2020年7月中旬・午後15:00頃・くもり
川沿いの土手に自生するニセアカシア(別名ハリエンジュ)灌木の小葉の表面でゴイシシジミ(Taraka hamada)が翅をしっかり閉じて止まっていました。
平地でゴイシシジミを見かけたのは初めてだったので、ちょっと嬉しい出会いです。
風揺れに悩まされながらマクロレンズで接写してみました。
餌となるアブラムシが河畔林の下草の笹群落で発生しているはずですが、この後用事があって急いでいた私は、確認できませんでした。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮影。(@0:20〜)
しかし羽ばたきが早過ぎて、スーパースローでも翅表がしっかり見えませんでした。
翅裏は白地に黒の水玉模様ですが、翅表は全体が黒っぽくて地味です。
準備運動無しでも急速発進が可能でした。
2020年7月中旬・午後15:20頃・くもり
河原でヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)がけたたましく鳴きながらノスリ(Buteo japonicus)を追いかけていました。
ヒヨドリによるモビング(擬攻撃)は初見です。
おそらく、どこか近くの樹上にヒヨドリの巣があり、親鳥が天敵の猛禽類を必死に追い払っているのでしょう。
ノスリを追い越す際にヒヨドリはノスリの真下を掠めるように通り過ぎました。
敵の上または背後から攻撃するのが空中戦の定石だと思うので、意外に思いました。
飛び去る猛禽類の翼の下面がちらっと見えてノスリと判明。
ヒヨドリはノスリを深追いせず、河畔林の針葉樹の梢に止まりました。
ここがヒヨドリの縄張りの境界なのでしょう。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
※ 逆光なので動画編集時にコントラストではなく彩度を上げました。
鳴き声が聞こえるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。
2020年7月中旬・午後14:45〜14:55・くもり
堤防に自生するミズキの根際にクロオオアリ(Camponotus japonicus)の巣があり、その近くでアリを襲っているハエトリグモを見つけました。
生きたアリを専門に狩って捕食する憧れのクモ、アオオビハエトリ♀(Siler cupreus)を初めて見つけた私は大興奮です。
早速、マクロレンズで接写してみました。
もし晴れていれば、メタリックな紫の体色がもっと美しく輝くはずです。(ストロボを焚いて写真に撮ればきれいに写ります。)

クロオオアリ♀の右触角を咥えたアオオビハエトリ♀が宙吊りにした獲物をミズキの幹に引っ張り上げていました。
獲物はクモの毒牙に噛まれた後らしく、抵抗するどころか体が麻痺して動けないようです。
しばらくして立ち止まったアオオビハエトリ♀は獲物を抱え込んで裏返し、喉元に噛みつきました。(@0:36〜)
虫の息のアリは脚をピクピクと痙攣させています。
その状態で獲物の運搬を続け、ゴツゴツした樹皮を横にトラバースしました。
クロオオアリの巣口からなるべく離れて落ち着いた場所に獲物を運んでから捕食・吸汁するのでしょう。
突然、右上から別個体のクロオオアリ♀が駆けつけました。(@1:04)
仲間を救出しに来たのかと思いきや、特にアオオビハエトリと争うことはありませんでした。
偶然に近くを通りかかっただけかもしれません。
クロオオアリ同士の喧嘩では腹端から蟻酸を噴射するのに、アオオビハエトリに対してはなぜか使用しませんでした。
▼関連記事(6年前の撮影)
クロオオアリ♀の喧嘩は蟻酸を噴射する
ひょっとすると、アオオビハエトリは体表をアリの匂い成分に化学擬態して警戒心を薄れさせているのかな?
アリ同士は触角を触れ合って敵味方を識別しますが、アオオビハエトリの方がアリよりも動きがはるかに俊敏で視力が良く、アリには一切体を触れさせていません。
新手のアリに対して慌てて向き直った拍子にアオオビハエトリ♀はうっかり獲物を手放してしまいました。
落とした獲物を探してクモはミズキの幹を慎重に下りて行きます。
アオオビハエトリ♀は白い触肢で目の前の樹皮をトントンと叩いて探りながら、常に左右の第一脚を万歳のように同時に振り上げてアリを牽制・威嚇しています。
ミズキ根際の石の上でじっとしていたクロオオアリ♀に歩脚で触れ、アリが向き直ると慌てて飛び退きました。
このアリは先程落とした獲物ではなく、巣口を守る門衛のようです。
ミズキの幹で立ち止まったクモは左第一脚の先を舐めて身繕い。
しかしクロオオアリ♀に追われて幹の上へ退散しました。
再び幹を慎重に下りて行きます。
門衛を警戒しながらミズキ根際の巣口に近づいて行きます。
落とし物を拾いに行くのか、それとも新たな獲物を狩るのか、どちらでしょう?
クロオオアリに跳びついて狩る瞬間を動画に記録したくて粘ったものの、アオオビハエトリ♀は意外に臆病(慎重)で、近づくアリから逃げ回るだけで期待はずれでした。
丸い石の上に素早く跳び下りたアオオビハエトリ♀は、石の上を慎重に徘徊・探索します。(@4:17〜)
しかしクロオオアリ♀が近づくと慌てて逃げ出します。
ミズキの樹皮の根際でクモはワラジムシとすれ違うこともありました。(@4:45)
その度にアオオビハエトリは警戒し、常に逃げ腰です。
再び石の上に飛び降りると、見つけたアリにそっと近づきます。
第一脚でアリに軽く触れて反応を確かめています。
このアリは向き直ったものの動きがひどく鈍いので、落とし物の獲物(瀕死のクロオオアリ♀)なのかな?
こうしてアオオビハエトリ♀は同じことを何度も繰り返しています。
巣口に出入りする多数の元気なアリに邪魔されて、落とした獲物になかなか近づけません。
あるいは獲物の体内で毒がしっかり回って完全に麻痺するのを待っているのかも知れません。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という作戦の狩りも考えられますが、アオオビハエトリは視覚に頼って獲物を狩るので、暗闇の敵陣(樹洞内のクロオオアリの巣)に侵入するのは無謀でしょう。
つづく→後編



2020年7月中旬・午後16:45頃・くもり
川沿いの堤防に咲いたヨウシュヤマゴボウの群落でルリシジミ(Celastrina argiolus)が訪花していました。
この組み合わせは初見。
翅をしっかり閉じたまま吸蜜しています。
翅裏のみでは雌雄♀♂を区別できません。
翅表の色が見えれば性別判定できるのですが、わずかに開いた翅の隙間からも分かりませんでした。
飛び立つ瞬間をスロー再生しても、羽ばたきが速すぎて翅表がしっかり見えません。
ハイスピード動画に切り替えて飛び立ちの瞬間を撮るべきでしたね。
ルリシジミは、すぐ横に生えたタケニグサの花には見向きもしませんでした。
実はもう1頭の別個体が飛来し、小競り合いのような乱舞になったのですが、動画には上手く記録できませんでした。(誤認求愛?)
※ 動画編集ミスで無音になってしまいました。
2020年7月中旬・午後15:50頃・くもり
河原の堤防に繁茂するヤブガラシの群落でクロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
吸蜜する蜂をよく見ると、後脚の花粉籠に黄土色の花粉団子を付けています。
この組み合わせは初見なのに、残念ながらすぐに逃げられてしまいました。
短い映像を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
▼関連記事(7年前の撮影)
ノブドウに訪花吸蜜するクロマルハナバチ♀
2020年7月中旬・午後17:30頃・くもり
▼前回の記事
コンクリート護岸で翼を虫干しする遊び盛りのハシブトガラス幼鳥兄弟(野鳥)
ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)幼鳥2羽の兄弟姉妹はコンクリートブロック護岸の緩斜面を下りて、川の岸辺で採食を始めました。
浅い水たまりの横で常に2羽が仲良く並んで行動しています。
親鳥が巣外給餌にやって来るのを待つ間に遊んでいるのでしょう。
何か微小な獲物を奪い合ったりしています。
※ 動画編集時のミスで無音になってしまいました。

2020年7月中旬
川沿いの土手に自生するミズキの根際にクロオオアリ(Camponotus japonicus)の巣がありました。
巣口付近で大型のワーカー♀(兵隊アリ? 門衛?)同士が上下逆向きの体勢で対面し、口移しのキスをしていました。
成虫間の反吐給餌(栄養交換)と呼ばれる行動です。
その後は各々が身繕い(化粧)に余念がありません。
▼関連記事(6年前の撮影)
クロオオアリ♀出会い頭の挨拶
wikipedia:クロオオアリの記述によると、
巣に運び込んだ獲物はそのまま貯蔵食料にするのではなく、食料庫の部屋に運び込んで働きアリが速やかに解体し、肉の部分を甘露と同様に素嚢に収納する。
また、アブラムシの糖分を多く含む排泄物(甘露)や植物の花外蜜腺から得られる蜜はエネルギー源として重要な食物となり、アリと共生する性質を持つ種のコロニーを保護してここから甘露を得て、素嚢に納めて持ち帰る。多くのヤマアリ亜科と同様、素嚢が発達していて液状の食物をこれに入れて持ち帰ることが多く、捕らえた獲物も丸ごとではなく素嚢に体液だけ納めて持ち帰ることも少なくない。
下線部については知りませんでした。
2020年7月中旬・午後14:50頃
民家の庭の花壇に咲いたキクイモモドキの群落で2頭のベニシジミ(Lycaena phlaeas daimio)夏型が訪花していました。
翅を半開きのまま吸蜜しています。
同じ花壇の奥にはハクチョウソウ(=ヤマモモソウ、ガウラ)の白い花も咲いているのに、ベニシジミは好まないようで見向きもしませんでした。
▼関連記事(2年前の撮影)
キクイモモドキの花蜜を吸うベニシジミ夏型

2020年7月中旬・午後14:30〜15:00頃・くもり
民家の庭木ナツメでセグロアシナガバチ(Polistes jokahamae)のワーカー♀が訪花していました。
飛び回り吸蜜する様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
梅雨時の虫撮りはとにかく悪条件でストレスが溜まります。
曇り空で風揺れが激しく、しっかり合焦する前にハチが飛び去ってしまうのです。
4日間隔で2回観察に行ってようやく撮りためた短い映像をまとめました。
キアシナガバチ♀もちらっと見かけたのですが、撮り損ねました。
2020年7月中旬・午後15:55頃・くもり
川の堤防に蔓延るヤブガラシの群落で黒い狩蜂が忙しなく訪花していました。
てっきり見慣れたコクロアナバチかと思い、240-fpsのハイスピード動画しか撮りませんでした。
スローモーションの映像をよく見直してみると、後脚だけ赤いことに気づきました。
アルマンアナバチ♂(Isodontia harmandi)と出会えたのは初めてです。
吸蜜を済ませると羽ばたいて飛び去りました。
その間、ベニシジミ(Lycaena phlaeas daimio)も近くのヤブガラシの葉に止まって翅を休ませていました。
今回の個体は顔の頭楯が白いので、おそらく雄蜂♂ではないかと思います。(もし間違っていたらご指摘願います。)
ネット検索でアルマンアナバチ♀の顔が黒いことは標本写真で確認したのですが、雄蜂♂の顔写真が探しても見当たりません。
蝶やトンボの図鑑と異なり、ハチの図鑑は雌雄♀♂の見分け方が逐一記述されていないことが多く、その点がいつも不満です。
2020年7月中旬・午後14:45頃
河原の土手に自生するミズキの木で得体の知れない奇妙な虫を見つけました。
ダンゴムシやワラジムシを細長く伸ばしたような謎の黒い虫が2匹、ミズキの幹を横または下に向かってせかせかと歩いていたのです。
よく見ると、多足類ではなく6本脚が胸部から横に伸びているようです。(見えないだけで、短い腹脚もあるのかもしれません。)
何か甲虫類の幼虫だと思うものの、私にはさっぱり分かりません。
私の知識ではオオヒラタシデムシの幼虫が一番近いです。
マイマイカブリの幼虫か?と思ったりもしましたが、口器の形状が肉食性ではない気がします。
謎の虫を採寸できていませんが、ミズキの幹ですれ違うクロオオアリ(Camponotus japonicus)のワーカー♀やエサキモンキツノカメムシ(Sastragala esakii)の5齢?幼虫と比べると大体の大きさが分かると思います。
アリは謎の甲虫幼虫とニアミスしても、獲物として狩ろうとはしませんでした。
採集して腹面や口器などをじっくり接写したかったのですけど、根際まで下りたところで見失ってしまいました。
触れたり捕獲したりしたらダンゴムシのように丸まった防御姿勢になるのかも、試してみたいところです。
実は撮影中にもっと気になる別の虫を発見したので、そちらに気を取られてしまったのです。(映像公開予定)
ちなみに、ミズキの根際には多数の穴や凸凹があり、多数のダンゴムシやワラジムシが群がっていました。
この立木は未だ朽ちてはおらず枝には緑の葉を茂らせていますが、色んな虫が少しずつ材を食い荒らしているようです。
根際にはクロオオアリの巣穴もありました。
いつもお世話になっている幼虫図鑑サイトの「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」に投稿して問い合わせたところ、akaitoriさんより「ハムシダマシ科かも知れません」とご教示いただきました。
ハムシダマシ科の仲間は成虫もあまり馴染みがありません。
あまりに地味過ぎて、見かけても無意識にスルーしてしまっているのでしょう。
図鑑『くらべてわかる甲虫1062種』p89によれば、ハムシダマシ科の幼虫は朽木の中などで成長するのだとか。
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エサキモンキツノカメムシ幼虫とすれ違う |