2024年6月上旬・午後14:10頃・晴れ
山中にあるモリアオガエル♀♂(Rhacophorus arboreus)の繁殖池で、岸辺のマユミの枝葉にいくつも産み付けられた泡巣を調べていると、その一つに春型のヤマトシリアゲ♀♂(Panorpa japonica)が何匹も集まっていました。
腹端の形状に注目すると、ヤマトシリアゲは♀♂両方来ていることが分かります。
モリアオガエルの泡巣の表面はすでに乾いていて、ヤマトシリアゲが自由に歩き回ることが出来ます。
ヤマトシリアゲは細長い口吻を泡巣に突き刺しているので、一見すると吸汁しているようです。
しかしシリアゲムシ成虫の口器は咀嚼のための構造ですから、単に水分摂取しているのではなくて、泡巣の内部に産み付けられたモリアオガエルの受精卵を捕食しているのでしょう。(食卵)
カエルの卵は捕食者に対して無防備です。
モリアオガエルは水中の捕食者を避けるために樹上に泡巣を作ってそこに産卵するように進化したのに、樹上にはまた別の捕食者が進化してきたのです。
「モリアオガエルの卵を食べるシリアゲムシ」と題したH72031610さんの動画を2012年に視聴して以来、私も自分の目で観察したいと思い、ずっと探し続けていたので、ようやく念願が叶いました。
ヤマトシリアゲ♂の反り返った腹部の先端にはハサミ状の把握器があり、開いた状態でした。
泡巣の右端には、腹端が先細りに尖っているヤマトシリアゲ♀が来ていました。
側面から見ると、♀は細長い口器を泡巣に突き刺して咀嚼しています。
泡巣の表面で翅紋を誇示しているヤマトシリアゲの個体(ディスプレイ行動)や、交尾している♀♂ペアもいました。
ヤマトシリアゲの中には、体表に赤いタカラダニ科の幼虫(種名不詳)が付着した個体がいました。
タカラダニの幼虫はただの便乗(ヒッチハイカー)ではなく、宿主から体液を吸う吸血性の体外寄生虫なのだそうです。
タカラダニに宿主特異性はなく、広範な宿主範囲を持つ広食性(generalist)の寄生者らしい。
近くの木の葉にはキンバエが留まって身繕いしてから飛び去りました。
周囲でモリアオガエルの鳴く声が聞こえます。
この記事を書くために、Perplexity AIとのブレインストーミングが役立ちました。
つづく→交尾行動
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