2021年9月上旬・午後14:00頃・くもり・強風
田園地帯の上空を2羽(?)の猛禽がキーキーキー♪と甲高く鳴きながら高速で激しく飛び回っていました。
追いかけっこしているようなので、縄張り争いなのかと初めは思いました。
しばらくすると、木造施設の屋根の上に設置されたままの古い八木式アンテナに1羽が止まりました。
この個体aにズームインしてみると、チゴハヤブサ(Falco subbuteo)でした。
手前にある魚の背骨のような八木アンテナが邪魔で見えにくいのですが、下腹部が赤茶色ではないので幼鳥のようです。
動画編集時に一部は逆光補正を施しています。
(撮影時は逆光で羽根の斑紋が全く見えず、チョウゲンボウかと勘違いしていました。)
幼鳥aの上空スレスレをもう1羽のチゴハヤブサbが鳴きながら高速で飛び回るようになりました。
鉤爪や嘴による直接的な攻撃はしませんでしたが、アンテナ上に居座る個体aを威嚇しているように見えます。
(攻撃と言うよりも、ちょっかいをかけている?)
アンテナ上の幼鳥aは首をすくめてやり過ごすだけで、反撃しようとしません。
高速で跳び回る相手の動きを首を回して目で追うだけでした。
やがて、飛び回っていた個体bが近くに立つ電柱の天辺に止まってくれました。
この個体bが幼鳥か成鳥かの判断が悩ましいところで、一連の行動の解釈が全く変わってきます。
逆光補正しても下腹部の茶色が薄いので、私はこれも幼鳥(若鳥?)のような気がするのですけど、成鳥だよと誰かに言われたら納得してしまいそうです。
聞こえる鳴き声と嘴の動きが一致したことから(リップシンクロ)、今まで鳴いていたのは個体bと判明しました。
鳴き声を声紋解析したいところですが、風切り音のノイズが耳障りです。
個体bが電柱から鳴きながら飛び立つと、アンテナ上の幼鳥aに対する攻撃?を再開しました。
幼鳥aの真上でホバリングすることもありました。
八木式アンテナ上に居座る幼鳥aも今度はキーキー♪と鳴き返すようになりました。
最後、個体bは諦めて右に飛び去り、近くの駐車場の端に植栽されたミズキの梢に止まりました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:25〜)
チゴハヤブサの見事な高速飛翔能力をご堪能ください。
さて、この2羽は何をしていたのでしょうか?
2羽が共に幼鳥だとすると、おそらく飛び回ること自体が嬉しくて兄弟(姉妹)で遊んでいるのでしょう。
チゴハヤブサの巣立ちはお盆前後が多いのだそうです。(『やまがた野鳥図鑑』p75より)
「お山の大将」ゲームのような、お気に入りの止まり木(八木式アンテナ)を巡る争い(占有行動)とは考えられません。
隣に並んで止まれる余裕は充分にあるからです。
空中戦の遊びに誘うために、活発な個体bがおとなしい個体aを挑発しているように私には見えました。
幼鳥aはアンテナに止まって親鳥が巣外給餌に来てくれるまで待っているのかな?
活発な個体bがもしも成鳥だとすると、「子別れ」という解釈も考えられます。
つまり、親鳥が幼鳥を縄張りから追い出そうとしているのかもしれません。
しかしチゴハヤブサは夏鳥ですから、子育てが終わった親鳥は国内の縄張りに留まる理由がなくなり、南国へさっさと渡去するのではないか?という気もします。
また、子別れならもっと激しく幼鳥を攻撃するのではないでしょうか?(八木アンテナから幼鳥を追い払えていません。)
幼鳥に実践的な飛行訓練しているのかな?
関連記事(3年前の撮影:9月中旬)▶ チゴハヤブサの縄張り争い/子別れ?(野鳥)
山渓カラー名鑑『日本の野鳥』でチゴハヤブサについて調べると、
声:鳴くことは稀である。繁殖期には、親鳥は「キュッキュッキュッ」と警戒鳴きをする。若鳥も同じような声で鳴くが、少し声が弱い感じであるという。
見分け方:下腹の赤茶色が見えれば見間違うことはない。若鳥ではこの赤茶色がないが、胴が細く、閉じた翼の先が尾の先を超えることなどに注意する。飛翔時、翼は幅が細くて長く、やや余り気味に見える。(p166より引用)
その後、親鳥も少し離れたところで見つけました。
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