2015/09/05

食べ物の恨みは恐ろしいスズメ(野鳥)の兄弟喧嘩



2015年7月上旬

民家の板塀の上にスズメPasser montanus)の巣立ち雛が並んで親鳥が給餌に来るのを待っています。

▼関連記事
巣立ち雛に給餌するスズメ(野鳥)


シーン1:

飛来した親鳥が2羽の幼鳥の間に止まったものの、給餌しませんでした。
幼鳥が催促しても、少し離れた位置に飛んで逃げました。
これは親鳥の給餌拒否なのでしょうか?
そもそも餌を咥えていなかったので、ただ単に幼鳥の様子を見に来たついでに少し休みたかったのでしょうか?
親鳥と思った個体をよく見ると頬の黒班は濃いものの、嘴の付け根は未だ黄色っぽいので、実は成鳥ではなく若鳥なのかもしれません。



シーン2(@0:45〜):

画面中央の幼鳥aの左隣に別個体の幼鳥bが飛来しました。
幼鳥aが反射的に餌を催促しても、親鳥ではないので当然無視されます。
幼鳥bは自力で何かを採食してきたようで、嘴から種子?を落としました。
それに気づいた幼鳥aはbにどんどんにじり寄り、欲求不満からbの足元を嘴で啄んだり、しつこい嫌がらせを始めました。
相手の体をつつきながら板塀上をどんどん左へ押し込んでいきます。
「あっちに行け!」と離れて欲しいのではなく、押し相撲のように圧力をかけています。
ニワトリの群れで見られるようなつつきの順位がスズメの兄弟姉妹間にもあるのですかね?
bは幼鳥aを飛び越えて向こう側に移動しました。
相互羽繕いを始めたように見えたので、和解したのかと微笑ましく見守っていたら、なんと幼鳥bはaの目を狙ってつつこうとしていました。
兄弟がふざけて遊んでいるようで実は深刻な暴力沙汰(いじめ)なのかもしれません。
幼鳥bは一方的に虐められるばかりで、反撃しませんでした。(無抵抗)
しかし本当に身の危険を感じたら飛んで逃げるはずです。
どうやら幼鳥aはかなり根に持つタイプのようです。
よほど空腹で気が立っていたのでしょうか?
食い物の恨みが恐ろしいのはスズメの世界も同じようです。

ようやく気が済んだのか、2羽が少し距離を開けました。
羽繕いすると幼鳥aは飛び去りました。(地面に飛び降りた。)



アガパンサスの花で採餌するクロマルハナバチ♀



2015年7月中旬

民家の庭の花壇に咲いた見慣れないハイカラな花にクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が来ていました。
帰ってからヤマケイポケットガイド11『庭の花』で調べると(p229)、アガパンサス(=ムラサキクンシラン)と判明。


青い(水色)花と白い花の株が隣り合って植えられています。
花の色が違ってもクロマルハナバチは別け隔てなく正当訪花していました。
後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けています。



アガパンサス花(白)
アガパンサス花(青)

2015/09/04

夜のキボシアシナガバチは襲ってこない?【暗視映像】


キボシアシナガバチ巣の定点観察@柳#3

2015年7月上旬・深夜23:30頃

▼前回の記事初ワーカーが羽化したキボシアシナガバチ夜のコロニー【暗視映像】
個体識別のためキボシアシナガバチPolistes nipponensis)創設女王にマーキングするつもりでこの日は出掛けたのですが、一足遅かったようです。
初ワーカー(長女)が羽化してしまい、巣の防衛力は2倍になりました。
夜間なら大人しいだろうと二匹の♀に直接マーキングしようと油性ペンをそっと近づけたら警戒・威嚇されてしまい、結局諦めました。
昼間なら在巣の蜂を炭酸ガスで麻酔してから一網打尽に捕獲する方法をやっていたと思います。

▼関連記事在巣のキアシナガバチを一斉捕獲(炭酸ガス麻酔)
万一失敗して夜中に刺されたらなにかと面倒なので、億劫になってしまいました。

さて、気を取り直して別のちょっとした実験を試してみます。
キボシアシナガバチのコロニーは気性が荒いとされていて、昼間は不用意に接近する者に対して周囲を飛び回り激しく巣を守ります。
夜間はどうでしょうか?
本種は夜行性ではなく、暗闇ではおそらく目が見えず、飛ぶことも出来ないはずです。

赤外線の暗視動画に撮りながら柳の枝を揺らしても、予想通り蜂は襲って来ませんでした。
飛び立つどころか無反応です。
翅を半開きにして震わせる警戒姿勢にもなりません。
夜目が効かない蜂には、風で枝が揺れているのと区別できないのでしょうか?

続いて白色LEDを点灯すると、女王蜂が警戒姿勢を取りました。
しかし、やはり飛び立って攻撃してくることはありませんでした。(女王蜂は通常、穏健な性格です。)
夜のキボシアシナガバチは目が見えず飛べないため、コロニー防衛力は著しく下がるようです。
したがってアシナガバチの巣に寄生する蛾は夜に産卵するそうです。
また、もし巣を駆除する必要に迫られたら夜が良いかもしれません。
ワーカーの数が増えても同じ結果になるか?という点は、改めて試してみる必要があります。

夜に飛ばないのは、もしかすると気温が低いせいもあるかもしれません。

まさか真似(追試)する人はいないと思いますが、くれぐれも自己責任でお願いします。
昼間なら私もこんな無茶(巣のある枝を揺らすなど)は絶対にやりません。
完全防備の防護服があれば別ですけど。

つづく→#4:威嚇飛翔で巣を防衛(昼間)


川面を逃げ、採食するカルガモの親子(野鳥)



2015年7月中旬

街中を流れる川沿いの堤防を歩いていたら、カルガモAnas poecilorhyncha zonorhyncha)の群れが私に警戒して一斉に川面を逃げ始めました。
親鳥の周りを明らかに小型の幼鳥が必死で泳いでいます。
計15羽の親子群でした。

対岸へ渡って茂みの陰へ移動しました。
幼鳥が根際の泥を啄んで採食してから、慌てて群れの後を追う様が可愛らしいですね。
親鳥は頭を水中に潜って採食していました。


2015/09/03

初ワーカーが羽化したキボシアシナガバチ夜のコロニー【暗視映像】



キボシアシナガバチ巣の定点観察@柳#2

(記事を書く順序を間違えてしまいました。)
▼前回の記事
柳の枝先で初期巣を造るキボシアシナガバチ創設女王
2015年7月上旬・深夜23:11〜23:27

柳(樹種不詳)の枝先に営巣したキボシアシナガバチPolistes nipponensis)の初期巣を見つけてから3日後の夜、様子を見に行きました。
赤外線の暗視カメラで撮影すると、ワーカー♀(長女)が1匹羽化していました。
創設女王による単独営巣期を無事に乗り切り、一安心。

在巣の蜂は巣盤の死角に隠れていました。
天井部にもう1匹います。
1匹が育房点検に降りて来ました。
幼虫と口移しの栄養交換を行った、ように見えました。
巣盤中央部の育房はほとんど繭キャップで塞がれています。

巣盤下面から観察すると、外側の育房は作りかけで卵や幼虫が見えます。
暗視映像は白黒なので、創設女王とワーカーの区別ができません。

白色LEDを点灯すると蜂は翅を半開きにして警戒姿勢になりました。
複眼が黒い個体は羽化して間もない新ワーカーです。
巣柄にしがみついている別個体は複眼が褐色なので(若くない)、創設女王と判明しました。

暗視モードに戻すと、安心して育房の点検、身繕いや栄養交換を繰り返しています。

つづく→#3:夜のキボシアシナガバチは襲ってこない?【暗視映像】


2015/09/02

電柱の足場ボルトで鳴き羽繕いするハシボソガラス(野鳥)



2015年7月上旬

ハシボソガラスCorvus corone)が電柱に止まっています。
電柱の天辺ではなく、登るための足場ボルトを止まり木にしていたのが珍しいと思いました。(初めて見たかもしれません。)

川を見下ろして鳴いています。
口の中が黒いので成鳥ですね。
羽繕いしてから飛び上がって電柱の天辺に移動しました。
すぐ横の電線にもう一羽止まっています。
今度の羽繕いでは足で肩の辺りを掻きました。

※ 逆光で撮った映像に自動色調補正処理を施してあります。



2015/09/01

巣から排便するキボシアシナガバチ♂




キボシアシナガバチ巣の定点観察@柳#5



▼前回の記事
威嚇飛翔で巣を防衛するキボシアシナガバチ♀♂

2015年7月中旬

柳(樹種不詳)の枝先に営巣したキボシアシナガバチPolistes nipponensis)のコロニーで、未だ警戒体制が続いています。
興奮の最中、巣盤中央の♂(触角の先がカールしていて顔色が白い)が白っぽい液状の糞を2滴排泄しました。(@0:12)
その直前に育房内の老熟幼虫と栄養交換したように見えました。

次のシーンでも在巣の雄蜂に注目して下さい。
別の幼虫と栄養交換しています。(@0:25〜0:41)
しばらくすると、♂がなぜか短い扇風行動を始めました。(@1:38〜1:41)
その後は身繕いに余念がありません。
そして♂は脱糞しました。(@2:27)
巣を汚さないように配慮して、確実に巣の外に向かって排便しているようです。
幼虫と栄養交換した後は必ず脱糞するのでしょうか?
アシナガバチの糞は、同じく肉食であるクモの糞と似ていますね。
白いのは尿酸を含むせいです。

その間、巣盤中央に陣取る創設女王らしき♀が、周囲の個体に対してヒステリックに当たり散らしています。
その優位行動については記事を改めて書きます。

つづく→#6:巣からの排水行動





ホオジロ♂(野鳥)の捕食と警戒声♪



2015年7月中旬

河畔林の枯れ枝にホオジロ♂(Emberiza cioides)が止まっています。
冒頭で何か虫を捕食していたのですが、すぐに飲み込んでしまいました。
間近で撮っているのになぜか逃げず、鳴き続けています。
警戒の地鳴きですかね?
食後は嘴を足元の枝に擦り付けます。
冠羽を逆立てたり寝かせたり自在に動かせるようです。(いわゆる鳥肌が立つ現象?)
鳴きながらホッピングで上へ上へ移動し、茂みの陰に隠れました。

鳴き声を声紋解析してみる?
カメラ内蔵のマイクによる録音です。




2015/08/31

威嚇飛翔で巣を防衛するキボシアシナガバチ♀♂



キボシアシナガバチ巣の定点観察@柳#4

▼前回の記事
夜のキボシアシナガバチは襲ってこない?【暗視映像】

2015年7月中旬

柳(樹種不詳)の枝先に営巣したキボシアシナガバチPolistes nipponensis)の巣を9日ぶりに見に行きました。
巣に近づくと蜂がかなり警戒して何匹も飛び立ち、こちらに向かってきました。
慌てて巣から少し離れました。
コロニーが落ち着いたところでよく見ると、♂が2匹羽化していました。
early males(早期羽化雄)と呼ばれる、アシナガバチ類でときどき見られる現象のようです。
通常であれば、アシナガバチの♂が羽化するのは新女王の羽化と同じくコロニーの末期です。

在巣の個体も翅を広げていまにも飛びそうな威嚇姿勢を取っています。
帰巣する個体に対しても警戒して翅を震わせています。
帰巣した蜂も育房を点検して回り、警戒しています。

つづく→#5:在巣♂の脱糞


【参考文献】
山崎和久, and 小野正人. "A315 キアシナガバチ Polistes rothneyi iwatai における早期羽化オスの発見とその交尾能力の確認 (一般講演)." 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨 49 (2005): 63.(PDFあり


【追記】
小林朋道『先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学』によれば、
ハチが翅のふるわせを威嚇行動に使うのは、動物行動学では合理的に説明できる。動物行動学では「意図的動作」と呼ぶが、動物はある行動を起こす前に、まずはその行動の始まりの一部分を繰り返し見せることがある。(中略)セグロアシナガバチの場合、攻撃のときは、飛び立ち、相手の表面に着地し、針で刺す。この攻撃行動の「意図的動作」は、飛び立つときの”翅のふるわせ”ということになる。”腹部を向けて揺らし、針を出し入れする”という動作ははじめて見たが、それも「意図的動作」の一種なのかもしれない。 (p83より引用)
アシナガバチ関連の専門書を読んでも書いていなかったことなので、勉強になりました。



ゴマダラカミキリの擬死落下



2015年7月中旬

水辺に近い茂みでゴマダラカミキリAnoplophora malasiaca)がハコヤナギ(=ヤマナラシ)と思しき幼木の天辺に乗っていました。
本種のホストにヤナギ類が含まれるらしいのですが、枝葉に口を付けていません。
成虫の後食シーンをいつか撮りたいものです。

背側から回り込んで顔正面を撮ろうとしたら危険を察したようで、自ら足を離してポロリと擬死落下しました。
下の方の別株の葉にしがみ付いていました。
慎重にカメラを近づけたら、見下ろすアングルで顔を撮っても今度は逃げずに撮らせてくれました。

幼木の樹種はハコヤナギ(ヤマナラシ)だと思うのですが、あまり自信がありません。
ポプラ?
葉柄が赤っぽいです。


▼関連記事ゴマダラカミキリの擬死落下【ハイスピード動画】


2015/08/30

タケニグサの花で争うクロマルハナバチ♀



2015年7月中旬

堤防に背高く生えたタケニグサの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカーが訪花していました。
土手の下から見上げると逆光で見づらいのですが、独特の羽音で気づきました。
2匹がなぜか空中戦で軽い小競り合いを繰り広げていたのが初めて見る光景で、興味深く思いました。
異なるコロニー出身の蜂が蜜源の縄張り争いをしているのでしょうか?

※ 逆光のため、動画編集時に自動色調補正を施してあります。

後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けています。
タケニグサの花は未だ咲きかけで、花粉の量も少なさそうです。
後半は振動集粉の様子を撮りました。
(今回は少し離れた位置から撮影したので、振動集粉の音は録音されていません。)
これはもうすっかりお馴染みになった光景です。

▼関連記事
タケニグサの花で振動集粉するクロマルハナバチ♀
クロマルハナバチの振動受粉@タケニグサ



ウスカワマイマイの渡河



2015年7月中旬

住宅地で雨上がりの路地をカタツムリが横断していました。
梅雨の風物詩ですね。
微速度撮影しなくても意外に速いです。
民家の敷地から細い車道を渡り、水田の用水路へ向かっています。
舗装路が雨水で濡れているため、カタツムリが這った後の粘液は見えません。
側面から撮ると、腹足が波打っている様子がよく分かります。
わだちにできた浅い水溜りにも躊躇せずに侵入して前進を続けたので少し驚きました。
タイトルの「渡河」は大袈裟ですけど、水深はどれぐらい深くても大丈夫なのでしょう?
陸貝も呼吸できなければ溺れてしまうはずですよね?
水たまりが深過ぎたら引き返したかな?(浅瀬に沿って前進?)
進化の過程で脊椎動物が両生類として上陸するより前にきっと陸貝が新世界に進出していったのだろう…と壮大な想像をしたりしました。

よく見ると、この蝸牛は殻が割れていますね(ヒビが入っている)。

野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、

(カタツムリの)殻はなにかの衝撃が原因で壊れてしまうことがありますが、そんなときにも少しずつ再生します。成長するだけでなく、壊れたところを修復する昨日も備わっているのです。(p54より引用)


普通種のウスカワマイマイAcusta despecta sieboldianaとコメント欄にてご教示いただきました。

成熟しても殻口が反り返らないのがウスカワマイマイの特徴らしい。



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