2021年10月下旬・午後13:10頃・晴れ
コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)のワーカー♀がサザンカ(山茶花)の白花で次々に吸蜜していると、キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が飛来しました。
二種のスズメバチがニアミスしたものの、すぐに別れました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:52)、なかなか面白いドラマがありました。
もしキイロスズメバチが雄蜂♂ならば、探雌飛翔中にうっかり誤認求愛した可能性があります。
しかし、このキイロスズメバチは♀だったので、獲物を探索中(探餌飛翔)ということになります。
サザンカの花蜜が目当てで訪花しようとしたらたまたま先客が居た、という状況かもしれません。
キイロスズメバチ♀は花の手前でホバリングしながら狙いを定め、脚を広げて獲物に襲いかかろうとしました。
コガタスズメバチ♀の腹部にある黄色と黒の横縞模様(警告色)に気づいたようで、キイロスズメバチ♀は狩りを中止して慌てて飛び去りました。
攻撃寸前に危険な相手だと認識したのでしょう。
その間、コガタスズメバチは無反応で(キイロスズメバチの羽音に気づいていない?)、警戒姿勢も取らずに平然と吸蜜を続けていました。
この2種間の力関係は体格通りで、コガタスズメバチ>キイロスズメバチです。
特にキイロスズメバチは国産スズメバチ類(Vespa属)の中でも最弱とされています。
(その代わりキイロスズメバチは数で圧倒し、巣の防衛力は最強クラスです。)
つまり今回のニアミスの結果は前評判通りで、下剋上(ジャイアント・キリング)は起こりませんでした。
同所性のスズメバチ属6種の生息する地域で樹液孔における種間順位は、おおむねオオスズメバチ、チャイロスズメバチ、モンスズメバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ、キイロスズメバチの順である。(小野正人『スズメバチの科学』p97より引用)
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