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2019/01/13

家庭菜園を鳥害から守る鳥追いカイト(タカ型の凧)



2018年9月下旬

郊外の川沿いに作られた家庭菜園(畑)が野鳥による食害に悩まされているようで、鷹に似せた鳥追いカイトが設置されていました。
地面に長いポールを突き立て、その先に糸で凧を繋いでいます。
風が吹くと凧が右に左に動いて鷹が飛んでいるように見える仕掛けです。
今年は田んぼでよく見かけましたが、畑に設定されているのは初めて見ました。
奥は河畔林に囲まれています。

猛禽類を恐れる野鳥に対して今のところ効果がある(慣れが生じていない)のか、周囲に野鳥の姿はありませんでした。
無風で凧が動かない日にも鳥よけ効果があるのか、引き続き見て回りたいと思います。
あとは凧やポール、糸の耐久性が問題になりそうです。

▼関連記事
鳥追いカイトは田んぼのスズメ対策に有効か?(野鳥)
水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


鳥追いカイト:鷹(野鳥)@家庭菜園

2018/12/28

収穫前の田んぼからスズメ(野鳥)を追い払う爆音機♪



2018年9月下旬

秋の田んぼで稲穂が実ると、スズメPasser montanus)など種子食性の野鳥による食害を防ぐために様々な対策を施すようになります。

ここは山麓の田んぼで、黄金色の稲穂の上をトンボが飛び交っています。
手前はソバ畑になっています。

鳥害対策の一つとして、田んぼを囲む畦道に支柱を立て、その間に「防鳥テープ赤銀」が張り巡らされていました。
風が吹くと両面テープの捻れ部分が自然に動き、メタリックの赤と銀色がチラチラと反射するようになっています。
(両面テープと言っても粘着力があるのではなくて、裏表が二色に塗り分けられているのです。)
このギラツキを鳥は嫌うという触れ込みで、昔から使われています。
たまたま撮影時は夕方で風が止んでいて、テープが静止しているため、残念ながら映像では特徴が伝わりません。
無風の際も防鳥効果が期待できるのかな?

もう一つの鳥害対策として、田んぼの奥にスズメ追い(スズメ脅し)の爆音機が設置されていました。
ドカーン!という凄まじい爆裂音が山里にこだまします。
プロパンガスをタイマーで定期的に爆発させる仕組みなのだそうです。
どうやら約5分間隔で爆裂しているようなので、次の爆発を待ち構えて動画に記録してみました。
この日は三脚を持参しておらず手持ちカメラで撮ったために、爆音が鳴った瞬間、心の準備をしていても反射的にビクッとしてしまいます。

爆発の瞬間をスロー再生すると、爆裂音の直前に青い炎が赤いパイプから少し出ていました。

「鳥獣害研究室-鳥害対策 - 農研機構」のホームページによると、

爆音器 農地と住居が混在している日本ではプロパンガスによる比較的小音量のものが用いられているが、それでも騒音で苦情が来る。鳥の慣れも早い。

同所で公開されたPDF「鳥種別生態と防除の概要:スズメ」を読んでみると、

爆音器も一時的には効果はあっても、日数がたつと慣れてきてしまい、爆音器周辺の小範囲に限られるようになる。爆音器と視覚刺激を組み合わせた複合型爆音器も市販されているがやはり慣れを生じる。これらの機器には騒音の問題をに気を付けなくてはならず、その対策として夜間停止していた場合には早朝に被害にあいやすくなる。


藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

爆音器などの効果は、鳥が銃猟を知っているかどうかで大きく違ってきます。(p178-179より引用)

こうした鳥害対策が功を奏したのか分かりませんが、この田んぼにスズメの群れは一羽も来ていませんでした。
薄暗くなってきた夕方に撮ったので、そもそもスズメの採餌活動が終わった後のような気もします。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


スズメ(野鳥)追い:爆音機@田んぼ
防鳥テープ赤銀(野鳥)@田んぼ
防鳥テープ赤銀(野鳥)@田んぼ

2018/12/17

鳥追いカイトは田んぼのスズメ対策に有効か?(野鳥)



2018年9月上旬
▼前回の記事(8月中旬)
水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)


実りの秋になり、黄金色の稲穂が広がる田園地帯のあちこちに設置された鳥追いカイト(凧)の数が増えていました。
収穫前の鳥による米の食害を防ぎたいのでしょう。
プリントされたデザイン(擬態)がタカとフクロウの2種類ありました。



幾つもの凧を田んぼに設置すると決して安い買い物ではないので、気になるのはその有効性です。
鳥追いカイトの防除効果を厳密に試験する際には、圃場に処理区と無処理区(無防除区)とを設ける必要があります。

カイトを上げていない区画で田んぼに隣接する民家の辺りにスズメPasser montanus)が群がっていました。
チュンチュン♪と賑やかに鳴き交わしながら、庭木のカエデの木と田んぼの端を往復するように飛び回っています。
民家のトタン屋根にも群れの一部が止まっています。
いざというときにすぐ避難できる場所を確保しつつ、稲穂を食べに来たのでしょう。

田んぼには稲穂以外にもイヌビエがたくさん生えています。
スズメがイヌビエの実も食べるのかどうか、証拠映像を未だ撮れていません。(イネの実の方が好み?)

さて次に、私がその場で向きを変えると、広大な田んぼの反対側の区画に設置された鳥追いカイトが幾つも見えました。
長い釣り竿を立て、その先から糸でカイトが吊り下げられています。
風が吹くと煽られたカイトが右に左に動き回ります。
ヒトに擬態した昔ながらの案山子に比べれば、激しい動きがある分だけ鳥追い効果がありそうです。

カイトの下面にはフクロウやタカと言ったスズメの天敵となる猛禽類の絵柄がプリントされていました。
しかしカイトの上面は意外にも白紙でした。(日焼けして退色したのではなさそうです。)
上空から田んぼに飛来する野鳥に対して脅かすには、コストをけちらずにカイトの上面にもリアルなプリントをした方が良いと思うのですが…。
それでも鳥追いカイトの周囲にはスズメの群れは見当たりませんでした。

この映像だけ見ると、まるで商品CMのように、確かに鳥追いカイトにスズメを追い払う効果がありそうに思えます。
しかし、この比較はフェアではありません。
鳥追いカイトが設置された区画は広大な田んぼの中央部にあり、近くにスズメの避難場所がありません。
スズメの性質からすると、元々あまり来ない(食害が少ない)区画である可能性があるのです。
民家に近い田んぼの端にもカイトを設置して、スズメが来なくなることを実証しなければいけません。

おそらく田んぼの区画によって違う農家が管理・栽培しているのでしょう。

藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

(イネの)登熟期の被害はスズメ、ハト、カルガモによるものですが、スズメによるものがもっとも大きく、重要です。(中略)広く開けた水田地帯では、それほど大きな被害を受けることは少ないようです。しかし、人家の近くや電線の下、樹木の近くなどの水田では大きな被害が発生します。これらの場所では、スズメの逃げ場が確保されているからだと思われます。(p190より引用)

スズメの被害は、登熟した穀類の種子ばかりでなく、田んぼや畑に播種された種子にも発生します。
登熟:穀物や豆類の種子が次第に発育・肥大して、炭水化物や蛋白質が集積されること。(p60より引用)


もう一つの問題として、スズメの群れが稲穂の茂みに完全に隠れてしまうと、私にも見つけられなくなり、動画が撮れないのは当然です。
もしかすると、鳥追いカイトに慣れてしまったスズメの群れが、カイトのお膝元でもこっそり稲穂を食害しているかもしれません。
無人の監視カメラを田んぼのあちこちに設置したら面白そうです。
鳥追いカイト自体にGoProのような小型のCCDカメラを付ければ、カイト目線の映像が撮れるでしょう。

毎日、夕方になったら田んぼの凧を回収するのかな?

無風で凧が動かない日は防除効果が無くなるのでしょうか?
逆に台風が来る前には予め凧を取り外しておく必要がありそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

2日に分けて同じ田んぼで撮った映像をまとめました。

2018/12/05

リンゴ園を守る鳥獣害対策グッズ類



2018年9月上旬

山麓の果樹園でリンゴの果実が赤く色づき始めました。
熟して収穫するまでに鳥獣による食害を防ぐため、リンゴ園農家は色々と涙ぐましい工夫をしています。

まず、光るテープが何本も木の枝に結び付けられ、風にたなびいていました。
このテープは両面がメタリックな赤と銀色の2色になっていて、反射光がチラチラする効果があります。 (防鳥テープ赤銀)
これは果樹園以外にもスズメ対策として秋の田んぼによく張り巡らされているのを昔から見かけていました。(映像公開予定)



オレンジ色に黒い縞模様の虎の張りぼてが枝から吊り下げられていました。(防獣タイガー風船)
ときどき山から下りてくる野生ニホンザルの群れへの対策だと思われますが、こんな子供騙しのような案山子が果たして効果あるのか、個人的には甚だ疑問です。
初めは見慣れない物体に不審がるかもしれませんが、人畜無害(まさに張子の虎)だとすぐに見破られ、慣れてしまうでしょう。



フクロウの模型も吊り下げられていました。
大きな目が鏡になっていて、風が吹いて向きが変わると、目が反射してピカピカ光ります。
これだけはネット検索しても見つからず、正式名称が不明です。
確かに鳥を怖がらせる効き目がありそうな気がするのですけど、目が光る角度は限られていますし、今はもう売られていないということは、残念な結果に終わったのでしょう。


矢崎葉子『カラスバトル』を後日読んでいたら、東急ハンズで売られている鳥避けグッズを紹介した中に「タカくん」という似た商品を見つけました。(本の表紙の右下にも写真が小さく載っています)
「鷹を模した下敷きみたいなもので目の部分がミラーになっている」のだそうです。(p28-29より)


現在は首を振る動きをしたり、もう少しリアルな造形に改良されたフクロウ型の防鳥具が売られています。
私は未だ実際の食害シーンを見たことがないのですけど、リンゴ園を悩ませている害鳥はヒヨドリでしょうか。

鳥害の本を読んで勉強してみると、複数の対策法を組み合わせて使うのが良いとされています。
こうした鳥獣害対策グッズの有効性を実証するために、可能ならばライブカメラやカメラトラップを設置して果樹園を終日監視してみたいものです。



最近では莫大な投資をして果樹園全体をネットやハウスですっぽり覆ってしまい、がっちり食害対策する農家も見かけます。
コストを回収できる利益があり、リンゴの木の光合成と授粉を妨げなければ、これが一番なのかもしれません。

※ 日没前に撮った薄暗い映像を編集時に自動色調補正を施しています。


防鳥テープ赤銀+防獣タイガー風船+フクロウ型鏡@リンゴ園

2018/10/24

水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)



2018年8月中旬

夏の水田に見慣れない物体が出現しました。
フクロウの絵柄をプリントした(擬態)、結構大きな凧(カイト)が朝の風に揺れていました。
長い釣り竿(?)を田んぼに突き刺し、その先に凧を糸で繋いでいます。

これから水田に稲穂が実る季節になると、これを食害するスズメなどが現れます。
害鳥を追い払うために案山子かかしの改良版を農家が試しに設置したのでしょう。
フクロウは猛禽類ですから、小鳥が本能的に怖がると期待した鳥害対策グッズのようです。
風が吹くと凧は自然に動くので、馴れが生じにくい(防鳥効果が持続する)のでしょうか?
ネット通販でも同じ商品や類似商品を見つけました。
私の素人考えでは、もっと高く飛ばした方が広範囲に効果がありそうな気がするのですけど、開発者が実験的に検討した結果この高さが最適なのでしょうか。

商品をたくさん買ってもらいたいから竿や糸を短くしてるのかな?と邪推してしまいます。
この田んぼを高所から見下ろす撮影ポイントがあれば、鳥追い効果の有無をいつか検証してみたいものです。
(ドローンは長時間飛ばせませんし、ドローンの存在自体が「鳥追い」になってしまうでしょう。)

カイトに小型の監視カメラを取り付けて飛ばしたら面白そうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


鳥追いカイト梟(フクロウ:野鳥)@水田
鳥追いカイト梟(フクロウ:野鳥)@水田


【追記】
藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によると、
外国では、凧が鳥を追い払うためによく用いられています。(中略)アドバルーンの下に凧をぶら下げて、畑の上に揚げるという試みもなされています。これは、上空を旋回するワシタカをまねたものと考えることができるかもしれません。(中略)私たちは、ダイズを加害するキジバトに対して凧(ゲイラカイト)の効果を調べたことがあります。その結果は、マネキンよりは劣るものの、相当高い効果が得られました。p150-151より引用)



▼関連記事
鳥追いカイトは田んぼのスズメ対策に有効か?(野鳥)


2018/09/20

棚網に給餌したワラジムシを嫌うクサグモ(蜘蛛)



2018年7月上旬

農道と用水路の間に生えたタケニグサの群落でおそらくクサグモAgelena silvatica)と思われるクモの棚網を見つけました。
棚網の地上からの高さは約85cm。
クモを採集していないので、性別やステージ(幼体か成体か)については真面目に検討していません。

近くの杉の幹で見つけたワラジムシPorcellio scaber)をクサグモの棚網に給餌してみました。
雨の水滴が付いた棚網に生き餌を乗せると、管状住居からクサグモが素早く飛び出して捕獲しました。
このとき獲物に噛み付いたかどうかは不明ですが、糸でラッピングはしませんでした。
ところがこのクサグモは獲物を持ち帰らずすぐに住居へ戻ってしまいました。
ワラジムシを恐れているのか、それとも満腹なのかな?

アングルを変更して住居内のクサグモの顔を正面から狙うと、恐ろしげな牙が動いていました。
歩脚の先(跗節)を甘噛みしているので、一種の身繕いなのでしょう。
住居の背後で、さきほど給餌したワラジムシが逃げようと棚網を横断しています。
棚網の振動を感知したクサグモが反応し、獲物に向き直ると再び獲物に駆け寄りました。
獲物を噛んだかどうか、今回もよく見えません。(触肢の先で触れただけ?)
またもや獲物をすぐに手放してしまい、その場に残したままクサグモは住居に帰ってしまいました。
難を逃れたワラジムシは棚網を逃げ始めたので、どうやら体を麻痺させる毒液を注入されていないようです。
必死で逃げるワラジムシが棚網の端のタケニグサの葉に到達し、一息つきました。
虎口を逃れたワラジムシはその後、網から地面に落ちて逃げて行きました。(無事に生還!)

一方、トンネル状の住居に戻ったクサグモは何か食べ残しを食べ始めました。
体外消化された獲物は黒い物体と化していて、同定不能です。

今回どうしてクサグモはワラジムシを捕食しなかったのか、とても気になります。
幾つか思いついた仮説を検討してみます。

(1)棚網の振動で反射的に反応したものの、たまたまこのときは満腹状態だったのでしょうか?
隠れ家に戻って食餌を再開しましたし、後で別の獲物(昆虫)を棚網に給餌したら捕食しました。(映像公開予定)
したがって、この可能性は否定できます。

(2)天敵(捕食者)に襲われたワラジムシは何か忌避物質を出すのでしょうか? 
そんな話は聞いたことがありませんが、もし本当なら面白いですね。
親戚のダンゴムシをもしクサグモに給餌したらどうなるでしょうか?

ダンゴムシのように体を丸めて自衛できないワラジムシが長い進化を経て生き残ってこれたのは、何か秘密があるはずです。

(3)ワラジムシはクモ毒に対して免疫があるのでしょうか?

以前、飼育下で別種の徘徊性クモにワラジムシを給餌したら問題なく捕食したので、仮説(2)(3)の可能性も低いと思います。

▼関連記事
ワラジムシを捕食するエビチャコモリグモ♀



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


このクサグモは食欲が無いのかどうか、別の獲物を与えてみましょう。


つづく→クサグモ(蜘蛛)の棚網から脱出するセマダラコガネ黒色型


2018/02/17

ツクネグモ(蜘蛛)の卵嚢



2016年6月上旬

峠道の道端に繁茂する雑草の葉先に奇妙な物体を見つけました。
虫の卵や繭だと思うのですが、今まで見たことがありません。
褐色で球に近い紡錘形の構造体が一つ、葉先から長い糸のような柄で吊るされています。

この細くて長い柄は、アリなどに捕食されないようにするための工夫なのでしょう。

(1)ウドンゲの花?
私がまず思いついたのは、「優曇華の花」と呼ばれるクサカゲロウの仲間の卵です。
孵化した幼虫が捕食するアブラムシの近くに卵を生むはずです。
確かにこの植物の茎には、黒いアブラムシ(種名不詳)のコロニーが形成されていました。
ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が随伴しています。
しかし、もしウドンゲの花ならば、もっと白っぽくて複数の卵が産み付けられるのでは?
クサカゲロウの仲間は幼虫からしか飼育したことがなくて、卵の実物は未見です。



(2)昆虫の繭?
『繭ハンドブック』を一通り眺めても、これと似た繭は載っていませんでした。



 (3)ヤマトカナエグモChorizopes nipponicus)の卵嚢
後日、新海栄一、緒方 清人『クモ (田んぼの生きものたち)』という本をたまたま読んでいたら、「メスグモが守らないクモの卵のう」の一例としてp39に掲載された写真がこれと似ているような気がしました。

針葉樹の葉の先に吊られたヤマトカナエグモの卵のう


私の知らないクモなので、いつもお世話になっている『クモ生理生態事典 2016』を参照すると、卵嚢に関して次のように記されていました。

・10cmほどの糸でスギの枝からつりさげられた茶褐色の卵のうがよく目につく
・ 7月に卵のうを作る〔山川・熊田73〕. 8月頃,山地の樹枝に10cm位の糸で吊り下げられた褐色の卵のう(長径5mm,短径3mm)を見掛ける〔中平AT23/24〕.
・ 三重県上野市にて1962年9月16日に採取した卵のうからヒメバチ科の一種 Phobetes sp. が2個体羽化, 他にタマゴバチの一種20個体羽化




YouTubeでは、nekonomesouさんが「ヤマトカナエグモの卵のう」と題した動画を公開なさっていました。
常緑広葉樹の葉先から2個の卵嚢が揺れていました。

インターネット検索すると、かぜくささんのホームページ「私の回り道」内で「ヤマトカナエグモの卵嚢」の生態写真が多数掲載されていました。
クモの卵嚢写真の見事なコレクションですね。

ここまで予習した上で、私のケースを検討してみましょう。

問題となるのは、6月上旬の北国(東北地方)でクモの新しい卵嚢が見られるはずがないのでは?という疑問です。
常緑樹の葉先なら前年の古い卵嚢が残っている可能性もありますが、この道端の雑草は雪が溶け春になってから生えてきたものです。
現場は山地の林縁です。
ヤマトカナエグモ♀が樹木ではなく下草の葉先に卵嚢を作ることもあるのかな?


この謎の物体を採集・飼育して正体を明らかにするべきだったと強く後悔しています。
少なくとも、しっかり採寸すべきでしたね。
定点観察するつもりで後日に現場を再訪すると、道端の雑草が根元からきれいさっぱり草刈りされていて大ショック!(唖然、無念)
謎の卵?も一緒に失われてしまいました。
気になる雑草の名前も、花が咲く前だったので、分からずじまいでした。(イネ科ではない)

何かご存知の方はぜひ教えてください。



【追記】
YouTubeのコメント欄にて、海外の方より「Theridiosoma sp.の卵嚢である可能性は?」との示唆を頂きました。
カラカラグモ類を今まで見たことがなく知識もない私は、何と返答したら良いものやら困ってしまいました。
そこで、いつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」にて問い合わせたところ、きどばんさんより以下の回答を頂きました。
> ヤマトカナエグモの卵嚢?> 6月上旬の北国(東北地方)でクモの新しい卵嚢が見られるはずがないのでは?
「柄」が長いのでそのように思われている方もおられるかもしれませんが形状が異なります。私の添付画像とサイズ的に相違がなければツクネグモPhoroncidia pilula)の卵のうでしょう。東京で5~6月に普通に見られるので山形県6月上旬というのは何の問題もないと思います。昨年クモ屋の集まりで何気なく紹介したところ、何十年もクモの研究をしている先生方に「知らなかった」と言われびっくりしました。調べてみると確かにツクネグモの卵のうについて書かれた文献は見当たらず、ネット上に画像も見つかりませんでした。知っているのはごく一部のクモ屋さんだけかもしれません。
> 海外の方より「Theridiosoma sp.の卵嚢ではないか?」との示唆を頂いた
海外ではどうなのか知りませんが、日本で見られるTheridiosoma sp.の卵嚢はすべて特徴的な形状で、その「柄」は投稿画像のように長くはありません。
「ヤマトカナエグモ 卵のう」で検索したら画像がありました(笑)
ここの ↓ 下から2番目とか、vittataさんのブログにも・・・

2018/02/12

雨上がりの虹



2017年8月下旬・午後17:15

夏の夕立が降った後、きれいな虹が出ました。
夕方の西日を背にして東の空に大きな弧を描いています。
久しぶりに見た虹はとても大きく見えたのですが、虹の弧の大きさはどれも同じなんでしたっけ?(うろ覚え)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2017/11/12

オオヒラタシデムシに便乗するダニ



2016年10月中旬

郊外の工場地帯でオオヒラタシデムシNecrophila japonica)を発見。
歩道をなぜか後退していました。
よくみると、胸背と鞘翅に赤いダニ(種名不詳)が何匹も寄生しています。

採寸代わりに直径2cmの一円玉を並べて置いてみました。
オオヒラタシデムシは立ち止まったまま後脚で腹部を掻いています。
昆虫にもダニに集られて「痒い」という感覚があるのでしょうか?

直接触れないように硬貨を使ってシデムシを仰向けに裏返してみました。
すると胸部の裏面にも大量のダニが付着していました。
シデムシの性別の見分け方を知らないのですけど、腹端が細長いのは♂の交尾器なのかそれとも♀の産卵管なのかな?
必死で暴れるものの、舗装路では足先が上手くひっかからず起き上がれないようです。
いつまで経っても自力では起き上がれないので、最後は手助けしてやりました。
道端の草むら(落ち葉)へ早足で逃げて行きました。

見事な精密画でヨツボシモンシデムシの生態を丹念に描いた本、舘野鴻『しでむし』を読むと、寄生ダニのことが書いてありました。
オオヒラタシデムシにつくダニはまた違う種類なのかもしれませんが、似たような生態なのでしょうか。

シデムシの成虫や幼虫の体には、必ずといっていいほどオレンジ色のダニがくっついています。このダニは、シデムシの体液を吸っているわけではなく、シデムシをタクシーのような移動手段として利用しているのです。ダニの狙いは死体。かれらもここで繁殖します。とても足が速く、シデムシが死体にたどりつくと、さっさと下車します。
生まれたダニの子どもたちは成虫だけでなく、巣をはなれる終齢幼虫にものっかっていきます。そのままさなぎのへやへも同行、新しく羽化したシデムシの成虫は、幼なじみのダニとまた旅をはじめます。 (p35より引用)


私も冒頭でこれを「寄生」ダニと書いてしまったのですが、それは間違いで片利共生の一例の「便乗」かもしれません。

片利共生
[英commensalism 仏commensalisme 独Kommensalismus, Karpose 露комменсализм]
種間相互関係の一形態で,それによって共生者の片方の適応度は増すが,他方の適応度は変わらない状態.ふつう前者をcommensal,guest,あるいはsymbiont,後者をhostとよぶ.(中略)相手の体に付着して移動のための利益を得ているような関係を運搬共生(phoresy)とよぶこともある. (『岩波生物学辞典 第4版』より引用)


後で思うと、折角の機会なのでマクロレンズでダニをしっかり接写すれば良かったですね。


2017/11/05

ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂は飛べなくなる?



2016年10月上旬


▼前回の記事
ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂にブドウの果実を与えてみた

スズメバチネジレバネXenos moutoni)に寄生されたキイロスズメバチ♂(Vespa simillima xanthoptera)♂にブドウの実を給餌した後に透明プラスチック容器(苺パックを再利用)に入れると、蓋が無いのにいつまでたっても全然飛び立ちません。
ウロウロと容器内を徘徊するだけです。
脚力も弱っているようで、苺パックの壁面をよじ登れないでいます。

蜂は静止していても忙しなく腹式呼吸しています。
腹節の隙間から覗いて見えるネジレバネをようやくしっかり接写することができました。

キイロスズメバチ♂の運動能力に関しては、山中で見つけた時からずっと飛べないままで、飼育していると次第に歩行までも覚束なくなりました。
給餌して満腹になっても飛べないままなので、飢えて弱っていたのではなくて、やはりネジレバネに寄生されたことによる神経症状なのでしょうか。(寄主の行動操作?!)
それとも単純に、いくら餌を摂取しても寄生虫に栄養が横取りされてしまうのかな?


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


そのまま飼い続けたところ、この3日後にキイロスズメバチ♂は死亡しました。(採集してから4日後)
以下は標本の写真。


寄主の死後、このアングルからはネジレバネが見えなくなった。

2017/11/04

ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂にブドウの果実を与えてみた



2016年10月上旬

▼前回の記事
ネジレバネに寄生され飛べないキイロスズメバチ♂

スズメバチネジレバネXenos moutoni)に寄生されたキイロスズメバチ♂(Vespa simillima xanthoptera)♂を山中で採集してきて、しばらく飼ってみることにしました。

苺パックを被せた中で、まずは蜂蜜を一滴与えてみたのですが、雄蜂は逃げ出そうとするのに必死で蜂蜜に気づきません。
蜂を採集した翌日、次は甘いブドウを与えてみました。(映像はここから)
食用シャインマスカットの実の皮を剥いてやり、ペットボトルの蓋を皿代わりに給餌してやりました。
すると今度は、喜んで甘い汁を舐め始めました。
果汁で汚れた体をときどき身繕いしています。



小野正人『スズメバチの科学』によると、
(スズメバチネジレバネの)最大の特徴として、成虫において雄と雌の形態がまったく異なる点があげられる。(中略)♀の体の大部分はスズメバチの膨腹部内に隠れ、体節の間より生殖器が顔をのぞかせている姿は不気味である。♀は♂を誘引する性フェロモンを分泌しているとされ、羽化後わずかしか生きられない♂が効率よく配偶者にたどり着けるシステムが進化している。ネジレバネの寄生を受けた個体は、働き蜂であれば労働をまったくしなくなってしまい、新女王蜂と雄蜂では生殖能力が失われるとされている。ただし、寄生を受けた新女王蜂に対して未寄生の雄蜂が交尾行動を起こすので、性フェロモンの生成はなされているとみなされる。(p136-137より引用)




※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂は飛べなくなる?



2017/11/03

ネジレバネに寄生され飛べないキイロスズメバチ♂



2016年9月下旬

里山の中腹の草むらでキイロスズメバチ♂(Vespa simillima xanthoptera)を見つけました。
触角が長いので雄蜂です。
野菊の花に登ったものの吸蜜せずに、隣接するチカラシバ?の葉を登り始めました。
そのままチカラシバの葉にしがみついて静止。
腹部をヒクヒク動かして呼吸しています。
なぜか飛べないようで、長靴の先で茂みを蹴っても飛び立ちません。
ここで腹部の異常に気づきました。
隣り合う腹節の間に不自然な隙間があり、そこからスズメバチネジレバネXenos moutoni)の頭が覗いています。

寄生されたキイロスズメバチの雄蜂はこのまま弱って息絶えるのでしょうか?
飛べなくなったのは、ひょっとしてネジレバネが寄主を行動操作しているのかな?


小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』によると、

♂はともかく、♀のネジレバネは寄主体内で死ぬまで過ごすため、途中で寄主を殺してしまうようなことはありません。それどころか、♀のネジレバネに寄生された昆虫は、しばしば通常よりも著しく長生きすることが知られています。ネジレバネにとって寄主の死は自身の死と同義であるため、何らかの方法で寄主の寿命を操作していると考えられています。 (p290-291より引用)


撮影後に生け捕りにして持ち帰りました。
雄蜂は毒針を持たないので、刺される心配はまったくありません。

つづく→ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂にブドウの果実を与えてみた





【追記】
鈴木知之『さなぎ(見ながら学習・調べてなっとく)』によると、
2013年にスズメバチネジレバネは2種に分けられました。新種のXenos oxyodontesは主にコガタスズメバチだけに、従来のX. moutoniはそれ以外のスズメバチ属に広く寄生します。
だからと言って、今回のスズメバチネジレバネがX. moutoniとは決めつけられないようです。
X.moutoniがオオスズメバチを中心にVespa属の複数種のスズメバチを宿主として利用していたのに対し、X.oxyodontesはコガタスズメバチとキイロスズメバチへの特殊化が見られた。コガタスズメバチからはX.oxyodontesの寄生しか確認されなかった。(中瀬悠太2012年研究実績報告書より引用)


2016/10/07

タヌキの溜め糞とオカダンゴムシ♀



2016年7月上旬

堤防の階段の同じ場所にホンドタヌキの溜め糞が年中、残されています。
ときどき通りかかる度に何か面白い虫が来ていないかチェックしています。
この日は雨で溶けて糞の原型をほぼ留めていませんでした。
かなり悪臭を放っています。
古い糞に混じった種子から植物が芽生えていました。(タヌキによる種子散布



オカダンゴムシ♀(Armadillidium vulgare)が一匹、頭を糞に突っ込んでいました。
背中の黄色い斑点が♀の特徴です。
徘徊して最後は糞の凹んだ穴に潜り込みました。

画質が粗いのは夕方でかなり薄暗いためです。
赤外線の暗視カメラは持参していませんでした。

※ この糞塊が本当にタヌキの溜め糞かどうか、実は疑問に思い始めました。
プロは糞を見ただけで判別できるのかもしれませんが、私は未だ自信がありません。
この辺りに生息する野生動物として他にニホンアナグマとハクビシン(†追記参照)も目撃している上に、飼い犬が散歩のついでに排便している可能性もあるからです。
カメラトラップ(トレイルカメラ)を仕掛けて無人の赤外線カメラで溜め糞を監視すればたちどころに解決するはずですけど、機材を買い揃えるまでお預けです。



†【追記】
古谷益朗『なぜハクビシン・アライグマは急にふえたの? (シリーズ鳥獣害を考える―ハクビシン・アライグマ)』によると、
ハクビシンは「ためふん」といって、一定の場所にふんをまとめてする習性があります。ねぐらなどでは、よくこの「ためふん」が見つかります。(p10より引用)



2016/07/31

壁を登って隙間に隠れるヤマトシミ【暗視映像】



2016年6月上旬

晩(午後18:10)に押入れ内の壁をヤマトシミCtenolepisma villosa)がウロウロと徘徊していました。
赤外線の暗視カメラで撮影してみます。
どんどん上に登り、天井付近の隙間に潜り込んで姿を消しました。
体が薄っぺらいので、こんな狭い隙間にも侵入できるのですね。
未採寸、未採集。

▼関連記事
ヤマトシミ♀の食事






2016/02/02

宿主キイロスズメバチ♂から脱出したハリガネムシ



2015年10月中旬

キイロスズメバチ巣の定点観察#7


巣の下で弱々しく徘徊していたキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)♂を生け捕りにして持ち帰りました。

▼前回の記事 
体内寄生されて弱ったキイロスズメバチ♂
毒瓶は使用していませんが、翌日には採集容器内で息絶えていました。
死骸の傍らでハリガネムシの一種が蠢いていて仰天しました!
生きているハリガネムシを見るのはこれが初めてです。
宿主から脱出したハリガネムシ(おそらく成虫)の色は乳白色で、表面は艶があります。
ちなみに円形プラスチック容器の直径は3cm。
ハリガネムシは宿主の体長の何倍あるでしょうか。
やがてハリガネムシはとぐろを巻きました。
活発に動いている方が頭部なのでしょうか。
頭部に目はあるのかな?と思い、マクロレンズで強拡大しても眼点などは見つかりませんでした。
できれば宿主の腹端から脱出する様子を見たかったですね。

キイロスズメバチの営巣地の横には渓流が流れていました。
ハリガネムシの生活史から、次のようなストーリーが考えられます。
ハリガネムシに寄生された中間宿主の水生昆虫や直翅類(コオロギやカマドウマなど)をキイロスズメバチのワーカー♀が狩って、その肉団子を給餌された蜂の子が体内寄生されたまま成虫♂まで育ったと思われます。
スズメバチの成虫の主食は巣内の幼虫から貰う栄養交換液であって、固形の獲物を自らは食べられません。
また、雄蜂は狩りを行いません。
したがって、ハリガネムシに寄生されたのは成虫の時期ではなく、その前からに違いありません。
もし中間宿主内のハリガネムシが成虫だったら肉団子にする際に噛み殺されてしまったはずです。
ハリガネムシの小さな幼虫が運良くキイロスズメバチ♂幼虫に飲み込まれたのでしょう。

キイロスズメバチが蛹になっても変態が完了するまでハリガネムシは身を潜めていて、成虫になってから一気に成長したと思われます。
巣の外に捨てていた多数のキイロスズメバチ幼虫も同じくハリガネムシに体内寄生されていたのかもしれない、と想像しました。
(もちろん、キイロスズメバチ幼虫の大量遺棄事件とハリガネムシの寄生は無関係である可能性もあります。)

もし私が採集しなければ、ハリガネムシに寄生されたキイロスズメバチ♂はヨロヨロと渓流に向かい、入水自殺したでしょうか?
川沿いで待ち構えていれば、そのような宿主操作による異常行動が観察できるのかな?

成虫になったハリガネムシは宿主の脳にある種のタンパク質を注入し、宿主を操作して水に飛び込ませ、宿主の尻から出る。(wikipediaより)

ハリガネムシに寄生された昆虫は生殖能力を失うらしい。
死んだキイロスズメバチ♂を解剖して精巣の状態を調べるべきでしたね。(乾燥標本にしてしまったので無理かも…?)
今回は動揺してしまったので(正直言って確かにグロい!)、次回の宿題です。

ハリガネムシを記念にエタノール液浸標本として保存してみることにしました。
するとハリガネムシはコイル状に丸まりコンパクトになりました。
死んで乾燥すれば針金のようにカチカチに硬くなるらしい。

▼関連記事 
カマドウマ♀に寄生したハリガネムシの最期

エタノール漬けにした後で思ったのですが、脱出したハリガネムシを水槽で飼うことは可能ですかね?
1匹だけでは交尾・産卵行動を見るのは無理ですけど、水中で泳ぐシーンだけでも動画に撮れば良かったですね。(ハリガネムシは皮膚呼吸なのかな?)

『スズメバチの科学』を紐解いてみると、スズメバチの天敵のひとつとしてセンチュウが紹介されていました。
しかし、p65に掲載された写真「キイロスズメバチの体内から現れたセンチュウ」はハリガネムシの間違いではないでしょうか?



陰山大輔『消えるオス:昆虫の性をあやつる微生物の戦略 (DOJIN選書)』p43によると、

ハリガネムシ(線虫とは分類学的には少し異なる類線形動物門に属する寄生虫)も宿主の行動を操作して水辺に向かうことが知られており…(後略)。

つづく→#8:キイロスズメバチ♀による外被の増築と巣口の拡張【6倍速映像】





2016/02/01

体内寄生されて弱ったキイロスズメバチ♂



2015年10月上旬

キイロスズメバチ巣の定点観察#6


巣の下の壁際でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)♂が地面を弱々しく徘徊していました。
日光浴しているようにも見えますが、飛べなかったり歩行がぎこちなく前脚が震えています。
交尾を済ませ寿命が近いのでしょうか?
それとも体内寄生による神経症状なのかな?

撮影後に捕獲し、持ち帰りました。
スズメバチ好きとしては、手元に置いておくための雄蜂の標本を一匹ぐらい欲しかったからです。
そして翌日、私の予想は的中しました!
捨てずに良かった。
この雄蜂を採集したのは「虫の知らせ」だったのかもしれません。
果たして獅子身中の虫の正体は…?

つづく→#7:宿主キイロスズメバチ♂から脱出したハリガネムシ


2015/12/23

夜キアシナガバチの巣に侵入するワラジムシ【暗視映像】



2015年9月中旬・午前3:10

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#10


深夜にキアシナガバチPolistes rothneyi)の巣を訪れ、いつものように赤外線の暗視カメラで撮り始めました。
巣上で寝ている蜂の数は激減して♀2匹のみになっていました。
巣盤の幹に近い側に2匹並んでしがみついています。
新女王かもしれません。

巣盤上を徘徊する怪しい虫を見つけて、一気に緊迫(興奮)しました。
スズメバチ科の巣を訪れる虫、同居する虫に最近興味がある私は、寄生蛾♀が産卵しに来たのか?、それともゴキブリか?と期待しました。

▼関連記事コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】
予想は外れ、侵入者の正体は新たな珍客ワラジムシPorcellio scaber)でした。
好蟻性昆虫は非常に繁栄していますけど、好蜂性生物の研究はどの程度進んでいるのですかね? 

巣盤を下から見上げると、ワラジムシが育房を活発に這い回っています。
並んで寝ていた2匹のキアシナガバチ♀が同時にぴくりと動いたので、ワラジムシが脚先に触れたようです。
不審な侵入者を見つけて積極的に攻撃したり追い払ったりする様子は見られませんでした。

さて、ワラジムシがアシナガバチの巣で何の用があるのでしょうか?
共生関係とは思いませんが、ワラジムシは雑食性ですから蜂の巣を食害していたら面白いですね。
蜂の子(前蛹)が排泄した糞も育房内に残されているはずです。
確証を得るには、飼育下でアシナガバチの古巣を餌として与えてワラジムシが育つかどうか調べればよいでしょう。
しかし、営巣地のトウカエデの幹には普段からワラジムシが多く見つかることに気づきました。
ワラジムシはあまりにも普通種なので眼中になく見過ごしていましたが、7月下旬の昼間にキアシナガバチの巣を撮った写真でトウカエデの枝先にワラジムシが偶然写っていました。



トウカエデの剥がれかけた樹皮の隙間などに潜んで暮らしている、と考えるのが自然でしょう。
蜂の巣に居候しているというよりも、深夜徘徊中にたまたま蜂の巣に迷い込んだのだと思います。

白色LEDを点灯すると、蜂の足元に潜り込もうとしていたワラジムシは眩しい光を嫌って巣盤天井部に隠れてしまいました。
一方、蜂は照明に対して無反応で、触角を動かしただけでした。
寝ている蜂の目の前をワラジムシが横切っても、キアシナガバチ♀は攻撃しません。
別個体のワラジムシが手前の幹を徘徊しています。
巣に侵入したワラジムシをキアシナガバチが襲わないのは、暗闇で目が見えないからというよりも、ワラジムシを敵視していない(無害という認識で眼中にない)印象です。
屁理屈を言えば、ワラジムシが蜂の巣に安全に潜入するために体表を化学擬態している可能性もありますけど、さすがに妄想が過ぎますかね?
明るい昼間にアシナガバチの巣にワラジムシを乗せてみて排除されるかどうか、導入実験が必要です。
定点観察で巣上のワラジムシを見たのはこの一度きりでした。(昼間は一度も気づきませんでした)

つづく→#11:台風の大雨を巣で耐え忍ぶキアシナガバチ♀


2015/11/11

カマドウマ♀に寄生したハリガネムシの最期

2015年8月中旬

山間部の峠道でカマドウマの仲間(種名不詳)の死骸をヒメギスが食べていました。
いそいそと近づいたらヒメギスは逃げてしまいました。(撮り損ね)
車に轢かれたロードキルのようですが、死骸の横にハリガネムシが干からびて死んでいました。
本で読んだり噂ではかねがね聞いていましたが、憧れのハリガネムシを実際に見るのはこれが初めてでした。
これほど長いハリガネムシがカマドウマの体内に寄生していたとは驚きです。
寄主のカマドウマは産卵管がある♀でした。
カマドウマ死骸のほとんどは、ヒメギスなど屍肉掃除屋(scavenger)に食い荒らされていました。

※ 今日は珍しく動画ネタはお休みで、写真のみです。

【参考リンク】
カマドウマの心を操る寄生虫ハリガネムシの謎に迫る
森と川をつなぐ細い糸:寄生者による宿主操作が生態系間相互作用を駆動する



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