2021/12/11

電柱の天辺から脱糞後に飛び立つチゴハヤブサ【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年9月上旬・午後14:30頃・くもり

前回の記事:▶ チゴハヤブサ幼鳥同士で鳴きながら挑発飛行(野鳥)

田園地帯の道端に立ち並ぶコンクリート電柱の天辺にチゴハヤブサFalco subbuteo)が止まっていました。 
逆光ですが、下腹部に赤茶色が見えたので成鳥と判明。 
つい先程見たばかりの2羽の幼鳥の親鳥だと思います。 
稲穂が実る周囲の田んぼを鋭い眼光でキョロキョロと見渡しています。 
ときどき頷くように頭を上下に動かしているのは、獲物を探して遠くをよく見るための行動なのでしょう。 
風で羽毛がなびいて、絵になりますね。 
かなり豪胆な個体で、私が長時間カメラを向けても全く鳴かず、なかなか逃げようとしませんでした。 
 飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でかなり粘って長撮りしました。(@1:53〜2:24)
もちろん退屈なシーンは編集でカットしてあります。
強風で私の体ごと飛ばされそうになるので、ひたすら愚直に長撮りするのも大変でした。
電柱天辺のチゴハヤブサ成鳥は、頭を少し下げながら尾羽を上げて、白くて粘性のある液状便を真下に排泄しました。 
排便で体重を軽くした直後に翼を広げ、電柱を脚で蹴り出しながら飛び立ちました。 

田園地帯をしばらく飛び、電線に止まり直しました。 
ここでも辺りをキョロキョロと見回し、ときどき頭部を上下に動かしています。 
隣接する電柱間の中央で弛んだ電線に止まったのが興味深く思いました。 
チゴハヤブサは体重が軽いので、足場がやや不安定でも気にしないのでしょう。 
ノスリなど大型の猛禽は安定した足場を好むので、電線に止まる時は電柱に近い弛みのない部分を選びます。 

実はもう1羽も近くの電線に止まって居て、キーキーキー♪と鳴く声も聞こえたのですが、うまく動画で記録することができませんでした。

ホツツジ訪花中のスズキハラボソツリアブ♀に交尾を挑む♂

 

2021年9月上旬・午前11:40頃・くもり

里山の尾根道に沿って咲いたホツツジの群落でスズキハラボソツリアブ♀(Systropus suzukii)が単独で訪花していました。 
腹部末端が太いので、おそらく♀だと思います。 
吸蜜中は花に足を掛けて羽ばたきを止めているので、ツリアブ類が得意とするホバリング吸蜜ではありません。 

腹端を少し上に持ち上げてから次の花へと飛び立ちます。 
そこへ別個体が飛来しました。 ほっそりした体型なので、おそらく♂でしょう。 
空中で♀に衝突したものの、すぐに別れました。 
ホツツジの花は比較的広範囲に咲いていたので、蜜源植物を巡る縄張り争いとは考えられません。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、どうやら♂が♀を捕獲し交尾を挑もうとして失敗したようです。 
♀による明確な交尾拒否行動があったのかどうか、よく分かりませんでした。 
おそらく、この♀は既に交尾済みだったのでしょう。 
次は♂の求愛が成就して交尾に至る過程を観察してみたいものです。 



ところで、大谷剛『昆虫―大きくなれない擬態者たち』という本によると、
(寄生蜂の)産卵管はたいてい寄主に対応してうまく産卵できるように特殊化しているので、人の皮膚を突き破るのはなかなか難しいのだ。例外はアメバチのグループ。つい最近刺されてみたが、結構痛かった。だから、アメバチに擬態しているアブが存在する。 
写真4-1:アメバチ類とその擬態者。ニトベハラボソツリアブ、スズキハラボソツリアブのモデルがオオアメバチ、マツケムシヤドリコンボウアメバチ (p62より引用)
この指摘は面白く、初耳でした。 
確かにマツケムシヤドリコンボウアメバチとスズキハラボソツリアブは見た目がそっくり似ています。
しかし、私は夜に灯火の下ぐらいでしかアメバチ類を見たことがありません。 
(私の目が届かない山林の樹上などに多いのかな?)
昼間にフィールドで見かける個体数は、モデルよりも擬態種ハラボソツリアブの方が圧倒的に多い印象です。
アメバチは寄生蜂ですから、個体数が少ないのは当然です。 
そのような状況でベーツ型擬態が成立するかどうか(進化できるかどうか)、私は疑問です。 
つまり、鳥などの捕食者が擬態モデルのアメバチに刺されて(痛い目に遭って)学習する機会が乏しいのではないでしょうか? 
虫好きの脳は偶然の空似でもすぐに擬態だと言いたがる癖があります。
したがって、願望(希望的観測)や「言ったもん勝ち」ではなく、客観的な実証が必要です。 
食虫性の野鳥は本当にハラボソツリアブ類を怖がって忌避するでしょうか? 
実験でデータを取ろうとすると難しいですね。
だから今まで誰もやってこなかったのでしょう。

2021/12/10

虫カビ(ボーベリア)に感染して死んだフキバッタ

 

2021年9月上旬・午前11:45頃・くもり 

里山の尾根道で丈の低い笹の茎にフキバッタの一種がしがみついたまま斃死していました。
黒変した体の節々(関節)から昆虫病原糸状菌の白い菌糸が吹き出していました。 
おそらくボーベリアBeauveria bassiana)の仲間が感染して死んだと思われます。 

この日は途中の山道でもあちこちで同様の斃死体を目撃しています。 
いつか微速度撮影でバッタの感染個体が植物をよじ登って死んでボーベリアの白い菌糸が湧き出る様子を記録してみたいものです。

砂利道を舐めてミネラル摂取するナミハナアブ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年9月上旬・午後17:10頃・晴れ 

田んぼと畑に挟まれた砂利道の農道で夕方にナミハナアブ♀(Eristalis tenax)が飛び回っていました。 
地面を味見しながらあちこち歩き回り、忙しなく離着陸を繰り返しています。 
ようやくお気に入りの場所を見つけたらしく、飛ばなくなりました。 口吻を伸ばして小石や乾いた泥を頻りに舐めています。 
地面は濡れておらず乾いているので、吸水行動ではなさそうです。 
おそらくミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
ハナアブのしかも♀がそんな行動をするとは知りませんでした。
ときどき左右の前脚で口吻を挟んで付着した砂を擦り落とします。 

砂利道から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:55〜) 
同一個体をしつこく追いかけて撮影。
   

2021/12/09

田んぼの用水路でトノサマガエルを捕食するダイサギ(野鳥)

 

2021年9月上旬・午前10:30頃・くもり・強風 

田んぼの農道にダイサギArdea alba)が単独で佇んでいました。 
周囲の水田には稲穂が実りつつあります。
ダイサギが農道を歩いて左に移動し始めました。 
ときどき長い首をグニャグニャと左右にしならせているのが面白く思いました。 
それでも頭部の位置は安定しています。 
長い首が強風で揺れているのでしょうか? 
ダイサギの足元が見えないのですが、もしかすると川でやるように足踏みの振動で獲物を隠れ家から追い出そうとして、それで首が動いてしまうのかもしれません。 

やがて画面奥にある細い用水路に大股で歩み寄ると、嘴を素早く突き出して大きなカエルを捕らえました。 
獲物はトノサマガエルPelophylax nigromaculatus)のようです。 
カエルはもう死んだのか、力なくダランとしていて暴れたり抵抗することはありませんでした。 
ダイサギは嘴で獲物を突き刺しているのではなく、挟んでいました。 
 獲物を咥えたものの、大き過ぎて飲み込むのに四苦八苦しています。 
トノサマガエルを咥えたまま振り回したり、ときどき地面に一瞬だけ獲物を置いて持ち替えたりしています。 
上を向きながら遂に獲物を丸呑みしました。 
食後のダイサギは嘴を拭う行動をやらずに目の前の田んぼを眺めています。 

画面の左側がときどき白くぼやけたのは、コンクリートの電柱が手前にあるせいです。 
警戒心の強いダイサギに対して少しでも身を隠そうとして、私は電柱の陰ギリギリに立って撮り始めました。 
ところが強風で私の体ごと煽られるので、手ブレが抑えられませんでした。 
もっと体幹を鍛えないといけませんね。 
撮影途中でアングルを変えるために移動しようか迷ったのですが、私が下手に動くとダイサギが警戒して逃げてしまうだろうと判断し、そのまま撮り続けました。 

捕食シーンを撮り終えたところで、私はそっと右に移動して被写体に少し近づきました。 
雑草だらけの農道を歩き去るダイサギの後ろ姿を撮っていると、ダイサギの眼の前からスズメの大群が飛び去りました。 
農道上に生えたキンエノコロの群落にそれまで隠れていたようです。 
ダイサギの行く手には左側にアオサギが佇んでいました。 
ダイサギはアオサギに遠慮しているのか、動かなくなりました。 
もう少し粘って見守ればダイサギvsアオサギの縄張り争いが勃発したかもしれません。 
しかし先を急ぐ用事がある私は、ここで撮影を打ち切りました。

有毒植物ホツツジの花蜜を吸うキオビツチバチ♂は中毒症状で飛べなくなる?

 

2021年9月上旬・午後12:50頃・くもり 

里山の尾根道沿いに咲いたホツツジの群落で2匹のキオビツチバチ♂(Scolia oculata)が訪花していました。 
口吻を伸ばして吸蜜しています。 

私の気のせいかもしれませんが、飛翔能力の減退が気になりました。
隣の花序になかなか飛び移れず、ようやく飛び立っても無様に墜落しています。 
1匹だけならともかく、2匹とも飛び方が下手になっているのです。
一方、脚を使った歩行移動に異常は認められませんでした。
(雄蜂♂には毒針はありませんし、蜂を一時捕獲して、本当に飛べなくなっているのかきっちり確かめるべきでしたね。)

ホツツジはグラヤノトキシンという神経毒を含む有毒植物です。 
花蜜や花粉にもグラヤノトキシンが含まれているらしく、それを集めた蜂蜜を摂取すると人体にも危険らしい。 
キオビツチバチ♂はホツツジの中毒症状で飛翔筋や運動神経が麻痺しつつあるのでしょうか? 
グラヤノトキシンの解毒剤(アンタゴニスト)を蜂に投与して症状が回復すれば、逆に中毒症状だったと証明できるはずです。 

植物が毒を生産して蓄えるのは、草食動物による食害を防ぐためです。 
しかし、虫媒花が果たして送粉者に毒を盛ったりするでしょうか? 
そのさじ加減を植物はどうやって実現しているのでしょう?
訪花昆虫の筋肉を単純に麻痺させるだけだと、行動半径が狭くなりますから、遠くの株と他家授粉できなくなってホツツジの適応度が下がる気がします。 
送粉者が微量の毒を含む花蜜に病みつきになって他の種類の花には行きたくないようにする高等戦術だとしたら面白いですね。(神経毒による送粉者の行動操作) 
個々の花によってグラヤノトキシンの含有量にばらつきがあるとすれば、一つの花から花蜜の飲み過ぎを防ぐ効果があるのかもしれません。 (ロシアン・ルーレット)

これまでホツツジに訪花する昆虫を観察してきました。(▶ 動画をまとめた再生リスト) 
訪花昆虫で行動に異常を来した例をあまり見たことがなくて、それもまた不思議です。
関連記事(8年前の撮影)▶ 飛べないオオマルハナバチ♀は中毒症状か?
多くの種類の昆虫では、ナトリウムイオン・チャンネルがグラヤノトキシンに対して耐性を示すよう進化したのでしょうか? 
訪花昆虫は味覚でグラヤノトキシンを含む花を忌避するように対抗進化したのかな?
私はもう何年もこの疑問を抱き続けているのですけど、素人には手が出せないテーマです。
誰か薬学部の研究者に調べて欲しいです。

試しに検索ワード「grayanotoxin pollinator」で文献検索してみると、私が知らなかっただけで、面白そうな研究結果が既に出ているようです。
やはり生態学的に重要なテーマだと分かったので、これから読んで勉強してみます。
 

2021/12/08

山道を歩くセンチコガネ

 

2021年9月上旬・午後12:00頃・くもり 

里山の細い尾根道でセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が歩いていました。 
タヌキの溜め糞やテンの糞など、糞虫の餌は周囲に見当たりませんでした。

ミズナラの樹液酒場でヒメスズメバチ♀に喧嘩を売るキマワリ

 

2021年9月上旬・午前11:50頃・くもり 

里山の尾根道でミズナラの樹液酒場を観察していると、キマワリPlesiophthalmus nigrocyaneus)が歩いて幹を降りてきました。 
そのままヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)のワーカー♀にぶつかりました。
ヒメスズメバチは背後から不意をつかれたものの、滑落したのはキマワリでした。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
これは樹液酒場を巡る占有行動(闘争)のひとつなのでしょうか? 
しかし私の知る限り、キマワリは朽木やキノコを食べるので樹液を吸汁しません。 
うっかりヒメスズメバチ♀にぶつかっただけのように思います。 
もし割り込みたいのなら、樹液酒場を占領している2匹のオオスズメバチVespa mandarinia japonica)ワーカー♀こそ追い払うべきでしょう。 

ヒメスズメバチ♀は2匹のオオスズメバチ♀が占有する樹液酒場に近づけず、辺りをウロウロして順番を待っています。 

つづく→

2021/12/07

チゴハヤブサ幼鳥同士で鳴きながら挑発飛行(野鳥)

 

2021年9月上旬・午後14:00頃・くもり・強風

田園地帯の上空を2羽(?)の猛禽がキーキーキー♪と甲高く鳴きながら高速で激しく飛び回っていました。 
追いかけっこしているようなので、縄張り争いなのかと初めは思いました。

しばらくすると、木造施設の屋根の上に設置されたままの古い八木式アンテナに1羽が止まりました。 
この個体aにズームインしてみると、チゴハヤブサFalco subbuteo)でした。 
手前にある魚の背骨のような八木アンテナが邪魔で見えにくいのですが、下腹部が赤茶色ではないので幼鳥のようです。 
動画編集時に一部は逆光補正を施しています。 
(撮影時は逆光で羽根の斑紋が全く見えず、チョウゲンボウかと勘違いしていました。) 

幼鳥aの上空スレスレをもう1羽のチゴハヤブサbが鳴きながら高速で飛び回るようになりました。 
鉤爪や嘴による直接的な攻撃はしませんでしたが、アンテナ上に居座る個体aを威嚇しているように見えます。 
(攻撃と言うよりも、ちょっかいをかけている?)
アンテナ上の幼鳥aは首をすくめてやり過ごすだけで、反撃しようとしません。 
高速で跳び回る相手の動きを首を回して目で追うだけでした。 

やがて、飛び回っていた個体bが近くに立つ電柱の天辺に止まってくれました。 
この個体bが幼鳥か成鳥かの判断が悩ましいところで、一連の行動の解釈が全く変わってきます。 
逆光補正しても下腹部の茶色が薄いので、私はこれも幼鳥(若鳥?)のような気がするのですけど、成鳥だよと誰かに言われたら納得してしまいそうです。 
聞こえる鳴き声と嘴の動きが一致したことから(リップシンクロ)、今まで鳴いていたのは個体bと判明しました。 
鳴き声を声紋解析したいところですが、風切り音のノイズが耳障りです。 

個体bが電柱から鳴きながら飛び立つと、アンテナ上の幼鳥aに対する攻撃?を再開しました。 
幼鳥aの真上でホバリングすることもありました。 
八木式アンテナ上に居座る幼鳥aも今度はキーキー♪と鳴き返すようになりました。
最後、個体bは諦めて右に飛び去り、近くの駐車場の端に植栽されたミズキの梢に止まりました。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:25〜)
チゴハヤブサの見事な高速飛翔能力をご堪能ください。 
さて、この2羽は何をしていたのでしょうか? 
2羽が共に幼鳥だとすると、おそらく飛び回ること自体が嬉しくて兄弟(姉妹)で遊んでいるのでしょう。 
チゴハヤブサの巣立ちはお盆前後が多いのだそうです。(『やまがた野鳥図鑑』p75より) 
「お山の大将」ゲームのような、お気に入りの止まり木(八木式アンテナ)を巡る争い(占有行動)とは考えられません。 
隣に並んで止まれる余裕は充分にあるからです。 
空中戦の遊びに誘うために、活発な個体bがおとなしい個体aを挑発しているように私には見えました。 
幼鳥aはアンテナに止まって親鳥が巣外給餌に来てくれるまで待っているのかな?

活発な個体bがもしも成鳥だとすると、「子別れ」という解釈も考えられます。 
つまり、親鳥が幼鳥を縄張りから追い出そうとしているのかもしれません。 
しかしチゴハヤブサは夏鳥ですから、子育てが終わった親鳥は国内の縄張りに留まる理由がなくなり、南国へさっさと渡去するのではないか?という気もします。 
また、子別れならもっと激しく幼鳥を攻撃するのではないでしょうか?(八木アンテナから幼鳥を追い払えていません。)
幼鳥に実践的な飛行訓練しているのかな?

関連記事(3年前の撮影:9月中旬)▶ チゴハヤブサの縄張り争い/子別れ?(野鳥)
山渓カラー名鑑『日本の野鳥』でチゴハヤブサについて調べると、
声:鳴くことは稀である。繁殖期には、親鳥は「キュッキュッキュッ」と警戒鳴きをする。若鳥も同じような声で鳴くが、少し声が弱い感じであるという。 
見分け方:下腹の赤茶色が見えれば見間違うことはない。若鳥ではこの赤茶色がないが、胴が細く、閉じた翼の先が尾の先を超えることなどに注意する。飛翔時、翼は幅が細くて長く、やや余り気味に見える。(p166より引用)


その後、親鳥も少し離れたところで見つけました。
 つづく→電柱の天辺から脱糞後に飛び立つチゴハヤブサ【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】
チゴハヤブサ幼鳥a(野鳥)@八木アンテナ
チゴハヤブサ幼鳥b(野鳥)@電柱天辺


タマゴタケ幼菌に集まるニクバエ

 

2021年9月上旬・午後13:25頃・くもり 

山道の横のあちこちに真っ赤なキノコが生えていました。 
タマゴタケです。 
見るからに毒々しいのですが、食用可能らしい。 
 傘が大きく開く前の状態は幼菌と呼ぶそうです。 
開きかけの傘が割れて(裂けて)いる幼菌は、自然に割れたのか、それとも食害を受けたのでしょうか? 

帰り道にも同じ群落でチェックすると、風が強い日なのにニクバエの一種が来ていました。 
(風が吹くと匂い分子の拡散は大きく撹乱されてしまうはずです。)
しかしキノコに鼻を近づけて嗅いで見ても、ハエを誘引する腐敗臭や糞便臭などは感じませんでした。 
ハエは飛び立ってもすぐに同じタマゴタケ幼菌に舞い戻って来ます。 
2個の幼菌が並んでいても、ニクバエは割れたキノコに執着しているようです。 
この傾向はその後何度も見られました。 (n=3)
ハエは割れたり裂けたりしたタマゴタケの匂いを好むようです。 
タマゴタケ上のニクバエは口吻を伸縮させておらず、産卵行動も見られませんでした。 (天気が下り坂だったのでじっくり観察できず)
キノコを中心とする虫たちの生態系も奥が深いらしいのですけど、まず私はキノコの名前を一つずつ覚えるところから始めないといけません。 

タマゴタケの幼菌が成長して傘が開く様子を微速度撮影してみようかと思ったのですが、忙しくて手が回りませんでした。 
野生動物が食べてしまうのかキノコ狩りのヒトが片っ端から採取してしまうのか分かりませんが、数日後にはタマゴタケの群落は荒らされたり無くなったりしてしまうのです。 
私も幼菌を採集して自宅で栽培(?)しながら撮影する必要がありそうです。

2021/12/06

ママコナの花で採餌するトラマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年9月上旬・午後12:30頃・くもり 

里山の尾根道に沿って点在するママコナの群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。 ピンク色の唇形花に正当訪花を繰り返し、花蜜を吸っています。 後脚の花粉籠に黄色っぽい花粉団子を運んでいます。
関連記事(8年前の撮影)▶ ママコナを訪花するトラマルハナバチ♀

8年前は植物の名前に自信が持てずエゾママコナと迷いました。
苞葉に鋸歯があることから、今では自信を持ってママコナと分かるようになったのがささやかな進歩です。
(茎の下部の葉には鋸歯がありません。)
今回はママコナの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 
吸蜜しながら中脚で顔に付着した花粉を拭っています。 
次の花に向かって飛んでいる間も黒い口吻を長く伸ばしたままでした。

ホツツジの葉から飛び立つヨコジマオオハリバエ

 

2021年9月上旬・午後12:40頃・くもり 

里山の尾根道沿いに自生するホツツジの灌木でヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)が葉の上で休んでいました。 
ハリバエの名前の通り、腹部から長い剛毛がツンツンとハリネズミのように立っています。
身繕いでもするかと思い動画を撮り始めたものの、すぐに飛び去ってしまいました。 


2021/12/05

山道の溜め糞を匂っただけで通り過ぎるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年9月上旬・午前2:12・気温11℃ 

里山の山道に設置した無人センサーカメラ(トレイルカメラ)の前を深夜に横切るホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の姿が撮れていました。
前回の記事:▶ 夜の山道で溜め糞に排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】
4日前にはこの溜め糞(画面中央)で排泄したのに、今回はなぜか匂いを嗅いだだけで通り過ぎました。 
縄張り内で異常が無かった溜め糞では排便しないのかな? 
糞によるタヌキ同士のコミュニケーションを調べるには、タヌキの個体識別ができるようにならないといけません。 
同一個体か別個体か分かりませんが、前回と今回は山道をパトロールする方向も逆でした。 

【追記】
今泉忠明『動物たちの可愛いウンチ』を読み返すと、「タヌキは共同トイレを使用」という章がありました。
・タヌキは尾根道など比較的開けたところに溜糞をすることが多い(p190より引用)
・タヌキは糞の山が自分たちのものであろうとなかろうと、共同トイレを利用する(p192より)
・見知らぬタヌキの糞があると、最初は15〜30秒も嗅いでいる。自分の糞に関しては2〜5秒がふつうだから、きわめて興味をもって嗅いでいる(中略)次の回からは興味は急激に薄れ、2、3回目からは自分のものとの時間差はなくなる。(p192より)
・1頭のタヌキは、自分の行動圏内にほぼ10ヶ所の溜糞をもっている(中略)1つの溜糞を複数のタヌキが利用しており、季節によって使用する頻度が異なり(p193より)
・行動圏はお互いに重なりあっており、それぞれの溜糞のうちのおよそ4割を共有している。(p194〜195より引用)


【追記2】
以下の写真はトレイルカメラによる動画撮影から10時間後に私が現場に来たときの溜め糞cの様子です。
新鮮な糞は残っておらず、古い糞は生物分解が進んでほとんど原形を留めていません。
地面に黒い染みのような跡が残っていました。

溜め糞の横にキノコが育っていました。
獣糞や死骸の近くに生えてくるキノコ(アンモニア菌など)があるらしいので、これから勉強していきます。
溜め糞を栄養にキノコが成長する過程を微速度撮影してみるのも面白そうです。






逆風に負けず獲物を運び上げ配電盤の巣に貯食するエントツドロバチ♀

 

2021年9月上旬・午前10:40頃・くもり・強風 

山間部の農村で獲物を抱えて運んでいるエントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)を見つけました。 
3階建て民家の北に面した白い外壁の2階部分に配電盤が並んでいて、一つの箱の内部に泥巣があるようです。 
初めは営巣地(配電盤)の直下(右下)に蜂が止まっていたのですが、滑落しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
白壁の表面はザラザラしているのに、獲物が重いせいか垂直の外壁を登れずに滑り落ちたようです。 
地面に激突する前に空中で体勢を立て直したものの、この日は風が強く吹いていました。 
蜂は車道まで逆風に押し戻されてしまいました。 
舗装された車道に着陸すると、風が止むまで休息。 

ようやくズームインしてじっくり観察することが出来ました。 
エントツドロバチ♀は仰向けにした白いイモムシの腹端付近を大顎で咥え、前後逆向きにして脚で抱えていました。 
蜂の大顎は動いていないので、獲物を噛みほぐして体液を吸汁しているのではなく、運搬のために咥えているだけでしょう。 
エントツドロバチ♀はメイガ科やハマキガ科の幼虫を狩ることが知られています。 
獲物は毒針によって全身麻痺していて無抵抗です。 
獲物の種類を知りたいところですが、私には分かりません。 
白っぽいイモムシの背面がやや赤味がかっていました。 

エントツドロバチ♀は路上で左右の後脚・中脚を互いに擦り合わせて身繕いしています。 
疲労が回復したようで、今度は獲物を引きずって営巣地の方へ歩き始めました(前進)。 
飛べなくても少しでも巣に近付こうとする心意気はあっぱれです。 
ようやく獲物を抱えて飛び立ちました。 
3階建ての高さがある民家に近づくとビル風のような乱流に巻き込まれるようで、蜂はなかなか壁面に着地できません。 
やはり獲物が重過ぎるのでしょうか?(空輸重量超過) 
それでも諦めずに何度もアプローチを繰り返しています。 
遂に営巣地の直下にある配電ボックスの上に着陸しました。 
羽ばたく推力を利用しながら白いケーブル(古い電話線?)を辿って登り、配電盤の底面にあるケーブル穴に潜り込みました。 
獲物と一緒にエントツドロバチ♀は頭を先に入巣しました。 
エントツドロバチ♀が獲物を巣に搬入するシーンを観察するのは久しぶりです。
関連記事(9、11年前の撮影)▶  
エントツドロバチ♀が泥巣に芋虫を搬入 
エントツドロバチの貯食活動
中にある泥巣の育房に獲物を貯食しているはずです。 
エントツドロバチは珍しい亜社会性の蜂ですから、卵が孵化した後も新鮮な獲物を次々と巣に運び込んで幼虫に与えます。 
この方式を随時給餌と呼びます。 
それに対して、他の多くの非社会性(単独性)ドロバチ類は一括給餌を行ない、母子が直接対面することはありません。 

次に私は蜂が出巣する瞬間を見落とすまいと、巣口にカメラを向けたまま待ち構えました。 
しかし辛抱強く長撮りしても空振りに終わりました。 
疲労困憊した蜂は巣内で休んでいるのかもしれません。 

驚いたことに、しばらくすると空荷のエントツドロバチ♀が飛来して同じ配電盤の穴から中に潜り込みました。 
入巣ルートも先程とほぼ同じで、配電盤から伸びる白いケーブルにしがみついて着陸すると、そのケーブルをよじ登り、入巣しました。 
もしこれが先程の蜂と同一個体だとしたら、配電盤にどこか別の出口があることになります。(私が出巣を見逃した。) 
別個体だとしたら、配電盤内で複数の♀が共同営巣(集団営巣)していることになり、それはそれで興味深い事例になります。 
単為生殖するエントツドロバチに雄蜂♂は居ないことになっているので、2番目の個体が雄蜂♂である可能性は除外できます。 

民家の壁に向かってカメラを長時間向けている私の姿はいかにも怪しいので、残念ながら観察を打ち切って立ち去りました。 
この家の住人にエントツドロバチの巣の存在を知らせてしまうとすぐに駆除されてしまいそうなので(藪蛇)、蜂のために黙って立ち去りました。

ちなみに、過去にも配電盤の中で営巣しかけたエントツドロバチを見かけています。
関連記事(13年前の撮影)▶ 配電盤が気になるエントツドロバチ♀

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