2018/12/22

オミナエシの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀とブチヒゲカメムシ



2018年9月下旬

民家の花壇に咲いたオミナエシの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。
テーブル状の花序を歩き回りながら吸蜜しています。

奥の花序にブチヒゲカメムシDolycoris baccarum)も来ていたのですが、フタモンアシナガバチ♀はニアミスしても狩ろうとしませんでした。(@2:22)

他にもほっそりした別種のカメムシが訪花していたものの、背側から撮れず種類が見分けられませんでした。
カメムシはじっとしているだけで、動画に撮っても面白くありません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


フタモンアシナガバチ♀@オミナエシ訪花吸蜜
フタモンアシナガバチ♀@オミナエシ訪花吸蜜

ブチヒゲカメムシ@オミナエシ訪花吸汁

オミナエシ花
オミナエシ葉:ギザギザの葉が対生
オミナエシ葉:鳥の羽のようにギザギザしている

アキノノゲシは傷口から乳液を分泌する



2018年9月上旬
▼前回の記事
ホソバセダカモクメ(蛾)の幼虫がアキノノゲシの種子を食べる際のトレンチ行動
ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫がアキノノゲシの実を食べる作法の謎

アキノノゲシはタンポポの仲間(Cichorieae族)なので、植物体を傷つけると直ちに粘り気のある乳液(ラテックス)を分泌します。
傷口から病原菌の侵入を防いだり、草食動物(昆虫)が嫌がる味の化学物質(毒?)を含んだりしていると考えられています。

実際にやってみましょう。
葉をちぎると切り口から白っぽい乳液が点々と滲み出してきます。
主脈の断面からの分泌が一番多いようです。

太い茎の断面をよく見ると、中心には白い髄の組織があります。
乳液が滲んでいるのは表皮の直下の組織でした。
ここに乳管があるようです。

『学研新世紀ビジュアル百科辞典』によると、

にゅうかん【乳管】
乳液を含む植物の分泌管。乳液を含む管状の細胞またはその集まり。latex vessel⇒乳液(にゅうえき)

にゅうえき【乳液】
植物体を傷つけたときに出てくる白色や黄褐色をした粘りけのある液。タンパク質・糖類・酵素・アルカロイド・ゴムなどが含まれており,乳管や乳細胞に保有されていることが多い。latex


ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫による食害を真似して、爪の先で実を傷つけてみると、みるみるうちに白い乳液が傷口に滲み出してきます。
実の柄を切っても切り口から乳液が分泌されます。
黄土色の乳液の雫に指で触れると少し粘り気があり、独特の香ばしいような青臭いような匂いがします。
したがって、ホソバセダカモクメの幼虫がこれから食べる実がついた柄に念入りに噛み傷を付けていたのはやはり、乳管を断ち切って乳液の流入を防いでいたのでしょう。

花が咲き終わり実が付き始めた時期なので、今回はアキノノゲシの花を傷つける実験はできませんでした。


アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ茎:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ葉:傷口@乳液分泌

ところで、アキノノゲシの群落の中にアブラムシのコロニーに寄生されている株が見つかります。
下の葉が白く汚れているのは、アブラムシが排泄した甘露のせいでしょう。
この赤いアブラムシは、おそらくタイワンヒゲナガアブラムシUroleucon formosanum)と思われます。
アブラムシがアキノノゲシの茎から吸汁してもなぜ乳液が滲み出てこないのか、不思議です。
タイワンヒゲナガアブラムシに対しては乳液の忌避効果が無いようです。
茎の師管液を吸汁しているアブラムシはどんな乳液対策をしているのでしょうね?
蛾の幼虫は噛む口器を持っているので摂食前にトレンチ行動が可能ですが、アブラムシの口器は刺すことしか出来ません。
吸汁しながら消化酵素で分解しているのか、それとも初めから乳管を避けて口吻を突き刺しているのでしょうか?


タイワンヒゲナガアブラムシ?コロニー@アキノノゲシ茎
タイワンヒゲナガアブラムシ?コロニー@アキノノゲシ茎


【追記】
この分野に関する英語の総説で全文PDFがインターネット上で無料公開されているものを読んでみました。
Agrawal, Anurag A., and Kotaro Konno. "Latex: a model for understanding mechanisms, ecology, and evolution of plant defense against herbivory." Annu. Rev. Ecol. Evol. Syst. 40 (2009): 311-331.

Most sap suckers (Hemiptera) similarly do notcontact latex because of their intercellular feeding, and thus have no obvious adaptations forfeeding on latex-bearing species. Asclepias syriaca is host to at least five hemipterans (three aphidsand two lygaeid bugs) (Agrawal 2005a, Smith et al. 2008; A.A. Agrawal, personal observations).Nonetheless, latex can occasionally entrap and kill hemipteran sap feeders, as was demonstratedfor aphids and whiteflies on lettuce (Dussourd 1995).


下線部によると、アブラムシは植物の細胞間に口吻を刺して吸汁するために乳管を傷つけないのだそうです。

ちなみに日本語で読める短い総説としては、竹田敏『昆虫機能利用研究』(2006)という本の全文PDFをダウンロードし、第1章第5節
『植物は乳液で昆虫から身を守る― 昆虫と植物との餌を介したせめぎ合い―』
を読んで勉強してみました。


2018/12/21

オビガ♀e(蛾)の羽化【60倍速映像】



2018年9月下旬・室温22.5℃→22.0℃

オビガ(蛾)の飼育記録2018年#10



▼前回の記事
オビガ(蛾)終齢幼虫♀eの繭作り【100倍速映像】

容器内の繭棚に作らせたオビガApha aequalis)の繭の傍に割箸を何本も立てかけておき、成虫が羽脱したらいつでも登って翅を伸ばせるように準備しておきました。
8月上旬に繭を紡いでから57日後(約2ヶ月後)。
ふと虫の知らせで飼育容器の方へ振り返って見ると、繭から出てきたばかりの新成虫♀eが割箸に掴まっていました。
繭から脱出する瞬間をまたもや撮り損ねてしまったのがちょっと悔しいです。
初めのうちは監視カメラで繭を愚直に録画し続けていたのですけど、いつまで経っても羽化してくれないので、最近は監視カメラを止めていました。
撮影用のLED照明で繭を日夜照らし続けていたせいで、もしかすると蛹が長日条件と勘違いして休眠(夏眠)してしまったのだろうか?と気を揉んだりしました。
変態に失敗して蛹が死んでしまったのか、体内寄生されていたのかと心配していたのですが、ようやく羽化してくれました。
オビガ成虫の出現期は6月および8〜9月とされているので、9月中に羽化がギリギリ間に合ったことになります。
今季はオビガの幼虫5匹を同時に飼育して、成虫♂が先に羽化しました。
雄性先熟なのは昆虫ではよくあることですけど、いくら何でも♀の羽化が遅れ過ぎでしょう。

翅の伸展を微速度撮影で記録するために、慌てて準備します。
100円ショップで買ってきた油粘土に割箸を斜めにそっと挿して固定しました。
こういうときに粘土を土台にすると、角度を自由自在に調節できるので、とても便利です。
背景に黒い布を張りました。
60倍速の早回し映像をご覧下さい。
(アングルや背景が未だ整っていない初めの3秒間だけ10倍速です。)
アングル調節、照明の準備など私がバタバタしている間にも翅がみるみる伸びていきます。

前回も♂aの翅伸展を背面から撮ったので、今回は慌てずに側面から狙うべきでした。)

なぜか左の翅の方が早く伸び切りました。
羽化不全(奇形)か?と心配になりましたが、少し遅れて右側の翅も無事に伸びました。
翅を閉じたままときどき軽く羽ばたき、乾かしています。
ここで止まり木の向きをそっと90°回し、側面から撮るようにしました。
オビガの翅裏を見れるのは珍しく、チャンスはこのときだけなのです。
口吻は退化しています。
やがて閉じていた翅を全開にしました。
このオビガ独特の姿勢のまま動かなくなりました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#11:羽化後に蛹便を排泄するオビガ♀e【蛾:HD動画&ハイスピード動画】


オビガ♀e(蛾):@羽脱直後:割箸
オビガ♀e(蛾):背面@羽化後:割箸
オビガ♀e(蛾):腹面@羽化後:割箸
オビガ♀e(蛾):側面@羽化後:割箸

堤防で求愛・採食するキジバトの♀♂ペア(野鳥)



2018年9月中旬・午後16:08〜16:14

郊外を流れる川の対岸で2羽のキジバトStreptopelia orientalis)が採食活動をしていました。
おそらく2羽は、この辺りを縄張りとする♀♂のつがいなのでしょう。

冒頭のシーンは♂が♀に求愛中だったようです。
左の♂が胸を膨らませお辞儀をしながら♀に近づくも、♀は走って逃げました。
交尾には至らなかったのは、もしかすると対岸で見ている私の存在を警戒していたからかな?

その後は堤防の草むらを歩き回りながらあちこち啄んでいます。
♂は♀に求愛を断られた後も、付かず離れず、地上採食を続けています。

採食メニューを知りたいのですが、残念ながら茂みに隠れてよく見えません。
草の実や種子を食べているのでしょう。
一羽がドングリのような丸くて大きな種子?を採食しています。(@1:49、3:42)
周囲の草むらに生えている植物として見分けられたのは、イヌタデ、エノコログサ、アメリカセンダングサ、オオバコ、アキノノゲシ等々。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
今回も求愛中の鳴き声を聞き取れなかったのは残念でした。
大田眞也『田んぼは野鳥の楽園だ』によると、
 繁殖期の(キジバトの)♂は、低い声でデデポーポーと繰り返して鳴き、♀を見ると御辞儀をするような動作をしながらクークッと鳴いて求愛し、ときにプンとかクゥとおならのような奇妙な音も発します。 (p198より引用)


キジバト♀♂(野鳥)@堤防+求愛♂→♀
キジバト(野鳥)@堤防+採食
キジバト(野鳥)@堤防+採食

2018/12/20

ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫がアキノノゲシの実を食べる作法の謎



2018年9月上旬
▼関連記事
ホソバセダカモクメ(蛾)の幼虫がアキノノゲシの種子を食べる際のトレンチ行動


田んぼの農道沿いに生えたアキノノゲシの群落でホソバセダカモクメCucullia fraterna)の幼虫が葉ではなく実を食べていました。

この記事では、2頭見つけた幼虫のうち、右側の個体aに注目します。
実とその中の種子をかじっていました。
実際は休み休み食べていたのですが、食休みのシーンは退屈なので編集でカットしました。

ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫a@アキノノゲシ実摂食
ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫a@アキノノゲシ実摂食



食餌の合間に幼虫aが腹端を少し持ち上げて糞を排泄しました。
たまたまそのときは静止画の連写モードにしていたせいで、動画では脱糞シーンを撮り損ねてしまいました。
排便を済ませた幼虫aは、持ち上げていた腹端をゆっくりと茎に戻しました。

ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫a@アキノノゲシ実摂食+脱糞

ホソバセダカモクメの幼虫が2頭ともアキノノゲシの実を食べていたことから、秋になると葉よりも実(出来かけの種子)の方が栄養豊富なのでしょう。
アキノノゲシは植物体のどこを傷つけても白い乳液を分泌します。(映像公開予定
これは食植性の動物に対して忌避効果を持つと考えられています。
しかし、ホソバセダカモクメ幼虫に食害された実の傷口をよく見ると、白い乳液を分泌していません。
その実の手前の細長い茎に何箇所か噛み跡があります。(実を柄から完全に切り落とすのではなく、柄に噛み傷を付けて萎れさせているだけという点がポイントです。)
ホソバセダカモクメの幼虫はアキノノゲシの実を食べる前に柄に噛み傷を付けて、乳液が実に流入しないように遮断しているのでしょう。
昆虫のこのような食行動は、トレンチ行動と呼ばれています。
トレンチ(trench)とは、塹壕とか排水溝という意味です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

2頭のホソバセダカモクメ幼虫が共に同じようなトレンチ行動をしていたことから、たまたまではなく再現性はありそうです。
念の為にホソバセダカモクメの幼虫を飼育して、再現性を確認したいところです。(来年の課題)

今思えば、食べている途中の実をこっそり取り除いてしまえば、トレンチ行動をもう一度初めから観察できたかもしれません。
この日は先を急ぐ用事があったので、ここに腰を据えてじっくり観察する時間的余裕がありませんでした。

次は、食害を受けていないアキノノゲシの株で実に傷をつけると乳液を分泌するかどうか、実験してみましょう。

つづく→アキノノゲシは傷口から乳液を分泌する



【追記】
森昭彦『イモムシのふしぎ』という新書を読むと、トレンチ行動をする幼虫の実例がたくさん登場します。
ただし残念ながら、ホソバセダカモクメの幼虫は掲載されていませんでした。
私も色んな種類のイモムシ毛虫を一つずつ飼育してトレンチ行動を確かめてみたいものです。


小雨でロータス効果を発揮するハスの葉



2018年9月中旬・午前8:00

ハス(蓮)の葉は撥水性が極めて高いために、いくら雨が降っても葉が濡れることはありません。
葉に付着した雨水は表面張力で水滴となり、水銀のように滑らかに動いて、わずかな傾きでも葉から自然に転がり落ちてしまいます。
光合成の妨げとなる汚れが葉の表面に付着していても、雨が降れば動く水玉が汚れを取り込んで、自然に流れ落ちてしまうのです。(自浄作用)。
これをロータス効果と呼びます。
ロータスとはハスの英語名(lotus)です。
ロータス効果の仕組みを真似して取り入れることで、防水スプレーに頼らない雨具とか、危険な窓掃除をしなくても良い窓ガラスとか、洗車しなくても良い車のボディとかの開発が進む可能性を秘めています。

▼関連記事(前年の撮影)
水を弾き泥汚れも付かないハスの葉の秘密:ロータス効果の実演

前回は雨上がりに蓮の葉を手で揺らしましたが、今回は雨が降っている最中の様子を撮りに朝から蓮池に来たのです。
ところが、蓮池に着いた頃には小雨になってしまいました。
未練がましく撮ってみたら、それなりに趣のある映像になりました。

土砂降りにも負けないロータス効果を撮りたかったのですけど、夕立は短時間で止んでしまいます。
ピンポイント天気予報を見て、大雨になる前から出かけないと駄目ですね。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/12/19

オオイヌタデを訪花するトゲカメムシ



2018年9月下旬

山間部の峠道に沿って咲いたオオイヌタデの群落で2匹のトゲカメムシCarbula humerigera)が同じ花穂に居ました。
私には性別が見分けられないのですが、2匹は交尾中ではなく、少し離れて静止していました。
アングルを色々と変えて撮ってみても動きが乏しいです。
口吻を花穂に刺して吸汁しているかどうか確認できませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


トゲカメムシ2@オオイヌタデ訪花
トゲカメムシ2@オオイヌタデ訪花
トゲカメムシ2@オオイヌタデ訪花
トゲカメムシ2@オオイヌタデ訪花・全景

オオイヌタデ群落・全景
オオイヌタデ葉
オオイヌタデ托葉鞘

チゴハヤブサの縄張り争い/子別れ?(野鳥)



2018年9月中旬・午前9:13

田園地帯の上空からキーキーキーキー♪という聞き覚えのある猛禽類の甲高い鳴き声がします。
振り返って空を探すと、2羽の猛禽類が激しい空中戦を繰り広げていました。
急降下や急旋回を繰り返しながら追い回しています。
一瞬だけ一羽が高圧線に止まったものの、すぐに飛んで相手を追いかけます。
高速飛翔での空中戦は見応えがありました。

田んぼに隣接する住宅地から撮ったので、手前の電線や民家の屋根が目障りですね。
開けた撮影アングルを求めて住宅地から田園地帯に急行したのですが、着いた頃には空中戦は終わっていて、猛禽類の姿はありませんでした。

残念ながらやや遠くて鳥の種類をしっかり見分けられません。
今季に別の場所で定点観察していたチゴハヤブサFalco subbuteo)だと嬉しいのですが、どうですかね?
地図を広げてみると、今回の現場は定点観察に通っていたチゴハヤブサの止まり木から直線距離で2km弱でした。
チゴハヤブサならひとっ飛びの距離ですから、同一個体の行動圏内(縄張り)であってもおかしくありません。
ただし、チョウゲンボウFalco tinnunculus)の可能性もありそうです。

この空中戦は縄張り争いなのでしょうか?
幼鳥同士による追いかけっこの遊びかな?
時期的に子別れの可能性もあり、育った幼鳥を親鳥が縄張りから追い出そうとしているのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
熊谷勝『カラー自然シリーズ66:ハヤブサ』によると、
巣立って2か月をすぎると、ヒナは親鳥のあとをおって、なわばりの外にもでるようになります。見よう見まねで、親鳥の狩りを学ぶのです。急降下、きりもみ、宙返り、急旋回などの高等な飛翔技術を、親鳥と空中遊戯をしながら身につけます。 (p22より引用)
チゴハヤブサとハヤブサは習性がどれぐらい共通しているのか分かりませんが、参考のために引用しました。
私の知る限り、チゴハヤブサだけを扱った本や写真集が出版されていないのです。



2018/12/18

オビガ(蛾)終齢幼虫♀eの繭作り【100倍速映像】



2018年8月上旬・午前1:14〜午後13:10・室温31.0〜33.4℃

オビガ(蛾)の飼育記録2018年#9


最後に脱皮してから8日目。
オビガApha aequalis)の終齢幼虫eが食欲を失い、営繭前のワンダリング(徘徊行動)を始めました。
そこで、プラスチック容器を仕切った4×4×3.5cmの繭棚に幼虫eを閉じ込めました。
絹糸が付着しやすいように、滑り止めとして内側に紙片を貼っておきました。
幼虫が吐く白い絹糸が見易いように黒い紙を背景にすべきでしたが、有り合わせの茶封筒の紙で済ませました。

やがて繭棚内で薄っすらと繭を紡ぎ始めたので、微速度撮影で記録します。
100倍速の早回し映像をご覧下さい。
この個体もなぜか、繭棚内で水平ではなく斜めに繭を紡ぎました。
狭い繭の中で方向転換したり動き回ると、幼虫の長い毛が次第に抜けていきます。
大量の抜け毛も自然に編み込まれ、繭が完成します。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




↑【おまけの動画】
早回し速度を少し落とした60倍速映像をブログ限定で公開します。

つづく→#10:オビガ♀e(蛾)の羽化【60倍速映像】


オビガ(蛾)終齢幼虫♀e@繭棚+営繭
オビガ(蛾)繭♀e
オビガ(蛾)繭♀e


トンネルの壁面で休むコウモリ【暗視映像】



2017年9月中旬

夜行性の野生コウモリがねぐらを取っている山麓のボックスカルバート内を探検しています。
赤外線の暗視カメラで撮りながら長くて暗いトンネルをゆっくり進むと、コンクリート壁面の高い位置に一匹のコウモリを発見。
壁に単独で(群塊を作らず)頭を下向きにへばりついていて、背中しか見えません。
小刻みに震えているものの、飛び立ちませんでした。

これは何というコウモリなのか、もし映像で分かるようでしたら、どなたか教えてください。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/12/17

蜂に擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀がニラを訪花



2018年9月中旬

川沿いの民家の花壇に咲いたニラの群落で蜂にそっくりなハナアブが訪花していました。
ホバリング(停空飛翔)で飛び回り、ニラの白い花に着陸すると口吻を伸ばして花蜜や花粉を舐めます。
採集できませんでしたが、映像から切り出した静止画と見比べて、おそらくサッポロヒゲナガハナアブ♀(Chrysotoxum sapporense)だろうと突き止めることが出来ました。

参考サイト:ヒゲナガハナアブ族 - Hoverflies world(Diptera,Syrphidae) ハナアブの世界

見事なベイツ型擬態です。
腹部の横縞模様が黄色と黒だけでなく、焦げ茶色も混じっていることから、なんとなくモデルはコアシナガバチPolistes snelleni)ですかね?

クロアリやキンバエの仲間も一緒にニラを訪花していました。



ちなみに、近縁種を春にも観察しています。
▼関連記事カキドオシの花粉を舐めるヒゲナガハナアブ♂

サッポロヒゲナガハナアブ♀:背面@ニラ訪花吸蜜
サッポロヒゲナガハナアブ♀:背面@ニラ訪花吸蜜
サッポロヒゲナガハナアブ♀:側面@ニラ訪花吸蜜
サッポロヒゲナガハナアブ♀:顔@ニラ訪花吸蜜
サッポロヒゲナガハナアブ♀:側面@ニラ訪花吸蜜

鳥追いカイトは田んぼのスズメ対策に有効か?(野鳥)



2018年9月上旬
▼前回の記事(8月中旬)
水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)


実りの秋になり、黄金色の稲穂が広がる田園地帯のあちこちに設置された鳥追いカイト(凧)の数が増えていました。
収穫前の鳥による米の食害を防ぎたいのでしょう。
プリントされたデザイン(擬態)がタカとフクロウの2種類ありました。



幾つもの凧を田んぼに設置すると決して安い買い物ではないので、気になるのはその有効性です。
鳥追いカイトの防除効果を厳密に試験する際には、圃場に処理区と無処理区(無防除区)とを設ける必要があります。

カイトを上げていない区画で田んぼに隣接する民家の辺りにスズメPasser montanus)が群がっていました。
チュンチュン♪と賑やかに鳴き交わしながら、庭木のカエデの木と田んぼの端を往復するように飛び回っています。
民家のトタン屋根にも群れの一部が止まっています。
いざというときにすぐ避難できる場所を確保しつつ、稲穂を食べに来たのでしょう。

田んぼには稲穂以外にもイヌビエがたくさん生えています。
スズメがイヌビエの実も食べるのかどうか、証拠映像を未だ撮れていません。(イネの実の方が好み?)

さて次に、私がその場で向きを変えると、広大な田んぼの反対側の区画に設置された鳥追いカイトが幾つも見えました。
長い釣り竿を立て、その先から糸でカイトが吊り下げられています。
風が吹くと煽られたカイトが右に左に動き回ります。
ヒトに擬態した昔ながらの案山子に比べれば、激しい動きがある分だけ鳥追い効果がありそうです。

カイトの下面にはフクロウやタカと言ったスズメの天敵となる猛禽類の絵柄がプリントされていました。
しかしカイトの上面は意外にも白紙でした。(日焼けして退色したのではなさそうです。)
上空から田んぼに飛来する野鳥に対して脅かすには、コストをけちらずにカイトの上面にもリアルなプリントをした方が良いと思うのですが…。
それでも鳥追いカイトの周囲にはスズメの群れは見当たりませんでした。

この映像だけ見ると、まるで商品CMのように、確かに鳥追いカイトにスズメを追い払う効果がありそうに思えます。
しかし、この比較はフェアではありません。
鳥追いカイトが設置された区画は広大な田んぼの中央部にあり、近くにスズメの避難場所がありません。
スズメの性質からすると、元々あまり来ない(食害が少ない)区画である可能性があるのです。
民家に近い田んぼの端にもカイトを設置して、スズメが来なくなることを実証しなければいけません。

おそらく田んぼの区画によって違う農家が管理・栽培しているのでしょう。

藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

(イネの)登熟期の被害はスズメ、ハト、カルガモによるものですが、スズメによるものがもっとも大きく、重要です。(中略)広く開けた水田地帯では、それほど大きな被害を受けることは少ないようです。しかし、人家の近くや電線の下、樹木の近くなどの水田では大きな被害が発生します。これらの場所では、スズメの逃げ場が確保されているからだと思われます。(p190より引用)

スズメの被害は、登熟した穀類の種子ばかりでなく、田んぼや畑に播種された種子にも発生します。
登熟:穀物や豆類の種子が次第に発育・肥大して、炭水化物や蛋白質が集積されること。(p60より引用)


もう一つの問題として、スズメの群れが稲穂の茂みに完全に隠れてしまうと、私にも見つけられなくなり、動画が撮れないのは当然です。
もしかすると、鳥追いカイトに慣れてしまったスズメの群れが、カイトのお膝元でもこっそり稲穂を食害しているかもしれません。
無人の監視カメラを田んぼのあちこちに設置したら面白そうです。
鳥追いカイト自体にGoProのような小型のCCDカメラを付ければ、カイト目線の映像が撮れるでしょう。

毎日、夕方になったら田んぼの凧を回収するのかな?

無風で凧が動かない日は防除効果が無くなるのでしょうか?
逆に台風が来る前には予め凧を取り外しておく必要がありそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

2日に分けて同じ田んぼで撮った映像をまとめました。

2018/12/16

飛べ!ツバメシジミ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2018年9月中旬

川の堤防の草むらでヨモギの葉にツバメシジミ♀(Everes argiades hellotia)が乗って休んでいました。
翅を閉じて葉表に静止しています。
夕方(午後17:35)なので、このままここで塒をとるのでしょうか?
採寸した訳ではありませんが、目視の印象では矮小化した小型の個体のようでした。

茂みに物を投げつけて飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:28〜)
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
ツバメシジミは翅を力強く打ち下ろすと同時に腹端を高々と持ち上げました。
翅表が黒褐色なので♀と判明。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ツバメシジミ♀@ヨモギ葉

クサガメ:親亀の上に子亀を乗せて?



2018年8月中旬

蓮池の岩場でこの日は大小3匹のクサガメMauremys reevesii)が日光浴していました。

大きな成体(おそらく♀)の甲羅の上に小形の♂(頭部、頸部が真っ黒で斑紋なし)が乗ろうとしています。
まさに「親亀の上に子亀」状態でした。
甲羅干しするお気に入りの岩場を巡って縄張り争いがあったのでしょうか?
なんとなく、優劣を決めるマウンティングでも交尾行動でも無さそうです。
単に下の亀の甲羅を乗り越えようとして手足が届かなくなり身動きできなくなったのではないかと、勝手に想像しました。
それにしても、下の個体が逃げたり嫌がったりしないのが不思議です。
寛容なのは本当に親子だから…? (亀は血縁認識して相手への態度を変えるのだろうか?)
下になった大型の個体の甲羅の後部が破損していて、V字の切れ込みの有無が不明です。(切れ込みがあれば♂)
前脚の爪が長いので♂だと思うのですけど、どうでしょう?


少し離れた岩ではもう一頭の個体(小形の若い個体)が平和に甲羅干ししていました。
泥だらけの甲羅が乾いています。


亀はスローライフなので、気が短い人は早回し再生でご覧下さい。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
クサガメの性別など、色々と間違っていたので訂正しました。
周囲に生い茂ったハスの葉に遮られて、岩場はほぼ日陰になっていました。
♂は日光を少しでも浴びようとして♀の甲羅の上に登ったのでしょう。(♂の甲羅の前半部だけが日を浴びています。)

クサガメ親子?ab@蓮池:岩+マウント
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