音が繰り返し聞こえ、蜂を発見できました。
この時はあまりにも薄暗く(夕方で光量不足)、手持ち夜景モードでも動画に記録できませんでした。
ストロボを焚いて証拠写真を撮ると、オオスズメバチ♀と判明。

その後、事件が勃発しました。
もう1匹の蜂が飛来すると、ミズナラ樹上で2匹が格闘になり、そのままもつれ合うように地面に落下。
1匹は飛んで樹上に戻り、もう1匹は飛び去りました。
動画に撮れなかったのが残念でなりません。
2匹ともオオスズメバチだったかどうか定かではありませんが、この樹液酒場はオオスズメバチ♀同士が戦って取り合う(占有行動)ほど樹液の量は豊富ではない気がします。
もしかすると雄蜂♂が♀に交尾を挑んで拒否されたのかもしれない、と想像しました。

2022/01/23

樹上で相互毛繕いするニホンザル群れの喧嘩と仲直り

 

2021年10月中旬・午後14:10頃・くもり 

野生ニホンザルは暇さえあれば集まって互いに毛繕いしています。 

山道の法面から斜めに張り出したコナラ灌木の幹に若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)が腰掛けました。 
その後から成獣♀a(乳首の長い母親)がやって来て、子ザルaの背中を毛繕いし始めました。 
おそらく母子関係なのでしょう。 
子ザルaが幹の上で腹這いになり、気持ち良さそうに母親aから毛繕いを受けています。 
そこへ更に別個体の成獣♀b(乳首の長い母親)が合流し、♀aの背中を毛繕いし始めました。 
やがて子ザルaが起き上がって母親aにお返しの毛繕いを始めました。(相互毛繕い) 
周囲の斜面で遊んでいた子ザルが合流し、母親bの胸にしがみつきました。 
2組の母子がコナラの幹に並んで座り、相互毛繕いに耽っています。 
やがて幼い子ザルbが飽きて母親から少し離れ、独りで探検を開始。 

樹上で仲良く並んで毛繕いしていたのに、一番右の子ザルaが急に悲鳴を上げながらてコナラの幹を登って右へ逃げました。(@2:43) 
♀bになぜか叱られたようです。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、騒動の原因ははっきり分かりませんでした。(@3:00〜3:34) 
子ザル同士の小さな喧嘩に母親が介入し、幼い子ザルに代わって年長子ザルに報復したのでしょうか。(「うちの子に何すんのよ!」) 
よその子ザルに毛繕いしようとして嫌がられ、母親が制したのかな? 
我が子を守りたいママ友同士で大喧嘩(♀a VS ♀b)が始まるかと思いきや、すぐに戻って仲直りの毛繕いを再開。 
間に挟まれた子ザルbはケロッとして母親の毛皮に抱きついてます。 
その間、奥の雑木林の樹上で幼い子ザルが独り遊びしています。 

母親aの背中を毛繕いしていた子ザルaが急に離脱しました。 
上の灌木に飛び移り、山林を左へ遊動開始。 

私がこっそり林道を少し進んで撮影アングルを変更しても、コナラ樹上に残ったニホンザルは未だ毛繕いを続けています。
右下奥に独り遊びする子ザルの顔

タヌキ溜め糞の下に掘った巣穴の入口でセンチコガネが「頭隠して尻隠さず」

 

2021年10月中旬・午後12:40頃・くもり 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の林道上に残した溜め糞aが最近は使われなくなり、糞は黒く乾燥しました。 
溜め糞の下にセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が巣穴を掘ったようです。 
ところが、巣口に潜りかけて「頭隠して尻隠さず」の状態でじっとしています。 
小枝を使って糞虫をつつくと、素早く巣穴の奥に潜り込んで隠れました。 
巣穴は深いことが分かります。 

23分後。 
ほとぼりが冷めると、同一個体の糞虫が警戒を解いて、巣口に再び姿を現しました。 
♀ならトンネル(巣穴)の奥で糞を団子状に加工して産卵するはずです。 
巣口で「頭隠して尻隠さず」のセンチコガネは一体何をしているのでしょうか? 
なんとなく、♂が巣口を守っているのではないかと予想しました。(交尾後ガード?)

今度は逃げ場を塞ぐように小枝を素早く巣口に差し込み、糞虫をほじくり出しました。 
仰向けになったセンチコガネは腹面も金属光沢に輝いています。 
ひっくり返すと慌てて走り回り、すぐに落ち葉の下に潜り込もうとします。 
私がしつこく落ち葉をめくると、擬死状態になりました。 
採寸代わりに私の人差し指を並べて見せます。 
再び小枝でつつくと徘徊再開。 
最後は落ち葉の下に潜り込んで身を隠しました。 

不潔な糞虫を素手で直接触れるのは躊躇ってしまいました。 
ゴム手袋やビニール袋を持参すれば、手掴みで容易に捕獲できそうです。 
後日ネット検索するとセンチコガネの性別の見分け方が載っていました。
・両種(センチコガネ、オオセンチコガネ)共に頭部に光沢があるのが♂、比較的光沢がないのが♀。
・肢の脛節を側面から見て、下面に下向きの棘が1本あれば♂、なければ♀
来季は本格的に巣穴での生態を調べるつもりです。 
糞と一緒に持ち帰って、飼育してみようかな? 

薄暗い林道でストロボを焚いて写真に撮ると、巣穴の遠近感(深さ)がどうしても失われて平板に見えてしまいます。

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