2011/09/24

クズの花粉を集めるオオハキリバチ♀



2011年9月上旬
葛の生い茂ったいつものポイントで、またオオハキリバチが訪花する姿を目にしました。

今回は腹面のスコパに黄色の花粉が付いている個体を初めて確認できました。
映像の採餌行動が果たして集粉作業かどうか不明ですが(吸蜜だけかも)、ようやく営巣を開始したのでしょう。
クズの花から蜜と花粉を集めては巣穴に貯蔵し、幼虫が食べるための団子を作ります。


マルハナバチの振動集粉とは異なる方法で花粉を集めるのだろうか。
関連記事と映像はこちら→「クロマルハナバチの振動受粉






2011/09/23

流れる雲のインターバル撮影

2011年9月中旬
最近クワコ幼虫が繭を紡ぐ様子を微速度撮影して以来、インターバル撮影にすっかりはまりました。
関連記事はこちら→「繭を紡ぐクワコ終齢幼虫(蛾)の微速度撮影
このときはカメラをUSB接続した状態でパソコンからリモート撮影しました。
私のカメラにはインターバル撮影機能が内蔵されていないのですが「なんとか野外で使える方法はないかなー」と探してみました。
ある人から「電子レリーズ、タイマーリモコン」なる物を教えてもらい、早速購入。


微速度撮影の練習の定番として、庭で三脚をセットし空にカメラを向けてみました。
タイマーを5秒間隔にセットしてインターバル撮影してみます。




まずは46分間の雲の様子を10fpsの動画にしました(50倍速)。
静止画の設定のまま撮ったので、せっかくの高画質なのに画面が4:3になってしまいました。



次はHD動画に収まるよう16:9にカメラの設定を変えました。
タイマーは5秒間隔のまま夕方暗くなるまで1時間49分間のインターバル撮影を行ない、20fpsの映像(100倍速)にしてみました。
手前の枝が目障りですけど、練習ですのでご容赦下さい。
高度によって雲の形状も流れる向き(風向き)も違うのがよく分かります。

この便利な新兵器があれば、色んなtime-lapse動画を量産できそうです♪





2011/09/22

エンマコオロギの求愛歌♪と交尾(精包の授受)



2011年9月上旬・室温26℃

一匹で飼育してきたエンマコオロギ♂(Teleogryllus emma)にようやくお嫁さん♀を連れてきてやりました。
長い産卵管を持つ♀は丸々と太って♂よりも体長が大きいです。
ペアで同居させると早速、求愛・交尾行動が始まりました。


コオロギの交尾はとても変わっています。
♀が♂にマウントし、交尾器の挿入を伴いません。
どちらかと言えば、クモの交接と少し似ているかもしれません。


動画の解説として、中公新書『昆虫の生活史と進化:コオロギはなぜ秋に鳴くか』 p99 から引用します。
コオロギの発音は、生殖の営みに重要な役割をはたしている。夜ごとに♂は鳴き続けて、♀を呼ぶ。(中略)♀の接近を認めると、それまでの高らかな歌(よび鳴き)の調子から、柔らかく、長く続く誘いの音色(さそい鳴き)に切り替える。糸のような長い触角を微妙に動かして、♀と♂とは互いの体に触れ合う。誘いの歌は、♀が交尾の姿勢をとるまで、忍耐づよく続けられる。♂は寄り添うように、♀に接近してゆく。♀が♂の背中に乗ると、♂は腹部の末端にある小さな鍵のような把握器を、♀の産卵管の付け根の辺りに引っ掛けて白い球状の物体を腹部の末端から出す。その球には細い柄が付いていて、小刻みに震える微妙な腹端の運動によって、その柄の部分を産卵管の付け根に差し込むと、交尾が完了する。♀はしばらくの間、尾端に<ちょうちん>のように球をぶら下げているが、そのうちに体をねじ曲げて、それを食ってしまう。この球の中には精子が収まっている。精子は柄を通って♀の貯精嚢に入り込む。貯精嚢の入口は、輸卵管に繋がっていて、卵が産まれる時に、受精するのである。


以下は蛇足ながら私の観察メモ。

♀の近くで♂は後ろ向きに定位し、求愛歌を奏でます。
私の耳には普段の「呼び鳴き」よりも求愛歌「誘い鳴き」の方が単調に聞こえました。
後退りして♀に近づきます。
突然♀が♂に向き直り、マウントすると♂は鳴き止みました。
上記解説で「白い球状の物体」は「精包」と呼ばれます。
♀の下になった♂はしばらく静止してから身震いを始め、腹端から白い精包が排出しました。
♂のリズミカルな貧乏揺すりが収まるのを合図に、♀がマウントを解除し二匹は離れます。
♀の腹端近くの左側に白い精包が付着しています。


あれほど五月蝿く鳴いていた♂は交尾後しばらくは全く鳴かなくなりました。(賢者モード?)
2回目の交尾を果たした後、♀が地面に置かれた(付いた)白い精包を食べるシーンを目撃したものの、残念ながら撮り損ねました。


教科書通りでしたが、コオロギの交尾行動の一部始終を初めて自分の目で観察できて感動しました。
次回はマクロレンズで接写してみます。


コオロギの求愛歌は独特なので、慣れれば野外で姿が見えなくても鳴き声だけで行動を想像できそうです。


ちなみに、飼育容器内の食器に生米が入っているのが動画に映っています。
米びつで虫の湧いた古米を試しに与えてみたら、♀がボリボリと食べてくれました。


今回は♂の恋歌が成就したケースでしたが、♀に振られるケースもぜひご覧下さい。
関連記事と映像はこちら→「エンマコオロギ♂の求愛歌♪と♀の交尾拒否

【追記】
宮竹貴久『恋するオスが進化する (メディアファクトリー新書)』p110によると、精子競争に関連して
コオロギでは成虫の♂を他の♂と一緒に飼うと、単独で飼育した♂よりも多くの精子を射精する。




2011/09/21

人参を食べるエンマコオロギ♂



2011年9月上旬

エンマコオロギ♂(Teleogryllus emma)の飼育記録

今日のメニューは生のニンジンです。
鎧のような襟(カラー)の下で首が食事中自在に動く様子が見ていて面白く可愛らしい。
カタツムリ(ヒダリマキマイマイ)に与えた時も思ったのですが、必ず人参の周辺部から食いつき、中央部は食べ残すようです。
関連記事はこちら→「ニンジンを食べるヒダリマキマイマイ(微速度撮影)
虫にも好き嫌いがあるのでしょうか。
単に大きな固形物の縁から食べ始めるのかもしれません。
輪切りのままでは昆虫の口器ではいきなり中央部に齧り付くのは難しいのかもしれません。
そこで後日、人参を半月切りにして与えてみました。
これなら周辺部も中央部も同様に口を付けやすい筈です。
しかし、それでも中央部にはほとんど食痕がありませんでした。
簡単な実験ですが、コオロギにとって中央部は味が気に入らないのか栄養価が低いのだろうという結論に達しました。
「ニンジンで一番栄養があるのは皮の部分で、中央部はそれ程でもない」との話を耳にしたことがありますけど、どうやら本当かもしれません。


半月切り人参の食痕:
少し干からびていますが、周辺部だけが齧り取られえぐれています。
【追記】
後日、エンマコオロギ♂をもう一匹採集してきて飼育を始めました。
なんとこの新入りの♂(体長の小さな成虫)は輪切りにした人参の縁ではなく中央付近をいきなり食べ始めたので驚きました。
この問題は単なる嗜好の個体差に過ぎないのかもしれません。
一件落着かと思いきや、なかなか一筋縄ではいきません。







2011/09/20

垂直円網の横糸を張るドヨウオニグモ♀(蜘蛛)



2011年9月上旬


夕方に堤防を散歩していると、草むらで網を張っているクモを発見。
既に横糸を張り始めた段階で、新網を一から作っているのか古い網を張り替えているのか不明です。


この日は残念ながら三脚を持参しておらず、手持ちカメラで撮影開始。
うまく西日に照らされて糸がキラキラ光り、なんとか網が写りました。
しゃがんだ姿勢で25分もノンストップで長撮りすると、最後は足が痺れて限界でした。


とにかく(無駄に?)長い動画なので、適当に飛ばしながらご覧下さい。
あえて未編集(ノーカット版)でお届けします。
(HTML5対応のブラウザなら、YouTube動画の再生速度を好きなように変える裏技もあります。)
三脚を使えばお洒落でコンパクトな早回し映像に加工できたのですが、手持ちカメラの映像を早回しにすると手ブレが酷く酔いそうな動画になるので断念。
クモの営み/造網行動をひたすら愚直に撮ると何か見えてくるものがあるかもしれません。

粘着性の横糸は網の外側から内側へ螺旋状に旋回しながら張り進めます。
横糸の間隔はかなり狭く、密に張っていきます。
クモの旋回の向きは最後まで一定でした(時計回り)。
映像では倍率不足かつ動きも速過ぎてよく分かりませんが、予め張っておいた足場糸を歩脚で切りながら横糸を張っていると思われます。
近くを列車が通過したとき以外、クモは殆ど作業を止めず、一気呵成に横糸を張り終えました。
お暇な方は映像でクモが何回転したか数えてみて下さい。
(数えた人は教えてください。)
甑(こしき)の部分をどう処理したか、詳細はよく分からず。
見事な正常円網が完成すると、クモは下向きに占座しました。




甑の高さは地上約60cm、枠糸はススキやセイタカアワダチソウなどの茎に固定されていました。
完成した端正な垂直円網の写真で放射状の縦糸を数えると29本ありました。

せっかく店開きしたばかりのクモには申し訳ないのですけど、記録のため一時的に捕獲。
いつものように炭酸ガス麻酔で眠らせてから接写しました。



初めて見るクモでしたが、図鑑で調べると普通種のドヨウオニグモNeoscona adiantaらしいとすぐに判明。
体長6.5mmと小ぶりながらも、外雌器にコガネグモ科特有の垂体がある成体♀でした




横糸を張り終えてから最後に甑(こしき)の部分をどう処理したのか興味があるので、次回は機会があればマクロで撮りたいと思います。
造網行動で見逃した前半部(枠糸、縦糸、足場糸の張り方)も観察してみたいものです。


2011/09/19

クズの花で吸蜜するオオハキリバチ



2011年9月上旬

堤防に生い茂ったクズの群落で、またオオハキリバチMegachile sculpturalis)の姿を目にしました。
去年は見たことなかったのに、一度存在に気づくと、すぐに何匹も見つけられるようになりますね。
前回の映像はこちら→「葛に訪花するオオハキリバチ

どれも♀だと思うのですが、腹部下面のスコパに花粉を付けていないので、花蜜だけが目的なのでしょう。
未だ営巣を始めていないのかな?
葛の葉でしばらく休んでから飛び去りました。


クズの花びらの中に黄色いところがあります。いいにおいに惹かれてハチが飛んできました。(中略)ハチたちは黄色いところを目印にやって来ます。この下に口を差し込むと、蜜が吸えることを知っているのです。 
『どんどんのびる草』p21より引用






2011/09/18

ウスバカマキリ♀は怒ると威嚇音を発する♪



2011年9月上旬・室温23℃

ウスバカマキリ♀(Mantis religiosa)を一匹飼育しています。
怒らせると青筋立てた腹部から「ふいご」のようにフシュー、フシューと激しい威嚇音を発することに気づきました。
腹部の気門から息を吸い込み、敵に自分の体を出来る限り大きく見せようとする威嚇誇示行動の副産物かもしれません。
迫力満点で、いかにも恐ろしげです。


生き餌を目の前に近づけて直接与える(handfeed)際に驚いて同様の威嚇音を発することがありました。
しかし次第にこの給餌法に慣れたのか、残念ながらどうも再現性がいまいちで撮影できず。



カマキリを掴まえて、どうしたら一番怒るか色々と試しました。
どうやら身重の腹部や翅を触られるのを嫌うようです(スカート捲りのセクハラ!)。
和名(ウスバカマキリ)の由来となった薄い後翅を開いてついでに確認しました。


今まで飼ってきたオオカマキリ、コカマキリではこのような威嚇音を聞いたことはありません。
本種に特有な行動なのだろうか。

つづく


【追記】
小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち (ちくま新書)』を読むと、ウスバカマキリの威嚇行動について詳しく書いてありました。
しかし私が観察した行動と少し違うようです。
(ウスバカマキリに)ちょっかいを出して怒らせると、(中略)閉じていた翅を突然パッと開く。このとき、畳んでいた後翅の縁と腹部がこすれて、毒蛇が威嚇するような「シャーッ」という音がする。コカマキリもこれをするが、かなりはっきり聞き取れる大きな音だ。
 さらにこれでも足りないと言わんばかりに、上半身を持ち上げて左右の鎌状の前脚を顔の脇に添える。このカマキリの前脚の「二の腕」部分には、黒い大きな斑紋が付いている。個体によっては、この黒い紋の中にさらに小さな白い紋が出る。(眼状紋:しぐま註)
(中略)この威嚇体勢は単なるこけおどしのため、長時間継続しない。隙を見て、素早くその場から走り去ってしまう。(p234-235より引用)






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