2013/01/26

イラガ(蛾)幼虫の営繭異常【20倍速映像】



イラガ幼虫の飼育記録:5

2012年10月下旬・室温21℃

イラガMonema flavescens)幼虫の繭作りを微速度撮影してみたものの、異常行動が目立つようになりました。
20倍速の早回し映像でご覧下さい。

初めは葉柄に繭を紡ぎ始めたのだが…

初めはカキの葉柄に絹糸をかけ始めたのですが、いつまでたっても繭の形になりません。
途中から葉柄を離れて葉の方に進出し、右往左往。
新たな営繭場所を探索しているのでしょうか。
カキの葉は落葉する運命なので、葉柄の根元や枝に営繭しないといけません。
やがて徘徊を続ける幼虫が葉から落ちてしまいました。
慌てて掬い上げ、元の枝に戻して撮影続行。

翌日、繭が全く出来ないうちにシュウ酸カルシウムを分泌し始めた。

二日後、柿の葉を徘徊してはあちこちにシュウ酸カルシウムを塗りつけて回る。

翌日からは絹糸の繭が全く作られないのに硬化剤のシュウ酸カルシウムを分泌(排泄?)し始めました。
葉のあちこちに白い分泌物を塗りつけて回ります。

『繭ハンドブック』p82によると、イラガの
繭は糸で作られるが、幼虫はお尻からシュウ酸カルシウムの白い液を、口からはタンパク質を含む褐色の液を出し繭層に塗りつけ、これが繭の模様となる。繭は枝の分岐点に作られることが多い。


3日後には再び葉から落下。

3日後、柿の葉から幼虫が落下。
今回の繭作り失敗の原因は何でしょう?

  • 照明が眩しいせいとは考えにくい気がします。
  • 幼虫の栄養状態が悪く、体内で絹糸の材料成分が不足しているのだろうか?(それなら営繭のスイッチが入ったのは何故か?)
  • 食草として与えた柿の葉に残留農薬(殺虫剤)が含まれていたのだろうか?
  • ただの突然変異個体?
  • 体内に寄生されているための行動異常でしょうか。(その後、イラガ幼虫を密閉容器に隔離しても寄生蜂やヤドリバエなどが羽化してくることはなく、蛹化もせずにそのまま萎んで死亡。)
イラガの独特な繭作りを観察したいがために飼い始めたのに、残念な結果に終わりました。
生き物を相手にすると一筋縄では行きません。
また再挑戦してみます。

シリーズ完


アオサギの飛び立ち【ハイスピード動画:野鳥】



2012年10月中旬

アオサギArdea cinerea jouyi)の飛翔シーンを220 fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
街中を流れる川に佇んでいたアオサギが急に身を屈めると力強く羽ばたいて飛び立ちました。
下流に向かって徐々に高度を上げると旋回して姿が見えなくなりました。


私のカメラはハイスピード・モードにすると撮影開始以降は固定焦点になるのですが、飛び去るまで流し撮りしてみたら意外に上手く勇姿をおさめることが出来ました♪
ただし強い日差しによる川面の照り返しが眩しいせいで、逆に暗く補正されてしまいました。

オナガヒメバチの一種♀に蜂蜜を与えてみる



2012年11月上旬

枯木に産卵したオナガヒメバチの一種♀Dolichomitus sp.
を採集して持ち帰り、蜂蜜を紙に一滴垂らして与えてみました。
空腹の蜂は喜んで甘い蜜を舐め始めました。
明るい自然光下で背景の白紙に写る蜂のシルエットが美しいですね。

蜜滴から離れた拍子に蜂蜜がヒメバチの長い腹部にべっとり付いてしまいました。
満足した蜂は顔を洗い、後脚を擦り合わせました。

長い産卵管の先端が折れ曲がっているのは、持ち帰るまで狭いビニール袋に閉じ込めたせいだと思います。




2013/01/25

片腕の折れた野生ニホンザルの落穂拾い



2012年11月上旬

稲刈り後の田んぼで落穂拾いをしているニホンザル(Macaca fuscata)の群れを撮影していたら、片腕を怪我している一頭に気づきました。
左前脚が骨折しているようで、歩行時も折れた腕を庇って四足ではなく三本足による跛行で痛々しい。

「猿も木から落ちる」で大怪我を負ったのでしょうか。
左手の指や手のひらの運動性は保たれているようです。

採食に腕を曲げたままの左手を使うこともありました。
群れと一緒に採食しながら遊動して隣の田んぼへ姿を消しました。

性別は分かりませんでした。

山に帰って木登りするときは片腕が不自由でも大丈夫でしょうか?
以前、右手の無い野生ニホンザルを観察したことがあります。
どうやら腕を一本失うぐらいの障害(ハンディキャップ)があっても野生の猿は逞しく生きていけるようです。

つづく→「白猿の落穂拾い





枯木に産卵するオナガヒメバチの一種♀



2012年11月上旬

山間部で道端の細い枯木で長い産卵管をもつ黒い蜂が触角で探りながらウロウロしていました。
ヒメバチの一種♀が産卵するのでしょうか?
いったん飛び去ったものの、しばらくすると同一個体と思われる♀がまた同じ枯木に戻って来ました。
やがて幹に対して垂直に細長い産卵管を突き立て、産卵を始めました。
産卵を終えた蜂は歩いて幹の裏側に回り込み、次の産卵場所を探索しています。

同定してもらうため、撮影後に蜂を採集しました。
件の枯木は道に向かって伸びたせいか若いうちに幹が刈り込まれており、葉もなく樹種の手がかりは掴めませんでした。
ヒメバチ♀は枯木の内部に穿孔する甲虫類の幼虫に寄生産卵したのでしょうか。


つづく→蜂蜜を与えてみる





枯木の全景(樹種不明)
側面@方眼紙

背面

胸部背面

胸部側面

胸部側面

腹部側面

腹部下面は白い

顔:貧弱な大顎

単眼

触角

腹端腹面(産卵管)

産卵管:死後は縦2本に裂けていた。乾燥が進むと3本に裂ける。

右翅脈
【追記】
「蜂が好き」掲示板にて問い合わせたところ、「○○オナガヒメバチの類が属するフシダカヒメバチ族の仲間だろう」との回答を青蜂@管理人さんより頂きました。

こにしさんからも更に絞り込んで「おそらくDolichomitusの一種だろう」とご教示頂きました。
木に穿孔するカミキリムシの幼虫を寄主とするらしい。

繭を紡ぎ始めたイラガ(蛾)終齢幼虫



イラガ幼虫の飼育記録:4

2012年10月下旬・室温19〜21℃

朝起きてイラガ(Monema flavescens)幼虫の様子を見ると、水差しにしたカキの葉から下りて枝に止まっていました。
心なしか茶色の部分が濃くなった気がします。
毒毛の毛束も黄色から褐色気味に変わっています。
いよいよ繭を紡ぎ始める前兆でしょうか?
それとも脱皮するのでしょうか?



遂に葉柄で営繭を始めました。
ということは、終齢幼虫だったことになります。
しかし終齢にしては体長が小さかった点、および眠の時期が短かかった点が気にかかります。

口から絹糸を吐いています。
フードに隠れて食事中も決して見せてくれなかった頭部をようやく拝むことができました。

せっかくイラガの繭作りを楽しみにしていたのに、どうも様子がおかしい。
葉柄に繭を作ったら冬が来て落葉したときに繭は大丈夫なのでしょうか。
てっきり枝の二又になった部分に営繭するのかと思っていたので意外です。

接写の次は微速度撮影してみます。


つづく→「イラガ(蛾)幼虫の営繭異常【早回し映像】





2013/01/24

田んぼで落穂拾いするニホンザルの群れ



2012年11月上旬

野生ニホンザルMacaca fuscata)の大群が山から下りて稲刈り後の田んぼ(刈田)に来ていました。
散開した猿が三々五々に遊動しながら何やら採食しています。
落穂拾いなのかと思いきや、稲刈り後の刈株から伸びた緑の新芽を手でむしって食べているのかもしれません。
藁をかき分けて刈り残された稲穂?を口でしごくように採食している個体もいます。

睾丸の大きな♂が目に付きました。
子猿を連れた母猿も居ます。

あまりにも数が多過ぎて、どの猿を撮ろうか目移りしてしまいます。
目視では30頭ぐらいカウントできました。
横にパンした映像にも計21頭の猿が写っていました。

近くを流れる用水路の水音でかき消され、猿の静かなクーコールなど鳴き声はほとんど聞きとれません。
(視界が開けているため、クーコールによる鳴き交わしは不要なのかも?)
辛うじて喧嘩の悲鳴は録音されていました。

つづく→「片腕の折れた野生ニホンザルの落穂拾い





スジボソヤマキチョウの求愛【ハイスピード動画&HD動画】



2012年10月中旬

野菊の群落でスジボソヤマキチョウGonepteryx aspasia)を220 fpsのハイスピード動画に撮っていたら興味深い映像が偶然得られました。

花に止まって翅を開閉しながら吸蜜している♂(翅表が黄色)のところに別個体♀(翅表がクリーム色)が飛来しました。
初めの♂も驚いたように飛び立ち、♀の後を追って飛んで行きました。
♀の方から♂にモーションをかけて交尾に誘ったのでしょうか?

本種は翅表の色(黄色の濃淡)で雌雄を見分けることができます。
♀は翅の表がクリーム色、♂は黄色とのこと。




通常のHD動画で撮っているときも求愛シーンに遭遇しています。
映像の後半で(@0:45〜)吸蜜中の♀(翅表がクリーム色)の周りを♂(翅表が黄色)が飛び回っていますが、求愛は実りませんでした。
同じシロチョウ科のモンシロチョウの場合、♀は腹端を持ち上げることで交尾拒否の意志表示をします。
今回のスジボソヤマキチョウ♀も同様の交尾拒否姿勢を取ったかどうか、よく見えませんでした。

少なくとも♂が近づく度に閉じていた翅を半開きに広げていました。
こっちもハイスピード動画で撮れたらよかったですね。

【参考】
ネット検索してみると、近縁種のヤマキチョウ♀(Gonepteryx rhamni maxima)の交尾拒否姿勢の見事な生態写真をこちらで見つけました。
翅を開いて腹部を持ち上げるのはモンシロチョウと同じみたいです。


2頭が並んで吸蜜中

キタテハ秋型がセイタカアワダチソウに訪花吸蜜



2012年10月下旬

満開に咲いたセイタカアワダチソウの群落でキタテハ秋型(Polygonia c-aureum)が蜜蜂と一緒に訪花していました。
翅を開閉しながら口吻を伸ばして花蜜を吸っています。




2013/01/23

ミツモンキンウワバ(蛾)が野菊に訪花吸蜜【HD動画&ハイスピード動画】



2012年11月上旬

平地の花壇で紫色の菊の花から吸蜜していた蛾です。
花に止まっている間もアイドリングのように翅を小刻みに震わせているので、翅の模様がよく見えません。

キンウワバの一種だと思うのですが、自分では絞り込めませんでした。
いつもお世話になっている虫我像掲示板にて問い合わせたところ、蛾LOVEさんよりミツモンキンウワバとご教示頂きました。

近縁種ミツモンキンウワバとイチジクキンウワバの見分け方の解説サイトはこちら

同一個体?が花から花へ飛び回る様子をハイスピード動画(220 fps)でも撮ってみたのですが、すぐにどこかへ行ってしまいました。








野菊なのか園芸種なのか、花に疎い私には分かりません。
名前をご存じの方は教えて頂けると助かります。



チャイロスズメバチ♀に昆虫ゼリーを与えてみる



2012年11月上旬

飼育中のチャイロスズメバチ♀(Vespa dybowskii
右翅破損)に昆虫ゼリーを買い与えてみました。
百円ショップのペットコーナーにて売っていた「昆虫用栄養ゼリー(日本製)」が3個入りで¥100でした。
原材料の表記は「ゼリー:果糖、ブドウ糖、果汁、ステビア、ゲル化材(増粘多糖類)、PH調整剤、乳酸Ca、酸味料」とあります。

同時期に飼っていたスジクワガタ♂にも同じ昆虫ゼリーを与えてみたものの(映像なし)、チャイロスズメバチ♀の方が喜んで食べてくれました。
ゼリー容器の縁にしがみ付き、ゼリーの表面を盛んに舐めています。

糖分だけでなく蛋白質も必要かと思い、飼育容器に獲物となりそうな生きた虫を入れてみたのですが一度も狩りを行うことはありませんでした。

このスズメバチが寿命間近のワーカーなのか新女王なのか私には見分けられないでいます。
もし越冬に成功すれば女王蜂と判明するので、このまま飼い続けてみます。
寒くなったら容器内に朽木や藁を用意してやり、外気に晒して冬越しさせます。
(なにせ初めての試みなので、たとえ越冬に失敗しても必ずしもワーカーとは限りません。解剖して卵巣の状態を調べればカーストが判明するでしょう。)

つづく…?



柿の葉を蚕食するイラガ(蛾)幼虫を接写



2012年10月下旬・室温19℃

イラガ幼虫の飼育記録:3

カキの葉を食べているイラガMonema flavescens)終齢幼虫の口元を接写しようと幾ら頑張っても、頭部がフードのような構造に覆われていてよく見えません。
これはイラガに独特の身を守る体の作りなのでしょうか。

これまで見てきた経験だと蛾の幼虫は葉縁に跨って蚕食するのが普通です。
ところが、イラガ幼虫は葉裏に止まって葉縁から顔を乗り出す姿勢で葉縁を摂食します。
終齢幼虫なのに食欲があまり無いようですが、体内寄生されているのかと心配になります。
早く成長して繭を紡いでくれないと、食草が枯れたり落葉して調達できなくなります。

つづく→営繭開始







2013/01/22

オオマルハナバチ♀がハナニガナに訪花



2012年10月中旬

林道の道端でキク科の黄色い花にオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が忙しなく訪花していました。
ジシバリの仲間だと思うのですが、ハナニガナでしょうか。
後脚の花粉籠は空のため、どうやら花粉よりも蜜が目当てのようです。




シロスジベッコウハナアブ♀のセイタカアワダチソウ訪花と飛び立ち【ハイスピード動画&HD動画】



2012年10月下旬

満開のセイタカアワダチソウに訪花するシロスジベッコウハナアブ♀(Volucella pellucens tabanoides)が蜜蜂と入れ替わるように花から飛び立つ瞬間をハイスピード動画(220 fps)に撮ってみました。
後半のリプレイは更に25%スローにしています。




同一個体を通常のHD動画でも撮ってみました。
花の上を歩き回りながら口吻を伸ばして花蜜や花粉を舐めています。


【追記】
近縁種の標本写真をまとめたサイトはこちら(@ハナアブの世界)。



イラガ(蛾)終齢幼虫の脱糞



2012年10月下旬・室温19℃

イラガ幼虫の飼育記録:2

イラガ(Monema flavescens)の幼虫は食事の合間に腹端を持ち上げて糞をポトリと排泄します。
腹端(肛門付近)の毛束に絡みついてしまうのか、糞切りが悪くなかなか落ちません。


つづく




2013/01/21

タヌキの溜め糞に集まるキイロスズメバチ♀



2012年10月中旬

里山の尾根道に残されたタヌキの溜め糞にキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が数匹来ていました。
スズメバチが蝶のように獣糞を直接舐めてミネラル補給するという話は聞いたことがないので、おそらく獣糞に集まる甲虫(センチコガネなどの糞虫)やハエを狩るのが目的だと思います。
低空飛行で飛び回り獲物を探索したり身繕いするだけで、残念ながら実際に獲物を狩るシーンは観察できませんでした。
敏捷なキンバエを狩るのは難しくてもベッコウバエぐらいならスズメバチにも捕まえられそうな気がします。(※追記参照)

(映像にベッコウバエは映っていませんが、私が近づいたので溜め糞から逃げました。)

溜め糞で2匹のキイロスズメバチが出会うと、弾かれたように別れただけで喧嘩にはなりませんでした。
餌場(狩り場)の占有行動を示さなかったのは同じ巣から来た仲間の蜂だからでしょうか。
その癖にアリが近づくと煩そうに追い散らすことがあります。



【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、

キイロスズメバチは日本のスズメバチ属のなかでは体は最小である。(中略)他種にくらべて俊敏性に富んでいるので、迅速な飛翔力をもったハエ、アブなどを空中でつかまえる特技をもっている。 (p162より引用)




モンシロチョウがアキノキリンソウに訪花吸蜜



2012年10月中旬

道端のアキノキリンソウ群落にモンシロチョウPieris rapae)が訪花していました。
翅を閉じて花に止まり、伸ばした口吻を花の奥に差し込んで蜜を吸っています。






柿の葉を食すイラガ(蛾)終齢幼虫の微速度撮影



2012年10月下旬・室温19℃

イラガ幼虫の飼育記録:1

川の近くに生えたポプラ(=セイヨウハコヤナギ)の幼木の葉にイラガMonema flavescens)の幼虫を見つけました。
採集して飼育開始。


このとき既に終齢幼虫であることが後に分かります。



カキの葉を与えて摂食する様子を微速度撮影(15倍速)してみました。

つづく



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